代表戦の宴は終わった…/原ゆみこのマドリッド
2024.03.29 21:00 Fri
「ようやくサンティアゴ・ベルナベウで公式戦が見られるんだ」そんな風に私が気分を切り替えていたのは木曜日、いよいよ佳境に入ったSemana Santa/セマーナ・サンタ(イースター週間)とは裏腹に、この週末から、ようやくparon(パロン/リーガの停止期間)明けとなる30節の予定を見ていた時のことでした。いやあ、普段の各国代表戦週間はTV観戦ばかりで、しかもスペイン代表の試合はTVE(スペイン国営放送)が中継してくれるため、あまり家から出ることもないんですけどね。それがこの3月はレアル・マドリーが先週土曜、コロナ禍とスタジアム改装工事で開催が見送られていたコラソン・クラシックマッチを5年ぶりに再開。
おかげでスタジアムに行けることになったとはいえ、要はマドリーとポルトのOB選手がプレーするチャリティイマッチですからね。カシージャス、ジダン、フィーゴ、ラウールといった、かつてのスター選手を見られたのは嬉しかったとはいえ、真剣勝負を期待すべくもなく、おまけにマドリーは0-1で負けてしまう始末。その欲求不満を解消すべく、再度、火曜にベルナベウでスペインvsブラジルの親善試合を観戦したんですが、詳細はまた後で話すとしても、結果は黒白つかずのドローとはいやはや。こうなると必然的に日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのアスレティック戦に期待するしかないんですが、ええ、相手は前節、アトレティコからCL出場圏の4位を奪ったチームですからね。
なるたけ早くリーガ優勝を決めたいお隣さんが塩を送ってくれるのを待つのも、ちょっと情けないんですが、何せ、そのブラジル戦ではアトレティコから1人参加のスペインのエース、モラタが相変わらず、スランプ継続中なのを再確認。リーガも残り9試合しかありませんし、この2カ月で彼が復調してくれないことには、この夏、ユーロ2024をプレーするデ・ラ・フエンテ監督のチームも困ってしまうはずなんですが、こればっかりはねえ。
まあ、そんなことはともかく、ユーロ用招集リストが出る前最後となるスペインの親善試合がどうだったかお伝えしていくことにすると、いやあ、マドリッドでやってくれるのは本当に有難いもの。というのも対戦相手も近場で練習してくれるからで、前日月曜にブラジルはベルナベウではなく、バルデベバス(バラハス空港の近く)にあるマドリー練習場で記者会見とセッションを実施。時間も午後3時30分からと都合が良かったため、低気圧ネルソンの接近で天候に不安はあったものの、私も久々に行ってみることに。
それがメトロのフェリア・デ・マドリッド駅から歩くこと30分、マドリーの練習見学に使うゲートに着いてみれば、警備員に入口は反対側のゲートと言われ、広大な敷地外縁に沿って、更に追加で30分歩く破目になるとは!ようやく辿り着いた頃はすでに会見の予定時刻を過ぎていたものの、私と同じ目に遭って、ただし大半は自家用車やタクシー、Uberなどでグルグル回ってから来た取材陣が入場の順番を待っている有り様。更にあるあるで、ブラジルのチームバス到着もかなり遅延したため、反人種主義をテーマにしたこの親善試合の主役、昨年から数々の被害に遭っているビニシウスが現れたのは午後4時過ぎだったかと。
おかげでセッション後に開かれたドリバウ・ジュニオール新監督の会見など、午後6時半ぐらいになっていましたが、さすがサッカーがお国の一大事であるブラジル。延々と先日、ウェンブリーでイングランドに0-1で勝った試合でのチームや選手についての質疑応答ばかりで、スペイン代表の選手をどう評価しているかは全然、わからず仕舞いに。まあ、所詮は親善試合ですから、別にいいんですが、昨年はアンチェロッティ監督が今年の夏から、ブラジル代表監督に就任すると散々、言われながら、12月にマドリーと契約を2年延長。そこで白羽の矢が当たったドリバウ監督の手腕たるや如何にと楽しみにして、火曜の夜、ベルナベウに向かったところ…。
