最終節には何もない…/原ゆみこのマドリッド
2024.05.22 20:00 Wed
「契約延長しないんだ」そんな風に私が驚いていたのは火曜日、レアル・マドリーのプレスオフィスから、今季いっぱいでクロースが退団するというメールが届いた時のことでした。すぐさまマルカ(スポーツ紙)のサイトを開けたところ、すでにメインページはそのニュースでいっぱいで、当人からの手紙も掲載。「Mi ambición siempre fue terminar mi carrera en la cima de mi nivel/ミ・アンビシオン・シエンプレ・フエ・テルミナール・ミ・カレラ・エン・ラ・シマ・デ・ミ・ニベル(望んでいたのは常に最高のレベルにいる時に自分のキャリアを終わらせることだった)」という理由で、この夏のユーロのドイツ代表戦を最後に引退することが分かったんですけどね。
え、それでリーガ1部、全ての片がついた先週末の37節はどうだったのかって?いやあ、実は試合結果だけでいうと、マドリッド勢4チームは誰も勝てなかったんですよ。ただ、私がブタルケに見に行った2部の弟分、レガネスだけは4年ぶりの再昇格を後押しするファンの熱気のおかげもあって、7位のスポルティングに勝利。そう、前半17分、敵GKのパンチングミスから、ミゲール・ラ・フエンテがヘッドで入れた先制点こそ、後半8分にロサスにエリア前からシュートを決められて、帳消しにされてしまったものの、32分にはシセが決勝点を挙げて、2-1で終わることに。
おかげでアルバセテ戦に負け、27節の間、維持していた首位をバジャドリーに奪われていたのも、その相手が降格圏からの脱出がどんどん難しくなっているお隣さん、アルコルコンと1-1で引き分けたため、取り戻すことができたんですけどね。とはいっても40節は3位のエイバルもカルタヘナに勝ったため、勝ち点差が2なのは変わらず。要は直接昇格の上位2席を3チームで争っている状態なので、次節でライバルのどちらかが躓かない限り、1部昇格確定はCL決勝の1週間後にある最終節まで持ち越されることに。うっかりプレーオフの4試合を戦う破目になったりすると、レガネスファンの夢も叶わないかもしれないため、今週末のラシン・フェロル戦、続くエルチェ戦では最後のひと踏ん張りを見せてもらいたいものです。
せめて最終節の日曜、コリセウムにマジョルカを迎える試合では、ええ、こちらでは長年、チームに貢献してくれていたマタ(契約満了)とマクシモビッチ(パナシナイコスに移籍)のお別れイベントも予定されていますしね。有終の美を飾って、10位から12位に落ちてしまった順位をちょっとでも改善できればと。とはいえ、今更ながら、4人の長期負傷者に加えて、アラベス戦で退場したモリバス、累積警告のラタサ、ディエゴ・リコと頭数不足がいつにもまして激しいのは困っちゃいますよね。
一方、日曜午後7時の一斉キックオフを迎えたマドリッド勢3チームはというと。いやあ、願いに反して、どこもゴールが多かったため、メトロポリターノのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継を聴いていた私も頭がクラクラしたくらいだったんですけどね。ややこしいので、1つずつ、お伝えしていくことにすると、唯一、まだ降格の可能性が薄っすらとあったラージョはモンジュイックでバルサと対戦。それが開始3分から、ジャマルのラストパスをレバンドフスキがゴール前で胸トラップ、落としたボールをそのまま蹴り込んで、早々に先制されてしまったんですよ。
その後はかなりラージョが攻めていたようなんですが、やっぱりここまで来て、いきなり慢性ゴール日照りは治りませんよね。後半になり、チャビ監督が選手のリフレッシュを行ったところ、26分にはジョアン・フェリックスがパテ・シス、エスピーノらをエリア内右奥でキリキリ舞いさせてシュート。GKディミトリエフスキが弾いたボールをペドリが決めて、2点差にすると、その4分後にもアラウホのロングボールに抜け出して、自身2点目を挙げたとなれば、もうラージョはギブアップするしかなかったかと。
ただ、バルサに2位確定を贈る、その3-0の完敗も試合終了から間もなくして、同時進行だったカディスがラス・パルマスと0-0で引分け。17位との差が勝ち点4となり、カディスが降格組の最後の一席を占めることが確定したため、ピッチに残って、結末を待っていたラージョの選手たちも心おきなく残留祝いができたんですけどね。同じ光景はマジョルカ、ラス・パルマス、セルタでも見られたんですが、おかげでマドリッド勢が最終節のガラガラドボンに巻き込まれる心配がなくなったのは朗報でしたっけ。
まあ、あとは土曜のアスレティック戦でラージョが、5位で来季はELに出場する相手に臆することなく、低空飛行が続き、辛い思いをさせたエスタディオ・バジェカスのファンにいい試合を披露。来たる5月28日のクラブ創設100周年行事の前祝いができればいいんじゃないかと思いますが、その一方で、凄まじいゴール祭りとなっていた試合もあって、それはマドリーのビジャレアル戦。この日はアンチェロッティ監督がリュディガー、バルベルデ以外、プランBの選手を大量にスタメンに入れて、スタートしたんですけどね。序盤、GKルーニンもセルトートのエリア外シュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)した後には普段、控えのメンバーがCL決勝での途中出場枠を争うべく、猛ラッシュをかけたから、忙しないったらありません。
そう、14分にはルーカス・バスケスのラストパスを最近、出場する度にゴールを挙げているギュレルがエリア内左から決めて、先制したかと思えば、30分にもルーカス・バスケスのクロスから、ホセルがヘッドで2点目をゲット。39分にはセバージョスが右奥でモスケラにボールを奪われ、そこからセルロートに頭で1点を返されたものの、その1分後にはモドリッチ、ブライムを経て、ルーカス・バスケスが今度は自身でチームの3点目を挙げることに。更にロスタイムにもギュレルが再びGKヨルゲンセンを破り、とうとう前半だけで4点を挙げてしまったとなれば、一体、誰がマドリーの勝利を疑った?
実際、これで今季10試合出場6得点となったギュレルに関しては、試合後、アンチェロッティ監督も「Es muy eficaz, ha marcado muchos goles con pocos tiros/エス・ムイ・エフィカス、ア・マルカードー・ムーチョス・ゴーレス・コン・ポコス・ティロス(とても効率的だ。少しのシュートでゴールを沢山挙げた)」と褒めていたんですが、何せ、チーム総得点がリーガ最多の87というマドリーですからね。ゴール不足で悩んでいるチームとは違い、ギュレルをもっと早くから使っていればという声が巷から聞こえてこないのも当然だった?それが後半はまったく様相が変わって…。
ええ、折しもセビージャではベティスが前半、レアル・ソシエダに0-2と負けていて、ビジャレアルは頑張れば、最終節で7位のコンフェレンスリーグ出場権に手が届くかもしれないというのもあったんでしょうね。ハーフタイムには、「No puedes jugar con tanta falta de intensidad/ノー・プエデス・フガール・コン・タンタ・ファルタ・デ・インテンシダッド(あんな強度のなさでプレーすることはできない)」とマルセリーノ監督が選手たちを叱咤激励。後半頭から、クエンカ、アコマック、パレホをアルビオル、トラオレ、コケリンに代えたのも良かったか、再開早々3分にはジェラール・モレノのクロスから、セルロートがまたしてもヘッドで得点したんですよ。
それどころか、8分にも彼はジェラール・モレノのスルーパスで抜け出して3点目を決めると、11分にはとうとう、4点目を挙げて、ピピチ(リーガ得点王)レーストップだったドブビク(ジローナ)に2本差つけているんですから、恐ろしい。とはいえ、これでセルロートのゴールラッシュも打ち止めだったようで、ええ、後半15分には全ての失点シーンに顔を出し、CL決勝前に大きく株を下げてしまったミリトンがナチョと交代したのも影響したんでしょうね。試合はそのまま4-4で終わることに。
結局、引分けではビジャレアルが最終節に望みを託すことは叶わず、7位はベティス、そのまま勝ったレアル・ソシエダが6位でEL出場とこちらも片がついたんですが、え?ドルトムントだって、アトレティコとのCL準々決勝では4点も取っていたし、こんなにゴールを奪われるマドリーには懸念が湧かないかって?いえ、アンチェロッティ監督も「Hemos encajado más de los necesario pero no cambia nada pensando en la final/エモス・エンカハードー・マス・デ・ロス・ネセサリオ・ペロ・ノー・カンビア・ナーダ・ペンサンドー・エン・ラ・フィナル(必要以上に失点したが、決勝を考えるにあたっては何も変わらない)」と言っていたように元々、ミリトンもGKルーニンもスタメンにするつもりはなかったみたいですからね。要はウェンブリーではナチョとクルトワがプレーするため、その辺は心配することないということでしょうが、さて。
そして最後に唯一、ホームゲームでオサスナ戦をプレーしたアトレティコはというと、ホント、マスコミの「目標は3位」という言葉を信じた私がバカでしたよ。キックオフ前には12年間、フィジカルコーチとして、選手を指導したプロフェ・オルテガのお別れイベントを、オサスナ勢がピッチで退屈してしまう程、長々と開催していたのは、まあ、この日が最後の機会でしたからね。仕方ないとはいえ、どうやら、4位で来季のCL出場が確定していた彼らはすでにバケーションモードに入っていたよう。
いえ、それでもビッツェル、ヒメネスが出場停止でいなかったにも関わらず、前半は26分にFKから、パウリスタのヘッドクリアをカテナにゴール前に戻され、ラウール・ガルシアに1点取られただけで済んだんですけどね。前節のヘタフェ戦でハットトリックを挙げたグリーズマンも、うーん、また足首の痛みがぶり返した?シュートの精度はもちろん、パスもようよう味方に届けられない状態に戻っていたんですが、0-1で始まった後半には今季、散々、アウェイゲームで目撃した悲劇が襲い掛かることになるとは。
そう、早くも7分にはゴール脇でアスピリクエタがクリアしようとして、GKオブラクに当たって跳ねたボールが誰もついていなかったアイマール・オロスに渡り、2点目を入れられてしまったんですよ。ただ、その時は3分後に後半頭から、パウリスタと交代で入っていたモラタがサムエル・リノにラストパスをもらい、3ケ月ぶりとなるゴールを決めて、1点差に迫ってくれたから、まだ良かったんですけどね。交代で入ったリケルメとレイニウドがあまりにぼうっとしすぎです。19分にはエリア内右からアレソにクロスを上げられ、またしてもラウール・ガルシアに決められているって、これじゃ、オブラクから滅多に見ない程の叱責を喰らっても仕方なかった?
実際、1-3にされた後になって、今季はもう、研修生のままでいい感じになっていた19才のフェルメーレンをシメオネ監督がピッチに入れた理由もよくわかりませんでしたしね。モラタとメンフィス・デパイの2弾頭にしても、すでに残留は達成しながら、まだバケーション入り一歩手前の状態でプレーしていたオサスナの守備を崩すことはできず。最後は43分にも右サイドから、パブロ・イバニェスのクロスをトロにvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込まれ、ここ11試合、アトレティコに勝ったことのなかったアラサーテ監督のチームに1-4で負けてしまいましたっけ。
何せ、今季メトロポリターノはほぼ難攻不落の要塞で、リーガではバルサに負けただけ、引分けもヘタフェとの一戦だけと、ファンは勝利に慣れていましたからね。最後の最後になって、どうしてアウェイでのダメダメぶりをホームで見せられないといけないんだという、pito(ピト/ブーイング)がスタンドから飛んでいたのもムリはありませんが、その日はジローナもバレンシアに勝利。アトレティコとの差が5となり、最終節での3位上昇可能性が完全に消滅することに。
うーん、シメオネ監督は「Entiendo el lugar que ocupamos en Liga. Entiendo que competimos contra monstruos/エンティエンドー・エル・ルガール・ケ・オクパモス・エン・リーガ。エンティエンドー・ケ・コンペティモス・コントラ・モンストロス(ウチがリーガで占める位置はわかっている。モンスターのようなチームたちと競っているのもわかっている)」と言っていたんですけどね。その中にジローナが入るかどうかは大いに疑念の湧くところ。試合後には今季限りで退団するサビッチがファンにお別れしていたんですが、今季のここ一番で残念だったチームの姿を見る限り、そろそろ選手の大幅入れ替えを考えた方がいい?この土曜にもアトレティコにはレアル・ソシエダ戦があるんですが、今はまた、アウェイでみっともない試合をしないことを祈るばかりです。
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それにしたって、この発表のタイミングは絶妙で、ええ、4節前にリーガ優勝が決まり、ここ3試合、6月1日のCL決勝に向けての調整をしていたマドリーの最終節はサンティアゴ・ベルナベウでのベティス戦。ホームで盛大にファンとのお別れができる上、チームメートだって、クロ-スの10年間のマドリー生活に最後の花を添えるべく、いえ、すでに彼は4回も経験済みなんですけどね。Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)達成にますます意欲が湧くはずとなれば、これぞ、まさにクロース最後のご奉公?いえまあ、34才の彼が今季もレギュラーだったにも関わらず、引退するのに対して、38才で今季はスーパーサブの位置づけに落ちてしまったモドリッチが契約延長成立間近と言われているのには、ちょっと矛盾を感じなくもないんですけどね。何はともあれ、マドリーファンはまだ、ウェブリーでのCL決勝、そこで優勝すれば再び、シベレス噴水広場やベルナベウでの祝賀行事でクロースの姿を目に焼き付けることができるため、今はそれを慰みにするばかりかと。おかげでアルバセテ戦に負け、27節の間、維持していた首位をバジャドリーに奪われていたのも、その相手が降格圏からの脱出がどんどん難しくなっているお隣さん、アルコルコンと1-1で引き分けたため、取り戻すことができたんですけどね。とはいっても40節は3位のエイバルもカルタヘナに勝ったため、勝ち点差が2なのは変わらず。要は直接昇格の上位2席を3チームで争っている状態なので、次節でライバルのどちらかが躓かない限り、1部昇格確定はCL決勝の1週間後にある最終節まで持ち越されることに。うっかりプレーオフの4試合を戦う破目になったりすると、レガネスファンの夢も叶わないかもしれないため、今週末のラシン・フェロル戦、続くエルチェ戦では最後のひと踏ん張りを見せてもらいたいものです。
そしてその夜は1部試合のunificacion(ウニフィカシオン/時間帯統合)から1カードだけ外れたヘタフェがメンディソローサでアラベスと対戦。それが元々、何も懸かってないところに大雨の中、プレーさせられたのも気の毒でしたが、前節、ベルナベウで5-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らった相手に1-0で負けて、憂さ晴らしされてしまってはねえ。前半12分にドゥアルテのロングボールから、カルロス・ビセンテが決めたゴールをボルダラス監督のチームは最後まで返せなかったんですが、まあ、昨季と違い、とうに残留が決まっているヘタフェはもう閉店休業状態。
せめて最終節の日曜、コリセウムにマジョルカを迎える試合では、ええ、こちらでは長年、チームに貢献してくれていたマタ(契約満了)とマクシモビッチ(パナシナイコスに移籍)のお別れイベントも予定されていますしね。有終の美を飾って、10位から12位に落ちてしまった順位をちょっとでも改善できればと。とはいえ、今更ながら、4人の長期負傷者に加えて、アラベス戦で退場したモリバス、累積警告のラタサ、ディエゴ・リコと頭数不足がいつにもまして激しいのは困っちゃいますよね。
一方、日曜午後7時の一斉キックオフを迎えたマドリッド勢3チームはというと。いやあ、願いに反して、どこもゴールが多かったため、メトロポリターノのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継を聴いていた私も頭がクラクラしたくらいだったんですけどね。ややこしいので、1つずつ、お伝えしていくことにすると、唯一、まだ降格の可能性が薄っすらとあったラージョはモンジュイックでバルサと対戦。それが開始3分から、ジャマルのラストパスをレバンドフスキがゴール前で胸トラップ、落としたボールをそのまま蹴り込んで、早々に先制されてしまったんですよ。
その後はかなりラージョが攻めていたようなんですが、やっぱりここまで来て、いきなり慢性ゴール日照りは治りませんよね。後半になり、チャビ監督が選手のリフレッシュを行ったところ、26分にはジョアン・フェリックスがパテ・シス、エスピーノらをエリア内右奥でキリキリ舞いさせてシュート。GKディミトリエフスキが弾いたボールをペドリが決めて、2点差にすると、その4分後にもアラウホのロングボールに抜け出して、自身2点目を挙げたとなれば、もうラージョはギブアップするしかなかったかと。
ただ、バルサに2位確定を贈る、その3-0の完敗も試合終了から間もなくして、同時進行だったカディスがラス・パルマスと0-0で引分け。17位との差が勝ち点4となり、カディスが降格組の最後の一席を占めることが確定したため、ピッチに残って、結末を待っていたラージョの選手たちも心おきなく残留祝いができたんですけどね。同じ光景はマジョルカ、ラス・パルマス、セルタでも見られたんですが、おかげでマドリッド勢が最終節のガラガラドボンに巻き込まれる心配がなくなったのは朗報でしたっけ。
まあ、あとは土曜のアスレティック戦でラージョが、5位で来季はELに出場する相手に臆することなく、低空飛行が続き、辛い思いをさせたエスタディオ・バジェカスのファンにいい試合を披露。来たる5月28日のクラブ創設100周年行事の前祝いができればいいんじゃないかと思いますが、その一方で、凄まじいゴール祭りとなっていた試合もあって、それはマドリーのビジャレアル戦。この日はアンチェロッティ監督がリュディガー、バルベルデ以外、プランBの選手を大量にスタメンに入れて、スタートしたんですけどね。序盤、GKルーニンもセルトートのエリア外シュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)した後には普段、控えのメンバーがCL決勝での途中出場枠を争うべく、猛ラッシュをかけたから、忙しないったらありません。
そう、14分にはルーカス・バスケスのラストパスを最近、出場する度にゴールを挙げているギュレルがエリア内左から決めて、先制したかと思えば、30分にもルーカス・バスケスのクロスから、ホセルがヘッドで2点目をゲット。39分にはセバージョスが右奥でモスケラにボールを奪われ、そこからセルロートに頭で1点を返されたものの、その1分後にはモドリッチ、ブライムを経て、ルーカス・バスケスが今度は自身でチームの3点目を挙げることに。更にロスタイムにもギュレルが再びGKヨルゲンセンを破り、とうとう前半だけで4点を挙げてしまったとなれば、一体、誰がマドリーの勝利を疑った?
実際、これで今季10試合出場6得点となったギュレルに関しては、試合後、アンチェロッティ監督も「Es muy eficaz, ha marcado muchos goles con pocos tiros/エス・ムイ・エフィカス、ア・マルカードー・ムーチョス・ゴーレス・コン・ポコス・ティロス(とても効率的だ。少しのシュートでゴールを沢山挙げた)」と褒めていたんですが、何せ、チーム総得点がリーガ最多の87というマドリーですからね。ゴール不足で悩んでいるチームとは違い、ギュレルをもっと早くから使っていればという声が巷から聞こえてこないのも当然だった?それが後半はまったく様相が変わって…。
ええ、折しもセビージャではベティスが前半、レアル・ソシエダに0-2と負けていて、ビジャレアルは頑張れば、最終節で7位のコンフェレンスリーグ出場権に手が届くかもしれないというのもあったんでしょうね。ハーフタイムには、「No puedes jugar con tanta falta de intensidad/ノー・プエデス・フガール・コン・タンタ・ファルタ・デ・インテンシダッド(あんな強度のなさでプレーすることはできない)」とマルセリーノ監督が選手たちを叱咤激励。後半頭から、クエンカ、アコマック、パレホをアルビオル、トラオレ、コケリンに代えたのも良かったか、再開早々3分にはジェラール・モレノのクロスから、セルロートがまたしてもヘッドで得点したんですよ。
それどころか、8分にも彼はジェラール・モレノのスルーパスで抜け出して3点目を決めると、11分にはとうとう、4点目を挙げて、ピピチ(リーガ得点王)レーストップだったドブビク(ジローナ)に2本差つけているんですから、恐ろしい。とはいえ、これでセルロートのゴールラッシュも打ち止めだったようで、ええ、後半15分には全ての失点シーンに顔を出し、CL決勝前に大きく株を下げてしまったミリトンがナチョと交代したのも影響したんでしょうね。試合はそのまま4-4で終わることに。
結局、引分けではビジャレアルが最終節に望みを託すことは叶わず、7位はベティス、そのまま勝ったレアル・ソシエダが6位でEL出場とこちらも片がついたんですが、え?ドルトムントだって、アトレティコとのCL準々決勝では4点も取っていたし、こんなにゴールを奪われるマドリーには懸念が湧かないかって?いえ、アンチェロッティ監督も「Hemos encajado más de los necesario pero no cambia nada pensando en la final/エモス・エンカハードー・マス・デ・ロス・ネセサリオ・ペロ・ノー・カンビア・ナーダ・ペンサンドー・エン・ラ・フィナル(必要以上に失点したが、決勝を考えるにあたっては何も変わらない)」と言っていたように元々、ミリトンもGKルーニンもスタメンにするつもりはなかったみたいですからね。要はウェンブリーではナチョとクルトワがプレーするため、その辺は心配することないということでしょうが、さて。
