初めて知ったジャッジの違い/六川亨の日本サッカー見聞録
2019.04.18 19:00 Thu
今年2回目となるレフェリーブリーフィングが4月18日に開催されたので、そこで話題にのぼった面白い実例を紹介しよう。第1節から先週末までのJ1~J3とルヴァン杯の240試合中、48試合に関してJクラブから意見交換を求められたそうだ。そこで問題提起された64シーンでディスカッションした結果、14試合の15シーンで間違った判定があったことを審判委員会は認めた。
レフェリーはプレーを続行したが、ブリーフィングでも上川氏は「よけることはできないし、手も肩より上に上がっていない」との理由から、「レフェリーの考えを受け入れる」と判断して正当性を認めた。ただし、「ハンドのジャッジでも受け入れられる難しい判断」との見解も併せて示した。
この試合では「ペナルティーエリアインシデント」も発生した。神戸は右CKからウェリントンがヘッドでゴールを決めた。しかしレフェリーはウェリントンがシュートを決める前に笛を吹いている。そこでVTRで確認すると、ゴール前にいた神戸の大﨑はボールが蹴られた瞬間、松本の飯田と橋内の2人の選手のユニホームを引っ張って動けないようにすることでウェリントンをフリーにしていたことが判明した。
反スポーツ行為では珍しい例が3件報告されたので紹介しよう。まずJ2第5節の千葉対京都戦でのことだ。千葉が左CKを蹴ろうとしたとき、ファーサイドのポスト際で水分補給をした千葉の田坂は、そのままゴール裏を走ってピッチの左サイドに移動し、ショートコーナーのボールを受けた。
水分補給の際は少しだけピッチから出ることは許されているものの、それ以外でレフェリーの許可なくピッチを離れればイエローカードである。過去にも九州の高校サッカーで実例が報告されたそうで、上川氏も「なかなかレフェリーは気付かない」頭脳プレーだそうだ。
第3節の千葉対山口戦では、山口の田中がシュートを決めるとベンチへと走り、自身のスマホを取り出して自撮りをした。かつてバロテッリが動画で自撮りしインスタにアップしたのを真似たわけだが、監督やコーチは通信機器をベンチに持ち込むことは許されても、選手が「あらゆる形式の電子もしくは通信機器を身につける、もしくは用いることは認められない」という競技規則から、反スポーツ行為として当然ながらイエローカードの対象となる。
そして同じくJ2の第4節、山形対大宮戦で山形のジェフェルソンが20分にゴール後、左コーナーポストを引き抜きライフル射撃のポーズをとった。これに対しレフェリーはイエローカードを出したが、クラブは昨シーズンも前所属先である水戸で同じ行為をしたのにイエローカードは出なかったため質問状が届いたという。
それに対し上川氏は「レフェリーの判断だが、リスペクトに欠けるものなので、フィールドに設置された物を動かすまたは使うの過度であり、JFA(日本サッカー協会)としてイエローカードとなる」との判断を示した。
今回、ハンドに関するジャッジについては割愛したが、ハンドを含めた新ルールが6月1日から採用される。その前に5月にポーランドで開催されるU―20W杯で新ルールが初めて採用されるため、小川審判委員長は今週始めに千葉で実施されたキャンプで新ルールの説明会を開催した。
その際に実例として紹介したプレーに、選手たちは初めて知ったというプレーもあったので、最後にそれを紹介しよう。
第1問は、AというチームとBというチームが対戦。Aチームの選手が反則を受け、レフェリーは笛を吹きBチームの選手にイエローカードを出そうとしたが、Aチームが素早くリスタートして攻撃した。その後プレーは止まったので、レフェリーはあらためてBチームの選手にイエローカードを出せるのかどうか。
第2問は、Aチームの選手が反則を受け、レフェリーは笛をいてBチームの選手にイエローカードを出そうとしたが、Aチームのアドバンテージを取り、笛は吹かずにプレーオンとした。その後プレーは止まったので、レフェリーはあらためてBチームの選手にイエローカードを出せるのかどうか。
答えは、第1問ではレフェリーが笛を吹いてから次のプレーに移っているため「イエローカードは出せない」が正解で、第2問は笛を吹いていないため、「プレーが止まってから遡ってイエローカードを出せる」が正解だ。
試合中は、反則を受けたチームの選手から「なんでイエローカードが出ないのだ」とクレームが来るそうだが、笛を吹く吹かないでジャッジも変わってくる。正直、初めて知った違いだった。