先週金曜のコロンビア戦では実験的なメンバーを並べ、ロンドン・スタジアムで0-1と負けていたスペインだったものの、この日の試合でデ・ラ・フエンテ監督はユーロ用のAチームを披露したんですよ。いえ、まだコロナ禍だった2021年、前回のユーロため、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設での合宿中にブスケツ(現インテル・マイアミ)が陽性となり、隔離されたため、急遽、U21をA代表に格上げして、ブタルケでリトアニアとプレーした親善試合に出場。おかげで代表1キャップを稼ぎながら、U21卒業後、A代表からお声が掛からず、今回、ガジャ(バレンシア)の負傷で追加招集された、元ヘタフェのククレジャ(チェルシー)は違うんですけどね。
ロンドンから戻ってすぐ、祖父が亡くなり、この3日間の練習に1度も参加しなかったロドリ(マンチェスター・シティ)がモラタから譲ってもらったキャプテンマークを着け、GKウナイ・シモン(アスレティック)、CBラポール(アル・ナスル)、ル・ノルマン(レアル・ソシエダ)、そして右SBにビニシウスとロドリゴを一番良く知るカルバハル(マドリー)とベテランの多いスタメンだったんですが、早い時間から躍動したのは左右のウィングに入った若い2人。21才のニコ・ウィリアムス(アスレティック)と16才のジャマル(バルサ)が本家ブラジルも真っ青というばかりの個人技で切り込んで、敵ゴールを脅かしていたんですが…いや、でも12分、ジャマルがジョアン・ゴメス(ウォルバーハンプトン)にぶつかって倒れたのがペナルティって、甘すぎじゃない?
何せ、この試合にはVAR(ビデオ審判)がいませんでしたからね。ダニ・オルモ(ライプツィヒ)にキッカーを譲ってもらったロドリがPKを決めて、早くもスペインは先制したんですが、一転、36分にオルモがジャマルからスルーパスをもらい、敵DF2人かわして決めた2点目は完璧なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)と言っていいかと。昨年9月の代表戦で負傷し、しばらく招集が途切れていた当人も3月上旬にCL16強対決2ndレグでベルナベウを初訪問。マドリーに敗退してしまった試合のリベンジができたのは良かったんですが、いやあまさか、そのゴールの余韻も覚めやらぬ40分、GKウナイ・シモンがロドリからのバックパスを受け、何を思ったか、真正面のロドリゴにボールを送る大ポカを犯してしまうとは!
いやあ、それまでは時折、カウンターが見られる程度のブラジルだったんですけどね。せっかくのプレゼントを利用しない訳はなく、ロドリゴのvaselina(バセリーナ/ループシュート)で1点を返されてしまったんですが、2-1で迎えた後半はドリバウ監督が選手4人交代の荒療治を決行。中でもラフィーニャ(バルサ)と代わったエンドリッキが最初からフルスロットルで、5分もしないうち、イングランド戦に続く、代表2ゴール目を挙げてしまったから、ビックリしたの何のって。それはCKからのプレーで、ラポールがヘッドクリアしたボールをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだところ、ル・ノルマンに当たって、ネットに収まったんですが、いやあ。
来季から自分がプレーするスタジアムの観客にどでかい名刺を叩きつけてくれましたが、未来のマドリー前線トリオが続いたのは26分にビニシウスが下がるまで。もちろん、ファンから大きな拍手を浴びて、ドウグラス・ルイス(アストン・ビラ)と交代したんですが、それと対照的だったのはモラタ。ええ、大したことはしていなかったのは否定しませんが、36分にオジャルサバル(レアル・ソシエダ)と交代した際、スペイン代表を応援するファン主体のスタンドから、pito(ピト/ブーイング)を受けているんですから、たまったもんじゃありませんって。
うーん、元々、ベルナベウのファンは要求が高くて、マドリーの選手でもプレーがひどいとピーピーやられるのは珍しくない光景なんですけどね。モラタの場合、数年前、お膝元のメトロポリターノで代表親善試合があった時やセビージャのカルトゥーハでもブーイングされていたため、やはりどこか、ファンをイラッとさせるところがあるんじゃないかと。といっても、私は怒ってもブーイングはしませんが、これって、スペインのサッカー文化のようなものですからね。
人種差別的であろうとなかろうと、侮蔑的な野次やカンティコ同様、いくらデ・ラ・フエンテ監督が「Me duele en el alma que en mi país se pite a un jugador de la selección/メ・ドウェレ・エン・エル・アルマ・ケ・エン・ミ・パイス・セ・ピテ・ア・ウン・フガドール・デ・ラ・セレクシオン(私の国で人々が代表選手をブーイングするのは心が痛む)」と抗議しても、完全になくすのは不可能な気がしますが、さて。それでもモラタはチームメートから信頼されていて、ロドリも「Muy agradecido a Álvaro por el gesto, habla de la gran persona que es/ムイ・アグラデシードー・ア・アルバロ・ポル・エル・ヘストー、アブラ・デ・ラ・グラン・ペルソナ・ケ・エス(モラタの気遣いにはとても感謝している。素晴らしい人柄を示すものだ)」と褒めていたぐらい。
それだけに42分、カルバハルがベラウド(PSG)に倒されて、またしても何ちゃってPKを獲得。再びロドリがゴールを沈めて、スコアが3-2となった後、ジャマルがヘスス・ナバス(セビージャ)と交代した時、バルサの選手なのにスタンドから喝采を浴びているのを見たりすると、やっぱり人柄だけじゃ、サッカー選手はダメなんじゃないかと思ってしまったりもするんですが、いやあ。試合の方は親善ながら、ロスタイムが5分もあったのも珍しかったんですが、最後の最後で審判に辻褄を合わされてしまったから、さあ大変!
そう、50分、カルバハルがエリア内で倒れた姿勢からガレノ(ポルト)のふくらはぎを手でつかんで転がして、今度は自分がブラジルにPKを献上しちゃったんですよ。パケタ(ウェストハム)がウナイ・シモンを破り、結局、3-3で終わったんですが、この時、ベンチから両チームの選手たちが出て来て、一悶着起きそうだったのはやっぱり、ビニシウスの口が原因だった?ちなみにこの引分けにデ・ラ・フエンテ監督は、「Salimos muy reforzados/サリモス・ムイ・レフォルサードー(ウチはとても力を与えられた)。このチームが遠くまで行けるという手応えを得たからね」と言っていたんですが、それはちょっと微妙なところ。
だってえ、スペインの2点はVARがあったら、おそらく認められていないだろうPKで、守備もまだまだ完璧ではありませんからね。しかも攻撃はジャマルとニコ・ウィリアムスの若輩者2人に頼りきりとなると、強豪ひしめくユーロでどうなるか、私はちょっと不安なんですが、まあ、大会用招集リストが出るのは5月末ですからね。それまでにもう、23人中20人は確定している言われるメンバーにも何が起きるかわかりませんし、今から考えていても仕方ないんですが、モラタの復活はアトレティコの命運を左右する重大案件。
何せ、フランス代表でネンザしたカマビンガも軽傷で済み、アスレティック戦には各国代表に行った14人全員が出場可能。ただしビニシウスは累積警告で出場停止というマドリーが、4月6日に迫ったコパ・デル・レイ決勝で頭がいっぱいになっている相手に勝利しても、月曜午後9時にラ・セラミカでビジャレアル戦となるシメオネ監督のチームが勝たないことには4位奪還ができませんからね。
週末3連休の後、火曜から練習を再開したチームには、足首完治のため、フランス代表を離脱してきたグリーズマンも合流し、ヒメネスも先発OKになったという朗報もあるんですが、アルゼンチン代表でアメリカツアーに行ったデ・パウルとモリーナは出場停止。おまけに今季は超苦手のアウェイ戦かつ、黄色のユニを着たチームに勝つというダブルジンクス破りをしないといけないとなると、まったく楽観的になれないのは私だけではない?
