コパ・アメリカで明確化された課題、現実から目を離さずに成長の糧とできるか/日本代表コラム
2019.06.27 15:00 Thu
勝てばベスト8進出となるベネズエラ代表戦で、1-1のドローに終わった日本代表。これにより、2度目のコパ・アメリカは2分け1敗となり敗退が決定した。
招待国としてカタール代表とともに出場した日本だったが、1999年大会と同様に1勝もできずに去ることとなった。この20年で多くの成長が見られ、日本サッカーは発展を繰り返してきたが、足りないものは今大会でも改めて明確となった。
◆永遠の課題「決定力」
今大会、多くの注目は18歳の久保建英(レアル・マドリー)に注がれたはずだ。大会直前に古巣のバルセロナではなく、最大のライバルにあたるレアル・マドリー(Bチーム登録)入りが決定したことで、日本だけでなく、世界からの視線を集めた。その久保は、初戦のチリ代表戦でも違いを見せるプレーを披露し、各国メディアでも称賛を受けていた。
もちろん、チームが0-4で敗戦したこともあり、最大の評価はされないものの、随所に見せるプレーレベルの高さは、世界も認めるほど。レアル・マドリー行きが“まぐれ”ではないことを、世界にも知らしめることとなった。
その中で、大きな注目を集めることとなった選手がもう1人いる。それが、唯一の大学生メンバーであるFW上田綺世(法政大学)だ。コパ・アメリカの舞台で代表初キャップを記録した上田は、持ち前のポジショニングの良さや抜け出しのうまさ、相手DFとの駆け引きなど、ストロングポイントをいきなり発揮する。しかし、何度となく迎えた決定機を全て失敗。特に、シュートが枠に飛ばないことが続き、流れを引き寄せられなかった要因となってしまった。
1-1で迎えた後半、ウルグアイ戦同様に上田は途中出場する。すると、この試合でも決定機が訪れる。しかし、ここでもシュートが枠に飛ばず。後半アディショナルタイムには、途中出場のFW前田大然(松本山雅FC)がスルーパスを受けて決定的なシーンを作るも、シュートをうまく打てず。こぼれ球を拾った上田は、ボックス内からシュートを放つも、枠の遥か彼方へとボールは飛んでいった。
グループステージ3試合に途中出場を含めて全試合に出場した上田。大会のスタッツでは、「最もチャンスでミスをした選手」として上田がワースト記録を叩き出している。本人も当然感じてはいることだろうが、明らかな決定機で、シュートが枠に飛ばなかったのはストライカーとしては残念でならない。
以前のコラムでも指摘したように、シュートまでのプレーに関しては、チリ、ウルグアイ、そしてエクアドルと、どの国のディフェンダーに対しても一定のプレーを見せた。決定機を作れたということは、上田の特徴が通用しているということでもある。ただ、「決定力」が決定的に足りないことが明確になった。
この「決定力」とは、日本サッカー界の永遠の課題とも言えるもの。シュートが枠に飛ばなければ、ゴールのチャンスはほぼゼロだ。どれだけ華麗に崩しても、どれだけ相手選手の裏を突いても、どれだけGKとの一対一のシーンを作ろうとも、シュートが枠に行かなければ、ゴールは生まれないのだ。
長い期間、この「決定力不足」が事あるごとにフォーカスされてきたが、今大会ほど明確に足りていないことを痛感したことはないかもしれない。これは上田に限ったことではなく、日本の多くのストライカーに言えること。少ないチャンスを決め切る南米のストライカーとの差は痛感したはずだ。上田は、鍛え方次第ではまだまだ上手くなる伸び代があるだけに、一刻も早く高いレベル、“プロ”の世界で揉まれることをオススメしたい。“シュート”以外の部分が十分通用するだけに、足りない部分をしっかりと伸ばしてもらいたい。
◆動じないメンタルと正確な判断
そして、南米3カ国と本気で戦ったことで浮き彫りとなったのは、ブレないメンタルと早く正確な判断力の不足だ。
初戦のチリ戦でボランチに入ったMF中山雄太(ズヴォレ)、ウルグアイ戦とベネズエラ戦でボランチに入ったDF板倉滉(フローニンヘン)の2人がMF柴崎岳(ヘタフェ)の相棒を務めた。
中山は初戦のチリ戦で久々にボランチでプレー。試合勘のなさを露呈すると、相手の狙い所となってしまい、本人も立ち位置を見失ってしまった。柴崎がプレスをかけているタイミングで、同じようにプレスに出てポジションを空けてカウンターの餌食になったり、攻撃面でもパスミスが散見され、完全に相手に飲まれてしまった印象だ。競り合いでも狙い所となるなど、世界のレベルを突き付けられてしまった。
板倉もウルグアイ戦では立ち上がりにルーズな対応をしたことで、ルイス・スアレス(バルセロナ)にあわやのロングシュートを放たれてしまった。それに物怖じしたのか、積極的なプレーに出ることがなかなかできず、後半途中まで低調なパフォーマンスに終始した。後半は徐々に持ち味を出したが、積極性という点では苦しい試合となっただろう。
この2人はクラブチームでの出場機会が少なく、試合勘がなかったことも要因ではある。しかし、一度相手によって崩され、ペースを作られたことで、積極的なプレーを選択できなくなり、特徴を出すまでに至らなかったのだ。失点することもミスすることもピッチ上では誰しもが起こす可能性がある。しかし、相手にその隙を与えているようでは、特に南米勢はしたたかにそこを突き、とどめを刺しにくる。中山、板倉が狙い所をなっていたことは、本人たちも気付いているはずだ。
そして、判断力といえば、光るプレーも見せていたMF中島翔哉(アル・ドゥハイル)にも言えることだ。プレースピードに判断が追いついていない印象を持った。中島の特徴はドリブルであることは日本人はおろか、スカウティングした相手チームも知っていること。持ち味であり、相手をかわして強烈なシュートを放つというのが1つの形ではあるが、今大会では独善的なプレーも散見された。
