【日本サッカー見聞録】リオ五輪のこぼれ話

2016.08.18 19:20 Thu
Getty Images
▽リオ五輪も残すは3位決定戦と決勝戦のみとなった。その決勝は、ブラジルvsドイツという因縁の好カード。ブラジルとしては2年前のW杯で1-7と惨敗した屈辱を晴らす、またとない絶好の機会でもある。まさに「舞台は整った」と言えよう。
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▽五輪の取材は2008年の北京以来だが、北京でのサッカー会場は天津や遼寧といった北京近郊の都市だったし、北京にも滞在したためメインメディアセンターにも何回か足を運んだので、五輪の雰囲気を楽しむことができた。しかし“リオ五輪”とは言うものの、日本の試合会場はマナウス、サルバドールの2会場だったし、グループリーグを2位で突破した場合のサンパウロにも滞在したが、五輪の雰囲気はまるで感じられなかった。▽それらの3都市ではサッカーしか行われないから当然と言えば当然だし、五輪のサッカー競技は各グループとも同日に行われるため、日本以外の試合をテレビで見られる機会はない。W杯ならグループリーグ期間中は連日のように試合があるため、他国の試合をテレビ観戦することができる。ここらあたりも、五輪は都市開催、W杯は国開催の違いといったところだろう。
▽やはり五輪の雰囲気を満喫するには、リオに行くしか方法はないようだ。そのリオだが、連日のように強盗などの被害がニュースになっている。「五輪に行く」と言うと、多くの知人・友人から温かい忠告を頂いたが、マナウスは田舎のためか身の危険を感じることはほとんどなかった。日本の練習取材のためにタクシーに乗ったら、運転手がICレコーダーを取り出し、「日本人の忘れもだから返して欲しい」(と言っていたと思う)と手渡された。海外取材で初めての経験でもある。

▽さすがにサルバドールは2年前のW杯で同業者がひったくりに遭い、逃げようとして肘を骨折したことがあったため警戒せざるを得なかった。サルバドールはリオと同様、海岸沿いのビーチが美しいリゾート地。やはり観光客が集まる所は、強盗などの物騒な輩が出没するのだろう。日本食のレストランで久々の和食を堪能した帰り道、歩いてタクシーを拾おうとしたらお店のママから忠告された。
▽彼女いわく、「2年前からブラジル経済は閣僚の汚職で悪化し、お店がどんどん潰れている。そのため強盗が増えた。彼らは拳銃を持っているので、絶対に抵抗してはいけない。抵抗したら、彼らは怖くなって撃つ。移動には必ずタクシーを使いなさい」とアドバイスしてくれ、タクシーを拾うまで炎天下で付き合ってくれた。

▽2年前のW杯は、連日、日本の練習取材のためサンパウロ郊外(と言ってもバスで1時間かかる)のイトゥと試合会場への移動の往復のため、現地の人と触れ合う機会はほとんどなかった。五輪はW杯に比べて日程的に余裕がある。これはこれで、いいのかもしれないと思った。残念なのは、日本がグループリーグで敗退したことだった。

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