最終節は結果よりセレモニーを堪能…/原ゆみこのマドリッド
2024.05.28 22:00 Tue
「リーガが終わったのに週末の予定に悩むなんて」そんな風に私が弱り果てていたのは月曜日、レアル・マドリー恒例のCL決勝前メディアデーの開催されたバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で公開セッションを眺めながら、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のスペイン・サッカー協会本部で行われていたスペイン代表ユーロ出場に向けた、デ・ラ・フエンテ監督のプレ招集リスト発表の配信ライブを見ていた時のことでした。いやあ、大体がして、この2つのビッグイベントを同日、同時間帯にやられるだけでも、ええ、私は1人しかいませんからね。片方を捨てないといけなかったというのに、これでもかとばかりに代表公開練習が集合日の夕方、6月1日午後7時なんですよ。
メディアデーで会った顔馴染みのテレマドリッド(ローカルTV局)のレポーターなど、せっかく彼らのお祝いの定点、レガネスにあるプラサ・エスパーニャ噴水広場で待機していたのが、ムダになったと嘆いていたのはともかく、逆に土壇場にシラがPKを挙げたバジャドリーは3-2と勝利。ビジャレアルBをRFEF1部(実質3部)に追いやると同時に、1部昇格一番乗りされてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。おかげで今週末の日曜、再び統合時間帯となった午後6時30分から、レガネスはあと勝ち点1を求めて、ブタルケに前節で完全に昇格プレーオフ圏入りが消えたエルチェを迎えることになったんですが、4年越しの再昇格祝い、私だって、見られるものなら、見たいですって。
その一方でレバンテと2-2で引き分けたもう1つの2部の弟分、アルコルコンの最速RFEF1部Uターンが決まってしまったのは嘆かわしいんですが、とりあえず、今はすでに何も懸かっているものがなかった先週末のリーガ1部最終節がどうだったか、お話ししていくことにすると。先陣を切ったのはアトレティコだったんですが、彼らだけがアウェイゲームでねえ。今季は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で何度も苦い思いをしていただけに、レアル・ソシエダとの一戦をあまり期待はせずに見ていたんですが、これまた意外だったんですよ。
実際、メトロポリターノで今季最後となったオサスナ戦では4点も取られ、ファンからpito(ピト/ブーイング)が飛ぶやら、呆れて早帰りする客が多いやらで、ガラガラのスタンドを前にアトレティコはお別れの場内一周をする羽目に。それがサビッチ、パウリスタに代わり、ビッツェル、ヒメネスがCBに入ったレアル・アレナでは、いえ、私は次の時間帯のラージョの試合を見るため、後半が始まる前にバルを退散したんですけどね。1点差でずっと持ちこたえ、あまつさえ、後半ロスタイムにはモラタのアシストでレイニウドが2点目を挙げ、0-2で勝ってしまったから、ビックリしたの何のって。
いやあ、アリツ・エルストンドなどによると、「El Atlético nos tenía muy estudiados/エル・アトレティコ・ノス・テニア・ムイ・エストゥデイアードー(アトレティコはボクらをとても良く研究していた)」というんですけどね。それこそ、4位が確定する前から、もしくはCL準々決勝ドルトムント戦2ndレグやコパ・デル・レイ準決勝アスレティック戦前から、そういう姿勢で挑んでいてくれれば、ファンもこれ程、失望することはなかった?
