【質疑応答3】「日本人選手の良さは対応力」…失意のガーナ戦を振り返る西野朗監督、目標・GS突破へのイメージを語る《ロシアW杯》

▽日本サッカー協会は31日、6月に開幕するロシア・ワールドカップ(W杯)に臨む日本代表メンバー23名を発表した。

▽日本は、ロシア・ワールドカップでコロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表とグループHで同居。初戦は6月19日にコロンビアと、24日にセネガルと、28日にポーランドと対戦する。

▽会見に出席した日本代表を率いる西野朗監督はメンバー発表後、メディア陣による質疑に応対。30日に行われたキリンチャレンジカップ2018のガーナ代表戦を振り返り、本大会に向けての課題解消へのイメージ、求めることを明かした。
◆西野朗監督(日本代表)
──本番までに選手たちに戦術面・メンタル面でそれぞれ最も求めていきたいこと
「昨日のガーナ戦へのアプローチもそうですけど、いろいろと対応していかなくてはいけないと思っています。様々な状況の中で日本のサッカーが通用する部分や通用しない部分、コントロールできる部分やできない部分が間違いなくあると思っています。これからの高いステージで自分たちが優位に進められる事、対応力というものを選手たちに求めたい中で、これまでと変わった戦い方をしてもらいました。そういう中で選手たちも自分のポジションが多少変わっても順応・対応してくれる。そういうところで対応というのが自然にできるようになれば、完成していくと思います。そういう強さを求めていきたいです」

「(メンタル面について)今までの大舞台と違う感覚を持った中で、ピッチに立っていかなくてはいけない。そういう意味でも経験値のある選手たちが、大事な選手になってくると思います。これは初めてW杯を経験する選手たちにとってはとても難しいアプローチなので、厳しい瞬間を想定させた中で、プレーさせていかなくてはいけないと思っています。0コンマ何秒、1センチの差で勝敗が決まる世界です。そういう厳しい瞬間を想定して準備していかなくてはいけないと思います」──得点力不足というのは日本の課題で、ガーナ戦でもそれが出たと思うが、チャンスを決めきるという部分をどうやって変化させていくか。チャンスを多く作ることを選択するか、点を奪う選手たちを起用するか
「昨日の試合で3バックを試しましたが、選手たちにはあまり3バックという言葉は使わず、様々な状況の中で3バック、5バックと変化させるようにしました。ただ、中盤でのアタック&ディフェンスでの主導権を握るというところで、アタッキングサードを攻略していく事で中央でもサイドでもチャンスを作っていこうとしました」

「相手のゴールに全て直結する展開に持って行く必要はありません。ある時はボールを動かして、相手の陣形を動かすとか、スタミナを奪うというようなポゼッションをしなくてはいけません。そういう中で、アタッキングサードに侵入するチャンスを増やしていきたいです。ガーナ戦でもそういう場面を作れていたと思います。常に決定力不足がネガティブな部分として捉えるのではなく、チャンスを増やしていくということも考えていきたいです」

「FW武藤(嘉紀)のようにブンデスリーガの中で、総シュート数は少なくても得点力が高い選手もいます。彼はシュートの成功率は数字では少ないですけど、確率は高いです。得点を追う中で、これからチャンスを増やしたいですけど、想定しているよりは作れないと思います。そういう中で、彼のような嗅覚を持った選手というのも必要だと考えています。チャンスを増やしていくということが全体として、攻撃にとっては必要なことだと思います」

──たくさんの絵を描きたいというのは、対戦相手によって対応していきたいということか。だとすれば、この期間でどうやって浸透させていくか
「自分の中ではたくさん膨らむことは間違いないです。どういうシステム、どういうキャスト、どういうゲームでという中でポジティブなことは思い描けています。これを落とし込むということが難しいので、選手たちには同じように描いてもらいたいと思っています」

「例えばリスタートの形は、日本のストロングポイントでしたが、様々なパターンを想定して190cmのディフェンダー5人に対して、日本の選手がどう対応していくかということ1つを考えても、いろいろなオプションを持たせたいですし、自分の中では描けています。あるパターンを全員ができれば、得点を奪えることはあります。いろいろなパターンをできるだけ選手たちが自然に出るような準備をしていかなければいけません」

「日本人選手の良さはそういう対応力が早いということ。グループで仕事をするということに対する理解度、共有していく中でのプレーには順応できます。そういう良さを持っている選手たちをセレクトしたのも一つあります。1つのパターンに突出して、1つのシステムの中でそれだけというよりは、そういうオプションを選手たちに持たせる、期間が短くても落とし込んでいかなくてはいけないなと思います」

──23名の中で最も期待を寄せる選手は
「1人では言い切れないですし、選んだ選手全員がそうであってもらいたいです」

──1つずつ勝ってグループリーグを突破という目標を先ほど挙げていたが、具体的な数字は
「選手にはキーマンということよりも、自分のトップパフォーマンスを、私が選んだ選手に対して求めるものをまず出して欲しいです。そういう中で選手たちが持っている、その選手しか出せないストロングを出して戦って欲しいなと思います。各ゲームでポイントをとっていきたいです。ギリギリな戦いがあるかもしれませんし、圧倒できるゲームもあるかもしれません。そういう中でグループリーグを突破することを少なくとも考えていますし、ギリギリな戦いの中でいかにポイントをとっていくか、それは選手たちと常に求めていきたいです」

──ガーナ戦ではサイドからの攻撃が目立っていた印象でした。特にサイドの選手に求めることは
「昨日のシステムであれば、サイドに長友(佑都)と原口(元気)、酒井高徳といったポジションをある程度ワイドにとっている中で、センターの大島(僚太)がボールをよく動かしていました。センターで動かせることができれば、サイドからの攻撃は間違いなく増えます。昨日も香川(真司)と柴崎(岳)が入った中で、センターでボールを保持することができれば、サイドアタックも増えてきます。ただ、それだけでは単調になってしまいます。終盤には少し増えました。それをさらに求めていきたいです」

「選手たちにイメージはありますけど、メンバーが変わっている中でコンビネーションがうまく取れていないですけど、オプションを増やしていかないといけませんし、グラウンダーでスピーディなことが起こらなければ、日本の攻撃スタイルからすると難しいと感じています。そこは感覚的に供給できるところは詰めていきたいです」