逸材だらけの“守備人”祭り!【注目のヤング・ガンズ!GK&DF編】

▽若くしてビッグクラブで活躍する選手は多くいる。チェルシーのGKティボー・クルトワ(22)、ユベントスのMFポール・ポグバ(21)、バルセロナのFWネイマール(23)――名前を挙げればキリがないが、まだまだ逸材は存在する。

▽今回は、超ワールドサッカー編集部が将来的にビッグクラブの注目を集めるであろう若手をピックアップ。全3回にわたって厳選した注目の若手選手を、FW、MF、GK&DFとポジション別に欧州4大リーグ+αの5名ずつ紹介する。最終回となる本稿はGK&DF編だ。

ライヴィン・クルザワ(22)
[モナコ/フランス]
【背番号】No.3
【ポジション】左サイドバック
【身長/体重】182cm / 74kg

▽卓越したフィジカルと攻撃センスを兼ね備える超攻撃的左サイドバック。とりわけ、トップスピードに乗った状態で上げるクロスはスピード、精度ともにワールドクラスのレベルだ。加えて、相手ボックス内での落ち着き払ったフィニッシュワークは本職のストライカー顔負けだ。近年、不作と言われる左サイドバックのポジションは多くのビッグクラブの補強ポイントであり、すでにマンチェスター・シティやチェルシーなどが獲得に動いている。
▽モナコの下部組織出身のクルザワは2010年にモナコでトップチームデビュー。その後2シーズンはギリシャ代表DFゲオルギオス・ツァベラスの牙城を崩せず、控えに甘んじたものの、クラブが3年ぶりに1部に昇格を果たした2013-14シーズンはクラウディオ・ラニエリ前監督の信頼を勝ち取り、リーグ戦28試合に出場し、5ゴールを挙げる活躍を披露した。

▽ここ最近、守備面や継続性という部分でも安定感が出てきている同選手は、昨年11月に待望の“レ・ブルー(フランスA代表)”デビューを果たし、順風満帆のキャリアを歩んでいる。今後に向けた課題は未熟な精神面の改善。昨年10月に行われたU-21欧州選手権予選プレーオフのU-21スウェーデン代表戦では、勝ち越しゴールを奪った直後に相手選手を挑発する敬礼を行った結果、その直後に再逆転を許し、敬礼をやり返されるという赤っ恥を欠いた。ただ、そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところであり、今後数年で世界の頂に到達する可能性は十分にあるはずだ。

ホセ・ルイス・ガヤ(19)
[バレンシア / スペイン]
【背番号】No.31
【ポジション】左サイドバック
【身長・体重】172cm / 64kg▽今シーズンにトップチームへの昇格を果たした期待のカンテラーノに注目したい。バレンシアの左サイドバックといえば、カルボーニやモレッティといった守備力の高い選手を思い出すオールドファンもいるだろうが、近年はジョルディ・アルバやフアン・ベルナトといった攻撃的なレフティを下部組織から引き上げ、左サイドバックに抜擢してきた。

▽そして、バイエルンに移籍したベルナトの後釜として起用され、その期待に応えているのが、ホセ・ルイス・ガヤだ。その魅力は、なんといっても攻撃力。スピードに乗ったドリブルも脅威だが、相手DFと正対し、縦と横に揺さぶりながら突破するドリブルは必見だ。タッチライン沿いだけでなく、中央にもどんどん入り、守備陣を困惑させる。

▽また、キックの精度も高く、相手陣内の深くまで侵入して上げるクロスに加え、抜ききらずに上げてくるアーリークロスも駆使するなど、対峙する選手にとってはやっかいな選手だ。すでに、レアル・マドリーやアーセナルとの関連も噂されるなど、ビッグクラブも注目する有望株から目が離せない。

ナサニエル・クライン(23)
[サウサンプトン/イングランド]
【背番号】NO.2
【ポジション】右サイドバック
【身長/体重】175cm/67kg

▽オフシーズンにMFアダム・ララナやDFデヤン・ロブレンを引き抜かれながらも、プレミアリーグで現在4位と躍進するサウサンプトン。その原動力の一人が、右サイドバックとして不動のレギュラーを務めるクラインだ。

▽今季のリーグ戦23試合に出場し2ゴールを記録するクラインの最大の特長は、体幹の強さだ。23歳ながらも完成された肉体を有し、強靭なフィジカルを誇る。世界屈指のアタッカーが揃うプレミアリーグの中でも、試合を通して一対一で劣勢を強いられることはほとんどない。また、ドリブルの技術は平凡だが、優れた瞬発力を生かしたスピードある縦突破は、対面の相手を恐怖に陥れる。

▽そして、タフさも高く評価したい。クラインは、17歳だった2008年にクリスタル・パレスでデビューしてから、以降の7シーズンで一度もレギュラー落ちを経験していない。ケガに強いところも魅力だ。

▽昨年10月には、ユーロ2016予選のスロベニア代表戦でイングランド代表デビュー。3-1で勝利に貢献した試合後には、「人生の中でも最高の日のひとつ」と誇らしげに語った。現役時代にバルセロナやオランダ代表で一時代を築いたサウサンプトンのロナルド・クーマン監督をして、「この15年で私が率いたチームにおいて、最高レベルの右サイドバック」と言わしめるクライン。マンチェスター・ユナイテッドなど、ビッグクラブが獲得に強い興味を示すイングランドの若き才能の今後に注目だ。

ダニエレ・ルガーニ(20)
[エンポリ/イタリア]
【背番号】No.24
【ポジション】センターバック
【身長/体重】188cm / 78kg

▽将来を嘱望されるイタリア期待のセンターバック。弱冠20歳ながら冷静な状況判断で最終ラインを統率し、エレガントな対応で相手FWからボールをうまく刈り取る。空中戦にも強く、センターバックとしてのポテンシャルは非常に高い。近年において有能なDFを輩出できていない“守備の国”イタリアの次世代を担う存在だ。

▽エンポリでは組織的な守備を植え付けるサッリ監督の下、見事なラインコントール能力を身に着けている。ボールの動きに合わせて体の向きを変えつつ、常に最終ラインの上げ下げを実施。線がまだ細いものの、体を投げ出した対応を厭わない。危険察知能力も確かなものを有している。

▽常に世代別のイタリア代表でプレーしてきたルガーニに対しては、ユベントスが早々に目をつけていた。同クラブは2012年夏、エンポリの下部組織からルガーニをレンタルで加えると、その1年後には同選手の保有権の半分を手に入れてエンポリに戻す。そして、エンポリがセリエAに昇格した今季には、評価を上げるルガーニに対して他国のビッグクラブが横槍を入れる前に、残り半分の保有権を買取った。来季から加入することになるユベントスでどれだけ成長した姿を見せられるか注目だ。

ティモ・ホルン(21)
[ケルン/ドイツ]
【背番号】No.1
【ポジション】GK
【身長/体重】192cm/90kg

▽バルセロナのGKマルク=アンドレ・テル・シュテーゲン、レバークーゼンのGKベルント・レノらと同世代で、各年代のドイツ代表に選出されてきたケルンユース出身の21歳GK。胸板が厚く192cmと大柄な体格を誇る左利きのホルンは、21歳とは思えない落ち着きからもたらされる安定感が最大の売りだ。

▽現ドイツ代表の正GKであるノイアーのように果敢にボックス外に飛び出すことはせず、ボール扱いにおいても凡庸な面はあるものの、確かなポジショニングと鋭いシュートへのレスポンスを武器に的確なショットストップを披露する。

▽ホルンがトップチームデビューを果たした2012-13シーズンから2年間、ケルンが2部リーグ所属だったため、今季が1部リーグデビューとなったホルンだが、その潜在能力の高さを武器に物怖じせずプレー。今季は全20試合にフル出場し、残留争い必至のチームの中で23失点に抑えている。ドイツにおいてとりわけGKは分厚い選手層を誇るだけに、代表への道のりは険しいものとなることが予想されるが、GK大国ドイツが生んだ新たなスター候補と言って差し支えないだろう。