連戦地獄は止まったけど…/原ゆみこのマドリッド

2023.10.12 01:00 Thu
Getty Images
「これならゴール不足にはならなさそうね」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でスペイン代表の合宿初日公開セッションを見学していた時のことでした。いやあ、実は先週金曜にデ・ラ・フエンテ監督が10月のユーロ予選用の招集リストを発表した後、日曜のラス・パルマス戦でジェレミー・ピノ(ビジャレアル)がハムストリングスを負傷。同日、夜の試合でもリーガ最年少得点記録を更新しながら、腸腰筋を痛めて、ラミネ・ジャマル(バルサ)が交代していたため、協会は深夜にアンス・ファティ(ブライトン)とブライアン・サラゴサ(グラナダ)の2人を追加招集することに。

これについては、バルサ時代から何度も代表に呼ばれている前者はともかく、いくら何でもバルサ相手に2点を挙げ、殊勲の引分けをグラナダにもたらす活躍をしたばかりだからって、昨季は2部でプレーしていた22才を初招集するなら、マドリッドの弟分ラージョから、同じく週末の試合でゴールを挙げたアルバロ・ガルシアを呼んであげても良かったんじゃないかと思ったんですけどね。実は9節までのリーガ得点ランキングでは、もちろん不動の1位は8ゴールのMFベリンガム(レアル・マドリー)ですが、その下、5ゴールで2位に並ぶのは5人。スペイン人ではないレバンドフスキ(バルサ)と久保建英選手を除くと、残るはモラタ(アトレティコ)、ホセル(マドリー)、そしてブライアン・サラゴサだったんですよ。
要は今回、得点ランキング2位の選手3人がスペイン代表に招集されたということで、モラタなんて、CLと代表戦を合わせれば、10得点も挙げていますからね。そこにヒザの靭帯断裂から復帰した後、10カ月余りを経て、ようやく再招集となったオジャルサバル(レアル・ソシエダ)も4得点となると、すでに代表で実績のあるフェラン・トーレス(バルサ)と同じ3得点とはいえ、アルバロ・ガルシアが滑り込む余地はなかった?何はともあれ、月曜午後にはラス・ロサスに来て検査を受け、翌朝にはバルセロナに帰還したジャマルはいないものの、木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、セビージャのカルトゥーハで行われるスコットランド戦では3月にグラスゴーで負けたリベンジも兼ねて、消化試合の1つ多い首位の相手に勝ち点3に迫る勝利を挙げられるといいのですが…。

え、代表戦も楽しみだけど、paron(パロン/リーガの停止期間)直前、ヨーロッパの大会参加チームにとっては、地獄の7連戦の最後となった週末のマドリッド勢のリーガの試合はどうだったのかって?そうですね、まず、真夏日が戻ってきた首都で土曜にトップバッターを務めたのはマドリーで、オサスナをサンティアゴ・ベルナベウに迎えたんですが、この日はアラバの回復が間に合わず、ナチョはジローナ戦での退場で課された出場停止処分3試合の1試合目となったため、アンチェロッティ監督はボランチのチュアメニをCBに回すという苦肉の策を取らざる得ないことに。

でも全然、問題は起きなくて、ええ、前半9分には中盤に空きが1人できたせいで、ようやく先発のチャンスが回ってきたモドリッチがエリア内のカルバハルに送ったパスから、折り返しをベリンガムが決めて、早々に先制点を挙げることができたせいもあるんですけどね。数節前には鬼のようにアトレティコを自陣エリアに囲い込んでいたオサスナだったというのに、枠内シュートが前半のルーベン・ペーニャのエリア外からの1本だけと、チミ・アビラも後半までベンチに置いたまま、ほとんど攻撃してこなかったんですよ。
おかげで後半9分には再び、今度はバルベルデとのワンツーを経て、ベリンガム砲が火を吹き、ええ、アンチェロッティ監督も「El madridismo tiene suerte de haber fichado a un jugador espectacular/エル・マドリディスモ・ティエネ・スエルテ・デ・アベール・フィチャードー・ア・ウン・フガドール・エスペクタクラル(スペクタルな選手を獲得できて、マドリーファンはラッキーだ)」と言っていたんですけどね。更には20分、バルベルデのスルーパスを追ったビニシウスがGKセルヒオ・エレーラをかわして3点目を挙げ、25分にもビニシウスのラストパスから、ホセルが4点目をゲットとなれば、これから各国代表でのお勤めも控えているベリンガム(イングランド)やビニシウス(ブラジル)、モドリッチ(クロアチア)、カマビンガ(フランス)らを次々、引っ込めていたのも納得できるかと。

ただ、唯一、この試合でケチがついたのは39分、クロースのパスがエリア内でダビド・ガルシアの手に当たり、PKをもらいながら、ホセルがエレーラに弾かれてしまったことですが、何せ、今季はプレシーズンにビニシウスが、リーガでもロドリゴがPKに失敗していますからね。それもセルタ戦では第1キッカーに指名されていたモドリッチがロドリゴに譲ったり、この日もベンチからアンチェロッティ監督がロドリゴをキッカーにするようリュディガーに伝言しながら、結局、試合前に第1キッカーを仰せつかっていたホセルが蹴ったりと、ベンゼマ(アル・イティハド)がサウジアラビアに行ってから、マドリーのキッカー役序列は少々、混乱しているよう。

まあ、オサスナには4-0の完勝でしたから、別に構わないんですが、後述するお隣さんのように、PKの成否が勝敗を分ける試合もありますからね。13人の選手が各国代表に出向し、試合も10月21日のセビージャ戦までない、この暇な2週間を活用して、アンチェロッティ監督がしっかりPK対策を練ってくることを今は期待するばかりです。

そして土曜は夜の試合でラージョがサンチェス・ピスファンでセビージャに挑んだんですが、いやあ、前半21分にはセットプレーでグデリが頭でクリアしたボールがゴールポストに当たり、その跳ね返りが目の前に落ちてきたオスカル・バレンティンが蹴り込んで先制。26分にもRdT(ラウール・デ・トマス)からパスをもらったアルバロ・ガルシアが見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKナイランドを破り、2点リードで折り返したため、ようやくフランシスコ監督のチームも3連続ドローの停滞状態を抜け出せるかと思ったんですけどね。

それがまさか、CL出場組で疲れているはずの相手がメンディリバル監督の前半37分にフェルナンドをラキティッチに、後半頭からはアクニャとオリベル・トーレスをペドロサとオカンポスに代える荒療治に反応。ゲーム再開3分にソウのエリア外シュートで1点を返されると、粘りに粘って、ようやく後半ロスタイム最後のプレーを迎えたんですが、どこぞの間抜けなチームが敵GKのヘッドで同点に持ち込まれた例を皆が最近、CLで見たせいでしょうかね。やはり黄色のユニだったナイランドも加わったCKの全員攻撃でエン・ネスリの一発を浴びて、2-2の同点に追いつかれてしまうとは!

これで9月の代表戦以降の5試合を1勝4分けで終えることになったラージョとはいえ、それでも翌日にはメンディリバル監督が解任されてしまったセビージャとは違い、8位とまずまずの位置をキープしていますからね。各国代表戦にもディミトリエフスキ(北マケドニア)、バリウ(アルバニア)、アンドレイ(ルーナミア)、パトリス・シセ(セネガル)、ベベ(カーボベルデ)と5人招集されているものの、火曜から再開した練習ではフランシスコ監督も新たに気合を入れ直して、2週間後のラル・パルマス戦の準備を始めてくれるんじゃないでしょうか。

一方、日曜にお隣さん同様、気温の高い午後4時15分にメトロポリターノでレアル・ソシエダ戦が始まったアトレティコはどうだったかというと。いやあ、スタジアム周辺ではキックオフ前にEl Dia de las Penas/エル・ディア・デ・ラス・ペーニャス(ファンクラブの日)のイベントが開催され、大勢のファンたちがパエジャ(スペインのお米料理)やアクティビティを楽しんでいたようですが、試合では開始早々、冷や汗をかかされることに。だってえ、ソシエダボールでキックオフしたかと思えば、そのまま前線に繋がれて、エリア内左からバルネチェアがシュート。それがエルモーソの足に当たって、ゴールに入ったとなれば、最近はremontada(レモンターダ/逆転劇)もできるようになったとはいえ、それこそ赤っ恥もんでしたが、大丈夫。

オジャルサバルがオフサイトの位置でボールを受けていたため、このオウンゴールはスコアに挙がらなかったからですが、おかげで選手たちも目が覚めたんでしょうか。22分にはコケが自陣から放ったロングパスをサムエル・リノが追い、1対1でGKレミロを破ってくれたとなれば、ペーニャのメンバーたちもスペイン各地及び、遥々国外から駆けつけた甲斐があったかと。ただ、その後はFKからのセットプレーでデ・パウルが放ったシュートや、後半序盤もビッツェルがポストに弾かれてしまうなど、過密日程による疲労蓄積もあって、追加点がなかなか取れなかったアトレティコでしたが、20分にソシエダが久保選手、デ・ノルマン、ミケル・メリーノをカルロス・フェルナンデス、ザハリアン、パチェコへと3人一斉交代した後から、少々怪しい雲行きに。

そう、19分にはすでにオジャルサバルのシュートがゴールポストに当たり、危うく難を逃れていた彼らなんですが、21分にCKからブライス・メンデスのヘッドをGKオブラクがキャッチした後、たっぷり1分間以上経ってから、VAR(ビデオ審判)に注進された主審がモニターでリプレーをチェック。最初は誰も何が問題になっているのかわからなかったんですが、実はブライスの前にいたモラタの手がボールに当たっていたそうで、いや、実際、当たっていたんですけどね。大抵、主審がモニターを見る場合、最初の判定が覆ってPKになるんですが、この日のアトレティコは滅多にないツキ日だったんです!

