レノファ山口の壮大な計画/六川亨の日本サッカーの歩み

2019.03.25 20:00 Mon
Getty Images
先週末はキリンチャレンジ杯の日本対コロンビア戦を取材後、24日は次の試合会場である神戸を通り越し、山口で行われたJ2の山口対栃木の試合を取材した。

昨シーズンの山口は前半戦で2位につける躍進を果たしたものの、夏場にエースストライカーに成長した小野瀬(山口で25試合出場10ゴール)をG大阪に引き抜かれると失速し、8位でシーズンを終えた。それでも監督として初采配を振るった霜田氏は「守備を固めて1点を奪うサッカーではJ1に昇格してもすぐに降格してしまう」と、あくまでボールを支配して攻撃的なサッカーを貫く姿勢に代わりはなかったからだ。

初めて訪れた維新みらいふスタジアムは収容人数1万5千人を超えるJ1規格のスタジアムである。そして栃木戦は後半15分過ぎからワンサイドゲームを展開し、シュートも21本対6本と圧倒しながらも前半27分にPKから失った1点を返せず、J2第5節終了次点で勝点3の21位に低迷している。
試合後の会見で霜田監督は「PKからの失点が3点、判断ミスからの失点が4点あるが、ミスは仕方がない。ミスを失点につながらないようにしたいし、攻めの姿勢はブレずに続けていきたい」と前を向いた。

霜田監督が攻撃的なサッカーにこだわるのは、J1昇格を最大目標としていないからだ。山口にサッカーをいかに根付かせるか。そのためには「見ていて楽しい攻撃的なサッカー」が必要だと考えている。
クラブとしての予算規模はJ2で中位クラス。そのため強化に手っ取り早い外国人選手を簡単には獲得できない。そこで他クラブの若手選手を補強し、自ら鍛えて結果を出し、他クラブに移籍させることで強化費を稼ぐという方法だ。このためシーズン半ばで山口を去った小野瀬にも「それなりのお金を残してくれたので感謝している」と言う。

その成功例があるため、昨シーズン終了後は山口への移籍を希望する若手選手も多かったそうだ。そして、いまは結果が出ていないものの、夏過ぎには他チームから声のかかりそうな選手も想定している。

そんな山口の悩みが、維新みらいふスタジアムだ。地元のファンはクルマで来場することが多いが、駐車場が不足しているため試合当日は隣接する土のグラウンドや地元企業の駐車場を借りて臨時場としている。他のアクセス手段としてJR山口線の大歳駅から徒歩10~15分程度とけして悪くない。

しかしJR山口線は単線の2輌編成のため、大量輸送は不可能だ。このため霜田監督は「せめて試合日は4輌編成にして欲しい」とお願いしている。さらに終電の時間も早いため、ナイターでの試合も開催できない。

こうしたハンデを克服すべく、すでに新スタジアム構想は立ち上がっているそうだ。収容人員2万5千人程度で、駐車場は1万台のキャパシティを想定している。そして単にスタジアムを造るのではなく、映画館を併設した大手ショッピングモールを始めとする複合施設の誘致にも着手している。まだ計画の端緒であるが、チームだけでなく地元企業や自治体も巻き込んだ壮大な計画でもある。

実際にスタジアムで取材して、面白いことも判明した。メインスタンドの記者席で観戦していると、後半なかばから西日が記者席に差し込んで左手にあたるピッチのプレーが見にくいのだ。

普通、太陽は東から昇り、西に沈む。このためスタジアムのメインスタンドは西に、バックスタンドは東に造られる。13時以降キックオフの試合では、メインスタンドは太陽を背にし、さらに屋根があるため陽が当たらない。逆にバックスタンドは日差しを浴びるため3月の試合でも暖かいことがある。

これが逆だと、夕方はメインスタンドが落陽のため西日を浴びるため試合を観戦しにくい。そして柏の日立台と、長居のキンチョウスタジアムは世界でも珍しく東西の位置が逆になっている。ところが維新みらいふスタジアムは東と西がゴールのある方向で、メインスタンドとバックスタンドは南北に位置している。