まさに覆水盆に返らずです。実際、この日はイマノル監督も「Es una temporada histórica/エス・ウナ・テンポラーダ・イストリカ(歴史的なシーズンだった)。5年連続でヨーロッパの大会出場を果たしただけでなく、CLでも素晴らしかったし(16強対決でPSGに敗退)、コパも決勝進出直前(準決勝でマジョルカに敗退)まで行ったのだから」と言っていたように、むしろ、6位で終わったソシエダが今季はもうやりきった感に満ちていたおかげもあったかと。
まあ、それがこの12年間でシメオネ監督が築いたCL出場皆勤のチームの期待値との差でもあるんですが、実はアトレティコがリーガ最後の6試合で5勝するというのはクラブ史で初めてのことなのだとか。あの悲惨なオサスナ戦でシーズン終盤の印象が最悪になってしまったとはいえ、シメオネ監督も今季最後の記者会見で、この夏は大幅な選手入れ替えを匂わせていましたしね。今はただ、6月はグリーズマン(フランス)、オブラク(スロベニア)、デパイ(オランダ)、デ・パウル、モリーナ、コレア(アルゼンチン)、そして代表引退を撤回したらしいビッツェル(ベルギー)らのユーロやコパ・アメリカでの活躍を楽しむことができたらと思いますが…ソシエダ戦でもレミロとの1対1でvaselina(バセリーナ/ループシュート)を失敗していたモラタはスペイン代表で再生してくれるんですかね。
そして前節、カディスが降格3席目を占めてくれたおかげで残留が決まったラージョはエスタディオ・バジェカスにアスレティックを迎えたんですが、これがもう、残留祝いに加え、クラブ創設100周年祝賀行事が始まって、キックオフ1時間前から、ファンたちが色々、演出をしていたよう。丁度、私が着いた時には全てのスタンドが大幕で覆われており、ピッチが全然、見えず、困惑したものでしたが、選手入場の際も全面モザイクが展開。いつにも増して、応援の歌声にも力が入っていたんですが、試合の方はシーズン通じてのゴール日照りに祟られることに。
ええ、これがバジェカスで最後の試合となるファルカオをスタメンにして、得点を狙いにいったラージョだったんですけどね。いくらアスレティックがGKウナイ・シモンのサモラ確定に全精力を注ぎ、前半から守り固めに入っていたとて、とにかくシュートが入らなくではどうしようもありません。後半15分には、失点率計算条件の60分をクリーンシートで終え、翌日のセビージャ戦でバルサのテア・シュテーゲンが追いつけなくなったため、ウナイ・シモンはアギレサバラと交代。1970年のイリバル以来、初めてアスレティックでサモラを獲得したGKになったのを、ラージョファンまで、拍手で称えているのを見た後、またしても私はタイムアップに。次のマドリー戦に向かうため、スタジアムを出たところ…まさか、同行してくれた顔見知りのイギリス人記者とタクシーを探している間にニコ・ウィリアムスにゴールを入れられてしまうとは!
それが起こったのは22分、ベレンゲルから折り返しのパスをもらった彼がその日、ディミトリエフスキに代わって入ったGKカルデナスを破ったんですが、何せ、兄のイニャキは先週、2年前のバケーション中にガラス瓶を踏み、その時以来、足の裏に埋まっていた2cmもの欠片を除去する手術をしたばかり。この試合には来てなかったにも関わらず、立派に弟がゴールゲッターの役目を果たしてくれるとは、確かにスペイン代表のデ・ラ・フエンテ監督には朗報でしたけどね。RdT(ラウール・デ・トマス)が入ろうが、ベベが入ろうが、最後までこの1点を返せなかったラージョは最終節もホームで勝利を飾ることはできませんでしたっけ。
とはいえ、その日は0-1の敗戦でも試合後、契約満了でバレンシアに移籍するらしいディミトリエフスキを胴上げするなど、選手たちもファンも負けたにも関わらず、最後は「Vida de pirate(ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」を歌って、盛大に残留をお祝い。その様子はすでにベルナベウのスタンドに到着していた午後8時半頃、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継で知ることができたんですが、はあ。結局、日曜試合が終わった後には降格圏ギリギリの17位になってしまったラージョはこの水曜午後7時から、バジェカスで100周年記念試合を実施。ジローナに今季3位でCL初出場をもたらしたミチェル監督を始め、OBのレジェンドチームとダビド・ビジャ、ホアキンら、他チームの引退選手のオールスターチームと対戦する、その時ぐらいは沢山、ファンにゴールを見せてあげてくださいね。
そして土曜の最後の時間帯でマドリーvsベティス戦となったんですが、こちらもスコアレスドローだった内容より、メインイベントは今週、現役引退を発表したクロースへのお別れセレモニーの方だったかと。ええ、まずは選手入場の時にチームメート全員が背番号8のユニを着て、ベティスの選手共々、花道を作って当人を迎えたのから始まって、後半40分に彼がFKをGKビエイテスにそらされた後、セバージョスと交代する時もピッチにいる全員と抱擁を交わして、スタンドは総立ちで感謝の拍手。
自慢の360度大型スクリーンも延々、ベンチで待っていた奥さんや子供たちを抱きしめる彼の姿を映していましたしね。この時ばかりは普段は冷静なクロースも「He estado fuerte hasta que he visto a mis niños, eso me ha matado/エ・エスタード・フエルテ・アスタ・ケ・エ・ビストー・ア・ミス・ニーニョス、エソ・メ・ア・マタードー(子供たちを見るまで、しっかり気持ちを保てたんだけど、その姿にやられた)」と思わず、涙してしまったそう。まあ、こんなゆとり展開はそれこそ、ベティスも7位がすでに確定。前半にはGKクルトワのFKクリアミスに乗じて、カルドーソが決めたゴールがマルク・ロカのオフサイドで認められなかったり、後半もアジョセのゴールがウィリアム・ホセのオフサイドでスコアに上がらずともカリカリする必要がなかったおかげですが、お別れセレモニーは試合が0-0で終わった後も続くことに。
そう、チームメートによる胴上げや記念写真撮影があった後、更には子供たちを連れたクロースが先頭となり、感動に浸る場内一周となったんですが、こんな経験は彼だって、一生に一度のことですからね。この10年間の貢献がそれに十分、値するものだったということは、大勢のマドリーファンが席に残って、最後の勇姿を目に焼き付けようとしていたのからも感じとれましたが、早くも大変なのは、クロースのいなくなった後のチーム編成を効かれていたアンチェロッティ監督。
とりあえずは、「Podemos pensar que puede ser un juego más vertical/ポデモス・オンサール・ケ・プエデ・セル・ウン・フエゴ・マス・ベルティカル(もっと縦のプレーを考えることができる)。よりエネルギーある選手たちで、少しプレーのテンポを落としてね」と答えていましたが、大丈夫。CL決勝ではまだ、最高のレベルで引退することにした34才を当てにできますって。
そして翌日曜はコリセウムに向かった私だったんですが、実はこちらのマジョルカ戦も元々は6年間、ヘタフェに尽くして、今季限りで退団するマタ(契約終了)とマクシモビッチ(パナシナイコスに移籍)へのお別れセレモニーがメインだったんですが、試合中に水を差すようなアクシデントが起きてねえ。というのも、後半3分にはガストンのゴールで先制した彼らだったものの、27分にGKダビド・ソリアがラリンと正面衝突して、昏倒してしまったから、さあ大変!ピッチに救急車が入り、一時はどうなるかと心配されたんですが、幸い脳震盪から覚めた当人が歩いてピッチを出ることができたのは良かったかと。
ただ、その様子を間近で見たせいで、「泣いている選手もいて、皆怯えていた」(ボルダラス監督)というヘタフェはその後、まったく試合に集中することができず。GKをフサトに代え、12分後にプレー再開となったものの、45分にはCKから、ライジョ、ムリキとヘッドで繋がれて同点にされると、ロスタイムにはマッフェオのゴールで1-2と、マジョルカを離れることになったアギーレ監督の最終戦に花を添える逆転勝利を贈ってしまうことに。
いえまあ、こちらは随分前に残留確定していましたし、順位も12位から動きませんでしたからね。試合後、チームメート総出で花道を作って、マタとマクシモビッチを迎え、その奥さん、お子さん共々、場内一周。ベルナベウ程、ファンは残っていなかったとはいえ、応援団のカンティコを選手たちが並んで聞いているシーンも含めて、ヘタフェでは滅多に見られない、立派なお別れセレモニーをしてもらえた2人は本当に幸せ者だったかと。
