【後編】オリオラ・サンデーの“日本&SAMURAI BLUE愛”に迫る! 将来的な国籍取得の可能性にも言及「W杯にはめちゃくちゃ出てみたい」
2025.11.06 20:00 Thu
最終盤まで熱戦が繰り広げられている2025年の明治安田J2リーグ。第35節時点で4位に付けているRB大宮アルディージャが首尾良くJ1昇格を達成できれば、2017年以来9シーズンぶりのJ1参戦ということになる。
元日本代表の杉本健勇や鹿島アントラーズや京都サンガF.C.でのプレー経験を持つ豊川雄太にとって国内最高峰リーグは「返り咲く場所」だが、22歳の点取り屋オリオラ・サンデーにとっては初めて挑む大舞台だ。「昨年ルヴァンカップで鹿島アントラーズと対戦して、自分たちは結構やれたなという印象がある」と自信を見せている。
J1で目覚ましい活躍を見せれば、かつて日本国籍を取得して日本代表入りを果たした三都主アレサンドロや田中マルクス闘莉王のような道も見えてくるかもしれない。「半分日本の血が流れている」と話すストライカーは、日本代表に興味はあるのか。また今の森保一監督率いる日本代表をどう見ているのかに迫る。
取材・文=元川悦子
日本代表に興味を持たれるような存在になりたい
サンデー 自分は日本出身じゃないけど、日本の高校を卒業したし、いろいろな人にお世話になった。自分としては「半分日本の血が流れているな」という感じです(笑)。「日本代表になりたいか?」と聞かれると、まだ簡単ではないかな。まだそこまでのビッグプレーヤーになれていないし、「クオリティが伴えば……」という気持ちはあるけど、帰化はナイジェリアの家族の考えもあるからね。
――過去の日本代表ではラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王といった選手たちがブラジルから帰化していて、後者の3人はFIFAワールドカップにも出場しています。三都主と闘莉王はサンデー選手と同じように高校時代に来日して、日本でプロになりました。
サンデー それは知らなかったけど、闘莉王選手だけは“バケモンだった”ということで知っています(笑)。自分の場合はまずJ1に上がってそこで力を見せて、日本代表に興味を持たれるような存在になりたいです。
――ちなみに今の日本代表FW陣をどう見ていますか?
サンデー マジでみんなエグい(笑)。偉大な選手ばかりだし、尊敬しています。今の日本代表FWの中では小川(航基)選手が好きです。一番好きなFWは、今はあまりメンバーに入っていないけど古橋(亨梧)選手。あまり身長は大きくないけど、足元の技術とか背後を取る上手さはエグ過ぎる。高校時代にヴィッセル神戸の試合を観に行ったけど、上手過ぎました。その頃はまだ日本語のニュースを読めなかったんですけど、試合を観に行って少し経ってから「古橋はもう神戸にいない」と聞いて驚きました。「どこに行った?」と友達に聞いたら「セルティック」と教えてくれて本当にビックリした。でも、あれだけ上手ければ絶対に成功すると思いました。自分とは身長とかプレースタイルは似ていないけど、大好きな選手です。
――古橋選手は当時J2のFC岐阜からキャリアをスタートさせ、トップカテゴリーまで駆け上がった選手です。
サンデー 自分のスカウトが古橋選手のことをよく知っていて「岐阜から神戸、欧州へ行った選手だ」という話は何回も聞いています。「高校時代はそんなに目立っていなかった」とか「J2から日本代表になった」という話もしてくれて、「サンデーもそうなれる!」とモチベーションを与えてくれました。いろいろな動画も送ってくれて「サンデーもこういうプレーができるから自信を持って」と言ってくれたりして、常に希望を持たせてくれていますね。
――古橋選手以外にすごいと思う選手は?
サンデー 三笘(薫)選手と久保(建英)選手かな。久保選手は自分と年齢がそこまで変わらないのに、あのプレーができるのはマジですごい。あと堂安(律)選手もだし、前田(大然)選手も。前田選手はカタールW杯の時に一番応援していました! マジで速過ぎる! 伊東(純也)選手もめちゃくちゃ速い! やっぱり速い選手が好きです。
――そこにサンデー選手が入ったらどうなるか見たいです!
サンデー 周りにそこまで上手い選手たちがいたら、余裕で活躍できると思いますよ(笑)。「自分らがパスを出すから走れ!」と言われたら、それをやればいいだけ(笑)。一緒にやってみたいですね。久保選手のパスを受けてみたいし、話もしてみたいです。彼はバルセロナにいたから、海外でプレーする気持ちも分かり合えると思います。
「日本代表はホンマに強いよ!」
――日本代表は10月の国際親善試合で初めてブラジル代表に勝利しました。
サンデー ブラジル戦は生で観られなかったんですけど、幼なじみのオタボー(栃木SC所属のFWオタボー・ケネス)から「日本が勝った」と聞いて、すごく嬉しかったです。カタールW杯でドイツ代表、スペイン代表に勝った時もヤバいくらい嬉しかったです! 日本のサッカーがどれくらい強いのか、ナイジェリアの人たちに見せたいし「日本代表はホンマに強いよ!」と言いたい。自分が日本でプレーすることをナイジェリアの友達に馬鹿にされたことがありました。「小さい日本人と一緒にやったら、お前が一番強いんじゃない?」と言われて「いや、日本人は小さいかもしれないけど、サッカーはすごく上手い」と言い返したんです。U-15ナイジェリア代表が日本に来た時があって、U-15日本代表にボコボコにされていた。自分の友達2人が得点を決めていたけど、すぐに電話して「日本には勝てへんやろ」って言ったんです。その友達は「日本、やばい強い」と驚いていて、その反応がすごく嬉しかったです。日本人は小さいかもしれないけど、動きも判断も速い。その友達は日本をリスペクトしてくれたけど、日本がブラジルに勝ったことで、もっとたくさんの人がそう思うはず。「お前は日本でサッカーやっているのか!」ともっと言われるようになったら嬉しいですね。
――ナイジェリアからは欧州に行く選手が多いと思います。遠い日本についてはよく知らないということもあるでしょうね。
サンデー 自分の友達はイングランドやフランス、ポルトガルでプレーしています。そういう人たちからしたら「日本なんてどうせ」という感覚かもしれないけど、「お前が日本に来ても試合には出られない」と言っていて、軽い口喧嘩みたいな感じになっています(笑)。
――サンデー選手が来日する前、知っている日本人選手はいましたか?
サンデー 岡崎(慎司)選手はレスターで優勝したから超有名でした。あと香川(真司)選手もドルトムントでプレーしていてすごいなと思っていましたし、もちろん本田(圭佑)選手も。自分のナイジェリアのチームの監督がミランのファンだったから、本田選手が南アフリカW杯で決めたフリーキックの動画は何回も見せてくれました。
――日本に来てから彼らと接点はありましたか?
サンデー 徳島ヴォルティス時代にセレッソ大阪と練習をして、香川選手を見ました。近くで顔を見られただけでも嬉しかったけど、試合後に握手もできました。自分が小さい頃からテレビで見ていた選手だから、すごく嬉しかったです。高校時代にEdo All United(関東サッカーリーグ2部)の練習に参加したことがあって、そこで本田選手と会って握手しました。「学校も頑張って!」と言ってくれて、めちゃくちゃ良い人でした。英語でも話したけど発音が綺麗。日本語と英語の両方でコミュニケーション取れたのも嬉しかったです。
――J1に上がって爪痕を残して“日本代表待望論”が出るくらいの活躍を期待しています。
サンデー そう思ってもらえるように、自分をしっかり見せることですね。自分もサッカー選手だから、W杯にはめちゃくちゃ出てみたい。日本代表のW杯をちゃんと見たのは前回のカタールW杯だけど、やっぱりすごい大会だった。もっともっと活躍できるように頑張ります!
現在の日本代表には、ガーナ人の父を持つ鈴木彩艶(パルマ)、ナイジェリア人の父を持つ藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)といった選手たちがいる。アフリカ大陸出身選手が日本国籍を取得して代表入りした例はないが、近い将来そういったケースが現実になっても不思議はない。そういう意味で、オリオラ・サンデーの一挙手一投足は気になるところだ。
まずはJ1昇格を手にし、新たな人生を切り拓く……。そうやって前進し続ける彼の姿を楽しみに待ちたいものである。
元日本代表の杉本健勇や鹿島アントラーズや京都サンガF.C.でのプレー経験を持つ豊川雄太にとって国内最高峰リーグは「返り咲く場所」だが、22歳の点取り屋オリオラ・サンデーにとっては初めて挑む大舞台だ。「昨年ルヴァンカップで鹿島アントラーズと対戦して、自分たちは結構やれたなという印象がある」と自信を見せている。
J1で目覚ましい活躍を見せれば、かつて日本国籍を取得して日本代表入りを果たした三都主アレサンドロや田中マルクス闘莉王のような道も見えてくるかもしれない。「半分日本の血が流れている」と話すストライカーは、日本代表に興味はあるのか。また今の森保一監督率いる日本代表をどう見ているのかに迫る。
日本代表に興味を持たれるような存在になりたい
――サンデー選手は日本代表に対してどのような感情を抱いていますか?
サンデー 自分は日本出身じゃないけど、日本の高校を卒業したし、いろいろな人にお世話になった。自分としては「半分日本の血が流れているな」という感じです(笑)。「日本代表になりたいか?」と聞かれると、まだ簡単ではないかな。まだそこまでのビッグプレーヤーになれていないし、「クオリティが伴えば……」という気持ちはあるけど、帰化はナイジェリアの家族の考えもあるからね。
――過去の日本代表ではラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王といった選手たちがブラジルから帰化していて、後者の3人はFIFAワールドカップにも出場しています。三都主と闘莉王はサンデー選手と同じように高校時代に来日して、日本でプロになりました。
サンデー それは知らなかったけど、闘莉王選手だけは“バケモンだった”ということで知っています(笑)。自分の場合はまずJ1に上がってそこで力を見せて、日本代表に興味を持たれるような存在になりたいです。
――ちなみに今の日本代表FW陣をどう見ていますか?
サンデー マジでみんなエグい(笑)。偉大な選手ばかりだし、尊敬しています。今の日本代表FWの中では小川(航基)選手が好きです。一番好きなFWは、今はあまりメンバーに入っていないけど古橋(亨梧)選手。あまり身長は大きくないけど、足元の技術とか背後を取る上手さはエグ過ぎる。高校時代にヴィッセル神戸の試合を観に行ったけど、上手過ぎました。その頃はまだ日本語のニュースを読めなかったんですけど、試合を観に行って少し経ってから「古橋はもう神戸にいない」と聞いて驚きました。「どこに行った?」と友達に聞いたら「セルティック」と教えてくれて本当にビックリした。でも、あれだけ上手ければ絶対に成功すると思いました。自分とは身長とかプレースタイルは似ていないけど、大好きな選手です。
――古橋選手は当時J2のFC岐阜からキャリアをスタートさせ、トップカテゴリーまで駆け上がった選手です。
サンデー 自分のスカウトが古橋選手のことをよく知っていて「岐阜から神戸、欧州へ行った選手だ」という話は何回も聞いています。「高校時代はそんなに目立っていなかった」とか「J2から日本代表になった」という話もしてくれて、「サンデーもそうなれる!」とモチベーションを与えてくれました。いろいろな動画も送ってくれて「サンデーもこういうプレーができるから自信を持って」と言ってくれたりして、常に希望を持たせてくれていますね。
――古橋選手以外にすごいと思う選手は?
サンデー 三笘(薫)選手と久保(建英)選手かな。久保選手は自分と年齢がそこまで変わらないのに、あのプレーができるのはマジですごい。あと堂安(律)選手もだし、前田(大然)選手も。前田選手はカタールW杯の時に一番応援していました! マジで速過ぎる! 伊東(純也)選手もめちゃくちゃ速い! やっぱり速い選手が好きです。
――そこにサンデー選手が入ったらどうなるか見たいです!
