【戸田和幸のプレミア・アナリシス】独走体制のシティ、強さの秘訣は「“再現性”の高さ」と戸田氏が分析
2017.12.30 13:00 Sat
▽現役時代に日本代表として2002年の日韓ワールドカップに出場し、現在はサッカー解説者を務める戸田和幸氏。超ワールドサッカーでは「スポナビライブ」で解説を務める戸田氏に、プレミアリーグを語ってもらった。
▽今回は、11月のプレミアリーグから5日に行われたマンチェスター・シティvsアーセナルをピックアップ。無敗で首位を独走するマンチェスター・シティ、今シーズンも3バックを採用し、[3-4-3]で戦うアーセナルについて戸田氏に分析してもらった。(※データはインタビュー実施時の12月6日現在のもの)
──シーズン開幕から4カ月が過ぎても、マンチェスター・シティが無敗でプレミアリーグ首位に立っています。11月にはアーセナル戦(11月5日/3-1で勝利)がありましたが、この試合ではアグエロが起用されました。ジェズスではなかった理由はあるでしょうか
「単純にアグエロのパフォーマンスレベルが高いからではないでしょうか。シーズン序盤はジェズスと共に2トップ(3バック)とで起用される試合が多かったですがその理由としてはサイドバックがケガで足らなかった事や他の選手たちの状態と比較した時にベストの布陣が2トップだったのではなかったのではないかと思います」
「メンディがプレーできるようになってからは基本的には[4-3-3]を採用してきました(メンディが怪我して以降デルフが左サイドバックを務めている)が[4-3-3]こそがグアルディオラ監督が目指すサッカーを作り上げる為の最高のシステムだと考えているのは間違いありません。[4-3-3]システムがベースのシティにおいて、今シーズンのグアルディオラ監督はより重要な試合にアグエロを起用してきているなと感じていますが、マンチェスター・ダービーではジェズスが先発で出ていますし、試合・相手チームが持つキャラクターによって使い分けている部分もあるのではないでしょうか」
「とは言え、オフ・ザ・ボールの動きや中盤まで顔を出してビルドアップを手伝う動きについてはジェズスの方が、僕は上手いと思っています。ただ、単独での局面の打開力やシュートのレンジの広さや強さはアグエロに軍配が上がるといったところでしょうか」
「それぞれにインターナショナルレベルのストライカーで甲乙つけがたい状況ではありますが、監督の志向するスタイルを考えると2トップで起用するということはビハインドの状況以外は基本的にはないと思います」
「サウサンプトン戦(11月29日/2-1で勝利)では二人同時に起用されましたが、この時はジェズスが左のウイングで出場していました。ただ、基本的にウイングのファーストチョイスはザネとスターリングだと思うので、過密スケジュールを上手く乗り越えていく為に各選手の状態を見て上手く競わせながら進めていっている感じなのかなと見ています」
──アーセナルの守備面を考えても、アグエロの方が混乱を招くプレーができたという感じでしょうか
「アーセナル戦だけで考えると、むしろアーセナルの守備が非常に機能していたと思います。ようやく[3-4-3]の形で積極的なハイプレス、サンチェスとエジルも揃った中での前線からの積極的なチェイシングが見られそこに中盤・最終ラインが連動した速くて強い守備を見せましたしエジルが一番目立つくらい良く守備にも走り闘っていたのが強く印象に残っています」
「この試合のシティはアーセナルの果敢なプレッシングにかなり苦しめられたんじゃないかなと感じました。ただ、それでもシティには押し切ってしまうチームとしての戦術的な成熟度の高さと各選手の強さと上手さがありました」
「この試合に関してはアーセナルの方に変化、ポジティブな要素が多く見られましたが、終わってみればシティが全てにおいて凌駕してしまったという試合でした」
──アーセナルの守備の話が出ましたが、失点シーンは崩されての2点とPKによるものでした。速くて強かったという守備に問題はなかったのでしょうか
「チームとして持つプレーモデル、試合における具体的で実践的なゲームプラン、そしてその上で各選手が見せた柔軟性やプレーの質、それら全てにおいてシティの方が上だったなと思います。そんなシティに対してアーセナルはよく戦ったと思いますが、それでも敵わないんだなという90分でした」
「サッカーというスポーツはロジカルなスポーツなのだと考えています。もちろん選手が持つ感覚、センスも当たり前に必要ですが、11人が一つになって相手チームに対し効果的に動く為には集団としてのルールが必要です。ビルドアップ時の各選手の立ち方や敵陣でのボールの動かし方、スペースの作り方、取り方を見ればシティがロジカルなものをきちんとベースに持って毎試合闘っているチームだという事が良く分かると思います」
「相手のプレースタイルや守備の陣形、方法を正しく把握し実際の試合中にも適切に変化させながら、各選手が正しいポジショニングを取り如何に安定したポゼッションンプレーで敵陣までボールを運ぶかという事に腐心していますし、得点を奪うための効果的なボックス内への侵入という部分についてもウインガーの縦への突破、ワンツー、カットインからの斜めの飛び出し、サイドバックのオーバーラッピング、インサイドハーフによるニアゾーンを取りに行く動き、など具体的な方法論を幾つも共有する中で状況に対し適切に選び使い分けています」

「アーセナルはどちらかというと選手の技術力や創造性を生かした攻撃を見せます。例えばそれがロジカルかと言われるとそうではなく多分に即興性や再現性の低いものだという言い方にはなると思います」
「ただ、選手個々が持つ技術や即興性が時に素晴らしいコンビネーションを生むこともありますし、それがアーセナルのスタイルでありファンを魅了するところでもあり、必ずしもシティと比較をする必要もないとも言えます。ただ、昨シーズン含め実際にここまで残されている数字を比較してみると両チームには埋められない大きな差があるという事もまた事実です」
「シティのここ最近の試合を振り返るとサウサンプトン戦やハダースフィールド戦(11月26日/2-1で勝利)ではアウェイゲームということゴール前を執拗に固められ存分に苦しめられました。しかしながら、あれだけゴール前を固められても滅多にボールを失わずボックス内に侵入していく形を何度も作っていく。それは対戦相手を攻略する為の具体的な方法論をチームとして共有した中で効果的な攻撃を繰り返したという事になりますがチームとしての戦術的なコンセプト、細部にわたるディテールの構築がないとあれだけ徹底した守備に対して効果的なスペースメイク、チャンスメイクは絶対にできません」
「グアルディオラ監督が作ってきたチームなので当然戦術的にレベルの高いチームなのは間違いありませんが、とは言え選手がそこに縛られ過ぎている感じもありません。ボールを保持する時間を最大限長くする為に失った後の守備に対する準備も抜かりがなく近い距離を保ちながら攻撃を行う=守備への移行もスムースなのでそうそうカウンターからやられるシーンもありません」
「唯一、セットプレーやクロスに対する守備が若干緩いのは課題として挙げられますがこれだけ圧倒的な得点力を誇りながら守備でも最小失点という結果を引き寄せている要因はやはりロジカルなチーム作りにあり、その上で素晴らしい選手達の特徴を最大限引き出すサッカーが展開できているからこその結果だと思います」
──グアルディオラ監督が昨シーズン1年間やり、メンバーも大きく変わっていないことでの積み上げが今シーズンは大きいでしょうか
「お互いを理解し合えるようになったと監督、選手両面からポジティブなコメントが出ていますしサッカーの内容についてもエデルソンにはじまりウォーカーやメンディ、ベルナルド・シウバといったチームのレベルを引き上げる為に監督が求めた優秀な選手も加わった事でチームのレベルは更に上がりましたし陣容も豊かになっています」
「どのチームと対戦しても常にボール保持率で大きく上回りながら、ボールを保持するだけでなくゴールを目指す多彩な攻撃を見せてきているからこそのリーグ戦16連勝という大記録を達成しています。そして、現代サッカーにおいてピッチの中央から全てを作り出す事は不可能だという前提に基づき、サイドバックにも多くのお金を費やして二人のインターナショナルレベルの選手を獲得し目指すチームのプレーモデルに対してボールを保持しゴールを奪う為に必要な要素を全て揃えました」
「また、既存の選手達のレベルアップも見逃せない点で、例えばスターリングは右利きですが利き足が外側にある右のウイングでプレーしているにも関わらず、あれだけ中央に侵入して効果的な働きができているというのは状況に合わせたポジショニング、カットインするタイミング、そしてフィニッシュワークが改善、向上したからこそです」
「基本的に、ウインガーは利き足とは逆のサイドに入ってプレーした方が、縦への突破に加えカットインするとゴールに向かって利き足を使う事ができるのでプレーしやすいはずですし、一昔前とは違いサッカーが複雑化していますから、ライン際に張ったウインガーが縦に突破するという攻撃は如何にボールをウィングプレーヤーに渡すかという部分に工夫を加えないとなかなか通用しにくくなってきています」

「ポジショニング、身体の向きや視野の持ち方、そしてチーム戦術の中で如何に振舞えばよいのかというところまで細やかな指導を受けてきた事で大きく改善されたと見ています」
「また、それらが向上したことにより、状況毎に持てる選択肢が多くなり尚且つ正しく判断ができるようになってきたので際立った活躍が見られるようになりました。これはまさに、グアルディオラ監督が情熱をもって指導してきたことがパフォーマンスに表れてきていると思います」
「もし、今のシティを苦労させるのであればと考えた時にまず思い付く事は一番影響力の低いポジション、つまり2人のセンターバックにボールを持たせるということになると思います。そして、メインとなる選手にピッタリとマークが張り付いていく、もしくは隙のないゾーンディフェンスを敷きながら相手のミスを待つという事でしょう。最終的にはスターリングのゴールで敗れはしましたが、サウサンプトンも自陣近くでの守備にはなりましたがスペースを消しながら根気強い守備で頑張っていました」
──そんなサウサンプトン戦も最終的にはシティが押し切って勝利しました
「彼らの見せてくれるもののベースには、グアルディオラ監督がもたらしたプレーモデル・コンセプトと細やかなディテールが存在していますがとはいえ彼らに特別な能力がなければ今我々が見る事ができている素晴らしいサッカーは存在しません」
「監督が求めるものを実際に表現し、チームを勝利に導いているのがシルバやデ・ブライネといった最高の選手になりますし、どれだけ守りを固められても決して慌てることなく冷静に相手チームの体力を削いでいきながら「穴」を作っていく作業を根気強く徹底して続けることができる、それはチームにロジックが存在しなければできない事です」
──何度も話に出てきているデ・ブライネは、チェルシー時代やブンデスリーガの頃と比べて、役割やプレースタイルが変化していると思いますが
「また、視野もとても広く優先順位の持ち方が正しいので、保持する時かゴールへと向かう時かの判断も正確ですしトップスピードで走る味方の足元に正確なパスを届けられる素晴らしい「目」とキックの技術を持っています。シティに来た当初は今よりもう少し攻撃的なポジションにてサイドに流れてワンタッチでクロスを入れるといったプレーが多かったと思います」
「グアルディオラ監督と出会い新しいポジションや役割を与えられましたが、とてつもなく頭の良い選手だと思うので、難しい役割を与えれば与えるほど伸びる選手だと思いますしシルバも同様です。彼らはとにかくサッカーの理解度や戦術理解度がとても高いので、グアルディオラ監督からの高いレベルの要求に対して即座に反応できるのだと思います」
──グアルディオラ監督2年目で大きく変化したと感じられている選手はいますか
「たくさんいると思います。既に話をした通りアグエロも変わりましたし、スターリングも変わりました。後ろの選手だと、オタメンディはボールを持った時に、やる気に満ち溢れているので狙いすぎてパスが引っかかることはありますが「運ぶ」「離す」の判断が昨季より良くなっていますしストーンズも頭のなかがかなり整理された様に見えます」
「またビルドアップというところでは、GKとサイドバックの選手の質が高くなったので、センターバックの選手はかなり楽になったかなと思います。そしてフェルナンジーニョも素晴らしい、彼が前後を繋ぐ役割をあれだけのレベルで果たしてくれなければこのサッカーは実現していないと思います。つまり、チーム全体に監督が求まるサッカーを実現できるだけの選手が揃ったので、誰かに負担がかかるということが減ったと思います」
「誰か1人というわけでなく、各ポジションに選手が揃ったことで相手を見て戦術的に多彩なサッカーができる様になり、各個人の成長もあり各々の持つ良さがどんどん出始めている気がします」
──ウォーカーが入ったことは今シーズンのシティにとっては非常に大きな補強だったと思いますがいかがでしょう
「課題としては自陣でのビルドアップに改善の余地が残されており、グアルディオラ監督からもそういった発言が出ています。その質をどれだけ上げていけるかというのが、ウォーカーが次のステップに進めるかのポイントかなと思います」
「対人の守備は物凄く強いですし、スピードも素晴らしいものがあるので彼が加入し守備という点では更に安定しましたね」
▽今回は、11月のプレミアリーグから5日に行われたマンチェスター・シティvsアーセナルをピックアップ。無敗で首位を独走するマンチェスター・シティ、今シーズンも3バックを採用し、[3-4-3]で戦うアーセナルについて戸田氏に分析してもらった。(※データはインタビュー実施時の12月6日現在のもの)
──シーズン開幕から4カ月が過ぎても、マンチェスター・シティが無敗でプレミアリーグ首位に立っています。11月にはアーセナル戦(11月5日/3-1で勝利)がありましたが、この試合ではアグエロが起用されました。ジェズスではなかった理由はあるでしょうか
「メンディがプレーできるようになってからは基本的には[4-3-3]を採用してきました(メンディが怪我して以降デルフが左サイドバックを務めている)が[4-3-3]こそがグアルディオラ監督が目指すサッカーを作り上げる為の最高のシステムだと考えているのは間違いありません。[4-3-3]システムがベースのシティにおいて、今シーズンのグアルディオラ監督はより重要な試合にアグエロを起用してきているなと感じていますが、マンチェスター・ダービーではジェズスが先発で出ていますし、試合・相手チームが持つキャラクターによって使い分けている部分もあるのではないでしょうか」
──今シーズンのアグエロはここまで9得点(第16節終了時点)です。グアルディオラ監督の下で1年間プレーしたことで、今シーズンはよりフィットしているという印象でしょうか

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「オン・ザ・ボールの局面にて世界最高レベルのものを見せ続けてきたストライカーですが、グアルディオラ監督の下で1シーズンプレーをした中で攻撃時のオフ・ザ・ボールの動きも増え守備のスイッチを入れるチェイシングもかなりやるようになりました」「とは言え、オフ・ザ・ボールの動きや中盤まで顔を出してビルドアップを手伝う動きについてはジェズスの方が、僕は上手いと思っています。ただ、単独での局面の打開力やシュートのレンジの広さや強さはアグエロに軍配が上がるといったところでしょうか」
「それぞれにインターナショナルレベルのストライカーで甲乙つけがたい状況ではありますが、監督の志向するスタイルを考えると2トップで起用するということはビハインドの状況以外は基本的にはないと思います」
「サウサンプトン戦(11月29日/2-1で勝利)では二人同時に起用されましたが、この時はジェズスが左のウイングで出場していました。ただ、基本的にウイングのファーストチョイスはザネとスターリングだと思うので、過密スケジュールを上手く乗り越えていく為に各選手の状態を見て上手く競わせながら進めていっている感じなのかなと見ています」
──アーセナルの守備面を考えても、アグエロの方が混乱を招くプレーができたという感じでしょうか
