【リーガエスパニョーラ第29節プレビュー】上位陣は格下と対戦もFIFAウイルスの影響懸念

▽インターナショナルウィーク前に行われた第28節では、首位レアル・マドリーと2位バルセロナが揃って勝利。また、4位アトレティコ・マドリーと3位セビージャの対戦となったビッグマッチは、アトレティコが完勝している。その他では、トップ4浮上を目指す6位ソシエダや5位ビジャレアルが格下相手に手痛い黒星を喫し、上位との勝ち点差が開いてしまった。

▽2017年最初のインターナショナルウィーク後に行われる今節は、上位陣が揃って格下と対戦する。だが、リーガの上位陣は熾烈なロシア・ワールドカップ(W杯)南米予選の2試合を戦った南米のスタープレーヤーを多く抱えていることもあり、FIFAウイルスの影響が懸念されるところだ。

▽1試合未消化ながら2位バルセロナ(勝ち点63)と2ポイント差で首位に立つレアル・マドリー(勝ち点65)は、10位アラベスとのホームゲームに臨む。前節、ソシエダを破るなど、2連勝中のアラベスとはいえ、普通に戦えば、レアル・マドリーの勝利は堅い。だが、FWベンゼマを除いて主力のほとんどが各国代表に招集されており、コンディションやモチベーションなど、敵は内にある。ジダン監督としては選手のコンディションを見極め、控え選手の抜擢など、得意の用兵術できっちり勝ち切りたいところだ。
▽そのレアル・マドリーを追うバルセロナは、3連敗中の19位グラナダとのアウェイゲームに臨む。レアル・マドリーと同様にいつも通りに戦えば、間違いなく勝ち点を取りこぼすことはない。しかし、今節は累積警告で絶対的エースのFWメッシが欠場となり、南米予選帰りのFWスアレス、FWネイマールの状態も懸念される。また、中2日でセビージャとのビッグマッチを控えており、出場停止にリーチが懸かるDFピケや連戦でのプレーに不安を抱えるMFイニエスタ、MFブスケッツらの起用にも細心の注意を払う必要がある。ルイス・エンリケ監督としては、休養十分のFWパコ・アルカセルなど、出場機会の少ない選手を抜擢し、早い段階で試合を決めたいところだ。

▽前節、アトレティコとのビッグマッチに完敗したセビージャは、直近の公式戦4戦未勝利と厳しい時間を過ごしている。そして、次節のバルセロナ戦を前に勝利を取り戻したいチームは、ホームで18位スポルティング・ヒホンと対戦する。前述の2強に比べ、代表選手が少ないセビージャだが、最終ラインの主軸を担うDFラミやDFメルカドが負傷を抱えて戻ってくるなど、盤石の状態とは言い難い。また、ここ最近の試合ではサンパオリ監督の選手起用を含めた用兵がハマっておらず、とりわけ前半の戦いに問題を抱えている。したがって、今回のスポルティング・ヒホン戦では前半の戦いぶりに注目したい。▽セビージャに完勝して本来の勢いを取り戻しつつあるアトレティコは、リーグ4連勝を目指して15位マラガと対戦する。レアル・マドリーとバルセロナと同様にインターナショナルウィーク明けでコンディションに不安を抱えるアトレティコだが、対戦相手のマラガは直近の5試合で4敗1分けと絶不調。唯一気になる点としては、前々節からマラガの新監督に就任したレアル・マドリーOBのミチェル監督。今回の中断期間を通じて、かつてのライバル撃破に向けて並々ならぬ意気込みを持っているだけに、アトレティコの長所を封じる何らかの策を講じてくるかもしれない。

▽その他の注目カードでは、5位ビジャレアルとMF乾貴士が在籍する8位エイバルの上位対決。前節、ラス・パルマス相手に敗れ、連勝が「3」でストップしたものの、ヨーロッパリーグ敗退に伴い、過密日程から解放されたビジャレアルは、好調を維持。一方のエイバルは、直近4試合未勝利と苦戦が続いている。とりわけ、直近2試合は先制しながらも2点目を奪えず、後半に追いつかれるという拙い試合運びが目立っている。リーガ最少失点(20失点)のビジャレアルを相手にする今回の一戦は、間違いなく僅差の試合となるだけに、ここ最近の課題をきっちり克服したい。また、2試合連続先発中の乾には、堅守ビジャレアル相手の今季初ゴールを期待したい。