またリーガが休みに入った…/原ゆみこのマドリッド
2024.04.04 01:30 Thu
「1月2月はあんなに忙しかったのにこの落差、激しすぎる」そんな風に私が戸惑っていたのは火曜日、来週まで見に行ける試合が全然、ないのに気がついた時のことでした。いやあ、先週末も各国代表戦のparon(パロン/リーガの中断期間)明けで、クラブの試合があるのは2週間ぶりだったんですけどね。それでもスペイン代表の親善試合があったため、マドリッド勢からの参加は3人だけと少なかったものの、6月のユーロ前にデ・ラ・フエンテ監督のチームを知るいい機会となったんですが、この週末は土曜のコパ・デル・レイ決勝、アスレティックvsマジョルカ戦だけ。
うっかりコパ決勝などに行ってたら、10日(水)にドルトムントを迎えるまで中3日しかなかったのが、8日となり、何せ、最近はそのアスレティックとの準決勝1stレグ、そしてリーガも代表戦週間直前にバルサに負けて、メトロポリターノ不敗神話も雲散霧消してしましたからね。昔は体力だけが唯一の自慢だったアトレティコも選手たちの加齢のせいか、今は中日がいくらあっても疲れが溜まっているような動きしかできないんですが、このリーガ30節では一筋の光明が。ええ、とうとう天敵の黄色のユニを着た相手を破ることができたため、同じくチームカラーが黄色のドルトムントであっても、何とかなるかもしれないという希望が芽生えたのはきっと、私だけではない?
そんなことも含めて、先週末のリーガでマドリッド勢がどうだったか、お話ししていくことにすると、先陣を切ったのは弟分のヘタフェ。土曜の昼間にコリセウムにセビージャを迎えたんですが、うーん、2週間もありながら、ボルダラス監督のチームはセットプレーの守備を練習しなかったんですかね。開始5分にアクーニャの蹴ったCKをモリバがクリアできず、ファーサイドに落ちたボールをご存知、セルヒオ・ラモスに決められてしまったから、さあ大変!その後もセビージャがCKを蹴る度、ラモスやエン・ネシリに撃ち込まれ、44分など、またしてもアクーニャのFKから、その日が38才のバースデーだったラモスにゴールを入れられる始末では…。
何せ、今のヘタフェはエネス・ウナル(ボーンマス)の売却に続き、ボルハ・マジョラルがヒザの半月板損傷で今季絶望。マタには往年のゴール力はなく、ラタサはあまりボルダラス監督に信頼されておらずと、確実に得点を望めるFWがいませんからね。前節ジローナ戦にジェジュのゴールで1-0と勝ったことに味を占めたか、オスカル・ロドリゲスのfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)をリピートしたものの、この日は2度目のドジョウは掴めなかったんですよ。
大体がして、最初から控えのフィールドプレーヤーが5人しかいないというのも異常でしたが、後半45分にマタが決めたゴールもオフサイドだったため、結局、0-1のまま、負けてしまうことに。ただ試合後、話題の中心となったのは、後半24分にスタンドから、アクーニャに「mono/モノ(猿)」という野次が飛んだことの方で、おかげで主審が試合を止め、スタジアムに差別的な行為をしないよう、アナウンスが流れたんですけどね。それが何故か、サッカー界で繰り返される人種差別事件として、世間から非難を受けることに。
いやだって、アクーニャは白人のアルゼンチン人ですし、もし野次を飛ばしたのが黒人だったら、逆人種差別でしょうけどね。試合後の記者会見でフラメンコ歌手の息子である自らも、「gitano(ヒターノ/ジプシー)」とスタンドから叫ばれたことを認めたキケ・サンチェス・フローレス監督も、「Parte del publico piensa que puede venir a decir lo que quiera/パルテ・デル・プブリコ・ピンサ・ケ・プエダ・ベニール・ア・デシール・ロ・ケ・キエラ(観客の一部は好きなことを言えると思って来ている)」と批判していたように、要は常識のないファンには、とても1対1ではありえない侮蔑的な言葉をスタジアムで選手に投げかける習性が。その相手が黒人だったら、人種差別と大騒ぎになるだけのような気がしますが、まあ、マスコミもいちいち事例を区別するより、インパクトのある単語が好きですからね。
この辺はもう、礼節を知らないというか、躾の問題かと私などは思っていますが、ちなみにこの敗戦で順位を11位と1つ落としたヘタフェのリーガ再開試合は13日(土)、エスタディオ・バジェカスでの弟分ダービー。6位レアル・ソシエダとの差も勝ち点11に開いてしまいましたし、コパでアスレティックが優勝すれば、リーガ7位に回ってくる、勝ち点4差で現在、ベティスが占めている来季のコンフェレンスリーグ出場権を狙うかどうかは、土曜の決勝が終わらないことには決められませんしね。とりあえず、今は日曜のセルタ戦で、RdT(ラウール・デ・トマス)が出場停止だったのは元々、今季はゴールに見放されているだけにあまり関係ないんですが、前節のベティス戦でホームファンに2勝目をプレゼントしたカメージョも不発。スコアレスドローに終わり、降格圏との差が勝ち点5にしか開かなかったラージョを応援してあげた方がいいような気はします。
そして土曜のコリセウムでは途中で氷雨が降り出し、3月末とは思えない寒さに震えていた私でしたが、うーん、丁度、土日の間の夜に夏時間に変わり、日曜午後9時のベルナベウに向かう頃にはここ何日か、しつこくマドリッド上空に滞留していた雨雲も一掃。日が照っていたのも良かったんですかね。屋根の閉じたマドリーのホームでは強風に悩まされることがないのもわかっていたため、コラソン・クラシックマッチ(マドリーOBの出場するチャリティマッチ)、スペインvsブラジル親善試合の後、ようやく真剣勝負の公式戦が見られるのを楽しみに出かけたんですが、いやあ、驚かされました。
だってえ、マドリーがヨウジ・ヤマモトとコラボした第4ユニ、紫を着ることにしたのはともかく、相手のアスレティックが白いユニでプレーしていたんですよ。8階にあるプレス席からはピッチが遠すぎて、ロクロク選手の顔もわからないため、ふっと気づくと、白組が攻撃している時にゴールを期待している自分がいたりしたんですが、やっぱりベルベルデ監督のチームはコパ決勝が頭から離れなかったんでしょう。前半8分にはブライムが右サイドから送ったロングボールを受け、その日、出場停止のビニシウスに代わって、得意の左側にいたロドリゴが敵DFの見守る中、エリア前からシュート。
これが見事に決まり、早々と先制点を取ったマドリーでしたが、25分にはアスレティックに負傷者が発生。ジェライが太ももを痛め、ビビアンと交代を余儀なくされたため、それもコパ決勝に絶対出たいと願う選手たちにブレーキをかけることに。おかげで前半はほとんど反撃されることもなく、1-0で折り返したんですが、まあ、この日はスペイン代表で躍動していたニコ・ウィリアムスも筋肉痛で来ていませんでしたからね。
兄イニャキも後半3分にはCKから、volea(ボレア/ボレーシュート)で狙っていったものの、代表戦週間にはユーロ出場プレーオフの2試合でゴールを死守。ボスニア・ヘルツェゴビナとアイスランドを破って、ウクライナを本大会に導いたルーニンには、復帰直前だったクルトワが反対側のヒザの半月板を痛めたため、今季は最後まで、マドリーの正GKでいられるという励みもできましたからね。イニャキの一撃もしっかり弾いて同点を免れると、11分にはアスレティックが選手3人を一斉交代したのも空しく、25分、ロドリゴの足が再び、火を吹くことに。
ええ、今度は自陣から高速カウンターで、バレンシア戦での退場による2試合の出場停止から戻ったばかりのベリンガムがドリブルで上がり、エリア前からラストパス。これをビビアンをかわして決めたんですが、もしや彼、スペインとの親善試合でウナイ・シモンからゴールキックをプレゼントされ、ブラジル反撃の狼煙を上げてから、運気が変わった?まあ、この日はコパ決勝前の足慣らしもあって、アスレティックのGKはアギレサバラだったんですけどね。この2点目で敵も白旗を挙げてくれたため、アンチェロッティ監督も終盤にはクルトワから数日遅れ、まさにリーガ開幕戦だったアスレティック戦でヒザの靭帯を断裂。7カ月ぶりに招集されたミリトンを交代出場させることができたんですが、マンチェスター・シティ戦1stレグでの先発はまだ、時期尚早かもしれませんね(最終結果2-0)。
そんなマドリーは次節も、勝っても負けてもコパ決勝の2日酔いをしていそうなマジョルカと対戦とあって、土曜にバルサに詰められた差も勝ち点8に回復。もうリーガ優勝は秒読みに入ったと言っていいんじゃないかと思いますが、翌月曜、30節のトリを飾ったアトレティコはというと。お隣さんが代表戦週間前に4位を奪ったアスレティックを負かしたため、CL出場圏に戻るお膳立てはできていたものの、ええ、今季は筋金入りのアウェイ弱者、15試合で4勝しかしていないシメオネ監督のチームですからね。しかも黄色のユニのビジャレアルはここ9試合黒星がなく、4連勝中と聞いた日にはまたしてもむかむかして、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)から帰宅する覚悟をしていたんですが…。
それが何と、早くも前半9分にはリケルメのCKをビッツェルが見事な首の動きでヘッドして、先制ゴールを挙げてくれたから、ビックリしたの何のって。ただ、その後はモラタに代わって先発したメンフィス・デパイ、ジョレンテのシュートもGKヨルゲンセンにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、時間が経つにつれ、得意の「リードしたら一歩後退」癖も発動。ハーフタイムまでは0-1で耐えていたんですが、後半5分、まさかフランス代表を離脱して足首を完治させ、ファンをホッとさせていたグリーズマンが自陣エリア近くでボールロスト。カプエからジェラール・モレノに繋がれて、最後はセルロートに同点ゴールを決められているんですから、本当にこのチーム、進歩というものがない。
20分にはグリーズマン、デパイ、ビッツェルがモラタ、コレア、アスピリクエタと交代し、勝ち越し点を目指したアトレティコだったんですが、相変わらず、モラタもコレアもゴールと縁がなくてねえ。もう今季は何度となくアウェイで繰り返されたシナリオ通り、引分け、最悪逆転負けして終わるんじゃないかと爪を噛みながら見ていたところ、最後の交代で入った伏兵、サウールがやってくれたんですよ!それは42分、敵エリア前右から、コケ、コレアとボールが繋がり、最後にアスピリクエタが横に出したパスから、落ち着いて撃ったシュートがゴール左隅に入ってくれるとは、え?これって奇跡って言わない?
いえまあ、VAR(ビデオ審判)のオフサイドチェックが長引いていた時は私も生きた心地がしなかったんですけどね。お約束で敵選手とGKの間にいたモラタもプレーに関与していなかったため、無事に1-2で勝利することができたんですが、まったく。そう、この日も試合が進むにつれ、どんどん足取りが鈍くなってくるわ、パスは真っすぐ敵目掛けて飛ぶわは言わずもがな。バリオスなど、スペインU21でご一緒したモスケラがSB全滅だったビジャレアルでCBからジョブチェンジ、左SBでがんがん上がってくるのにまったく歯が立たず、タックルで止めてイエローカードをゲット。次節のジローナ戦に累積警告で出場停止になってしまいましたし、何より、これが今季2得点だったサウールに毎回は頼れませんからね。とにかく一刻も早く、モラタやグリーズマンがゴールを取り戻してくれるのが、ドルトムント戦の鍵にもなるはずですが…とりあえず、リーガ4位を取り戻したことで今は満足するしかありません。
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それぞれ40年ぶり、21年ぶりとなるコパタイトルを懸けた大舞台ですし、前者などは2021年にコロナ禍で延期された前年度分を含め、同じ月に2度、無観客決勝に挑戦。その時はレアル・ソシエダ、バルサに続けて負けるという悔しい思いをしているだけに、すでに先週から、ビルバオの街がガバラ(運河を航行する木材運搬船、アスレティック優勝の際にパレードに使われる)出航への期待でウズウズしているのはよくわかりますけどね。決勝会場も現在、当局の捜査が入っている契約で、サッカー協会のルビアレス前会長がセビージャのカルトゥーハに固定してしまったせいで、以前のようにサンティアゴ・ベルナベウやビセンテ・カルデロン(アトレティコの旧ホームスタジアム)開催となって、気楽に私が見に行くことすら不可能に。よって、今週末はマドリッドのサッカーファンも退屈してしまいそうですが、いい面を考えれば、兄貴分2チームが来週のCL準々決勝1stレグを余裕を持って迎えられることでしょうか。ええ、グァルディオラ監督も怒っていたんですが、マンチェスター・シティは水曜にアストン・ビラ戦、土曜にクリスタル・パレス戦のプレミアリーグ2試合があり、9日(火)のベルナベウの試合は中3日で迎えないといけないのに対し、レアル・マドリーは中8日。アトレティコも、いえ、せっかくお隣さんを準々決勝で倒した後、準決勝でアスレティックに足蹴にされた時は本当に悔しかったものですけどね。そんなことも含めて、先週末のリーガでマドリッド勢がどうだったか、お話ししていくことにすると、先陣を切ったのは弟分のヘタフェ。土曜の昼間にコリセウムにセビージャを迎えたんですが、うーん、2週間もありながら、ボルダラス監督のチームはセットプレーの守備を練習しなかったんですかね。開始5分にアクーニャの蹴ったCKをモリバがクリアできず、ファーサイドに落ちたボールをご存知、セルヒオ・ラモスに決められてしまったから、さあ大変!その後もセビージャがCKを蹴る度、ラモスやエン・ネシリに撃ち込まれ、44分など、またしてもアクーニャのFKから、その日が38才のバースデーだったラモスにゴールを入れられる始末では…。
でも大丈夫。2点目はオフサイドで認められなかったからですが、後でボルダラス監督が「Sabíamos que el Sevilla solo nos podía dañar en una contra o balón parado/サビアモス・ケ・エル・セビージャ・ソロ・ノス・ポディア・ダニャール・エン・ウナ・コントラ・オ・バロン・パラードー(セビージャはカウンターかセットプレーででしか、ウチにダメージを与えられないと知っていた)」と言っていた割には、守備がかなりお粗末だったかと。ただ、この日は1月のコパ16強対決で2得点、ヘタフェを敗退に追いやる元凶となったトップチーム昇格カンテラーノ(Bチームの選手)、イサークがスランプに陥っていたこともあり、それ以上、セビージャに点を取られることはなかったんですけどね。
何せ、今のヘタフェはエネス・ウナル(ボーンマス)の売却に続き、ボルハ・マジョラルがヒザの半月板損傷で今季絶望。マタには往年のゴール力はなく、ラタサはあまりボルダラス監督に信頼されておらずと、確実に得点を望めるFWがいませんからね。前節ジローナ戦にジェジュのゴールで1-0と勝ったことに味を占めたか、オスカル・ロドリゲスのfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)をリピートしたものの、この日は2度目のドジョウは掴めなかったんですよ。
大体がして、最初から控えのフィールドプレーヤーが5人しかいないというのも異常でしたが、後半45分にマタが決めたゴールもオフサイドだったため、結局、0-1のまま、負けてしまうことに。ただ試合後、話題の中心となったのは、後半24分にスタンドから、アクーニャに「mono/モノ(猿)」という野次が飛んだことの方で、おかげで主審が試合を止め、スタジアムに差別的な行為をしないよう、アナウンスが流れたんですけどね。それが何故か、サッカー界で繰り返される人種差別事件として、世間から非難を受けることに。
いやだって、アクーニャは白人のアルゼンチン人ですし、もし野次を飛ばしたのが黒人だったら、逆人種差別でしょうけどね。試合後の記者会見でフラメンコ歌手の息子である自らも、「gitano(ヒターノ/ジプシー)」とスタンドから叫ばれたことを認めたキケ・サンチェス・フローレス監督も、「Parte del publico piensa que puede venir a decir lo que quiera/パルテ・デル・プブリコ・ピンサ・ケ・プエダ・ベニール・ア・デシール・ロ・ケ・キエラ(観客の一部は好きなことを言えると思って来ている)」と批判していたように、要は常識のないファンには、とても1対1ではありえない侮蔑的な言葉をスタジアムで選手に投げかける習性が。その相手が黒人だったら、人種差別と大騒ぎになるだけのような気がしますが、まあ、マスコミもいちいち事例を区別するより、インパクトのある単語が好きですからね。
この辺はもう、礼節を知らないというか、躾の問題かと私などは思っていますが、ちなみにこの敗戦で順位を11位と1つ落としたヘタフェのリーガ再開試合は13日(土)、エスタディオ・バジェカスでの弟分ダービー。6位レアル・ソシエダとの差も勝ち点11に開いてしまいましたし、コパでアスレティックが優勝すれば、リーガ7位に回ってくる、勝ち点4差で現在、ベティスが占めている来季のコンフェレンスリーグ出場権を狙うかどうかは、土曜の決勝が終わらないことには決められませんしね。とりあえず、今は日曜のセルタ戦で、RdT(ラウール・デ・トマス)が出場停止だったのは元々、今季はゴールに見放されているだけにあまり関係ないんですが、前節のベティス戦でホームファンに2勝目をプレゼントしたカメージョも不発。スコアレスドローに終わり、降格圏との差が勝ち点5にしか開かなかったラージョを応援してあげた方がいいような気はします。
そして土曜のコリセウムでは途中で氷雨が降り出し、3月末とは思えない寒さに震えていた私でしたが、うーん、丁度、土日の間の夜に夏時間に変わり、日曜午後9時のベルナベウに向かう頃にはここ何日か、しつこくマドリッド上空に滞留していた雨雲も一掃。日が照っていたのも良かったんですかね。屋根の閉じたマドリーのホームでは強風に悩まされることがないのもわかっていたため、コラソン・クラシックマッチ(マドリーOBの出場するチャリティマッチ)、スペインvsブラジル親善試合の後、ようやく真剣勝負の公式戦が見られるのを楽しみに出かけたんですが、いやあ、驚かされました。
だってえ、マドリーがヨウジ・ヤマモトとコラボした第4ユニ、紫を着ることにしたのはともかく、相手のアスレティックが白いユニでプレーしていたんですよ。8階にあるプレス席からはピッチが遠すぎて、ロクロク選手の顔もわからないため、ふっと気づくと、白組が攻撃している時にゴールを期待している自分がいたりしたんですが、やっぱりベルベルデ監督のチームはコパ決勝が頭から離れなかったんでしょう。前半8分にはブライムが右サイドから送ったロングボールを受け、その日、出場停止のビニシウスに代わって、得意の左側にいたロドリゴが敵DFの見守る中、エリア前からシュート。
これが見事に決まり、早々と先制点を取ったマドリーでしたが、25分にはアスレティックに負傷者が発生。ジェライが太ももを痛め、ビビアンと交代を余儀なくされたため、それもコパ決勝に絶対出たいと願う選手たちにブレーキをかけることに。おかげで前半はほとんど反撃されることもなく、1-0で折り返したんですが、まあ、この日はスペイン代表で躍動していたニコ・ウィリアムスも筋肉痛で来ていませんでしたからね。
兄イニャキも後半3分にはCKから、volea(ボレア/ボレーシュート)で狙っていったものの、代表戦週間にはユーロ出場プレーオフの2試合でゴールを死守。ボスニア・ヘルツェゴビナとアイスランドを破って、ウクライナを本大会に導いたルーニンには、復帰直前だったクルトワが反対側のヒザの半月板を痛めたため、今季は最後まで、マドリーの正GKでいられるという励みもできましたからね。イニャキの一撃もしっかり弾いて同点を免れると、11分にはアスレティックが選手3人を一斉交代したのも空しく、25分、ロドリゴの足が再び、火を吹くことに。
ええ、今度は自陣から高速カウンターで、バレンシア戦での退場による2試合の出場停止から戻ったばかりのベリンガムがドリブルで上がり、エリア前からラストパス。これをビビアンをかわして決めたんですが、もしや彼、スペインとの親善試合でウナイ・シモンからゴールキックをプレゼントされ、ブラジル反撃の狼煙を上げてから、運気が変わった?まあ、この日はコパ決勝前の足慣らしもあって、アスレティックのGKはアギレサバラだったんですけどね。この2点目で敵も白旗を挙げてくれたため、アンチェロッティ監督も終盤にはクルトワから数日遅れ、まさにリーガ開幕戦だったアスレティック戦でヒザの靭帯を断裂。7カ月ぶりに招集されたミリトンを交代出場させることができたんですが、マンチェスター・シティ戦1stレグでの先発はまだ、時期尚早かもしれませんね(最終結果2-0)。
そんなマドリーは次節も、勝っても負けてもコパ決勝の2日酔いをしていそうなマジョルカと対戦とあって、土曜にバルサに詰められた差も勝ち点8に回復。もうリーガ優勝は秒読みに入ったと言っていいんじゃないかと思いますが、翌月曜、30節のトリを飾ったアトレティコはというと。お隣さんが代表戦週間前に4位を奪ったアスレティックを負かしたため、CL出場圏に戻るお膳立てはできていたものの、ええ、今季は筋金入りのアウェイ弱者、15試合で4勝しかしていないシメオネ監督のチームですからね。しかも黄色のユニのビジャレアルはここ9試合黒星がなく、4連勝中と聞いた日にはまたしてもむかむかして、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)から帰宅する覚悟をしていたんですが…。
それが何と、早くも前半9分にはリケルメのCKをビッツェルが見事な首の動きでヘッドして、先制ゴールを挙げてくれたから、ビックリしたの何のって。ただ、その後はモラタに代わって先発したメンフィス・デパイ、ジョレンテのシュートもGKヨルゲンセンにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、時間が経つにつれ、得意の「リードしたら一歩後退」癖も発動。ハーフタイムまでは0-1で耐えていたんですが、後半5分、まさかフランス代表を離脱して足首を完治させ、ファンをホッとさせていたグリーズマンが自陣エリア近くでボールロスト。カプエからジェラール・モレノに繋がれて、最後はセルロートに同点ゴールを決められているんですから、本当にこのチーム、進歩というものがない。
20分にはグリーズマン、デパイ、ビッツェルがモラタ、コレア、アスピリクエタと交代し、勝ち越し点を目指したアトレティコだったんですが、相変わらず、モラタもコレアもゴールと縁がなくてねえ。もう今季は何度となくアウェイで繰り返されたシナリオ通り、引分け、最悪逆転負けして終わるんじゃないかと爪を噛みながら見ていたところ、最後の交代で入った伏兵、サウールがやってくれたんですよ!それは42分、敵エリア前右から、コケ、コレアとボールが繋がり、最後にアスピリクエタが横に出したパスから、落ち着いて撃ったシュートがゴール左隅に入ってくれるとは、え?これって奇跡って言わない?
いえまあ、VAR(ビデオ審判)のオフサイドチェックが長引いていた時は私も生きた心地がしなかったんですけどね。お約束で敵選手とGKの間にいたモラタもプレーに関与していなかったため、無事に1-2で勝利することができたんですが、まったく。そう、この日も試合が進むにつれ、どんどん足取りが鈍くなってくるわ、パスは真っすぐ敵目掛けて飛ぶわは言わずもがな。バリオスなど、スペインU21でご一緒したモスケラがSB全滅だったビジャレアルでCBからジョブチェンジ、左SBでがんがん上がってくるのにまったく歯が立たず、タックルで止めてイエローカードをゲット。次節のジローナ戦に累積警告で出場停止になってしまいましたし、何より、これが今季2得点だったサウールに毎回は頼れませんからね。とにかく一刻も早く、モラタやグリーズマンがゴールを取り戻してくれるのが、ドルトムント戦の鍵にもなるはずですが…とりあえず、リーガ4位を取り戻したことで今は満足するしかありません。
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