「アーセナル戦だけで考えると、むしろアーセナルの守備が非常に機能していたと思います。ようやく[3-4-3]の形で積極的なハイプレス、サンチェスとエジルも揃った中での前線からの積極的なチェイシングが見られそこに中盤・最終ラインが連動した速くて強い守備を見せましたしエジルが一番目立つくらい良く守備にも走り闘っていたのが強く印象に残っています」
「この試合のシティはアーセナルの果敢なプレッシングにかなり苦しめられたんじゃないかなと感じました。ただ、それでもシティには押し切ってしまうチームとしての戦術的な成熟度の高さと各選手の強さと上手さがありました」
「この試合に関してはアーセナルの方に変化、ポジティブな要素が多く見られましたが、終わってみればシティが全てにおいて凌駕してしまったという試合でした」
──アーセナルの守備の話が出ましたが、失点シーンは崩されての2点とPKによるものでした。速くて強かったという守備に問題はなかったのでしょうか

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「アーセナルは前線からの連動した強くて速い守備を見せ大いに健闘しました。実際シティはそれまでの試合に比べれば相手を圧倒することはできなかったと思います。ただし、敵陣に入っていく為の安定したビルドアップやボックスに近づく方法論、そして実際にボックス内へと侵入していく為の幾つかの形をチームとして持った上で、シルバやデ・ブライネがタクトを振るっているのが今のシティの攻撃だと思います」「チームとして持つプレーモデル、試合における具体的で実践的なゲームプラン、そしてその上で各選手が見せた柔軟性やプレーの質、それら全てにおいてシティの方が上だったなと思います。そんなシティに対してアーセナルはよく戦ったと思いますが、それでも敵わないんだなという90分でした」
「サッカーというスポーツはロジカルなスポーツなのだと考えています。もちろん選手が持つ感覚、センスも当たり前に必要ですが、11人が一つになって相手チームに対し効果的に動く為には集団としてのルールが必要です。ビルドアップ時の各選手の立ち方や敵陣でのボールの動かし方、スペースの作り方、取り方を見ればシティがロジカルなものをきちんとベースに持って毎試合闘っているチームだという事が良く分かると思います」
「相手のプレースタイルや守備の陣形、方法を正しく把握し実際の試合中にも適切に変化させながら、各選手が正しいポジショニングを取り如何に安定したポゼッションンプレーで敵陣までボールを運ぶかという事に腐心していますし、得点を奪うための効果的なボックス内への侵入という部分についてもウインガーの縦への突破、ワンツー、カットインからの斜めの飛び出し、サイドバックのオーバーラッピング、インサイドハーフによるニアゾーンを取りに行く動き、など具体的な方法論を幾つも共有する中で状況に対し適切に選び使い分けています」

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「これらの事を毎試合高いレベルで繰り返し行ってきているのを見るに間違いなく監督からの戦術的な落とし込みが行われていると思いますしそれをトップレベルの選手がしっかりと理解して見事に遂行しています。そこが例えばアーセナルとの決定的な違いであると考えていますし、それはシティ戦後のアーセナルの試合を見ていてプレッシング一つとって見ても継続性が見られないところからも間違いないと思います」「アーセナルはどちらかというと選手の技術力や創造性を生かした攻撃を見せます。例えばそれがロジカルかと言われるとそうではなく多分に即興性や再現性の低いものだという言い方にはなると思います」
「ただ、選手個々が持つ技術や即興性が時に素晴らしいコンビネーションを生むこともありますし、それがアーセナルのスタイルでありファンを魅了するところでもあり、必ずしもシティと比較をする必要もないとも言えます。ただ、昨シーズン含め実際にここまで残されている数字を比較してみると両チームには埋められない大きな差があるという事もまた事実です」
「シティのここ最近の試合を振り返るとサウサンプトン戦やハダースフィールド戦(11月26日/2-1で勝利)ではアウェイゲームということゴール前を執拗に固められ存分に苦しめられました。しかしながら、あれだけゴール前を固められても滅多にボールを失わずボックス内に侵入していく形を何度も作っていく。それは対戦相手を攻略する為の具体的な方法論をチームとして共有した中で効果的な攻撃を繰り返したという事になりますがチームとしての戦術的なコンセプト、細部にわたるディテールの構築がないとあれだけ徹底した守備に対して効果的なスペースメイク、チャンスメイクは絶対にできません」
「グアルディオラ監督が作ってきたチームなので当然戦術的にレベルの高いチームなのは間違いありませんが、とは言え選手がそこに縛られ過ぎている感じもありません。ボールを保持する時間を最大限長くする為に失った後の守備に対する準備も抜かりがなく近い距離を保ちながら攻撃を行う=守備への移行もスムースなのでそうそうカウンターからやられるシーンもありません」
「唯一、セットプレーやクロスに対する守備が若干緩いのは課題として挙げられますがこれだけ圧倒的な得点力を誇りながら守備でも最小失点という結果を引き寄せている要因はやはりロジカルなチーム作りにあり、その上で素晴らしい選手達の特徴を最大限引き出すサッカーが展開できているからこその結果だと思います」
──グアルディオラ監督が昨シーズン1年間やり、メンバーも大きく変わっていないことでの積み上げが今シーズンは大きいでしょうか
「お互いを理解し合えるようになったと監督、選手両面からポジティブなコメントが出ていますしサッカーの内容についてもエデルソンにはじまりウォーカーやメンディ、ベルナルド・シウバといったチームのレベルを引き上げる為に監督が求めた優秀な選手も加わった事でチームのレベルは更に上がりましたし陣容も豊かになっています」
「どのチームと対戦しても常にボール保持率で大きく上回りながら、ボールを保持するだけでなくゴールを目指す多彩な攻撃を見せてきているからこそのリーグ戦16連勝という大記録を達成しています。そして、現代サッカーにおいてピッチの中央から全てを作り出す事は不可能だという前提に基づき、サイドバックにも多くのお金を費やして二人のインターナショナルレベルの選手を獲得し目指すチームのプレーモデルに対してボールを保持しゴールを奪う為に必要な要素を全て揃えました」
「また、既存の選手達のレベルアップも見逃せない点で、例えばスターリングは右利きですが利き足が外側にある右のウイングでプレーしているにも関わらず、あれだけ中央に侵入して効果的な働きができているというのは状況に合わせたポジショニング、カットインするタイミング、そしてフィニッシュワークが改善、向上したからこそです」
「基本的に、ウインガーは利き足とは逆のサイドに入ってプレーした方が、縦への突破に加えカットインするとゴールに向かって利き足を使う事ができるのでプレーしやすいはずですし、一昔前とは違いサッカーが複雑化していますから、ライン際に張ったウインガーが縦に突破するという攻撃は如何にボールをウィングプレーヤーに渡すかという部分に工夫を加えないとなかなか通用しにくくなってきています」

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「しかし、シティにおいてはサネとスターリングは利き足側のサイドでプレーする事が多くなっていますが、利き足側のサイドで起用されると縦への突破がメインになりがちになる中、ワンツーやドリブル、周辺の選手達との関わりの中カットインしてくる動きも駆使し、内・外、幅広く活躍できているという事は何かが変わったという事です。つまりは、監督の求めるサッカーに対する理解が進みオフ・ザ・ボールの動きが良くなったという事でパフォーマンスの質が上がったという事でしょう」「ポジショニング、身体の向きや視野の持ち方、そしてチーム戦術の中で如何に振舞えばよいのかというところまで細やかな指導を受けてきた事で大きく改善されたと見ています」
