見せた対応力、ポジション争いのカギはクラブでのパフォーマンス/日本代表コラム
2019.10.16 18:00 Wed
慣れないアウェイのピッチ、未知のタジキスタン、そして完全アウェイの空気を作っていたスタジアムの観客──。普段通りとは到底行かないであろう条件の中で日本代表は3-0で勝利した。
ミャンマー代表戦、モンゴル代表戦、そしてタジキスタン代表戦と3試合連続クリーンシート、いずれも複数得点での勝利は、良い予選のスタートと言える。
◆息巻くタジキスタンに対応した守備陣
日本はモンゴル代表戦から4名の選手を入れ替えて戦った。ケガで離脱したDF冨安健洋(ボローニャ)の代役には、DF植田直通(セルクル・ブルージュ)を起用。また、MF遠藤航(シュツットガルト)、MF伊東純也(ヘンク)、FW永井謙佑(FC東京)に代えて、MF橋本拳人(FC東京)、MF堂安律(PSV)、FW鎌田大地(フランクフルト)を起用した。
コンディション面を考慮してのメンバー交代であり、タジキスタンの戦い方に合わせた采配とも取れる。国を挙げてサッカーの強化を推し進めているタジキスタンは、オーガナイズされたチームであり、個の強さと縦への推進力を持ち合わせたチームだ。
一方で、24分にはピンチ。鎌田のボールロストからカウンターを受けると、MFエフソン・パンシャンベにボックス内からシュートを放たれるが、GK権田修一(ポルティモネンセ)が片手でセーブし、事無きを得た。
前半は、パワーをかけ、出足の早いタジキスタン相手にペースを握れなかった日本。しかし、吉田を中心とした守備陣が要所を抑え、決定機も権田がしっかりとゴールを守り、得点を許さなかった。
相手のプレッシャーによって、前半は満足いくパフォーマンスを出せたとは言えないが、しっかりとピンチをしのぎ、それ以外のシーンでは危なげなく対応した守備陣は評価に値するだろう。
◆対応力を見せた後半の戦い
前半のパフォーマンスから一転、後半は日本ペースで試合が進む。立ち上がりからギアを上げて臨んだ日本に対し、タジキスタンは受けに回る時間が増えた。
特に、右サイドの堂安を中心に組み立てられていた前半に対し、後半は左サイドからの攻撃も増えた。中島、長友が関わる事でよりスムーズな攻撃を展開。さらに、鎌田と南野のポジションを変えたことで攻撃が回り出す。
すると迎えた53分、中島のクロスをファーサイドに走り込んだ南野がヘディングで合わせて先制。56分には、右サイドの酒井からのグラウンダーのクロスを、南野がヒールで合わせて流し込み、一気に追加点を奪い切った。
この2ゴールに関しては、前半で上手くいかなかった部分にしっかりと対応し、奪い切ったものと考えていいだろう。選手の立ち位置を変えた事で、攻撃がスムーズに動いたこと。また、ニアゾーンを使うことで、大外が生きた点だ。
まるで祭囃子のような音楽が響き、ピッチ内でのコミュニケーションもなかなか取りにくかったことが予想されたが、前半からの変化は、ハーフタイムの指示だけでなく、ここ数試合でも見せていたピッチ内での判断によるものだろう。
◆カギはクラブでの活躍
クラブでも結果を出していた南野が、しっかりと代表チームでも結果を残したことは大きい。これまではクラブでの調子を維持できなかったり、代表での活躍がクラブに結びついていないことも多かった。
この2試合でも、権田や柴崎、遠藤らはクラブで良い結果を残せているとは言えない。ひいては出場機会さえままならない部分がある。しかし、権田は好セーブを含め2試合をクリーンシート。柴崎は持ち前のパスセンスとポジションどりで中盤を司り、遠藤はモンゴル戦で代表初ゴールを記録した。
一方で、南野はチャンピオンズリーグでもゴールを決めるなど好調さを代表にも持ち込み、鎌田もクラブでの調子を維持し、ついに初ゴールも記録。浅野もレギュラーとして新天地のパルチザン・ベオグラードでプレーしながら、久々にゴールを奪った。
チームとしての完成度が上がっている中で、選手が全て固定というわけではない森保ジャパン。つまり、競争は常に起こっているということであり、クラブでのパフォーマンスが非常に大きなウェイトを占めることになる。
U-22日本代表もU-22ブラジル代表相手に結果を残したとなれば、この先のポジション争いは枠を広げた選考に入る可能性も高い。常に調子を維持することが、11月シリーズでのポジション確保につながるだろう。
3連勝と好スタートを切った日本は、11月のキルギス代表戦が2019年最後の予選となる。その場に立てるのは交代を含めて14名。それぞれのクラブでの活躍にも注目だ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
ミャンマー代表戦、モンゴル代表戦、そしてタジキスタン代表戦と3試合連続クリーンシート、いずれも複数得点での勝利は、良い予選のスタートと言える。
◆息巻くタジキスタンに対応した守備陣
コンディション面を考慮してのメンバー交代であり、タジキスタンの戦い方に合わせた采配とも取れる。国を挙げてサッカーの強化を推し進めているタジキスタンは、オーガナイズされたチームであり、個の強さと縦への推進力を持ち合わせたチームだ。
[4-1-4-1]のシステムで試合に臨んだタジキスタンだが、日本が先に決定機を迎える。13分にCKを得ると、MF中島翔哉(ポルト)のクロスにDF吉田麻也(サウサンプトン)がボレーで合わせる。しかし、これはGKがセーブ。この先、タジキスタンのGKルスタム・ヤティモフが何度となく日本の前に立ちはだかる。
一方で、24分にはピンチ。鎌田のボールロストからカウンターを受けると、MFエフソン・パンシャンベにボックス内からシュートを放たれるが、GK権田修一(ポルティモネンセ)が片手でセーブし、事無きを得た。
前半は、パワーをかけ、出足の早いタジキスタン相手にペースを握れなかった日本。しかし、吉田を中心とした守備陣が要所を抑え、決定機も権田がしっかりとゴールを守り、得点を許さなかった。
相手のプレッシャーによって、前半は満足いくパフォーマンスを出せたとは言えないが、しっかりとピンチをしのぎ、それ以外のシーンでは危なげなく対応した守備陣は評価に値するだろう。
◆対応力を見せた後半の戦い
前半のパフォーマンスから一転、後半は日本ペースで試合が進む。立ち上がりからギアを上げて臨んだ日本に対し、タジキスタンは受けに回る時間が増えた。
特に、右サイドの堂安を中心に組み立てられていた前半に対し、後半は左サイドからの攻撃も増えた。中島、長友が関わる事でよりスムーズな攻撃を展開。さらに、鎌田と南野のポジションを変えたことで攻撃が回り出す。
すると迎えた53分、中島のクロスをファーサイドに走り込んだ南野がヘディングで合わせて先制。56分には、右サイドの酒井からのグラウンダーのクロスを、南野がヒールで合わせて流し込み、一気に追加点を奪い切った。
この2ゴールに関しては、前半で上手くいかなかった部分にしっかりと対応し、奪い切ったものと考えていいだろう。選手の立ち位置を変えた事で、攻撃がスムーズに動いたこと。また、ニアゾーンを使うことで、大外が生きた点だ。
まるで祭囃子のような音楽が響き、ピッチ内でのコミュニケーションもなかなか取りにくかったことが予想されたが、前半からの変化は、ハーフタイムの指示だけでなく、ここ数試合でも見せていたピッチ内での判断によるものだろう。
◆カギはクラブでの活躍
クラブでも結果を出していた南野が、しっかりと代表チームでも結果を残したことは大きい。これまではクラブでの調子を維持できなかったり、代表での活躍がクラブに結びついていないことも多かった。
この2試合でも、権田や柴崎、遠藤らはクラブで良い結果を残せているとは言えない。ひいては出場機会さえままならない部分がある。しかし、権田は好セーブを含め2試合をクリーンシート。柴崎は持ち前のパスセンスとポジションどりで中盤を司り、遠藤はモンゴル戦で代表初ゴールを記録した。
一方で、南野はチャンピオンズリーグでもゴールを決めるなど好調さを代表にも持ち込み、鎌田もクラブでの調子を維持し、ついに初ゴールも記録。浅野もレギュラーとして新天地のパルチザン・ベオグラードでプレーしながら、久々にゴールを奪った。
チームとしての完成度が上がっている中で、選手が全て固定というわけではない森保ジャパン。つまり、競争は常に起こっているということであり、クラブでのパフォーマンスが非常に大きなウェイトを占めることになる。
U-22日本代表もU-22ブラジル代表相手に結果を残したとなれば、この先のポジション争いは枠を広げた選考に入る可能性も高い。常に調子を維持することが、11月シリーズでのポジション確保につながるだろう。
3連勝と好スタートを切った日本は、11月のキルギス代表戦が2019年最後の予選となる。その場に立てるのは交代を含めて14名。それぞれのクラブでの活躍にも注目だ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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