Jリーグ30周年スペシャルマッチの不思議/六川亨の日本サッカー見聞録

2023.05.12 11:40 Fri
©︎J.LEAGUE
いよいよ今週末は「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」がスタートする。まず12日はFC東京対川崎Fの“多摩川クラシコ"が国立競技場で開催される。そして14日は同じく国立競技場で鹿島対名古屋の試合が開催される。鹿島対名古屋の試合は、Jリーグの開幕戦となった30年前の5月16日、鹿島スタジアムで行われた伝統の一戦でもある。ジーコ対G・リネカーの対戦でも注目を集めた試合だったが、ジーコやアルシンドの活躍などで鹿島が5-0と圧勝した。

好天に恵まれ、試合前はスタジアム周辺の芝生でバーベキューを楽しむサッカーファンもいた。待ちに待った開幕戦である。にもかかわらず、当日の観衆は10,898人にとどまり、過疎化による人口減少から集客力に不安があるという指摘を裏付けることとなってしまった。しかし、その後はレオナルドやジョルジーニョらの活躍もあり集客力もアップ。国内最多タイトルを誇る名門となった。

この試合に比べ、12日に国立競技場で開催される金Jフライデーナイト、FC東京対川崎Fの“多摩川クラシコ"は、「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」と呼ぶにはいささか違和感を覚える。というのもFC東京と川崎Fが揃ってJ2リーグに昇格したのは1999年だからだ。しかし、そこには「背に腹はかえられない」理由があるようだ。
本来「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」と銘打つなら、30年前の5月15日の国立競技場での開幕カードがふさわしいだろう。ところが東京V(当時はヴェルディ川崎)は現在J2のため、横浜FMと試合をするわけにはいかない。同じくジェフ千葉(当時はジェフユナイテッド市原)もJ2のため、広島との対戦は不可能だ。そして清水と対戦した横浜フリューゲルスは横浜マリノスに吸収合併されているため、チームそのものが存在しない。

唯一可能なのは、当時はG大阪のホームで開催された浦和戦である。この試合では、ハーフタイムにレーザー光線によるイベントを開催したが、そのため一時的に照明を消した。すると当時のスタジアムの照明は、一度落とすと再点灯するためには電球の熱を冷まさないといけないので、後半開始が10分以上遅れるというハプニングがあった。普段でも万博記念競技場の照明は暗く、当時はフィルムカメラで撮影していたので、カラーで誌面を構成するのに苦労した思い出がある。
話を浦和対G大阪戦に戻すと、5月14日の16時から埼玉スタジアムで開催される。この試合も「Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ」と呼ぶにふさわしいが、浦和はACL決勝の関係から10日に鳥栖と第10節の試合を消化したばかり。さすがに中1日で金Jフライデーナイトを戦うわけにはいかず、12日は“多摩川クラシコ"になったようだ。東京VがJ1に復帰していればJリーグ事務局も頭を悩ませる必要はなかったが、こればかりは仕方がない。東京は東京でもFCが、横浜FMと対戦するよりも“多摩川クラシコ"の方が話題性も高いと判断したというのがマッチメイクの真相ではないだろうか。

J1の関連記事

ファジアーノ岡山は12月6日、明治安田J1リーグ第38節で清水エスパルスと対戦し、1-2で勝利を収めた。11試合ぶりの勝利に沸くピッチで、岡山のDF工藤孝太は真っ先にDF立田悠悟のもとへ向かった。J1の壁にぶつかり続けた若きDFと、自らの過去を重ねて支え続けた先輩。2026シーズンも共闘が決まった、2人の熱き師弟関係を 2025.12.30 20:00 Tue
12月17日、横浜FCの山根永遠がファジアーノ岡山に加入することが発表された。J1昇格の歓喜も、残留争いの苦しみも知る彼の移籍リリースには、横浜FCサポーターからたくさんの「ありがとう」をはじめ別れを惜しむ声が集まった。そして、岡山のサポーターは活躍を期待している。山根永遠とは、どんな選手なのか。編集部に所属しながら岡 2025.12.23 19:30 Tue
Jリーグは12月16日、来シーズン開幕する明治安田Jリーグ百年構想リーグにおけるオフィシャルボールパートナーとしてSFIDA社(株式会社イミオ)と契約を締結したことを発表した。同大会では公式試合球として『TSUBASA J PRO』を使用。大人気漫画である『キャプテン翼』とのコラボレーションモデルとなっている。 2025.12.16 18:00 Tue
「チームが勝てていない状況で自分が出て勝てれば、大きなアピールになると思っていたんで、本当に今日に懸ける思いは強かった」 明治安田J1リーグ第35節でファジアーノ岡山はFC東京と対戦。契約の都合により出場できないMF佐藤龍之介に代わり、左ウイングバックで先発に名を連ねたのはMF加藤聖だった。第33節のアルビレック 2025.10.27 20:00 Mon
アビスパ福岡の秘密兵器がJリーグデビュー戦で初ゴールをあげた。陸上選手であるサニブラウン・アブデル・ハキームの実弟であるFWサニブラウン・ハナンのゴールにファンたちが歓喜した。 #モーメントブースター でシェアして盛り上がれ!​ゴール (91:44)ハナン サニブラウン​​アビスパ福岡 vs サンフレッチェ広島 2025.09.30 16:50 Tue

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly