「これで選手としてのキャリアを終えようと思っています」ジェルマンが広島を救う惜別弾…ACLEで“ラストダンス”へ

2025.12.07 16:00 Sun
©サッカーキング
今シーズン限りでサンフレッチェ広島を退団するFWヴァレール・ジェルマンがリーグ最終戦でチームを救った。

広島は12月6日に行われた明治安田J1リーグ第38節で湘南ベルマーレを本拠地のエディオンピースウイング広島に迎えて対戦した。ミヒャエル・スキッベ監督の退任発表後初のホームゲームで立ち上がりから果敢に攻めたが、チャンスを決めきれないまま時間が過ぎ、78分にはオウンゴールで先制点を許してしまう。

それでも、1点ビハインドで迎えた82分、「負けている状況で残り時間も少なかったけど、オフェンスのプレイヤーとしてはどんな形でもいいのでゴールを決めたいという気持ちで入りました」というジェルマンが途中出場し、その4分後に同点ゴールをマーク。同じタイミングで途中出場したDF菅大輝の右CKを頭で叩き込んでゴールネットを揺らした。
「スガちゃんがピッチにいる時は素晴らしいクロスが上がることはよくわかっているので、自分の得点シーンもCKで素晴らしいボールを蹴ってくれたと思いますし、自分がいいポジションに入れたことがゴールにつながったと思います。今日はベンチから途中出場した選手たちが違いを見せられた試合だったと思います」

失点後から力強さが増した紫の声援は、ジェルマンのゴールでさらに熱を帯びて最後まで選手たちを勢いづけた。
「今日だけじゃなくて、常に満員にしてくれるサポーターのみなさんの後押しがあったから、今シーズンの素晴らしい戦いができたと思います。ホームゲームだけではなくて、アウェイにも本当にたくさんの広島サポーターが駆けつけて我々を後押ししてくれたことは、自分にとってすごくいい思い出です。もちろんサンフレッチェのサポーターもですけれど、Jリーグ全体を見ても本当に素晴らしいサポーターがいるリーグだと思っています。サポーターが本当にサッカーや選手のことをリスペクトして応援してくれることは、自分にとっても素晴らしい経験でした」

追いついた広島は90分、CKの際にDF佐々木翔がファールを受けてPKを得ると、これを途中出場のFW木下康介が冷静に決めて勝ち越し。試合終了間際の逆転劇でリーグ最終戦を2-1の勝利で飾り、スキッベ監督体制最後のシーズンを4位で終えた。

ジェルマンは、「今日はリーグ最終戦でセレモニーがあることがわかっていたので、勝って監督を送り出して、みんなで楽しむ時間を共有することが大事だと思っていました。しっかり勝ててよかったですし、試合後に選手たちと喜び合えて、家族もピッチの中に入らせてもらって、いい時間を過ごせました」と笑顔で話した。

今年2月末にオーストラリアのマッカーサーFCから広島に完全移籍したフランス人ストライカーは、3月5日に行われたAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)準々決勝・第1戦のライオン・シティ・セーラーズ戦で移籍後初出場初ゴールを決める鮮烈デビューを飾った。しかし、のちに出場資格がなかったことが発覚し、クラブの確認不足による規定違反で第1戦は没取試合に。その影響もあって、広島はACL2敗退を喫していた。

さらに、4月12日に行われたJ1第10節のファジアーノ岡山戦では前半に負傷交代となり、そのまま約1カ月の戦線離脱を強いられた。日本での新たな挑戦は難しいスタートだったが、そうした困難を乗り越えて、これまで公式戦39試合出場5ゴールを記録し、ルヴァンカップ制覇にも貢献。最後のリーグ戦はチームを救うゴールを決めて締めくくり、試合後はスタジアムに差し込んだ西陽に照らされてジェルマンのうれしそうな表情が輝いた。

「はじめは難しい状況が続いて、なかなか環境に慣れなかったり、言葉の問題もあったりして、いろいろあったりしましたけど、こうやって最後に笑えたこと、最後にやってきたことが報われて終われたのはすごくうれしいことだと思います」

「サンフレッチェというクラブに加入できたこと、日本という国を知れたこと、9か月ぐらい日本で生活しましたが、本当に素晴らしい経験ができたと思います。一番はじめに自分が言っていたように、タイトルも取ることができましたし、なにより日々この素晴らしいチームメイトたちと練習を一緒にできたことが一番いい思い出になりました」

今シーズン限りで広島退団が決まっているジェルマンは、今後について「サッカーの世界なので100パーセントとは言えないですが、ほぼほぼこれで選手としてのキャリアを終えようと思っています」と明かす。

「少し可能性があるのはオーストラリアに戻って少しだけプレーすることですが、その可能性はかなり低いと思っています。3年ぐらいフランスから離れて、オーストラリアと日本で過ごしてきましたが、やっぱり自分の妻や2人の息子がいるので、家族との時間を最優先にして今後の人生を歩んでいきたいと思っています。妻の出身地のモナコに戻って一緒に暮らしていく決断をするんじゃないかなと思います。ただ、100パーセント決まったわけではないです」

広島で残されたのはあと1試合。12月10日にホームで行われるAFCチャンピオンズリーグエリート・リーグステージ第6節の上海申花(中国)戦がラストマッチになる。

ジェルマンは、「自分は来シーズンいないですし、監督、コーチ、何人かの選手ももしかしたらいなくなるのかもしれないですけど、でもそれは関係なく、最後にこのチーム全員でしっかりとACLの試合を勝って、来シーズンに向けていいバトンタッチをしたいと思います」と最後まで広島とその未来のために戦う。

取材・文=湊昂大


【広島vs湘南】ジェルマンが同点弾!

出典:https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20251207/2096230.html


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