コパ・アメリカで明確化された課題、現実から目を離さずに成長の糧とできるか/日本代表コラム

2019.06.27 15:00 Thu
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勝てばベスト8進出となるベネズエラ代表戦で、1-1のドローに終わった日本代表。これにより、2度目のコパ・アメリカは2分け1敗となり敗退が決定した。招待国としてカタール代表とともに出場した日本だったが、1999年大会と同様に1勝もできずに去ることとなった。この20年で多くの成長が見られ、日本サッカーは発展を繰り返してきたが、足りないものは今大会でも改めて明確となった。


◆永遠の課題「決定力」
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今大会、多くの注目は18歳の久保建英(レアル・マドリー)に注がれたはずだ。大会直前に古巣のバルセロナではなく、最大のライバルにあたるレアル・マドリー(Bチーム登録)入りが決定したことで、日本だけでなく、世界からの視線を集めた。その久保は、初戦のチリ代表戦でも違いを見せるプレーを披露し、各国メディアでも称賛を受けていた。

もちろん、チームが0-4で敗戦したこともあり、最大の評価はされないものの、随所に見せるプレーレベルの高さは、世界も認めるほど。レアル・マドリー行きが“まぐれ”ではないことを、世界にも知らしめることとなった。

その中で、大きな注目を集めることとなった選手がもう1人いる。それが、唯一の大学生メンバーであるFW上田綺世(法政大学)だ。コパ・アメリカの舞台で代表初キャップを記録した上田は、持ち前のポジショニングの良さや抜け出しのうまさ、相手DFとの駆け引きなど、ストロングポイントをいきなり発揮する。しかし、何度となく迎えた決定機を全て失敗。特に、シュートが枠に飛ばないことが続き、流れを引き寄せられなかった要因となってしまった。

続くウルグアイ代表戦ではベンチに座ることとなったが、途中出場を果たす。グループ最終戦のエクアドル代表戦もベンチスタートとなった。

1-1で迎えた後半、ウルグアイ戦同様に上田は途中出場する。すると、この試合でも決定機が訪れる。しかし、ここでもシュートが枠に飛ばず。後半アディショナルタイムには、途中出場のFW前田大然(松本山雅FC)がスルーパスを受けて決定的なシーンを作るも、シュートをうまく打てず。こぼれ球を拾った上田は、ボックス内からシュートを放つも、枠の遥か彼方へとボールは飛んでいった。

グループステージ3試合に途中出場を含めて全試合に出場した上田。大会のスタッツでは、「最もチャンスでミスをした選手」として上田がワースト記録を叩き出している。本人も当然感じてはいることだろうが、明らかな決定機で、シュートが枠に飛ばなかったのはストライカーとしては残念でならない。

以前のコラムでも指摘したように、シュートまでのプレーに関しては、チリ、ウルグアイ、そしてエクアドルと、どの国のディフェンダーに対しても一定のプレーを見せた。決定機を作れたということは、上田の特徴が通用しているということでもある。ただ、「決定力」が決定的に足りないことが明確になった。

この「決定力」とは、日本サッカー界の永遠の課題とも言えるもの。シュートが枠に飛ばなければ、ゴールのチャンスはほぼゼロだ。どれだけ華麗に崩しても、どれだけ相手選手の裏を突いても、どれだけGKとの一対一のシーンを作ろうとも、シュートが枠に行かなければ、ゴールは生まれないのだ。

長い期間、この「決定力不足」が事あるごとにフォーカスされてきたが、今大会ほど明確に足りていないことを痛感したことはないかもしれない。これは上田に限ったことではなく、日本の多くのストライカーに言えること。少ないチャンスを決め切る南米のストライカーとの差は痛感したはずだ。上田は、鍛え方次第ではまだまだ上手くなる伸び代があるだけに、一刻も早く高いレベル、“プロ”の世界で揉まれることをオススメしたい。“シュート”以外の部分が十分通用するだけに、足りない部分をしっかりと伸ばしてもらいたい。

◆動じないメンタルと正確な判断
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そして、南米3カ国と本気で戦ったことで浮き彫りとなったのは、ブレないメンタルと早く正確な判断力の不足だ。

初戦のチリ戦でボランチに入ったMF中山雄太(ズヴォレ)、ウルグアイ戦とベネズエラ戦でボランチに入ったDF板倉滉(フローニンヘン)の2人がMF柴崎岳(ヘタフェ)の相棒を務めた。

中山は初戦のチリ戦で久々にボランチでプレー。試合勘のなさを露呈すると、相手の狙い所となってしまい、本人も立ち位置を見失ってしまった。柴崎がプレスをかけているタイミングで、同じようにプレスに出てポジションを空けてカウンターの餌食になったり、攻撃面でもパスミスが散見され、完全に相手に飲まれてしまった印象だ。競り合いでも狙い所となるなど、世界のレベルを突き付けられてしまった。

板倉もウルグアイ戦では立ち上がりにルーズな対応をしたことで、ルイス・スアレス(バルセロナ)にあわやのロングシュートを放たれてしまった。それに物怖じしたのか、積極的なプレーに出ることがなかなかできず、後半途中まで低調なパフォーマンスに終始した。後半は徐々に持ち味を出したが、積極性という点では苦しい試合となっただろう。

この2人はクラブチームでの出場機会が少なく、試合勘がなかったことも要因ではある。しかし、一度相手によって崩され、ペースを作られたことで、積極的なプレーを選択できなくなり、特徴を出すまでに至らなかったのだ。失点することもミスすることもピッチ上では誰しもが起こす可能性がある。しかし、相手にその隙を与えているようでは、特に南米勢はしたたかにそこを突き、とどめを刺しにくる。中山、板倉が狙い所をなっていたことは、本人たちも気付いているはずだ。

そして、判断力といえば、光るプレーも見せていたMF中島翔哉(アル・ドゥハイル)にも言えることだ。プレースピードに判断が追いついていない印象を持った。中島の特徴はドリブルであることは日本人はおろか、スカウティングした相手チームも知っていること。持ち味であり、相手をかわして強烈なシュートを放つというのが1つの形ではあるが、今大会では独善的なプレーも散見された。

アジアでの戦いであれば、中島が1人で試合を決定づけることも可能だろう。また、キリンチャレンジカップのようなホームでのフレンドリーマッチであっても、その力は発揮できるはずだ。しかし、本気の南米相手には、要所では効果的であったものの、簡単にボールをロストし、逆襲を喰らうシーンが何度も見られた。

もちろん、周りの選手のポジショニングや動き出しのタイミングなど、要因は多岐にわたるものの、その判断の誤りが散見されたからこそ、同サイドで3試合連続フル出場を果たしたDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)は高い位置を取る回数を減らし、後ろ重心で戦うこととなっていた。日本の左サイドはチリ戦から狙われ続け、杉岡としては攻撃参加したいタイミングでも、積極的に前にポジションを取ることはできなかったのかもしれない。

ピッチ上でボールを持ちながら正確な判断に基づいてプレーできるかどうか。今大会の印象で言えば、中島からは若干の危うさを感じ、久保からは将来への期待感を抱くこととなった。個人技という特長は最大限に活かし続けること、またストロングポイントを伸ばすことは当然大事ではあるが、勝利という目的を達成するためには、味方を使うプレー、相手が嫌がるプレーを選択できるかどうかが、今後に向けては重要になるだろう。

◆勝利なしという現実
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忘れてはいけないのが、今大会では「勝利」を挙げられていないということだ。善戦したことがフォーカスされるが、この点から目を逸らしてはいけない。

東京オリンピック世代が中心ということは少なからず影響はあるものの、A代表としてコパ・アメリカに参加していることも事実。初戦のチリ戦こそ0-4で大敗したが、続くウルグアイ戦は終始リードしながら2-2のドロー。エクアドル戦も先制しながら追いつかれて1-1のドローに終わった。経験の少ない若い選手たちが中心のチームと考えれば、2分け1敗という結果は「よくやった」と言ってもいいのかもしれない。しかし、2度リードを追いつかれたこと、先制して追いつかれ、決定機を生かせずに引き分けたことを考えると、勝ちゲームを2つ落としているとも捉えられる。つまり、勝利を手放してしまったという事実がそこにはある。

「タラレバ」が存在しないことは百も承知だが、「あのシュートが決まっていれば」というシーンがあることも明白。そこまで相手を追い込んでいながら、決め切れないという“実力不足”が原因であるということを忘れてはいけない。よくやった、惜しかったというレベルを超えていく必要がある。

