コパで波乱は起きなかった…/原ゆみこのマドリッド

2023.11.03 21:30 Fri
©Atlético de Madrid
「ホント、ケガ人が出なくて良かったわ」そんな風に私が同意していたのは木曜日、マドリッド勢が前日にプレーしたコパ・デル・レイ1回戦のハイライトを見ていたところ、レガネスがジェベネンセ(RFEF3部/実質5部)と試合したビセンテ・サンス・デ・ドン・ベニトのピッチがあまりにも悲惨。ボコボコな上、芝のない部分も沢山あって、2部の首位チームを迎えるのにまったく相応しくないのに気がついた時のことでした。いやあ、カテンゴリーがかなり下のチームと1部、2部のチームが当たるこのラウンドでは時々あるんですが、どうやら相手のホームスタジアムはサッカー協会のコパ会場基準を満たせず。そこでわざわざ地元から100km離れたバダホス(スペイン南部)にある、同じRFEF3部のドン・ベニトのスタジアムを借りたらしいんですけどね。

試合の方は、柴崎岳選手がいた昨季は1回戦で伏兵ゲルニカ(RFEE2部/実質4部)にコロッとやられてしまったレガネスだったんですが、それを教訓にしたか、ジェベネンセにはニヨムとラロのゴールで0-2と手堅く勝利。同じ水曜正午から、ナバルカルネーロ(REFE2部)とのマドリッド近郊ダービーで0-1と勝った、2部でも降格圏で苦戦中のアルコルコンより、ややゆとりあるスコアだったんですが、出場した選手もニヨム以外、ほとんど控え組でしたからね。両者共、日曜にプレーする相手、カルタヘナとラシン・サンタンデールがコパでPK戦までもつれ込み、ようやく勝ち抜けたなんてこともありましたし、ミッドウィークの試合がリーガでの歩みを妨げないことを祈っていますが、さて。

一方、やはりハロウィンの翌日、スペインでは諸聖人の祝日である水曜の正午の時間帯を割り当てられた1部の弟分、ラージョはルゴネス(地方リーグ1部/実質6部)を相手に思う存分、格の違いを見せつけることに。ええ、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は前半8分から始まって、デ・フルートのゲットしたPKをファルカオが決めて先制。16分にもファルカオは全盛時を思い起こさせるような、エリア内右からファーサイドに突き刺さるシュートで2点目を挙げ、40分にはカメージョも続いたため、これでラージョのCFで今季まだ得点を挙げていないのはRdT(ラウール・デ・トマス)だけになったんですが、もしやフランシスコ監督もゴール癖をつけるためだけでも、彼をこの遠征に連れて来るべきだった?
後半はリーガでここ2試合、後半ロスタイムのゴールで勝ち点4を稼いでくれたベベが見せ場を作り、17分に直接FKを決めた後、33分にもゴールを挙げて、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成。その間にラティウも加点したため、アルバロ・ガルシアやイシ、オスカル・バレンティンら、レギュラーたちが出なくても、0-6という大勝になったんですが、いや、これ、半分ぐらい、日曜の兄弟分ダービーにとっておいた方が良かった?でもねえ、実は夜の部にはもっと凄いゴール祭りがあったんですよ。

それはもう1つの1部の弟分ヘタフェで、こちらもタルディエンテ(地方リーグ/実質6部)がホームスタジアムを使えず、代替会場でプレーしたんですが、ツイていましたね。というのも2部のウエスカのホーム、エル・アルコラスを借りてくれたため、ピッチにまったく問題なかったから。そのおかげもあったか、前半7分、スタメンに抜擢されたカンテラーノ(ヘタフェBの選手)のジョン・パトリックがトップチーム初得点で先陣を切ると、後はもう五月雨のようにゴールが入りだしたから、ビックリしたの何のって。その凄まじさはグリーンウッドとボルハ・マジョラルが2本ずつ、オスカル・ロドリゲスなどハットトリック、更にロサーノ、ドゥアルテ、ラタサ、ホルヘ・マルティンが各自1本ずつと、もうとてもいちいち伝えていけない程で、とうとう最後は0-12という、凄い結果になっていましたが、幾ら5つもカテゴリーが違うからって、こうまで大差がつくのも珍しい。
うーん、リーガではここ5試合連続引分けとなっているヘタフェだけに、それこそこのゴール力を分散できるものなら、来週月曜のカディス戦、土曜のグラナダ戦に勝つのに十分じゃないかと思ったものでしたけどね。その夜にはベティスもエルナン・コルテス(実質6部)相手に1-12で勝っていたんですが、さすが失点が二桁にもなると、相手チームが気の毒にならなくもなし。とはいえ、ヘタフェにとって、景気づけになったのは確かで、ええ、前節マジョルカ戦でようやく長期リハビリから復帰したルイス・ミジャもその日はフル出場できましたしね。折しもアランバリがヒザの靭帯と半月板の負傷で今季絶望なってしまったため、ミジャが中盤に加わってくれるのは、ボルダラス監督も有難いんじゃないかと。

その上、カディスはコパで得点できず、延長戦、PK戦を経て、ようやく勝ち上がったとなれば、さすがに木曜にはコパ2試合を延期させた大型低気圧による強風、大雨も収まっているでしょうしね。ファンも安心して、コリセウムに応援に行くことができるかと思いますが、とりあえず、コパ1回戦では試合に勝ちながら、不適格出場の選手がいて、敗退させられそうなグラナダを除き、出場した1部16チーム中15チームが無事2回戦に進出。12月最初のミッドウィークに行われる2回戦の組み合わせ抽選は来週火曜にあるんですが、延期試合のせいで、こちらも繰り延べになる可能性があるようです。

え、それよりスペイン・スーパーカップ出場でコパが年明けの32強対決まで免除されているマドリッドの兄貴分たちの方が気になるって?いやあ、レアル・マドリーもアトレティコもこの悪天候の中、週末のリーガ戦の準備を進めているんですが、何せ、後者はラス・パルマスとの試合が金曜午後9時(日本時間翌午前5時)ですからですからね。すでに木曜夕方にはカナリア諸島に向けて出発していましたが、実は今回、日程的に有利なのはシメオネ監督のチームの方で、相手は火曜にマジョルカ島で地元出身のテニスプレーヤーの大御所、ラファ・ナダルが始球式をしたマナコル(RFEF3部)戦をプレー。順当に0-3で勝っていましたが、中2日とあって、少しは疲れが残っているかも。

まあ、相手はリーガ10位の中堅チームですから、9月16日のバレンシア戦に負けて以来、リーガ6連勝。この試合に勝てば、束の間でもお隣さんとジローナを抜いて、首位立てるところまで来ているアトレティコをそんなに心配する必要もないんですが、今週は月曜にシメオネ監督の代理人、妹のナタリアさんがメトロポリターノを訪れ、契約延長の交渉を開始。少なくともあと2、3年は現行体制が続いてくれそうなのは朗報だったかと。ちなみにチームの方は前節のアラベス戦から変化はなく、サムエル・リノ、メンフィス・デパイ、レマル、レイニウドはまだ遠征には参加できず。前日演習では仮想スタメンでサウールがバリオスに代わっていたそうですが、モラタとグリーズマンが同じ調子を維持していてくれれば、まあ、問題はないかと。11月の各国代表戦前の3連戦、来週火曜のCLセルティック戦、日曜のビジャレアル戦まで、白星街道が続いてくれることを期待しています。

そして日曜午後9時にサンティアゴ・ベルナベウにラージョを迎えるマドリーは今週、月曜にはベリンガムとビニシウスがパリでのバロンドール授賞式に出席。それぞれ、コパ賞(若手最優秀選手)、ソクラテス賞(社会貢献した選手に与えられる賞)と、本命を受賞した訳ではないんですが、今週は日程的に余裕がありますからね。ただ、ビックリさせられたのは女子バロンドールを受賞したアイタナ・ボンマティ(バルサ)と3位だったチームメートのサルマ・パラジュエロで、ドレスアップして、セレモニーに参加した2人は翌日にスペイン女子代表のネーションズリーグ、スイス戦を控える身。翌朝、チューリッヒに戻り、午後7時からの試合で先発した上、チームも1-7の大勝というのはどう考えても尋常ではありませんが、まあ、それはそれ。

マドリーに話を戻すと、やはり今週はピッチ外の話題の方が多くて、水曜にはビニシウスが2027年まで契約を延長。翌日にはロドリゴが2028年まで延長して、いえ、もう交渉はとうの昔に終わっていたようなんですけどね。公式発表が今になったというだけですが、ファンにとっては嬉しいニュースだったかと。ちなみに水曜から再開されたバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習では、前節のクラシコ(伝統の一戦)で途中交代したメンディが軽度の筋肉痛と言われながら、木曜になってもまだグラウンドに姿を見せず、日曜までに回復するかは微妙なところ。

間に合わなければ、またアンチェロッティ監督は左SBのスタメンを本職でないカマビンガか、古巣に恩返しをしたいと今回、大いに燃えているはずのフラン・ガルシアで迷うことになりますが、モンジュイックでのバルサ戦で中足骨にヒビが入ったチュアメニも全治6~8週間としばらく出られませんからね。まだセバージョスが回復したという報も聞かないため、来週水曜のCLスポルティング・ブラガ戦、土曜のバレンシア戦辺りまでは、中盤をバルベルデ、クロース、モドリッチ、そしてカマビンガで回すことになりそうな。この夏、フエルネバフチェから移籍して以来、負傷が続き、まだデビューしていない18才のMF、ギュレルのプレーもそろそろ見られたら嬉しいんですけどねえ。チーム練習にはもうしばらく前から加わっていても、まだなんでしょうか。

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