だってえ、主審はモラタの手はプレーに影響してないとして、ペナルティを見逃してくれたんですよ。それでも28分には怒りに燃えたソシエダのカウンターを喰らい、カルロス・フェルナンデスのサイドチェンジから、オジャルサバルに同点ゴールを決められてしまったんですが、シメオネ監督がベンチにいたなけなしのトップチームの選手4人を交代で使い果たした後の41分、再び奇跡が起こります。今度はグリーズマンのシュートが、ゴール前で倒れていたカルロス・フェルナンデスが体を回して立ち上がろうとしたところに当たって逸れ、「Me dice que tiene la mano apoyada pero le da en la que no tiene apoyada/メ・ディセ・ケ・ティエネ・ラ・マノ・アポジャーダ・ペロ・レ・ダ・エン・ラ・ケ・ノー・ティエネ・アポジャーダ(片手は地面についていたが、ボールが当たったのはついてない方の手だったと言われた)」(オジャルサバル)という理由で主審はペナルティを宣告。

モニターすら見に行かなかったため、よっぽど確信があったんでしょうが、おかげでグリーズマンがそのPKを決め、アトレティコは2-1で再びリードすることに。ラミロの参加した最後のCK全員攻撃も含め、ロスタイム7分も必死で守り抜くと、4試合連続でメトロポリターノの場内を一周。ファンとクラブ史タイとなるホームゲーム13連勝を祝うことができたとなれば、まさに「Cuando toca a favor estás contento y en contra, estás jodido/クアンドー・トカ・ア・ファボール・エスタス・コンテントー・イ・エン・コントラ、エスタス・ホディードー(吉と出た時は満足で、反対ならむしゃくしゃしている)」(シメオネ監督)ですよねえ。

実際、後でグリーズマンも「ハンドの判定が審判の解釈頼りの間は同じことが続くだろう」と言っていた通り、運頼みの面があるのは確かで、大体がして、昨季は33節まで1度もPKをもらえず、シーズン通じて、リーガではその1回しかなかったアトレティコがこんな宝くじに当たったような勝ち方をするのも珍しいんですけどね。試合後は人数合わせで招集し、アップはしたものの、出場しなかったカンテラーノ4人、コスティス、ヒスメラ、エル・ジェバリ、ニーニョを速攻、車でマハダオンダ(マドリッド近郊)のミニスタジアムに移送。午後6時からキックオフだったアトレティコB(RFEF1部/実質3部)のサン・フェルナンド戦後半に間に合わせ、うち3人が途中出場して、5試合ぶりに4-2の勝利を掴むといった曲芸のような人材利用をしないといけないご時世だけに、CL出場圏の4位に戻れる有難い勝利ではありましたっけ。

そんなアトレティコも火曜から練習を再開し、今回はヒメネス(ウルグアイ)、コレア(アルゼンチン)、ソユンチュ(トルコ)、メンフィス・デパイ(オランダ)、バリオス(スペインU21)と負傷者が多いため、6人しか各国代表に呼ばれていないのも幸いしましたかね。この2週間は7連戦の疲労回復orリハビリ完了に充てられることになるんですが、最後にヘタフェの日曜試合もさらっとお伝えしておくと。こちらはバライドスでのセルタ戦だったんですが、弟分仲間のラージョと同じ2-2の引分けという結果に。いやあ、開始2分にはスローインから、ボルハ・マジョラルが先制点を挙げて、幸先は良かったんですけどね。

14分にマクシモビッチがウナイ・ニュネスを倒し、献上したPKもイアゴ・アスパスがポストに当ててくれたんですが、24分にはバンバに決められ同点に。おまけに早くも30分にドゥアルテが2枚目のイエローカードをもらい、長い時間、10人で戦わないといけなくなっていた彼らは、いえ、一応、32分にはグリーンウッドが移籍後初ゴールを挙げ、再びリードしたんですけどね。42分にラルセンに2-2とされた後、勝ち越し点を挙げることはできませんでしたが、まあどんまい。ボルダラス監督のチームからは各国代表にマクシモビッチ(セルビア)、チョコ・ロサーノ(ホンジュラス)、アルデレテ(パラグアイ)の3人しか呼ばれていませんし、現在は順位も11位とそれ程、悪くはないため、コリセウムで迎える10節のベティス戦目指して、調子を上げていけばいいんじゃないでしょうか。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
関連ニュース

お別れの季節がやって来た…/原ゆみこのマドリッド

「ホントに解任されちゃったんだ」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、お昼過ぎにチャビ監督の来季続投がないことを、バルサが公式に発表したのを知った時のことでした。いやあ、彼に関しては昨年中に契約を1年延長しながら、1月末のビジャレアル戦にホームで3-5と赤っ恥の逆転負け。その直後、当人が今季限りでの退団を宣言したのが功を奏してか、チームは調子を取り戻したかに見えたものの、4月半ばにはCL準々決勝PSG2ndレグで逆転敗退、続けてクラシコ(伝統の一戦)にも負けて、リーガ優勝の目がなくなることに。それが、どういう心境の変化か、チャビ監督が翻意して、来季も続投することになったという経緯があったんですけどね。 これだけでもお騒がせなクラブという印象を持ったファンも多かったんじゃないかと思いますが、うーん、口は禍の下とはまさにこのこと。5月16日のアルメリア戦前の記者会見でチャビ監督が、クラブの懐具合が厳しいせいで、レアル・マドリーやヨーロッパの強豪と競うのは難しいと話したのがラポルタ会長の逆鱗に触れちゃったんですよ。すぐさま、後任を探し始めたクラブは、この金曜にバイエルンでsextete(セクステテ/7冠優勝のこと)を達成し、ドイツ代表監督も務めたハンス・フリック氏と契約に合意。その途端、チャビ監督はお払い箱にされてしまったんですが、やっぱりスペイン2巨頭はプライドも高いよう。 だってえ、それでもバルサは前節ラージョに勝って、リーガ2位を確定させ、少なくとも来季のスペイン・スーパーカップ出場権獲得という、次善の目標は果たしているんですよ。その一方で前節はクラブの至上命題である4位がすでに確定したことに胡坐をかき、今季は奇跡の宝庫だったメトロポリターノでオサスナに1-4の惨敗。少しでも上の3位になりたいという意志をまったく、見せなかったアトレティコなど、試合後、シメオネ監督が「ウチはリーガでの位置づけをわきまえている。怪物のようなクラブと競っていることも」なんて、お隣さんに今季、勝ち点21もつけられていることを正当化するようなことを言おうとも、クラブ上層部からの批判はまったくなし。 もちろん、シメオネ監督の続投に疑問を抱く者もなく、うーん、もうちょっと頑張って、2位で終わればリーガの放映権料分配金1370万ユーロ(約24億円)+スペイン・スーパーカップ参加報酬、3位でも前者を680万ユーロ(約12億円)多くもらえていたはずなんですけどね。そんなことを気にもしない選手たちだからか、この夏、フロントはチームのかなりのメンツを入れ替える腹積もりのよう。ええ、契約1年自動延長を放棄するサビッチはオサスナ戦の後にもう、ファンにお別れしていましたしね。契約満了を迎えるエルモーソも減棒となる延長オファーを受け入れず、更に挙げれば、モラタ、メンフィス・デパイ、コレア、レマルらも売却候補なのだとか。 とりわけ年棒1500万ユーロ(約26億円)ながら、控えであるサウールには河岸を変えてもらいたいようですが、彼らの代わりとして、誰を獲るのか、名前はまだ具体的にあまり出ておらず。とにかく、昨夏入団しながら、シメオネ監督のお眼鏡に叶わず、1月にはレンタル移籍となったソユンチュ(フェネルバフチェ)やハビ・ガラン(レアル・ソシエダ)のような、意味のない投資はしないでほしいかと。 ちなみにすでに優勝、CL、EL、コンフェレンスリーグ出場権、そして降格3チームも確定し終わった、この週末のリーガ最終節ではunificacion(ウニフィカシオン/時間帯統一)も解消。アトレティコは土曜の午後4時15分(日本時間午後11時15分)にレアル・ソシエダとのアウェイ戦で幕を閉じるんですが、うーん、今季はもう彼らの姿を目にすることもないのかと、金曜には私もマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションを覗きに行ってみたんですけどね。普段はマスコミ公開15分のところ、最終日サービスだったのか、30分近く、見ていられたのは良かったものの、2人で三角コーンをどちらが速くポールに挿せるかを競うエクササイズとか、困惑させられる光景もなきにしろあらず。 まあ、勝っても負けても、どうせ順位は変わりませんし、すでにユーロやコパ・アメリカの各国代表招集のかかっている、or確実な選手たち、オブラク(スロベニア)、グリーズマン(フランス)、デパイ(オランダ)、モラタ(スペイン)、デ・パウル、モリーナ、コレア(アルゼンチン)などは、頭もそっちの方に行っているはずですしね。レアル・アレナで今更、今季のアウェイ弱者ぶりが改善されるとも思えないんですが、その試合に参加できないのは出場停止となるパウリスタ。そしてオサスナ戦でケガをしたサビッチ、リハビリ中のバリオス、モリーナとなりますが、後者2人はそれぞれ、パリ五輪、コパ・アメリアまでには回復するはずなのだとか。 対するソシエダではまさに、アトレティコからレンタル中のガランが足指骨折中で、サディクも背筋痛で欠場に。他にもアイエン、スベルディア、スビメンディ、カルロス・フェルナンデスらが出られないそうですが、イマノル監督のチームは前節、ベティスに勝って、7位と6位の順位を入れ替えることに成功。すでに4年連続ヨーロッパの大会出場は確定していたものの、コンフェレンスリーグから、ELに格上げできたことである意味、やり切った感も漂っているはずですからね。オサスナ戦で3カ月ぶりのゴールを挙げ、3月上旬にヒザの靭帯を断裂して、15本で止まっているボルハ・マジョラル(ヘタフェ)に並び、この試合では単独サラ(スペイン人の得点王)を狙っているらしいモラタ辺りが当たってくれませんかねえ。 そしていよいよ、CL決勝総合リハーサルを土曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、サンティアゴ・ベルナベウでのベティス戦で行うのがマドリーなんですが、こちらは奇しくもクロースのお別れ試合も兼ねることに。そう、火曜には最高のレベルにいるうちに引退したいという持論に基づき、10年のマドリーでのキャリアに終止符を打ち、ユーロのドイツ代表戦を最後に現役から退くことを、34才の彼が発表したからですが、世間からはもったいないという声がしきり。 それについてはアンチェロッティ監督も金曜の試合前日記者会見で、「Es un alemán y es muy complicado hacerle cambiar de idea/エス・ウン・アレマン・イ・エス・ムイ・コンプリカードー・アセールレ・カンビアル・デ・イデア(ドイツ人だから、考えを変えさせるのはとても難しい)」と言っていたんですけどね。同時に「Reemplazarle es muy complicado sino imposible/レエンプラサルレ・エス・ムイ・コンプリカードー・シノ・インポシーブレ(彼を置き換えるのは非常に難しいだけでなく、不可能)」とも認めていたんですが、まあ、そこは正しく、アンチェロッティ監督が2014年に待望のDecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)を達成してから、クリスチアーノ・ロナウド(アル・ナスル)、カセミロ(マンチェスター・ユナイテッド)、セルヒオ・ラモス(セビージャ)ら、中心選手を失ってもCL11回、12回、13回、14回目と勝ち続けてきたマドリー。 「このチームにはこの10年間、沢山のタイトルを獲って示してきたように、リソースがある。毎年、ピースが欠けても、選手たちがその姿勢と献身を失うことはない」(アンチェロッティ監督)という言葉通り、来季もベリンガム、バルベルデ、チュアメニ、カマビンガ、そして契約延長が近いモドリッチで上手く回してしまうか、ええ、彼らはお金にまったく困っていないクラブですからね。すでにキミッヒ(バイエルン)、ロドリ(マンチェスター・シティ)といった獲得候補の名前も挙がっているんですが…きっと、先日のCL準決勝バイエルン戦1stレグで見せた、ビニシウスへの神スルーパスみたいなクロースのプレーが見られなくなるのが淋しいファンは多いんじゃないでしょうか。 そんな訳でベティス戦はすでにチケット完売なんですが、他の予想スタメンはGKクルトワを始め、6月1日にウェンブリーでプレーする選手たち。そのクルトワのヒザの靭帯断裂を受け、昨夏、チェルシーから緊急レンタル移籍しながら、結果的にルーニンの控えとなってしまったケパも途中出場のご褒美をもらえるようです。一方、ベティスは、うーん、前節に直接ライバルだったレアル・ソシエダに負けて、7位に落ちてしまったショックもあるんでしょうかね。イスコを含む8人がケガ、2人が体調不良、そしてクリスタルパレスへの移籍が決まったシャドリもベルナベウには連れてこられないことに。 となると、マドリーが勝って、ペジェグリーニ監督が2009-10シーズンに作ったクラフのシーズン゛最多勝ち点記録96を1つ上回る可能性もかなり高い気もしますが、まあ、今の彼らにとって、一番大事なのはチュアメニ以外、もう負傷者を出さず、ドルトムント戦を迎えること。ええ、水曜のEL決勝で下馬評の低かったアタランタが、今季これまで無敗だったシャビ・アロンソ監督のレバークーゼンに3-0で勝って、優勝したなんて例もありますからね。マドリーに限って、その心配はないとは思うんですが、用心するに越したことはありませんって。 そしてマドリッドの弟分たちはラージョが土曜にアスレティックを、ヘタフェが日曜にマジョルカをホームに迎えるんですが、実は現在、16位の前者も、12位の後者もこの順位は確定ではなく、上手い具合にいけば、最大2つは這い上ることが可能。低い順位のチームはTV放映料分配金も少ないとはいえ、そうなると、どちらも130万ユーロ(約2億円)増しになりますからね。規模の小さいクラブだけに、それだけでも嬉しい収入となるはずなので、ここはそれぞれ、5位が確定、残留が確定した相手を前に、ホームのファンを喜ばせる結果となってほしいかと。 そうそう、この両者にもこの最終節で退団となることが決まっている選手がいて、エスタディオ・バジェカスのファンとお別れするのは3年間の契約が終わるファルカオ。コリセウムでは今週、お別れ会見を開いたマクシモビッチ(契約終了でパナシナイコスに移籍)、マタ(契約終了、行き先を探し中)が最後のプレーとなりますが、まあ、どちらもレンタル移籍などで来ている選手が結構、いますからね。他にも来季は戻って来ないメンツがいそうですが、とりあえず、イニゴ・ペレス監督とボルダラス監督の続投は決まっているようです。 え、1部はもうカタがついたけれど、今まさに大詰めを迎えているのが2部じゃないのかって?その通りで、残り2試合となった41節は日曜午後6時30分に統合されているんですが、いよいよ、レガネスの4年ぶりの1部再昇格が決まるかもしれないんですよ。そう、前節、スポルティングに勝って、首位を取り戻した彼らはアウェイでラシン・フェロル戦に挑むんですけどね。3位のエイバルとは勝ち点2差のため、レガネスが勝利し、エイバルがまさにその、7位でプレーオフ圏入りを狙っているスポルティングに勝てない場合は直接昇格が確定。 もちろん、それが叶わなくても、ブタルケでの最終節エルチェ戦で決めることはできるんですが、問題は今のところ、そちらも6月2日(日)に時間帯統一となっていて、そう、まさにCL決勝の翌日。是非ともレガネスの昇格祝いをその場で見たい私としては、ベルナベウでのDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝)祝いと重ならないよう、チャッチャと今週末に上がってほしいところかと。ええ、エルチェの方も今節、エルデンセに負けると、6位のオビエドが降格圏にいるアンドラに負けなければ、プレーオフ圏入りがなくなって、最終節が時間帯統一から、外れてくれることを期待しているんですが、こればっかりはねえ。 それより気の毒なのはお隣さんのアルコルコンで、今季はせっかくRFEF1部(実質3部)から、速攻で戻ったにも関わらず、今週末のレバンテ戦で最速Uターンが確定する可能性が。というのも、2021-22シーズンにはレガネスにいたナフティ監督が率いる2部の弟分はレバンテに勝っても、上にいるウエスカ、サラゴサ、ミランデス、エルデンセが勝つと、降格が決まってしまうからですが、どちらにしろ、彼らは20位とかなり分が悪いですからね。マドリッドに2部チームが1つもないのも淋しいですし、何とか奇跡が起こってくれるといいのですが。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.25 21:00 Sat

