【戦術分析】万能型同士が激突! 試合の趨勢を左右する両指揮官の采配《ユベントスvsレアル・マドリー》
2017.06.02 20:00 Fri
▽チャンピオンズリーグ(CL)決勝、ユベントスvsレアル・マドリーが日本時間3日27:45にカーディフにあるミレニアム・スタジアムでキックオフされる。21年ぶり3度目の欧州制覇を目指すビアンコネーロと、史上初の連覇で歴代最多優勝記録(12回)更新を狙うエル・ブランコによる、全世界注目の頂上決戦だ。ここでは注目の一戦のタクティカルプレビューを紹介する。
◆自慢の守備に託し、狙いは堅守速攻か
▽今季は後半戦に入って定着した[4-2-3-1]を始め、[4-3-1-2]、[4-3-3]、[4-4-2]など複数のシステムを使い分けているアッレグリ監督だが、[4-3-1-2]の採用が濃厚なマドリーに対して、いずれの布陣を採用するかに注目が集まる。能動的に試合を進めるのであれば、FWイグアイン、FWディバラ、FWマンジュキッチ、MFクアドラードと4人のアタッカーをピッチに送り込む[4-2-3-1]が最も適当だ。その一方で、一発勝負のリスクを考慮するならば、相手の2トップに対して最終ラインで数的優位を保って守れる[3-4-2-1]を採用することになるはずだ。そのほかでは、準決勝のモナコ戦で採用した局面に応じて3バックと4バックに並びが変わる可変システムも、相手の目先を変えるうえで面白いオプションだ。
▽ただ、いずれのシステムを採用するにしても、基本となる戦い方は一糸乱れぬコンパクトな守備ブロックと、世界最高の守備ユニットを生かした堅守速攻スタイルだ。その中で前から圧力をかけて相手にプレッシャーをかける時間、ボールを保持して休む時間など、時間帯に応じて戦い方にメリハリを付けることが重要となる。理想形は立ち上がりのハイプレスで相手を圧倒し、後半立ち上がりのセットプレーで突き放した準々決勝1stレグ、バルセロナ戦の戦い方だ。
◆準決アトレティコ初戦の再現を
▽したがって、ユベントスにボールを持たれるより、カウンターに脅威を感じるならば、躊躇なくボールの主導権を譲り、FWクリスティアーノ・ロナウドやFWベンゼマら前線の個の力を最大限に生かしたロングカウンターを軸にゲームプランを組み立てるはずだ。ただ、今季のCLで宿敵バルセロナがディバラやイグアインらの個の力に屈したことや、ここまでのCL12試合で無失点試合がわずかに1試合という事実を考えれば、マドリーが極端に守備的に戦うメリットは少ない。そのため、ジダン監督はイスコをトップ下に配した[4-3-1-2]の布陣でボールの主導権を握る戦い方で臨むはずだ。
▽ユベントスはアトレティコ同様にコンパクトな守備ブロック、的確なスライド、個々の判断力が抜群と非の打ちどころがない、まさに難攻不落の堅守を持つチームだ。その相手に対して、いつものようにイスコを起点にボールを動かして崩し切る形は難しい。しかし、前線に高さや強さがなかったバルセロナやモナコと異なり、マドリーの前線には圧倒的な高さと強さ、決定力を併せ持つC・ロナウドという強烈なストロングポイントがあり、シンプルなクロスなど力業でゴールをこじ開けられる可能性は十分にある。
▽その一方で、イスコの起用が活きてくるのが、守備の局面。豊富な運動量やキープ力で常にパスコースを提供してくれる同選手の存在によって、中盤での数的優位が作れるため、MFクロースやMFモドリッチらが必要以上にプレッシャーを感じずにボールを捌ける。これにより、バルセロナやモナコが陥った不用意なボールロストからの被カウンターを減らせるだけでなく、守る時間自体を少なくできる。さらに、守備意識が高いイスコが中盤の守備ラインに参加することで、よりソリッドな対応ができる。
▽マドリーとしては、そのイスコ起用が当たった今季のCL準決勝1stレグ、アトレティコ戦のように相手のプレスを無効化するボールポゼッション、C・ロナウドを起点にやり切る攻撃、攻撃から守備の切り替えの徹底で難敵撃破を果たしたい。
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◆真っ向勝負か、消し合いかGetty Images
▽共にポゼッションスタイル、カウンタースタイルのいずれにも対応できる非常にバランスの取れたチーム同士の対戦となるため、両指揮官によるゲームプランが試合の趨勢に大きな影響を与えることになりそうだ。とはいえ、前大会王者であり格上と目されるマドリーに対して、臨機応変な対応を得意とするユベントスがアジャストしていく展開が予想される。その中でマドリーが、MFイスコらの持ち味を生かしたポゼッション勝負で真っ向勝負を挑むのか、アトレティコ・マドリー戦のように相手にボールを持たせてカウンターを狙うのか、古巣対戦となるジダン監督の采配に注目が集まる。Getty Images
▽国内リーグでは常にボールを保持する能動的な戦いを志すユベントスだが、今季のCL準々決勝バルセロナ戦のように格上との対戦では、全体の重心を下げて堅固な守備ブロックで迎え撃つ戦い方を採用することが多い。バルセロナやバイエルンと比肩するポゼッション力を持つマドリーとの対戦でも、同様のアプローチで臨む可能性が高い。▽今季は後半戦に入って定着した[4-2-3-1]を始め、[4-3-1-2]、[4-3-3]、[4-4-2]など複数のシステムを使い分けているアッレグリ監督だが、[4-3-1-2]の採用が濃厚なマドリーに対して、いずれの布陣を採用するかに注目が集まる。能動的に試合を進めるのであれば、FWイグアイン、FWディバラ、FWマンジュキッチ、MFクアドラードと4人のアタッカーをピッチに送り込む[4-2-3-1]が最も適当だ。その一方で、一発勝負のリスクを考慮するならば、相手の2トップに対して最終ラインで数的優位を保って守れる[3-4-2-1]を採用することになるはずだ。そのほかでは、準決勝のモナコ戦で採用した局面に応じて3バックと4バックに並びが変わる可変システムも、相手の目先を変えるうえで面白いオプションだ。
▽ただ、いずれのシステムを採用するにしても、基本となる戦い方は一糸乱れぬコンパクトな守備ブロックと、世界最高の守備ユニットを生かした堅守速攻スタイルだ。その中で前から圧力をかけて相手にプレッシャーをかける時間、ボールを保持して休む時間など、時間帯に応じて戦い方にメリハリを付けることが重要となる。理想形は立ち上がりのハイプレスで相手を圧倒し、後半立ち上がりのセットプレーで突き放した準々決勝1stレグ、バルセロナ戦の戦い方だ。
▽前線と中盤を行き来して局面での数的優位を作り出す相手の要注意プレーヤー、イスコの対応に関しては、センターバックとセントラルMF2枚の間でのマークの受け渡しが重要だ。とはいえ、個人の守備戦術に長けたユベントスの選手であれば、問題ないはずだ。攻撃に関してはサイドで高さのミスマッチを作れるマンジュキッチへのロングボール、嫌らしいポジショニングで味方から縦パスを引き出すアルゼンチン代表コンビのポストプレーを軸に、サイドに偏らない攻撃の形を作りたい。
◆準決アトレティコ初戦の再現を
Getty Images
▽一方、ボールを保持して相手を圧倒する攻撃的なスタイルを最大の売りとするマドリー。しかし、ユベントスでの現役時代にリアリスティックなフットボールを学んだジダン監督は、昨季CL決勝のように相手にボールを持たせて“強者のカウンター”で勝ち切るなど、伝統のスタイルに固執しない柔軟な采配を見せている。▽したがって、ユベントスにボールを持たれるより、カウンターに脅威を感じるならば、躊躇なくボールの主導権を譲り、FWクリスティアーノ・ロナウドやFWベンゼマら前線の個の力を最大限に生かしたロングカウンターを軸にゲームプランを組み立てるはずだ。ただ、今季のCLで宿敵バルセロナがディバラやイグアインらの個の力に屈したことや、ここまでのCL12試合で無失点試合がわずかに1試合という事実を考えれば、マドリーが極端に守備的に戦うメリットは少ない。そのため、ジダン監督はイスコをトップ下に配した[4-3-1-2]の布陣でボールの主導権を握る戦い方で臨むはずだ。
▽ユベントスはアトレティコ同様にコンパクトな守備ブロック、的確なスライド、個々の判断力が抜群と非の打ちどころがない、まさに難攻不落の堅守を持つチームだ。その相手に対して、いつものようにイスコを起点にボールを動かして崩し切る形は難しい。しかし、前線に高さや強さがなかったバルセロナやモナコと異なり、マドリーの前線には圧倒的な高さと強さ、決定力を併せ持つC・ロナウドという強烈なストロングポイントがあり、シンプルなクロスなど力業でゴールをこじ開けられる可能性は十分にある。
▽その一方で、イスコの起用が活きてくるのが、守備の局面。豊富な運動量やキープ力で常にパスコースを提供してくれる同選手の存在によって、中盤での数的優位が作れるため、MFクロースやMFモドリッチらが必要以上にプレッシャーを感じずにボールを捌ける。これにより、バルセロナやモナコが陥った不用意なボールロストからの被カウンターを減らせるだけでなく、守る時間自体を少なくできる。さらに、守備意識が高いイスコが中盤の守備ラインに参加することで、よりソリッドな対応ができる。
▽マドリーとしては、そのイスコ起用が当たった今季のCL準決勝1stレグ、アトレティコ戦のように相手のプレスを無効化するボールポゼッション、C・ロナウドを起点にやり切る攻撃、攻撃から守備の切り替えの徹底で難敵撃破を果たしたい。
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