たまに呆れる程、強くなる…/原ゆみこのマドリッド
2023.11.10 20:00 Fri
「これはgleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利に乗じたわね」そんな風に私が感じていたのは木曜日、アトレティコがシメオネ監督の2027年まで、3年間の契約延長を公式発表したというニュースに気づいた時のことでした。いやあ、ヨーロッパの大会が開催された今週のミッドウィーク、チームはCLとなって以来のクラブ史最多得点差でセルティックに勝利。クラブ史最長のホーム連勝記録も16試合に更新し、内弁慶ぶりを余すところなく発揮したばかりだったんですけどね。1位にはなれたとはいえ、グループは相変わらず団子状態で、決勝トーナメントに進出できるかどうかはまだ残り2試合をプレーしてみないとわからないんですよ。
その傍らでCL今節終了時にはすでに6チームがグループ突破を確定。ええ、比類なき14回の優勝を誇るお隣さんや1位突破まで決まったバイエルンはともかく、他のスペイン勢でも久保建英選手のいるレアル・ソシエダが水曜にベンフィカに3-1と勝ち、同組のインテルとダブルフィニッシュして、昨季王者のマンチェスター・シティ、ライプツィヒらと共に残り2節で1位争いをすることに。来年もCL戦が見られることになったクラブのファンを羨みつつ、もちろん、ロンドンでアーセナルに2-0と負け、ここまでたったの2ポイント。決勝トーナメント進出の奇跡を起こすにはPSVとランスに連勝するしかなくなったセビージャよりは全然、ましではありますけどね。
実際、アトレティコの場合、ここ6試合勝っていないCLアウェイゲームの次節、フェイノールト戦に負けたりすれば、いくら最終節のラツィオ戦が無敵のメトロポリターノ開催といっても絶対、大丈夫とは言い切れず。今季はもう4位敗退こそ、あり得ませんが、万が一、3位でELに回るようになった時、先走りを責められるリスクを負うより、シメオネ監督の契約延長発表はグループ突破が確定した後でも良かったような気がしないでもありませんが…ま、丁が出ても半が出ても、アトレティコの指揮官はここ11年、毎シーズン、4位以上を保って、チームをCLの常連まで育てあげてくれた彼以外、選択肢はなし。となれば、再び決勝トーナメントで高みに達するシーズンの前祝いと受け止めるのがいいのかもしれません。
まあ、そんなことはともかく、火曜のセルティック戦がどんなに凄いゴール祭りだったか、お話ししていくことにすると。3節にセルティックパークで2-2と引分けた試合でイエローカードを2枚もらい、退場したデ・パウルがいなかったため、この日はバリオスが入ったアトレティコだったんですが、それより目を引いたのは手持ちFWを総動員するシメオネ監督の攻撃的な布陣。そう、スタメンからコレアがモラタとの前線コンビとして先発し、グリーズマンが中盤のサイドに下がって、「Hoy Griezmann hizo de De Paul/オイ・グリーズマン・イソ・デ・デ・パウル(今日のグリーズマンはデ・アパウルの役割をした)」(シメオネ監督)んですが、それが前半6分には早くも成果を挙げたんですよ。
ええ、グラスゴーでは眠ったままピッチに立ち、古橋亨梧選手に4分に先制弾を浴びたのをリベンジするが如く、スタートから、がんがん行っていたリケルメがエリア外右から入れたクロスはマクレガーに頭でクリアされてしまったものの、そのボールを拾ったグリーズマンがシュート。これがカーター・ビッカーズに当たって軌道を変え、GKハートを破ってくれたため、完全に冬モードに入ったマドリッドの平日午後9時の寒さに堪えながら、スタンドで応援していたファンたちもすぐに心が温かくなることに。ただ、そのままでは常に同点にされることを恐れる展開になりかねなかったんですが、まさか、運も味方くれるとはねえ。
まあ、そういうレアなケースもありますが、この日のアトレティコは数的優勢になった後も「股抜きみたいなおバカなことをせず、jugar como si estuvieras 0-0/フガール・コモ・シー・エストゥビモス・セロ・セロ(0-0の時のようにプレーする)」(グリーズマン)という姿勢を崩さず。おかげで何度かシュートの失敗はあったものの、前半ロスタイムにはCKから始まったプレーでグリーズマンがエリア内にクロスを入れると、ヒメネスが頭で落とし、モラタが合わせて、ハーフタイム前に2点目をゲットしてくれたとなれば、もう大船に乗った気になっていい?
