【日本サッカー見聞録】東アジアカップは見どころ沢山
2015.07.30 07:00 Thu
▽J1リーグは第5節を終了し、広島が5連勝で首位の座を守った。日本代表選手に目を向ければ、負傷が心配されたFC東京の太田はFKからアシストを記録し、鹿島の柴崎はゴールを決めるなど復活をアピール。その一方で2012年以来の代表復帰となる浦和の柏木は、後半途中に自らリタイアをベンチに告げて退いた。
▽代表参加を考えてのリタイアなのか、それとも重傷なのか気になるところである。そして8月から始まる東アジアカップである。
「日程を考えないといけない。東アジアカップの前には1週間準備する時間が欲しかった」
▽大会に参加する23人のメンバーを発表する際に、ハリルホジッチ監督が漏らした言葉だ。これまでの日本代表なら、7月25日のリーグ戦後、26日に集合して3~4日ほど国内で合宿をし、30日に移動して8月2日の初戦を迎えていたことだろう。あるいは26日から現地入りして調整していたかもしれない。
▽しかし今回は7月29日にJ1リーグが入っているため、選手らは試合翌日の30日に全国4か所の空港から武漢入りする。これほど慌ただしい日程の日本代表は過去にも記憶がないし、ハリルホジッチ監督の嘆きも理解できる。
「タクティクスの練習はできない。そしてグラウンドは本当に酷い状態だ。中国や韓国の試合を見たが、彼らのデュエルはかなり激しい。それに対してフィジカルの闘いで彼らに勝たなければいけない。彼らが仕掛けて来るデュエルに対して、我々はフィジカルで対抗しなければいけない」
▽前回、韓国での東アジアカップは、国内組の若手選手を招集し、ザッケローニ前監督は就任時とまったく同じポジションの練習を手ほどきして初優勝につなげた。今回は準備段階からして厳しい条件で、なおかつ武漢のピッチは最悪と視察に訪れた広報担当者も嘆いていた。
▽そこで指揮官はパスをつなぐスタイルを最初から捨てて、デュエルで勝負するという。この思い切りの良さ、割り切り方もこれまでの代表監督にはなかったものだ。韓国や中国を相手に、日本がフィジカルで挑むのも初めてのこと。Jの日常のフィジカルがどこまで通用するのか。これもまた試合の楽しみの一つである。
▽そして最大の焦点は、ストライカーの発掘ということになる。
「私の一番の仕事は得点を取る選手を見つけること。リーグ戦で25~30点取り、A代表でできるだけ頻繁に得点を取る選手。それが今のところ私の一番の仕事になる」
▽言葉で言うほどストライカーの発掘はそう簡単にできる仕事ではない。それでも今回は興梠、武藤らリーグ戦で結果を残した選手や、川又、永井、浅野ら“武器”のある選手が呼ばれている。川又と永井は29日のリーグ戦でも結果を残した。彼らが厳しく劣悪な環境でどこまでその“武器”を発揮できるか。たった3試合ではあるが、見どころの多い大会になりそうだ。
▽くれぐれも、大会後にハリルホジッチ監督が「二重国籍を持っている海外在住のストライカーを探せ」と言い出さないよう、FW陣にはそれなりの結果を残すことを期待して武漢へと旅立ちたい。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
▽代表参加を考えてのリタイアなのか、それとも重傷なのか気になるところである。そして8月から始まる東アジアカップである。
「日程を考えないといけない。東アジアカップの前には1週間準備する時間が欲しかった」
▽しかし今回は7月29日にJ1リーグが入っているため、選手らは試合翌日の30日に全国4か所の空港から武漢入りする。これほど慌ただしい日程の日本代表は過去にも記憶がないし、ハリルホジッチ監督の嘆きも理解できる。
▽ただ、これまでの日本代表は恵まれていたと言えなくもない。今回は文字通り「パッと集まってパッと試合をする」環境で、どこまで実力を発揮できるのか、逆に楽しみでもある。この“実力”に関して指揮官は次のようにも述べていた。
「タクティクスの練習はできない。そしてグラウンドは本当に酷い状態だ。中国や韓国の試合を見たが、彼らのデュエルはかなり激しい。それに対してフィジカルの闘いで彼らに勝たなければいけない。彼らが仕掛けて来るデュエルに対して、我々はフィジカルで対抗しなければいけない」
▽前回、韓国での東アジアカップは、国内組の若手選手を招集し、ザッケローニ前監督は就任時とまったく同じポジションの練習を手ほどきして初優勝につなげた。今回は準備段階からして厳しい条件で、なおかつ武漢のピッチは最悪と視察に訪れた広報担当者も嘆いていた。
▽そこで指揮官はパスをつなぐスタイルを最初から捨てて、デュエルで勝負するという。この思い切りの良さ、割り切り方もこれまでの代表監督にはなかったものだ。韓国や中国を相手に、日本がフィジカルで挑むのも初めてのこと。Jの日常のフィジカルがどこまで通用するのか。これもまた試合の楽しみの一つである。
▽そして最大の焦点は、ストライカーの発掘ということになる。
「私の一番の仕事は得点を取る選手を見つけること。リーグ戦で25~30点取り、A代表でできるだけ頻繁に得点を取る選手。それが今のところ私の一番の仕事になる」
▽言葉で言うほどストライカーの発掘はそう簡単にできる仕事ではない。それでも今回は興梠、武藤らリーグ戦で結果を残した選手や、川又、永井、浅野ら“武器”のある選手が呼ばれている。川又と永井は29日のリーグ戦でも結果を残した。彼らが厳しく劣悪な環境でどこまでその“武器”を発揮できるか。たった3試合ではあるが、見どころの多い大会になりそうだ。
▽くれぐれも、大会後にハリルホジッチ監督が「二重国籍を持っている海外在住のストライカーを探せ」と言い出さないよう、FW陣にはそれなりの結果を残すことを期待して武漢へと旅立ちたい。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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