加藤久 Hisashi KATO

ポジション 監督
国籍 日本
生年月日 1956年04月24日(68歳)
利き足
身長 174cm
体重 78kg
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磐田は現在の危機を予見できたはず。にもかかわらず……/六川亨の日本サッカーの歩み

ヨーロッパのリーグに所属する日本人選手が新シーズンで好スタートを切った。 まずはフライブルクへ移籍した堂安律が、開幕戦でアウクスブルクから今シーズン初ゴールをマーク。すると鎌田大地(フランクフルト)と遠藤航(シュツットガルト)もヘルタ・ベルリン戦とヴェルダー・ブレーメン戦で同じく初ゴールを決めた。 さらにシャルケの吉田麻也とボルシアMGの板倉滉は“日本人対決"となった試合で90分間フル出場(試合は2-2のドロー)した。 プレミアリーグに目を移せば、アーセナルの冨安健洋が後半30分から今シーズン初出場を果たして復調をアピール。ブライトンの三笘薫はニューカッスル戦の後半から出場してプレミアリーグのデビューを果たすと、終了間際には得意のドリブル突破から左サイドをえぐり、MFグロスの決定機を演出した。そしてスコットランドのプレミアリーグでは、セルティックの古橋亨梧が2試合連続となるゴールを決めれば、前田大然も2アシストと5-0の勝利に貢献した。 一方、フランスのリーグ・アンではスタッド・ランスへ移籍した伊東純也は後半31分にデビューを果たしたものの、見せ場を作れないままクレルモンに2-4で敗退。モナコの南野拓実はベンチ入りこそしたが、出番がないまま終わり、“ブンデスリーガ勢"とは対照的なデビュー戦となった。 3ヶ月後にはカタールW杯が控えているだけに、冨安の復帰や吉田、板倉の好調は好材料だし、堂安と鎌田、古橋は「ゴール」という結果でアピールした。まずは9月の代表戦まで、“海外組"の動向から目を離すことはできない。 そしてJリーグである。14日には、前日に浦和に0-6と大敗を喫して最下位に沈んだジュビロ磐田が伊藤彰監督と、強化の責任者である鈴木秀人トップチームマネジメント部長を解任した。しかしながら16日になっても後任監督を含めた新体制についての発表はない。 さらに15日は、清水に0-2と敗れて降格圏の17位に後退したG大阪も、片野坂知宏監督の解任が濃厚との報道があった。クラブ幹部は、現時点での片野坂監督の解任を否定しているとのことだが、今月9日にコーチに就任した松田浩氏の監督昇格が濃厚と報じている。 動きがあったのは監督だけに限らない。前半戦までは一桁順位だったものの、直近5試合は勝ち星のない京都は加藤久・強化育成部長が、強化部からの異動を打診されたがこれを固持して辞任した。 FC東京は8月5日にフィジカルコーチのエウ・ガヴィラン氏が家庭の事情と本人の希望により退団。さらに14日にはアルベル監督が家庭の事情によりスペインへ一時帰国した。リーグ戦は8月27日の第27節・柏戦までないため(第26節の神戸戦は9月14日に開催)試合に支障はないとはいえ、合流予定の24日までシーズン中にもかかわらず10日もチームを離れるのは異例の事態と言える。 各チームとも様々な事情を抱えているのは事実である。いずれのチームも今後の推移を見守るしかないが、それにしても残念なのは磐田の監督解任である。残り9試合ということで「大ナタを振るった」のだろうが、タイミングが悪すぎた。 シーズン開幕前、J2リーグ得点王(22点)で、一昨年もチームのトップスコアラー(10点)のルキアンを福岡へ放出。出さざるを得ない理由があっただろうことは推察できる。さらにリーグ戦は1ゴールにとどまったものの、天皇杯では2試合で4ゴールと活躍した小川航基も横浜FCへ完全移籍で失った。小川は現在18ゴールでJ2得点ランクのトップを走っている。 そんな彼らの代わりに獲得したのが横浜FCのFWジャーメイン良であり、浦和レッズから期限付き移籍した元日本代表FWの杉本健勇だが、ジャーメイン良は2ゴール、杉本はいまだ無得点のまま。そして夏の移籍マーケットで獲得したのは左SBの松原后(シントトロイデン)ただ一人だった。 選手獲得のための資金がないと言われればそれまでだが、オフシーズンの補強が“マイナス査定"に加え、今シーズンも25試合を終えて得点23は福岡の17、湘南の19、名古屋の21に続くワースト4位タイ(他にG大阪、神戸、京都)。失点42は札幌と並びワースト1だ。にもかかわらず、夏の移籍マーケットでもほとんど動きがなかった。 点は取れるが失点も多く、勝ちきれない試合が続いて一時は最下位に沈んだライバルの清水は、それでもヤゴ・ピカチュウや北川航也、乾貴士ら攻撃陣を補強して直近2試合はFC東京に2-0、G大阪にも2-0と連勝して12位へ浮上した。監督交代に加え、「あれもこれも」ではなく、「1点集中」の補強が攻守とも好循環を生みつつある。 果たしてサックスブルーの“火中の栗"を誰が拾うのか、まだ明らかになってはいない。ただ、誰が監督を務めるにしても、やはり移籍マーケットがオープンなうち(※選手登録は9月2日まで可)に手を打つべきだったのではないだろうか。外部から招聘(鈴木政一氏)するにしても、内部から昇格(中山雅史コーチ)させるにしても、現状ではチームに打つ手がほとんどないのが実情だからである。 それでも今週金曜の19日には名古屋戦が控えている。強化の責任者が不在のまま、誰が名門チームの舵を取るのか。残された時間はあまりにも少なく、後任不在のままの監督解任はタイミングが悪すぎたと言わざるを得ない。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2022.08.17 08:15 Wed

【六川亨の日本サッカー見聞録】日本サッカー殿堂で感じる疑問

▽毎年恒例となっている「日本サッカー殿堂」入りの2名が投票の結果、加藤久氏とラモス瑠偉氏に決まった。そして特別選考としてメキシコ五輪の日本代表チームの掲額も発表された。式典は9月10日にJFAハウスで開催される。 ▽この「殿堂入り」、殿堂委員会が60歳以上で日本サッカー界に貢献したプレーヤーを対象に候補者名簿(7名)を作成し、サッカー関係者などの有識者による投票で、得票率75%以上が掲額対象となる。投票方法は1人2票の記名投票で、満票は123票。昨年も加藤久氏とラモス瑠偉氏が上位の得票だったが、得票率75%に満たないため殿堂入りは見送られた経緯がある。 ▽今年の候補者は加藤久氏とラモス瑠偉氏の他に、碓井博行氏(元日立)、前田秀樹氏(元古河)、松木安太郎氏(元読売クラブ)、吉田弘氏(元古河)、金田喜稔氏(元日産)の7名だった。松木氏や金田氏はテレビの解説などで馴染みもあるだろうが、その他の碓井氏、前田氏、吉田氏はオールドファンでないとピンとこないだろう。 ▽加藤久氏とラモス瑠偉氏は1993年に誕生したJリーグでもプレーしていたため、知名度は他の候補とは比較にならないだけに、得票率が高かったのは当然と言える。それにしても毎年書いてきたと思うが、この日本サッカー殿堂、今年で15回目を迎えるが、候補者が尻すぼみになっている印象が拭えない。 ▽たとえば今回は受賞できなかった碓井氏や前田氏も、日本代表の一員として「暗黒の80年代」を支えた名プレーヤーである。しかし得票率が低かったり、受賞を逃したりすれば候補から外されてしまう。同じようなことは過去にも例があり、今回特別選考で選ばれたメキシコ五輪の日本代表チームも、杉山氏や釜本氏ら個人としても殿堂入りしている選手がいる一方、同じ銅メダル組でも個人選考の対象外となった選手もいた。 ▽そんな彼らを救済する制度はいまのところない。「名誉職なのだから目くじらを立てる必要はない」と言われればそれまでだが、「片手落ち」の印象が強いのは僕だけだろうか。個人的には第1回から投票委員の末席に加えてもらっているが、11名以内の殿堂委員がどのようにして候補者を選定しているのか、その過程も不透明なままだ(細かい規約はあるけれど)。 ▽このままでは身内だけの表彰式になりかねないし、殿堂委員会の委員長(任期2年)は理事会で選出されるとはいえ、慣例的に元JFA会長(現在は大仁邦彌氏)が務めることになっている。このため「元会長の天下りポスト」と批判されても仕方ないだろう。 ▽日本サッカーの功労者に光を当てることは悪いことではない。しかし、候補者は選手に偏りすぎているきらいがある。指導者をはじめ、もっと広い視野で日本のサッカーに貢献した人にスポットライトを当てて欲しいものである。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.08.02 22:25 Thu
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