Jリーグ選手名鑑/六川亨の日本サッカー見聞録

2019.02.11 20:30 Mon
©超ワールドサッカー
今シーズンのJ1リーグ開幕まで、あと2週間を切った。今週末にはゼロックス・スーパーカップも開幕する。といったところで、この時期に毎年購入するのがJリーグの選手名鑑(2月9日発売)である。

かつて務めていた縁ではないが、自然とSD誌の選手名鑑を手にとってしまう。それにしても、年々チーム数が増え、今年は292ページのボリュームとオールカラーで1000円を切っている(989円)のは凄い。

加えて今年1月は、全国高校サッカー選手権の増刊号とアジアカップ総集編の増刊号と3冊の増刊と同時進行での発行である。たぶん編集部総動員での制作だっただろうが、その苦労は察するに余りある。
ただ、制作に関してはDTPのため一発入稿だから、原稿と写真、そして各種データの整理・校正を入念に行えば、次はデザイナーが活躍する番になる。デザイナーにしても、すでにフォーマットは数十年以上前から組み上がっているだけに、そのアレンジが“腕の見せどころ”といったところか。

とまあ、当事者ではないから気楽なことを書いているが、印刷された校正紙の原稿を読んだり、細かいデータを編集部員同士で読み合わせたりする作業は、とてもじゃないがもうできない。しかもJ1の18チームだけでも“青息吐息”なのに、それがJ2の22チームとJ3の15チームまである(U-23FC東京とG大阪、C大阪の3チームはのぞく)のだから、卒倒するのは間違いない。
あらためて制作に関係した多くの記者、編集者、デザイナーに敬意を表したいと思うし、1年間大事に使いたいと思っている(実際のところ、この選手名鑑は持ち歩くのに重いので、今月21日発売のSD本誌に綴じ込み付録でついてくる簡易版を愛用している)。

といったところで、ここからは、ちょっと昔話の自慢?をさせていただこう。1993年にスタートしたJリーグだが、それ以前から老舗のSM誌とSD誌はJSL(日本サッカーリーグ)の選手名鑑を毎年、付録で本誌につけていた。

そのノウハウがあったからJリーグの選手名鑑の制作もそれほど苦労はしなかったが、年を重ねるにつれ、前年と同じスタイルではマンネリだと感じたのが編集部一同の意見だった。そこで出たのが「巻頭に読み応えのある昨シーズンを振り返ったストーリーを載せたい。そこでは優勝したチームだけでなく、準優勝で終わったチームの原因や、期待を裏切ったチーム、話題を提供したチームのトピックスも紹介したい」という意見だった。

他にもチーム紹介では「誕生から昨シーズンまでのストーリー、そして今シーズンの展望を書きたい」とか、「昨シーズンの優勝監督とMVPを受賞した選手のインタビューが欲しい」、「サポーターなどサッカーを取り巻く印象的なシーンの写真も掲載したらどうか」などなど、さまざまな意見が会議では出た。

それは選手名鑑を1冊の雑誌として充実させたいという、“編集者”としての視点と、“記者”としてもっと書きたいという欲求から出た率直な意見だった。

ところが、当時のT社長(現会長)は、これらの意見をことごとく却下した。「読み物よりもデータ満載の選手名鑑を作れ」というのが厳命だった。

そして、それは正論だとも納得した。シーズンが始まれば、成績によってチームは新たな選手を補強したり、監督を交代したりする。すると昨シーズンの読み物などは色褪せてしまうからだ。活用できる情報として残るのは昨シーズンのデータということになる。

この伝統がいまも生きているのかもしれないが、SD誌のW杯を始めとして展望号はデータ重視で読み物は少ない。そこらあたりが、昨年発行されたアジアカップの増刊ではEG誌との違いだが、EG誌にはEG誌なりの戦略があるのだろう。

こうした理由から、いまもSD誌は情報の収集ツールとして利用している次第だ。

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