【インタビュー】原体験は高3で見た女子CL「日本で見たことのない光景が…」初の海外挑戦でズヴォレの躍進支える石田千尋
2026.01.16 12:00 Fri
ノジマステラ神奈川相模原、アルビレックス新潟レディースを経て、昨夏からオランダのズヴォレでプレーするMF石田千尋。海外挑戦初年度ながら、ボランチとしてここまでリーグ戦全試合にスタメン出場し、2得点を記録している。「監督からも期待の言葉を貰っていたので、数字も含めてここまで結果が出ていることはすごく嬉しいです」と話し、上位争いを演じるチームの今や中心だ。
23歳での海外挑戦(※現在24歳)。その背景には高校3年生の時の忘れられない体験があったという。ここまでの歩みや、これからの目標を聞いた。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
――女子エールディヴィジは前半戦を終え、ズヴォレは首位と勝ち点4差の5位です。ここまでを振り返っていかがでしょうか?
石田 昨季ズヴォレは10位(12チーム中)と下位でした。外国籍選手として「チームを良い方向に押し上げて欲しい」と監督からも期待の言葉を貰っていたので、数字も含めてここまで結果が出ていることはすごく嬉しいです。
――順位としては5位ですが、優勝を狙える良いポジションにいると思います。
石田 今までのズヴォレではあり得ない順位にいます。今は優勝を目指して戦えているので、チームの士気はすごく高いです。その一員として戦えることはすごく嬉しいですし、毎試合ピリピリした試合ができるのも楽しいですね。
石田 自分でもビックリです(笑)。普段はそんな高い位置取りをしないんですけど、その時はなぜか「いける!」と思って上がったら、本当にボールがこぼれてきました。それがデビュー戦、開幕戦ということもあったので、すごく盛り上がって嬉しかったです。チームメイトは最初から自分のプレーを理解して認めてくれていたので、周囲の反応が大きく変わるということはなかったですけど、サポーターの反応は変わりました。すごく喜んでくれましたし、日本と比べてもサポーターとの距離感がすごく近いので、試合後にたくさん声をかけてもらえました。温かいクラブですし、認めてくれたのかなと思いました。
――第8節の首位アヤックス戦では、7-1で大勝しています。大量得点の口火を切ったのは、石田選手のゴールでした。
石田 これまでズヴォレがアヤックスに勝ったことは過去一度だけ。それも何年も前でした。でも、監督からは「今のチームなら勝てる」という話があり、試合に入りました。最初はかなり相手のペースで押されていたんですけど、私のゴールの後に「これは本当に勝てる」と思ったのか、みんなの動きが一段上がりましたね。そこから勢いに乗って連続得点で次第に相手もしゅんとなっていって……。畳み掛けるように得点を決めて7-1で勝つことができました。オランダでニュースになってたくさん取り上げられて、本当に歴史的なことだったと思いました。そもそもアヤックスが大量失点をすることないですし、それも相手が昨季10位のズヴォレでしたからね。試合後のロッカーではお祭り騒ぎでした!
――そういった歴史的勝利ができた要因はどこにあったのでしょうか?
石田 良い意味で若さ故の勢いなのかなと思います。私は今24歳なんですけど、実はチームで上から数えて2番目です。私と同い年の選手が3人いて、大半の選手が20〜22歳。一番年上の選手がキャプテンを務めているのですが、それでも26歳。24歳だとそろそろ中堅くらいの年齢だと思っていましたが、こちらでは「オールダー」と言われます(笑)。
――そういった若いチームの中で早くも中心選手になっています。個人としてのプレーの手応えはいかがですか?
石田 日本でプレーしていた頃は、自分のことを上手い選手だとは思っていませんでした。足元の技術にそこまで自信はなかったのですが、オランダでは「テクニシャン」と言われています。そんな自覚はないのに(笑)。けど、そう見られることで自分にどんどんボールが集まるようになりました。ターンして前を向くプレーはこれまでは苦手意識もあったのですが、チームからも求められているので積極的にチャレンジしています。少しずつ自信を持てるようになってきました。そういった意味でもここに来た意味は、すごく大きいなと感じています。
――よく聞くのが球際の強さなど、海外に行くと衝撃を受けたと話す選手もいます。
石田 球際は蹴り飛ばすくらいの勢いで来ますね。ギリギリのボールをマイボールにするというより、相手ごと持っていくような感覚です。正当に向かって行ってもなかなか勝てないので、タイミングを考えて当たりに行くようにしています。日本にいる時は球際の強さに結構自信あったのですが……。今はそこを売りにするのではなく、テクニックを磨く方にシフトチェンジしています。パスコン(パス&コントロール)のスピード感にも驚きました。かなり速いです。あとはフィジカルの部分。日本では中の上か、中の中くらい(身長165センチ)だと思っていましたが、今はチームで一番小さいです。
――ノジマで約3年間、新潟Lで2年間プレーし、海外移籍となりました。もともと海外でプレーしたいと考えていたのでしょうか?