そしてこの週末、マドリッドの弟分チームたちはまず、土曜にヘタフェが16位のセビージャをコリセウムに迎えるホームゲームなんですが、彼らは前節にジローナ戦に勝って、残留確定目安の勝ち点40にあと2と迫っていますからね。ここは一気に上がりとなってもらいたいところですが、ラージョの方は日曜にセルタとのアウェイ戦。各国代表戦前にイニゴ・ペレス新監督がベティス戦で初勝利を挙げ、一息ついたとはいえ、15位の彼らが来季も1部でプレーするためにはあと勝ち点11は欲しいところかと。17位の相手も今は降格圏から勝ち点5離れているんですが、とにかく残り試合もどんどん少なくなっていきますし、この先、リーガの最終パートはガチで削り合う対戦が増えていくんじゃないでしょうか。
おかげでスタジアムに行けることになったとはいえ、要はマドリーとポルトのOB選手がプレーするチャリティイマッチですからね。カシージャス、ジダン、フィーゴ、ラウールといった、かつてのスター選手を見られたのは嬉しかったとはいえ、真剣勝負を期待すべくもなく、おまけにマドリーは0-1で負けてしまう始末。その欲求不満を解消すべく、再度、火曜にベルナベウでスペインvsブラジルの親善試合を観戦したんですが、詳細はまた後で話すとしても、結果は黒白つかずのドローとはいやはや。こうなると必然的に日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのアスレティック戦に期待するしかないんですが、ええ、相手は前節、アトレティコからCL出場圏の4位を奪ったチームですからね。
なるたけ早くリーガ優勝を決めたいお隣さんが塩を送ってくれるのを待つのも、ちょっと情けないんですが、何せ、そのブラジル戦ではアトレティコから1人参加のスペインのエース、モラタが相変わらず、スランプ継続中なのを再確認。リーガも残り9試合しかありませんし、この2カ月で彼が復調してくれないことには、この夏、ユーロ2024をプレーするデ・ラ・フエンテ監督のチームも困ってしまうはずなんですが、こればっかりはねえ。
それがメトロのフェリア・デ・マドリッド駅から歩くこと30分、マドリーの練習見学に使うゲートに着いてみれば、警備員に入口は反対側のゲートと言われ、広大な敷地外縁に沿って、更に追加で30分歩く破目になるとは!ようやく辿り着いた頃はすでに会見の予定時刻を過ぎていたものの、私と同じ目に遭って、ただし大半は自家用車やタクシー、Uberなどでグルグル回ってから来た取材陣が入場の順番を待っている有り様。更にあるあるで、ブラジルのチームバス到着もかなり遅延したため、反人種主義をテーマにしたこの親善試合の主役、昨年から数々の被害に遭っているビニシウスが現れたのは午後4時過ぎだったかと。
その会見も練習場のプレスルームを満員にしたブラジル人記者たちの質問が途切れないわ、自らの受けた人種差別的な野次や行為に、「Cada vez me siento más triste, cada vez tengo menos voluntad de jugar/カーダ・ベス・メ・シエントー・マス・トリステ、カーダ・ベス・テンゴ・メノス・ボルンタッド・デ・フガール(その度により悲しく感じて、プレーする意志が減っていく)」というビニシウスが途中で泣いてしまうハプニングがあるわで、結構、長かったんですけどね。結局、エスタディオ・ディ・ステファノでの練習が始まったのは午後5時近くとなり、いえ、この夏のマドリー入団が決まっている17才のFW、エンドリッキ(パルメイラス)を遠目でも見られたのは収穫でしたよ。
おかげでセッション後に開かれたドリバウ・ジュニオール新監督の会見など、午後6時半ぐらいになっていましたが、さすがサッカーがお国の一大事であるブラジル。延々と先日、ウェンブリーでイングランドに0-1で勝った試合でのチームや選手についての質疑応答ばかりで、スペイン代表の選手をどう評価しているかは全然、わからず仕舞いに。まあ、所詮は親善試合ですから、別にいいんですが、昨年はアンチェロッティ監督が今年の夏から、ブラジル代表監督に就任すると散々、言われながら、12月にマドリーと契約を2年延長。そこで白羽の矢が当たったドリバウ監督の手腕たるや如何にと楽しみにして、火曜の夜、ベルナベウに向かったところ…。
先週金曜のコロンビア戦では実験的なメンバーを並べ、ロンドン・スタジアムで0-1と負けていたスペインだったものの、この日の試合でデ・ラ・フエンテ監督はユーロ用のAチームを披露したんですよ。いえ、まだコロナ禍だった2021年、前回のユーロため、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設での合宿中にブスケツ(現インテル・マイアミ)が陽性となり、隔離されたため、急遽、U21をA代表に格上げして、ブタルケでリトアニアとプレーした親善試合に出場。おかげで代表1キャップを稼ぎながら、U21卒業後、A代表からお声が掛からず、今回、ガジャ(バレンシア)の負傷で追加招集された、元ヘタフェのククレジャ(チェルシー)は違うんですけどね。
ロンドンから戻ってすぐ、祖父が亡くなり、この3日間の練習に1度も参加しなかったロドリ(マンチェスター・シティ)がモラタから譲ってもらったキャプテンマークを着け、GKウナイ・シモン(アスレティック)、CBラポール(アル・ナスル)、ル・ノルマン(レアル・ソシエダ)、そして右SBにビニシウスとロドリゴを一番良く知るカルバハル(マドリー)とベテランの多いスタメンだったんですが、早い時間から躍動したのは左右のウィングに入った若い2人。21才のニコ・ウィリアムス(アスレティック)と16才のジャマル(バルサ)が本家ブラジルも真っ青というばかりの個人技で切り込んで、敵ゴールを脅かしていたんですが…いや、でも12分、ジャマルがジョアン・ゴメス(ウォルバーハンプトン)にぶつかって倒れたのがペナルティって、甘すぎじゃない?
何せ、この試合にはVAR(ビデオ審判)がいませんでしたからね。ダニ・オルモ(ライプツィヒ)にキッカーを譲ってもらったロドリがPKを決めて、早くもスペインは先制したんですが、一転、36分にオルモがジャマルからスルーパスをもらい、敵DF2人かわして決めた2点目は完璧なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)と言っていいかと。昨年9月の代表戦で負傷し、しばらく招集が途切れていた当人も3月上旬にCL16強対決2ndレグでベルナベウを初訪問。マドリーに敗退してしまった試合のリベンジができたのは良かったんですが、いやあまさか、そのゴールの余韻も覚めやらぬ40分、GKウナイ・シモンがロドリからのバックパスを受け、何を思ったか、真正面のロドリゴにボールを送る大ポカを犯してしまうとは!
いやあ、それまでは時折、カウンターが見られる程度のブラジルだったんですけどね。せっかくのプレゼントを利用しない訳はなく、ロドリゴのvaselina(バセリーナ/ループシュート)で1点を返されてしまったんですが、2-1で迎えた後半はドリバウ監督が選手4人交代の荒療治を決行。中でもラフィーニャ(バルサ)と代わったエンドリッキが最初からフルスロットルで、5分もしないうち、イングランド戦に続く、代表2ゴール目を挙げてしまったから、ビックリしたの何のって。それはCKからのプレーで、ラポールがヘッドクリアしたボールをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだところ、ル・ノルマンに当たって、ネットに収まったんですが、いやあ。
来季から自分がプレーするスタジアムの観客にどでかい名刺を叩きつけてくれましたが、未来のマドリー前線トリオが続いたのは26分にビニシウスが下がるまで。もちろん、ファンから大きな拍手を浴びて、ドウグラス・ルイス(アストン・ビラ)と交代したんですが、それと対照的だったのはモラタ。ええ、大したことはしていなかったのは否定しませんが、36分にオジャルサバル(レアル・ソシエダ)と交代した際、スペイン代表を応援するファン主体のスタンドから、pito(ピト/ブーイング)を受けているんですから、たまったもんじゃありませんって。
うーん、元々、ベルナベウのファンは要求が高くて、マドリーの選手でもプレーがひどいとピーピーやられるのは珍しくない光景なんですけどね。モラタの場合、数年前、お膝元のメトロポリターノで代表親善試合があった時やセビージャのカルトゥーハでもブーイングされていたため、やはりどこか、ファンをイラッとさせるところがあるんじゃないかと。といっても、私は怒ってもブーイングはしませんが、これって、スペインのサッカー文化のようなものですからね。
人種差別的であろうとなかろうと、侮蔑的な野次やカンティコ同様、いくらデ・ラ・フエンテ監督が「Me duele en el alma que en mi país se pite a un jugador de la selección/メ・ドウェレ・エン・エル・アルマ・ケ・エン・ミ・パイス・セ・ピテ・ア・ウン・フガドール・デ・ラ・セレクシオン(私の国で人々が代表選手をブーイングするのは心が痛む)」と抗議しても、完全になくすのは不可能な気がしますが、さて。それでもモラタはチームメートから信頼されていて、ロドリも「Muy agradecido a Álvaro por el gesto, habla de la gran persona que es/ムイ・アグラデシードー・ア・アルバロ・ポル・エル・ヘストー、アブラ・デ・ラ・グラン・ペルソナ・ケ・エス(モラタの気遣いにはとても感謝している。素晴らしい人柄を示すものだ)」と褒めていたぐらい。
それだけに42分、カルバハルがベラウド(PSG)に倒されて、またしても何ちゃってPKを獲得。再びロドリがゴールを沈めて、スコアが3-2となった後、ジャマルがヘスス・ナバス(セビージャ)と交代した時、バルサの選手なのにスタンドから喝采を浴びているのを見たりすると、やっぱり人柄だけじゃ、サッカー選手はダメなんじゃないかと思ってしまったりもするんですが、いやあ。試合の方は親善ながら、ロスタイムが5分もあったのも珍しかったんですが、最後の最後で審判に辻褄を合わされてしまったから、さあ大変!
そう、50分、カルバハルがエリア内で倒れた姿勢からガレノ(ポルト)のふくらはぎを手でつかんで転がして、今度は自分がブラジルにPKを献上しちゃったんですよ。パケタ(ウェストハム)がウナイ・シモンを破り、結局、3-3で終わったんですが、この時、ベンチから両チームの選手たちが出て来て、一悶着起きそうだったのはやっぱり、ビニシウスの口が原因だった?ちなみにこの引分けにデ・ラ・フエンテ監督は、「Salimos muy reforzados/サリモス・ムイ・レフォルサードー(ウチはとても力を与えられた)。このチームが遠くまで行けるという手応えを得たからね」と言っていたんですが、それはちょっと微妙なところ。
だってえ、スペインの2点はVARがあったら、おそらく認められていないだろうPKで、守備もまだまだ完璧ではありませんからね。しかも攻撃はジャマルとニコ・ウィリアムスの若輩者2人に頼りきりとなると、強豪ひしめくユーロでどうなるか、私はちょっと不安なんですが、まあ、大会用招集リストが出るのは5月末ですからね。それまでにもう、23人中20人は確定している言われるメンバーにも何が起きるかわかりませんし、今から考えていても仕方ないんですが、モラタの復活はアトレティコの命運を左右する重大案件。
何せ、フランス代表でネンザしたカマビンガも軽傷で済み、アスレティック戦には各国代表に行った14人全員が出場可能。ただしビニシウスは累積警告で出場停止というマドリーが、4月6日に迫ったコパ・デル・レイ決勝で頭がいっぱいになっている相手に勝利しても、月曜午後9時にラ・セラミカでビジャレアル戦となるシメオネ監督のチームが勝たないことには4位奪還ができませんからね。
週末3連休の後、火曜から練習を再開したチームには、足首完治のため、フランス代表を離脱してきたグリーズマンも合流し、ヒメネスも先発OKになったという朗報もあるんですが、アルゼンチン代表でアメリカツアーに行ったデ・パウルとモリーナは出場停止。おまけに今季は超苦手のアウェイ戦かつ、黄色のユニを着たチームに勝つというダブルジンクス破りをしないといけないとなると、まったく楽観的になれないのは私だけではない?
そしてこの週末、マドリッドの弟分チームたちはまず、土曜にヘタフェが16位のセビージャをコリセウムに迎えるホームゲームなんですが、彼らは前節にジローナ戦に勝って、残留確定目安の勝ち点40にあと2と迫っていますからね。ここは一気に上がりとなってもらいたいところですが、ラージョの方は日曜にセルタとのアウェイ戦。各国代表戦前にイニゴ・ペレス新監督がベティス戦で初勝利を挙げ、一息ついたとはいえ、15位の彼らが来季も1部でプレーするためにはあと勝ち点11は欲しいところかと。17位の相手も今は降格圏から勝ち点5離れているんですが、とにかく残り試合もどんどん少なくなっていきますし、この先、リーガの最終パートはガチで削り合う対戦が増えていくんじゃないでしょうか。
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