なかなか骨格が見えない五輪代表の苦しい台所事情/六川亨の日本サッカー見聞録

2019.05.02 13:30 Thu
Getty Images
元号が令和に変わって最初のコラムですが、テレビのワイドショーにはちょっと食傷気味でもあります。

さて昨日の日刊スポーツでは田嶋幸三JFA(日本サッカー協会)会長のインタビュー記事が掲載されていました。それによると田嶋会長は「メダルを狙いにいかないといけないし、ベストメンバーにしたい」とコメント。地元開催だけに、メダルを狙うのは当然だろう。
そして「OA以外は、海外のクラブからも招集できるようお願いしていく。実際動いている。23歳以下に関しては、非常に前向きに進んでいると思う」と自信を見せ、「東京五輪は世代交代する千載一遇のチャンス。隙間を空けずに22年につなげていく」と世代交代の必要性を訴えた。

田嶋会長の言う通りだと思う。にもかかわらず、森保五輪ジャパンのイメージがどうにもわかないのだ。

これまで代表監督と五輪監督はW杯のたびに交代してきた。その例に漏れず、ロシアW杯後に代表監督に森保氏が就任したのは自然な流れとして、五輪監督も兼務することになった。過去の例からも、五輪監督の最初の仕事は秋に開催されるアジア大会である。森保五輪監督はジャカルタでの大会でチームを決勝戦まで導いた(韓国に1-2で敗れ準優勝)。
しかし、それ以降は代表監督に専念し、五輪代表を率いたことは一度もなければ、国内で強化試合をしたこともない。五輪代表に選出される選手のほとんどはU-17やU-20などアンダーカテゴリーでプレー経験があるだけに、強化の継続性はあるだろう。しかし、東京五輪に臨む代表チームの骨格がなかなか見えてこない。

今年3月にミャンマーで開催されたAFC U-23選手権タイ2020予選には、横内昭展監督代行がチームを率いた。同時期はキリンチャレンジ杯があったため、森保監督は日本代表に専念せざるを得なかったからだ。

五輪代表の骨格がなかなか見えてこないのは、5月23日から6月15日にかけて、ポーランドでU-20W杯が開催されるせいかもしれない。冨安健洋や堂安律らはU-20日本代表の主力であるだけでなく、すでに日本代表でもそれなりの実績を残している。さらに今シーズンは台頭著しい久保建英もいる。当然、U-23日本代表にその名を連ねてもおかしくないが、優先順位はU-20W杯ということになるだろう。

このため次にU-23の活動の場となるトゥーロン国際大会での招集が濃厚かと言えば、話はそう簡単にいかない。まず日程が6月1日から15日と、U-20W杯と日程が重なっている。もしも日本がグループリーグで敗退すれば5月30日以降の合流は可能だが、選手は休みなく2大会に出場しなければならないため、現実的な選択とは言えない。

それはなぜかと言うと、肉体的な疲労に加え、町田浩樹(鹿島)、立田悠悟(清水)、橋岡大樹(浦和)、齋藤未月(横浜FM)、久保建英(FC東京)、前田大然(松本)、田川亨介(FC東京)ら選手のほとんどが所属クラブでレギュラーか準レギュラーのため、シーズン中だけにクラブ側が招集を許可するとは思えないからだ。

田嶋会長の言う「23歳以下の海外のクラブの選手は」板倉滉(フローニンゲン)、中山健太(ズヴォレ)、伊東達哉(ハンブルガー)らを指しているのだろう。

ではトゥーロン国際に森保監督が参加できるかと言うと、こちらの答えもノーだ。6月5日と9日にはキリンチャレンジ杯があり、それぞれトリニダード・トバゴ、エルサルバドルと対戦する。さらに14日からはブラジルでのコパ・アメリカが控えている。

こうして改めて日程を調べてみても、Jリーグ期間中に五輪代表はほとんど活動できないのが現実だ。田嶋会長はインタビューで「東京五輪では男女ともメダルに位置に行ってもらえるよう、僕らはサポートする。そのために労を惜しむつもりはない」と言っていたが、男子代表に限ってはサポートできることはほとんどない。

唯一、長期の日程をとれるのが来年1月にタイで開催されるAFC U-23選手権で、こちらは東京五輪の最終予選も兼ねているだけに、ガチンコ勝負のできる絶好の機会だし、森保監督もじっくりとチーム作りができるだろう。あとは来年のJリーグのカレンダー作りの際に、どれだけ五輪代表の強化のための時間を捻出するかだ。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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