アジアでの戦いであれば、中島が1人で試合を決定づけることも可能だろう。また、キリンチャレンジカップのようなホームでのフレンドリーマッチであっても、その力は発揮できるはずだ。しかし、本気の南米相手には、要所では効果的であったものの、簡単にボールをロストし、逆襲を喰らうシーンが何度も見られた。
もちろん、周りの選手のポジショニングや動き出しのタイミングなど、要因は多岐にわたるものの、その判断の誤りが散見されたからこそ、同サイドで3試合連続フル出場を果たしたDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)は高い位置を取る回数を減らし、後ろ重心で戦うこととなっていた。日本の左サイドはチリ戦から狙われ続け、杉岡としては攻撃参加したいタイミングでも、積極的に前にポジションを取ることはできなかったのかもしれない。
ピッチ上でボールを持ちながら正確な判断に基づいてプレーできるかどうか。今大会の印象で言えば、中島からは若干の危うさを感じ、久保からは将来への期待感を抱くこととなった。個人技という特長は最大限に活かし続けること、またストロングポイントを伸ばすことは当然大事ではあるが、勝利という目的を達成するためには、味方を使うプレー、相手が嫌がるプレーを選択できるかどうかが、今後に向けては重要になるだろう。
◆勝利なしという現実
忘れてはいけないのが、今大会では「勝利」を挙げられていないということだ。善戦したことがフォーカスされるが、この点から目を逸らしてはいけない。
東京オリンピック世代が中心ということは少なからず影響はあるものの、A代表としてコパ・アメリカに参加していることも事実。初戦のチリ戦こそ0-4で大敗したが、続くウルグアイ戦は終始リードしながら2-2のドロー。エクアドル戦も先制しながら追いつかれて1-1のドローに終わった。経験の少ない若い選手たちが中心のチームと考えれば、2分け1敗という結果は「よくやった」と言ってもいいのかもしれない。しかし、2度リードを追いつかれたこと、先制して追いつかれ、決定機を生かせずに引き分けたことを考えると、勝ちゲームを2つ落としているとも捉えられる。つまり、勝利を手放してしまったという事実がそこにはある。
「タラレバ」が存在しないことは百も承知だが、「あのシュートが決まっていれば」というシーンがあることも明白。そこまで相手を追い込んでいながら、決め切れないという“実力不足”が原因であるということを忘れてはいけない。よくやった、惜しかったというレベルを超えていく必要がある。
この問題から目を逸らしていれば、ロシア・ワールドカップのラウンド16・ベルギー代表戦で味わった悔しさを、今後晴らすことはできないかもしれない。本気の南米勢とはワールドカップで当たる可能性は高く、この大会で経験したことをどこまで繋げるのか。現実から目を逸らさず、課題をしっかりと、いかに克服していくかで、今大会の評価は決まるだろう。勝利に向けた南米勢のメンタルの強さ、チームとしてのベクトルを感じられたことがプラスに働いて欲しいものだ。
◆“チャレンジ”と“成長”
結果という意味では、「実力が足りていない」という現実を見せられたが、局面では相手を脅かすシーンがいくつもあった。A代表を送り込まないことで少なからず批判もあった日本代表だが、ウルグアイ、エクアドルとの戦いを見れば、批判が見当違いであったこともわかるはずだ。「よく戦えた」レベルまではいっている。あとは、永遠の課題でもある「どう勝つか」だ。
経験、成長という点では、前述の通り上田を始め、多くの選手には大きな糧にしてもらいたい。どこでどのように技術を磨くかはわからないが、必ず日の丸を再び背負うことになるはずだ。そして久保も自身では良いプレーを見せることができたが、結果に繋がらなかったことを考えると悔しさが残っているはずだ。レアル・マドリーという世界最高峰のクラブでどのようなプレーを見せるのか。トップチームデビューを果たせない逸材がたくさんいるものの、久保がピッチに立つ日が来ることを待ちたい。
その他にも、通用した部分、しなかった部分、反省すべき部分、ポジティブに捉える部分と今回のコパ・アメリカ参戦によって多くの気付きがあったはずだ。選手はもちろんのこと、森保一監督以下スタッフたちが、この経験を次のステージでしっかりと発揮できれば、今大会の狙いは成功だったと言えるだろう。
9月からはカタール・ワールドカップのアジア予選が始まる。今回の“チャレンジ”と“成長”がこの先の個人の成功に繋がるならば、このメンバーから何人かが再び日本代表に呼ばれるはずだ。激しい競争はまだ始まったばかりだ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
招待国としてカタール代表とともに出場した日本だったが、1999年大会と同様に1勝もできずに去ることとなった。この20年で多くの成長が見られ、日本サッカーは発展を繰り返してきたが、足りないものは今大会でも改めて明確となった。
◆永遠の課題「決定力」

Getty Images
今大会、多くの注目は18歳の久保建英(レアル・マドリー)に注がれたはずだ。大会直前に古巣のバルセロナではなく、最大のライバルにあたるレアル・マドリー(Bチーム登録)入りが決定したことで、日本だけでなく、世界からの視線を集めた。その久保は、初戦のチリ代表戦でも違いを見せるプレーを披露し、各国メディアでも称賛を受けていた。
その中で、大きな注目を集めることとなった選手がもう1人いる。それが、唯一の大学生メンバーであるFW上田綺世(法政大学)だ。コパ・アメリカの舞台で代表初キャップを記録した上田は、持ち前のポジショニングの良さや抜け出しのうまさ、相手DFとの駆け引きなど、ストロングポイントをいきなり発揮する。しかし、何度となく迎えた決定機を全て失敗。特に、シュートが枠に飛ばないことが続き、流れを引き寄せられなかった要因となってしまった。
続くウルグアイ代表戦ではベンチに座ることとなったが、途中出場を果たす。グループ最終戦のエクアドル代表戦もベンチスタートとなった。