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それを踏まえて今回はハンド、オフサイド、ペナルティーエリアインシデント(危機的状況)、反スポーツ行為、負傷者の5項目について、映像で振り返りながらブリーフィングが行われた。何かと物議を醸した4月6日の第6節、松本対神戸戦では2つのシーンが取り上げられた。神戸の選手がペナルティーエリア右でこぼれ球を拾い、リフティングしたボールが松本の中美の手に当たったシーンで、神戸の選手はハンドとしてPKを主張した。この試合では「ペナルティーエリアインシデント」も発生した。神戸は右CKからウェリントンがヘッドでゴールを決めた。しかしレフェリーはウェリントンがシュートを決める前に笛を吹いている。そこでVTRで確認すると、ゴール前にいた神戸の大﨑はボールが蹴られた瞬間、松本の飯田と橋内の2人の選手のユニホームを引っ張って動けないようにすることでウェリントンをフリーにしていたことが判明した。
上川氏いわく「蹴られる前にボールの方向を見ていないので、普通レフェリーは何かやるなと思う」とレフェリーの視点から解説。ただし、イエローカードにつながるファウルではないとも説明した。
反スポーツ行為では珍しい例が3件報告されたので紹介しよう。まずJ2第5節の千葉対京都戦でのことだ。千葉が左CKを蹴ろうとしたとき、ファーサイドのポスト際で水分補給をした千葉の田坂は、そのままゴール裏を走ってピッチの左サイドに移動し、ショートコーナーのボールを受けた。
水分補給の際は少しだけピッチから出ることは許されているものの、それ以外でレフェリーの許可なくピッチを離れればイエローカードである。過去にも九州の高校サッカーで実例が報告されたそうで、上川氏も「なかなかレフェリーは気付かない」頭脳プレーだそうだ。
第3節の千葉対山口戦では、山口の田中がシュートを決めるとベンチへと走り、自身のスマホを取り出して自撮りをした。かつてバロテッリが動画で自撮りしインスタにアップしたのを真似たわけだが、監督やコーチは通信機器をベンチに持ち込むことは許されても、選手が「あらゆる形式の電子もしくは通信機器を身につける、もしくは用いることは認められない」という競技規則から、反スポーツ行為として当然ながらイエローカードの対象となる。
そして同じくJ2の第4節、山形対大宮戦で山形のジェフェルソンが20分にゴール後、左コーナーポストを引き抜きライフル射撃のポーズをとった。これに対しレフェリーはイエローカードを出したが、クラブは昨シーズンも前所属先である水戸で同じ行為をしたのにイエローカードは出なかったため質問状が届いたという。
それに対し上川氏は「レフェリーの判断だが、リスペクトに欠けるものなので、フィールドに設置された物を動かすまたは使うの過度であり、JFA(日本サッカー協会)としてイエローカードとなる」との判断を示した。
今回、ハンドに関するジャッジについては割愛したが、ハンドを含めた新ルールが6月1日から採用される。その前に5月にポーランドで開催されるU―20W杯で新ルールが初めて採用されるため、小川審判委員長は今週始めに千葉で実施されたキャンプで新ルールの説明会を開催した。
その際に実例として紹介したプレーに、選手たちは初めて知ったというプレーもあったので、最後にそれを紹介しよう。
第1問は、AというチームとBというチームが対戦。Aチームの選手が反則を受け、レフェリーは笛を吹きBチームの選手にイエローカードを出そうとしたが、Aチームが素早くリスタートして攻撃した。その後プレーは止まったので、レフェリーはあらためてBチームの選手にイエローカードを出せるのかどうか。
第2問は、Aチームの選手が反則を受け、レフェリーは笛をいてBチームの選手にイエローカードを出そうとしたが、Aチームのアドバンテージを取り、笛は吹かずにプレーオンとした。その後プレーは止まったので、レフェリーはあらためてBチームの選手にイエローカードを出せるのかどうか。
答えは、第1問ではレフェリーが笛を吹いてから次のプレーに移っているため「イエローカードは出せない」が正解で、第2問は笛を吹いていないため、「プレーが止まってから遡ってイエローカードを出せる」が正解だ。
試合中は、反則を受けたチームの選手から「なんでイエローカードが出ないのだ」とクレームが来るそうだが、笛を吹く吹かないでジャッジも変わってくる。正直、初めて知った違いだった。
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