サンデー 周りにそこまで上手い選手たちがいたら、余裕で活躍できると思いますよ(笑)。「自分らがパスを出すから走れ!」と言われたら、それをやればいいだけ(笑)。一緒にやってみたいですね。久保選手のパスを受けてみたいし、話もしてみたいです。彼はバルセロナにいたから、海外でプレーする気持ちも分かり合えると思います。
「日本代表はホンマに強いよ!」
――日本代表は10月の国際親善試合で初めてブラジル代表に勝利しました。
サンデー ブラジル戦は生で観られなかったんですけど、幼なじみのオタボー(栃木SC所属のFWオタボー・ケネス)から「日本が勝った」と聞いて、すごく嬉しかったです。カタールW杯でドイツ代表、スペイン代表に勝った時もヤバいくらい嬉しかったです! 日本のサッカーがどれくらい強いのか、ナイジェリアの人たちに見せたいし「日本代表はホンマに強いよ!」と言いたい。自分が日本でプレーすることをナイジェリアの友達に馬鹿にされたことがありました。「小さい日本人と一緒にやったら、お前が一番強いんじゃない?」と言われて「いや、日本人は小さいかもしれないけど、サッカーはすごく上手い」と言い返したんです。U-15ナイジェリア代表が日本に来た時があって、U-15日本代表にボコボコにされていた。自分の友達2人が得点を決めていたけど、すぐに電話して「日本には勝てへんやろ」って言ったんです。その友達は「日本、やばい強い」と驚いていて、その反応がすごく嬉しかったです。日本人は小さいかもしれないけど、動きも判断も速い。その友達は日本をリスペクトしてくれたけど、日本がブラジルに勝ったことで、もっとたくさんの人がそう思うはず。「お前は日本でサッカーやっているのか!」ともっと言われるようになったら嬉しいですね。
――ナイジェリアからは欧州に行く選手が多いと思います。遠い日本についてはよく知らないということもあるでしょうね。
サンデー 自分の友達はイングランドやフランス、ポルトガルでプレーしています。そういう人たちからしたら「日本なんてどうせ」という感覚かもしれないけど、「お前が日本に来ても試合には出られない」と言っていて、軽い口喧嘩みたいな感じになっています(笑)。
――サンデー選手が来日する前、知っている日本人選手はいましたか?
サンデー 岡崎(慎司)選手はレスターで優勝したから超有名でした。あと香川(真司)選手もドルトムントでプレーしていてすごいなと思っていましたし、もちろん本田(圭佑)選手も。自分のナイジェリアのチームの監督がミランのファンだったから、本田選手が南アフリカW杯で決めたフリーキックの動画は何回も見せてくれました。
――日本に来てから彼らと接点はありましたか?
サンデー 徳島ヴォルティス時代にセレッソ大阪と練習をして、香川選手を見ました。近くで顔を見られただけでも嬉しかったけど、試合後に握手もできました。自分が小さい頃からテレビで見ていた選手だから、すごく嬉しかったです。高校時代にEdo All United(関東サッカーリーグ2部)の練習に参加したことがあって、そこで本田選手と会って握手しました。「学校も頑張って!」と言ってくれて、めちゃくちゃ良い人でした。英語でも話したけど発音が綺麗。日本語と英語の両方でコミュニケーション取れたのも嬉しかったです。
――J1に上がって爪痕を残して“日本代表待望論”が出るくらいの活躍を期待しています。
サンデー そう思ってもらえるように、自分をしっかり見せることですね。自分もサッカー選手だから、W杯にはめちゃくちゃ出てみたい。日本代表のW杯をちゃんと見たのは前回のカタールW杯だけど、やっぱりすごい大会だった。もっともっと活躍できるように頑張ります!
現在の日本代表には、ガーナ人の父を持つ鈴木彩艶(パルマ)、ナイジェリア人の父を持つ藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)といった選手たちがいる。アフリカ大陸出身選手が日本国籍を取得して代表入りした例はないが、近い将来そういったケースが現実になっても不思議はない。そういう意味で、オリオラ・サンデーの一挙手一投足は気になるところだ。
まずはJ1昇格を手にし、新たな人生を切り拓く……。そうやって前進し続ける彼の姿を楽しみに待ちたいものである。
出典:https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20251106/2083748.html
|
|