石田 海外志望はずっとありました。アカデミー(JFAアカデミー福島)で毎年海外遠征があり、高3の春休みにパリに行きました。そこで見た女子チャンピオンズリーグにビビっと来ましたね。プレーが一流なのはもちろん、一番驚いたのが女子サッカーを取り巻く環境です。スタジアムの雰囲気に圧倒されました。3月はまだ寒いのに上裸になって応援している人もいて(笑)。スタジアムにたくさんのサポーターがいて、日本では見たことのない光景がありました。「海外でプレーしたい!」と思ったのは、それがきっかけです。
――23歳での海外挑戦となりましたが、そのタイミングについてはいかがですか?
石田 ただ漠然と海外でプレーしたいというわけではなく「女子チャンピオンズリーグに出る」という明確な目標がありました。高校卒業のタイミングでいきなり行ったとしても、埋もれてしまうような気がしたので、大学に行くようなイメージで4年間、結果的に5年でしたが日本のトップリーグでプレーすることを選びました。それなりに実力と知名度を残してから、海外に行くという自分のプランがありました。
――となると、将来的には女子チャンピオンズリーグ出場、常連クラブに行くことを見据えているのでしょうか?
石田 いわゆるトップリーグに行きたいですし、そこでやりたいと思っています。ただ、今はいきなりそこにポンと入っても難しいですし、今は試合に出てなんぼだと思っています。年齢的に若くはないので、育成というより戦力として試合に出ることが大事です。オランダには女子チャンピオンズリーグに出て好成績を残しているクラブもありますし、トップリーグに近づく一歩目だと思って選びました。ここで実力を付けて、最終的にはトップリーグで活躍したいです。
――女子サッカーを取り巻く環境など、日本との違いで感じることはありますか?
石田 日本だと得点を取った選手が取り上げられることが多く、後ろの選手は完封したとしてもなかなか取り上げられないと思います。オランダのサポーターは見るレベルがプロというか「そんな細かいところまで見てくれているの?」と思うことがあります。「あのプレーが良かった」とか、結構細かいところまで見てくれていて「そう評価してくれているんだ」と思うことを言われたりもしますね。サポーターの見るレベルは高いと思います。
――オランダでの生活はいかがでしょうか?
石田 クラブが所有している一軒家に私を含めたチームメイト4人で生活しています。私以外は全員オランダ人なので、文化の違いを感じる時もありますけど、そこは少しずつ乗り越えています。朝とお昼は各自、夜はみんなで食事をするようにしています。食事はパンやパスタなど小麦系が多くて、あまりお米は食べません。私はできるだけお米が食べたいので、食べたい時は積極的に夕食を作るようにしています(笑)。カレーはみんな好きなので、カレーが多いですね。みんなからは「またお米だ……」と言われますけど、気にしていません(笑)。
――語学面はいかがですか?
石田 オランダ語は挨拶や簡単な単語、サッカー用語は分かるようになってきました。英語は全員話せますが、オランダにいるならオランダ語を学ぶべきだと思っているので、今は英語よりもオランダ語に力を入れて勉強しています。語学学習は楽しいですね。オンラインのオランダ語レッスンを週2回受けていて、日常会話でも分からないことがあれば「それはどういう意味?」と聞くようにしています。コミュニケーションを取っていて「こんな言葉も分かるの?」と言われると嬉しいです。あと私はハマると結構突き詰めてやるタイプなので(笑)。
――改めてになりますが、これからのキャリアの目標を教えて下さい。
石田 目標は女子チャンピオンズリーグの舞台に立つことです。そうなると必然的に強いクラブに行かないといけないですし、そこで活躍して中心的な存在になりたい。オランダ以外の国でどこまでできるのかも自分自身楽しみな部分もあります。もう日本には戻らず、ヨーロッパでキャリアを終えても良いかなというくらいの感覚です。あと何年かかるかは分かりませんが、まず今はこのチームで結果を残すこと。そうしなければなかなか個人にもフォーカスされないですからね。チームをもっと上に押し上げていけるように頑張ります。
――最後にノジマ、新潟Lのサポーター中心に、日本で石田選手を応援してくれる方にメッセージをお願いします。
石田 元気に楽しみながらサッカーに取り組んでいます。なかなかプレーを見る機会はないと思いますが、試合結果だけでも気にしてくれたら嬉しいです。個人のインスタグラムもなるべく更新するようにしています。これからも気にかけていただけたら嬉しいです!
