【コラム】止まらないモウリーニョの勝負強さ…偉業達成を近づけたチェルシー

2015.03.02 21:00 Mon
▽真骨頂を発揮したチェルシーがキャピタルワンカップを戴冠した。ジョゼ・モウリーニョにとっては、自身のキャリアで12度目となるカップ戦決勝の舞台で、これが10勝目。タイトルが懸かった一戦で抜群の勝負強さを見せてきた男は、ウェンブリー・スタジアムで行われたスパーズとのロンドン・ダービーでも鬼才ぶりを見せつけ、クラブに8年ぶり5度目となるリーグカップのタイトルをもたらした。
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◆[4-1-4-1]を採用
▽スタメンには、ジョン・テリー、ギャリー・ケイヒル、クルト・ズマと、3人のセンターバックが名を連ねるサプライズがあった。モウリーニョは、サスペンションのネマニャ・マティッチと、負傷していたジョン・オビ・ミケルの不在を受け、20歳のフランス代表DFズマをアンカーポジションで起用する奇策に出た。▽セスク・ファブレガス&マティッチのコンビをセントラルMFとして起用した[4-2-3-1]で臨んだ元日のスパーズ戦では、中盤の防波堤としての役割を担うマティッチのチェックをことごとく外される攻撃を受け、バイタルエリアのスペースを蹂躙(じゅうりん)されて3-5と敗戦。モウリーニョは今回、ズマをアンカーに置く[4-1-4-1]の3センターシステムで、バイタルエリアのスペースのケアを徹底した。
◆司令塔エリクセンを消したズマ
Getty Images

▽モウリーニョの奇策は功を奏した。序盤こそ試合に入りきれていない感があったズマだったが、時間の経過とともに不安定さは解消された。決して突出したパフォーマンスを見せたわけではなかったが、スパーズの司令塔であるクリスティアン・エリクセンを監視するという自身に与えられたタスクをしっかりとこなした。

▽そして、フィジカルに特長があるズマをアンカーで起用するというモウリーニョの采配は、間違いなく勝敗を左右する決定的な要因となった。タイトルが懸かる決勝の舞台で、これまでに実戦で試したことがない布陣を採用するという決断は、言うまでもなく非常に勇気がいるものだ。
◆極めて妥当な勝利
▽マティッチとミケルの不在をズマのコンバートで補ったチェルシーは、9分にエリクセンにバー直撃の直接FKを浴びるシーンがあったものの、前半終了直前にセットプレーからテリーのゴールで先制。後半は得意のカウンターを生かせるおあつらえ向きの展開とし、56分にはセスクのアシストからヂエゴ・コスタが放ったシュートがカイル・ウォーカーのオウンゴールを誘った。

▽追加点に絡んだセスクとヂエゴ・コスタだけでなく、推進力と守備意識の高さを見せたウィリアン、優れたインテンシティを維持したラミレス、鋭い仕掛けで攻撃陣を牽引したエデン・アザール、ベテランらしい冷静なゴールキーピングを見せたGKペトル・チェフと、チェルシーは先発した11人全員が及第点以上のパフォーマンスを披露した。エリクセンの直接FK以外、チェフが脅かされた場面はほとんどなく、勝利は極めて妥当なものだった。

◆鉄壁だった最終ライン
▽なかでも、最終ラインの4選手が終盤に見せたパフォーマンスは素晴らしく、ラインを低めに設定した際のソリッドさを改めて証明した。とりわけ、テリーとセサール・アスピリクエタのパフォーマンスは特筆すべきものだった。

▽先制点を記録したテリーは、チャレンジ&カバーで良好な関係を築く相棒のケイヒルをうまく動かしながら、最終ラインで卓越した統率力を示した。87分にゴール正面を突破してきたハリー・ケインに対するカバーリングからのシュートブロックは、健在ぶりをアピールするエレガントな対応だった。
Getty Images

▽アスピリクエタは、74分に頭部から流血したが、体を張った渾身のプレーを続けた。気迫を見せたアスピリクエタのプレーは、ラスト15分におけるチーム全体の集中力を高めたと言える。

▽右利きながらも左サイドバックを主戦場とするアスピリクエタは、派手さのない選手だ。しかし、守備時における一対一の対応とポジショニングに関しては、サイドバックの中で世界最高と言っても過言ではない。もっと評価されて良い選手の一人だろう。もちろん、昨シーズンに左サイドバックとしての適性を見いだし、大きく成長させてきたモウリーニョの手腕も見事だ。

◆トレブルへ大きな後押し
▽かくして、第二次モウリーニョ政権下で初となるタイトルを獲得したチェルシー。同日には、「ホテルやバスの中でテレビがないようにしたかった。私はそれに対するリアクションがほしくなかったんだ」とモウリーニョが試合後に語った“それ”である、2位のマンチェスター・シティがリバプールに敗戦するというポジティブなニュースもあった。

▽これで、シティとは1試合の未消化の状況で5ポイント差。5シーズンぶり5度目のプレミアリーグ優勝にも一歩近づいたチェルシーは、1998-99のマンチェスター・ユナイテッド以来、イングランドのクラブ史上2チーム目となるトレブル達成の可能性を残している (ユナイテッドは国内リーグ、CL、FAカップ)。

▽そして、スパーズ撃破での1冠目が、プレミアリーグとCL制覇の可能性を残すチームとって大きな後押しとなったことは間違いない。格下相手のFAカップ敗退や最近の連続ドローによりチェルシーのクオリティが疑問視される向きも出ていたが、ウェンブリーでの大一番におけるチームの見事なパフォーマンスを見たファンは、偉業達成への期待を膨らませたに違いない。

《超ワールドサッカー編集部・音堂泰博》


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同胞指揮官の下で完全覚醒。10代から名門アヤックスで活躍し、“NEXTポグバ”とも称された逸材だが、バイエルン、昨季のリバプールでは中盤のバックアッパーに甘んじた。しかし、オランダ時代からその才能に注目してきたスロット新監督の下でプレシーズンから出場機会を与えられると、新生レッズの中盤のキープレーヤーに成長。元々定評があるアスリート能力に規律・献身性を加えた守備でフィルター役を完璧にこなし、攻撃面ではサイズを感じさせないターンの巧さ、懐深いボールキープ、推進力、パスセンスを遺憾なく発揮。質の高いボックス・トゥ・ボックスのプレーで躍動した。 MF モイセス・カイセド(23歳/チェルシー) 出場試合数:19(先発:19)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 新生ブルーズの中盤に君臨。英国史上最高額の移籍金という色眼鏡もあり、加入2年目も周囲から高い要求を求められるエクアドル代表MFだが、今季前半戦のパフォーマンスはハードルが上がったなかでも称賛に値するパフォーマンスだ。前線に攻撃的なタイプを並べ、可変式のサイドバックにもより攻撃的なタスクを与えるマレスカ新監督のスタイルにおいて序盤戦はラヴィア、現在はエンソ・フェルナンデスとともにバランサーとしてのマルチタスクを担う。幅広いカバーエリア、ボールハントに加え、攻撃でも1ゴール3アシストと決定的な仕事をこなした。 MF ブカヨ・サカ(23歳/アーセナル) 出場試合数:16(先発:16)/得点数:5 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ガナーズの絶対的エース。リーグ最少失点の堅守とセットプレーを武器に優勝争いの主役の一角を担うアーセナルだが、司令塔ウーデゴールを欠いた苦しい時期に孤軍奮闘の活躍を見せたエースの活躍は非常に大きかった。流れのなかでは「サカさえ抑えれば」」という対応を受けながらも、圧倒的な打開力を武器に5ゴール10アシストを記録した。それだけに12月末に負ったハムストリングのケガからいかに早く復帰できるかが、2位チームの後半戦のカギを握る。 MF コール・パーマー(22歳/チェルシー) 出場試合数:19(先発:19)/得点数:12 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 加入2年目で凄み増す超万能アタッカー。22ゴール11アシストを記録した加入1年目の大ブレイクによって今季は対戦相手からの徹底マークに遭うなか、ここまで12ゴール6アシストとキャリアハイ更新へ上々の滑り出しを見せている。新体制では昨季主戦場の右ウイングからトップ下と少し役割が変わっているが、今季もアタッキングサードで抜群の存在感を示す。前半戦ハイライトはプレミア史上初となる前半4ゴールを記録したブライトン戦。後半戦もその爆発力にも期待だ。 MF マテウス・クーニャ(25歳/ウォルバーハンプトン) 出場試合数:19(先発:18)/得点数:10 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 残留争うウルブスで孤軍奮闘。イサクやウッド、エンベウモの活躍も素晴らしかったが、下位に低迷するチームで素晴らしい前半戦を過ごしたブラジル代表FWを選出。12ゴール7アシストの昨季活躍を経て、今季から背番号10を託されると、ここまで10ゴール4アシストを記録。[3-4-2-1]のシャドーの一角を主戦場に、攻撃のマルチタスクを担いながらボールのオン・オフに関わらず、ハイレベルのプレーを披露。献身的な守備も高い評価を得ており、今冬の移籍市場ではビッグクラブの注目も集める。だが、現状ではクラブとの新契約にサインする可能性が高い。 FW モハメド・サラー(32歳/リバプール) 出場試合数:18(先発:18)/得点数:17 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_101_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前半戦のMVP。攻守両面で異次元のパフォーマンスを披露し、リバプールの首位快走の立役者に。前半戦では2試合を除きすべての試合でゴールかアシストを記録し、得点ランキングとアシストランキングでいずれも首位に。圧倒的な決定力に加え、芸術的なアシストが印象的だった。 2025.01.09 22:25 Thu
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【プレミアリーグ第21節プレビュー】フォレストvsリバプールの上位対決に、NLダービー開催!

後半戦初戦となった第20節はリバプール、アーセナル、チェルシーの上位陣が揃ってドロースタートとなったなか、快勝のノッティンガム・フォレストが3位に浮上した。また、下位に沈むエバートンとウェストハムがダイチ監督、ロペテギ監督を解任し、それぞれモイーズ、ポッターを新指揮官に招へいしている。 先週末はFAカップ開催に伴い、約10日ぶりのミッドウィーク開催となる第21節。今節は3位ノッティンガム・フォレストと首位リバプールの上位対決、2位アーセナルと12位トッテナムのノースロンドン・ダービーに大きな注目が集まる。 破竹の6連勝で後半戦も白星スタートを飾った躍進のフォレストは前節、新体制で無敗だったウォルバーハンプトンに3-0の完勝。さらに、FAカップ3回戦でもルートン・タウンに2-0で勝利し好調を維持。とりわけ、公式戦5試合連続クリーンシートと守備の安定が光る。前回対戦では今回の対戦相手に初黒星を与えており、1-0で競り勝った一戦と同じアプローチでシーズンダブルを狙いたい。 対するリバプールは前節、マンチェスター・ユナイテッドと2-2のドロー。戦前には大勝も期待されたが、DFアレクサンダー=アーノルドらの不調や対戦相手の予想以上の奮闘もあってホームで勝ち点をとりこぼした。さらに、直後のEFLカップ(カラバオカップ)準決勝1stレグではトッテナムに0-1で敗戦。公式戦25試合ぶりの黒星を喫した。それでも、直近のFAカップでは4部のアクリントン相手にアレクサンダー=アーノルドの鮮烈なミドルシュートや、FWキエーザの加入後初ゴールなどで4-0の完勝。センターバック起用となったMF遠藤航も抜群の安定感で勝利に貢献している。難敵相手にリベンジを期すアウェイでの上位対決ではFAカップで温存された主力が復帰となる見込みだが、ボールを握る展開のなかでユナイテッド、トッテナム戦で出た課題の修正がポイントになりそうだ。 2位のアーセナルは宿敵との今季2度目のダービーで公式戦4試合ぶりの白星を狙う。前節のブライトン&ホーヴ・アルビオン戦はMFヌワネリのゴールで先制に成功したが、後半は物議を醸したFWジョアン・ペドロのPKによって追いつかれて1-1のドロー。さらに、EFLカップ準決勝1stレグではニューカッスルに0-2で敗戦、直近のFAカップでは10人のユナイテッドに相手に120分で決着を付けられず、PK戦の末に無念の敗退となった。ヌワネリ、FWガブリエウ・ジェズスと、ここに来て前線に負傷者が増加しているなか、ホーム開催のダービーでのシーズンダブルに向けてはFWハヴァーツらの奮起に期待したい。 一方、前節はニューカッスル相手に善戦も1-2で敗れたトッテナムは直近1分け3敗のリーグ4戦未勝利と低迷。それでも、前述のリバプール戦をMFベリヴァルの初ゴールで競り勝つと、FAカップでは5部相手に延長戦まで持ち込まれる失態も、最終的には3-0で勝利。公式戦連勝という形でダービーに臨む。FWムーアに続きFWリシャルリソンの復帰が期待される一方、脳震とうのMFベンタンクールが新たに加わった守備陣の離脱者は変わらず。セットプレーの守備対応含め、引き続き急造守備陣のパフォーマンスが勝利のカギを握る。 直近の公式戦3連勝で復調気配の6位マンチェスター・シティは、11位ブレントフォードとのアウェイゲームに臨む。前節は不振のウェストハムに引導を渡す4-1の快勝を飾ると、4部のサルフォードとのFAカップでは大幅なターンオーバーを敢行したなか、MFマカティーのハットトリックやMFオライリー、FWムバマの初ゴールによって8-0の圧勝。キャプテンのDFウォーカーの退団希望報道で激震走るも、FWマーモウシュ、DFクサノフ、DFヴィトール・レイスと新戦力獲得が近づいており、後半戦の巻き返しに向けた体制を整えている。ただ、対戦相手はFWエンベウモ、FWウィサと強力な攻撃陣を擁する難敵となり、カウンターの守備対応には細心の注意を払いたい。好調攻撃陣では殻を破った印象のあるFWサヴィオの躍動に期待だ。 4位のチェルシーは年末年始に入ってリーグ4戦未勝利と不振に陥り、前節はクリスタル・パレスに追いつかれての1-1のドロー。センターバックに離脱者が重なるなか、そのカバーが期待された攻撃陣もやや失速中だ。それでも、直近のFAカップでは4部相手に伏兵DFアダラビオヨ、FWフェリックスがともに2ゴールを挙げて5-0の圧勝。ボーンマス戦では主力が復帰する形となるが、途中出場の選手が勝敗のカギを握るか。 7位躍進のボーンマスは直近のリーグ戦8試合無敗と絶好調だが、FWエヴァニウソンにFWウナルとセンターフォワードが揃って負傷。今回の一戦ではFAカップで2ゴールのFWワタラやFWクライファートら代役のパフォーマンスに注目したい。 13位のマンチェスター・ユナイテッドはDF菅原由勢が所属する最下位のサウサンプトンと対戦。前節はリバプール、直近のFAカップではアーセナル相手に粘りの戦いをみせた。記録上は2戦連続ドローで公式戦6試合未勝利だが、PK戦による勝利はチームに自信をもたらしたはずだ。最下位をホームで迎え撃つ一戦では10人で60分以上を戦った疲労が懸念材料となり、元気な前半のうちに優位な試合運びができるか。 対戦相手のサウサンプトンは直近のFAカップのスウォンジー戦で3-0の快勝を収めてユリッチ新体制初勝利。ただ、リーグ戦では新体制3戦全敗且つ直近はブレントフォードに0-5の惨敗を喫している。なお、前節は後半頭から出場となった菅原だが、ほぼ主力起用のスウォンジー戦では出番なしとなっており、先発復帰は微妙なところだ。 MF三笘薫所属の10位ブライトンは4戦連続ドロー且つ8戦未勝利のリーグ戦で、復調のイプスウィッチ相手に9戦ぶりの勝利を狙う。直近のFAカップでは2部のノリッジ相手にFWリュテールの2ゴールなどで4-0の圧勝。約1カ月半ぶりの白星を挙げた。ただ、その一戦で3試合ぶりのスタメン復帰となった三笘は決定的な仕事は見せられず、リーグ戦ではベンチスタートの可能性もありそうだ。 そのほかではポッター初陣となる新生ウェストハムとフルアムのロンドン・ダービーに、モイーズ帰還の新生エバートンが強豪アストン・ビラをホームに迎える一戦。絶好調のニューカッスル、MF鎌田大地のスタメン復帰も期待したいクリスタル・パレスの戦いにも注目だ。 《プレミアリーグ第21節》 ▽1/14(火) 《28:30》 ブレントフォード vs マンチェスター・シティ ウェストハム vs フルアム チェルシー vs ボーンマス 《29:00》 ノッティンガム・フォレスト vs リバプール ▽1/15(水) 《28:30》 エバートン vs アストン・ビラ レスター・シティ vs クリスタル・パレス ニューカッスル vs ウォルバーハンプトン 《29:00》 アーセナル vs トッテナム ▽1/16(木) 《28:30》 イプスウィッチ vs ブライトン 《29:00》 マンチェスター・ユナイテッド vs サウサンプトン 2025.01.14 19:30 Tue

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