「また、それらが向上したことにより、状況毎に持てる選択肢が多くなり尚且つ正しく判断ができるようになってきたので際立った活躍が見られるようになりました。これはまさに、グアルディオラ監督が情熱をもって指導してきたことがパフォーマンスに表れてきていると思います」
「もし、今のシティを苦労させるのであればと考えた時にまず思い付く事は一番影響力の低いポジション、つまり2人のセンターバックにボールを持たせるということになると思います。そして、メインとなる選手にピッタリとマークが張り付いていく、もしくは隙のないゾーンディフェンスを敷きながら相手のミスを待つという事でしょう。最終的にはスターリングのゴールで敗れはしましたが、サウサンプトンも自陣近くでの守備にはなりましたがスペースを消しながら根気強い守備で頑張っていました」
──そんなサウサンプトン戦も最終的にはシティが押し切って勝利しました

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「やはり、ずっと守っているだけだと今のシティ相手ではいつかは破綻します。そこがロジカルが故の強みです。常に厳しいマークを受けるシルバやデ・ブライネは特に頭が良いので、マークが付いてくるなら、自分が動くことで味方に空間を提供し結果自分たちもその見返りが受けられるようなところまで持っていく圧倒的な知性と技術を持っています」「彼らの見せてくれるもののベースには、グアルディオラ監督がもたらしたプレーモデル・コンセプトと細やかなディテールが存在していますがとはいえ彼らに特別な能力がなければ今我々が見る事ができている素晴らしいサッカーは存在しません」
「監督が求めるものを実際に表現し、チームを勝利に導いているのがシルバやデ・ブライネといった最高の選手になりますし、どれだけ守りを固められても決して慌てることなく冷静に相手チームの体力を削いでいきながら「穴」を作っていく作業を根気強く徹底して続けることができる、それはチームにロジックが存在しなければできない事です」
──何度も話に出てきているデ・ブライネは、チェルシー時代やブンデスリーガの頃と比べて、役割やプレースタイルが変化していると思いますが

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「チェルシー時代のプレーは覚えていないですが、ドイツではトップ下でプレーし真ん中から動いてスペースへと出ていくプレーが多かったです。今のデ・ブライネの特徴は、ポジション取りが良いこととオフ・ザ・ボールの動きが抜群に上手くゴールへの道筋を見つける能力に優れています」「また、視野もとても広く優先順位の持ち方が正しいので、保持する時かゴールへと向かう時かの判断も正確ですしトップスピードで走る味方の足元に正確なパスを届けられる素晴らしい「目」とキックの技術を持っています。シティに来た当初は今よりもう少し攻撃的なポジションにてサイドに流れてワンタッチでクロスを入れるといったプレーが多かったと思います」
「グアルディオラ監督と出会い新しいポジションや役割を与えられましたが、とてつもなく頭の良い選手だと思うので、難しい役割を与えれば与えるほど伸びる選手だと思いますしシルバも同様です。彼らはとにかくサッカーの理解度や戦術理解度がとても高いので、グアルディオラ監督からの高いレベルの要求に対して即座に反応できるのだと思います」
──グアルディオラ監督2年目で大きく変化したと感じられている選手はいますか
「たくさんいると思います。既に話をした通りアグエロも変わりましたし、スターリングも変わりました。後ろの選手だと、オタメンディはボールを持った時に、やる気に満ち溢れているので狙いすぎてパスが引っかかることはありますが「運ぶ」「離す」の判断が昨季より良くなっていますしストーンズも頭のなかがかなり整理された様に見えます」
「またビルドアップというところでは、GKとサイドバックの選手の質が高くなったので、センターバックの選手はかなり楽になったかなと思います。そしてフェルナンジーニョも素晴らしい、彼が前後を繋ぐ役割をあれだけのレベルで果たしてくれなければこのサッカーは実現していないと思います。つまり、チーム全体に監督が求まるサッカーを実現できるだけの選手が揃ったので、誰かに負担がかかるということが減ったと思います」
「誰か1人というわけでなく、各ポジションに選手が揃ったことで相手を見て戦術的に多彩なサッカーができる様になり、各個人の成長もあり各々の持つ良さがどんどん出始めている気がします」
──ウォーカーが入ったことは今シーズンのシティにとっては非常に大きな補強だったと思いますがいかがでしょう

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「スパーズの時は、ウォーカーの前にあえてレーンを空けて彼の攻撃力を最大限活用する形を採っていましたし毎試合かなりの回数上下動を繰り返していました。対人の強さはもちろん、敵陣に入った時のウインガーとしての仕掛けからのクロスも大きな持ち味でしたが、今シーズンはまずは安定したビルドアッププレーとタイミングを見た攻撃参加を求められていると思いますから体力的な負担もかなり少なくなり怪我のリスクが大きく軽減されているのではないでしょうか」「課題としては自陣でのビルドアップに改善の余地が残されており、グアルディオラ監督からもそういった発言が出ています。その質をどれだけ上げていけるかというのが、ウォーカーが次のステップに進めるかのポイントかなと思います」
「対人の守備は物凄く強いですし、スピードも素晴らしいものがあるので彼が加入し守備という点では更に安定しましたね」
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現在はアンジェ・ポステコグルー監督が指揮し、韓国代表FWソン・フンミンらが所属。かつては戸田和幸氏も在籍したことがあるトッテナム・ホットスパーだが、クラブは「トッテナム」と呼ばれることを望んでいない。 チーム名は「トッテナム・ホットスパー」。愛称は「スパーズ」として知られているが、「トッテナム」と称されることも多い。 「トッテナム」と言えば、「トッテナム・ホットスパー」と誰もが考える状況。イギリス『スカイ・スポーツ』もプレミアリーグの順位表などを伝える時には「Tottenham(トッテナム)」とこれまで表記してきた。しかし、ここにきて「Spurs(スパーズ)」の表記に変更されていた。 『The Athletic』によると、2月10日、クラブからプレミアリーグの放送局に通達があったとのこと。「トッテナム・ホットスパーの名称変更」というメールが届いたという。 「トッテナム・ホットスパーはクラブ名に関して説明を行った。クラブは主にトッテナム・ホットスパーとして知られるよう要請し、短縮形としてスパーズが好まれている。クラブはトッテナムと呼ばれないよう要請する」 この通達は世界中のプレミアリーグの放送局に対して送られたとのこと。プレミアリーグの公式サイトでも、「Tottenham(トッテナム)」の表記はなく、「Tottenham Hotspur(トッテナム・ホットスパー)」か「Spurs(スパーズ)」のみになったという。 そもそも、クラブは2011年以来、「トッテナム」と呼ばれることは好ましくないというスタンス。「トッテナム」とは地域の名前であり、クラブ名ではないということが理由だ。 2024年11月にリマスターされたブランドアイデンティティを発表。「ユナイテッド、シティ、ローバーズが溢れるこの世界で、ホットスパーはただ1つ、トッテナム・ホットスパーだけです。チームやブランドについて言及する際は、『トッテナム・ホットスパー』、『トッテナム・ホットスパー・フットボール・クラブ』、または『THFC』を使用してください。決して我々のクラブを『トッテナム』、『トッテナム・ホットスパーFC』、または『TH』と呼ばないでください」とのことだ。 「スパーズ」でも確かに多くの人にとっては印象付けられる一方で、世界的に見ればNBAの「サンアントニオ・スパーズ」もあり、混同される可能性もゼロではない。むしろ「トッテナム」の方が唯一無二。いずれにしても、クラブの方針としては「トッテナム」とは呼ばれなくないようなので、ファン・サポーターの方は改めて認識すると良いかもしれない。 2025.02.22 23:55 Sat2
原口元気の移籍先候補に挙がるブライトンに注目する戸田氏、プレミアの日本人選手への期待を語る《戸田和幸インタビュー⑥》
▽元日本代表で現在はサッカー解説者を務める戸田和幸氏に超ワールドサッカーがインタビューを実施。戸田氏は、2017-18シーズンのプレミアリーグに向けて、昇格組のブライトンに注目していると明かした。 ▽ブライトンは2016-17シーズンのチャンピオンシップ(イングランド2部)で2位となり、プレミアリーグ初昇格。ヘルタ・ベルリンの日本代表MF原口元気の獲得に迫っているとドイツメディアやイングランドメディアが伝えており、注目が集まっている。 ▽戸田氏にとっては、原口の移籍先候補であるとともに、自身がトッテナムに在籍していた選手時代にコーチを務めていた元アイルランド代表DFクリス・ヒュートン氏がブライトンの監督であることから、同クラブに注目したいとコメント。「何とか侵入できれば(笑)」と現地取材にも意欲をのぞかせた。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_16_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div> 「ブライトンは、クリス・ヒュートンという僕がスパーズいた頃のコーチが監督をやっているんですよ。原口元気が移籍する噂も出ていますが、監督・選手・昇格組という複数の理由で注目しています」 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_7_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「それから岡崎慎司と吉田麻也。そこに原口が行く事になるといよいよ日本人選手が3人となるので彼らの活躍にも注目したい。吉田は昨シーズン試合に出続けた中で大きな自信を掴めたと思います。岡崎の場合は正念場というか、やや難しいシーズンだったと思いますが監督が替わって以降再び出番を増やしましたが新シーズンは本人も常々口にしていますが「ゴール数」というところでどこまで伸ばすことが出来るのかの勝負になると思います」 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_7_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> <div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr>吉田がユナイテッド攻撃陣を完封!<br /><a href="https://goo.gl/CNVrtc" target="_blank">第28節 サウサンプトンvsマンチェスター・ユナイテッド</a><hr></div> <div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr>岡崎がシティ相手に華麗な一発!<br /><a href="https://goo.gl/ntBTkH" target="_blank">第37節 マンチェスター・シティvsレスター・シティ</a><hr></div>「原口については移籍したと仮定して話をさせてもらいますがブンデスで鍛えられたものがイングランドでどれぐらい通用するのか。実際イングランドにはドイツ以上に速くて強い選手はたくさんいますからどれくらいの違いを見せられるのか非常に興味深いところです」 「ブライトンのサッカーは見たことないので、逆に言うと特徴的で戦術的だったら良いなと期待しています。逆に、オーソドックスなイングランドスタイルだとすると戦力の違いがもろに出てしまう事になるので難しいシーズンになると思います。一対一の場面ばかりになって、チームとしては昇格組なのでおそらくは劣勢になり押し込まれる。ゴールまでの距離が遠い中で原口はとにかく走るという事が予想されます」 「(原口は)アジア最終予選の相手だと明確な違いを出してくれますけど、ブンデスの中となるとどうか。そしてイングランドへとなるとさらにもう1つ上がったところに飛び込む形になりますから最初は少し苦労するかもしれません。ただ、そんな事は百も承知で挑戦するわけですし選手である以上チャンスがあれば上へ飛び込んでいくべきだと僕は思うので、非常に期待しています。監督が元コーチなので、何とかブライトンに侵入できるように頑張ります(笑)。練習を見に行けたらいいなと」 <span style="font-weight:700;">――ちなみに、在籍していたスパーズは特に注視されていますか</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_7_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「特別にということはないですよ。もちろん応援はしていますけどね。僕は自分がいたクラブって思えるほど何もしていない。『OBです』だなんて絶対に言えない。心の中では、自分の人生の中の大事な1シーズンで、学んだものは本当に多かったのでその一年で感じたものを出来るだけ膨らませていけるよう生きていますけどね」 「担当した中継がスパーズの試合だったらテンションが上がるかと言われればそれは別ですね。仕事として試合を見ている時はそういった感情が沸き起こる事はありません。単純に『良い試合が見たい』とか、そういう気持ちの方が遥かに強いですよ」 2017.06.27 18:00 Tue3
相模原が戸田和幸監督解任を発表…昇格圏と3ポイント差の9位につけるもクラブが決断「感謝を忘れる事はありません」
SC相模原は19日、戸田和幸監督(46)の解任を発表した。 後任を探すまでの間、チームのヘッドコーチを務める高橋健二氏(54)が暫定的に指揮を執ることもあわせて発表されている。 日韓ワールドカップの日本代表メンバーでもあった戸田監督は、2013年に現役引退を発表するとその後は解説者として活躍する傍ら、指導者業にも注力。2022年には東京都社会人サッカーリーグ1部のSHIBUYA CITY FCでテクニカルダイレクター兼コーチを務め、昨年から相模原の指揮官に就任した。 相模原では初年度こそシーズン序盤から苦戦するも、最終的には18位でなんとかJ3残留に成功。今シーズンはここまでJ3リーグ17試合6勝7分け4敗の9位となっており、昇格圏との勝ち点差は「3」の状況だった。 相模原での通算成績は59試合17勝21分け21敗。シーズン半ばでクラブを去ることが決まった戸田監督は、関係者やファンへの感謝を述べている。 「昨日付けでSC相模原の監督としての責務から離れる事となりました。1年半前『志を高く勇敢に大胆に』という言葉と共にスタートしたこのチームで自分と一緒に成長と成果の為に努力し挑戦し続けてくれた全ての人達に心から感謝しています」 「この世界で生き抜く為には常に結果が最重要となる中で成長にフォーカス出来る事は簡単ではありませんが、昨シーズンから共に目指し闘ってきてくれたスタッフと選手達に対しては長く勝てない期間があったにも関わらず、自分からの言葉を信じて勝ち抜いていけるチームになる為の土台作りに邁進してくれた事への感謝を忘れる事はありません」 「苦しかった昨シーズンを経て構築されてきたチームとしての土台と掴み始めた自信を持って2シーズン目に入りましたが、毎日の直向きな努力が成長に繋がっている事を実感出来る17試合でした」 「今シーズンここまで積み重ねてきた勝ち点はまさに昨シーズンからの積み上げと今シーズンのチームが続けてきてくれた努力の賜物だと言えます。そして今シーズンは基準を上げて更なる成長を個人レベルから様々働き掛けも行ってきましたが、選手達はとても前向きな姿勢を持ち続け努力を続けてくれた事には感謝と尊敬の念しかありません」 「また今シーズンから新たに加わった選手達の適応と順応も各々タイミングは違えど進んできていた事は間違いなく、自分からのメッセージをしっかりと受け止めてここまで努力してくれてきた事に心から感謝しています」 「クラブからはここから先のシーズンで勝ち点を積み上げられる可能性の部分で今回の決断が下されたと説明を受けましたが、自分にこのポジションで働く機会を与えてくれ1年半監督としての自分にチームを任せてくれたクラブには感謝しています」 「そして監督として迎えていただいた自分に期待された職責から考えてクラブが求めるレベルの貢献が果たせなかった事に対して申し訳なく思っています。