朗報の方が多い週末だったけど…/原ゆみこのマドリッド
2024.04.23 20:00 Tue
「もう忙しい時期は終わったのね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、CL、リーガと試合が立て込んだ2週間の後、今週はミッドウィークフリーになることに気がついた時のことでした。いやあ、レアル・マドリーだけは来週、再来週にバイエルンとのCL準決勝があるため、他のマドリッド勢のように週1試合という訳にはいかないんですけどね。要は強いがための嬉しい代償ですし、これからはほぼ優勝の決まったリーガでローテーションもできるとなれば、あまり苦にはならないかと思いますが、この直近4連戦でボロボロになったアトレティコにはこの余裕日程が有難いかも。
だってえ、コパ・デル・レイ決勝のおかげで中8日で迎えたCL準々決勝ドルトムント戦1stレグ、その次、中2日で迎えたジローナ戦までは、ええ、ホームのメトロポリターノマジックのおかげもあって、勝っていたんですけどね。再び、中2日で挑んだジグナル・イドゥナ・パルクで4-2と負け、CL敗退が決まったかと思えば、次は中4日あったにも関わらず、メンディソローサでもアラベスに負けている始末。冗談抜きで今季残りのアウェイゲーム全敗の可能性も出て来たため、うーん、兄貴分に優しいヘタフェにはコリセウムで勝てるかもしれないとはいえ、マジョルカ戦、そして相手が最終節まで、ヨーロッパの大会出場権を争っていそうなレアル・ソシエダ戦はかなりヤバいかと。
メトロポリターノでのアスレティック戦、セルタ戦、オサスナ戦に勝つだけで、来季のCL出場権をもらえる4位をキープできればいいんですが、こればっかりはねえ。幸い、今週土曜に直接対決となるアスレティックもコパ優勝酔いがまだ覚めてないようで、リーガではここ2試合、引き分けが続けているため、何とかなってほしいんですが、とりあえず、まずは先週末のマドリッド勢がどうだったか、お伝えしていくことにすると。
この32節、土曜に先陣を切ったのは弟分のラージョで、ヘタフェとの弟分ダービーが0-0に終わった前節に続いて、オサスナとのホームゲームをプレー。でもねえ、春真っ盛りの気候に誘われて、エスタディオ・バジェカスに駆けつけたファンがゴールの歓喜に湧くまでには、かなり待たないといけなかったんですよ。それどころか、29分にはラウール・ガルシアが入れたクロスをモイ・ゴメスに決められて、先制されてしまうという逆境に遭うことに。
0-1のまま、後半に入っても相変わらず、ゴール日照りが続いていたラージョは順次、カメージョをRdT(ラウール・デ・トマス)に、デ・フルートス、ウナイ・ロペスをファルカオ、ベベにと前線を強化していったものの、30分を越えても同点に追いつけず。私の前に座っていた声の大きなアボナードー(年間チケット保持者)のオジさんなど、「Inigo, vete ya!/イニゴ・ベテ・ジャー(イニゴ・ペレス監督、もう出て行け)」と叫んでいた程だったんですが、35分、とうとう、ラージョの執念が実ることに。ええ、ベベの蹴ったCKを敵DFがヘッドでクリアしたボールがエリア外で待機していたチャバリアの前に落ち、そのvolea(ボレア/ボレーシュート)が決まってくれたから、どんなにファンも盛り上がったことか。
そして翌日曜午後2時の早い時間帯に当たったのがヘタフェで、こちらもコリセウムでレアル・ソシエダ戦だったんですが、やっぱり順位争いをしているチームは違いますよね。開始1分にはラタサ、2分にはジェネが次々と倒され、先行きが心配されたんですが、それよりマズかったのは13分、早々にベッカーのクロスから、バレネチェアのヘッドで先制されてしまったことの方。何せエネス・ウナル(現ボーンマス)の移籍とマジョラルのヒザの靭帯断裂があってからの彼らはゴールを入れてくれるCFが不在ですからね。それでもこの日はオスカル・ロドリゲスが28分、同点ゴールを挙げることになったんですが、そのプレーが少々複雑なものだったんです。
そう、マキシモビッチのヘッドをGKレミロが弾いた後、オスカルの至近距離シュートも掻き出して、一旦、エリア外に出たボールをグリーンウッドがクロス。それをラタサが頭でゴールに入れたため、その場では誰もが彼の得点だと思ったんですけどね。それがしばらくして、VAR(ビデオ審判)がすでにオスカルのシュートがゴールラインを越えていたとして、得点者名が変わったんですが、どちらにしろ、1-1になったのは同じ。当事者たちの個人成績以外にはあまり影響はなかったかと。結局、久保建英選手がピッチに入った後半はどちらのチームも追加点を挙げられず、そのまま試合は引分けで終わることに。
え、後半8分にオスカルの蹴ったFKがポストに当たり、反対サイドのライン上にいたル・ノルマンが蹴り出したプレーでゴールが認められていれば、ヘタフェは勝てていたんじゃないかって?まあ、その通りですが、ボルダラス監督も「La falta que parecía que había entrado/ラ・ファルタ・ケ・パレシア・ケ・アビア・エントラードー(あのFKはゴールに入ったように見えた)が、ゴールラインテクノロジーがないから、本当に入ったか、入らなかったかはわからない」と達観していましたしね。ただ、これはこの勝ち点1で残留確定ラインの40に到達したヘタフェだからこそ、大ごとにならなかっただけで、その夜のクラシコ(伝統の一戦)では…。
まあ、その前には午後9時のキックオフまで時間があるのを利用して、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアラベス戦を見ることにした私だったんですが、いやあ、あんなに恐ろしいアトレティコを目の辺りにすることになろうとは!うーん、前日、モラタが体調不良で遠征に同行しないことを知った時には、もしやドルトムント戦2ndレグの1対1の大失敗を気に病んで、中4日では立ち直れない程なのかと穿ってしまった私だったんですけどね。もちろん、メンフィス・デパイもまだケガが治っていませんし、ゴールが足りていないのは重々、承知だったものの、もうそんな問題じゃなかったんですよ。
そう、4分までにグリディとハビ・ロペスがイエローカードをもらうという、テンション高めのスタートを切ったアラベスにシメオネ監督のチームは怖気づいたか、前半はほとんど何もできず。すでに15分にはコケがエリアからクリアしようとしたボールが敵DFに当たり、それを拾ったベネビデスにエリア外からシュートを決められていながら、ようようパスも繋がらない状態ではねえ。いかにもダメダメの今季のアウェイゲームの典型だったんですが、45分にはアラベスのFKがアスピリクエタの腕に当たったとして、ペナルティまで宣告されてしまうドッキリまで勃発することに。
でも大丈夫。この時は幸い、VARが介入してくれて、腕に当たったのは頭に当たって落ちてきたせいとして、PKを献上せずに済んだんですが、1-0のまま、始まった後半もデ・パウルの代わりにサウールが入りながら、大して変わり映えしないのでは。アラベスでは今季、アトレティコからレンタル修行に出ているシメオネ監督の三男、ジュリアーノが、8月にグラナダからアトレティコ入りし、そのままレンタルに出されたサムをベンチに追いやって初先発。父の前でいいところを見せようと、前半から目立っていたんですが、後半6分にはモリーナに股抜きを喰らわし、エリア内に入ろうとしたところをサウールが力づくで止めているシーンなどを見せられては限界です。あと15分ぐらいはバルにいられた私だってもう絶望して、早々にベルナベウに向かっちゃいますよ。
実際、その判断は正しくて、いえ、終盤にはサムエル・リノやコレアのシュートがGKシベラにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されるなど、同点のチャンスがなくもなかったようなんですけどね。丁度、メトロの駅を出た辺りだった47分、カルロス・ビセンテのクロスから、リオハにスーパーボレーを決められて、最後は2-0で試合は終了。オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)から聞こえるピッチインタビューでオブラクが、「どこから撃たれてもゴールになるんだから、estamos en una dinámica fea, mala/エスタモス・エン・ウナ・ディナミカ・フェア、マラ(ボクらは酷い、悪い流れに入っている)」、「No hemos hecho suficiente, como tantas veces este año fuera/ノー・エモス・エッチョー・スフシエンテ、コモ・タンタス・ベセス・エステ・アーニョ・フエラ(今季の他の何回ものアウェイのように、ウチは十分なことをしなかった)」と言っているのを聞きながら、ベルナベルのゲートをくぐるのがどんなに気が重かったことか。
うーん、アラベス戦前には2回程、マハダオンダ(マドリッド近郊)でセッションがあったはずなんですけどね。ここまで守備も攻撃も崩壊しているようでは、いくらシメオネ監督が「Trabajar más que nunca/トラバハモス・マス・ケ・ヌンカ(今までにない程、練習する)」と誓おうが、これはもう、1回チームを解体して、ゼロから構築していくぐらいでないと、体力的にもサッカー的にもお隣さんとタイトルを争えるようなレベルにはならないような気がしますが…今はとにかく残り6試合、何とか乗り切ってくれることを祈るしかありません。
そしてとうとう、密閉式ベルナベウの客席上部に釣り下がっていた360度大スクリーンも稼働して、その日も大勢のファンのお出迎えを受けたマドリーがバルサを迎えるクラシコが始まったんですが、何せ、アンチェロッティ監督のチームは水曜にマンチェスター・シティと120分の死闘を繰り広げたばかりですからね。カルバハルとメンディが疲労でルーカス・バスケスとカマビンガとローテーションすることになったんですが、開始早々の6分にはエティハド・スタジアムでのPK戦で2本止めて、英雄になったGKルーニンがしくじってしまったから、さあ大変!
ええ、ラフィーニャの蹴ったCKをクリアしそこね、クリステンセンにヘッドで先制点を決められてしまったからですが、助かりました。18分にはルーカス・バスケスが敵エリア内右奥で17才のクバルシに足を引っかけられ、PKをゲット。ビニシウスが決めて、すぐ同点にしてくれることに。例のゴールラインを割ったかどうかで大騒ぎになった問題のプレーが発生したのは27分のことで、ギュンドガンの蹴ったCKを16才のジャマルがゴール左前から蹴り込んだんですが、ルーニンが掻き出した位置が微妙でねえ。主審が3分程、VAR通信にかかりきりになり、プレミアリーグから来たギュンドガンなど、彼の腕時計を指して、ゴールの知らせが入ってないか、確認するように頼んでいたものの…はい、ゴールラインテクノロジーはリーガにはありません。
最後はVARが完全にボールがラインを越えている映像はないと判断したため、バルサの得点にはならなかったんですが、彼らには前半ロスタイムにデ・ヨングの足がバルベルデの足と空中で当たり、再度の捻挫で担架退場になるという不幸も。まあ、そこはすぐにペドリが入り、チャビ監督は後半頭から、本職CB、その日はボランチだったクリステンセンもフェルミンに交代。更に18分には何と、エースのレバンドフスキとラフィーニャをジョアン・フェリックスとフェラン・トーレスに代え、勝ち越し点を探しに行ったところ、またジャマルがやってくれました。そう、3月にはスペインA代表親善試合でベルナベウデビューしていた彼だったんですが、うーん、左SBがカマビンガだったせいもあったんですかね。
誰よりもいい動きを見せていたその当人が24分、エリア内から撃ったシュートはルーニンが弾いたものの、こぼれ球をフェルミンに決められているんですから、困ったもんじゃないですか。といっても、マドリーの十八番は根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)ですからね。とりわけ、シティ戦では守ってばかりでフラストレーションも溜まっていたか、28分にはビニシウスが上げたクロスをエリア内に駆け込んできたルーカス・バスケスが撃ち込んで、再びスコアは2-2に。マドリーは引分けでも良かったため、ブラジル人前線コンビはこの後、交代したんですが、そこはどっこい、古参のルーカス・バスケスが残り5分にチームメートを鼓舞したそう。
「Vamos a por el gol, vamos a ganar/バモス・ア・ポル・エル・ゴル、バモス・ア・ガナール(ゴールを取りにいこう。勝つんだ)」という言葉を有言実行し、ロスタイム1分には自らラストパスをゴール前に送ると、ホセルがスルーしたボールをベリンガムが決めたとなれば、場内がどれ程、興奮の渦に包まれたのは言う必要もないかと。そのまま、試合は3-2で終わり、とうとうマドリーとバルサの差が勝ち点11となったため、ほぼリーガ優勝は確定したようなもんですが、そのせいもありますかね。試合後のバルサからはジャマルのゴールが認められなかったことに猛抗議が起きることに。
ええ、「Es una vergüenza para el fútbol/エス・ウナ・ベルグエサ・パラ・エル・フトボル(これはサッカーとして恥ずかしい)。確認するのにいいアングルの画像がなかったとか、他のリーグにはあるテクノロジーが儲けているリーガにないとか」(テア・シュテーゲン)というのはその通りかと。とはいえ、「Todo el mundo ha visto que ha entrado la pelota/トードー・エル・ムンド・ア・ビストー・ケ・ア・エントラードー・ラ・ペロータ(誰もがボールが入ったのを見た)。ウチの方がいいプレーをしたし、チャンスも多くて、守備も良くて、勝利に値するのはバルサだ」(チャビ監督)とまでくると、それはどうかと思うんですが、だってえ、ジャマルのゴールが認められても3-3の引分けですよお。勝ち点8差は変わらないため、やっぱり、バルサの逆転優勝は絶望的だったのでは?
まあ、私としては延長戦の後でも疲れを見せず、代わって入ったルーカス・バスケスやモドリッチのような選手がしっかり貢献して、最後まで勝利を求める意欲を失わないマドリーにただただ、感嘆するばかりですが、そうそう、来週はバイエルン戦1stレグがあるため、この週末のリーガ日程が変更に。1日多く休めるよう、レアル・ソシエダvsマドリー戦が金曜午後9時(日本時間翌午前4時)に前倒しされたため、他のカードも幾つか日時が変わっているんですが、リーガ優勝が正式に決まるにはあと勝ち点7が必要なのだとか。最短あと3試合ということになりますが、クラブ的にはCL決勝進出を決めてから、落ち着いて祝いたいところでしょうか。
だってえ、コパ・デル・レイ決勝のおかげで中8日で迎えたCL準々決勝ドルトムント戦1stレグ、その次、中2日で迎えたジローナ戦までは、ええ、ホームのメトロポリターノマジックのおかげもあって、勝っていたんですけどね。再び、中2日で挑んだジグナル・イドゥナ・パルクで4-2と負け、CL敗退が決まったかと思えば、次は中4日あったにも関わらず、メンディソローサでもアラベスに負けている始末。冗談抜きで今季残りのアウェイゲーム全敗の可能性も出て来たため、うーん、兄貴分に優しいヘタフェにはコリセウムで勝てるかもしれないとはいえ、マジョルカ戦、そして相手が最終節まで、ヨーロッパの大会出場権を争っていそうなレアル・ソシエダ戦はかなりヤバいかと。
メトロポリターノでのアスレティック戦、セルタ戦、オサスナ戦に勝つだけで、来季のCL出場権をもらえる4位をキープできればいいんですが、こればっかりはねえ。幸い、今週土曜に直接対決となるアスレティックもコパ優勝酔いがまだ覚めてないようで、リーガではここ2試合、引き分けが続けているため、何とかなってほしいんですが、とりあえず、まずは先週末のマドリッド勢がどうだったか、お伝えしていくことにすると。
0-1のまま、後半に入っても相変わらず、ゴール日照りが続いていたラージョは順次、カメージョをRdT(ラウール・デ・トマス)に、デ・フルートス、ウナイ・ロペスをファルカオ、ベベにと前線を強化していったものの、30分を越えても同点に追いつけず。私の前に座っていた声の大きなアボナードー(年間チケット保持者)のオジさんなど、「Inigo, vete ya!/イニゴ・ベテ・ジャー(イニゴ・ペレス監督、もう出て行け)」と叫んでいた程だったんですが、35分、とうとう、ラージョの執念が実ることに。ええ、ベベの蹴ったCKを敵DFがヘッドでクリアしたボールがエリア外で待機していたチャバリアの前に落ち、そのvolea(ボレア/ボレーシュート)が決まってくれたから、どんなにファンも盛り上がったことか。
おまけにその4分後にはイシも奮起して、エリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を叩き込み、あっという間に逆転してしまうとは珍しい日もあるものですが、まあ、オサスナも勝ち点39とほぼほぼ残留確定していて、余裕がありましたからね。ラージョも何とかリードを守りきることができたため、2-1のまま終わり、イニゴ・ペレス監督は2年前に引退するまで、オサスナで師事していたアラサーテ監督に成長ぶりを見せつけることに。これでラージョも降格圏18位のカディスと勝ち点9差となったとなれば、今季3度目となる、ファンとの「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」唱和がプレ残留確定祝いみたいになっていたのも当然だった?
そして翌日曜午後2時の早い時間帯に当たったのがヘタフェで、こちらもコリセウムでレアル・ソシエダ戦だったんですが、やっぱり順位争いをしているチームは違いますよね。開始1分にはラタサ、2分にはジェネが次々と倒され、先行きが心配されたんですが、それよりマズかったのは13分、早々にベッカーのクロスから、バレネチェアのヘッドで先制されてしまったことの方。何せエネス・ウナル(現ボーンマス)の移籍とマジョラルのヒザの靭帯断裂があってからの彼らはゴールを入れてくれるCFが不在ですからね。それでもこの日はオスカル・ロドリゲスが28分、同点ゴールを挙げることになったんですが、そのプレーが少々複雑なものだったんです。
そう、マキシモビッチのヘッドをGKレミロが弾いた後、オスカルの至近距離シュートも掻き出して、一旦、エリア外に出たボールをグリーンウッドがクロス。それをラタサが頭でゴールに入れたため、その場では誰もが彼の得点だと思ったんですけどね。それがしばらくして、VAR(ビデオ審判)がすでにオスカルのシュートがゴールラインを越えていたとして、得点者名が変わったんですが、どちらにしろ、1-1になったのは同じ。当事者たちの個人成績以外にはあまり影響はなかったかと。結局、久保建英選手がピッチに入った後半はどちらのチームも追加点を挙げられず、そのまま試合は引分けで終わることに。
え、後半8分にオスカルの蹴ったFKがポストに当たり、反対サイドのライン上にいたル・ノルマンが蹴り出したプレーでゴールが認められていれば、ヘタフェは勝てていたんじゃないかって?まあ、その通りですが、ボルダラス監督も「La falta que parecía que había entrado/ラ・ファルタ・ケ・パレシア・ケ・アビア・エントラードー(あのFKはゴールに入ったように見えた)が、ゴールラインテクノロジーがないから、本当に入ったか、入らなかったかはわからない」と達観していましたしね。ただ、これはこの勝ち点1で残留確定ラインの40に到達したヘタフェだからこそ、大ごとにならなかっただけで、その夜のクラシコ(伝統の一戦)では…。
まあ、その前には午後9時のキックオフまで時間があるのを利用して、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアラベス戦を見ることにした私だったんですが、いやあ、あんなに恐ろしいアトレティコを目の辺りにすることになろうとは!うーん、前日、モラタが体調不良で遠征に同行しないことを知った時には、もしやドルトムント戦2ndレグの1対1の大失敗を気に病んで、中4日では立ち直れない程なのかと穿ってしまった私だったんですけどね。もちろん、メンフィス・デパイもまだケガが治っていませんし、ゴールが足りていないのは重々、承知だったものの、もうそんな問題じゃなかったんですよ。
そう、4分までにグリディとハビ・ロペスがイエローカードをもらうという、テンション高めのスタートを切ったアラベスにシメオネ監督のチームは怖気づいたか、前半はほとんど何もできず。すでに15分にはコケがエリアからクリアしようとしたボールが敵DFに当たり、それを拾ったベネビデスにエリア外からシュートを決められていながら、ようようパスも繋がらない状態ではねえ。いかにもダメダメの今季のアウェイゲームの典型だったんですが、45分にはアラベスのFKがアスピリクエタの腕に当たったとして、ペナルティまで宣告されてしまうドッキリまで勃発することに。
でも大丈夫。この時は幸い、VARが介入してくれて、腕に当たったのは頭に当たって落ちてきたせいとして、PKを献上せずに済んだんですが、1-0のまま、始まった後半もデ・パウルの代わりにサウールが入りながら、大して変わり映えしないのでは。アラベスでは今季、アトレティコからレンタル修行に出ているシメオネ監督の三男、ジュリアーノが、8月にグラナダからアトレティコ入りし、そのままレンタルに出されたサムをベンチに追いやって初先発。父の前でいいところを見せようと、前半から目立っていたんですが、後半6分にはモリーナに股抜きを喰らわし、エリア内に入ろうとしたところをサウールが力づくで止めているシーンなどを見せられては限界です。あと15分ぐらいはバルにいられた私だってもう絶望して、早々にベルナベウに向かっちゃいますよ。
実際、その判断は正しくて、いえ、終盤にはサムエル・リノやコレアのシュートがGKシベラにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されるなど、同点のチャンスがなくもなかったようなんですけどね。丁度、メトロの駅を出た辺りだった47分、カルロス・ビセンテのクロスから、リオハにスーパーボレーを決められて、最後は2-0で試合は終了。オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)から聞こえるピッチインタビューでオブラクが、「どこから撃たれてもゴールになるんだから、estamos en una dinámica fea, mala/エスタモス・エン・ウナ・ディナミカ・フェア、マラ(ボクらは酷い、悪い流れに入っている)」、「No hemos hecho suficiente, como tantas veces este año fuera/ノー・エモス・エッチョー・スフシエンテ、コモ・タンタス・ベセス・エステ・アーニョ・フエラ(今季の他の何回ものアウェイのように、ウチは十分なことをしなかった)」と言っているのを聞きながら、ベルナベルのゲートをくぐるのがどんなに気が重かったことか。
うーん、アラベス戦前には2回程、マハダオンダ(マドリッド近郊)でセッションがあったはずなんですけどね。ここまで守備も攻撃も崩壊しているようでは、いくらシメオネ監督が「Trabajar más que nunca/トラバハモス・マス・ケ・ヌンカ(今までにない程、練習する)」と誓おうが、これはもう、1回チームを解体して、ゼロから構築していくぐらいでないと、体力的にもサッカー的にもお隣さんとタイトルを争えるようなレベルにはならないような気がしますが…今はとにかく残り6試合、何とか乗り切ってくれることを祈るしかありません。
そしてとうとう、密閉式ベルナベウの客席上部に釣り下がっていた360度大スクリーンも稼働して、その日も大勢のファンのお出迎えを受けたマドリーがバルサを迎えるクラシコが始まったんですが、何せ、アンチェロッティ監督のチームは水曜にマンチェスター・シティと120分の死闘を繰り広げたばかりですからね。カルバハルとメンディが疲労でルーカス・バスケスとカマビンガとローテーションすることになったんですが、開始早々の6分にはエティハド・スタジアムでのPK戦で2本止めて、英雄になったGKルーニンがしくじってしまったから、さあ大変!
ええ、ラフィーニャの蹴ったCKをクリアしそこね、クリステンセンにヘッドで先制点を決められてしまったからですが、助かりました。18分にはルーカス・バスケスが敵エリア内右奥で17才のクバルシに足を引っかけられ、PKをゲット。ビニシウスが決めて、すぐ同点にしてくれることに。例のゴールラインを割ったかどうかで大騒ぎになった問題のプレーが発生したのは27分のことで、ギュンドガンの蹴ったCKを16才のジャマルがゴール左前から蹴り込んだんですが、ルーニンが掻き出した位置が微妙でねえ。主審が3分程、VAR通信にかかりきりになり、プレミアリーグから来たギュンドガンなど、彼の腕時計を指して、ゴールの知らせが入ってないか、確認するように頼んでいたものの…はい、ゴールラインテクノロジーはリーガにはありません。
最後はVARが完全にボールがラインを越えている映像はないと判断したため、バルサの得点にはならなかったんですが、彼らには前半ロスタイムにデ・ヨングの足がバルベルデの足と空中で当たり、再度の捻挫で担架退場になるという不幸も。まあ、そこはすぐにペドリが入り、チャビ監督は後半頭から、本職CB、その日はボランチだったクリステンセンもフェルミンに交代。更に18分には何と、エースのレバンドフスキとラフィーニャをジョアン・フェリックスとフェラン・トーレスに代え、勝ち越し点を探しに行ったところ、またジャマルがやってくれました。そう、3月にはスペインA代表親善試合でベルナベウデビューしていた彼だったんですが、うーん、左SBがカマビンガだったせいもあったんですかね。
誰よりもいい動きを見せていたその当人が24分、エリア内から撃ったシュートはルーニンが弾いたものの、こぼれ球をフェルミンに決められているんですから、困ったもんじゃないですか。といっても、マドリーの十八番は根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)ですからね。とりわけ、シティ戦では守ってばかりでフラストレーションも溜まっていたか、28分にはビニシウスが上げたクロスをエリア内に駆け込んできたルーカス・バスケスが撃ち込んで、再びスコアは2-2に。マドリーは引分けでも良かったため、ブラジル人前線コンビはこの後、交代したんですが、そこはどっこい、古参のルーカス・バスケスが残り5分にチームメートを鼓舞したそう。
「Vamos a por el gol, vamos a ganar/バモス・ア・ポル・エル・ゴル、バモス・ア・ガナール(ゴールを取りにいこう。勝つんだ)」という言葉を有言実行し、ロスタイム1分には自らラストパスをゴール前に送ると、ホセルがスルーしたボールをベリンガムが決めたとなれば、場内がどれ程、興奮の渦に包まれたのは言う必要もないかと。そのまま、試合は3-2で終わり、とうとうマドリーとバルサの差が勝ち点11となったため、ほぼリーガ優勝は確定したようなもんですが、そのせいもありますかね。試合後のバルサからはジャマルのゴールが認められなかったことに猛抗議が起きることに。
ええ、「Es una vergüenza para el fútbol/エス・ウナ・ベルグエサ・パラ・エル・フトボル(これはサッカーとして恥ずかしい)。確認するのにいいアングルの画像がなかったとか、他のリーグにはあるテクノロジーが儲けているリーガにないとか」(テア・シュテーゲン)というのはその通りかと。とはいえ、「Todo el mundo ha visto que ha entrado la pelota/トードー・エル・ムンド・ア・ビストー・ケ・ア・エントラードー・ラ・ペロータ(誰もがボールが入ったのを見た)。ウチの方がいいプレーをしたし、チャンスも多くて、守備も良くて、勝利に値するのはバルサだ」(チャビ監督)とまでくると、それはどうかと思うんですが、だってえ、ジャマルのゴールが認められても3-3の引分けですよお。勝ち点8差は変わらないため、やっぱり、バルサの逆転優勝は絶望的だったのでは?
まあ、私としては延長戦の後でも疲れを見せず、代わって入ったルーカス・バスケスやモドリッチのような選手がしっかり貢献して、最後まで勝利を求める意欲を失わないマドリーにただただ、感嘆するばかりですが、そうそう、来週はバイエルン戦1stレグがあるため、この週末のリーガ日程が変更に。1日多く休めるよう、レアル・ソシエダvsマドリー戦が金曜午後9時(日本時間翌午前4時)に前倒しされたため、他のカードも幾つか日時が変わっているんですが、リーガ優勝が正式に決まるにはあと勝ち点7が必要なのだとか。最短あと3試合ということになりますが、クラブ的にはCL決勝進出を決めてから、落ち着いて祝いたいところでしょうか。
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