1-1で迎えた後半、ウルグアイ戦同様に上田は途中出場する。すると、この試合でも決定機が訪れる。しかし、ここでもシュートが枠に飛ばず。後半アディショナルタイムには、途中出場のFW前田大然(松本山雅FC)がスルーパスを受けて決定的なシーンを作るも、シュートをうまく打てず。こぼれ球を拾った上田は、ボックス内からシュートを放つも、枠の遥か彼方へとボールは飛んでいった。
グループステージ3試合に途中出場を含めて全試合に出場した上田。大会のスタッツでは、「最もチャンスでミスをした選手」として上田がワースト記録を叩き出している。本人も当然感じてはいることだろうが、明らかな決定機で、シュートが枠に飛ばなかったのはストライカーとしては残念でならない。
以前のコラムでも指摘したように、シュートまでのプレーに関しては、チリ、ウルグアイ、そしてエクアドルと、どの国のディフェンダーに対しても一定のプレーを見せた。決定機を作れたということは、上田の特徴が通用しているということでもある。ただ、「決定力」が決定的に足りないことが明確になった。
この「決定力」とは、日本サッカー界の永遠の課題とも言えるもの。シュートが枠に飛ばなければ、ゴールのチャンスはほぼゼロだ。どれだけ華麗に崩しても、どれだけ相手選手の裏を突いても、どれだけGKとの一対一のシーンを作ろうとも、シュートが枠に行かなければ、ゴールは生まれないのだ。
長い期間、この「決定力不足」が事あるごとにフォーカスされてきたが、今大会ほど明確に足りていないことを痛感したことはないかもしれない。これは上田に限ったことではなく、日本の多くのストライカーに言えること。少ないチャンスを決め切る南米のストライカーとの差は痛感したはずだ。上田は、鍛え方次第ではまだまだ上手くなる伸び代があるだけに、一刻も早く高いレベル、“プロ”の世界で揉まれることをオススメしたい。“シュート”以外の部分が十分通用するだけに、足りない部分をしっかりと伸ばしてもらいたい。
◆動じないメンタルと正確な判断

Getty Images
そして、南米3カ国と本気で戦ったことで浮き彫りとなったのは、ブレないメンタルと早く正確な判断力の不足だ。
初戦のチリ戦でボランチに入ったMF中山雄太(ズヴォレ)、ウルグアイ戦とベネズエラ戦でボランチに入ったDF板倉滉(フローニンヘン)の2人がMF柴崎岳(ヘタフェ)の相棒を務めた。
中山は初戦のチリ戦で久々にボランチでプレー。試合勘のなさを露呈すると、相手の狙い所となってしまい、本人も立ち位置を見失ってしまった。柴崎がプレスをかけているタイミングで、同じようにプレスに出てポジションを空けてカウンターの餌食になったり、攻撃面でもパスミスが散見され、完全に相手に飲まれてしまった印象だ。競り合いでも狙い所となるなど、世界のレベルを突き付けられてしまった。
板倉もウルグアイ戦では立ち上がりにルーズな対応をしたことで、ルイス・スアレス(バルセロナ)にあわやのロングシュートを放たれてしまった。それに物怖じしたのか、積極的なプレーに出ることがなかなかできず、後半途中まで低調なパフォーマンスに終始した。後半は徐々に持ち味を出したが、積極性という点では苦しい試合となっただろう。
この2人はクラブチームでの出場機会が少なく、試合勘がなかったことも要因ではある。しかし、一度相手によって崩され、ペースを作られたことで、積極的なプレーを選択できなくなり、特徴を出すまでに至らなかったのだ。失点することもミスすることもピッチ上では誰しもが起こす可能性がある。しかし、相手にその隙を与えているようでは、特に南米勢はしたたかにそこを突き、とどめを刺しにくる。中山、板倉が狙い所をなっていたことは、本人たちも気付いているはずだ。
そして、判断力といえば、光るプレーも見せていたMF中島翔哉(アル・ドゥハイル)にも言えることだ。プレースピードに判断が追いついていない印象を持った。中島の特徴はドリブルであることは日本人はおろか、スカウティングした相手チームも知っていること。持ち味であり、相手をかわして強烈なシュートを放つというのが1つの形ではあるが、今大会では独善的なプレーも散見された。
アジアでの戦いであれば、中島が1人で試合を決定づけることも可能だろう。また、キリンチャレンジカップのようなホームでのフレンドリーマッチであっても、その力は発揮できるはずだ。しかし、本気の南米相手には、要所では効果的であったものの、簡単にボールをロストし、逆襲を喰らうシーンが何度も見られた。
もちろん、周りの選手のポジショニングや動き出しのタイミングなど、要因は多岐にわたるものの、その判断の誤りが散見されたからこそ、同サイドで3試合連続フル出場を果たしたDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)は高い位置を取る回数を減らし、後ろ重心で戦うこととなっていた。日本の左サイドはチリ戦から狙われ続け、杉岡としては攻撃参加したいタイミングでも、積極的に前にポジションを取ることはできなかったのかもしれない。
ピッチ上でボールを持ちながら正確な判断に基づいてプレーできるかどうか。今大会の印象で言えば、中島からは若干の危うさを感じ、久保からは将来への期待感を抱くこととなった。個人技という特長は最大限に活かし続けること、またストロングポイントを伸ばすことは当然大事ではあるが、勝利という目的を達成するためには、味方を使うプレー、相手が嫌がるプレーを選択できるかどうかが、今後に向けては重要になるだろう。
◆勝利なしという現実

Getty Images
忘れてはいけないのが、今大会では「勝利」を挙げられていないということだ。善戦したことがフォーカスされるが、この点から目を逸らしてはいけない。
東京オリンピック世代が中心ということは少なからず影響はあるものの、A代表としてコパ・アメリカに参加していることも事実。初戦のチリ戦こそ0-4で大敗したが、続くウルグアイ戦は終始リードしながら2-2のドロー。エクアドル戦も先制しながら追いつかれて1-1のドローに終わった。経験の少ない若い選手たちが中心のチームと考えれば、2分け1敗という結果は「よくやった」と言ってもいいのかもしれない。しかし、2度リードを追いつかれたこと、先制して追いつかれ、決定機を生かせずに引き分けたことを考えると、勝ちゲームを2つ落としているとも捉えられる。つまり、勝利を手放してしまったという事実がそこにはある。
「タラレバ」が存在しないことは百も承知だが、「あのシュートが決まっていれば」というシーンがあることも明白。そこまで相手を追い込んでいながら、決め切れないという“実力不足”が原因であるということを忘れてはいけない。よくやった、惜しかったというレベルを超えていく必要がある。
この問題から目を逸らしていれば、ロシア・ワールドカップのラウンド16・ベルギー代表戦で味わった悔しさを、今後晴らすことはできないかもしれない。本気の南米勢とはワールドカップで当たる可能性は高く、この大会で経験したことをどこまで繋げるのか。現実から目を逸らさず、課題をしっかりと、いかに克服していくかで、今大会の評価は決まるだろう。勝利に向けた南米勢のメンタルの強さ、チームとしてのベクトルを感じられたことがプラスに働いて欲しいものだ。
◆“チャレンジ”と“成長”

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ネガティブな側面ばかりを書き連ねてきたが、この大会の目的を思い起こせば、ポジティブな面も大いにある。結果という意味では、「実力が足りていない」という現実を見せられたが、局面では相手を脅かすシーンがいくつもあった。A代表を送り込まないことで少なからず批判もあった日本代表だが、ウルグアイ、エクアドルとの戦いを見れば、批判が見当違いであったこともわかるはずだ。「よく戦えた」レベルまではいっている。あとは、永遠の課題でもある「どう勝つか」だ。
経験、成長という点では、前述の通り上田を始め、多くの選手には大きな糧にしてもらいたい。どこでどのように技術を磨くかはわからないが、必ず日の丸を再び背負うことになるはずだ。そして久保も自身では良いプレーを見せることができたが、結果に繋がらなかったことを考えると悔しさが残っているはずだ。レアル・マドリーという世界最高峰のクラブでどのようなプレーを見せるのか。トップチームデビューを果たせない逸材がたくさんいるものの、久保がピッチに立つ日が来ることを待ちたい。
その他にも、通用した部分、しなかった部分、反省すべき部分、ポジティブに捉える部分と今回のコパ・アメリカ参戦によって多くの気付きがあったはずだ。選手はもちろんのこと、森保一監督以下スタッフたちが、この経験を次のステージでしっかりと発揮できれば、今大会の狙いは成功だったと言えるだろう。
9月からはカタール・ワールドカップのアジア予選が始まる。今回の“チャレンジ”と“成長”がこの先の個人の成功に繋がるならば、このメンバーから何人かが再び日本代表に呼ばれるはずだ。激しい競争はまだ始まったばかりだ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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「なんて可愛いんだ」「素晴らしいコンビ」PSGのウルグアイ代表MF、日本代表ユニフォームを笑顔で着用して話題に
パリ・サンジェルマン(PSG)のウルグアイ代表MFが日本代表ユニフォームを着用して話題となっている。 日本代表ユニフォームを着用していたのはPSGのMFマヌエル・ウガルテ。2022-23シーズンまでスポルティングCPでプレーしており、今シーズンからPSGに加入。中盤を支え、リーグ・アンでは22試合で3アシストを記録している。 ポルトガル『SportTV』のインスタグラムがウガルテの写真をアップ、そこには背番号「13」の日本代表ユニフォームを笑顔で着用する姿が。それはスポルティングCPの日本代表MF守田英正のユニフォームだった。 ウガルテと守田は、2022-23シーズンはチームメイト。スポルティングの中盤を2人で支えており、名コンビとして注目されていた。 また、ウルグアイ代表としてプレーするウガルテは、2023年3月に来日し、日本代表と対戦。守田と共にスタートからピッチに立ち、対戦していた。 『SportTV』は「スポルティングの中盤のウガルテと守田が懐かしいですか?」と投稿。ファンは「なんて可愛いんだ」、「2人は恋人のような仲だった」、「素晴らしいコンビだった」とコメントが集まり、守田も投稿にいいねを送っている。 <span class="paragraph-title">【写真】笑顔で日本代表のユニフォームを着用するウルグアイ代表MF</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="instagram-media" data-instgrm-captioned data-instgrm-permalink="https://www.instagram.com/p/C5icoShtWEr/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading" data-instgrm-version="14" style=" background:#FFF; border:0; border-radius:3px; box-shadow:0 0 1px 0 rgba(0,0,0,0.5),0 1px 10px 0 rgba(0,0,0,0.15); margin: 1px; max-width:540px; min-width:326px; padding:0; width:99.375%; width:-webkit-calc(100% - 2px); width:calc(100% - 2px);"><div style="padding:16px;"> <a href="https://www.instagram.com/p/C5icoShtWEr/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading" style=" background:#FFFFFF; line-height:0; padding:0 0; text-align:center; text-decoration:none; width:100%;" target="_blank"> <div style=" display: flex; flex-direction: row; align-items: center;"> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 40px; margin-right: 14px; width: 40px;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: column; flex-grow: 1; justify-content: center;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; margin-bottom: 6px; width: 100px;"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; width: 60px;"></div></div></div><div style="padding: 19% 0;"></div> <div style="display:block; height:50px; margin:0 auto 12px; width:50px;"><svg width="50px" height="50px" viewBox="0 0 60 60" version="1.1" xmlns="https://www.w3.org/2000/svg" xmlns:xlink="https://www.w3.org/1999/xlink"><g stroke="none" stroke-width="1" fill="none" fill-rule="evenodd"><g transform="translate(-511.000000, -20.000000)" fill="#000000"><g><path d="M556.869,30.41 C554.814,30.41 553.148,32.076 553.148,34.131 C553.148,36.186 554.814,37.852 556.869,37.852 C558.924,37.852 560.59,36.186 560.59,34.131 C560.59,32.076 558.924,30.41 556.869,30.41 M541,60.657 C535.114,60.657 530.342,55.887 530.342,50 C530.342,44.114 535.114,39.342 541,39.342 C546.887,39.342 551.658,44.114 551.658,50 C551.658,55.887 546.887,60.657 541,60.657 M541,33.886 C532.1,33.886 524.886,41.1 524.886,50 C524.886,58.899 532.1,66.113 541,66.113 C549.9,66.113 557.115,58.899 557.115,50 C557.115,41.1 549.9,33.886 541,33.886 M565.378,62.101 C565.244,65.022 564.756,66.606 564.346,67.663 C563.803,69.06 563.154,70.057 562.106,71.106 C561.058,72.155 560.06,72.803 558.662,73.347 C557.607,73.757 556.021,74.244 553.102,74.378 C549.944,74.521 548.997,74.552 541,74.552 C533.003,74.552 532.056,74.521 528.898,74.378 C525.979,74.244 524.393,73.757 523.338,73.347 C521.94,72.803 520.942,72.155 519.894,71.106 C518.846,70.057 518.197,69.06 517.654,67.663 C517.244,66.606 516.755,65.022 516.623,62.101 C516.479,58.943 516.448,57.996 516.448,50 C516.448,42.003 516.479,41.056 516.623,37.899 C516.755,34.978 517.244,33.391 517.654,32.338 C518.197,30.938 518.846,29.942 519.894,28.894 C520.942,27.846 521.94,27.196 523.338,26.654 C524.393,26.244 525.979,25.756 528.898,25.623 C532.057,25.479 533.004,25.448 541,25.448 C548.997,25.448 549.943,25.479 553.102,25.623 C556.021,25.756 557.607,26.244 558.662,26.654 C560.06,27.196 561.058,27.846 562.106,28.894 C563.154,29.942 563.803,30.938 564.346,32.338 C564.756,33.391 565.244,34.978 565.378,37.899 C565.522,41.056 565.552,42.003 565.552,50 C565.552,57.996 565.522,58.943 565.378,62.101 M570.82,37.631 C570.674,34.438 570.167,32.258 569.425,30.349 C568.659,28.377 567.633,26.702 565.965,25.035 C564.297,23.368 562.623,22.342 560.652,21.575 C558.743,20.834 556.562,20.326 553.369,20.18 C550.169,20.033 549.148,20 541,20 C532.853,20 531.831,20.033 528.631,20.18 C525.438,20.326 523.257,20.834 521.349,21.575 C519.376,22.342 517.703,23.368 516.035,25.035 C514.368,26.702 513.342,28.377 512.574,30.349 C511.834,32.258 511.326,34.438 511.181,37.631 C511.035,40.831 511,41.851 511,50 C511,58.147 511.035,59.17 511.181,62.369 C511.326,65.562 511.834,67.743 512.574,69.651 C513.342,71.625 514.368,73.296 516.035,74.965 C517.703,76.634 519.376,77.658 521.349,78.425 C523.257,79.167 525.438,79.673 528.631,79.82 C531.831,79.965 532.853,80.001 541,80.001 C549.148,80.001 550.169,79.965 553.369,79.82 C556.562,79.673 558.743,79.167 560.652,78.425 C562.623,77.658 564.297,76.634 565.965,74.965 C567.633,73.296 568.659,71.625 569.425,69.651 C570.167,67.743 570.674,65.562 570.82,62.369 C570.966,59.17 571,58.147 571,50 C571,41.851 570.966,40.831 570.82,37.631"></path></g></g></g></svg></div><div style="padding-top: 8px;"> <div style=" color:#3897f0; 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overflow:hidden; padding:8px 0 7px; text-align:center; text-overflow:ellipsis; white-space:nowrap;"><a href="https://www.instagram.com/p/C5icoShtWEr/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading" style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px; text-decoration:none;" target="_blank">sport tv(@sporttvportugal)がシェアした投稿</a></p></div></blockquote> <script async src="//www.instagram.com/embed.js"></script> 2024.04.11 00:01 Thu2
【選手評】ハリルホジッチ監督、招集メンバー26名へ期待と要求…初招集FW中島翔哉は「日本になかなかいない選手」《キリンチャレンジカップ》
▽日本サッカー協会(JFA)は15日、国際親善試合及びキリンチャレンジカップ 2018 in EUROPEに臨む同国代表メンバー26名を発表した。 ▽メンバー発表会見に出席した日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、今回の選考基準を説明。代表復帰となったDF森重真人(FC東京)やFW本田圭佑(パチューカ/メキシコ)への期待や初選出となったFW中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)の招集理由についても明かした。 GK 川島永嗣(メス/フランス) 中村航輔(柏レイソル) 東口順昭(ガンバ大阪) 「GKは3人。ただ、現段階のパフォーマンスに満足している訳ではない。もっともっと向上して欲しい。」 DF 酒井宏樹(マルセイユ/フランス) 遠藤航(浦和レッズ) 「酒井は日本人選手の中では、定期的に高いパフォーマンスを継続している。ここ最近調子も良い。遠藤は昨日のルヴァンカップで少し問題が出た。今検査をしている段階と聞いている。ただ、バックアップはすでに用意している。何が起きても問題はない」 DF 長友佑都(ガラタサライ/トルコ) 車屋紳太郎(川崎フロンターレ) 宇賀神友弥(浦和レッズ) 「次に左サイド。長友はクラブを変えたにも関わらず、定期的に試合に出場していて嬉しい。彼の存在は日本代表に必要不可欠だ。車屋と宇賀神の戦いは、これから始まる。