いやあ、実のところ、最後は空母に乗っているようなもんでしたね。後半頭から、バリオスをマルコス・ジョレンテに代え、更に攻撃力をアップさせたアトレティコは15分にゴール祭りを再開。ジョレンテのクロスをジョンストンがヘッドでクリアしたボールをグリーズマンがsemichilena(セミチレナ/シザーズシュート)で決め、3点目を奪ったところで、故ルイス・アラゴネス監督の持つ、アトレティコ最多得点記録まであと5つに迫った当人はリケルメと共にお役御免となったんですが、代わって入ったサムエル・リノ、サウールも燃えていました。何せ、前者は10月21日のセルタ戦で負傷して、3試合お休みしている間に左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)のポジションにリケルメが定着しつつあるのをその日もベンチから、しっかり目撃していましたからね。
シメオネ監督にアピールすべく、21分にはコケが撃ったシュートが敵に当たって転がったボールを拾い、弾丸シュートでgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。更には31分にもジョレンテのパスを胸で落とし、モラタが自身、この試合2得点目となるゴールを決めるアシストもして、39分にもvolea(ボレア/ボレーシュート)を放ち、いえ、これは狙いが外れて、ゴール右前にいたサウールへのパスになってしまったんですけどね。先日、第2子の長男、エンソ君を家に迎えたばかりのカンテラーノ(下部組織出身の選手)は最初は蹴り損ねながら、2度目のトライでゴールをマーク。とうとう6-0という、もう1つの弟分、ラージョがコパ・デル・レイ1回戦でルゴネス(RFEF3部/実質6部)相手に勝ったのと同じスコアになってしまうんですから、凄まじい。
うーん、ロジャース監督も「まだウチはアトレティコのレベルにはない。10人なら尚更だ」と言っていた、このゴール祭り状態には3000人以上が応援に来て、キックオフ前は大いに気勢を上げていたセルティックファンも4点目が入った頃から席を立ち始め、ビジター区画はガラガラに。6点目の後は早帰りするアトレティコファンもかなりいたんですけどね。得意のホームであったことと、選手たちのゴールスイッチが入ってくれたのが幸いしたかと思いますが、これでモラタも今季14試合12得点。となれば、シメオネ監督が「No podemos exigirle menos/ノー・ポデモス・エクシヒールレ・メノス(今より下の要求はできない)」と、シーズン18得点を彼に課したのを正当化するのも当然だった?
この試合のMVPに輝いたグリーズマンについても、「Yo estaba convencido de que había nacido para jugar en el Atlético/ジョー・エスタバ・コンベンシードー・デ・ケ・アビア・ナシードー・パラ・フガール・エン・エル・アトレティコ(アトレティコでプレーするために生まれてきたと、自分は確信していた)」とシメオネ監督は言っていましたが、ええ、お隣さんにはよくありますよね。マドリーでプレーするために生まれてきた選手とかって。いやあ、そちらにはあまり違和感を抱かなかった私ですが、それがアトレティコとなると、世間的にどう思われるのか、少々気になってしまうんですが、まあそれはそれ。
今はホーム16連勝の虎の威を借りて、木曜にELマッカビ・ハイファ戦で紛争中のイスラエルを避け、代替地のキプロスで1-2と逆転勝ち。とりあえず、セティエン監督を継いでから、8試合で2勝3分け3敗と振るわず、危なくなっていたクビが繋がったパチェタ監督のチームを迎える、日曜午後9時(日本時間翌午前5時)のビジャレアル戦でも快勝してくれたらと。ええ、早いところ、ラス・パルマスに負けて遅れを取ったリーガ上位争いで、挽回しておくに越したことはありませんって。
そして水曜はマドリーの番で、サンティアゴ・ベルナベウでのCLスポルティング・ブラガ戦には、近いだけあって、4000人以上のポルトガル人ファンが集結。これがまた同日、サンセバスティンに乗り込んだベンフィカのウルトラたちがレアル・ソシエダの同類と街中で大暴れしたり、レアル・アレナのスタンドから何本もbengala(ベンガラ/発煙筒)を投げ込んで、逮捕者が出たりしたのと対照的で、ブラガのファンはチームが負けていようが、大差がつこうが、ずっとフォンド・ノルテ(北側ゴール裏)の最上階スタンドから、応援を途切らせず。
もちろん、開始4分にルーカス・バスケスがボルハをエリア内で倒してゲットしたPKをジャロが、アップ中にケパが負傷し、急遽先発を任されたGKルニンに弾かれてしまったのはショックだったでしょうけどね。前半11分にはリーガ前節、ラージョとの兄弟分ダービーで肩を脱臼したベリンガムの代わりを務めるブライムにシュートを決められながら、事前のビニシウスのファールで得点とならず。それもブラガファンにとっては、27分に今度はロドリゴの折り返しパスをブライムが再びゴールに入れ、マドリーが先制点を挙げるまでの束の間の気休めに過ぎなかったんですが、後半にはいよいよ、アンチェロッティ監督のチームが得意の必殺カウンターを発動させることに。
まずは13分、敵エリアまで上がったルーカス・バスケスの出したパスをビニシウスが決めて、2点目を挙げると、その3分後にはロドリゴが風のようにピッチを疾走。一旦、ビニシウスに送った後、「調子の悪い時に励ましてくれた監督のため、tenía la obligación de marcar y darle las gracias/テニア・オブリガシオン・デ・マルカル・イ・ダールレ・ラス・グラシアス(ボクにはゴールを決めて、彼に感謝する義務があった)」彼が、戻してもらったボールをvaselina(バセリーナ/ループシュート)で3点目にしてしまうのですから、まさにこれぞ、Reyes de Europa(レジェス・デ・エウロッパ/ヨーロッパの王者)の本領発揮?
その後のマドリーは省エネローテーションに入り、モドリッチやカルバハル、ホセルらが途中出場。更にはカンテラーノのニコ・パスのデビューもあったんですが、3-0の余裕の結果でも、待望の18才の新戦力、ギュレルはまだ日の目を見ることはできず。まあ、この勝利で4連勝となり、CLグループ突破も決まったことですし、土曜にはまた、ベルナベウで午後9時からバレンシア戦が待っていますからね。ギュレルのプレーを見られる日もそう、遠くないかと思いますが、ちなみにブラガ戦の前に太ももをケガしたケパは全治2~3週間となり、当面、マドリーのゴールはルニンが守ることに。その他ではチュアメニ、セバージョスらがまだリハビリ中で、ベリンガムの出場はまたしても肩の具合次第となるようです。
え、前節のラージョ戦で引分けて、勝ち点2差でジローナに単独首位を奪われてしまったマドリーは逆に今週末、その弟分の援護射撃を期待することになるんじゃないかって?その通りで同じ土曜の午後2時から、フランシスコ監督のチームがエスタディオ・バジェカスに迎えるのがまさにそのジローナなんですよ。今回、注目されているは兄弟分ダービーを欠場したバリウの代わりを務め、ビニシウスを抑え込んだラティウ。もうバリウも回復しているため、アルバニア代表とルーマニア代表選手の間で熾烈な右SBのポジション争いが勃発とはなかなか、渋くない?
しかも現在、9位のラージョは8位のバレンシアと同じ勝ち点で、コンフェレンスリーグ出場圏の7位まで1ポイント、EL出場圏の6位まで2ポイントと、マドリーとは互いに持ちつもたれつの関係。ウィンウィンの結末になれば、マドリッドのサッカーファンには願ってもないことになりますが、そうそう、土曜には両者の間の時間帯にヘタフェもグラナダとのアウェイ戦に臨むことに。ボルダラス監督のチームは例の10人で勝ったカディス戦のおかげで、6試合白星なし(5分け1敗)から、6試合黒星なし(1勝5分け)に進化したばかりですが、相手は前節バレンシア戦でトレンテの手が顔に当たった、ヘタフェ出身のウーゴ・ドゥーロがエリア内で大袈裟にリアクション。
それでPKを取られて1-0と負け、パコ・ロペス監督が怒り心頭に達しているだけでなく、先週ミッドウィークのコパ1回戦でも0-3で勝ちながら、Bチーム所属のGKアドリアン・ロペスが「プロの大会ではないコパに出ていい下部組織の選手は23才まで」という規定に反する24才でプレーしたため、不適切出場で失格敗退になってしまったんですよ。一応、上訴委員会に申し立てはしているんですが、見込みは薄いとあって、こうまで不運の続くチームともなると、却ってやりづらいかも。ただ、ヘタフェもジェネが出場停止となるものの、グラナダは降格圏の19位ですし、何よりこの13節が終われば、11月の各国代表戦週間に突入。その2週間を気分良く過ごすためにも是非とも勝って、3ポイント差で上にいる弟分仲間に近づきたいところですが、果たしていい結果をマドリッドに持って帰ることはできるのでしょうか。
その傍らでCL今節終了時にはすでに6チームがグループ突破を確定。ええ、比類なき14回の優勝を誇るお隣さんや1位突破まで決まったバイエルンはともかく、他のスペイン勢でも久保建英選手のいるレアル・ソシエダが水曜にベンフィカに3-1と勝ち、同組のインテルとダブルフィニッシュして、昨季王者のマンチェスター・シティ、ライプツィヒらと共に残り2節で1位争いをすることに。来年もCL戦が見られることになったクラブのファンを羨みつつ、もちろん、ロンドンでアーセナルに2-0と負け、ここまでたったの2ポイント。決勝トーナメント進出の奇跡を起こすにはPSVとランスに連勝するしかなくなったセビージャよりは全然、ましではありますけどね。
実際、アトレティコの場合、ここ6試合勝っていないCLアウェイゲームの次節、フェイノールト戦に負けたりすれば、いくら最終節のラツィオ戦が無敵のメトロポリターノ開催といっても絶対、大丈夫とは言い切れず。今季はもう4位敗退こそ、あり得ませんが、万が一、3位でELに回るようになった時、先走りを責められるリスクを負うより、シメオネ監督の契約延長発表はグループ突破が確定した後でも良かったような気がしないでもありませんが…ま、丁が出ても半が出ても、アトレティコの指揮官はここ11年、毎シーズン、4位以上を保って、チームをCLの常連まで育てあげてくれた彼以外、選択肢はなし。となれば、再び決勝トーナメントで高みに達するシーズンの前祝いと受け止めるのがいいのかもしれません。
ええ、グラスゴーでは眠ったままピッチに立ち、古橋亨梧選手に4分に先制弾を浴びたのをリベンジするが如く、スタートから、がんがん行っていたリケルメがエリア外右から入れたクロスはマクレガーに頭でクリアされてしまったものの、そのボールを拾ったグリーズマンがシュート。これがカーター・ビッカーズに当たって軌道を変え、GKハートを破ってくれたため、完全に冬モードに入ったマドリッドの平日午後9時の寒さに堪えながら、スタンドで応援していたファンたちもすぐに心が温かくなることに。ただ、そのままでは常に同点にされることを恐れる展開になりかねなかったんですが、まさか、運も味方くれるとはねえ。
というのも23分にエルモーソと前田大然選手がボールを争い、いえ、「両者は互いにタックルを掛け合っただけ」(ブレンダン・ロジャース監督)という見解もあるんですけどね。イエローカードを後者に出した主審がVAR(ビデオ審判)に呼ばれ、モニターを見た後、カードの色を変更。前田選手が早々に退場となってしまったからですが、え?弟分のヘタフェはまさに前日の月曜、カディス戦でジェネを失い、後半丸々10人で戦いながら、セットプレーを利用して、マジョラルのゴールで1-0と勝っていなかったかって?
まあ、そういうレアなケースもありますが、この日のアトレティコは数的優勢になった後も「股抜きみたいなおバカなことをせず、jugar como si estuvieras 0-0/フガール・コモ・シー・エストゥビモス・セロ・セロ(0-0の時のようにプレーする)」(グリーズマン)という姿勢を崩さず。おかげで何度かシュートの失敗はあったものの、前半ロスタイムにはCKから始まったプレーでグリーズマンがエリア内にクロスを入れると、ヒメネスが頭で落とし、モラタが合わせて、ハーフタイム前に2点目をゲットしてくれたとなれば、もう大船に乗った気になっていい?
いやあ、実のところ、最後は空母に乗っているようなもんでしたね。後半頭から、バリオスをマルコス・ジョレンテに代え、更に攻撃力をアップさせたアトレティコは15分にゴール祭りを再開。ジョレンテのクロスをジョンストンがヘッドでクリアしたボールをグリーズマンがsemichilena(セミチレナ/シザーズシュート)で決め、3点目を奪ったところで、故ルイス・アラゴネス監督の持つ、アトレティコ最多得点記録まであと5つに迫った当人はリケルメと共にお役御免となったんですが、代わって入ったサムエル・リノ、サウールも燃えていました。何せ、前者は10月21日のセルタ戦で負傷して、3試合お休みしている間に左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)のポジションにリケルメが定着しつつあるのをその日もベンチから、しっかり目撃していましたからね。
シメオネ監督にアピールすべく、21分にはコケが撃ったシュートが敵に当たって転がったボールを拾い、弾丸シュートでgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。更には31分にもジョレンテのパスを胸で落とし、モラタが自身、この試合2得点目となるゴールを決めるアシストもして、39分にもvolea(ボレア/ボレーシュート)を放ち、いえ、これは狙いが外れて、ゴール右前にいたサウールへのパスになってしまったんですけどね。先日、第2子の長男、エンソ君を家に迎えたばかりのカンテラーノ(下部組織出身の選手)は最初は蹴り損ねながら、2度目のトライでゴールをマーク。とうとう6-0という、もう1つの弟分、ラージョがコパ・デル・レイ1回戦でルゴネス(RFEF3部/実質6部)相手に勝ったのと同じスコアになってしまうんですから、凄まじい。
うーん、ロジャース監督も「まだウチはアトレティコのレベルにはない。10人なら尚更だ」と言っていた、このゴール祭り状態には3000人以上が応援に来て、キックオフ前は大いに気勢を上げていたセルティックファンも4点目が入った頃から席を立ち始め、ビジター区画はガラガラに。6点目の後は早帰りするアトレティコファンもかなりいたんですけどね。得意のホームであったことと、選手たちのゴールスイッチが入ってくれたのが幸いしたかと思いますが、これでモラタも今季14試合12得点。となれば、シメオネ監督が「No podemos exigirle menos/ノー・ポデモス・エクシヒールレ・メノス(今より下の要求はできない)」と、シーズン18得点を彼に課したのを正当化するのも当然だった?
この試合のMVPに輝いたグリーズマンについても、「Yo estaba convencido de que había nacido para jugar en el Atlético/ジョー・エスタバ・コンベンシードー・デ・ケ・アビア・ナシードー・パラ・フガール・エン・エル・アトレティコ(アトレティコでプレーするために生まれてきたと、自分は確信していた)」とシメオネ監督は言っていましたが、ええ、お隣さんにはよくありますよね。マドリーでプレーするために生まれてきた選手とかって。いやあ、そちらにはあまり違和感を抱かなかった私ですが、それがアトレティコとなると、世間的にどう思われるのか、少々気になってしまうんですが、まあそれはそれ。
今はホーム16連勝の虎の威を借りて、木曜にELマッカビ・ハイファ戦で紛争中のイスラエルを避け、代替地のキプロスで1-2と逆転勝ち。とりあえず、セティエン監督を継いでから、8試合で2勝3分け3敗と振るわず、危なくなっていたクビが繋がったパチェタ監督のチームを迎える、日曜午後9時(日本時間翌午前5時)のビジャレアル戦でも快勝してくれたらと。ええ、早いところ、ラス・パルマスに負けて遅れを取ったリーガ上位争いで、挽回しておくに越したことはありませんって。
そして水曜はマドリーの番で、サンティアゴ・ベルナベウでのCLスポルティング・ブラガ戦には、近いだけあって、4000人以上のポルトガル人ファンが集結。これがまた同日、サンセバスティンに乗り込んだベンフィカのウルトラたちがレアル・ソシエダの同類と街中で大暴れしたり、レアル・アレナのスタンドから何本もbengala(ベンガラ/発煙筒)を投げ込んで、逮捕者が出たりしたのと対照的で、ブラガのファンはチームが負けていようが、大差がつこうが、ずっとフォンド・ノルテ(北側ゴール裏)の最上階スタンドから、応援を途切らせず。
もちろん、開始4分にルーカス・バスケスがボルハをエリア内で倒してゲットしたPKをジャロが、アップ中にケパが負傷し、急遽先発を任されたGKルニンに弾かれてしまったのはショックだったでしょうけどね。前半11分にはリーガ前節、ラージョとの兄弟分ダービーで肩を脱臼したベリンガムの代わりを務めるブライムにシュートを決められながら、事前のビニシウスのファールで得点とならず。それもブラガファンにとっては、27分に今度はロドリゴの折り返しパスをブライムが再びゴールに入れ、マドリーが先制点を挙げるまでの束の間の気休めに過ぎなかったんですが、後半にはいよいよ、アンチェロッティ監督のチームが得意の必殺カウンターを発動させることに。
まずは13分、敵エリアまで上がったルーカス・バスケスの出したパスをビニシウスが決めて、2点目を挙げると、その3分後にはロドリゴが風のようにピッチを疾走。一旦、ビニシウスに送った後、「調子の悪い時に励ましてくれた監督のため、tenía la obligación de marcar y darle las gracias/テニア・オブリガシオン・デ・マルカル・イ・ダールレ・ラス・グラシアス(ボクにはゴールを決めて、彼に感謝する義務があった)」彼が、戻してもらったボールをvaselina(バセリーナ/ループシュート)で3点目にしてしまうのですから、まさにこれぞ、Reyes de Europa(レジェス・デ・エウロッパ/ヨーロッパの王者)の本領発揮?
その後のマドリーは省エネローテーションに入り、モドリッチやカルバハル、ホセルらが途中出場。更にはカンテラーノのニコ・パスのデビューもあったんですが、3-0の余裕の結果でも、待望の18才の新戦力、ギュレルはまだ日の目を見ることはできず。まあ、この勝利で4連勝となり、CLグループ突破も決まったことですし、土曜にはまた、ベルナベウで午後9時からバレンシア戦が待っていますからね。ギュレルのプレーを見られる日もそう、遠くないかと思いますが、ちなみにブラガ戦の前に太ももをケガしたケパは全治2~3週間となり、当面、マドリーのゴールはルニンが守ることに。その他ではチュアメニ、セバージョスらがまだリハビリ中で、ベリンガムの出場はまたしても肩の具合次第となるようです。
え、前節のラージョ戦で引分けて、勝ち点2差でジローナに単独首位を奪われてしまったマドリーは逆に今週末、その弟分の援護射撃を期待することになるんじゃないかって?その通りで同じ土曜の午後2時から、フランシスコ監督のチームがエスタディオ・バジェカスに迎えるのがまさにそのジローナなんですよ。今回、注目されているは兄弟分ダービーを欠場したバリウの代わりを務め、ビニシウスを抑え込んだラティウ。もうバリウも回復しているため、アルバニア代表とルーマニア代表選手の間で熾烈な右SBのポジション争いが勃発とはなかなか、渋くない?
しかも現在、9位のラージョは8位のバレンシアと同じ勝ち点で、コンフェレンスリーグ出場圏の7位まで1ポイント、EL出場圏の6位まで2ポイントと、マドリーとは互いに持ちつもたれつの関係。ウィンウィンの結末になれば、マドリッドのサッカーファンには願ってもないことになりますが、そうそう、土曜には両者の間の時間帯にヘタフェもグラナダとのアウェイ戦に臨むことに。ボルダラス監督のチームは例の10人で勝ったカディス戦のおかげで、6試合白星なし(5分け1敗)から、6試合黒星なし(1勝5分け)に進化したばかりですが、相手は前節バレンシア戦でトレンテの手が顔に当たった、ヘタフェ出身のウーゴ・ドゥーロがエリア内で大袈裟にリアクション。
それでPKを取られて1-0と負け、パコ・ロペス監督が怒り心頭に達しているだけでなく、先週ミッドウィークのコパ1回戦でも0-3で勝ちながら、Bチーム所属のGKアドリアン・ロペスが「プロの大会ではないコパに出ていい下部組織の選手は23才まで」という規定に反する24才でプレーしたため、不適切出場で失格敗退になってしまったんですよ。一応、上訴委員会に申し立てはしているんですが、見込みは薄いとあって、こうまで不運の続くチームともなると、却ってやりづらいかも。ただ、ヘタフェもジェネが出場停止となるものの、グラナダは降格圏の19位ですし、何よりこの13節が終われば、11月の各国代表戦週間に突入。その2週間を気分良く過ごすためにも是非とも勝って、3ポイント差で上にいる弟分仲間に近づきたいところですが、果たしていい結果をマドリッドに持って帰ることはできるのでしょうか。
|