そして最後に唯一、ホームゲームでオサスナ戦をプレーしたアトレティコはというと、ホント、マスコミの「目標は3位」という言葉を信じた私がバカでしたよ。キックオフ前には12年間、フィジカルコーチとして、選手を指導したプロフェ・オルテガのお別れイベントを、オサスナ勢がピッチで退屈してしまう程、長々と開催していたのは、まあ、この日が最後の機会でしたからね。仕方ないとはいえ、どうやら、4位で来季のCL出場が確定していた彼らはすでにバケーションモードに入っていたよう。
いえ、それでもビッツェル、ヒメネスが出場停止でいなかったにも関わらず、前半は26分にFKから、パウリスタのヘッドクリアをカテナにゴール前に戻され、ラウール・ガルシアに1点取られただけで済んだんですけどね。前節のヘタフェ戦でハットトリックを挙げたグリーズマンも、うーん、また足首の痛みがぶり返した?シュートの精度はもちろん、パスもようよう味方に届けられない状態に戻っていたんですが、0-1で始まった後半には今季、散々、アウェイゲームで目撃した悲劇が襲い掛かることになるとは。
そう、早くも7分にはゴール脇でアスピリクエタがクリアしようとして、GKオブラクに当たって跳ねたボールが誰もついていなかったアイマール・オロスに渡り、2点目を入れられてしまったんですよ。ただ、その時は3分後に後半頭から、パウリスタと交代で入っていたモラタがサムエル・リノにラストパスをもらい、3ケ月ぶりとなるゴールを決めて、1点差に迫ってくれたから、まだ良かったんですけどね。交代で入ったリケルメとレイニウドがあまりにぼうっとしすぎです。19分にはエリア内右からアレソにクロスを上げられ、またしてもラウール・ガルシアに決められているって、これじゃ、オブラクから滅多に見ない程の叱責を喰らっても仕方なかった?
実際、1-3にされた後になって、今季はもう、研修生のままでいい感じになっていた19才のフェルメーレンをシメオネ監督がピッチに入れた理由もよくわかりませんでしたしね。モラタとメンフィス・デパイの2弾頭にしても、すでに残留は達成しながら、まだバケーション入り一歩手前の状態でプレーしていたオサスナの守備を崩すことはできず。最後は43分にも右サイドから、パブロ・イバニェスのクロスをトロにvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込まれ、ここ11試合、アトレティコに勝ったことのなかったアラサーテ監督のチームに1-4で負けてしまいましたっけ。
何せ、今季メトロポリターノはほぼ難攻不落の要塞で、リーガではバルサに負けただけ、引分けもヘタフェとの一戦だけと、ファンは勝利に慣れていましたからね。最後の最後になって、どうしてアウェイでのダメダメぶりをホームで見せられないといけないんだという、pito(ピト/ブーイング)がスタンドから飛んでいたのもムリはありませんが、その日はジローナもバレンシアに勝利。アトレティコとの差が5となり、最終節での3位上昇可能性が完全に消滅することに。
うーん、シメオネ監督は「Entiendo el lugar que ocupamos en Liga. Entiendo que competimos contra monstruos/エンティエンドー・エル・ルガール・ケ・オクパモス・エン・リーガ。エンティエンドー・ケ・コンペティモス・コントラ・モンストロス(ウチがリーガで占める位置はわかっている。モンスターのようなチームたちと競っているのもわかっている)」と言っていたんですけどね。その中にジローナが入るかどうかは大いに疑念の湧くところ。試合後には今季限りで退団するサビッチがファンにお別れしていたんですが、今季のここ一番で残念だったチームの姿を見る限り、そろそろ選手の大幅入れ替えを考えた方がいい?この土曜にもアトレティコにはレアル・ソシエダ戦があるんですが、今はまた、アウェイでみっともない試合をしないことを祈るばかりです。
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