スキッベ新体制の神戸をけん引…2戦連発で勝利貢献も“妥協を許さない”酒井高徳「本物ではないと思う」

2026.02.14 12:00 Sat
©サッカーキング
2022年6月から続いた吉田孝行監督体制が終焉を迎え、ヴィッセル神戸はミヒャエル・スキッベ監督率いる新たなチームへと移行した。昨季までサンフレッチェ広島を率いた新指揮官はこれまで『3-4-2-1』システムで戦っていたが、「神戸には今まで積み上げてきた蓄積がある」と新天地では既存の『4-3-3』を維持。そこに自身のエッセンスを加えて、さらに強い組織を作り上げようとしている。

「吉田さんの頃に比べると、より激しさを求められているかなと。ボールを高い位置で奪ってすぐに攻撃したいという狙いがあるので、それを徹底してやっているところはあります。縦に速く攻める色も出したがっているので、そこを上積みしていけたらいいと思います」と酒井高徳は沖縄キャンプの際に発言。新たな色合いを加えようと目下、躍起になっているという。

強い意欲が今季開幕からの好結果につながっている。神戸は明治安田J1百年構想リーグ開幕戦の京都サンガF.C.戦でPK勝ちし、続くAFCチャンピオンズリーグエリートのFCソウル戦も2-0で勝利。酒井高徳は右サイドバックで2試合連続先発出場し、FCソウル戦ではダメ押しとなる2点目をゲットした。待望の今季初ゴールで勢いに乗ったのである。
そして迎えた“金J”のV・ファーレン長崎戦。2019年から6年間共闘した盟友・山口蛍をホームに迎え撃つとだけあって、燃えに燃えていたはずだ。「一緒にプレーしていた選手なので、非常に楽しみにしていましたし、こうやってまたピッチで敵同士ですけど会えるのがサッカー醍醐味」と本人も目を輝かせていた。

8年ぶりにJ1に昇格した長崎に対し、神戸は開始早々から凄まじい圧をかけ、瞬く間にゲームを支配。一方的に押し込んだ。酒井高徳も縦関係を形成する武藤嘉紀、右インサイドハーフの井手口陽介とのトライアングルを生かしながら積極的に攻撃に参加。キレのある動きを見せつけた。「今季はより前に絡んで、前での精度を高めたいと意識しているので、ゴールに絡む結果を残せるようなポジショニングを試行錯誤しています」と話したが、スキッベ体制の酒井高徳は守備強度のみならず、攻めでも違いを出せる存在へと飛躍しつつあるようだ。
それを印象付けたのが、前半25分の先制弾。永戸勝也の左CKを山川哲史が相手DFと競り合ったこぼれ球を豪快にボレーで決めた形だが、「割とリラックスしてシュートを打てたかなと思います」と手応えを口にする。これで今季開幕前に掲げた「2点」の目標を早々とクリアした形だが、「リーグ戦で2点を取りたいんで」と全く手を緩めるつもりはない。実際、前半42分の佐々木大樹の追加点も質の高いクロスでアシストしており、ややパフォーマンスが上がり切らなかった昨季とは比べ物にならないほど好スタートを切っている様子だ。

神戸は後半もペースを握り続け、終わってみれば2-0の快勝。シュート数も神戸の17本に対し、長崎は4本のみと、圧倒的な実力差を示したと言っていい。にもかかわらず、背番号24をつけるベテランは心の底から喜んではいなかった。

「運よく2試合続けてゴールを取れていますけど、いい結果が続くと『次も次も』と期待が膨らみがち。でも、僕はやっぱり守備の選手なので、後半の守備があまりいい形で締められなかったことの方が気になります。僕らが優勝した一昨年、その前は90分通して強さが出せていた。今日は2-0のまま後半を終えましたけど、『1点を入れられたら、もしかしたら崩れていたかもな』という話も出ました。それは自分自身も感じていたこと。後半は全体的に立ち位置も低かったし、連動もしていなかった。ああやって落ちたんじゃ本物ではないと思うし、満足いく後半を戦えるようにしたいなと思いますね」とあえて厳しい物言いをしたのである。

そうやって高みを追い求め続けなければ、ACLE制覇、そしてJ1百年構想リーグ優勝という領域に手が届かないことを、誰よりもよく分かっているのだろう。確かに神戸は昨季リーグ5位に甘んじ、天皇杯もファイナルでFC町田セルビアに苦杯。無冠に終わっている。そこから這い上がり、再びタイトルを掴もうと思うなら、もっともっと貪欲にならなければならない。酒井はそういったタフなマインドをチーム全体に植え付けようとしている。

同世代の大迫勇也、扇原貴宏が負傷離脱している今、「自分が引っ張らなければいけない」という責任感も高まっているのだろう。酒井が飽くなき闘争心を前面に押し出し続ければ、神戸はいい方向に進むだろう。スキッベ監督ともドイツ語でスムーズに意思疎通できるこの男が、新体制のキーマンになっているのは紛れもない事実だ。3月には35歳になるが、この年齢でも大きく成長できることを力強く証明してほしい。酒井高徳に不可能はないはずだ。

取材・文=元川悦子


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出典:https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20260214/2125369.html


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