シーズン半ばのタイミングでクラブを離れる事となりましたが、これからのSC相模原の発展とシーズン目標の達成を心から願っています」 「最後に。昨シーズンから毎試合、若く不安も多かった若い選手達を必死に励まし支え続けてくれたサポーターの皆さん、あなた達は僕にとってまさに文字通り同志だと言える存在でした」 「あなた達があなた達でなかったなら、僕はここまで頑張っては来られなかったと思います。 若くプロとしてこれからの選手とチームを自分と一緒に励まし支えて欲しいという自分からの働き掛けに真正面から向き合ってくれたあの日から、自分と皆さんは同志となりました。 どんな時も決して選手達を非難する事なく、出来るようになる事を期待し勝利出来るようになる事を期待し、とても忍耐強く笑顔を忘れず毎試合毎試合支えてくれた事を忘れる事はありません」 「選手とチームにはあなた達が必要です、是非これからも変わらぬ皆さんでいてください。 自分を信じて共に闘ってくれた全ての人達に心から感謝しています、1年半ありがとうございました」 また、今回の監督解任について、スポーツ・ディレクター(SD)である平野孝氏も声明を発表。昇格の可能性を高めるための決断と説明している。 「今シーズンの目標であるJ2昇格に向けクラブとして今後も継続的に挑戦し続けるため、第17節を終えたこれまでの道程と現時点でのチームの状況に鑑みて総合的に判断しこの結論に至りました」 「1年半にわたり指揮を執りチームの成長に尽力していただいた戸田和幸氏には、心からの感謝と敬意を表します。ありがとうございます。クラブは更なる高みを目指してまいります。ファンサポーターの皆様、スポンサーの皆さま、クラブに関わってくださる多くの皆様におかれましては、引き続きのご支援とご声援を頂戴できますようよろしくお願いいたします」 2024.06.19 11:35 Wed4
【特集】元日本代表MF戸田和幸氏が2016-17シーズンのプレミアベスト11を選定!《戸田和幸インタビュー①》
▽現役時代は日本代表として2002年の日韓ワールドカップに出場し、現在はサッカー解説者を務める戸田和幸氏。今回、超ワールドサッカーがインタビューを実施し、2016-17シーズンにおけるプレミアリーグのベストイレブンを選出していただいた。 ▽戸田氏は主にセンターバックやサイドバック、セントラルMFを主戦場とした現役時代、清水エスパルスやサンフレッチェ広島などでプレー。2002年の日韓ワールドカップでは日本代表のレギュラーとして出場し、2003年にはトッテナム、2004年にはADOデンハーグでプレーした。 ▽その後、国内にもどりJリーグでプレーした他、韓国やシンガポールでもプレー。2013年の引退後、現在は解説者として多くのメディアに登場し、明瞭な口調や繊細な戦術分析が魅力の解説者・戸田氏が選ぶ2016-17シーズンのプレミアリーグ・ベストイレブンとは──。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_10_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div><span style="font-weight:700;">――まず、ベストイレブンを選定するにあたって、ご自身なりの方法はありましたか</span> 「フォーメーションありきで選ぶ必要があるのかな? と思ったので、システムで選手を選ぶのではなく、選手から選定していきました。11人だったんですけど、セカンドチームまで選んでしまいました(笑)」 <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">GKダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド/スペイン)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「GKはデ・ヘアです。優勝したGK(ティボー・クルトワ/チェルシー)でも良かったんですけどね。全試合見ているわけではありませんが、まずはやはり安定感。ずっと安定して高いレベルでプレーしている。トータルバランスが良く、弱点がないですよね」 「どこかに移籍する可能性もある? レアル・マドリーの噂がありますね。(ウーゴ・)ロリスも良いGKですけど、安定感と全体のバランスでデ・ヘアにしました」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>デ・ヘアがビッグセーブ連発でゴールマウス死守<br /><a href="https://goo.gl/nMtfi7" target="_blank">第8節 リバプールvsマンチェスター・ユナイテッド</a><hr></div> <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">DFカイル・ウォーカー(トッテナム/イングランド)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「右サイドバックは、(ナサニエル・)クラインと迷いました。クラインは基本的な事をしっかり行えて余計なことはしない。対人プレーに強く、カバーリングもできる。トータルバランスが良いですね。一方、ウォーカーは敵陣でのプレーに特長があります。ビルドアップのパス出しのところは少し苦手だと思います。ただ、オーバーラップのスピードと自陣に戻るスピードがまったく変わらない」 「両SBが積極的に攻撃参加をするというスパーズの戦い方もありますが、それが可能となっているのも彼がいてこそです。ウインガーと同じ突破力があり、クロスも質が高い。対人も強いし、チームにもフィットしている。チームの成績も含め考えるならウォーカーです。クラインも甲乙がつけがたいぐらい安定感がありましたけどね」 <span style="font-weight:700;">――終盤はDFキーラン・トリッピアーとのポジション争いで劣勢になりました。移籍の噂もありますが?</span> 「トリッピアーはキックの質が非常に高いですがトータルで見たらウォーカーには敵わないと考えているので何か違う理由があったんじゃないでしょうか。非常に評価が高い選手なので大きなクラブからのオファーがあったとしても不思議ではないですよね。選手のキャリアは短いので、さらに大きなクラブで自分のキャリアを完成させたいという思いもあるかもしれません。ムラッ気もないですし、凄く良い選手だと思います」 <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">DFトビー・アルデルヴァイレルト(トッテナム/ベルギー)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「センターバックはダビド・ルイスと(トビー・)アルデルヴァイレルトです。(ヤン・)ヴェルトンゲンも良かったですが、アルデルヴァイレルトがいてこそだと僕は感じます。能力的にはアルデルヴァイレルトの方が高いと思います。ヴェルトンゲンとはコンビとして非常に機能していた。現地でも見ましたが、サイズもそうだし、身体の動き、質の高いロングボールを蹴ることもできる文句のつけようがない選手ですね」 <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">DFダビド・ルイス(チェルシー/ブラジル)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「4バックではなく3バックでやっていましたけど、ここでは度外視して選択しました。パフォーマンスレベルが高かったと思いますし、この人がいなかったらチェルシーのあの形(3バック)はなかったと思います」 <span style="font-weight:700;">――チェルシー復帰当初は懐疑的な見方もありました</span> 「でも、3バックの真ん中なら彼じゃないとできなかったと思います。生粋の4バックのセンターバックだと、逆に言えば3バックの真ん中は務まらないので。カバーリングの動きも違うし、ボールも出せなきゃいけない。その上で守れなければならない」 「元々、攻撃が好きな選手だし、4バックのセンターバックとしては枠に収まりきれないような選手なので。でも、コンテとやってから試合の駆け引きを学んだと思いますよ。シーズンを通して堅実さも身に付いたと思いましたし、攻撃のセンスがあり、人(対人プレー)にも強い。凄く良いシーズンだったと思います」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>D・ルイスがソリッドな守備に加え、直接FK弾<br /><a href="https://goo.gl/HQQpxK" target="_blank">第23節 リバプールvsチェルシー</a><hr></div> <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">DFセサール・アスピリクエタ(チェルシー/スペイン)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「彼は絶対に守備を間違えない。ポジショニングも完璧。絶対にさぼらない。対応もほぼ間違わない。スパーズに負けたとき(※1月4日のチェルシーが0-2で敗れた試合)、2つのクロスで失点に関与しました。(ヴィクター・)モーゼスとの間でデレ・アリにヘディングで決められたシーンのように、高さの部分(弱点)はありますけどね。でも、(ジョゼ・)モウリーニョも絶賛していた選手だし、堅実です。希望的観測で動かない」 「基本に忠実ですね。そのうえで展開も読めて、相手の嫌なことができる。それでいてダーティーではない。点は獲らないけど、攻撃のセンスがないわけでもない。彼のような選手は地味って言われるんですかね? 僕は逆にこういう選手を紹介して、選手を目指す人も含めて、日本の人たちに、『ディフェンスはこういう風にやるんだよ』というのを教えたいですね」 <span style="font-weight:700;">――そのあたりが今シーズン3バックのストッパーをこなせた理由でもあるのでしょうか?</span> 「欠点と呼べるものは高さだけですから。ただ、自分に高さがないということを理解しており、その上でプレーを選択できる非常に賢い選手です。高さの部分が露呈して失点したのもスパーズ戦ぐらいではないでしょうか。確かに、ウィークポイントにもなり得ますが、クロスを上げさせないようにすればいいわけですからね。チェルシーで言えば(守備に戻れる)モーゼスがいますし」 「特にプレミアなので、サイズのなさが欠点に思われがちですが、実際にどれだけ狙われたのかといえば、そうでもない。自分たちがしっかりと誘導してボールを奪えば良いわけです。チェルシーは中盤の中央の2枚(エンゴロ・カンテ、ネマニャ・マティッチ)が堅く、後ろの5枚も完全に構えるのではなく、スライドしながらボール中心に守備ができていました。アスピリクエタの高さは欠点になり得ますが、長いシーズンで見れば取るに足らないことです。メリットの方が遥かに大きかった」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>珍しくアスピリクエタの弱点が露呈した試合<br /><a href="https://goo.gl/KzY8JQ" target="_blank">第20節 トッテナムvsチェルシー</a><hr></div> <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">MFエンゴロ・カンテ(チェルシー/フランス)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「凄いの一言です。どうやってもカンテはベストイレブンから外しようがないです。昨シーズンのレスターでの優勝に続きこれでプレミアリーグ2連覇ですね。とにかくカバーエリアが広いですし、守備の意識が高く、またあそこまで速く走れる選手はなかなかいない」 「基本に忠実でサボらない。現地でも見ましたが、コーチングはせず黙々と自分の仕事に徹しています。自分に与えられた役割を忠実に遂行する。誰かに何を言うわけでもない。目の前の状況に対して自分がやらなければならないことを常にやっている。凄いなぁと思います。しかしながら意外と攻撃が好きそうなところもあって素晴らしいミドルシュートを決めたりもしますがそこが(クロード・)マケレレとは違うかなと思います。守備だけでなく攻撃もという意味でマケレレよりも幅がある選手かもしれませんね」 <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">MFヴィクター・ワニャマ(トッテナム/ケニア)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「強すぎます。あの大きさで動ける。実は技術的にもしっかりしているし、ロングフィードとかはあまりないですが、身体能力に頼りきりではなくポジショニングも良い。ゴツくて、パワーがあって、それでいて走れる選手。ポチェッティーノ監督のサッカーにも合っていると思いますし、凄く良いシーズンを送ったと思います」 <span style="font-weight:700;">――最近は再び、カンテやワニャマのようなボールを奪える選手の希少価値が上がっていますね?</span> 「そうですね。特にワニャマなんかは、サウサンプトンなんかでもプレーしていましたが、ボールを刈ることがメインで使われているわけでもないと思います。しっかりとポジションを取ってボールを動かせる選手。その意味ではカンテの方が、(ボール奪うことが)メインですよね」 <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">MFデレ・アリ(トッテナム/イングランド)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「この選手は3列目ではなく、やはり2列目にて最も能力を発揮する選手ですね。練習も見させてもらいましたが感覚でプレーする選手です。性格的にも明るいですし練習中も隙あれば練習中にちょっかいを出すような選手です」 「この選手はボックス内に入るタイミングやコース取りがとにかく上手い。これは天性のものだと思います。またワンタッチも多く、ミドルシュートも持っている。サイドに流れてのチャンスメイクも非常に上手く、数秒先を予測出来ているかのような動きでボックス内にスーっと入っていきトンと決めてしまう」 「アタッカーとして状況をガラリと変えられるほどのドリブルがある(上手い)わけではありませんがタイミングで相手をかわしていくのが上手いです。また上背もあってヘディングも上手。ボックス周辺からボックス内のところで輝ける特別な能力を持った選手だと思います。実際に素晴らしい結果も残していますしね」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>デレ・アリがゴール&PK奪取!<br /><a href="https://goo.gl/J5F45W" target="_blank">第7節 トッテナムvsマンチェスター・シティ</a><hr></div> <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">MFエデン・アザール(チェルシー/ベルギー)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「素晴らしいシーズンだったんじゃないでしょうか。全試合見られたわけではありませんが現地でアーセナルとの試合で、凄まじいドリブルからシーズンのハイライトとなる衝撃的なゴールを奪いましたよね。(調子を落とした)昨シーズンはモチベーションとか、フィットネスの部分もあったのかもしれません。