Jリーグふろしきの可能性/六川亨の日本サッカー見聞録
2019.03.15 13:15 Fri
3月22日と26日に開催されるキリンチャレンジ杯のメンバー23名が14日に発表された。森保ジャパンになって代表初招集はDFの安西幸輝(鹿島)と畠中槙之輔(横浜M)、そしてFWの鈴木武蔵(札幌)と鎌田大地(シントトロイデン)の4人だった。
同日には22日からミャンマーで開催されるAFC U-23選手権に臨むU-22日本代表のメンバーも発表された。東京五輪の主力となるメンバーとして、板倉滉(フローニンゲン)、町田浩樹(鹿島)、立田悠悟(清水)、橋岡大樹(浦和)、中山雄太(ズヴォレ)、杉岡大暉(湘南)、久保建英(FC東京)、前田大然(松本)らJ1リーグで結果を残している選手ばかり。
個人的にはこちらの試合を見てみたいので、どこか中継してくれるテレビ局はないのだろうか。
“ふろしき”とは、その名の通り風呂敷のことだ。日本古来の物を包む道具だが、命名の由来を簡単に説明すると、これまでJリーグは26シーズンに及ぶ映像のデータを始め、スカウティング映像(対戦相手を分析するため、両チームのゴールが映り、全選手の動きが分かる映像)と静止画(写真のこと)、さらにトラッキングなどの競技データを管理してきた。
それが可能なのは、Jリーグは誕生時から映像と写真はJリーグ(子会社のJリーグ映像とJリーグフォト)がコストを負担して制作し、テレビ局に提供してきたからだ(現在はDAZN)。それというのもJリーグ以前のJSL(日本サッカーリーグ)時代は、テレビ局が中継したものの放送される試合が少なく、JSLに著作権もなければ映像そのものが残っていなかったからだ。ここらあたり、Jリーグの創設に尽力した木之本興三氏(故人)の先見の明と言える。
話を戻すと、そうした膨大なデータだが、これまでは映像なら映像を検索し、競技データは競技データで検索しないと求めるデータを集まることはできなかった。そこでこれまで個別だったデータをキーワードで“ひも付け”するなどして、一元管理による制作・編集・供給・配信をマネジメントしようというのが“Jリーグふろしき”である。
その試みの1つとして、5月12日の神戸対鹿島戦は、神戸のホームゲームだが都内の屋内施設で高臨場・高精細の映像によるライブビューイングを開催する。これらは今後、スタジアムになかなか足を運べない身体障害者や、天候によりスタジアム行きを断念しなければならない子供や高齢者向けのファンサービスとして活用できる。
さらにVR(ヴァーチャルリアリティ)空間での観戦サービスも広める予定で、俯瞰した映像や選手目線での映像、ゴール裏からの観戦などを選択できる視聴方法にもトライする。すでに3月10日の仙台対神戸戦と、17日の札幌対鹿島戦、30日の大分対広島戦は、NTTドコモがDAZNからのサブライセンスを受けて観戦体験を提供する予定だ。
こうした映像の一元管理により、例えばタイにはチャナティップをフォーカスした映像や、ヨーロッパにはイニエスタやトーレスを中心にした映像の配信が可能になるという。そして、将来的にはJリーグにとどまらず、日本のあらゆるスポーツを取り込み、最先端の環境を構築しながら映像などのデジタル情報を集約・供給配信などのネットワークサービスにつなげる予定だ。
会見に出席したNTTグループの澤田純社長は、まだ実現は先の話だろうが「VRでも4K(高画質)放送ができるのはNTTだけ」と自信を見せる。
そして村井チェアマンは「私が(チェアマンに)就任した2014年には想像できなかった世界」でもあるだけに、「大風呂敷」という表現もあながち的外れではない大事業に成長する可能性もある。
ただ、その前に、Jクラブのスタジアムの無料Wi-Fi化を早急に実現して欲しいというのが1記者としての切実な願いだ。埼玉スタジアムや日産スタジアム、味の素スタジアムなどキャパシティの大きいスタジアムはドコモであっても(ドコモだからか)、試合開始直前やハーフタイムは通信だけでなくインターネットにも接続できずストレスを感じてしまう。
新ビジネスの開拓、それもJリーグが先頭に立っての“攻めの姿勢”は歓迎したいし、今年のラグビーW杯は対応が無理とのことだが、来夏の東京五輪につながるコンテンツの構築だろう。ただ、中国の故事には「隗(かい)より始めよ」という言い回しもある。Jリーグには“攻守のバランス”を上手くとって欲しいところだ。
PR