するとどうなるかというと、東側のゴールにいる選手、特にGKは西日をモロに浴びるため、プレーに支障が出る可能性が大なのだ。たぶん維新みらいふスタジアムで試合をする際に、コイントスで勝ってコートを選ぶ時は西側のコートを選択するのだろう。そうすれば、後半は西日を背中に攻めることができるからだ。

もともとスタジアムは2011年の国体のために造られただけに、そこまで配慮していなかったのだろう。これはこれで珍しいスタジアムでもある。このスタジアムから2駅先、タクシーなら1メーターで行けるところに湯田温泉という名湯があることも発見だった。アウェーの試合で山口に行く際は温泉地で骨休めすることをお勧めする。

レノファ山口FCの関連記事

Jリーグは14日、5月15日の「Jリーグの日」を記念し、開幕当時に多くのファンに親しまれた「Jリーグチップス」を特別に復刻することを発表した。 1993年の開幕とともに人気を博した「Jリーグチップス(選手カード付)」が、32周年を迎えるJリーグに帰ってくることに。復刻版では、J1、J2、J3の全60クラブから各3 2025.05.14 15:55 Wed
明治安田J2リーグ第15節の10試合が10日、11日に行われた。 【RB大宮vs仙台】2位・3位の上位対決はRB大宮が快勝 前節は首位のジェフユナイテッド千葉を国立競技場で下した3位のRB大宮アルディージャと、藤枝MYFCを下して2位をキープしたベガルタ仙台の一戦。仙台は8試合無敗の中で迎えた一戦だったが 2025.05.11 17:40 Sun
thumb レノファ山口FCは7日、MF池上丈二の負傷を報告した。 池上は4月28日に行われたトレーニング中に負傷。その後、左距骨骨軟骨損傷と診断されたという。加療期間については選手により前後するため、非公表としている。 池上は今シーズンここまでの明治安田J2リーグで2試合、YBCルヴァンカップで2試合に出場している。 2025.05.07 17:40 Wed
6日、明治安田J2リーグ第14節の10試合が全国各地で行われた。 【札幌vs磐田】昨季のJ1対決は磐田に軍配 12位の北海道コンサドーレ札幌と9位のジュビロ磐田の対戦。昨季はJ1で戦った両者が上位に向かうために大事な試合に臨んだ。 試合は開始38秒に動く。リカルド・グラッサのロングフィードを裏に 2025.05.06 18:40 Tue
3日、明治安田J2リーグ第12節の10試合が各地で行われた。 【鳥栖vs千葉】首位・千葉が2試合連続ドロー 首位に立つジェフユナイテッド千葉は、前節のロアッソ熊本戦で今季初のドロー。連勝が4でストップした中、8位のサガン鳥栖とアウェイで対戦した。 試合は立ち上がりから動くことに。9分、鳥栖は千葉の最 2025.05.03 21:10 Sat

レノファ山口FCの人気記事ランキング

1

山口が高卒2年目の上本銀太と契約解除 双方合意で

レノファ山口FCは6日、DF上本銀太(20)の契約解除を発表した。 上本は東海大学付属福岡高校出身で、2022年に山口入り。昨季はJ2リーグ3試合に出場し、リーグデビューを果たした。 だが、選手およびクラブの双方合意で契約解除の運びとなったという。 2024.01.06 20:10 Sat
2

元日本代表FW皆川佑介の新天地がカンボジアに決定…昨季限りで山口退団

元日本代表FW皆川佑介(32)の新天地はカンボジアとなった。 レノファ山口FCは19日、昨シーズンまで在籍していた皆川がカンボジア1部のナガワールドFCに加入したことを報告した。 中央大学出身の皆川はサンフレッチェ広島でプロ入りし、そのルーキーイヤーに日本代表デビューも。2018年にロアッソ熊本でのレンタルを経験し、広島に復帰した後、横浜FCでのプレーを挟み、2021年から仙台に活躍の場を移した。 そして、昨季からは山口を舞台に。J2リーグでは30試合で2得点をマークしたが、1年での退団となっていた。 なお、首都プノンペンに本拠地を置くナガワールドFCにはMF菊地佑太、FW亀谷宇々護と2人の日本人選手が在籍している。 2024.07.19 17:45 Fri
3

