【日本サッカー見聞録】パフォーム社との放映権契約(2)

2016.07.27 17:30 Wed
©超ワールドサッカー
▽今週は先週に引き続き、来シーズンからJリーグはパフォーム社と放映権契約を結んだが、スマホやタブレットでJリーグの試合をファンがライブ観戦できるメリットにどんなものがあるのか紹介しよう。

▽そもそもの発想はアメリカのMLBを参考にしている。MLBでは球場内のwi-fi環境を整備し、複数台のカメラでベンチだけを撮影したり、ファンだけを撮影したりしている。Jリーグもそうしたマルチ映像に加え、プレーバック機能を使ってゴールシーンをリプレイしたり、解説者のオリジナル分析を聞いたりするなど、目の前で繰り広げられる熱戦に加え、様々な情報をリアルタイムで選択して視聴できることで、観戦スタイルの幅が大きく広がることが予想される。

▽さらに放映権料の増加(年間50億円が4倍強の210億円になり、さらに地上波とBS放送権料の増加も見込まれる)により、各クラブへの分配金を増やし、大物外国人選手の獲得をJリーグが資金的にサポートしたり、経営基盤の強化につなげたりするメリットもある。これまでJFA(日本サッカー協会)と比較して放映権料やスポンサー契約、入場料収入で脆弱だったJリーグだが、これでやっと対等な立場になったと言えるかもしれない。
▽この契約に関してJリーグの村井チェアマンは「日本のスポーツ界初と言える長期大型の放映権契約であり、日本のスポーツ産業が有力なコンテンツとして、海外から投資対象と認識いただけたものと考えております」とコメント。先駆者的な役割を果たすところは、元リクルート社出身だけにフットワークの軽さと大胆な決断のなせる技だろう。一方、パフォーム社はサッカーをきっかけに、今後は野球、テニス、バスケット、ラグビー、モータースポーツ、総合格闘技でも同じようなサービスを展開する予定でいる。

▽「DAZN(ダ・ゾーン)」が提供するサービスの概要(値段や加入方法など)は今年の夏に発表する予定でいる。月額の値段が幾らになるのか、そしてどんなサービスが受けられるのかで加入者は判断するだけに、サービス概要は気にかかるところだ。そしてもう1点、気になるのがパフォーム社とソフトバンクが争っていた今年2月頃の噂である。そもそもパフォーム社は英国で「ウォッチ&ベット(Watch&Bet)」という、オンライン・ブックメーカー向けの動画配信サービスを展開したことで急成長した。
▽スポーツ中継をライブ配信しながら、ベット(賭け)を促すサービスは、提携するブックメーカーにとっては口座獲得の窓口にもなる。英国ではスポーツが賭けの対象になっているからこそできたサービスだ。しかし日本にはtotoがあるものの、あくまで“サッカーくじ”として賭けのイメージを排除している。ギャンブルという言葉にはネガティブなイメージがつきまとい、抵抗感があるからだろう。このため一時はソフトバンクとの契約を望む声も多かった。それが最後は契約金の高さでパフォーム社に決まったが、その背景にはベット(賭け)に関する懸念もクリアできた公算が高い。果たしてオリジナルの動画配信により顧客数増で、どれだけ動画広告収入が伸びるのか。サービスの概要ともども気になるところだ。

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