まだコパがないのは助かる…/原ゆみこのマドリッド
2023.10.31 21:30 Tue
「珍しく立場が逆転ね」そんな風に私が不思議な気分を覚えていたのは月曜日、ヘタフェ広報のグループチャットでボルダラス監督の試合前日記者会見が火曜の練習後にあるというお知らせを見た時のことでした。いやあ、通常のミッドウィークで忙しいのはCLグループリーグがあるマドリッドの兄貴分チームたちの方で、アンチェロッティ監督やシメオネ監督の会見を週に何度も見ることは珍しくないんですけどね。コパ・デル・レイ1回戦の行われる今週に限っては、来年1月にサウジアラビアで開催されるスペイン・スーパーカップに出場するレアル・マドリーとアトレティコはバルサ、オサスナ共々、年明けの32強対戦まで、コパの参戦は免除。
おかげでマドリーは土曜のクラシコ(伝統の一戦)の後、日月火の3日間を休養日にして、いえまあ、ベリンガムなど、月曜にはバロンドールの表彰式でコパ賞(21才以下の最優秀選手賞)を受け取るため、パリ遠征しないといけないとあって、丁度、良かったりするんでしょうけどね。実は大変だったのは女子バロンドール受賞のアイタナ・ボンマティ(バルサ)で、この夏にあった女子W杯でも大会MVPとなった彼女は現在、スペイン代表の合宿中。火曜にネーションズリーグのスイス戦を控え、日曜に移動したチューリッヒから、表彰式に日帰り参加って、これってやっぱり、女子サッカーは男子程、都合を考慮してもらえないってこと?
その一方でフランス・フットボール誌の各賞とはまったく縁のないアトレティコは日曜にアラベス戦を済ませた後、月曜にリハビリトレをして、火曜だけ、お休みすることに。これはマドリーが日曜の兄弟分ダービー、ラージョ戦まで試合がないのに対して、シメオネ監督のチームは滅多にない金曜試合、ラス・パルマス戦を割り当てられてしまったせいですが、先を見ると、どちらがいいという訳ではなく、ええ、来週にはまたCLグループリーグ4節がありますからね。要は火曜にメトロポリターノにセルティックを迎えるアトレティコは中3回、水曜にサンティアゴ・ベルナベウにスポルティング・ブラガを迎えるマドリーは中2日での対戦となるため、早くもグループ突破が決まりそうなお隣さんとは違い、アウェイで勝てないため、ホーム必勝が求められるアトレティコには良かったりする?
ちなみに今週のコパ1回戦をプレーする弟分チームたちの予定を一応、伝えておくと、1部2チーム、2部2チーム全部が何故か皆、水曜開催となっていて、ラージョはルゴネス(地方リーグ1部/実質6部)と、ヘタフェはタルディエンテ(同)とプレーするため、それぞれ、オビエド、ウエスカ方面に遠征。2部では、この日曜にもビジャレアルBにセルヒオ・ゴンサレスのヘッドで1-0と勝利。2位のエイバルに勝ち点3差をつけての首位をキープしているレガネスはジェベネンセ(RFEF3部/実質5部)戦で遥々、バダホスまで移動しないといけないことに。それとは真逆で先週末もオビエドに2-0で負け、20位と降格圏に沈んでいるアルコルコンだけは、マドリッド近郊のナバルカルネーロ(RFEF2部/実質4部)戦と近場なんですが、こちらは下手にコパにかまけていると、せっかく最短UターンしたRFEF1部に逆戻りする破目になりかねず。今季は適度なところで敗退しておく方が、先々のためになるかもしれませんね。
え、それより先週末のクラシコがどうだったのかの方が気になるって?そうですね、土曜は立ち見だけは避けたかったため、お昼を食べながら待っていればいいかと、キックオフ1時間前に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に入った私だったんですが、どうやら誰しも考えることは同じだったよう。すでにテーブル席には空きがなく、かろうじて、TVの見えるカウンターに座れて助かったという感じだったんですが、ランチメニューのグループが食後酒をたしなんでいる頃、モンジュイックで始まったバルサ戦では早々にマドリーの序盤失点癖が発現してしまったんですよ。
ジョアン・フェリックスこそ、大した見せ場はなかったものの、20才のフェルミンのシュートがポストを直撃したり、19才のガビが体格差の激しいベリンガムやチュアメニを止めようと、鬼のように挑みかかっているのを見せられると、少々、不安が沸かなくもなかったんですが、大丈夫。何とか前半を1-0のままで凌ぎ、後半5分のアラウホの至近距離シュートもケパがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いだマドリーは7分、筋肉痛でメンディがカマビンガに交代したことが転機に。18分にはそこにクロース、ロドリゴと代わったモドリッチとホセルが加わって、ようやく試合の主導権を握ることができたんです!