23歳での海外挑戦(※現在24歳)。その背景には高校3年生の時の忘れられない体験があったという。ここまでの歩みや、これからの目標を聞いた。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
石田 昨季ズヴォレは10位(12チーム中)と下位でした。外国籍選手として「チームを良い方向に押し上げて欲しい」と監督からも期待の言葉を貰っていたので、数字も含めてここまで結果が出ていることはすごく嬉しいです。
――順位としては5位ですが、優勝を狙える良いポジションにいると思います。
石田 今までのズヴォレではあり得ない順位にいます。今は優勝を目指して戦えているので、チームの士気はすごく高いです。その一員として戦えることはすごく嬉しいですし、毎試合ピリピリした試合ができるのも楽しいですね。
――石田選手個人としてはここまで全試合にスタメン出場し、2得点を決めています。ポジション柄あまり得点を取るタイプではないと思いますが、周囲の反応も含めていかがですか?
石田 自分でもビックリです(笑)。普段はそんな高い位置取りをしないんですけど、その時はなぜか「いける!」と思って上がったら、本当にボールがこぼれてきました。それがデビュー戦、開幕戦ということもあったので、すごく盛り上がって嬉しかったです。チームメイトは最初から自分のプレーを理解して認めてくれていたので、周囲の反応が大きく変わるということはなかったですけど、サポーターの反応は変わりました。すごく喜んでくれましたし、日本と比べてもサポーターとの距離感がすごく近いので、試合後にたくさん声をかけてもらえました。温かいクラブですし、認めてくれたのかなと思いました。
――第8節の首位アヤックス戦では、7-1で大勝しています。大量得点の口火を切ったのは、石田選手のゴールでした。
石田 これまでズヴォレがアヤックスに勝ったことは過去一度だけ。それも何年も前でした。でも、監督からは「今のチームなら勝てる」という話があり、試合に入りました。最初はかなり相手のペースで押されていたんですけど、私のゴールの後に「これは本当に勝てる」と思ったのか、みんなの動きが一段上がりましたね。そこから勢いに乗って連続得点で次第に相手もしゅんとなっていって……。畳み掛けるように得点を決めて7-1で勝つことができました。オランダでニュースになってたくさん取り上げられて、本当に歴史的なことだったと思いました。そもそもアヤックスが大量失点をすることないですし、それも相手が昨季10位のズヴォレでしたからね。試合後のロッカーではお祭り騒ぎでした!
――そういった歴史的勝利ができた要因はどこにあったのでしょうか?
石田 良い意味で若さ故の勢いなのかなと思います。私は今24歳なんですけど、実はチームで上から数えて2番目です。私と同い年の選手が3人いて、大半の選手が20〜22歳。一番年上の選手がキャプテンを務めているのですが、それでも26歳。24歳だとそろそろ中堅くらいの年齢だと思っていましたが、こちらでは「オールダー」と言われます(笑)。
――そういった若いチームの中で早くも中心選手になっています。個人としてのプレーの手応えはいかがですか?
石田 日本でプレーしていた頃は、自分のことを上手い選手だとは思っていませんでした。足元の技術にそこまで自信はなかったのですが、オランダでは「テクニシャン」と言われています。そんな自覚はないのに(笑)。けど、そう見られることで自分にどんどんボールが集まるようになりました。ターンして前を向くプレーはこれまでは苦手意識もあったのですが、チームからも求められているので積極的にチャレンジしています。少しずつ自信を持てるようになってきました。そういった意味でもここに来た意味は、すごく大きいなと感じています。
――よく聞くのが球際の強さなど、海外に行くと衝撃を受けたと話す選手もいます。
石田 球際は蹴り飛ばすくらいの勢いで来ますね。ギリギリのボールをマイボールにするというより、相手ごと持っていくような感覚です。正当に向かって行ってもなかなか勝てないので、タイミングを考えて当たりに行くようにしています。日本にいる時は球際の強さに結構自信あったのですが……。今はそこを売りにするのではなく、テクニックを磨く方にシフトチェンジしています。パスコン(パス&コントロール)のスピード感にも驚きました。かなり速いです。あとはフィジカルの部分。日本では中の上か、中の中くらい(身長165センチ)だと思っていましたが、今はチームで一番小さいです。
――ノジマで約3年間、新潟Lで2年間プレーし、海外移籍となりました。もともと海外でプレーしたいと考えていたのでしょうか?
石田 海外志望はずっとありました。アカデミー(JFAアカデミー福島)で毎年海外遠征があり、高3の春休みにパリに行きました。そこで見た女子チャンピオンズリーグにビビっと来ましたね。プレーが一流なのはもちろん、一番驚いたのが女子サッカーを取り巻く環境です。スタジアムの雰囲気に圧倒されました。3月はまだ寒いのに上裸になって応援している人もいて(笑)。スタジアムにたくさんのサポーターがいて、日本では見たことのない光景がありました。「海外でプレーしたい!」と思ったのは、それがきっかけです。
――23歳での海外挑戦となりましたが、そのタイミングについてはいかがですか?
石田 ただ漠然と海外でプレーしたいというわけではなく「女子チャンピオンズリーグに出る」という明確な目標がありました。高校卒業のタイミングでいきなり行ったとしても、埋もれてしまうような気がしたので、大学に行くようなイメージで4年間、結果的に5年でしたが日本のトップリーグでプレーすることを選びました。それなりに実力と知名度を残してから、海外に行くという自分のプランがありました。
――となると、将来的には女子チャンピオンズリーグ出場、常連クラブに行くことを見据えているのでしょうか?
石田 いわゆるトップリーグに行きたいですし、そこでやりたいと思っています。ただ、今はいきなりそこにポンと入っても難しいですし、今は試合に出てなんぼだと思っています。年齢的に若くはないので、育成というより戦力として試合に出ることが大事です。オランダには女子チャンピオンズリーグに出て好成績を残しているクラブもありますし、トップリーグに近づく一歩目だと思って選びました。ここで実力を付けて、最終的にはトップリーグで活躍したいです。
――女子サッカーを取り巻く環境など、日本との違いで感じることはありますか?
石田 日本だと得点を取った選手が取り上げられることが多く、後ろの選手は完封したとしてもなかなか取り上げられないと思います。オランダのサポーターは見るレベルがプロというか「そんな細かいところまで見てくれているの?」と思うことがあります。「あのプレーが良かった」とか、結構細かいところまで見てくれていて「そう評価してくれているんだ」と思うことを言われたりもしますね。サポーターの見るレベルは高いと思います。
――オランダでの生活はいかがでしょうか?
石田 クラブが所有している一軒家に私を含めたチームメイト4人で生活しています。私以外は全員オランダ人なので、文化の違いを感じる時もありますけど、そこは少しずつ乗り越えています。朝とお昼は各自、夜はみんなで食事をするようにしています。食事はパンやパスタなど小麦系が多くて、あまりお米は食べません。私はできるだけお米が食べたいので、食べたい時は積極的に夕食を作るようにしています(笑)。カレーはみんな好きなので、カレーが多いですね。みんなからは「またお米だ……」と言われますけど、気にしていません(笑)。
――語学面はいかがですか?
石田 オランダ語は挨拶や簡単な単語、サッカー用語は分かるようになってきました。英語は全員話せますが、オランダにいるならオランダ語を学ぶべきだと思っているので、今は英語よりもオランダ語に力を入れて勉強しています。語学学習は楽しいですね。オンラインのオランダ語レッスンを週2回受けていて、日常会話でも分からないことがあれば「それはどういう意味?」と聞くようにしています。コミュニケーションを取っていて「こんな言葉も分かるの?」と言われると嬉しいです。あと私はハマると結構突き詰めてやるタイプなので(笑)。
――改めてになりますが、これからのキャリアの目標を教えて下さい。
石田 目標は女子チャンピオンズリーグの舞台に立つことです。そうなると必然的に強いクラブに行かないといけないですし、そこで活躍して中心的な存在になりたい。オランダ以外の国でどこまでできるのかも自分自身楽しみな部分もあります。もう日本には戻らず、ヨーロッパでキャリアを終えても良いかなというくらいの感覚です。あと何年かかるかは分かりませんが、まず今はこのチームで結果を残すこと。そうしなければなかなか個人にもフォーカスされないですからね。チームをもっと上に押し上げていけるように頑張ります。
――最後にノジマ、新潟Lのサポーター中心に、日本で石田選手を応援してくれる方にメッセージをお願いします。
石田 元気に楽しみながらサッカーに取り組んでいます。なかなかプレーを見る機会はないと思いますが、試合結果だけでも気にしてくれたら嬉しいです。個人のインスタグラムもなるべく更新するようにしています。これからも気にかけていただけたら嬉しいです!
出典:https://www.soccer-king.jp/news/world/ned/20260116/2115652.html
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