惜しむらくは「Mason quedate/メイソン・ケダテ(メイソン、残って)」と一際、大きなボリュームのカンティコを歌われていたグリーンウッドがレンタル元のマンチェスター・ユナイテッドに戻ることはないものの、来季は別のチームに行ってしまうらしいことですが、まあ、こればっかりはねえ。その場には3月にヒザを靭帯断裂したボルハ・マジョラルの姿もあり、彼は3カ月間、11試合も欠場したにも関わらず、それまでの15得点にモラタに並ばれただけで、無事にサラ(スペイン人の得点王)を獲得。年内復帰を目指して、リハビリに励むモチベーションにもなりそうですしね。長かったシーズンの終わり、今はどの選手もバケーションを満喫してくれればいいんじゃないでしょうか。
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そう、ご存知、まさにその土曜の午後9時から、マドリーとドルトムントのCL決勝がキックオフとなるからで、バスで市内に戻らないといけないため、代表の練習見学をした後、サンティアゴ・ベルナベウでのパブリックビューイングに間に合わせるのはかなり厳しいことに。何せ、昨今は代表も非公開練習が多く、その日以外、モラタのアトレティコ勢1人参加を覆して、予想外の再招集。W杯カタール大会以来となるジョレンテを含む、ユーロ前合宿の29選手を見る機会は他にないかもしれませんしね。うち3人は大会前の親善2試合が終わった後、招集解除となるため、尚更、見ておきたい気がしなくもないんですが、果たしてどうしたものやら。そして更に日曜も困ったことになりそうで、何せ、1981年にリバプールに負けたのを最後にマドリーは8回連続でCL決勝に勝利。確率的な問題で、決勝翌日の夕方はシベレス噴水広場でのDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)のお祝い、続いてベルナベウでのメガフィエスタを見に行くつもりでいたんですが、先週末で決まると思っていたレガネスの1部昇格が先延ばしになってしまってねえ。そう、日曜の2部41節統合時間帯の試合、リードしていた彼らは後半3分にラシン・フェロルにPKを決められて、2-2の引分けで終了。その一方でレバンテと2-2で引き分けたもう1つの2部の弟分、アルコルコンの最速RFEF1部Uターンが決まってしまったのは嘆かわしいんですが、とりあえず、今はすでに何も懸かっているものがなかった先週末のリーガ1部最終節がどうだったか、お話ししていくことにすると。先陣を切ったのはアトレティコだったんですが、彼らだけがアウェイゲームでねえ。今季は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で何度も苦い思いをしていただけに、レアル・ソシエダとの一戦をあまり期待はせずに見ていたんですが、これまた意外だったんですよ。
そう、1月にアントワープから来て、ほとんど出場時間をもらえてなかった19才のフェアメーレンがご褒美スタメン入りとなったこの試合、前半9分にはジョレンテの右側からのラストパスにゴール前に突っ込んだグリーズマンは届かなかったものの、左から来たサムエル・リノがvalea(ボレア/ボレーシュート)で決めて先制点をゲット。ハーフタイム入り直前にはセットプレーから、ジョレンテのシュートを、序盤のゴールでサモラ(リーガで失点率が一番に低いGKに与えられる賞)獲得の可能性がなくなったGKレミロにparadon(パラドン/スパーセーブ)されるなんてこともあったんですが、何よりだったのはお馴染みのザル守備が、今更ながら、改善されていたことでしょうか。
実際、メトロポリターノで今季最後となったオサスナ戦では4点も取られ、ファンからpito(ピト/ブーイング)が飛ぶやら、呆れて早帰りする客が多いやらで、ガラガラのスタンドを前にアトレティコはお別れの場内一周をする羽目に。それがサビッチ、パウリスタに代わり、ビッツェル、ヒメネスがCBに入ったレアル・アレナでは、いえ、私は次の時間帯のラージョの試合を見るため、後半が始まる前にバルを退散したんですけどね。1点差でずっと持ちこたえ、あまつさえ、後半ロスタイムにはモラタのアシストでレイニウドが2点目を挙げ、0-2で勝ってしまったから、ビックリしたの何のって。
いやあ、アリツ・エルストンドなどによると、「El Atlético nos tenía muy estudiados/エル・アトレティコ・ノス・テニア・ムイ・エストゥデイアードー(アトレティコはボクらをとても良く研究していた)」というんですけどね。それこそ、4位が確定する前から、もしくはCL準々決勝ドルトムント戦2ndレグやコパ・デル・レイ準決勝アスレティック戦前から、そういう姿勢で挑んでいてくれれば、ファンもこれ程、失望することはなかった?
まさに覆水盆に返らずです。実際、この日はイマノル監督も「Es una temporada histórica/エス・ウナ・テンポラーダ・イストリカ(歴史的なシーズンだった)。5年連続でヨーロッパの大会出場を果たしただけでなく、CLでも素晴らしかったし(16強対決でPSGに敗退)、コパも決勝進出直前(準決勝でマジョルカに敗退)まで行ったのだから」と言っていたように、むしろ、6位で終わったソシエダが今季はもうやりきった感に満ちていたおかげもあったかと。
まあ、それがこの12年間でシメオネ監督が築いたCL出場皆勤のチームの期待値との差でもあるんですが、実はアトレティコがリーガ最後の6試合で5勝するというのはクラブ史で初めてのことなのだとか。あの悲惨なオサスナ戦でシーズン終盤の印象が最悪になってしまったとはいえ、シメオネ監督も今季最後の記者会見で、この夏は大幅な選手入れ替えを匂わせていましたしね。今はただ、6月はグリーズマン(フランス)、オブラク(スロベニア)、デパイ(オランダ)、デ・パウル、モリーナ、コレア(アルゼンチン)、そして代表引退を撤回したらしいビッツェル(ベルギー)らのユーロやコパ・アメリカでの活躍を楽しむことができたらと思いますが…ソシエダ戦でもレミロとの1対1でvaselina(バセリーナ/ループシュート)を失敗していたモラタはスペイン代表で再生してくれるんですかね。
そして前節、カディスが降格3席目を占めてくれたおかげで残留が決まったラージョはエスタディオ・バジェカスにアスレティックを迎えたんですが、これがもう、残留祝いに加え、クラブ創設100周年祝賀行事が始まって、キックオフ1時間前から、ファンたちが色々、演出をしていたよう。丁度、私が着いた時には全てのスタンドが大幕で覆われており、ピッチが全然、見えず、困惑したものでしたが、選手入場の際も全面モザイクが展開。いつにも増して、応援の歌声にも力が入っていたんですが、試合の方はシーズン通じてのゴール日照りに祟られることに。
ええ、これがバジェカスで最後の試合となるファルカオをスタメンにして、得点を狙いにいったラージョだったんですけどね。いくらアスレティックがGKウナイ・シモンのサモラ確定に全精力を注ぎ、前半から守り固めに入っていたとて、とにかくシュートが入らなくではどうしようもありません。後半15分には、失点率計算条件の60分をクリーンシートで終え、翌日のセビージャ戦でバルサのテア・シュテーゲンが追いつけなくなったため、ウナイ・シモンはアギレサバラと交代。1970年のイリバル以来、初めてアスレティックでサモラを獲得したGKになったのを、ラージョファンまで、拍手で称えているのを見た後、またしても私はタイムアップに。次のマドリー戦に向かうため、スタジアムを出たところ…まさか、同行してくれた顔見知りのイギリス人記者とタクシーを探している間にニコ・ウィリアムスにゴールを入れられてしまうとは!
それが起こったのは22分、ベレンゲルから折り返しのパスをもらった彼がその日、ディミトリエフスキに代わって入ったGKカルデナスを破ったんですが、何せ、兄のイニャキは先週、2年前のバケーション中にガラス瓶を踏み、その時以来、足の裏に埋まっていた2cmもの欠片を除去する手術をしたばかり。この試合には来てなかったにも関わらず、立派に弟がゴールゲッターの役目を果たしてくれるとは、確かにスペイン代表のデ・ラ・フエンテ監督には朗報でしたけどね。RdT(ラウール・デ・トマス)が入ろうが、ベベが入ろうが、最後までこの1点を返せなかったラージョは最終節もホームで勝利を飾ることはできませんでしたっけ。
とはいえ、その日は0-1の敗戦でも試合後、契約満了でバレンシアに移籍するらしいディミトリエフスキを胴上げするなど、選手たちもファンも負けたにも関わらず、最後は「Vida de pirate(ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」を歌って、盛大に残留をお祝い。その様子はすでにベルナベウのスタンドに到着していた午後8時半頃、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継で知ることができたんですが、はあ。結局、日曜試合が終わった後には降格圏ギリギリの17位になってしまったラージョはこの水曜午後7時から、バジェカスで100周年記念試合を実施。ジローナに今季3位でCL初出場をもたらしたミチェル監督を始め、OBのレジェンドチームとダビド・ビジャ、ホアキンら、他チームの引退選手のオールスターチームと対戦する、その時ぐらいは沢山、ファンにゴールを見せてあげてくださいね。
そして土曜の最後の時間帯でマドリーvsベティス戦となったんですが、こちらもスコアレスドローだった内容より、メインイベントは今週、現役引退を発表したクロースへのお別れセレモニーの方だったかと。ええ、まずは選手入場の時にチームメート全員が背番号8のユニを着て、ベティスの選手共々、花道を作って当人を迎えたのから始まって、後半40分に彼がFKをGKビエイテスにそらされた後、セバージョスと交代する時もピッチにいる全員と抱擁を交わして、スタンドは総立ちで感謝の拍手。
自慢の360度大型スクリーンも延々、ベンチで待っていた奥さんや子供たちを抱きしめる彼の姿を映していましたしね。この時ばかりは普段は冷静なクロースも「He estado fuerte hasta que he visto a mis niños, eso me ha matado/エ・エスタード・フエルテ・アスタ・ケ・エ・ビストー・ア・ミス・ニーニョス、エソ・メ・ア・マタードー(子供たちを見るまで、しっかり気持ちを保てたんだけど、その姿にやられた)」と思わず、涙してしまったそう。まあ、こんなゆとり展開はそれこそ、ベティスも7位がすでに確定。前半にはGKクルトワのFKクリアミスに乗じて、カルドーソが決めたゴールがマルク・ロカのオフサイドで認められなかったり、後半もアジョセのゴールがウィリアム・ホセのオフサイドでスコアに上がらずともカリカリする必要がなかったおかげですが、お別れセレモニーは試合が0-0で終わった後も続くことに。
そう、チームメートによる胴上げや記念写真撮影があった後、更には子供たちを連れたクロースが先頭となり、感動に浸る場内一周となったんですが、こんな経験は彼だって、一生に一度のことですからね。この10年間の貢献がそれに十分、値するものだったということは、大勢のマドリーファンが席に残って、最後の勇姿を目に焼き付けようとしていたのからも感じとれましたが、早くも大変なのは、クロースのいなくなった後のチーム編成を効かれていたアンチェロッティ監督。
とりあえずは、「Podemos pensar que puede ser un juego más vertical/ポデモス・オンサール・ケ・プエデ・セル・ウン・フエゴ・マス・ベルティカル(もっと縦のプレーを考えることができる)。よりエネルギーある選手たちで、少しプレーのテンポを落としてね」と答えていましたが、大丈夫。CL決勝ではまだ、最高のレベルで引退することにした34才を当てにできますって。
そして翌日曜はコリセウムに向かった私だったんですが、実はこちらのマジョルカ戦も元々は6年間、ヘタフェに尽くして、今季限りで退団するマタ(契約終了)とマクシモビッチ(パナシナイコスに移籍)へのお別れセレモニーがメインだったんですが、試合中に水を差すようなアクシデントが起きてねえ。というのも、後半3分にはガストンのゴールで先制した彼らだったものの、27分にGKダビド・ソリアがラリンと正面衝突して、昏倒してしまったから、さあ大変!ピッチに救急車が入り、一時はどうなるかと心配されたんですが、幸い脳震盪から覚めた当人が歩いてピッチを出ることができたのは良かったかと。
ただ、その様子を間近で見たせいで、「泣いている選手もいて、皆怯えていた」(ボルダラス監督)というヘタフェはその後、まったく試合に集中することができず。GKをフサトに代え、12分後にプレー再開となったものの、45分にはCKから、ライジョ、ムリキとヘッドで繋がれて同点にされると、ロスタイムにはマッフェオのゴールで1-2と、マジョルカを離れることになったアギーレ監督の最終戦に花を添える逆転勝利を贈ってしまうことに。
いえまあ、こちらは随分前に残留確定していましたし、順位も12位から動きませんでしたからね。試合後、チームメート総出で花道を作って、マタとマクシモビッチを迎え、その奥さん、お子さん共々、場内一周。ベルナベウ程、ファンは残っていなかったとはいえ、応援団のカンティコを選手たちが並んで聞いているシーンも含めて、ヘタフェでは滅多に見られない、立派なお別れセレモニーをしてもらえた2人は本当に幸せ者だったかと。
惜しむらくは「Mason quedate/メイソン・ケダテ(メイソン、残って)」と一際、大きなボリュームのカンティコを歌われていたグリーンウッドがレンタル元のマンチェスター・ユナイテッドに戻ることはないものの、来季は別のチームに行ってしまうらしいことですが、まあ、こればっかりはねえ。その場には3月にヒザを靭帯断裂したボルハ・マジョラルの姿もあり、彼は3カ月間、11試合も欠場したにも関わらず、それまでの15得点にモラタに並ばれただけで、無事にサラ(スペイン人の得点王)を獲得。年内復帰を目指して、リハビリに励むモチベーションにもなりそうですしね。長かったシーズンの終わり、今はどの選手もバケーションを満喫してくれればいいんじゃないでしょうか。
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