ただ、23分に決まった同点ゴールはチームプレーからというより、ギャラクティコ移籍のベリンガムの類い稀な才能のおかげだったんですけどね。そう、「ここ数週間、エリア外から撃ってみるべきだと思っていた。敵はそれを予想していないから、サプライズになるしね」という当人が右脚を一閃。そのミドルシュートがGKテア・シュテーゲンを破り、マドリーは同点に追いついたんですが、この時のベリンガムはお馴染みの両手を広げるお祝いポーズを見せず、すぐリスタートの位置に。実際、それにはアンチェロッティ監督も「Parece un veterano, está claro que el objetivo era ganar/パレセ・ウン・ベテラーノ、エスタ・クラーロ・ケ・エル・オブヘティーボ・エラ・ガナール(ベテラン選手のようだった。もちろん、目指すは勝利だからね)」と後で感心していたんですけどね。
その後はバルサも前日、負傷のリハビリからチーム練習に電撃復帰したレバンドフスキ、同じくケガが治ったラフィーニャ、16才のジャマルなど、攻撃陣を入れ替えてきたんですが、勝ち越し点を奪うことは叶わず。そうこうするうち、マドリーの大好きな後半ロスタイムが到来し、ええ、チャビ監督も「ウチは勝つに値したが、si perdonas al Real Madrid, pasan estas cosas/シー・ペルドナス・アル・レアル・マドリー、パサン・エスタス・コーサス(マドリーには止めを刺さないと、こういうことが起こる)」と後悔していたんですが、またしてもベリンガムがやってくれたんですよ。そう、カルバハルが右サイドから入れたクロスをモドリッチはコントロールに失敗してしまったものの、そのボールが丁度、ゴール前に到着した20才のイギリス人選手の前に。
もちろん、後は押し込むだけですから、失敗するはずもないんですが、当人は後日、「誰もがボクは簡単なシュートばかり決めていると言うけど、他の皆が止まっている時、自分は動いて、チャンスを作っている。それをまたやった結果の2点目だ」と説明していたんですが、このゴールでとうとうマドリーは逆転に成功。いやあ、その後には前半にもファールを取ってもらえないことに抗議して、チャビ監督に顔を両手で挟んで宥められていたビニシウスがスタンドの野次にエキサイト。最後の最後にルーカス・バスケスと交代となった時もアンチェロッティ監督が手を引いて、ベンチに戻さないといけないぐらいだったんですが、それも1-2で宿敵に勝ったとなれば、些細なことに過ぎないかと。
おかげで前日、セルタに勝ったジローナに勝ち点で並び、首位を取り戻した上、バルサとの差を4ポイントに増やしたマドリーでしたが、試合後にはチュアメニの左足中足骨にヒビが入り、全治6~8週間のケガをしていたことが判明。これはガビとの接触プレーのせいではないと選手自身が言っていたんですが、まあ、中盤はそれでなくても頭数オーバーですからね。おかげでクラシコをベンチスタートしたカマビンガやモドリッチらに先発のチャンスが増えるのも悪くないかと思いますが、そうそう、土曜の続く時間帯にマジョルカ戦に挑んだヘタフェはスコアレスドローで終了。
さすがに私もその試合までバルに居座ると、5時間近くいることになるため、観戦は遠慮したんですが、これでもうボルダラス監督のチームは5連続引分けですからね。とりあえず、その試合の終盤には長期リハビリをしていたルイス・ミジャもようやく復帰できたのは朗報でしたが、順位は12位とそんなに悪くないものの、水曜のコパは言わずもがな、来週月曜のホームゲーム、カディス戦ではそろそろ、ファンに白星をプレゼントしてあげられるといいのですが…。
そして翌日曜、ここ数日、強風とにわか雨に見舞われていたマドリッドには午後からずっと雨の予報が出ていた中、私はエスタディオ・バジェカスへ。幸い、レアル・ソシエダ戦の間は降ってこなかったんですが、背中から冷たい風が吹きつけて、ニット帽を持ってこなかったことを激しく後悔することに。試合の方は前半30分、ルジューヌのFKはGKレミロに弾かれてしまったものの、出場停止から戻ったムニンが蹴り込んで、自身ラージョ初ゴールで先制点をゲット。でもねえ、そこは先週もCLベンフィカ戦で勝利して、グループ首位と自信を高めている相手だけあって、38分には久保建英選手のシュートがゴールバーを直撃した後、40分にはベルネチェアのクロスをオジャルサバルにvolea(ボレア/ボレーシュート)で決められ、1-1でハーフタイムに入ります。
更に後半、ラージョは不運に襲われて、20分には久保選手のクロスがすぐ前にいたエスピーノの腕に当たり、それがエリア内であったことから、審判はペナルティを宣告。このPKもオジャルサバルが沈め、リードされてしまったんですが、この弟分にもベリンガムみたいな選手がいたんですよ。それはピッチのどこにいてもボールを持つ度、スタンドから、「Tira, tira!/ティラ(撃て)」と声のかかるベベで、ええ、この日もカメージョ、ファルカオが入った後、40分に最後の弾丸として、RdT(ラウール・デ・トマス)と交代で出場したんですけどね。
それがロスタイム1分、エリア外から撃って、同点ゴールを決めてしまったから、どんなにファンが沸いたことか。いえ、前節ラル・パルマス戦での彼の土壇場ゴールはPKによるもので、その時はそれが決勝点となって、ラージョは0-1で勝利したんですけどね。この日は2-2の引き分けで、勝ち点1をもぎ取るだけになりましたが、ほぼ負けかけていたことを考えると、コパの後、サンティアゴ・ベルナベウに兄貴分を訪ねないといけない選手たちには自信になったかと。ただ、フランシスコ監督のチームはその先も2位のジローナ、そして11月の各国代表戦明けにはバルサをホームに迎えるという、上位勢との対戦が続くため、今は5位のソシエダと勝ち点2差の8位とはいえ、早いところ、RdTやカメージョがゴールを取り戻してくれないと、ちょっと辛くなるかもしれませんよ。
一方、ようやくメトロ1号線も復旧したため、バジェカスを出て、すんなり移動できたメトロポリターノで開催されたアラベス戦でアトレティコはどうだったかというと。いやあ、これが先週のCLセルティック戦で負傷中のサムエル・リノの代役として、左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)のスタメンを務めたハビ・ガランが見事に撃沈。その試合の後半からピッチに入り、この日はとうとう先発に抜擢されたリケルメが大張り切りでねえ。開始5分もしないうちにシュートを放ち、GKシベラに弾かれていたんですが、とうとう27分にはモラタからラストパスをもらい、ゴロサベルをかわして、先制点を奪ってくれるとは何とも成長著しい。
おまけに前半ロスタイムにはコケが自陣から放ったロングボールにモラタも反応。それまで何度か失敗していたヘッドではなく、セドラルをかわしてのシュートで2点目を入れてくれたとなれば、ええ、下位のアラベスとは明らかに実力差がありましたしね。後半はルイス・ガルシア監督に、「Nos ha dicho que como siguiéramos así nos íbamos a llevar cinco/ノス・ア・デッチョー・ケ・コモ・シギエラモス・アシー・ノス・イバモス・ア・ジェバール・シンコ(このままだったら、5点は喰らうぞと言われた)」(ドゥアルテ)アラベスも多少は持ち直したんですが、アトレティコは26分にグリーズマンが3点目をゲット。それがラストパスを出したジョレンテが敵陣を上がる途中、しがみついてきたドゥアルテの顔にdoble codazo/ドブレ・コダソ(2度の肘打ち)を見舞っていたとVAR(ビデオ審判)注進で発覚し、スコアに挙がらなかったせいでケチがついたんでしょうか。
守備陣をモリーナ、エルモーソから、アスピリクエタ、そしてようやくふくらはぎのケガから復帰していきたヒメネスに代えてリフレッシュしながら、後半ロスタイム5分、ハジのアシストでゲバラに1点を返されてしまったんですが、大丈夫。そのまま2-1で逃げ切って、ホームゲーム15連勝のクラブ最多記録をしっかり更新してくれたとなれば、その日も最後は選手たちの場内一周で終わったのは当然だった?
何せこれでモラタも今季、スペイン代表戦と合わせて、17試合13得点とかなり長いこと、ゴールづいていますからね。リーガではまだ6ゴールと、クラシコで二桁に乗せたベリンガムとは差がありますが、チームもバルサを抜いて、3位に上昇。暴風雨警報で延期となったセビージャ戦の分、1試合少ない状態でお隣さんと勝ち点3差状態も維持しているため、金曜のラル・パルマス戦で勝てば、ジローナとマドリーがそれぞれ12節を終えるまで、ほんの短い時間でも首位に立てるかも。まあ、とりあえず今はこの好調を維持して、11月の3連戦をしっかり乗り切ってくれればいいんじゃないでしょうか。
おかげでマドリーは土曜のクラシコ(伝統の一戦)の後、日月火の3日間を休養日にして、いえまあ、ベリンガムなど、月曜にはバロンドールの表彰式でコパ賞(21才以下の最優秀選手賞)を受け取るため、パリ遠征しないといけないとあって、丁度、良かったりするんでしょうけどね。実は大変だったのは女子バロンドール受賞のアイタナ・ボンマティ(バルサ)で、この夏にあった女子W杯でも大会MVPとなった彼女は現在、スペイン代表の合宿中。火曜にネーションズリーグのスイス戦を控え、日曜に移動したチューリッヒから、表彰式に日帰り参加って、これってやっぱり、女子サッカーは男子程、都合を考慮してもらえないってこと?
その一方でフランス・フットボール誌の各賞とはまったく縁のないアトレティコは日曜にアラベス戦を済ませた後、月曜にリハビリトレをして、火曜だけ、お休みすることに。これはマドリーが日曜の兄弟分ダービー、ラージョ戦まで試合がないのに対して、シメオネ監督のチームは滅多にない金曜試合、ラス・パルマス戦を割り当てられてしまったせいですが、先を見ると、どちらがいいという訳ではなく、ええ、来週にはまたCLグループリーグ4節がありますからね。要は火曜にメトロポリターノにセルティックを迎えるアトレティコは中3回、水曜にサンティアゴ・ベルナベウにスポルティング・ブラガを迎えるマドリーは中2日での対戦となるため、早くもグループ突破が決まりそうなお隣さんとは違い、アウェイで勝てないため、ホーム必勝が求められるアトレティコには良かったりする?
え、それより先週末のクラシコがどうだったのかの方が気になるって?そうですね、土曜は立ち見だけは避けたかったため、お昼を食べながら待っていればいいかと、キックオフ1時間前に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に入った私だったんですが、どうやら誰しも考えることは同じだったよう。すでにテーブル席には空きがなく、かろうじて、TVの見えるカウンターに座れて助かったという感じだったんですが、ランチメニューのグループが食後酒をたしなんでいる頃、モンジュイックで始まったバルサ戦では早々にマドリーの序盤失点癖が発現してしまったんですよ。
ええ、前半6分にはフェラン・トーレスとのワンツーをカットしようとしたチュアメニがギュンドガンにボールを渡し、更にエリア内でアラバがクリアしようとするも、そのボールもギュンドガンに戻り、最後は彼のシュートでGKケパが破られてしまったんですが、まあ、1点ビハインドぐらい、根性のremontada(ラモンターダ/逆転劇)体質を持つマドリーにしてみれば、全然、余裕の範囲ですからね。ただ、焦ることはなかったとはいえ、「Poco agresivo, poco contundente en los duelos, ha sido un primer tiempo para olvidar/ポコ・アグレシーボ、ポコ・コントゥンデンテ・エン・ロス・ドゥエロス、ア・シードー・ウン・プリメール・ティンポー・パラ・オルビダール(まったくアグレッシブじゃなく、ドゥエルでもがっつり行かず、忘れた方がいい前半だった)」(アンチェロッティ監督)という状態ではねえ。
ジョアン・フェリックスこそ、大した見せ場はなかったものの、20才のフェルミンのシュートがポストを直撃したり、19才のガビが体格差の激しいベリンガムやチュアメニを止めようと、鬼のように挑みかかっているのを見せられると、少々、不安が沸かなくもなかったんですが、大丈夫。何とか前半を1-0のままで凌ぎ、後半5分のアラウホの至近距離シュートもケパがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いだマドリーは7分、筋肉痛でメンディがカマビンガに交代したことが転機に。18分にはそこにクロース、ロドリゴと代わったモドリッチとホセルが加わって、ようやく試合の主導権を握ることができたんです!