最終節には何もない…/原ゆみこのマドリッド

「契約延長しないんだ」そんな風に私が驚いていたのは火曜日、レアル・マドリーのプレスオフィスから、今季いっぱいでクロースが退団するというメールが届いた時のことでした。すぐさまマルカ(スポーツ紙)のサイトを開けたところ、すでにメインページはそのニュースでいっぱいで、当人からの手紙も掲載。「Mi ambición siempre fue terminar mi carrera en la cima de mi nivel/ミ・アンビシオン・シエンプレ・フエ・テルミナール・ミ・カレラ・エン・ラ・シマ・デ・ミ・ニベル(望んでいたのは常に最高のレベルにいる時に自分のキャリアを終わらせることだった)」という理由で、この夏のユーロのドイツ代表戦を最後に引退することが分かったんですけどね。 それにしたって、この発表のタイミングは絶妙で、ええ、4節前にリーガ優勝が決まり、ここ3試合、6月1日のCL決勝に向けての調整をしていたマドリーの最終節はサンティアゴ・ベルナベウでのベティス戦。ホームで盛大にファンとのお別れができる上、チームメートだって、クロ-スの10年間のマドリー生活に最後の花を添えるべく、いえ、すでに彼は4回も経験済みなんですけどね。Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)達成にますます意欲が湧くはずとなれば、これぞ、まさにクロース最後のご奉公? いえまあ、34才の彼が今季もレギュラーだったにも関わらず、引退するのに対して、38才で今季はスーパーサブの位置づけに落ちてしまったモドリッチが契約延長成立間近と言われているのには、ちょっと矛盾を感じなくもないんですけどね。何はともあれ、マドリーファンはまだ、ウェブリーでのCL決勝、そこで優勝すれば再び、シベレス噴水広場やベルナベウでの祝賀行事でクロースの姿を目に焼き付けることができるため、今はそれを慰みにするばかりかと。 え、それでリーガ1部、全ての片がついた先週末の37節はどうだったのかって?いやあ、実は試合結果だけでいうと、マドリッド勢4チームは誰も勝てなかったんですよ。ただ、私がブタルケに見に行った2部の弟分、レガネスだけは4年ぶりの再昇格を後押しするファンの熱気のおかげもあって、7位のスポルティングに勝利。そう、前半17分、敵GKのパンチングミスから、ミゲール・ラ・フエンテがヘッドで入れた先制点こそ、後半8分にロサスにエリア前からシュートを決められて、帳消しにされてしまったものの、32分にはシセが決勝点を挙げて、2-1で終わることに。 おかげでアルバセテ戦に負け、27節の間、維持していた首位をバジャドリーに奪われていたのも、その相手が降格圏からの脱出がどんどん難しくなっているお隣さん、アルコルコンと1-1で引き分けたため、取り戻すことができたんですけどね。とはいっても40節は3位のエイバルもカルタヘナに勝ったため、勝ち点差が2なのは変わらず。要は直接昇格の上位2席を3チームで争っている状態なので、次節でライバルのどちらかが躓かない限り、1部昇格確定はCL決勝の1週間後にある最終節まで持ち越されることに。うっかりプレーオフの4試合を戦う破目になったりすると、レガネスファンの夢も叶わないかもしれないため、今週末のラシン・フェロル戦、続くエルチェ戦では最後のひと踏ん張りを見せてもらいたいものです。 そしてその夜は1部試合のunificacion(ウニフィカシオン/時間帯統合)から1カードだけ外れたヘタフェがメンディソローサでアラベスと対戦。それが元々、何も懸かってないところに大雨の中、プレーさせられたのも気の毒でしたが、前節、ベルナベウで5-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らった相手に1-0で負けて、憂さ晴らしされてしまってはねえ。前半12分にドゥアルテのロングボールから、カルロス・ビセンテが決めたゴールをボルダラス監督のチームは最後まで返せなかったんですが、まあ、昨季と違い、とうに残留が決まっているヘタフェはもう閉店休業状態。 せめて最終節の日曜、コリセウムにマジョルカを迎える試合では、ええ、こちらでは長年、チームに貢献してくれていたマタ(契約満了)とマクシモビッチ(パナシナイコスに移籍)のお別れイベントも予定されていますしね。有終の美を飾って、10位から12位に落ちてしまった順位をちょっとでも改善できればと。とはいえ、今更ながら、4人の長期負傷者に加えて、アラベス戦で退場したモリバス、累積警告のラタサ、ディエゴ・リコと頭数不足がいつにもまして激しいのは困っちゃいますよね。 一方、日曜午後7時の一斉キックオフを迎えたマドリッド勢3チームはというと。いやあ、願いに反して、どこもゴールが多かったため、メトロポリターノのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継を聴いていた私も頭がクラクラしたくらいだったんですけどね。ややこしいので、1つずつ、お伝えしていくことにすると、唯一、まだ降格の可能性が薄っすらとあったラージョはモンジュイックでバルサと対戦。それが開始3分から、ジャマルのラストパスをレバンドフスキがゴール前で胸トラップ、落としたボールをそのまま蹴り込んで、早々に先制されてしまったんですよ。 その後はかなりラージョが攻めていたようなんですが、やっぱりここまで来て、いきなり慢性ゴール日照りは治りませんよね。後半になり、チャビ監督が選手のリフレッシュを行ったところ、26分にはジョアン・フェリックスがパテ・シス、エスピーノらをエリア内右奥でキリキリ舞いさせてシュート。GKディミトリエフスキが弾いたボールをペドリが決めて、2点差にすると、その4分後にもアラウホのロングボールに抜け出して、自身2点目を挙げたとなれば、もうラージョはギブアップするしかなかったかと。 ただ、バルサに2位確定を贈る、その3-0の完敗も試合終了から間もなくして、同時進行だったカディスがラス・パルマスと0-0で引分け。17位との差が勝ち点4となり、カディスが降格組の最後の一席を占めることが確定したため、ピッチに残って、結末を待っていたラージョの選手たちも心おきなく残留祝いができたんですけどね。同じ光景はマジョルカ、ラス・パルマス、セルタでも見られたんですが、おかげでマドリッド勢が最終節のガラガラドボンに巻き込まれる心配がなくなったのは朗報でしたっけ。 まあ、あとは土曜のアスレティック戦でラージョが、5位で来季はELに出場する相手に臆することなく、低空飛行が続き、辛い思いをさせたエスタディオ・バジェカスのファンにいい試合を披露。来たる5月28日のクラブ創設100周年行事の前祝いができればいいんじゃないかと思いますが、その一方で、凄まじいゴール祭りとなっていた試合もあって、それはマドリーのビジャレアル戦。この日はアンチェロッティ監督がリュディガー、バルベルデ以外、プランBの選手を大量にスタメンに入れて、スタートしたんですけどね。序盤、GKルーニンもセルトートのエリア外シュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)した後には普段、控えのメンバーがCL決勝での途中出場枠を争うべく、猛ラッシュをかけたから、忙しないったらありません。 そう、14分にはルーカス・バスケスのラストパスを最近、出場する度にゴールを挙げているギュレルがエリア内左から決めて、先制したかと思えば、30分にもルーカス・バスケスのクロスから、ホセルがヘッドで2点目をゲット。