合宿を多くこなしている訳ではないが、右サイドでもいけるのかというのも見極めなくてはいけない。どこまでついて行けるかをこれから見ていく」 DF 昌子源(鹿島アントラーズ) 植田直通(鹿島アントラーズ) 槙野智章(浦和レッズ) 森重真人(FC東京) 「それから真ん中。最初の3人(昌子、植田、槙野)はもっとできると思っている。そして、森重をなぜ呼んだか。まだ彼は準備できている段階ではない。すぐに使う訳でもない。ただ、彼がどのような状況になっているかを知りたい。励ますためにも呼んでいる。彼が以前のレベルに戻るかどうか。もちろん(吉田)麻也がいないということもある。彼の経験が我々にとってどこまで使えるかというのもある。ただ、まだまだトップパフォーマンスには程遠い。モチベーションを上げる努力をしていかなくてはいけない。早くレベルを戻してほしい」 MF 長谷部誠(フランクフルト/ドイツ) 三竿健斗(鹿島アントラーズ) 山口蛍(セレッソ大阪) 「長谷部は真ん中もできれば後ろもできる。本会までにケガなくいってほしい。三竿は、良いパフォーマンスを続けている。(山口)蛍は、常に呼んでいる選手だが、守備だけで終わるのではなく攻撃のところでもっと野心を持ってほしい。代表では良いパフォーマンスを見せている。イラク戦では我々を助けてくれた選手の1人だ」 MF 大島僚太(川崎フロンターレ) 柴崎岳(ヘタフェ/スペイン) 森岡亮太(アンデルレヒト/ベルギー) 「大島は国内でも優秀な選手の1人。彼もよくケガをするが、我々もしっかりとコンタクトをとって、そこを脱して良い状況が続いていると思う。(柴崎)岳と森岡は、(香川)真司と清武が居ないこともあり、10番や8番のタイプとして期待している。柴崎は、クラブで毎回先発という訳ではないが、レベルが上がってきていると思う。森岡はすでに2、3回観ているが、フィジカル的なところやデュエルの部分でまだ伸びると思う。ゴール数やアシスト数はリーグでも断トツ。ただ、ゲームのアクションの中でまだまだ伸びる部分はあると思う」 FW 久保裕也(ヘント/ベルギー) 本田圭佑(パチューカ/メキシコ) 「久保もまだまだ私の満足いくパフォーマンスではない。それから(本田)圭佑は、このチャンスを是非とも掴んでほしい」 FW 原口元気(デュッセルドルフ/ドイツ) 宇佐美貴史(デュッセルドルフ/ドイツ) 中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル) 「原口と宇佐美は、同じクラブでプレーしている。ここ直近の数試合で宇佐美は、しっかりと伸びている状況。ある時期はチームで干されるかもしれない状況だったが、今は出ている。原口も同じだ」 「それから長い間追跡している中島。本当にたくさん試合に出場していて、得点やアシストもしている。ドリブラーでここまで俊敏で爆発的なものを持っている選手は日本になかなかいない。前回のオリンピック代表の監督であったテグ(手倉森誠)さんともしっかりと話をして、オフェンス面で何かもたらせるのではないかという判断。ただ、守備面では代表で私が求めるレベルではない。様子を見たい」 FW 小林悠(川崎フロンターレ) 杉本健勇(セレッソ大阪) 大迫勇也(ケルン/ドイツ) 「最初の2人はここ最近で本当に伸びてきている。オフェンス面で日本で素晴らしい結果を出している。彼も自分たちのプレーの仕方を変えて伸びてきている。真ん中の選手として、アグレッシブに背後、そしてペナルティエリア内で存在感を出している。それから相手の最終ラインからの組み立てを最初に防ぐ仕事もしている。我々が観たここ数試合でも良いパフォーマンスだった。これを続けてくれと言いたい」 「大迫は、クラブで真ん中でなく、横や後ろでもプレーしているが、良くなってきている。代表ではクラブとは全く違うアクションをしてほしい。常に背負った状態でプレーするのではなく、ゴールに向いてプレーして欲しい。この3人は素晴らしいヘディングを持っている。W杯本大会でもこれが重要になってくる。もちろんFKを貰えればの話。守備でもしっかりと守らなくてはいけない。大事になってくる。W杯ではFKが決定的な状況を作ることもある」 ▽なお、日本代表は、3月のベルギー遠征で2試合の国際親善試合を予定。ロシアW杯に向けた選手見極めとチーム強化のため、マリ代表(23日/ベルギー)、ウクライナ代表(27日/同)と対戦する。 2018.03.15 19:50 Thu3
森保監督続投で歴代最長監督はというと…/六川亨の日本サッカーの歩み
まだ正式決定ではないが、森保一監督の『2年間の』続投が決まったようだ。正式には来年のJFA(日本サッカー協会)理事会での承認待ちになる。その頃にはコーチ陣などのスタッフの詳細も決定しているだろう。 93年のJリーグ誕生以降、日本代表の監督は基本的にW杯の4年サイクルで交代してきた。例外は94年のアジア大会で韓国に敗れたロベルト・ファルカン氏、97年のアウェー中央アジア2連戦で更迭された加茂周氏、07年に病に倒れたイヴィチャ・オシム氏、15年に契約解除されたハビエル・アギーレ氏、そして18年に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ氏の5人しかいない。 そうした過去30年の歴史のなかで、初めて『続投』が決定的となったのが森保監督である。目標としていた「ベスト8」には届かなかったものの、大国ドイツとスペインに逆転勝ちを収めたことが高く評価されたことは言うまでもない。 そこで過去の歴代監督の任期を振り返ると、上には上がいるもので、長沼健氏(元JFA会長)は1962年から69年までの7年間と、さらに72年から76年までの4年間、トータル11年間も日本代表の監督を務めた。「時代が違う」と言ってしまえばそれまでだが、おそらく2度と破られることのない記録と言っていいだろう。 長沼氏が“長期政権"を担うことになったのには理由がある。64年に東京五輪があったからだ。このため62年に33歳の若さで監督に抜擢された。そして東京五輪ではグループリーグでアルゼンチンを倒して決勝トーナメントに進出。準々決勝で銀メダルに輝いたチェコスロバキアに0-4で敗れたが、ベスト8進出で日本に“第1次サッカーブーム"を巻き起こした。 さらに4年後のメキシコ五輪では、アジア勢初となる銅メダル獲得の快挙を達成。その再現を半世紀後の21年東京五輪で森保監督は期待されたが、残念ながらメダルにはあと一歩届かなかった。 長沼氏は69年のメキシコW杯アジア1次予選で、韓国とオーストラリアの後塵を拝したことで監督の座をコーチだった岡野俊一郎氏(元JFA会長)に譲る。しかし岡野氏が71年のミュンヘン五輪予選で韓国とマレーシアに負けたことで、日本サッカーの復権は再び長沼氏に託されることになった。 ところが73年の西ドイツW杯アジア予選はイスラエル(当時はアジアに所属し、中東勢が対戦を拒否したため予選は東アジアに組み込まれた)とマレーシアに敗れ、76年のモントリオール五輪アジア予選も韓国とイスラエルに敗れて監督から退くことになった。 当時の日本サッカーは、「W杯予選は負けても当たり前」であり、五輪予選で敗退するたびに監督は交代していた。Jリーグ開幕以前では、92年のバルセロナ五輪アジア最終予選で敗れた横山謙三総監督、88年ソウル五輪アジア最終予選で中国に逆転負けを喫した石井義信氏(故人)、80年モスクワ五輪アジア予選で韓国とマレーシアに及ばなかった下村幸男氏らである。 しかし96年のアトランタ五輪に28年ぶりに出場して以来、五輪出場は7大会連続して出場。その間には12年ロンドン五輪と21年東京五輪ではメダルまであと一歩に迫った。もう五輪は出場するのは当たり前で、次の24年パリ五輪は「メダル獲得」がノルマになるだろう。 同じようにW杯も98年以降7大会連続して出場中で、さらに2026年のアメリカ・カナダ・メキシコ大会は出場国が48に増えるため、出場権を失うことはまず考えられない。森保監督にとっては「ベスト8」への再チャレンジになるが、その前に横内昭展ヘッドコーチは磐田の監督に、上野優作コーチはFC岐阜の監督に転身するなどスタッフの陣容は一新せざるを得ない。 果たして新たなスタッフの顔ぶれはどうなるのか。そこに外国人コーチが入るのかどうかなどは楽しみなところ。 そして森保監督は、23年こそ秋まで親善試合しかない“静かな"一年になるものの、21年東京五輪は「金メダル」を目標に掲げながらも4位に終わり、カタールW杯も「ベスト8」が目標だったがラウンド16で敗退した。このため、まだ先の話ではあるが、24年のアジアカップでは『優勝』がW杯まで続投するためのノルマにすべきではないだろうか。 2022.12.26 22:00 Mon4
21世紀の出場試合数ランキング発表! 首位は1145試合のC・ロナウド、トップ10に日本人選手がランクイン
IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)が、21世紀で最もプレーした選手のランキングを発表。トップ10には日本人選手もランクインした。 様々な統計を行うIFFHS。2022年までのデータを集計し、21世紀に入ってからのプレーした試合数をもとにランキングを作成した。 対象となるのは、各国のリーグ戦やカップ戦、国際カップ戦、代表チームの試合も含まれ、全ての公式戦が対象になっている。 今回の統計では1000試合以上プレーした選手が3人に増加。首位は昨年と変わらず、サウジアラビアへ活躍の場を移したポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)となり、1145試合を記録した。 2022年に1000試合を突破したのは、ブラジル代表DFダニエウ・アウベス(UNAMプーマス)とアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)。アウベスは1033試合、メッシは1003試合となった。メッシはカタール・ワールドカップ(W杯)での試合で1000試合を超えたことになる。 そんな中、8位には日本人がランクイン。941試合に出場したMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)だ。遠藤はガンバ大阪と磐田、そして日本代表での試合が21世紀に含まれている。なお、アジア人でも唯一となり、900試合以上を達成しているのも12名となっている。 ◆21世紀の出場試合数ランキング 合計(国内リーグ/国内カップ/国際カップ/代表) 1位:クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) 1145試合(651/93/205/196) 2位:ダニエウ・アウベス(ブラジル) 1033試合(620/115/172/126) 3位:リオネル・メッシ(アルゼンチン) 1003試合(559/102/170/172) 4位:イケル・カシージャス(スペイン) 974試合(585/57/171/161) 5位:ジョアン・モウティーニョ(ポルトガル) 958試合(563/107/142/146) 6位:ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン) 948試合(603/72/152/121) 7位:ルカ・モドリッチ(クロアチア) 947試合(569/69/146/162) 8位:遠藤保仁(日本) 941試合(606/117/66/152) 9位:チャビ・エルナンデス(スペイン) 937試合(536/95/174/132) 10位:セルヒオ・ラモス(スペイン) 935試合(534/70/151/180) 11位:アンドレス・イニエスタ(スペイン) 933試合(552/98/152/131) 12位:ロジェリオ・セニ(ブラジル) 904試合(675/71/149/9) 2023.01.12 12:45 Thu5