ブラジル戦で一躍名を挙げた鈴木淳之介「自分の中でいいきっかけ」 J2降格の古巣・湘南への想いも「しっかりプレーしてこそ恩返し」
2025.11.13 12:00 Thu
FIFAワールドカップ26前に残された国際親善試合は4試合。11月のガーナ代表、ボリビア代表との2連戦は、最終登録メンバー滑り込みを狙う若手にとって、極めて重要なアピールの場だ。
今年6月のアジア最終予選第10節のインドネシア代表戦で初キャップを飾り、10月のパラグアイ代表、ブラジル代表2連戦で目覚ましい働きを見せた22歳の新星DF鈴木淳之介もその一人。特にサッカー王国から歴史的初勝利をもぎ取った大一番では、世界的な注目を集めるエステヴァンを完封。アグレッシブかつ強度の高いプレーを前面に押し出し、見るものを大いに驚かせた。「失点の部分を含めて、一瞬の隙を相手は突いてくるので、そういうところはいい経験というか、もっと集中して取り組まないといけないなと思いました。でも、ボールを持つところだったりは通用したかなと。1対1のところはもっと厳しくいきたいなと思います」と本人は大きな収穫と課題を手にした様子だ。
この活躍によって、一気に日本代表最終ラインのレギュラー候補に浮上したわけだが、本人は「まだ1試合いいプレーをしただけ。自分の中でいいきっかけになったと思うので、しっかりと継続してやっていきたい」と全く浮かれていない。反響は凄まじかったそうだが、周りの声に一喜一憂することなく、自身のベストを尽くしていくつもりだ。
ブラジル戦の後、所属するコペンハーゲンではUEFAチャンピオンズリーグのドルトムント戦、トッテナム戦に右サイドバックで出場。世界最高基準を体感する好機に恵まれた。「スピードが違ったんで、とにかくフィジカル的なところは上には上がいると思った。急には変わるところではないですけど、早く追いつきたい。一つ良い基準が自分の中にできたので、良い経験になっていると思います」と本人も強調。CLで体感したものをガーナ戦に持ち込む構えだ。
実際、ガーナには久保建英や田中碧が名指しで警戒感を示したアントワーヌ・セメニョ(ボーンマス)ら欧州5大リーグで活躍するタレントが何人もいる。鈴木としても、身体能力の高い相手と真っ向から対峙し、ブラジル戦のような圧巻の守備を見せつけることが肝要だ。
年代別代表経験はほぼなく、欧州へ赴いてまだ4カ月しか経っていない鈴木は、アフリカ勢とのゲーム経験が乏しい。そのマイナス面をガーナ相手に確実に克服できれば、評価はさらに上がるだろう。前述の通り、コペンハーゲンでは左右のサイドバックを主戦場としているが、日本代表では3バックの左が基本。頭の切り替えは間違いなく難しいはずだが、今のところは高度な適応力で乗り切っている。その賢さと臨機応変さ、前への推進力、つなぎのうまさは彼の大きな武器と言っていい。
今回、時間帯によっては4バックでチャレンジすることもあり得そうだが、そこでサイドバックとしての存在感を示すことができれば、7カ月後のW杯行きにまた一歩大きく前進する。いずれにせよ、ガーナ戦は成長著しい新星DFにとっての重要な試金石。ここを乗り越えて、一気に大舞台へ切符を掴み取ってほしいものだ。
「W杯は小さい頃からの夢。それを叶えるためにも、しっかりピッチの上で表現するしかない」と本人も気合いを入れる。その少年時代に憧れたのが、2006年ドイツW杯のブラジル戦で先制ゴールを決めた玉田圭司だという。「華がありましたし、好きでしたね」と鈴木も嬉しそうに言う。
その玉田が長く在籍し、現在もコーチとして指導に当たる名古屋グランパスのホーム・豊田スタジアムがガーナ戦の会場だ。地元・岐阜に近いこの地には彼自身、何度も足を運んだというだけに、次は自分が玉田のように子供たちの憧れとなる番。特別なモチベーションを持って臨むことになるだろう。
「湘南(ベルマーレ)の人だったりに成長を見せられるのは代表の舞台しかないと思う。湘南に対しては、大変な時に抜けさせてもらって本当に申し訳なかったですし、(監督の山口)智さんにもしっかりプレーしてこそ恩返しになる。ピッチの上でしっかりと表現したいです」
鈴木は2017年以来のJ2降格が決まってしまった古巣への思いも抱きつつ、ガーナ戦で持てる全ての力を出し切る覚悟だ。こういう選手がグングン成長していけば、森保ジャパンの底上げは加速し、チームに大きな活力が与えられる。“日本の希望の星”の一挙手一投足を、期待を込めて見守りたいものである。