ただ、23分に決まった同点ゴールはチームプレーからというより、ギャラクティコ移籍のベリンガムの類い稀な才能のおかげだったんですけどね。そう、「ここ数週間、エリア外から撃ってみるべきだと思っていた。敵はそれを予想していないから、サプライズになるしね」という当人が右脚を一閃。そのミドルシュートがGKテア・シュテーゲンを破り、マドリーは同点に追いついたんですが、この時のベリンガムはお馴染みの両手を広げるお祝いポーズを見せず、すぐリスタートの位置に。実際、それにはアンチェロッティ監督も「Parece un veterano, está claro que el objetivo era ganar/パレセ・ウン・ベテラーノ、エスタ・クラーロ・ケ・エル・オブヘティーボ・エラ・ガナール(ベテラン選手のようだった。もちろん、目指すは勝利だからね)」と後で感心していたんですけどね。
その後はバルサも前日、負傷のリハビリからチーム練習に電撃復帰したレバンドフスキ、同じくケガが治ったラフィーニャ、16才のジャマルなど、攻撃陣を入れ替えてきたんですが、勝ち越し点を奪うことは叶わず。そうこうするうち、マドリーの大好きな後半ロスタイムが到来し、ええ、チャビ監督も「ウチは勝つに値したが、si perdonas al Real Madrid, pasan estas cosas/シー・ペルドナス・アル・レアル・マドリー、パサン・エスタス・コーサス(マドリーには止めを刺さないと、こういうことが起こる)」と後悔していたんですが、またしてもベリンガムがやってくれたんですよ。そう、カルバハルが右サイドから入れたクロスをモドリッチはコントロールに失敗してしまったものの、そのボールが丁度、ゴール前に到着した20才のイギリス人選手の前に。
もちろん、後は押し込むだけですから、失敗するはずもないんですが、当人は後日、「誰もがボクは簡単なシュートばかり決めていると言うけど、他の皆が止まっている時、自分は動いて、チャンスを作っている。それをまたやった結果の2点目だ」と説明していたんですが、このゴールでとうとうマドリーは逆転に成功。いやあ、その後には前半にもファールを取ってもらえないことに抗議して、チャビ監督に顔を両手で挟んで宥められていたビニシウスがスタンドの野次にエキサイト。最後の最後にルーカス・バスケスと交代となった時もアンチェロッティ監督が手を引いて、ベンチに戻さないといけないぐらいだったんですが、それも1-2で宿敵に勝ったとなれば、些細なことに過ぎないかと。
おかげで前日、セルタに勝ったジローナに勝ち点で並び、首位を取り戻した上、バルサとの差を4ポイントに増やしたマドリーでしたが、試合後にはチュアメニの左足中足骨にヒビが入り、全治6~8週間のケガをしていたことが判明。これはガビとの接触プレーのせいではないと選手自身が言っていたんですが、まあ、中盤はそれでなくても頭数オーバーですからね。おかげでクラシコをベンチスタートしたカマビンガやモドリッチらに先発のチャンスが増えるのも悪くないかと思いますが、そうそう、土曜の続く時間帯にマジョルカ戦に挑んだヘタフェはスコアレスドローで終了。
さすがに私もその試合までバルに居座ると、5時間近くいることになるため、観戦は遠慮したんですが、これでもうボルダラス監督のチームは5連続引分けですからね。とりあえず、その試合の終盤には長期リハビリをしていたルイス・ミジャもようやく復帰できたのは朗報でしたが、順位は12位とそんなに悪くないものの、水曜のコパは言わずもがな、来週月曜のホームゲーム、カディス戦ではそろそろ、ファンに白星をプレゼントしてあげられるといいのですが…。
そして翌日曜、ここ数日、強風とにわか雨に見舞われていたマドリッドには午後からずっと雨の予報が出ていた中、私はエスタディオ・バジェカスへ。幸い、レアル・ソシエダ戦の間は降ってこなかったんですが、背中から冷たい風が吹きつけて、ニット帽を持ってこなかったことを激しく後悔することに。試合の方は前半30分、ルジューヌのFKはGKレミロに弾かれてしまったものの、出場停止から戻ったムニンが蹴り込んで、自身ラージョ初ゴールで先制点をゲット。でもねえ、そこは先週もCLベンフィカ戦で勝利して、グループ首位と自信を高めている相手だけあって、38分には久保建英選手のシュートがゴールバーを直撃した後、40分にはベルネチェアのクロスをオジャルサバルにvolea(ボレア/ボレーシュート)で決められ、1-1でハーフタイムに入ります。
更に後半、ラージョは不運に襲われて、20分には久保選手のクロスがすぐ前にいたエスピーノの腕に当たり、それがエリア内であったことから、審判はペナルティを宣告。このPKもオジャルサバルが沈め、リードされてしまったんですが、この弟分にもベリンガムみたいな選手がいたんですよ。それはピッチのどこにいてもボールを持つ度、スタンドから、「Tira, tira!/ティラ(撃て)」と声のかかるベベで、ええ、この日もカメージョ、ファルカオが入った後、40分に最後の弾丸として、RdT(ラウール・デ・トマス)と交代で出場したんですけどね。
それがロスタイム1分、エリア外から撃って、同点ゴールを決めてしまったから、どんなにファンが沸いたことか。いえ、前節ラル・パルマス戦での彼の土壇場ゴールはPKによるもので、その時はそれが決勝点となって、ラージョは0-1で勝利したんですけどね。この日は2-2の引き分けで、勝ち点1をもぎ取るだけになりましたが、ほぼ負けかけていたことを考えると、コパの後、サンティアゴ・ベルナベウに兄貴分を訪ねないといけない選手たちには自信になったかと。ただ、フランシスコ監督のチームはその先も2位のジローナ、そして11月の各国代表戦明けにはバルサをホームに迎えるという、上位勢との対戦が続くため、今は5位のソシエダと勝ち点2差の8位とはいえ、早いところ、RdTやカメージョがゴールを取り戻してくれないと、ちょっと辛くなるかもしれませんよ。
一方、ようやくメトロ1号線も復旧したため、バジェカスを出て、すんなり移動できたメトロポリターノで開催されたアラベス戦でアトレティコはどうだったかというと。いやあ、これが先週のCLセルティック戦で負傷中のサムエル・リノの代役として、左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)のスタメンを務めたハビ・ガランが見事に撃沈。その試合の後半からピッチに入り、この日はとうとう先発に抜擢されたリケルメが大張り切りでねえ。開始5分もしないうちにシュートを放ち、GKシベラに弾かれていたんですが、とうとう27分にはモラタからラストパスをもらい、ゴロサベルをかわして、先制点を奪ってくれるとは何とも成長著しい。
おまけに前半ロスタイムにはコケが自陣から放ったロングボールにモラタも反応。それまで何度か失敗していたヘッドではなく、セドラルをかわしてのシュートで2点目を入れてくれたとなれば、ええ、下位のアラベスとは明らかに実力差がありましたしね。後半はルイス・ガルシア監督に、「Nos ha dicho que como siguiéramos así nos íbamos a llevar cinco/ノス・ア・デッチョー・ケ・コモ・シギエラモス・アシー・ノス・イバモス・ア・ジェバール・シンコ(このままだったら、5点は喰らうぞと言われた)」(ドゥアルテ)アラベスも多少は持ち直したんですが、アトレティコは26分にグリーズマンが3点目をゲット。それがラストパスを出したジョレンテが敵陣を上がる途中、しがみついてきたドゥアルテの顔にdoble codazo/ドブレ・コダソ(2度の肘打ち)を見舞っていたとVAR(ビデオ審判)注進で発覚し、スコアに挙がらなかったせいでケチがついたんでしょうか。
守備陣をモリーナ、エルモーソから、アスピリクエタ、そしてようやくふくらはぎのケガから復帰していきたヒメネスに代えてリフレッシュしながら、後半ロスタイム5分、ハジのアシストでゲバラに1点を返されてしまったんですが、大丈夫。そのまま2-1で逃げ切って、ホームゲーム15連勝のクラブ最多記録をしっかり更新してくれたとなれば、その日も最後は選手たちの場内一周で終わったのは当然だった?
何せこれでモラタも今季、スペイン代表戦と合わせて、17試合13得点とかなり長いこと、ゴールづいていますからね。リーガではまだ6ゴールと、クラシコで二桁に乗せたベリンガムとは差がありますが、チームもバルサを抜いて、3位に上昇。暴風雨警報で延期となったセビージャ戦の分、1試合少ない状態でお隣さんと勝ち点3差状態も維持しているため、金曜のラル・パルマス戦で勝てば、ジローナとマドリーがそれぞれ12節を終えるまで、ほんの短い時間でも首位に立てるかも。まあ、とりあえず今はこの好調を維持して、11月の3連戦をしっかり乗り切ってくれればいいんじゃないでしょうか。
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