今季は淡泊さが全く消えましたし、意欲に満ち満ちていた。アザールの場合は上手くて速くて身体も強いのでプレミアで活躍する要素は全てを兼ね備えていますし実際に大きな違いを見せた試合も多かったと思います」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>戸田氏も観戦したアザール圧巻弾のアーセナル戦<br /><a href="https://goo.gl/Lr88xK" target="_blank">第24節 チェルシーvsアーセナル</a><hr></div> <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">MFペドロ・ロドリゲス(チェルシー/スペイン)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「アザールと(ジエゴ・)コスタという、攻撃面で大きな違いを見せられるが守備はやや免除されているという選手たちをサポートしつつ攻撃面で共存できる選手という意味でペドロは絶対に欠かせない選手でしたし素晴らしい働きをしたと思います。ウィリアンも素晴らしい選手ですがメインの二人をと考えるとどうしても守備面で弱くなってしまうのでコンテ監督はペドロを重宝したのだと思います。彼がどれほど守備に貢献しているかをどれだけの人が見ているのかは分かりませんがアタッカーの仕事をしながら、自分がロストしようがチームメートがロストしようが状況関係なくしっかり切り替えてスプリントでプレスし自陣までも苦も無く戻ります」 「身体は全く大きくありませんからフィジカル勝負になったときは負けてしまうことが多いですがペドロの場合は瞬間で相手から離れてボールを受ける動きが抜群に上手い。更には両足を使ってドリブルも出来る。攻撃面でも凄く良かったですが、今季のチェルシーの固い守備を機能させるという意味で攻撃陣の中では一番はずせなかった選手かもしれません」 「単純な能力の比較だったらひょっとするとウィリアンの方が上かもしれません。しかしコスタとアザールを使うのであれば(セカンドストライカーの)逆は絶対にペドロじゃなければダメだったと思います。ウィリアンではなくペドロの出番が増えていったのはそういった理由もあると思います。もともとそういった仕事をバルセロナでもしてきた選手ですがペドロもそれは十分理解していたと思いますよ」 「 (今季のチェルシーは) 本当にコンテがやりたいサッカーではなかったと思います。もっと全員で守備面を含めて、運動量をシェアしながら相手をハメにいくような守備をしたかったはずです。しかしいる選手をできるだけ有効に活用するというのは、勝てるチームを作る絶対的な条件だと思うので、そういう意味では型にはめ込み過ぎなかったのが良かったのだと思います」 「現地で観戦した時に見たコンテ監督のリアクションを見ていても、1番前の選手(ジエゴ・コスタ)に関してはもっと言いたいことがあったと思います。それでも点は獲ってくれるので使っていたと思いますし今シーズンコスタ以上の働きが出来るCFはいませんでしたから。そのあたりも含め、ペドロは(コンテにとって)外せない選手だったと思います。加えて僕の視点を抜きにしても、攻撃面でしっかりと違いを見せていたと思います」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>ペドロの存在価値が分かる一戦!<br /><a href="https://goo.gl/esjuot" target="_blank">第13節 チェルシーvsトッテナム</a><hr></div> <span style="font-weight:700;">――ペドロも昨シーズンは乗り切れていませんでした</span> 「移籍当初は素晴らしかったですが、少しずつモウリーニョのサッカーが硬直していった中でどんどん個に頼るようになっていきました。もちろんペドロは個人としてのプレーもできますがグループでのプレーが抜群に上手い選手。自分が動いて誰かをフリーにすることや、誰かが動いたのを見て入っていく、入った瞬間にボールを受けてそのままフィニッシュするとか、動きながらプレーするのが抜群に上手い」 「それがどんどんチェルシーのサッカーが硬くなっていって、全体としてサッカーが足元だけになっていって、オフ・ザ・ボールの動きが消えていきみんなが自分で何とかしようとする形になっていく過程でペドロも少しずつ上手くいかなくなっていったと思います。『良さが消えていった、苦労しているな』と思って見ていました。ですから彼にとっては監督が変わった事はとても大きな出来事だったのではないでしょうか。まさに水を得た魚という表現がぴったりな活躍だったと思います」 <span style="color:#cc3300;font-weight:700;">FWハリー・ケイン(トッテナム/イングランド)</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/toda20170617_1_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>「デレ・アリとのコンビというだけではなく、単純なパフォーマンスでの選出です。全く欠点がない。ポストプレー、チャンスメイク、ミドルシュート、クロスの合わせ方、キックも両足上手い。『そりゃ点獲るわな』という」 「他にもコスタや(ロメル・)ルカク、(セルヒオ・)アグエロと素晴らしいストライカーがいる。でも、トータルで見てケインは素晴らしい。レアル・マドリーでもプレーできるだけのポテンシャルは持っていると思います」 「ケインのミドルシュートは一般的な真っすぐ飛んでいく綺麗なものではなく、あえてGKの手前でバウンドさせたりしますがあれは意図的に狙って蹴っていると思います。プレーしているチームがコレクティブなサッカーを志向しているスパーズだということもあるかもしれませんが、しっかり前線で守備もしますし本当にトータル的に(能力が高い)」 「唯一足りないのが爆発的なスピードだと思いますが、それが問題になるとは思いません。(ロベルト・)レヴァンドフスキと同じようにトータル的にバランスが取れた凄いストライカーだと思います。今季もそうだったと思いますが(シーズン中に)1点目を獲るまでにやや時間がかかりますが、最終的には得点を量産しましたね」 「オフシーズンゆっくりして来シーズンも(活躍)できれば、スパーズで続けるのもいいでしょうが、僕はイングランドの選手がほかのリーグに行ってもいいと思うし、そういう部分が必要だと感じています。その意味だと可能性は無限に秘めている選手と思います」 <div style="text-align:center;font-size:12px;" id="cws_ad"><hr>ケインが岡崎の前で4ゴールの活躍<br /><a href="https://goo.gl/Uqbc17" target="_blank">第34節 レスター・シティvsトッテナム</a><hr></div> <span style="font-weight:700;font-size:12px;">◆惜しくもベストイレブンを逃した戸田氏のセカンドチーム</span> <span style="font-size:12px;">GK ティボー・クルトワ(チェルシー/ベルギー) DF ダニー・ローズ(トッテナム/イングランド) ヤン・ヴェルトンゲン(トッテナム/ベルギー) ギャリー・ケイヒル(チェルシー/イングランド) ナサニエル・クライン(リバプール/イングランド) MF セスク・ファブレガス(チェルシー/スペイン) ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ/スペイン) フィリペ・コウチーニョ(リバプール/ブラジル) アレクシス・サンチェス(アーセナル/チリ) リロイ・ザネ(マンチェスター・シティ/ドイツ) FW ロメル・ルカク(エバートン/ベルギー)</span> ※23日はインタビュー第2弾を公開! 戸田氏が選ぶ2016-17シーズンのプレミアリーグMVPは!? 2017.06.22 18:00 Thu5