山口がGKチェ・ヒョンチャンと契約延長「チームにより大きく貢献できるよう全力を尽くしていきます」

レノファ山口FCは29日、韓国人GKチェ・ヒョンチャン(22)との契約更新を発表した。 チェ・ヒョンチャンは、鮮文大学から昨シーズン山口に加入。プロ2年目の今シーズンは、GK関憲太郎の牙城を崩すことができず、YBCルヴァンカップ1試合、天皇杯2試合に出場にとどまった。 チェ・ヒョンチャンはクラブを通じてコメントしている。 「2025シーズンもレノファ山口FCでプレーができることになりました。まずは私を信じてくださったクラブとファンの皆様深く感謝します。素晴らしいサポーターの皆様とこの素敵な街でプレーができて嬉しいです。今年の課題を克服し、来シーズンはより多くの試合に出場し、チームにより大きく貢献できるよう全力を尽くしていきます」 2024.12.29 12:00 Sun
thumb
4

山口、MF田中パウロ淳一が真似たバロテッリ自撮りゴールパフォを謝罪 競技規則に違反

レノファ山口は13日、MF田中パウロ淳一のジェフユナイテッド千葉戦でのゴールパフォーマンスについて謝罪している。 山口は10日、明治安田生命J2リーグ第3節で千葉とアウェイで対戦(5-2で山口が勝利)。この日、58分から途中出場した田中は64分にゴール。すると、駆け寄るチームメイトと抱き合った後、ベンチに置いてあった個人携帯(スマートフォン)を手に取って自撮りするパフォーマンスを披露しようとした。しかし、この行為は審判員によって制止されていた。 このパフォーマンスは、マルセイユに所属するイタリア代表FWマリオ・バロテッリが、3日のリーグアン第27節のサンテチェンヌ戦でのゴール後に披露したものを真似したもの。バロテッリは、ゴール裏のカメラマンからスマートフォンを受け取ると、ゴール裏のサポーターを背に自撮りで動画の撮影し、自身のインスタグラム(mb459)のストーリー機能で配信していた。 しかし、これはJリーグにおいて、競技規則第4条 競技者の用具「電子通信」に違反しているとのこと。山口は「選手に確認したところ、この規則を十分認識していなかったとのことであり、ひとえに、クラブから選手・スタッフへの競技規則の順守徹底が不足していたものと重く受け止めております」とコメント。また、「この試合に関わる皆様へ不快な思いを抱かせてしまったこと、誠に申し訳ございません。クラブから選手・スタッフ全員に規則の徹底を計り、再発防止に努めてまいります」と謝罪している。 2019.03.13 18:35 Wed
5

J2山口が生え抜きの20歳FW河野孝汰と契約更新! 昨年はキャリアハイの一年「覚悟を持って全力で頑張ります!」

レノファ山口FCは6日、FW河野孝汰(20)の2024シーズン契約更新を発表した。 河野は山口県周南市出身で、ジュニア時代からレノファ一筋の生え抜き。U-15&U-16日本代表歴を持つなか、2種登録期間を経て、2020シーズン途中にトップ昇格を果たすも、2022シーズンまでにJ2リーグ通算39試合3得点にとどまっていた。 それでも2023シーズンはキャリアハイの一年に。J2リーグで34試合に出場して5得点。チームは藁にもすがる思いでJ2残留を勝ち取ったが、生え抜きFWの成長は2024シーズンへ向けての確かな手応え…さらなる飛躍に期待したい。 「2024シーズンもレノファ山口FCでプレーさせていただくことになりました。昨シーズンはたくさんの試合に出させてもらった中で自分の思うような結果を残すことができず悔しいシーズンでした。今シーズンこそは、たくさんのゴールを見せれるように、そしてより多くの勝利に貢献できるよう覚悟を持って全力で頑張ります!今年も応援よろしくお願いします!」 2024.01.06 09:50 Sat

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly