千葉L主将・山口千尋が3度目のEピース帰還…来季こそ誓う“恩返し弾”「また来年頑張る糧にしたい」
2026.02.22 00:00 Sun
「優しい」、「真面目」、「ひたむき」、「面倒見がいい」、「お姉ちゃんみたい」。
試合では持ち前のスピードと鋭いドリブルでピッチを切り裂くジェフユナイテッド市原・千葉レディース(千葉L)のMF山口千尋だが、古巣サンフレッチェ広島レジーナの元チームメイトの言葉からは思いやりに満ちた人柄が伝わってくる。
長崎県出身の山口は、中高6年間を鹿児島県の強豪校・神村学園で過ごし、サッカーに打ち込んだ。そこで2年後輩だったMF小川愛は、寮生活でお世話になった思い出を振り返る。
「私が中学1年で入った時、1番最初の5人部屋に3年生の千尋がいて、めちゃめちゃ面倒を見てもらいました。自分は中1で敬語ができなくて結構問題児だったので、千尋の部屋じゃなかったらめっちゃ怒られていたと思います。でも、『先輩には敬語をちゃんと使おうね』みたいな感じでめっちゃ優しくて、本当に面倒見のいいお姉ちゃんでした」
前回の千葉L戦では、お互いにキャプテンマークを巻いてピッチで再会も果たした。小川は、「チームは違うけど、やっぱり一緒にサッカーしてきた先輩だし、レジーナでもすごくお世話になったので、同じピッチでサッカーして戦えることが本当にうれしかったです」と振り返り、ホームでの今節に向けて警戒心を高めていた。
山口は神村学園卒業後、姫路獨協大学を経て、2019年に当時なでしこリーグ2部の愛媛FCレディースに加入した。そのとき指揮官2年目だったのが、現在広島を率いる赤井秀一監督だ。教え子について「すごく真面目でいい子ですし、どんな時もひたむきに全力で戦える選手です」と話す。
山口は加入初年度の2019シーズンになでしこリーグ2部の全18試合に出場し、6ゴールを挙げる活躍で優勝に貢献。なでしこリーグ2部の新人賞にも輝いた。
赤井監督は、「スピードがあって、サイドを駆け上がってチャンスメイクしたり、逆サイドからのクロスに対して入っていくプレーは昔からあったので、そこの攻撃の質が鋭くなったと思うし、試合を重ねるごとに自信つけていると感じます」と教え子の成長を称える。
「前回対戦した時も彼女に決定的なチャンスを作られていて、外してくれたから助かった部分はありましたけど。でも、やっぱりキーになる選手であるのは間違いないので、自由に思い通りプレーさせないためにも、チームとしてしっかり対策したいです」(赤井監督)
山口は愛媛で2シーズン過ごしたのち、2021年にWEリーグ開幕に伴って新設されたサンフレッチェ広島レジーナに移籍を果たした。「今も仲いいですし、いい友人です」というMF立花葉は、「献身的にチームのためにプレーできるのが彼女の1番いいところだし、プレースタイルと同じで周りのために動けるし、お姉ちゃんみたいなところもありつつ、でも抜けているところもあるので、頼られるところもあります(笑)」と話す。
広島では同じサイドアタッカーとして、支え合った仲だった。「苦しい時も一緒に乗り越えようとした仲間です。ちいさんも頑張っているから、私も頑張ろうって思っていたし、そう思わせてくれた存在でした」。それは、移籍した今も変わらない。「(千葉Lでの活躍は)めちゃくちゃうれしいです」と立花は笑顔を見せた。
1996年生まれで山口と同い年のFW上野真実は神村学園で中高をともに過ごし、愛媛Lでも2シーズン一緒にプレー。同じタイミングで広島に移籍して2シーズンをともに過ごした。「優しいし、面倒見がいいし、気が利く子です」と言うが、よく知る仲だけに負けたくない気持ちも強い。
「精神力を持っている選手ですし、最近はゴールにも関わっているので、やらせたくない気持ちはあります。あんまりキャプテンキャラじゃなかったですけど、楽しそうにやっているし、(古巣相手に)向こうも決めたいと思っていると思うので、こっちも負けられないですし、活躍させないぐらい自分たちがしっかり止められるようにやっていきたいです」(上野)
2月21日、千葉LはWEリーグ第16節で敵地のエディオンピースウイング広島(Eピース)に乗り込んで広島と対戦した。山口にとってEピースには3度目の帰還だ。
広島では初年度の2021/22シーズンにリーグ戦12試合に出場したが、2年目はリーグ戦出場なしの悔しさを味わった。2023年6月に活躍の場を求めて千葉へ移籍し、3年目の今季はキャプテンにも就任した。
「キャラクター的に自分自身も自分がキャプテンとは思っていないです」と言いつつも、「やっぱり年齢的に上の立場になってきたし、任せられたからには、らしくはないけど、それこそ自分を成長させるために色々なことにチャレンジしながら取り組んでいます」と奮闘してきた。
今季は広島戦前までに全15試合に出場し、チーム最多タイの4得点をマーク。2試合連続ゴール中と好調を維持して古巣の本拠地に帰ってきた。
「キャプテンになって自分がやらなきゃっていう思いはすごくあって、その中でちょっとずつ自分も成長できているなと実感できています。普段だったらパスを選ぶところを自分でシュートにいってみたり、ちょっと難しい場面でも仕掛けにいったり、今まで人に任せていた部分を自分がやらなきゃって思うからこそ、難しいことにもチャレンジできていると思います」
試合は千葉Lが後方からつなぐも、広島の圧力や勢いに押されて立ち上がりに連続失点。開始1分に最後方で果敢につないだパスを相手にダイレクトで決められ、4分にも追加点を許す。さらに33分にもペナルティエリア前で相手のプレスを受けてボールロストすると痛い3失点目。反撃は叶わず、0-3で3試合ぶりの敗戦を喫した。
山口は、「自分たちで試合を崩してしまって、今シーズンで1番悔しいです。前半の失点の仕方や時間がすごく気持ち的にもプレー的にもネガティブになってしまって、特に前半は自分たちのサッカーができなかったと思います」と悔しさとともに振り返った。
Eピースで初の黒星となったが、試合後はいつものように古巣サポーターが待つスタンドへと挨拶に向かった。
「ピースウイングは自分が在籍した頃はまだ完成していなかったので、思い入れがあると言われればそうではないんですけど、ただ、雰囲気やサポーターの熱量は懐かしいなと思います。3年が経ってサポーターも増えて、チームも変わってきている中で、自分がいた頃とはまた違う形になっていると思いうけど、毎年挨拶に行ったら拍手とかで迎えてもらって、温かいですし、ファミリーだなと感じます」
試合後、山口が取材に対応している中、ピッチで戦った上野と小川がやってきた。上野が「ここ(山口)を止められたのでよかったです」と笑うと、小川も「確かに」と笑顔で同調して、やりとりが始まった。
山口「(上野とは)もう13歳からの付き合いなので」
小川「自分は部屋っ子で、一緒の部屋だったんで」
上野「めっちゃ遊んでたよね。広島、懐かしい?」
山口「懐かしい。でももう違うチームって感じ。だいぶ(初期メンバーが)少なくなってきたから」
この悔しさも懐かしさも山口の力になる。「より結果を残したいし、チームを勝たせる選手でありたいです」。真面目に、ひたむきに前を向き、次こそ恩返しをと力いっぱい意気込む。
「移籍してからまだ広島に勝っていないのと、できれば恩返し弾を決めたいとずっと思っているので、また来年頑張る糧にしたいです。次こそは恩返し弾を決めて勝利に貢献します」。
取材・文=湊昂大
試合では持ち前のスピードと鋭いドリブルでピッチを切り裂くジェフユナイテッド市原・千葉レディース(千葉L)のMF山口千尋だが、古巣サンフレッチェ広島レジーナの元チームメイトの言葉からは思いやりに満ちた人柄が伝わってくる。
長崎県出身の山口は、中高6年間を鹿児島県の強豪校・神村学園で過ごし、サッカーに打ち込んだ。そこで2年後輩だったMF小川愛は、寮生活でお世話になった思い出を振り返る。
前回の千葉L戦では、お互いにキャプテンマークを巻いてピッチで再会も果たした。小川は、「チームは違うけど、やっぱり一緒にサッカーしてきた先輩だし、レジーナでもすごくお世話になったので、同じピッチでサッカーして戦えることが本当にうれしかったです」と振り返り、ホームでの今節に向けて警戒心を高めていた。
「(山口は)最後の最後まで諦めないプレーが武器の選手なので、自分たちも足を止めないでちゃんと最後までやりきるところと、そもそも相手が得意とする形にボールを運ばせないようにみんなで共通認識を持ってやりたいです」(小川)
山口は神村学園卒業後、姫路獨協大学を経て、2019年に当時なでしこリーグ2部の愛媛FCレディースに加入した。そのとき指揮官2年目だったのが、現在広島を率いる赤井秀一監督だ。教え子について「すごく真面目でいい子ですし、どんな時もひたむきに全力で戦える選手です」と話す。
山口は加入初年度の2019シーズンになでしこリーグ2部の全18試合に出場し、6ゴールを挙げる活躍で優勝に貢献。なでしこリーグ2部の新人賞にも輝いた。
赤井監督は、「スピードがあって、サイドを駆け上がってチャンスメイクしたり、逆サイドからのクロスに対して入っていくプレーは昔からあったので、そこの攻撃の質が鋭くなったと思うし、試合を重ねるごとに自信つけていると感じます」と教え子の成長を称える。
「前回対戦した時も彼女に決定的なチャンスを作られていて、外してくれたから助かった部分はありましたけど。でも、やっぱりキーになる選手であるのは間違いないので、自由に思い通りプレーさせないためにも、チームとしてしっかり対策したいです」(赤井監督)
山口は愛媛で2シーズン過ごしたのち、2021年にWEリーグ開幕に伴って新設されたサンフレッチェ広島レジーナに移籍を果たした。「今も仲いいですし、いい友人です」というMF立花葉は、「献身的にチームのためにプレーできるのが彼女の1番いいところだし、プレースタイルと同じで周りのために動けるし、お姉ちゃんみたいなところもありつつ、でも抜けているところもあるので、頼られるところもあります(笑)」と話す。
広島では同じサイドアタッカーとして、支え合った仲だった。「苦しい時も一緒に乗り越えようとした仲間です。ちいさんも頑張っているから、私も頑張ろうって思っていたし、そう思わせてくれた存在でした」。それは、移籍した今も変わらない。「(千葉Lでの活躍は)めちゃくちゃうれしいです」と立花は笑顔を見せた。
1996年生まれで山口と同い年のFW上野真実は神村学園で中高をともに過ごし、愛媛Lでも2シーズン一緒にプレー。同じタイミングで広島に移籍して2シーズンをともに過ごした。「優しいし、面倒見がいいし、気が利く子です」と言うが、よく知る仲だけに負けたくない気持ちも強い。
「精神力を持っている選手ですし、最近はゴールにも関わっているので、やらせたくない気持ちはあります。あんまりキャプテンキャラじゃなかったですけど、楽しそうにやっているし、(古巣相手に)向こうも決めたいと思っていると思うので、こっちも負けられないですし、活躍させないぐらい自分たちがしっかり止められるようにやっていきたいです」(上野)
2月21日、千葉LはWEリーグ第16節で敵地のエディオンピースウイング広島(Eピース)に乗り込んで広島と対戦した。山口にとってEピースには3度目の帰還だ。
広島では初年度の2021/22シーズンにリーグ戦12試合に出場したが、2年目はリーグ戦出場なしの悔しさを味わった。2023年6月に活躍の場を求めて千葉へ移籍し、3年目の今季はキャプテンにも就任した。
「キャラクター的に自分自身も自分がキャプテンとは思っていないです」と言いつつも、「やっぱり年齢的に上の立場になってきたし、任せられたからには、らしくはないけど、それこそ自分を成長させるために色々なことにチャレンジしながら取り組んでいます」と奮闘してきた。
今季は広島戦前までに全15試合に出場し、チーム最多タイの4得点をマーク。2試合連続ゴール中と好調を維持して古巣の本拠地に帰ってきた。
「キャプテンになって自分がやらなきゃっていう思いはすごくあって、その中でちょっとずつ自分も成長できているなと実感できています。普段だったらパスを選ぶところを自分でシュートにいってみたり、ちょっと難しい場面でも仕掛けにいったり、今まで人に任せていた部分を自分がやらなきゃって思うからこそ、難しいことにもチャレンジできていると思います」
試合は千葉Lが後方からつなぐも、広島の圧力や勢いに押されて立ち上がりに連続失点。開始1分に最後方で果敢につないだパスを相手にダイレクトで決められ、4分にも追加点を許す。さらに33分にもペナルティエリア前で相手のプレスを受けてボールロストすると痛い3失点目。反撃は叶わず、0-3で3試合ぶりの敗戦を喫した。
山口は、「自分たちで試合を崩してしまって、今シーズンで1番悔しいです。前半の失点の仕方や時間がすごく気持ち的にもプレー的にもネガティブになってしまって、特に前半は自分たちのサッカーができなかったと思います」と悔しさとともに振り返った。
Eピースで初の黒星となったが、試合後はいつものように古巣サポーターが待つスタンドへと挨拶に向かった。
「ピースウイングは自分が在籍した頃はまだ完成していなかったので、思い入れがあると言われればそうではないんですけど、ただ、雰囲気やサポーターの熱量は懐かしいなと思います。3年が経ってサポーターも増えて、チームも変わってきている中で、自分がいた頃とはまた違う形になっていると思いうけど、毎年挨拶に行ったら拍手とかで迎えてもらって、温かいですし、ファミリーだなと感じます」
試合後、山口が取材に対応している中、ピッチで戦った上野と小川がやってきた。上野が「ここ(山口)を止められたのでよかったです」と笑うと、小川も「確かに」と笑顔で同調して、やりとりが始まった。
山口「(上野とは)もう13歳からの付き合いなので」
小川「自分は部屋っ子で、一緒の部屋だったんで」
上野「めっちゃ遊んでたよね。広島、懐かしい?」
山口「懐かしい。でももう違うチームって感じ。だいぶ(初期メンバーが)少なくなってきたから」
この悔しさも懐かしさも山口の力になる。「より結果を残したいし、チームを勝たせる選手でありたいです」。真面目に、ひたむきに前を向き、次こそ恩返しをと力いっぱい意気込む。
「移籍してからまだ広島に勝っていないのと、できれば恩返し弾を決めたいとずっと思っているので、また来年頑張る糧にしたいです。次こそは恩返し弾を決めて勝利に貢献します」。
取材・文=湊昂大
出典:https://www.soccer-king.jp/news/japan/weleague/20260221/2128698.html
|
|
