北朝鮮の“常識外の振る舞い”にも呑まれず 「リスペクトを持って」W杯8強掴んだU-17日本代表
2025.11.19 20:01 Wed
カタールで開催中のFIFA U-17ワールドカップカタール2025。18日に行われたラウンド16の舞台にて、U-17日本代表とU-17北朝鮮代表によるアジア対決が実現した。
結果はFWマギージェラニー蓮(FC琉球U-18)の得点で日本が先行し、後半に追い付かれた末のPK戦にて、最後は日本が勝利。世界の8強へと駒を進めることとなった。
48の国と地域が参加した今回のU-17ワールドカップは、若者たちによる異文化交流の場でもある。日本が“たまたま食卓が隣になった”縁からU-17メキシコ代表と特殊な友情を育んだのは広く報道されているが、他にもピッチ内外で様々な交流が起きている。
文化が違えば礼節や道徳にもズレが出てくるものではあるが、ショッキングな光景が展開されることもある。
「PK戦でも邪魔されたり、選手も衝撃的だったと思います」
両チームの選手が試合前に簡易的な握手(ハイタッチ)を行う場面で、「パンチしてきた。握手じゃなくてパンチ」(マギー)した場面は中継映像でも流れていたそうだが、これについて「ちょっとびっくりしていた」(マギー)のは無理もない。
これに先立つ入場前の整列の時点から、日本の選手たちに対して威嚇行為を行ってきてもいたそうで、「そこから『やべえな』という感じだった」(マギー)と、日本の選手が持っている“常識”の範囲外の振る舞いをする相手に、純粋な戸惑いを感じていたようだ。
いざプレーが始まっても、殺気立った相手の勢いに対し、日本の選手は苦戦を強いられた。そもそも今回の北朝鮮の選手の技量はかなり高く、肉体的にも強健で、日本の選手は思うようなプレーを出せなかった。
MF和田武士(浦和レッズユース)はこう語る。
「本当に嫌な相手でした。球際の部分や、普通は一個引いちゃうところでも相手はそこを目掛けてスライディングでもなんでもボールを突いてくる。そこでビビってしまうと、今日みたいなゲームになってしまう」と振り返る。プレーでも、日本の選手たちが持っている“常識”の外側からタフな攻防を強いてきた。
試合後に「最後まで苦しみ続けた難しいゲーム」と廣山監督が認めたように、日本チームは思うような試合運びができなかった。ただ、指揮官が「チームの雰囲気が本当にポジティブで揺さぶられにくい状態のまま試合に臨めている。助け合いながらよく持ち堪えたなとも思います」と語ったように、折れて崩れることもなかった。
PK戦に入る前の雰囲気も「誰も下を向いてなかった」(FW浅田大翔/横浜FMユース)そうで、「勝ちへの執着心という意味で上回れた」(廣山監督)試合ともなった。そのPK戦でも蹴って引き上げる選手が入れ替わる日本の選手に挑発行為を仕掛けるなど、目に余る振る舞いが続いた。
素晴らしい同点ゴールを含め、北朝鮮の選手たちの力も十分に感じる内容だっただけに、常識外れの立ち居振る舞いだけが残念な記憶として残る試合ともなってしまった。
ただ、「ディスリスペクトなことをしてくるんだったら、そういうことになっちゃうんかなと思います」とマギーが話したように、その姿勢が日本の選手たちに「負けたくない」という気持ちを焚き付けた部分もある。
またキャプテンのGK村松秀司(ロサンゼルスFC)は「相手のことはコントロールできない。でも、どんな相手でも日本人はちゃんとリスペクトを持って戦っている。それをちゃんとやって勝つんだという気持ちを一番に思ってやっていた」と、最後はメンタル面でも相手を上回れたと胸を張った。
そして廣山監督はサッカー面での反省をいくつか口にした上で、「こういう舞台に来て、そうしたことにも負けずに結果を出したことは本当に自信にしてほしい」と、常識外の振る舞いなどに呑まれることなく戦い抜いた選手たちの精神面の成長を称えた。
次はこの苦しみ抜いた末の勝利を、さらなる飛躍への原動力にできるかどうか。日本時間11月21日21時30分からの準々決勝にて、史上初の4強進出を懸け、日本はU-17オーストリア代表と対戦する。
取材・文=川端暁彦
【動画】試合前に北朝鮮の選手がパンチ?!試合ハイライト
結果はFWマギージェラニー蓮(FC琉球U-18)の得点で日本が先行し、後半に追い付かれた末のPK戦にて、最後は日本が勝利。世界の8強へと駒を進めることとなった。
48の国と地域が参加した今回のU-17ワールドカップは、若者たちによる異文化交流の場でもある。日本が“たまたま食卓が隣になった”縁からU-17メキシコ代表と特殊な友情を育んだのは広く報道されているが、他にもピッチ内外で様々な交流が起きている。
「PK戦でも邪魔されたり、選手も衝撃的だったと思います」
ラウンド16の試合後、廣山望監督はそう振り返ったのは北朝鮮の選手たちが見せた振る舞いについてだった。
両チームの選手が試合前に簡易的な握手(ハイタッチ)を行う場面で、「パンチしてきた。握手じゃなくてパンチ」(マギー)した場面は中継映像でも流れていたそうだが、これについて「ちょっとびっくりしていた」(マギー)のは無理もない。
これに先立つ入場前の整列の時点から、日本の選手たちに対して威嚇行為を行ってきてもいたそうで、「そこから『やべえな』という感じだった」(マギー)と、日本の選手が持っている“常識”の範囲外の振る舞いをする相手に、純粋な戸惑いを感じていたようだ。
いざプレーが始まっても、殺気立った相手の勢いに対し、日本の選手は苦戦を強いられた。そもそも今回の北朝鮮の選手の技量はかなり高く、肉体的にも強健で、日本の選手は思うようなプレーを出せなかった。
MF和田武士(浦和レッズユース)はこう語る。
「本当に嫌な相手でした。球際の部分や、普通は一個引いちゃうところでも相手はそこを目掛けてスライディングでもなんでもボールを突いてくる。そこでビビってしまうと、今日みたいなゲームになってしまう」と振り返る。プレーでも、日本の選手たちが持っている“常識”の外側からタフな攻防を強いてきた。
試合後に「最後まで苦しみ続けた難しいゲーム」と廣山監督が認めたように、日本チームは思うような試合運びができなかった。ただ、指揮官が「チームの雰囲気が本当にポジティブで揺さぶられにくい状態のまま試合に臨めている。助け合いながらよく持ち堪えたなとも思います」と語ったように、折れて崩れることもなかった。
PK戦に入る前の雰囲気も「誰も下を向いてなかった」(FW浅田大翔/横浜FMユース)そうで、「勝ちへの執着心という意味で上回れた」(廣山監督)試合ともなった。そのPK戦でも蹴って引き上げる選手が入れ替わる日本の選手に挑発行為を仕掛けるなど、目に余る振る舞いが続いた。
素晴らしい同点ゴールを含め、北朝鮮の選手たちの力も十分に感じる内容だっただけに、常識外れの立ち居振る舞いだけが残念な記憶として残る試合ともなってしまった。
ただ、「ディスリスペクトなことをしてくるんだったら、そういうことになっちゃうんかなと思います」とマギーが話したように、その姿勢が日本の選手たちに「負けたくない」という気持ちを焚き付けた部分もある。
またキャプテンのGK村松秀司(ロサンゼルスFC)は「相手のことはコントロールできない。でも、どんな相手でも日本人はちゃんとリスペクトを持って戦っている。それをちゃんとやって勝つんだという気持ちを一番に思ってやっていた」と、最後はメンタル面でも相手を上回れたと胸を張った。
そして廣山監督はサッカー面での反省をいくつか口にした上で、「こういう舞台に来て、そうしたことにも負けずに結果を出したことは本当に自信にしてほしい」と、常識外の振る舞いなどに呑まれることなく戦い抜いた選手たちの精神面の成長を称えた。
次はこの苦しみ抜いた末の勝利を、さらなる飛躍への原動力にできるかどうか。日本時間11月21日21時30分からの準々決勝にて、史上初の4強進出を懸け、日本はU-17オーストリア代表と対戦する。
取材・文=川端暁彦
【動画】試合前に北朝鮮の選手がパンチ?!試合ハイライト
出典:https://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20251119/2089841.html
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