【コラム】ミランのアイドルに立候補
2014.10.14 12:30 Tue
▽昨シーズンの姿から、今の活躍を想像した人は多くないだろう。起用している監督ですら、(もちろん期待はしているが)ここまでの結果を残していることに驚いているのではないかとすら思う。それほど、本田圭佑が10番らしくなっている。じつに喜ばしいことだ。
▽だが、セリエAが開幕してまだ1カ月半程度。昨シーズンについてしまったネガティブのイメージはほぼ消えたが、まだスターと呼べる地位を確立したわけではない。そう呼べるところまでこのまま突き進んでもらいたいと願うばかりだ。
▽そう思いたくなるのは、現在のミランに圧倒的なスターが存在しないからにほかならない。
▽いまスタジアムに訪れるミランファンが、最も大きく声援をおくるのは誰か? 答えは監督のピッポ・インザーギである。
▽彼がミランで残した功績や与えたものを考えると妥当かもしれない。だが、今もピッチでプレーしているわけではない。それでも、ミラニスタたちはホームでもアウェイでも、一番の声援をピッポにささげ続けている。つまり、近年のミランファンは過去に活躍した選手以上のアイドルを見つけていないということだろう。
▽本田はその可能性がある。ピッチ上のすべての選手にそれぞれ役割があるが、やはり子供が憧れたり、客を呼べたりする花形は「違いを生む」選手だろう。技術や決定力がある10番というのは、間違いなく試合の花だ。ベンチで指示を送る監督よりも、スタジアムで輝くべき存在である。
▽現時点で、本田はまだその域にはいない。スター選手は、長くチームに貢献してこそ、ファンをとりこにする。
▽そういった意味でも、「現代のミラニスタのアイドル」筆頭はエル・シャーラウィだ。昨シーズンはケガが多くて活躍できなかったが、一昨シーズンの爆発力はファンを引きつけた。決定力やドリブル突破だけでなく、献身的な守備もファンのハートをつかんでいる。彼のユニフォームを着た人が日を追うごとに増えていっただけでなく、少年ミラニスタのモヒカン率も急増した。現在のミランで最も声援を集めている選手は、エル・シャーラウィだろう。それでも、まだ指揮官には及ばない印象だ。クラブで活躍をした期間、クラブに愛情を注いだ時間の差は、簡単には埋まらない。
▽そう考えると、本田に求められるのは、第一に継続した活躍である。今の活躍が続けば、10番のユニフォームが売上を伸ばすことは間違いない。そこが第一歩だ。
▽キエーボ戦で本田は、メネーズともめた後にフリーキックを決めた。頑なに譲らなかったことが功を奏した。試合後に10番は「カカだったら譲っていたかもしれない」と振り返っている。それはカカが今でも全ミラニスタのアイドルであり、リスペクトすべき存在だからだろう。
▽「HONDA」と書かれた10番。ファンがずっと誇りを持ってスタジアムに着ていけるような、そんなユニフォームにしてもらいたい。
【著者紹介】
ペッピーノ伊藤
1984年生まれ。埼玉出身。イタリアはミラノを拠点とし、インテル&ミランを中心に現地で取材や執筆を行っている。もはやジュゼッペ・メアッツァの住人と言っても過言ではない。その献身性には定評があり、ミラノでは彼が寝ている姿を見たものはいないとまで言われている。その鉄人ぶりはハビエル・サネッティと双璧を成す。
▽だが、セリエAが開幕してまだ1カ月半程度。昨シーズンについてしまったネガティブのイメージはほぼ消えたが、まだスターと呼べる地位を確立したわけではない。そう呼べるところまでこのまま突き進んでもらいたいと願うばかりだ。
▽そう思いたくなるのは、現在のミランに圧倒的なスターが存在しないからにほかならない。
▽彼がミランで残した功績や与えたものを考えると妥当かもしれない。だが、今もピッチでプレーしているわけではない。それでも、ミラニスタたちはホームでもアウェイでも、一番の声援をピッポにささげ続けている。つまり、近年のミランファンは過去に活躍した選手以上のアイドルを見つけていないということだろう。
▽そこで、「現代のミラニスタのアイドル」に本田を……、という願いだ。
▽本田はその可能性がある。ピッチ上のすべての選手にそれぞれ役割があるが、やはり子供が憧れたり、客を呼べたりする花形は「違いを生む」選手だろう。技術や決定力がある10番というのは、間違いなく試合の花だ。ベンチで指示を送る監督よりも、スタジアムで輝くべき存在である。
▽現時点で、本田はまだその域にはいない。スター選手は、長くチームに貢献してこそ、ファンをとりこにする。
▽そういった意味でも、「現代のミラニスタのアイドル」筆頭はエル・シャーラウィだ。昨シーズンはケガが多くて活躍できなかったが、一昨シーズンの爆発力はファンを引きつけた。決定力やドリブル突破だけでなく、献身的な守備もファンのハートをつかんでいる。彼のユニフォームを着た人が日を追うごとに増えていっただけでなく、少年ミラニスタのモヒカン率も急増した。現在のミランで最も声援を集めている選手は、エル・シャーラウィだろう。それでも、まだ指揮官には及ばない印象だ。クラブで活躍をした期間、クラブに愛情を注いだ時間の差は、簡単には埋まらない。
▽そう考えると、本田に求められるのは、第一に継続した活躍である。今の活躍が続けば、10番のユニフォームが売上を伸ばすことは間違いない。そこが第一歩だ。
▽キエーボ戦で本田は、メネーズともめた後にフリーキックを決めた。頑なに譲らなかったことが功を奏した。試合後に10番は「カカだったら譲っていたかもしれない」と振り返っている。それはカカが今でも全ミラニスタのアイドルであり、リスペクトすべき存在だからだろう。
▽「HONDA」と書かれた10番。ファンがずっと誇りを持ってスタジアムに着ていけるような、そんなユニフォームにしてもらいたい。
【著者紹介】
ペッピーノ伊藤
1984年生まれ。埼玉出身。イタリアはミラノを拠点とし、インテル&ミランを中心に現地で取材や執筆を行っている。もはやジュゼッペ・メアッツァの住人と言っても過言ではない。その献身性には定評があり、ミラノでは彼が寝ている姿を見たものはいないとまで言われている。その鉄人ぶりはハビエル・サネッティと双璧を成す。
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