39分にはセバージョスが右奥でモスケラにボールを奪われ、そこからセルロートに頭で1点を返されたものの、その1分後にはモドリッチ、ブライムを経て、ルーカス・バスケスが今度は自身でチームの3点目を挙げることに。更にロスタイムにもギュレルが再びGKヨルゲンセンを破り、とうとう前半だけで4点を挙げてしまったとなれば、一体、誰がマドリーの勝利を疑った? 実際、これで今季10試合出場6得点となったギュレルに関しては、試合後、アンチェロッティ監督も「Es muy eficaz, ha marcado muchos goles con pocos tiros/エス・ムイ・エフィカス、ア・マルカードー・ムーチョス・ゴーレス・コン・ポコス・ティロス(とても効率的だ。少しのシュートでゴールを沢山挙げた)」と褒めていたんですが、何せ、チーム総得点がリーガ最多の87というマドリーですからね。ゴール不足で悩んでいるチームとは違い、ギュレルをもっと早くから使っていればという声が巷から聞こえてこないのも当然だった?それが後半はまったく様相が変わって…。 ええ、折しもセビージャではベティスが前半、レアル・ソシエダに0-2と負けていて、ビジャレアルは頑張れば、最終節で7位のコンフェレンスリーグ出場権に手が届くかもしれないというのもあったんでしょうね。ハーフタイムには、「No puedes jugar con tanta falta de intensidad/ノー・プエデス・フガール・コン・タンタ・ファルタ・デ・インテンシダッド(あんな強度のなさでプレーすることはできない)」とマルセリーノ監督が選手たちを叱咤激励。後半頭から、クエンカ、アコマック、パレホをアルビオル、トラオレ、コケリンに代えたのも良かったか、再開早々3分にはジェラール・モレノのクロスから、セルロートがまたしてもヘッドで得点したんですよ。 それどころか、8分にも彼はジェラール・モレノのスルーパスで抜け出して3点目を決めると、11分にはとうとう、4点目を挙げて、ピピチ(リーガ得点王)レーストップだったドブビク(ジローナ)に2本差つけているんですから、恐ろしい。とはいえ、これでセルロートのゴールラッシュも打ち止めだったようで、ええ、後半15分には全ての失点シーンに顔を出し、CL決勝前に大きく株を下げてしまったミリトンがナチョと交代したのも影響したんでしょうね。試合はそのまま4-4で終わることに。 結局、引分けではビジャレアルが最終節に望みを託すことは叶わず、7位はベティス、そのまま勝ったレアル・ソシエダが6位でEL出場とこちらも片がついたんですが、え?ドルトムントだって、アトレティコとのCL準々決勝では4点も取っていたし、こんなにゴールを奪われるマドリーには懸念が湧かないかって?いえ、アンチェロッティ監督も「Hemos encajado más de los necesario pero no cambia nada pensando en la final/エモス・エンカハードー・マス・デ・ロス・ネセサリオ・ペロ・ノー・カンビア・ナーダ・ペンサンドー・エン・ラ・フィナル(必要以上に失点したが、決勝を考えるにあたっては何も変わらない)」と言っていたように元々、ミリトンもGKルーニンもスタメンにするつもりはなかったみたいですからね。要はウェンブリーではナチョとクルトワがプレーするため、その辺は心配することないということでしょうが、さて。 そして最後に唯一、ホームゲームでオサスナ戦をプレーしたアトレティコはというと、ホント、マスコミの「目標は3位」という言葉を信じた私がバカでしたよ。キックオフ前には12年間、フィジカルコーチとして、選手を指導したプロフェ・オルテガのお別れイベントを、オサスナ勢がピッチで退屈してしまう程、長々と開催していたのは、まあ、この日が最後の機会でしたからね。仕方ないとはいえ、どうやら、4位で来季のCL出場が確定していた彼らはすでにバケーションモードに入っていたよう。 いえ、それでもビッツェル、ヒメネスが出場停止でいなかったにも関わらず、前半は26分にFKから、パウリスタのヘッドクリアをカテナにゴール前に戻され、ラウール・ガルシアに1点取られただけで済んだんですけどね。前節のヘタフェ戦でハットトリックを挙げたグリーズマンも、うーん、また足首の痛みがぶり返した?シュートの精度はもちろん、パスもようよう味方に届けられない状態に戻っていたんですが、0-1で始まった後半には今季、散々、アウェイゲームで目撃した悲劇が襲い掛かることになるとは。 そう、早くも7分にはゴール脇でアスピリクエタがクリアしようとして、GKオブラクに当たって跳ねたボールが誰もついていなかったアイマール・オロスに渡り、2点目を入れられてしまったんですよ。ただ、その時は3分後に後半頭から、パウリスタと交代で入っていたモラタがサムエル・リノにラストパスをもらい、3ケ月ぶりとなるゴールを決めて、1点差に迫ってくれたから、まだ良かったんですけどね。交代で入ったリケルメとレイニウドがあまりにぼうっとしすぎです。19分にはエリア内右からアレソにクロスを上げられ、またしてもラウール・ガルシアに決められているって、これじゃ、オブラクから滅多に見ない程の叱責を喰らっても仕方なかった? 実際、1-3にされた後になって、今季はもう、研修生のままでいい感じになっていた19才のフェルメーレンをシメオネ監督がピッチに入れた理由もよくわかりませんでしたしね。モラタとメンフィス・デパイの2弾頭にしても、すでに残留は達成しながら、まだバケーション入り一歩手前の状態でプレーしていたオサスナの守備を崩すことはできず。最後は43分にも右サイドから、パブロ・イバニェスのクロスをトロにvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込まれ、ここ11試合、アトレティコに勝ったことのなかったアラサーテ監督のチームに1-4で負けてしまいましたっけ。 何せ、今季メトロポリターノはほぼ難攻不落の要塞で、リーガではバルサに負けただけ、引分けもヘタフェとの一戦だけと、ファンは勝利に慣れていましたからね。最後の最後になって、どうしてアウェイでのダメダメぶりをホームで見せられないといけないんだという、pito(ピト/ブーイング)がスタンドから飛んでいたのもムリはありませんが、その日はジローナもバレンシアに勝利。アトレティコとの差が5となり、最終節での3位上昇可能性が完全に消滅することに。 うーん、シメオネ監督は「Entiendo el lugar que ocupamos en Liga. Entiendo que competimos contra monstruos/エンティエンドー・エル・ルガール・ケ・オクパモス・エン・リーガ。エンティエンドー・ケ・コンペティモス・コントラ・モンストロス(ウチがリーガで占める位置はわかっている。モンスターのようなチームたちと競っているのもわかっている)」と言っていたんですけどね。その中にジローナが入るかどうかは大いに疑念の湧くところ。試合後には今季限りで退団するサビッチがファンにお別れしていたんですが、今季のここ一番で残念だったチームの姿を見る限り、そろそろ選手の大幅入れ替えを考えた方がいい?この土曜にもアトレティコにはレアル・ソシエダ戦があるんですが、今はまた、アウェイでみっともない試合をしないことを祈るばかりです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.22 20:00 Wed

最後のミッドウィークリーガが終わった…/原ゆみこのマドリッド

「とうとうこの時期が来たか」そんな風に私が今季のゴールが近づいていることを感じていたのは金曜日、この週末のリーガ37節が1試合を除いて、全て日曜午後7時(日本時間翌午前2時)スタートとなるのに気がついた時のことでした。いやあ、確かに土曜に回されたアラベスvsヘタフェ戦は両者共、すでに残留確定済み。どちらもヨーロッパの大会出場圏には手が届かず、所謂10位争いのゲームですからね。マドリッドの弟分の方は中2日で迎える3連戦目となって、ちょっと体力的に辛そうなのは何ですが、あと2試合で選手たちの大部分は長いバケーション入りとなれば、今だけの辛抱ですって。 逆にunificacion(ウニフィカシオン/試合時間統一)に組み込まれてしまった、残りのマドリッド勢3チームも何か大事なことが懸かっているかというと、いえ、実はラージョはまだ、数字的に1部残留が確定した訳ではないんですが、18位のカディスとは勝ち点6差。最悪、クラシコ(伝統の一戦)でレアル・マドリーに負け、リーガ優勝の目がほぼなくなった後、今季限りの退任を宣言していたチャビ監督が意見を変え、続投となりながら、今度は解任されるかもしれないお家騒動が勃発しているバルサとのモンジュイックでの試合、最終節のアスレティック戦と連敗しても、ゴールアベレージ差が11もあるため、まず大丈夫なんですよ。 実際、ビジャレアルvsマドリー戦など、うーん、一応、ビジャレアルには勝ち点5差の7位ベティスに追いついて、コンフェレンスリーグ出場権を手に入れる可能性がない訳じゃないんですけどね。ただ、相手が今季リーガで1敗しかしていない優勝チームとなると、勝ち点を取るのは難しいかと思いますが、どちらにしろ、ヘタフェ、ラージョ、マドリーの試合はアウェイですからね。私はメトロポリターノに行って、アトレティコが、就任2年目から、ずっと3位以上をキープしているシメオネ監督の記録を守るため、勝ち点2差に迫ったジローナの上に立つべく、プレーするオサスナ戦を観戦。他はオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継頼みとなりますが、ゴールが多いと展開を把握しにくくなるため、どこも落ち着いた試合になってくれたらと。 まあ、そんなことはともかく、今週の平日リーガの試合がどうだったか、お伝えしていかないといけません。先陣を切ったのはマドリーで、火曜にサンティアゴ・ベルナベウにアラベスを迎えたんですが、その試合でもまだリーガ優勝祝いが続いていてねえ。キックオフ前にはセンターサークルに沿って、通算回数分、36個の紙トロフィーオブジェが並び、アラベスの選手たちの作るPasillo de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を通って入場したマドリー選手たちは、日曜の祝勝行事前にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でもらったトロフィーをファンにお披露目することに。 相手のアラベスも丁度、前節には残留が確定し、お祝い気分で来ていたため、おかげでキックオフが5分程、遅れても構わないようでしたが、試合では、何も懸かっていないチーム同士が素で戦うとモロに実力差が現れてしまうことが判明。しかもこの日のマドリーは6月1日のCL決勝ドルトムント戦に備え、ローテーションのBチームではなく、レギュラーがスタメンでしたからね。昨季2部4位で昇格プレーオフを経て、1部復帰したばかりのアラベスとは、「La diferencia es abysmal/ラ・ディフェレンシア・エス・アビスマル(深淵のような差がある)」(ルイス・ガルシア監督)のは仕方なかったかと。 そう、開始早々にはアトレティコからレンタル修行に出されているサムがゴール左前から2度も蹴りながら、GKクルトワに弾かれてしまうなんてこともあったアラベスでしたが、やっぱりマドリーは効率が段違い。前半10分にはクロースのパスをベリンガムがエリア内左で受け、うーん、当人はカルバハルへのクロスのつもりだったかもしれませんが、そのvolea(ボレア/ボレーシュート)がゴール反対側の隅にすっぽり収まったから、ビックリしたの何のって。 その後もビニシウスが積極的に攻めていった甲斐があって、27分にはカマビンガのラストパスをゴール前で角度を変えて、2点目をゲット。46分にはベリンガムのスルーパスから、バルベルデも決めて、前半だけで3点も取ってしまったとなれば、まさに優勝祝いに相応しいgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)じゃあないですか。おまけにマドリーの貪欲さは後半になっても衰えず、25分には再び、ベリンガムのアシストでビニシウスが自身2点目を、更には交代出場したギュレルまで、ロドリゴのシュートが敵DFに当たって転がってきたボールを撃ち込んで、とうとう5-0のmanita(マニータ/5得点のこと)になってしまったから、もしや今頃、ドルトムントは震えてない? いえまあ、結局、対戦前にはマルカにもASにもインタビューが載っていたシメオネ監督の三男、ジュリアーノは出なかったとはいえ、アラベスも枠内シュート10本でクルトワの手を煩わしたんですけどね。中でも後半序盤にハジがゴール右下隅を狙って放ったシュートは際どかったんですが、プレシーズンのヒザの靭帯断裂から復帰して、3試合目となる彼が得意のparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露。3連続無失点記録を達成し、「どんな状態で戻るか、疑う人もいたけど、yo sabía que iba a ser el mismo Courtois o incluso major/ジョ・サビア・ケ・イバ・ア・セル・エル・ミスモ・クルトワ・オ・インクルソ・メホール(ボクは同じクルトワ、それどころか、前よりいいクルトワになることを知っていたよ)」と懐かしのクルトワ節まで復活することに。 「Me hacía falta un partido así con muchos disparos/メ・アシア・ファルタ・ウン・パルティードー・アシー・コン・ムーチョス・ディスパーロス(こんな風に沢山、シュートを撃たれる試合がボクには欠けていた)。カディス戦では1対1、グラナダ戦では足を使ったプレーが多かったからね」と続けたクルトワは、水木金と3日間、チーム練習が休みになるニバケーション中も調整に励むそう。それに対抗してか、「Un partido lo va a jugar Lunin y el otro Courtois/ウン・パルティードー・ロ・バ・ア・フガール・ルーニン・イ・エル・オトロ・クルトワ(1試合はルーニンが、もう1試合はクルトワがプレーする)」とアンチェロッティ監督が言っていたように、この日曜のビジャレアル戦に出場予定のルーニンも自宅でのトレーニング姿をインスタグラムに上げるなど、CL決勝に向けて、アピールに余念ないんですが…アトレティコが準々決勝でやられたブラントやフュルクルク、ザビッツァーらのシュートを防ぐのは果たして、どちらになるんでしょうかね。 そして水曜にはまず、エスタディオ・バジェカスにラージョvsグラナダ戦を見に行った私だったんですが、いまあ、まさか開始3分にミゲル・ルビオの頭に足が当たってしまったトレホへのイエロカードが、VAR通信でモニターをチェエクした主審により、色がレッドに変更。5分にはもう、イニゴ・ペレス監督のチームは10人になってしまうという、衝撃のスタートを切った試合だったんですが、やはり相手は前節、マドリーに0-4と大敗する以前に2部降格が決まったショックから、抜け切れてなかったんでしょうか。 そう、人数的不利も何のその、攻撃するのを止めなかったラージョの根性が23分には報われたんですよ。CKから跳ね返されてきたボールをイシが再びエリア内に入れたところ、GKマルク・マルティネスがこぼし、ミゲル・ルビオがライン上でクリアしようとして、それが中途半端だったのが運の尽き。ゴール前にいたルジューヌが低い位置でのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)で先制点を奪ったとなれば、後はこの虎の子の1点を死ぬ気で守るだけでいい?うーん、次の時間帯の兄弟分ダービーのため、1-0でハーフタイムに入るやいなや、スタジアムを出た時は私もまだ、不安を拭えなかったんですけどね。 並行して進んでいたセビージャ戦でカディスに次々とチャンスが訪れ、移動中もずっと聞いていたオンダ・マドリッドのコメンテーターたちが、「これで点が取れないなんて信じられない」と驚いていたのも気になりましたし、後半半ばにはバデのオウンゴールでとうとうカディスが得点。それがVARチェックでクリス・ラモスのファールが発覚して取り消されるなんていうドッキリも。それを知ってか、知らずか、ラージョも後半35分にはパテ・シスのパスから、デ・フルートスがGKに弾かれた自身のシュートに当たって、ボールがゴールに入ってくれたから、有難かったの何のって。 ようやく2点リードとなったため、コリセウムに着く頃、ロスタイムにボジェのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で1点返された時も、カディスがとうとう、51分にセルジ・グアルディオラのゴールでセビージャに0-1と勝って、ギリギリで降格決定を免れた時も比較的、平静でいられたんですが、まったく。せっかくラージョが2-1で勝って、ファンが「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」を唱和するのも、チームを残り2試合必勝の崖っぷちに追い込むことにもなりかねなかったトレホがチームメートに胴上げされるのも見られないなんて、ホント、連続時間帯試合って、悔しいですよね。 え、それで午後10時という遅い時間にアトレティコがヘタフェに挑んだ試合はどうだったのかって?いやあ、この弟分が兄貴分を負かしたのはシメオネ監督就任以前のずっと昔が最後というぐらい、彼らがアトレティコを天敵にしているのが、今季の根強いアウェイアレルギーに勝ったんですかね。それも前半27分、デ・パウルのクロスをグリーズマンが天才的なボールコントロールで落とし、GKダビド・ソシアを破ったかと思えば、コレアのゴールがオフサイドに認められなかった後の41分にも2点目をゲットって、もしや好調期の彼がようやく戻って来たってこと? そう、この時はコレアがエリア内右から出したラストパスをサムエル・リノは撃てなかったものの、その先にいたグリーズマンが必殺のシュートをゴール内に送り込んでくれたんですけどね。いやでもまさか、後半6分にもリノからパスをもらい、今度はダビド・ソリアの股間を抜いて、ハットトリック達成なんて、最近のパスすら、ようよう味方に届かない彼の姿から、一体、誰が予想できたでしょう!いえ、当人は謙虚に、「Sin mis compañeros no soy nadie/シン・ミス・コンパニェロス・ノー・ソイ・ナディエ(チームメートがいなかったら、ボクは何者でもない)。自分がピッチで居心地いいようにしてくれる彼らに感謝している」と言っていたんですけどね。 このところ、精彩がなかったのは、CL16強対決インテル戦1stレグでネンザした足首にしつこく痛みが残っていたためというのも明らかになったんですが、いやあ、もしやこの回復を今、一番喜んでいるのはフランス代表のデシャン監督かも。だってえ、そのまま、0-3で勝ったアトレティコは、同じ時刻にプレーしていたアスレティックがセルタに逆転負けを喰らったため、完全に4位以上が保証されたものの、要はそれだけですからね。 試合後は、「Yo quiero salir campeón más que nadie/ジョ・キエロ・サリール・カンペイン・マス・ケ・ナディエ(誰よりチャンピオンになりたいのは私)」(シメオネ監督)、「El equipo es ambicioso/エル・エキポ・エス・アンビシオーソ(チームには野心がある)。毎年、4位で、タイトルを獲れないのはイヤだよ」(コケ)と、アトレティコはCL出場圏に安住していることで満足しているという、世間の指摘を否定していたものの、これは私には何とも言えないところ。まずはビッツェル、ヒメネスが累積警告で出場停止、コリセウムで左脚の筋肉を負傷して、ハーフで交代したバリオスもお休みとなるオサスナ戦、そして最終節のアウェイゲーム、レアル・ソシエダ戦でも勝って、3位に這い上がれたら、信じてあげてもいいかもしれません。 とりあえず、ドルトムント戦2ndレグで楽勝シュートを外し、その後、顔面神経痛で休んだ後、めっきり出番が減少。この日もプレーしなかったモラタがシーズン終了まで、ゴールを1本も挙げないまま、ユーロのスペイン代表のエースとなるのはどうかという問題は先送りにすることにして、一方のヘタフェはというと。いやあ、シーズン後半は選手の退団や長期の負傷者で元々、頭数を欠いているだけに、さすがに連戦は堪えたか、MFのアレニャをfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)にして、マタ、ラタサを後半頭まで温存する作戦が裏目に出ちゃったんですかね。 前半にはグリーンウッドのシュートがGKオブラクの手により、ゴールバーに逸らされてしまうという、惜しいチャンスもあったんですが、人出が足りずに最後はとうとう、19才のカンテラーノ(ヘタフェBの選手)、リスコがデビューするぐらい。ボルダラス監督も「Lo mejor es que acabe cuanto antes/ロ・メホール・エス・ケ・アカベ・クアントー・アンテス(できるだけ早く終わるのがいい)。来季のチーム構想に集中して、いい選手を沢山、獲らないと」と言っていたんですが、やはり急務はFW陣の補填かと。 ええ、アトレティコ戦の後半20分過ぎにはファンもチームの反撃力にまったく期待を抱けず、コリセウムから、どんどん引き揚げていったなんてこともありましたしね。どうやらマタも契約更新をしないようですし、ヒザの靭帯を断裂したボルハ・マジョラルも開幕から戻って来る訳ではないとなると…何より、今度は同じ負傷からエネス・ウナルが復帰した途端、ボーンマスに売却してしまったような過ちを、アンヘル・トーレス会長が犯さないようにしてもらいたいものです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.19 00:05 Sun

リーガ2位以下はまだ闘っている…/原ゆみこのマドリッド

「またお祝いするのかなあ」そんな風に私が恐れていたのは月曜日、今更というタイミングで来るミッドウィークリーガのレアル・マドリーvsアラベス戦がもう、火曜に迫っていることに気がついた時のことでした。いやあ、日曜に1週間遅れでリーガ優勝祝賀行事開催の運びとなり、出発前の午前10時にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でマスコミもファンも入れず、ひっそりスペイン・サッカー協会会長のロチャ氏から、23-24シーズンのトロフィーをマドリーはもらっていたんですけどね。それを携えて、セントロ(中心部)のプレルタ・デ・ソルにあるマドリッド州庁舎、続いてまさにシベレス噴水広場に面しているマドリッド市庁舎を表敬訪問した後、選手たちは背広を脱ぎ、36回目リーガ優勝記念シャツに着替えてオープンデッキバスに乗車。 すでに何千人ものファンが待っていた広場と逆の方向に走り出し、付近の数ブロックを回るパレードをしてから、噴水周りにキャットウォークが設置されているシベレスに戻り、そこでは歌あり、踊りありのお馴染みのお祝い風景が展開されることに。最後は今季の第1キャプテン、ナチョが女神像にbufanda(ブファンダ/マフラー)、bandera(バンデラ/旗)を巻きつけるという、宿願を果たしたんですが、まあ、その一部始終はレアル・マドリーTVだけでなく、テレマドリッド(ローカルTV局)までが4時間近くに渡って、生中継をしてくれましたからね。私も夏日となった暑さと紫外線、人込みにも煩わされず、快適に見られたのは良かったんですが、何せ、アラベス戦は週末リーガより遅い、午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)キックオフなんですよ。 そこでまた、試合が終わった後、選手たちにトロフィーを持って、場内一周などされた日にはそれこそ、帰りが何時になることやら。大体がして、その試合もマドリーにしてみれば、6月1日のドルトムントとのCL決勝に「El objetivo es llegar con toda la plantilla a tope/エル・オブヘティーボ・エス・ジェガール・コン・トーダ・ラ・プランティージャ・ア・トペ(目的は選手全員が最高の状態で辿り着くこと)」(アンチェロッティ監督)という扱いですからね。もちろん、その中にはウェンブリーでマドリーのゴールを守るのが、「ルーニンは素晴らしいシーズンを送った。自身のレベルに到達すれば、クルトワは世界一のGK」(同)という、熾烈なポジション争いをしている選手もいるんですが、最終決定は2週間後のリーガ最終節が終わってからになるのだとか。 そこに、すでに2節前には1部残留が確定。金曜には来季のCL出場権獲得済みで、バルサと2位争いをしているジローナに後半ロスタイムのゴールで2-2と追いついたとはいえ、すでに目標は達成。ルイス・ガルシア監督がこの3試合は今季出番の少なかった選手を起用していくという方針のアラベスをサンティアゴ・ベルナベウに迎える訳ですからね。シメオネ監督の三男ジュリアーノやサムなど、アトレティコからレンタルされているFWの成長ぶりを見るという個人的な興味はあるものの、それ以外、特に見どころといっても思いつかず。となると、やっぱりファンはトロフィー付きのお祝いを期待して、スタジアムに来るんじゃないかと思ってしまうんですが…。 え、その祝賀行事の前日、マドリーは試合をしていなかったかって?その通りで、彼らは土曜にヌエボ・ロス・カルメネスでグラナダ戦となったんですが、早い時間帯の試合でマジョルカがラル・パルマスに勝っていたため、キックオフ前から、相手は2部降格が決定。それでも律儀にグラナダの選手たちはピッチ入場時にPacillo de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を作って、マドリーに敬意を表してくれたんですが、どうやらそれが試合中も続いてしまったよう。ええ、ここ2節、レアル・ソシエダ戦、カディス戦同様、スタメンをリュディガー以外、控え選手でローテーションしたマドリーだったんですが、彼らだって、CL決勝での途中出場枠を掴みたいですからね。 しばらくはグラナダの守備陣も持ちこたえていたんですが、前半38分にはブライムがエリア内右から出したパスをゴール前のモドリッチはスルーしたものの、突撃してきたフラン・ガルシアが撃ち込んで、自身のトップチーム初ゴールを挙げると、ロスタイムの47分にはギュラーにアシスト。ようやくリーガ優勝が近くなって、出番をもらえるようになった19才のトルコ人MFがシュートを決め、再び才能の片りんを見せつけてくれるんですから、ほとほと、マドリーの若手選手発掘力には感心するしかないかと。 0-2で始まった後半、来季はエムバテ(PSG退団を発表)が来ても、エンドリッキ(パルメイラス)が来ても一歩も引かないという決意を見せてくれたのはブライムで、4分にはセンターからドリブルで上がると、敵DF2人かわして撃ったシュートで3点目をゲット。更に14分にもモドリッチからもらったパスをゴール前から決めて、4点目を奪っていたんですが、うーん、グラナダもその前後にはウズニにチャンスがあったんですけどね。そのvolea(ボレア/ボレーシュート)もヘッドも外れてしまったため、今回はたった1シーズンで2部最速リターンとなったことを嘆く、スタンドのファンにゴール祝いの1つもさせてあげられませんでしたっけ。 試合はそのまま0-4で終わり、いえ、先日のCL準決勝バイエルン戦2ndレグでチームを決勝進出に導いた2ゴールを挙げたホセルが3度程、惜しいシュートを弾かれてしまったなんてこともあったんですけどね。彼の場合、ほとんどベンチスタートでありながら、もうリーガとCLで計14得点もしているため、もっと大事な試合のためにゴールをお取り置きしていると思えばいいのでは?この日は選手交代もリュディガー、モドリッチをナチョ、クロースにしただけで、ビニシウス、ロドリゴ、ベリンガム、バルベルデ、カルバハル、メンディらは日曜の祝賀行事に備えて、体力温存できましたしね。今のところ、マドリーで気になるのは、シベレス広場でも杖をついて歩いているのが目撃されたチュアメニの足のケガが、CL決勝までに治るのかどうかぐらいでしょうか。 そして日曜はマドリーの祝賀行事をTVで見た後、メトロポリターノに向かった私だったんですが、ええ、こちらも大賑わいでしたよ。スタジアム周辺で土曜からやっている”Fin de Semana del Nino/フィン・デ・セマーナ・デル・ニーニョ(子供の週末)”のアトラクションは。天気も良かったため、そこここで、フードトラックで売っている軽食や持参のお弁当を食べている家族も多かったんですが、そのセルタを迎えた一戦の内容が彼らを満足させたかどうかは微妙かと。 だってえ、前日には5位のアスレティックが後半ロスタイムにはビジャリブレのゴールでオサスナに2-2と追いついたものの、勝ち点2を落として、マストの4位確定に大きく近づく絶好のチャンスだったにも関わらず、アトレティコは全然、シュートが決まらないんですよ。リケルメ、サヌエル・リノ、ジョレンテと皆、GKグァイタに止められてしまい、ええ、前節マジョルカ戦での出場停止から戻ったグリーズマンもこのところ、「Si jugara toda la temporada entera al nivel que jugó hasta abril es muy difícil/シー・フガラ・トーダ・ラ・テンポラーダ・エンテーラ・アル・ニベル・ケ・フゴ・アスタ・アブリル・エス・ムイ・ディフィシル(シーズン全てを4月までのレベルでプレーするのはとても難しい)」とシメオネ監督も認めていたように、パスすら、ようよう味方に届かないぐらいの大殺界中ですからね。 前の時間帯で18位のカディスがルーカス・アルカラスのPKでヘタフェに1-0と勝ったのを知りながら、一応、勝ち点5差はあることから、セルタのヒラルデス監督がそのまま0-0で引分けるのも悪くないと思い始めた後半、アトレティコはリノをモラタに代えて、気持ちも新たに挑んだものの…それがもう、3月初旬のベテイス戦以来、ゴールを1本も挙げておらずとも、デ・ラ・フエンテ監督にはユーロのスペイン代表に呼んでもらえると、モラタは達観しちゃったんでしょうか。 この日もヘッドを2本、外したぐらいで、むしろ30分過ぎにグリーズマンと交代で入った、負傷から復帰したばかりのメンフィス・デパイの方がずっとセルタのゴールを脅かしていたかと。それがまさか、どんどん残り時間が減っていく中、いよいよ大詰め38分になって、15分に途中出場となったデ・パウルがメトロポリターノマジックを発動してくれるとは!その少し前にも彼がバリオスにラストパスを送って、そのジャンピングボレーがゴールバーに当たるという、惜しいチャンスがあったんですが、この時はコケの蹴ったCKをウナイ・ヌニェスが頭でクリア。そのボールがゴール前の一団に加わっていなかったデ・パウルのところに落ちてきたところ…。 ええ、当人も後で「エリアの端にいる時は、カウンターを喰わらないためにプレーを終わらせないといけない。Sabía que si me caía, iba a golpear/サビア・ケ・シー・メ・カイア、イバ・ア・ゴルペアル(自分のところに落ちたら、撃つのはわかっていたよ)」と話していたんですけどね。胸でトラップしたボールをボレーシュートでゴール右端に決めてしまったから、ビックリしたの何のって。いやあ、ヒラルデス監督は「Ellos tienen un talentazo/エジョス・ティエネン・ウン・タレンタソ(彼らには凄い才能がある)」とお世辞を言ってくれていたものの、こういうのが、アトレティコでゴールになるのはまさに奇跡。前節マジョルカ戦から無失点体制を取り戻した彼らにはこの1点で十分で、そのまま、1-0で勝ってくれたとなれば、本当にメトロポリターノ様々ですって。 おかげでアスレティックとの差を勝ち点8まで広げたアトレティコは次節、この差をキープすれば、無事に4位が確定して、来季もCLでプレーできることになったんですが、それもありましたかね。珍しく、シメオネ監督が試合後恒例の場内一周をする選手たちに加わっていたのは。まあ、このセルタ戦でも選手たちの体力が早くも前半半ばには枯渇したのか、歩いてプレーしているシーンがチラホラ。大体がして、お隣さんなど、今はアトレティコより、ハードスケジュールなのに疲れはまったく見られず、それは体力も選手の才能の一部だからなのか、あまりいい練習をしていないせいなのか、突っ込みどころは沢山あるんですけどね。その辺はもう、この時期に言っても仕方ない? そんなアトレティコはこのミッドウィークリーガ、水曜午後10時(日本時間翌午前5時)にヘタフェとの兄弟分ダービーでコレセウムに乗り込むことに。何せ、デ・パウルも「いつも沢山のファクターがある。Habrá que seguir buscando las explicaciones/アブラ・ケ・セギール・ブスカンドー・ラス・エクスプリカシオネス(理由を探し続けないといけないだろう)」と言っていたように、今になっても今季の強烈なアウェイ弱者ぶりの原因はわかっていませんからね。とりあえず、ヘタフェは残留が確定しているのと、もうコンフェレンスリーグ出場圏の7位とは勝ち点11も離れてしまったため、ここは兄貴分に花を持たせてくれると助かるんですが、果たしてどうなるんでしょうか。 そして日曜の続く時間帯にメスタジャでバレンシア戦となったラージョは、最後までGKママルダシビリに阻まれて、ゴールを入れることができず。スコアレスドローの痛み分けだったんですが、こちらは水曜のグラナダ戦でカディスとの勝ち点差を6のまま保てれば、いよいよ残留確定となるよう。いえ、先日はすでに降格していたアルメリアにエスタディオ・バジェカスで0-1と負けた彼らだけに、同じ身分となったばかりのグラナダ相手に勝てる保証はまったくないんですけどね。とはいえ、このままズルズル白星がないまま、シーズンを終えるのもファンにしてみれば、つまらないでしょうし、ここは「Vida de pirata/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」をスタンドが唱和して終われる結果になってくれることを願っています。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.14 21:00 Tue

もう逆転には驚かなくなった…/原ゆみこのマドリッド

「差が激しいわね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、今週末のメトロポリターノは「Fin de Semana del Nino/フィン・デ・セマーナ・デル・ニーニョ(子供の週末)」と銘打って、スタジアム周辺がキッズパークに化すと知った時のことでした。いやあ、確かに日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)にはセルタ戦もあって、家族連れには嬉しい企画なんでしょうが、折しもその日はレアル・マドリーのリーガ優勝祝勝行事の日。 午前10時半にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトロフィーをもらった後、マドリッド州庁舎、マドリッド市庁舎を表敬訪問して、午後1時頃からは交通止めしたシベレス噴水広場のステージでファンとお祝いというスケジュールになっているんですが、その間、アトレティコファンはキッズパークで遊んでいろとでも?まあ、お祝いの様子はレアル・マドリーTVが生中継してくれるため、日本にいるファンも楽しめそうな時間で良かったと思いますが、ええ、水曜にCL決勝進出も決まっただけに、選手たちも一片の憂いもなく、ハジケられますからね。 それと比べ、とうにCLから敗退、来季の出場権もまだ確定せず、未だに4位争いという、お隣さんとは次元の違う闘いに明け暮れているのがアトレティコなんですが、え?もし何かの間違いでもあって、準々決勝でドルトムントを破っていれば、準決勝の相手、PSGはエムバペがまったく存在感を示せず。2連敗で敗退したぐらいなんだから、彼らだって、ウェンブリーでの決勝に行けたんじゃないかって?うーん、そう思うと、私もますます悔しくなるんですが、物は考えよう。 だってえ、木曜にはロンドンへの航空券が800ユーロ(約14万円)近くに高騰しているんですよ。それもお隣さんと当たるとなれば、いくら今季、マドリーが唯一、負けた2試合がアトレティコ戦だとはいえ、CLに関しては異次元の力が働くみたいですからね。2014年、2016年の決勝の二の舞になるのはほぼ間違いなく、アトレティコファンが涙して帰って来る運命にあるとすれば、6月1日は360度大型スクリーンもすでに稼働済み。おかげでピッチに置かれたスクリーンを見るより、ずっと快適に観戦できるようになったサンティアゴ・ベルナベウでのパブリックビューイングで、ドルトムントとの決勝を楽しむのも悪くはないかと思うことにしているんですが…。 まあ、そんなことはともかく、水曜のCL準決勝バイエルン戦2ndレグがどうだったかもお伝えしていかないと。1週間前の1stレグではミュンヘンで2-2とイーブンの結果だったため、特に今回はremontada(レモンターダ/逆転突破)と気合を入れる必要はなかったんですが、この日も忠実なマドリーファンたちは午後7時から、ベルナベウ周辺に集まって、4000人以上がチームバスをお出迎え。そのほとんどは試合のチケットを持っていないため、ええ、丁度、キックオフ1時間半前に私が家を出て、いつもTV観戦する近所のバル(喫茶店兼バー)にコーヒーを飲みに入ったところ、すでにテーブル席を確保して待機しているファンが何人もいましたからね。 チームバスがスタジアムに入った後、座れるバルを見つけるのは難しいんじゃないかと思ったんですが、それはそれ。4200人のバイエルンファンも駆けつけ、超満員になったベルナベウでの一戦はアリアンツ・アレナとは真逆のスタートに。ええ、あちらでは鬼のように攻めてきたトゥーヘル監督のチームに前半15分までに5、6本もシュートを撃たれ、クロースの神パスから、ビニシウスのゴールで先制したのが、冗談みたいでしたけどね。そこはやっぱり、スタンド全面を覆うモザイクで迎えてくれたファンの前で、防戦一方の姿は見せられませんって。 早くも12分にはビニシウスのシュートがGKノイアーが触った後にポストに当たり、そのボールを撃ったロドリゴも止められてしまうという、ビッグチャンスがあったんですが、残念ながら、最初の45分、観客はゴールを祝うことはできなかったんですよ。その脇で27分には1stレグでは控えだったナブリがケガを再発。このところ、マドリー移籍の噂が出たり、消えたりしている左SBのデイビスがピッチに入り、ハリー・ケイン、ムシアラ、ザネと合わせ、アタッカー4人を並べたトゥーヘル監督の攻撃的人員起用が頓挫してしまったなんてこともあったんですが、そのまま、試合は0-0で入ることに。 後半も序盤はシュートをバイエルンより、多く撃っていたマドリーだったんですが、GKノイアーを破ることはできず、うーん、ドルトムント戦で30本以上シュートを撃って無得点だったPSGはともかく、先週末には私もヘタフェやラージョが撃っても撃ってもゴールが入らない病にかかっているのを目の辺りにしたばかりでしたからね。これはもしやマドリーもと、眉をひそめかけた矢先の23分、バイエルンがカウンターを発動。ケインからボールをもらったデイビスがマドリーエリア内までドリブルで上がり、先制点を挙げてしまったから、さあ大変! いえ、大変なのはバイエルンの方ですよ。というのも、この0-1という逆境がマドリーのレモンターダ魂を刺激するのは火を見るよりも明らかだったから。実際、即座にアンチェロッティ監督がクロースとチュアメニをモドリッチとカマビンガに代えた後、26分にはモドリッチの蹴ったCKから、バルベルデが撃ったボールがデイビスに当たってオウンゴールとなったんですが、この時はナチョがキミッヒの顔をど突いて倒したとして、VAR(ビデオ審判)注進を受けた主審がモニターをチェック。結果、ファールでノーゴールとなったんですが、何よりマズかったのは、バイエルンが残り時間を計算せずに先制してしまったことでしょうか。 何せ私なんか、マドリーダービーがある度、アトレティコが逆転されずに済むには残り10分?いや、ロスタイム入り直前に得点すれば、逃げ切れるかもしれないと考えている口ですからね。それなのに、トゥーヘル監督が31分にはザネをCBのキム・ミンジュに、40分にはもう大丈夫だろうと大黒柱のケインとムシアラをチュポ・モティングとミュラーに代えてしまったのは早計もいいところ。いえまあ、後で当人はどの選手も身体的トラブルで交代を余儀なくされたと言っていたんですけどね。 さすがに無得点のまま、アンチェロッティ監督が35分にロドリゴとバルベルデを下げ、ホセルとブライムを入れた時には、ええ、2021-22シーズンの奇跡のレモンターダラッシュの決勝トーナメント、奇しくもトゥーヘル監督が率いていたチェルシーとの準々決勝2ndレグやマンチェスター・シティとの準決勝2ndレグで終盤に口火を切ったのはロドリゴでしたからね。これは如何なものかと思ったものの、大丈夫。もう、このチームのレモンターダ根性はどの選手がどうとか言うレベルのもんじゃないんですよ。 それが起こったのはいよいよ大詰め43分、バイエルンのエリアを囲んでの長いプレーで、ビニシウスが撃ったシュートをノイアーがキャッチできず。当人によると、「ボールは胸の辺りに来ると予想していたんだが、芝でイレギュラーに跳ねて、少し上に来た」そうなんですが、こぼれたボールにホセルが脱兎のごとく駆けつけたんですよ。そのまま押し込んで同点ゴールをゲットしてしまうとはまさにシナリオ通り。おまけに1-1では延長戦でまた帰りが遅くなるのが嫌だった私の願いを叶えるがごとく、46分には再びホセルが今度はリュディガーのラストパスから決めて、勝ち越し点を挙げてくれたから、もう場内は興奮の坩堝と化すことに。 いやあ、元はマドリーのカンテラーノ(RMカスティージャの選手)だったものの、その後はクラブを転々。2年前にはアラベスでプレーしていたホセルは、奥さん同士が姉妹という縁で義兄弟となったカルバハルのつてで、パリでのCL決勝リバプール戦を現地観戦していたんですけどね。それが昨季は2部に降格したエスパニョールで16得点挙げ、サラ(スペイン人の得点王)を獲ったこともあり、マドリーにレンタル移籍で来ることになったのも何ですが、まさか、CL準決勝でマドリーのレモンターダの主役となるとは、当人も想像すらしていなかったのでは? え、それでも最初は9分、それがホセルの2点目のVARオフサイド判定などにも時間がかかって、延々と続いたロスタイムの13分には、バイエルンもデ・リフトがゴールを決めていなかったかって?まあ、そうなんですが、その際、線審が先走って、リュディガーがエリア内に落ちてきたボールをヘッドした段階でオフサイドの旗を上げてしまい、主審も笛を吹いたため、マドリーの選手たちはプレーを停止。その状態で入ったゴールは認められず、同点にはならなかったのはラッキーだったかと。 もちろん、バイエルンサイドは猛抗議。そのまま試合が2-1と終わった後も「現代のサッカールールに反している」(トゥーヘル監督)、「オフサイドが明確でない時はプレーを続けさせなければいけない。線審はボクにミスだと謝っていた」(デ・リフト)と不満を爆発させていたんですけどね。といっても、たとえ同点になって、延長戦入りしたとて、「Esto es el Real Madrid, siempre creemos en nosotros y ha pasado una vez más/エストー・エス・エル・レアル・マドリッド、シエンプレ・クレエモス・エン・ノソトロス・ア・パサードー・ウナ・ベス・マス(これがレアル・マドリーだ。いつもボクらは自身を信じていて、また同じことが起きた)」(ビニシウス)という、彼らが勝っていたんじゃないかと思うのはきっと、私だけではない? うーん、さすがに2年ぶりの決勝進出だけに、ピッチで「A por la 15/ア・ポル・ラ・デシモキンタ(15回目のCL優勝を目指して)」と書かれたユニを身に着けた選手たちが場内一周。往復ダイブなどで盛大に祝った後、会見に出てきたアンチェロッティ監督も「Es algo mágico y no tiene ninguna explicación/エス・アルゴ・マヒコ・イ・ノー・ティエネ・ニングーナ・エクスプリカシオン(これはマジックのようもの。全然、説明できない)」と、尋常ではないレモンターダ体質がどうして発現するのか、わからないようなんですけどね。こればっかりは、2014年からの10年間にCL優勝を5回もしているという事実という共に、もうマドリーはこういうチームなんだと思うしかないんですが、となると、おそらく今季の決勝も勝つのは…。 そんなマドリーも、日曜にはリーガ優勝祝賀行事を行うとはいえ、この3週間はリーガの残り4試合をプレーしないとならず、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)にはアウェイでグラナダ戦に挑むことに。ファンにしてみれば、CL決勝まで間がありすぎて、じれったく感じられるかもしれませんが、アンチェロッティ監督とっては、「Estos partidos nos van a ayudar a preparar la final/エストス・パルティードス・ノス・バン・ア・アジュダール・ア・プレパラール・ラ・フィナル(これらの試合は決勝の準備をするのに役立つ)。ローテーションはするが、全員がプレーする」のだそう。 その中には先週末のカディス戦でプレシーズンにヒザの靭帯を断裂して以来、ようやく復帰を遂げたGKクルトワと、その少し前に同じケガから戻ったミリトンに実戦のリズムを取り戻させる目的もあるようで、いや、シーズン後、ブラジル代表でコパ・アメリカが控えている後者はわかりますけどね。ベルギー代表の前者は今年のユーロに行かないと予め宣言。となれば、調子を上げる必要があるとしたら、ルーニンに代わって、CL決勝でプレーしてもらう下心があるんじゃないかと穿ってしまうんですが、果たして如何に。 それより、気の毒なことになりそうなのはグラナの方で、ええ、19位の彼らは土曜の先の時間でプレーするマジョルカがラス・パルマスに負けない限り、たとえ、マドリーに勝っても今節で2部降格が決定。いえまあ、日曜にホームにマドリッドの弟分、ヘタフェを迎える17位カディスも負けると、セルタ、ラージョ、マジョルカの結果如何によって、降格が決まってしまうかもしれないんですけどね。逆に3チームが確定すると、やはり日曜にアウェイでバレンシア戦となる16位のラージョが助かるという面もあるんですが、この辺はいかにも世知辛い。 一方、木曜にはメトロポリターノでセルタ戦に向けた練習をしていたアトレティコはというと、こちらも土曜のアスレティックvsオサスナ戦の結果次第ではまた、5位との差が勝ち点3になってしまいますからね。ヒメネスが今季7度目の負傷をして、出場できないとはいえ、この試合には前節、出場停止だったグリーズマンも戻って来る上、極楽浄土のホームゲームとなれば、そんなに心配する必要はないはずですが…来週のミッドウィークリーガではコリセウムでの兄弟分ダービー、最終節はサン・セバスティアンでのレアル・ソシエダ戦とまだ2試合も超苦手のアウェイゲームが残っているのが、何か嫌ですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.11 22:00 Sat
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly