【原ゆみこのマドリッド】代表戦なんだけど…

2015.10.09 13:06 Fri
▽「子供からは好かれるのね」。そんな風に私が感心していたのは火曜日、10月のユーロ2016予選のために練習を始めたスペイン代表をラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のグラウンドで見ていた時のことでした。いやあ、さすがに隣の席で何度も何度も「ピケェ、ピケェ!」と叫ばれると、こっちも頭が痛くなってきて、つい目で保護者の姿を探してしまったりもしたんですけどね。このところの国内代表戦ではスタンドからpito(ピト/ブーイング)の的となり、議論を巻き起こしていたピケだけに、その日は小さなファンたちとはいえ、全面的に応援してくれるのは嬉しかったんじゃないかと思ったから。

▽え、バルサでの祝勝行事の際での、宿敵のレアル・マドリーを挑発するような言動が祟って、6月にはレオンで、9月にもオビエドで自国のサポーターからピーピーやられたピケをデル・ボスケ監督やチームメートらは庇っていたものの、本人は全然、気にしていないんじゃなかったのかって? まあ、そのようですが、今回、金曜にルクセンブルク戦が行われるログローニョ(スペイン北東部の内陸都市)でまた、同様のことが起こったら、街として外聞が悪いと思ったんでしょうかね。地元のディアリオ・デ・リオハ紙が音頭をとって、#AplaudamosaPique(ピケに拍手しようの意味)のハッシュタグを作り、ツィッターで応援コメントを集めているというのにはちょっとビックリさせられたかと。

▽ただねえ、代表合宿初日だった火曜、主役を張ったのは、どういう訳か、その日のpartidillo(パルティデイージョ/ミニゲーム)でそのピケとのCBコンビのペアをクラブの後輩、ナチョに譲ったセルヒオ・ラモスだったんですよ。というのも午後1時の集合時刻に手ぶらで姿を現した彼はいつも通り、待ち受けるマスコミ陣の前で止まると、まあ話すわ、話すわ。それも代表のことではなく、先週土曜のマドリーダービー絡みで前夜、ベニテス監督がラジオのインタビューで喋ったことについてだったから、そりゃあ注目を集めても当然だったんですが…。
▽ちなみに序盤にベンゼマのゴールで先制しながら、その後の消極的な姿勢が災いし、最後はビエットのゴールで追いつかれてしまったレアル・マドリーの指揮官の言葉の何が、ラス・ロサスには左肩の脱臼による痛みがアトレティコ戦で悪化、代表の試合には出られないことを伝えに来ただけのラモスをその場で一席ぶつほどイラッとさせたかというと。元凶は「La jugada que me enfadó más es la del penalti/ラ・フガダ・ケ・メ・エンファド・マス・エス・ラ・デル・ペナルティ(一番腹が立ったのはペナルティのプレーだ)。ラモスはああいう形でボールを失ってはいけないことを知っていたはずだが」と、名指しされたからだったよう。

とはいえ、それを「Todos cometemos errores y no los hacemos queriendo/トードス・コメテモス・エローレス・イ・ノー・ロス・アセモス・ケリエンドー(誰もがミスを犯すし、やりたくてやっている訳じゃない)。幸い、ナバスがPKを止めてくれたから、実害はなかったし」で済ましているのはまあ、ラモスの性格と言えば仕方ないんですが、だからって、「Igual que se habla de mi error, se hablará de los cambios del mister/イグアル・ケ・セ・アブラ・デ・ミ・エロール、セ・アブラリア・デ・ロス・カンビオス・デル・ミステル(ボクのミスを話すのと同じに、監督の交代策のことも人々は話すだろう)。マドリーだからね」と、後半は攻めに出ず、ベンゼマを引っ込めて、MFのコバチッチを入れた監督の守備重視の戦術をあげつらうのもどうかと。…(続)
※このニュースは一部省略してご紹介させていただいております。全文が気になる方は[コラム]でご覧ください。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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