42歳の用具係GKが躍動、ラーション率いるヘルシンボリが開幕戦をゴールレスで終える

▽かつてセルティックやバルセロナなどで活躍した元スウェーデン代表FWヘンリク・ラーション氏が率いるヘルシンボリが、4日に行われた2015シーズンのスウェーデンリーグ開幕節、カルマル戦を0-0の引き分けで終えた。

▽昨年11月、シーズン途中にヘルシンボリの指揮官に就任したラーション監督の新シーズンの初戦ということもあって、スウェーデン国内で大きな注目を集めたこの一戦。しかし、キックオフ前から最も注目を集めていたのは、度重なる負傷でトップチームのGKが不在となり、急遽キットマン(用具係)から正GKに指名されたGKダニエル・アンデション(42)だった。

▽昨年限りで現役を引退したアンデションは、現在、ヘルシンボリでキットマンとパートタイムのGKコーチを務めている。だが、負傷者の影響で急遽現役に復帰した同選手は、2015シーズンの開幕戦で2012年8月以来となるリーグ戦出場を果たすことに…。
▽チームメートやホームサポーターを含め周囲の懐疑的な視線に晒された中、久々にゴールマウスを守ったアンデションは、この一戦で見事な躍動を見せる。強豪カルマルのアグレッシブな攻撃に対して、ベテランらしい読みの利いたプレーで再三のシュートストップを見せれば、裏に飛び出した相手FWとの一対一を止めるなど、チームのクリーンシート達成に大きく貢献した。

▽ユースチームから若手GKを引き上げるという策もある中、42歳のキットマンを開幕戦で起用するギャンブルを成功させたラーション監督は、アンデションの活躍を手放しで称賛している。イギリス『メトロ』が同監督の試合後コメントを紹介している。「あなた方はアンデションのプレーに感銘を覚えたはずだ。今年43歳になる彼は、この試合で1つのミスも犯さなかった。私は驚くべきマルチタスクを持つ彼のような存在を持っていることを非常にうれしく思う」

▽一方、圧巻のゴールキーピングで勝ち点1獲得に貢献したアンデションは「キットマンとGKコーチを務めている自分が、今日この試合でプレーするなんて、全く予期していなかったシナリオだった」と、自身の現役復帰戦を振り返っている。[写真:スコットランドのハイバニアン在籍時代のアンデション(2004年)]