安西は左SBのため佐々木翔(広島)の、CB畠中は冨安健洋(シントトロイデン)と昌子源(トゥールーズ)のバックアップといったところ。そしてJリーグで結果を出している鈴木と、同じくシントトロイデンでゴールを量産している鎌田はポスト大迫といったところだろう。そして注目は、やはりロシアW杯以来の代表選出となった香川真司(ベシクタシュ)だ。どのポジションで起用されるのか楽しみだし、FWが2人しか選出されていないため、香川や小林祐希(ヘーレンフェーン)がゼロトップという可能性もあるのではないだろうか。いずれにせよ、ケイロス監督率いるコロンビア戦は楽しみでならない。個人的にはこちらの試合を見てみたいので、どこか中継してくれるテレビ局はないのだろうか。
といったところで本題に入ろう。日本代表のメンバー発表から1時間30分後、JリーグがNTTグループと共同で新たな取り組みに着手することを発表した。日本初となる本格的スタジアムデジタルアセットハブ、その名も“Jリーグふろしき”の構築である。
“ふろしき”とは、その名の通り風呂敷のことだ。日本古来の物を包む道具だが、命名の由来を簡単に説明すると、これまでJリーグは26シーズンに及ぶ映像のデータを始め、スカウティング映像(対戦相手を分析するため、両チームのゴールが映り、全選手の動きが分かる映像)と静止画(写真のこと)、さらにトラッキングなどの競技データを管理してきた。
それが可能なのは、Jリーグは誕生時から映像と写真はJリーグ(子会社のJリーグ映像とJリーグフォト)がコストを負担して制作し、テレビ局に提供してきたからだ(現在はDAZN)。それというのもJリーグ以前のJSL(日本サッカーリーグ)時代は、テレビ局が中継したものの放送される試合が少なく、JSLに著作権もなければ映像そのものが残っていなかったからだ。ここらあたり、Jリーグの創設に尽力した木之本興三氏(故人)の先見の明と言える。
話を戻すと、そうした膨大なデータだが、これまでは映像なら映像を検索し、競技データは競技データで検索しないと求めるデータを集まることはできなかった。そこでこれまで個別だったデータをキーワードで“ひも付け”するなどして、一元管理による制作・編集・供給・配信をマネジメントしようというのが“Jリーグふろしき”である。
その試みの1つとして、5月12日の神戸対鹿島戦は、神戸のホームゲームだが都内の屋内施設で高臨場・高精細の映像によるライブビューイングを開催する。これらは今後、スタジアムになかなか足を運べない身体障害者や、天候によりスタジアム行きを断念しなければならない子供や高齢者向けのファンサービスとして活用できる。
さらにVR(ヴァーチャルリアリティ)空間での観戦サービスも広める予定で、俯瞰した映像や選手目線での映像、ゴール裏からの観戦などを選択できる視聴方法にもトライする。すでに3月10日の仙台対神戸戦と、17日の札幌対鹿島戦、30日の大分対広島戦は、NTTドコモがDAZNからのサブライセンスを受けて観戦体験を提供する予定だ。
こうした映像の一元管理により、例えばタイにはチャナティップをフォーカスした映像や、ヨーロッパにはイニエスタやトーレスを中心にした映像の配信が可能になるという。そして、将来的にはJリーグにとどまらず、日本のあらゆるスポーツを取り込み、最先端の環境を構築しながら映像などのデジタル情報を集約・供給配信などのネットワークサービスにつなげる予定だ。
会見に出席したNTTグループの澤田純社長は、まだ実現は先の話だろうが「VRでも4K(高画質)放送ができるのはNTTだけ」と自信を見せる。
そして村井チェアマンは「私が(チェアマンに)就任した2014年には想像できなかった世界」でもあるだけに、「大風呂敷」という表現もあながち的外れではない大事業に成長する可能性もある。
ただ、その前に、Jクラブのスタジアムの無料Wi-Fi化を早急に実現して欲しいというのが1記者としての切実な願いだ。埼玉スタジアムや日産スタジアム、味の素スタジアムなどキャパシティの大きいスタジアムはドコモであっても(ドコモだからか)、試合開始直前やハーフタイムは通信だけでなくインターネットにも接続できずストレスを感じてしまう。
新ビジネスの開拓、それもJリーグが先頭に立っての“攻めの姿勢”は歓迎したいし、今年のラグビーW杯は対応が無理とのことだが、来夏の東京五輪につながるコンテンツの構築だろう。ただ、中国の故事には「隗(かい)より始めよ」という言い回しもある。Jリーグには“攻守のバランス”を上手くとって欲しいところだ。
PR
J1の関連記事
|