取材・文=元川悦子
今年6月のアジア最終予選第10節のインドネシア代表戦で初キャップを飾り、10月のパラグアイ代表、ブラジル代表2連戦で目覚ましい働きを見せた22歳の新星DF鈴木淳之介もその一人。特にサッカー王国から歴史的初勝利をもぎ取った大一番では、世界的な注目を集めるエステヴァンを完封。アグレッシブかつ強度の高いプレーを前面に押し出し、見るものを大いに驚かせた。「失点の部分を含めて、一瞬の隙を相手は突いてくるので、そういうところはいい経験というか、もっと集中して取り組まないといけないなと思いました。でも、ボールを持つところだったりは通用したかなと。1対1のところはもっと厳しくいきたいなと思います」と本人は大きな収穫と課題を手にした様子だ。
この活躍によって、一気に日本代表最終ラインのレギュラー候補に浮上したわけだが、本人は「まだ1試合いいプレーをしただけ。自分の中でいいきっかけになったと思うので、しっかりと継続してやっていきたい」と全く浮かれていない。反響は凄まじかったそうだが、周りの声に一喜一憂することなく、自身のベストを尽くしていくつもりだ。
実際、ガーナには久保建英や田中碧が名指しで警戒感を示したアントワーヌ・セメニョ(ボーンマス)ら欧州5大リーグで活躍するタレントが何人もいる。鈴木としても、身体能力の高い相手と真っ向から対峙し、ブラジル戦のような圧巻の守備を見せつけることが肝要だ。
「まずは前を向かせないようにすることで、ぶち抜かれることはない。後ろ向きの時はガッツリ行けば良い。フィジカル的なところはアフリカの選手にはなかなか勝てないと思うので、しっかり組織で守りたいです」と彼自身も具体的なイメージを膨らませている。
年代別代表経験はほぼなく、欧州へ赴いてまだ4カ月しか経っていない鈴木は、アフリカ勢とのゲーム経験が乏しい。そのマイナス面をガーナ相手に確実に克服できれば、評価はさらに上がるだろう。前述の通り、コペンハーゲンでは左右のサイドバックを主戦場としているが、日本代表では3バックの左が基本。頭の切り替えは間違いなく難しいはずだが、今のところは高度な適応力で乗り切っている。その賢さと臨機応変さ、前への推進力、つなぎのうまさは彼の大きな武器と言っていい。
今回、時間帯によっては4バックでチャレンジすることもあり得そうだが、そこでサイドバックとしての存在感を示すことができれば、7カ月後のW杯行きにまた一歩大きく前進する。いずれにせよ、ガーナ戦は成長著しい新星DFにとっての重要な試金石。ここを乗り越えて、一気に大舞台へ切符を掴み取ってほしいものだ。
「W杯は小さい頃からの夢。それを叶えるためにも、しっかりピッチの上で表現するしかない」と本人も気合いを入れる。その少年時代に憧れたのが、2006年ドイツW杯のブラジル戦で先制ゴールを決めた玉田圭司だという。「華がありましたし、好きでしたね」と鈴木も嬉しそうに言う。
その玉田が長く在籍し、現在もコーチとして指導に当たる名古屋グランパスのホーム・豊田スタジアムがガーナ戦の会場だ。地元・岐阜に近いこの地には彼自身、何度も足を運んだというだけに、次は自分が玉田のように子供たちの憧れとなる番。特別なモチベーションを持って臨むことになるだろう。
「湘南(ベルマーレ)の人だったりに成長を見せられるのは代表の舞台しかないと思う。湘南に対しては、大変な時に抜けさせてもらって本当に申し訳なかったですし、(監督の山口)智さんにもしっかりプレーしてこそ恩返しになる。ピッチの上でしっかりと表現したいです」
鈴木は2017年以来のJ2降格が決まってしまった古巣への思いも抱きつつ、ガーナ戦で持てる全ての力を出し切る覚悟だ。こういう選手がグングン成長していけば、森保ジャパンの底上げは加速し、チームに大きな活力が与えられる。“日本の希望の星”の一挙手一投足を、期待を込めて見守りたいものである。
取材・文=元川悦子
出典:https://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20251113/2087289.html
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