この問題から目を逸らしていれば、ロシア・ワールドカップのラウンド16・ベルギー代表戦で味わった悔しさを、今後晴らすことはできないかもしれない。本気の南米勢とはワールドカップで当たる可能性は高く、この大会で経験したことをどこまで繋げるのか。現実から目を逸らさず、課題をしっかりと、いかに克服していくかで、今大会の評価は決まるだろう。勝利に向けた南米勢のメンタルの強さ、チームとしてのベクトルを感じられたことがプラスに働いて欲しいものだ。

◆“チャレンジ”と“成長”
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ネガティブな側面ばかりを書き連ねてきたが、この大会の目的を思い起こせば、ポジティブな面も大いにある。

結果という意味では、「実力が足りていない」という現実を見せられたが、局面では相手を脅かすシーンがいくつもあった。A代表を送り込まないことで少なからず批判もあった日本代表だが、ウルグアイ、エクアドルとの戦いを見れば、批判が見当違いであったこともわかるはずだ。「よく戦えた」レベルまではいっている。あとは、永遠の課題でもある「どう勝つか」だ。

経験、成長という点では、前述の通り上田を始め、多くの選手には大きな糧にしてもらいたい。どこでどのように技術を磨くかはわからないが、必ず日の丸を再び背負うことになるはずだ。そして久保も自身では良いプレーを見せることができたが、結果に繋がらなかったことを考えると悔しさが残っているはずだ。レアル・マドリーという世界最高峰のクラブでどのようなプレーを見せるのか。トップチームデビューを果たせない逸材がたくさんいるものの、久保がピッチに立つ日が来ることを待ちたい。

その他にも、通用した部分、しなかった部分、反省すべき部分、ポジティブに捉える部分と今回のコパ・アメリカ参戦によって多くの気付きがあったはずだ。選手はもちろんのこと、森保一監督以下スタッフたちが、この経験を次のステージでしっかりと発揮できれば、今大会の狙いは成功だったと言えるだろう。

9月からはカタール・ワールドカップのアジア予選が始まる。今回の“チャレンジ”と“成長”がこの先の個人の成功に繋がるならば、このメンバーから何人かが再び日本代表に呼ばれるはずだ。激しい競争はまだ始まったばかりだ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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実力差だけでは起こらない14-0はなぜ? 今までにない日本代表の変化/日本代表コラム

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3-0で快勝した日本代表、勝因は韓国の“ワナ”にかからなかったピッチ上の対応力/日本代表コラム

「みんなが韓国戦の重要性に気づいて、意識してもらいたいと思います」と試合前日の記者会見で意気込みを語っていたキャプテンのDF吉田麻也(サンプドリア)の言葉が伝わったのか、日本代表のパフォーマンスは非常に高いものとなった。 25日、国際親善試合では10年ぶりの対戦となる韓国代表との一戦。日本は代表デビュー戦となったDF山根視来(川崎フロンターレ)の史上34人目となるデビュー戦ゴールで先制すると、MF鎌田大地(フランクフルト)のゴールで追加点。後半にはMF遠藤航(シュツットガルト)がCKからヘディングで決め、3-0で勝利を収めた。 10年前の札幌ドームでの3-0の快勝を再現した日本代表。当時試合に出たのはDF吉田麻也のみであり「いかにこの試合が日本代表にとって大切なことかを伝えていけないといけない」としていたが、その気持ちがチームにも伝わった快勝だった。 <span class="paragraph-title">◆ワナにハマらなかった対応力</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20210326_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 韓国代表にはFWソン・フンミン(トッテナム)やFWファン・ウィジョ(ボルドー)、FWファン・ヒチャン(RBライプツィヒ)と主力であり、ヨーロッパでプレーしている前線のタレントが招集できなかったこともある。彼らの存在感も大きいが、パウロ・ベント監督は「彼らがいたら結果が違ったかということは言うべきではない」と語り、限られた条件下で戦うことは平等だと主張。日本のパフォーマンスを素直に評価していた。 しかし、そのパウロ・ベント監督も無策で日本戦に臨んだ訳ではなかった。試合後の記者会見では、MFイ・ガンイン(バレンシア)のポジショニングについての質問が飛ぶと「日本のディフェンスラインを撹乱するというか」と語り、中途半端なポジションを取ることで、日本のディフェンスを崩そうと画策。「そこで隙を突いて、引き寄せて、スペースを作って後ろの選手が入っていく。あるいは、ナム・テヒも使えればと思っていた」と、狙いを明かしていた。 トップに誰が起用されるのかが不透明の中、蓋を開けるとイ・ガンインがサイドに開く訳でもなく、下がってボールを受ける訳でもないゼロトップの位置に起用されていた。しかし、前半は全く韓国は攻撃の色を出せていなかった。 この件については試合後に吉田も言及。「試合をやり始めてすぐに20番の選手(イ・ガンイン)が張るわけでも落ちるわけでもない中途半端な位置だなと思っていて、そういうことを狙っているかなと感じました」と語り、しっかりとピッチ内で判断できていたことを明かした。 それでも「FWは予想とは違いました」と、試合前に思っていたのとは違う展開になったものの、対応力を見せたディフェンスライン。相手に食いついてしまっていれば、韓国の思うツボであり、違う試合展開になっていた可能性もある。そのあたりの対応力は、昨年11月に敗れたメキシコ代表との試合での反省が生かされていると言っても良いだろう。それだけ、集中して、この一戦に懸けていたことの現れでもあったと言える。 <span class="paragraph-title">◆監督も感じる手応え</span> 森保一監督も一定の手応えを感じており、韓国戦快勝の理由には昨年10月と11月のヨーロッパ遠征があるとコメント。「去年の10月、11月とヨーロッパで強豪相手に試合をさせてもらうことができて、世界で勝つための基準を持ちながら、またアジアでも戦っていこうということが今日の試合に生きたのかなと思っています」とし、高い基準を体感した結果が、しっかりとピッチで表せたと感じたようだ。 10月にはカメルーン代表、コートジボワール代表とアフリカ勢と対戦し1勝1分け、11月にはパナマ代表とメキシコ代表と対戦し1勝1敗。ヨーロッパでプレーする選手が日本だけでなく相手も中心となった中で、高い強度でプレーできていたが、その直後の試合が韓国戦だったことも1つ力を継続して出し切れたポイントだったのかもしれない。 また、森保監督も選手たちの修正力を指摘。パウロ・ベント監督が試合中にシステムを変えることに関して「システム的に韓国が4バックと3バックを併用することは選手たちには伝えていました」とコメント。2-0で日本がリードして迎えた後半には、韓国は3バックに変更して巻き返しを図ってきた。 それでも日本は無失点で試合終了。森保監督は「試合が始まってみないとわからないので、選手たちはその情報を持ちながらも、自分たちでコミュニケーションをとって修正しながら戦ってくれました」と語り、ピッチ上で選手たちがしっかりと対応したことを評価していた。 <span class="paragraph-title">◆いざW杯予選へ</span> 結果、内容ともに充実感のある日本。続くのは、カタール・ワールドカップ予選のモンゴル代表戦だ。 韓国代表とは異なり、日本を相手に引いてブロックを敷いて来る可能性は高い。特に、ホームでは日本が6-0で快勝しているだけに、その経験も生かしてくるだろう。 アウェイゲームとはいえ、今回はコロナ禍の影響もあって日本で開催される一戦。昨日行われたタジキスタン代表との一戦でも3-0と敗れ、グループ最下位のままであり、一矢報いに来るはずだ。 この試合で2得点に絡んだFW大迫勇也(ブレーメン)も引いて守ることが予想される相手に対しては「僕はそっちの方が得意なので、全然心配していないですし、チームが勝てるように全力を尽くすだけです」とコメント。韓国戦で挙げられなかったゴールに意欲を燃やした。 今回の試合ではデビューした選手も多く、モンゴル戦でも力になるはず。しっかりと勝利を収め、最終予選進出に大きく近づきたいところだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.03.26 11:30 Fri
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日本代表が直面した2年前の悪夢が過る“わずか”ながらも決定的な差/日本代表コラム

あれから2年余り──ほとんどの人が絶望のどん底に落とされたであろう、あの試合を思い出させる結末となってしまった。 日本代表は17日、国際親善試合でメキシコ代表と対戦。結果は0-2でメキシコが勝利を収めた。 <div id="cws_ad">◆森保ジャパン、FIFAランキング11位のメキシコに奮闘も後半2失点で惜敗<script src="//player.daznservices.com/player.js#44a12140e3dda008f998a5a1a9.1tybkqliqmgvi1ndbmyxnzxqc3$videoid=wzzdprps6nnl1cl1m3yonz86c" async></script></div> 日本の平日早朝というなかなかないタイミングで行われる試合。ただ、出勤前、登校前に早起きして観戦した方も多いのではないだろうか。また、在宅ワークも増えている今の時期であれば、より観られた方も多いのかもしれない。 眠い目を擦りながらも早起きした人たちは、「早起きは三文の徳」という諺を実感したと思ったかもしれない。それぐらい前半の日本代表は可能性を感じさせた。 <span class="paragraph-title">◆日本が主導権、敵将に“最悪”とまで言わせるパフォーマンス</span> パナマ代表戦から中3日の日本と、韓国代表戦から中2日のメキシコと、コンディションの差はあれど、日本は立ち上がりから積極的な入りを見せる。 最初の10分ぐらいはメキシコに効果的な攻撃こそさせなかったものの、日本もプレスに引っかかるシーンがあり、一進一退の攻防となった。しかし徐々に日本の前線がコンビネーションを見せ躍動する。 10分すぎには2列目右サイドの伊東純也(ヘンク)が中央に絞ってプレスをかけてボールを奪うと左へ展開。ボックス内でパスを受けた鎌田大地(フランクフルト)が相手を引きつけて中央へ送るも、これには鈴木武蔵(ベールスホット)がわずかに合わず、先制のチャンスを逃す。 さらに12分には、再びボール奪取から原口元気(ハノーファー)がドリブルでカットインから強烈なミドルシュート。枠を捉えていたシュートだったが、GKギジェルモ・オチョアが鋭い反応でセーブする。 そして15分には左サイドで粘った原口が中央へ折り返すと、フリーで受けた鈴木がボックス内中央からシュート。しかし、これはオチョアの右足で防がれる。 その後も右サイドを再三攻め上がる伊東からのクロスに原口が飛び込むなど、日本が圧倒していた時間帯が続いたが、結局メキシコのゴールネットが揺れることはなかった。 メキシコ代表のヘラルド・マルティーノ監督は試合後に「前半の20分、25分間は、私が代表監督に就任してからの2年間で最悪の時間だった」とコメントするほど、メキシコに何もさせず、まさに日本の時間帯だった。 <span class="paragraph-title">◆前半のツケを払うことになった45分間</span> 再三のチャンスを決め切れなかった日本だが、後半はそのツケを払うことになってしまう。 鎌田と原口が攻撃のキーマンとなっていたことを見抜いたマルティーノ監督はDFルイス・ロドリゲスを右サイドバックに、DFエドソン・アルバレスをボランチに置いて鎌田のマークにつけ、ダブルボランチにしてバイタルエリアのケアを行った。 さらに、中2日からくる立ち上がりの悪さを45分間凌いだことで、後半はギアを上げ、プレスの強度やデュエルでの勝率を上げていった。 それと同時に日本はズルズルと後退。強度を上げるためか、MF柴崎岳(レガネス)と鈴木を下げ、MF橋本拳人(FCロストフ)とMF南野拓実(リバプール)を起用したが、これが裏目に。中盤のバランスが崩れ、前半からメキシコの攻撃の芽を摘み、攻撃のスイッチを入れていたMF遠藤航(シュツットガルト)をメキシコは封じに行き主導権を握ることに成功。そして、押し込んだ状態で難しい局面をエースのFWラウール・ヒメネスが決め切って先制したのだ。 明らかに日本よりは決定機の数が少なかったメキシコだが、そこを決め切って先に試合を動かすあたり、やはりレベルが1つも2つも違うことを証明した。シュートのアイデアもさすがだが、良い時間帯で仕留めるチームとしての能力の高さは日本にはないものだった。 ビハインドとなった日本だが、押し上げることができない。鎌田にもボールが入らなくなり、前線の4枚はプレスに走らされることに。さらに無理やり縦につけようとすればそこを狙われ、メキシコボールにされるという悪循環が続いた。その結果、南野に入れたボールを奪われた流れからFWイルビング・ロサーノにゴールを許し、5分間で2失点。その後は、ピッチが霧に包まれたように、日本のサッカーも霧の中に入り込み、0-2で敗れた。 <span class="paragraph-title">◆わずかでも決定的な差</span> 前半は日本、後半はメキシコという45分ずつで大きく流れが変わった試合だが、こういった試合をモノにできなければ、ワールドカップでベスト8に入ることはできないだろう。 いや、このメキシコですら1994年のアメリカ・ワールドカップから7大会連続でベスト16で敗退している。そのメキシコに良いようにやられている今のままでは、ベスト8に自信を持って進めるとは言えないだろう。 両チームの差は様々なところにあるが、大きくは2つだと考えられる。1つは90分間でゲームをデザインする力だ。 森保一監督が就任してから、日本代表はピッチ内での対応力を身に付けようと活動を続けてきた。それは、冒頭でも触れた2018年のロシア・ワールドカップ ラウンド16でのベルギー代表戦での苦すぎる経験があるからだ。 誰もがベルギー優勢だと考えていたあの試合、日本が原口と乾貴士のゴールで2点のリードを奪う。日本人を含め多くの人が予想していなかった番狂わせが起こると思ったが、その後に起きたことは悲劇としか言えなかった。 あの試合で日本が痛感したのは、ピッチ上での対応力、判断が勝敗を分けるということだった。2点ビハインドになったベルギーのロベルト・マルティネス監督は、スピードとテクニックに優れるドリエス・メルテンスとヤニク・フェレイラ・カラスコを下げ、高さのあるマルアン・フェライニとナセル・シャドゥリを投入する。そのメッセージを受け取ったベルギーの選手たちは、高さで日本に対抗し、セットプレーから5分間で2点を奪って同点とした。 あの試合にも出場していた原口は、メキシコ戦後に「実力がすごくある相手に対して、なんで毎回こうなるんだという感情になりました」と本音を吐露。良い試合運びをしながらも、簡単に相手にゴールを許す展開に「まさにフラッシュバックしました」とベルギー戦を思い出したといった。 2年が経過し、日本代表が成長していないとは言わない。ただ、ワールドカップでベスト8に入るだけの力は、まだ備わっていないことを痛感させられたメキシコ戦だった。 そして2つ目は、そのデザインを可能にする基本的なプレー精度だ。メキシコ戦では細かなミスが特に後半に散見。パフォーマンスが徐々に落ち、メキシコが勢いづく要因にもなった。吉田麻也(サンプドリア)は「1個つながれば、1個相手のプレスをかいくぐれば、もう1mボールが前に出てれば、というシーンが非常に多かった」とコメントした。あと1歩というところの精度を上げなければ、デザインした通りには上手くいかなくなってしまう。 柴崎も「選手個々人の能力というか、メキシコの選手はテクニックもしっかりしていたので、そこで差が出てしまった」と語った。個々人が残り2年でさらにレベルアップしなければ、日本がベスト8に入ることは難しいだろう。 <span class="paragraph-title">◆あと2年で何を積み上げていくか</span> 試合前に「指標になる試合」と原口や柴崎は口にしていたが、まさに日本代表の現在地を知る良い機会となった。もちろん勝って課題を見つけられた方が良いが、この試合をこの状況下でこのタイミングで行えたことは非常に大きな価値がある。 「今日がワールドカップじゃなくてよかった」と試合後に原口が語ったが、貴重な経験を2年前にできたことは大きい。「この2年間を無駄にせず」とも語ったように、長いか短いかは分からないが、残りの2年でやるべきことは整理できるはずだ。 アジアでの戦いだけでは感じられない課題、そして日本国内での親善試合では得ることのできない経験を今回の日本代表はしたはずだ。次は来年3月のカタール・ワールドカップ アジア2次予選。Jリーグ組も予選では招集される可能性もあるが、この4カ月で誰が何を積み上げるか。それぞれのクラブでのプレーにより一層注目する4カ月となりそうだ。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2020.11.18 19:45 Wed
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長谷部誠を思わせる遠藤航が見せつけた分析力と対応力、日本代表の欠かせない軸に/日本代表コラム

2カ月連続でのヨーロッパ組のみでの欧州遠征。11月シリーズの初戦となったパナマ代表戦は、1-0で勝利を収めた。 約1年ぶりの活動となった10月ではアフリカ勢のカメルーン代表、コートジボワール代表を相手に2試合とも無失点。結果は1勝1分けで終えていたが、パナマ戦に勝利し2連勝となった。 <div id="cws_ad">◆南野のPKで勝利!日本代表vsパナマ代表 ハイライト<br/><script src="//player.daznservices.com/player.js#44a12140e3dda008f998a5a1a9.1tybkqliqmgvi1ndbmyxnzxqc3$videoid=1qkaldp2hdx4h1chk2hiblftdc" async></script></div> 2年前に対戦した時とは監督もメンバーも変わっているパナマ代表。日本はキックオフから良い入りを見せたが、徐々にパナマが日本のプレスに慣れると、日本は押し込まれていないながらも窮屈な戦いを強いられた。その中で目立ったのが、後半から入ったMF遠藤航(シュツットガルト)だった。 <span class="paragraph-title">◆スタンドから分析していた前半</span> この試合はMF柴崎岳(レガネス)とMF橋本拳人(FCロストフ)の2人がボランチで先発出場。橋本は夏にFC東京からロシアへと移籍すると、1つ前のポジションで起用され得点力が開花。ここまで5ゴールを記録するなど、好調を維持していた。 10月の活動は渡航制限の影響から招集外となったが、この試合では先発。持ち味であるボール奪取は時折見せたものの、バイタルエリアで相手を自由にさせてしまうシーンが散見された。 その理由について、スタンドから見ていた遠藤が試合後に「拳人も間で受けていましたけど、1ボランチ気味だったので捕まりやすかったかなと思う」とコメント。ボランチ2人の関係性が難しさを生んでいたと分析した。 この試合では通常の[4-2-3-1]ではなく、3バックを採用した[3-4-2-1]で臨んだ日本。守備ではウイングバックが下がって5バック気味となり、ボランチの2人がその前に並ぶ形となった。 しかし、攻撃時は、3バックの前に橋本、柴崎もう1列前にポジションを取り、[3-3-1-2-1]のような形に。しかし、シャドーに入ったMF久保建英(ビジャレアル)とMF三好康児(アントワープ)が高い位置を取れなかったため、柴崎の位置が苦しい形に。そして、橋本の脇をパナマに使われるシーンが増えていった。 遠藤は「前半上から見ていて前につければチャンスになるなと。拓実やシャドーは空いてるなと思った」としたが、柴崎は距離が近すぎて使いずらい状況に。そのため「2ボランチは横並びの方がボールを動かしやすいなというイメージだった」と縦関係ではなく、横に並ぶべきだと感じていたことを明かした。 <span class="paragraph-title">◆ピッチ内でスカウティング能力を発揮</span> そう語った遠藤は、ハーフタイムで橋本に代わって登場。すると、すぐさま日本のプレーが激変する。 まず第一に、ブンデスリーガでトップのデュエル勝利数を誇る遠藤の持ち味が発揮。パナマの選手からのボール奪取を行うだけでなく、苦しくなりそうな場面には常に遠藤が顔を出してピンチを未然に防いでいた。 さらにテンポの良さも1つ大きく変化した要因だ。後方からのビルドアップを行う日本だが、最終ラインがボールを持つとペースダウン。ボランチに一度つけても、じっくりと前線やサイドの状況を見て展開していくことが多い。 もちろんその戦い方が悪いわけではなく、遅攻という点では柴崎の展開力や試合を読む力も大いに発揮されるのだが、遠藤が試みたのはテンポをアップさせることだった。 遠藤はパスを供給する時の判断材料として「味方のポジションも見ているんですが、相手がどうプレスをかけるかを特に注意しています」と、相手の守り方に合わせた判断をすると語った。「例えば、3バックのナオ(植田直通)がボールを持った時に、ボールサイドのボランチは掴まれているけど、逆の僕はフリーだたり。相手のポジションを見てプレーすることを意識している」とコメントした。 聞こえがいいということではなく、常にピッチ上で臨機応変に対応することを考えている遠藤。ポイントは、「相手の位置、味方の位置、自分の位置を把握することが大事だと思います」と、全ての立ち位置が決め手となると明かした。 このプレーはブンデスリーガで揉まれていることも大きく関係する。フィジカル的に優れた相手と常日頃対峙する上では、デュエルの強さ=フィジカルの強さだけでなく、判断力に優れていなければ、デュエルで勝つことはできない。遠藤は日々積み上げたものを、最大限ピッチで表現したということだ。 決勝ゴールとなった南野のPKに繋がるプレーでは、遠藤の起点から久保のスルーパスに繋がっていた。久保はこのシーンについて「相手もしっかりプレスに来ていましたが、判断の緩みがあって、遠藤選手から自分が受けたい位置に良いパスが来た」と語っており、遠藤のパスがきっかけだったとコメント。一方の遠藤は、「僕がタケにつけたところは特に難しいことはしていないです」と、普通のプレーだと強調。これも、ブンデスリーガで掴んだ自身が影響していると言えるだろう。 久保は遠藤のプレーについて「球際の強さと、起点のシーンでは早いパスを出してくれたので、一緒にやっていて余裕があると感じた」とコメント。「クラブで結果を出して自信を持ってきていると思うので、自分もそういう自信を吸収したいと思います」と、チームメイトでも自信を感じ取ったようだ。 <span class="paragraph-title">◆ボランチの外せない軸に成長</span> 森保一監督はこの試合の後半から遠藤を使うことは決めていたと試合後にコメント。その効果については「ディフェンスラインから、サイドからボールを受けて起点となり、流れが変わった」と評価。さらに「バランスの部分でもセカンドボールを拾えたり、球際の部分でも全体の良さが出せるようになったと思う」とし、個人の良さだけじゃなく、チーム全体へプラスの効果をもたらせたことを評価した。 日本代表のボランチといえば、長年キャプテンとしてプレーしたMF長谷部誠(フランクフルト)、そして代表最多キャップを誇るMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)が挙げられるだろう。 バランスの取れた2人もメンバーから外れた中、ゲームメーカーとして柴崎がチームを支えてきた。ゲームを読む力で攻守にわたって高い能力を発揮している柴崎だが、ここに来て遠藤がそれを凌駕するパフォーマンスを見せている。 遠藤は「ブンデスでやっていたことが出せたということ」と、日頃のプレーをしただけだとコメントしたが、そこのレベルをしっかりと表現できることは、大きく成長していることの証だろう。 それは、同じブンデスリーガで外国人選手として最多出場、さらに今季のブンデスリーガでは最も長くプレーする選手としてドイツで成長を続けてきた長谷部を思い起こさせる。チームのバランスを取り、攻撃と守備を司る遠藤の力は、日本代表の飛躍には欠かせなくなりそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2020.11.14 15:00 Sat
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奥川雅也の招集見送りに見る、日本代表の危機管理能力の高さ

日本サッカー協会(JFA)は10日、追加招集を発表していたザルツブルクのMF奥川雅也の招集見送りを発表した。 奥川は、5日に発表された当初の日本代表メンバーには含まれていなかったものの、所属するアルミニア・ビーレフェルトが、この時期の代表招集に懸念を示す声明を発表しており、それに応じる形でMF堂安律が不参加。追加招集という形で初招集を受けていた。 京都サンガF.C.の下部組織で育った奥川は、若くして“古都のネイマール”という愛称でも親しまれ、サイドを主戦場とするドリブラーとして大きな注目を集めていた。 世代別の日本代表も経験する中、2015年6月に19歳でザルツブルクへと完全移籍。その後は、武者修行を繰り返しながら成長を果たすと、2019-20シーズンからザルツブルクでプレー。多くの選手がステップアップを果たす中でレギュラーに定着し、結果を残していた。 今季の活躍も踏まえ、大きな期待を受け手の代表招集となったが、チーム合流直前にザルツブルク内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が判明。代表招集を受けていた選手へPCR検査を実施した結果、6名が陽性反応を示し、チームは派遣を辞める旨を発表していた。 その後、全選手を対象としたPCR検査をザルツブルクが実施すると、元々陽性反応を示していた6選手を含めて全員が陰性に。この真逆の結果には「何故、全く同じ検査機関でこのような異なる結果が出されたのかをすぐに調査する」とし、憤りを露わにしていた。 <span class="paragraph-title">◆他の選手やクラブに配慮する日本</span> 陰性がしっかりと確認されたため、奥川の招集は叶う可能性もあったが、前日の時点でJFAの広報も「多分見送りになるだろう」と、結果に関わらず見送る可能性を示唆。そこに、日本代表の新型コロナウイルスに対する考えの慎重さを垣間見た。 結果として、陰性が確認されるも奥川の招集は正式に見送りに。JFAは声明で「「2回の検査結果および行動履歴などを総合的に評価するとともに、既に各クラブから招集している23選手の安全・安心を最優先とする観点から、今回奥川選手の招集を見送る判断をいたしました」と発表し、他の選手への影響を考えて見送る決断をしたとした。 一方で、ザルツブルクは選手の派遣について11名が代表チームに合流することを発表している。 11人が合流するのは、それぞれオーストリア代表、U-21オーストリア代表、ガーナ代表、マリ代表、ザンビア代表、カメルーン代表、ハンガリー代表、U-21ドイツ代表、U-21スイス代表の9チーム。それらの国は、陰性ということで選手を受け入れることを認めたということだ。 周りの選手へ配慮し、ただでさえ感染が再拡大しているヨーロッパでの活動を慎重に行う日本と、その他の国の考え方の違いを感じる一幕。いかに、JFAが最善の感染対策を実施しているかが垣間見える出来事となった。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2020.11.12 12:15 Thu
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