逆転できているうちは問題ない…/原ゆみこのマドリッド
2023.10.07 18:00 Sat
「また代表戦が来るのね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、デ・ラ・フエンテ監督の招集リスト発表が午前中にあったのに気がついた時のことでした。いやあ、スペイン代表に限って言えば、9月のparon(パロン/リーガの停止期間)明け以来、地獄の7連戦の渦中にあるマドリッド勢の兄貴分、レアル・マドリーからケパ、カルバハル、ホセル、フラン・ガルシアが呼ばれたのはともかく、負傷者多発により、ここ数試合、トップチームのフィールドプレーヤー全員が稼働。ベンチ観戦となるのは、ヘルプに来たカンテラーノ(Bチームの選手)だけという状態が続いているアトレティコはモラタが招集されただけですからね。
昨年のW杯後、ルイス・エンリケ監督(現PSG)を引き継いだデ・ラ・フエンテ監督がコケやマルコス・ジョレンテを完全に忘れ、9月に復帰招集となったアスピリクエタも今回、免れたのは有難いんですが、ふと気づいて、アルゼンチン代表のリストを見てみると、やっぱりあったんですよ。デ・パウルとナウエル・モリーナの名前が。そう、デ・パウルなど、9月の代表戦で負傷して戻り、アトレティコの試合に出られるようになったのは先週末のカディス戦から。1週間しか、クラブでのお勤めが果たせず、また代表に行ってケガしてきたら、目も当てられないとはまさにこのことでは?
同様にトルコ代表でケガしたソユンチュ、スペインU21代表で右足を痛め、クラブに帰還後、2試合目のCLラツィオ戦ハーフで交代したバリオスなど、この10月の代表戦の後にならないと実戦復帰できませんし、いえ、もちろん、メンフィス・デパイやレマル、ヒネメスなど、9月に代表に行かずとも現在、リハビリ中の選手もいるんですけどね。とりわけ今回はどの選手も青息吐息でお国のご奉公に出向くため、それこそグリーズマン(フランス)やオブラク(スロベニア)に何事も起きないことを祈るばかりなんですが…。
まあ、代表戦についてはまた来週にでもお話しすることにして、今週のマドリッド勢のCLグループリーグ2節がどうだったか、伝えていくことにすると。それが偶然にも両者共、3-2と競ったスコアでの逆転勝利だったんですが、一足早く、火曜にスタディオ・デェゴ・アルマンド・マラドーナに乗り込んだマドリーは前半19分、クバラツヘリアの蹴ったCKをパンチングしようとしたGKケパが空振り。アンチェロッティ監督に「空中戦では少し苦労するが、それは普通のこと。身長が2mもないんだから。Nadie es perfecto/ナディエ・エス・ペルフェクトー(完璧な者はいない)」と現在、靭帯断裂したヒザのリハビリに励んでいるクルトワを引き合いに出して、慰められていたんですが、ナタンのヘッドはバーを直撃したものの、ゴール前にいたエスティゴーアに頭で叩き込まれ、先制点を奪われてしまってはねえ。
ただ、生粋のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質を持つマドリーがこの程度の失点でショックを受ける訳もなく、27分にはベリンガムが長い足を生かして、敵エリア前でディ・ロレンツォのパスをカット。ビニシウスに繋いで、そのシュートで同点ゴールが入ったんですが、この夏の1億ユーロ(約160億円)越えギャラクティコはそれだけの値打ちがあることを毎試合、証明してくれますよねえ。34分にも中盤から、ドリブルで上がり、エリア内で敵DFをかわすと、今度は自身のシュートで勝ち越しゴールを挙げているのですから、まったくもって凄いじゃないですか。
そこでマドリーは再び勝ち越し点を奪うべく、左SBとして2試合目の先発したカマビンガとクロースを19分にはメンディとモドリッチに代え、30分には相変わらず、シュートが入らないロドリゴから、FWもホセルに代えたんですが、お助けゴールは思わぬところから生まれることに。そう、33分、モドリッチのCKはナポリの選手にクリアされてしまったんですが、そのボールをエリアの外から全身全霊を込めて蹴ったのはバルベルデ。時速107kmとも言われる弾丸シュートがオリベイラに当たって軌道を変え、ゴールバーに弾かれた後、GKメレトの背中に当たってゴールとなったとなれば、レモンターダの鬼、マドリーの真骨頂、まさにここにあり?
いえ、後でバルベルデも「Me ha dado un poco de pena porque miré el marcador al final y no pone Valverde/メ・ア・ダードー・ウン・ポコ・デ・ペナ・ポルケ・ミレ・エル・マルカドール、アル・フィナル・イ・ノー・ポネ・バルベルデ(最後にスコアボードを見て、得点者がバルベルデじゃなかったのはちょっと残念だった)」と言っていた通り、この3点目はメレトのオウンゴールになったんですけどね。そのまま2-3でグループリーグ2連勝としたとなれば、次のスポルティング・ブラガ連戦でマドリーの決勝トーナメント進出が確定する可能性も大いにあるかと。
一方、昨季はグループリーグ最下位で10月にヨーロッパから完全撤退。1年ぶりとなるCLホームゲームで、水曜にオランダ王者フェイエノールトをメトロポリターノに迎えたアトレティコはというと、いやあ、リーガ前節のカディス戦でも0-2から逆転勝ちして、最近はお隣さんのお株を奪うようになってきたのはいいんですが、序盤のうっかり失点まで真似するようになってねえ。そう、開始7分、サンティ・ヒメネスの出場停止処分で先発CFに抜擢された上田綺世選手に撃たれたシュートはGKオブラクが弾いたんですが、2人の間にいたエルモーソに当たって、オウンゴールって、あんまりじゃないですか。
でもアトレティコのリアクションはマドリーより早く、13分にはデ・パウルのスルーパスをトラウナーがエリア内でカットしたところ、これがいい具合にモラタの足元に。オサスナ戦での退場により、前節は休養を取れたスペインのエースがしっかりシュートを決め、早々と同点にしてくれたんですが、本来のスルーパスの受け手であったサウールがオフサイドの位置にいたため、ゴールがスコアに挙がるにはVARモニターチェックを待たないといけなかったなんてことも。ただ、ずっと出ずっぱり選手ばかりのアトレティコはその日もあまりガソリンがなく、その後はフェイエノールトに自陣に押し込まれ、ええ、シメオネ監督も「Necesitamos estar menos tiempo defendiendo y tener más la pelota/ネセシタモス・エスタル・メノス・ティエンポー・デフェンディエンドー・イ・テネール・マス・ラ・ペロータ(ウチは守っている時間を短くして、もっとボールを持たないといけない)が、そのためにはエネルギーがいる」と嘆いていたんですけどね。
おかげで延々とCK祭りを続けるフェイエノールトが34分、とうとう当たりを引き、この時はステングスのFKをハンコが2度撃ちで勝ち越し点に変えたんですが、いやあ、助かりますよね。少なくとも今はアトレティコのFWたちにゴール運があるのは。そう、前半ロスタイム4分、珍しくCK攻撃の側に回った彼らはサムエル・リノがゴール前に送ったボールをビッツェルが敵と争い、最後はグリーズマンがchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)でゴールに。2-2の同点でハーフタイムに入ってくれたから、助かったの何のって。
そして後半2分、まだ体力のあるうちにと敵ゴールに向かったアトレティコはモリーナのクロスをまたしてもモラタがゴール前から決めて、逆転に成功したんですが、はあ。そこからは残り時間との勝負で、シメオネ監督は15分にはリノを本職左SBのハビ・ガランに代え、終盤にはグリーズマン、モリーナをコレア、リケルメと入れ替え、トップチームのフィールドプレーヤー15人だけでできる最大限のローテーションを実施。終盤にはカンテラーノのCBコスティスも入れて、DFがピッチに何人いるのか、わからなくなっていましたが、それでもオブラクが上田選手と交代で入ったミンテのシュートを逸らしてくれていなかったら、どうなっていたことか。
ええ、ロスタイム5分が始まるやいなや、フェイエノールトはセットプレーにGKベレンロイターを参加させ、全員攻撃をかけてきたんですが、もうそこから当人は自分のゴールに1度も戻らず。スローインとかでもアトレティコ陣内にいて、しかもそのユニが1節で土壇場の同点ゴールをヘッドで奪ったラツィオのGKプロベデルと同じ黄色って、もしかして何かを期待しての嫌がらせだった?ようやく3-2で試合が終わった後、シメオネ監督も「hoy conseguimos evitar el escenario de vértigo con el portero rival subiendo a rematar/オイ・コンセギモス・エビタル・エル・エセナリオ・デ・ベルティーゴ・コン・エル・ポルテーロ・リバル・スビエンドー・ア・レマタル(今日は敵GKが上がってシュートするという眩暈がするようなシーンを避けることができた)」と言っていましたが、ホント、心臓に悪い1年ぶりのCL勝利でしたっけ。
ただ、これはシメオネ監督によると、「リーガはプレーの強度が他より低いから、マドリー以外のスペインのチームはCLで苦労する」という一般的な現象で、マドリーが例外なのはカマビンガ、ベリンガム、チュアメニ、ビニシウス、ロドリゴといった、並外れて優秀な若手選手を揃えているからだとか。まあ確かにそれもありますが、そうは言っても別にアトレティコの負傷者たちは年だから、ケガが多い訳ではありませんからね。とにかく7連戦の打ち上げとなる、この日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのレアル・ソシエダ戦までは何とか、選手たちの体力が持ってくれるといいのですが、サビッチはようやく筋肉痛が治ったとはいえ、コレアのヒザがまだ痛むとあって、こればっかりはねえ。相手も今週はCLザルツブルク戦が火曜にあったんですが、0-2とアウェイで快勝してきた上、休養日が1日多いのがハンデにならないといいのですが。
そして他のマドリッド勢の週末のリーガ戦の予定も伝えておくと、先陣を切るのはマドリーで土曜午後4時15分にサンティアゴ・ベルナベウでオサスナ戦。実は今回の彼らはナチョの出場停止とアラバが予定通りに回復しなかったのが重なって、CBがリュディガー1人となる事態に陥っているんですが、アンチェロッティ監督はチュアメニかメンディで代用するよう。ただ、こちらも7連戦最後とはいえ、トップチームには今季は出場機会が少なく、物議を醸しているモドリッチを始め、ルーカス・バスケス、セバージョス、フラン・ガルシアと体力をあまり消耗していない選手たちがいますからね。たとえ、コンフェレンスリーグのプレーオフでクラブ・ブルージュに負け、グループリーグに進めなかったオサスナがミッドウィークは試合がなく、休養十分でもそんなに恐れる必要はないかと。
続いて土曜の夜にはラージョがサンチェス・ピスファンでCL組のセビージャに挑むんですが、相手が火曜にPSVとアウェイで2-2と、初戦のランス戦に続いて引分けて、あまり士気の上がらない結果だったのは、弟分にとって朗報かも。ただ、フランシスコ監督のチームも先週のリーガ3連戦を3引分けと、このところ、少々停滞していますからね。余裕を持って練習できた今週末は気合も新たにラージョらしい、思い切りのあるプレーを見せてもらいたいところですが、果たしてどんな結果となるやら。
そしてもう1つの弟分、ヘタフェは日曜午後6時30分から、今季はベニテス監督を招聘したにも関わらず、現在、降格圏にいるセルタとバライドスで対戦となるんですが、こちらの今週の話題はホームスタジアムの名前がコリセウム・アルフォンソ・ペレスから、ただのコリセウムに変わったこと。これも何か変な話で、大体がして、アルフォンソ・ペレスはマドリー育ちの選手で、1990~2000年代の現役時代、1度もヘタフェでプレーしたことはなく、ヘタフェ出身の有名人というだけだったんですけどね。その彼が、このルビアレス・サッカー協会元会長が女子W杯トロフィー授与式で起こしたジェニ・エルモーソ(パチューカ)に対するセクハラ・キス事件を機に、サッカー界のジェンダー差別に世間が敏感になっている最中、「女子サッカーは興行的に男子サッカーとは比べ物にならない。スペイン女子代表チームが平等な待遇を要求するのもいいが、足を地につけて物を考えないと」とインタビューで言っちゃったんですよ。
それがヘタフェの女性市長の怒りを招き、市営であるスタジアムの名称変更をクラブに求めたところ、あっさりコリセウムだけになったんですが、アンヘル・トーレス会長によると、もうスポンサーの当てもあって、近く別の名前になるのだとか。まあ、一番大事なのはチームが勝利して、ファンを笑顔にしてあげることですからね。先日、今季アウェイで初勝ち点1を獲得したサン・マメスでのアスレティック戦の終盤、ケガした振りの時間稼ぎを疑われ、イニャキ・ウィリアムスとボルダラス監督の口論の原因なったカルモナも今節は治ったようですし、現在、12位の順位を一桁にして、10月の代表戦週間を迎えられたらいいんじゃないでしょうか。
昨年のW杯後、ルイス・エンリケ監督(現PSG)を引き継いだデ・ラ・フエンテ監督がコケやマルコス・ジョレンテを完全に忘れ、9月に復帰招集となったアスピリクエタも今回、免れたのは有難いんですが、ふと気づいて、アルゼンチン代表のリストを見てみると、やっぱりあったんですよ。デ・パウルとナウエル・モリーナの名前が。そう、デ・パウルなど、9月の代表戦で負傷して戻り、アトレティコの試合に出られるようになったのは先週末のカディス戦から。1週間しか、クラブでのお勤めが果たせず、また代表に行ってケガしてきたら、目も当てられないとはまさにこのことでは?
同様にトルコ代表でケガしたソユンチュ、スペインU21代表で右足を痛め、クラブに帰還後、2試合目のCLラツィオ戦ハーフで交代したバリオスなど、この10月の代表戦の後にならないと実戦復帰できませんし、いえ、もちろん、メンフィス・デパイやレマル、ヒネメスなど、9月に代表に行かずとも現在、リハビリ中の選手もいるんですけどね。とりわけ今回はどの選手も青息吐息でお国のご奉公に出向くため、それこそグリーズマン(フランス)やオブラク(スロベニア)に何事も起きないことを祈るばかりなんですが…。
ただ、生粋のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質を持つマドリーがこの程度の失点でショックを受ける訳もなく、27分にはベリンガムが長い足を生かして、敵エリア前でディ・ロレンツォのパスをカット。ビニシウスに繋いで、そのシュートで同点ゴールが入ったんですが、この夏の1億ユーロ(約160億円)越えギャラクティコはそれだけの値打ちがあることを毎試合、証明してくれますよねえ。34分にも中盤から、ドリブルで上がり、エリア内で敵DFをかわすと、今度は自身のシュートで勝ち越しゴールを挙げているのですから、まったくもって凄いじゃないですか。
38分にはケパもナポリのエース、オシムヘンの強烈ヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)して面目躍如してくれたため、1点リードのまま、後半を迎えたマドリーですが、実はまだ一山あったんです。折しもこの日のキックオフ前、リーガ前節のジローナ戦終盤にポルトゥに危険なタックルを見舞い、レッドカードで退場したナチョに出場停止処分3試合が課されたんですが、どうも今の彼は大殺界なんですかね。オシムヘンのシュートをブロックしたところ、自身の足に当たって跳ねたボールが腕に触れ、VAR(ビデオ審判)モニターでプレーを確認した主審がペナルティを宣告。アンチェロッティ監督も「La regla dice que un rebote no se puede pitar/ラ・レグラ・ディセ・ケ・ウン・レボテ・ノー・セ・プエデ・ピタール(規則では、リバウンドはペナルティにはならないと言っている)」と異議を唱えていたんですが、ジエリンスキーのPKが決まり、9分には2-2の同点にされてしまうんですから、まったくツイてない。
そこでマドリーは再び勝ち越し点を奪うべく、左SBとして2試合目の先発したカマビンガとクロースを19分にはメンディとモドリッチに代え、30分には相変わらず、シュートが入らないロドリゴから、FWもホセルに代えたんですが、お助けゴールは思わぬところから生まれることに。そう、33分、モドリッチのCKはナポリの選手にクリアされてしまったんですが、そのボールをエリアの外から全身全霊を込めて蹴ったのはバルベルデ。時速107kmとも言われる弾丸シュートがオリベイラに当たって軌道を変え、ゴールバーに弾かれた後、GKメレトの背中に当たってゴールとなったとなれば、レモンターダの鬼、マドリーの真骨頂、まさにここにあり?
いえ、後でバルベルデも「Me ha dado un poco de pena porque miré el marcador al final y no pone Valverde/メ・ア・ダードー・ウン・ポコ・デ・ペナ・ポルケ・ミレ・エル・マルカドール、アル・フィナル・イ・ノー・ポネ・バルベルデ(最後にスコアボードを見て、得点者がバルベルデじゃなかったのはちょっと残念だった)」と言っていた通り、この3点目はメレトのオウンゴールになったんですけどね。そのまま2-3でグループリーグ2連勝としたとなれば、次のスポルティング・ブラガ連戦でマドリーの決勝トーナメント進出が確定する可能性も大いにあるかと。
一方、昨季はグループリーグ最下位で10月にヨーロッパから完全撤退。1年ぶりとなるCLホームゲームで、水曜にオランダ王者フェイエノールトをメトロポリターノに迎えたアトレティコはというと、いやあ、リーガ前節のカディス戦でも0-2から逆転勝ちして、最近はお隣さんのお株を奪うようになってきたのはいいんですが、序盤のうっかり失点まで真似するようになってねえ。そう、開始7分、サンティ・ヒメネスの出場停止処分で先発CFに抜擢された上田綺世選手に撃たれたシュートはGKオブラクが弾いたんですが、2人の間にいたエルモーソに当たって、オウンゴールって、あんまりじゃないですか。
でもアトレティコのリアクションはマドリーより早く、13分にはデ・パウルのスルーパスをトラウナーがエリア内でカットしたところ、これがいい具合にモラタの足元に。オサスナ戦での退場により、前節は休養を取れたスペインのエースがしっかりシュートを決め、早々と同点にしてくれたんですが、本来のスルーパスの受け手であったサウールがオフサイドの位置にいたため、ゴールがスコアに挙がるにはVARモニターチェックを待たないといけなかったなんてことも。ただ、ずっと出ずっぱり選手ばかりのアトレティコはその日もあまりガソリンがなく、その後はフェイエノールトに自陣に押し込まれ、ええ、シメオネ監督も「Necesitamos estar menos tiempo defendiendo y tener más la pelota/ネセシタモス・エスタル・メノス・ティエンポー・デフェンディエンドー・イ・テネール・マス・ラ・ペロータ(ウチは守っている時間を短くして、もっとボールを持たないといけない)が、そのためにはエネルギーがいる」と嘆いていたんですけどね。
おかげで延々とCK祭りを続けるフェイエノールトが34分、とうとう当たりを引き、この時はステングスのFKをハンコが2度撃ちで勝ち越し点に変えたんですが、いやあ、助かりますよね。少なくとも今はアトレティコのFWたちにゴール運があるのは。そう、前半ロスタイム4分、珍しくCK攻撃の側に回った彼らはサムエル・リノがゴール前に送ったボールをビッツェルが敵と争い、最後はグリーズマンがchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)でゴールに。2-2の同点でハーフタイムに入ってくれたから、助かったの何のって。
そして後半2分、まだ体力のあるうちにと敵ゴールに向かったアトレティコはモリーナのクロスをまたしてもモラタがゴール前から決めて、逆転に成功したんですが、はあ。そこからは残り時間との勝負で、シメオネ監督は15分にはリノを本職左SBのハビ・ガランに代え、終盤にはグリーズマン、モリーナをコレア、リケルメと入れ替え、トップチームのフィールドプレーヤー15人だけでできる最大限のローテーションを実施。終盤にはカンテラーノのCBコスティスも入れて、DFがピッチに何人いるのか、わからなくなっていましたが、それでもオブラクが上田選手と交代で入ったミンテのシュートを逸らしてくれていなかったら、どうなっていたことか。
ええ、ロスタイム5分が始まるやいなや、フェイエノールトはセットプレーにGKベレンロイターを参加させ、全員攻撃をかけてきたんですが、もうそこから当人は自分のゴールに1度も戻らず。スローインとかでもアトレティコ陣内にいて、しかもそのユニが1節で土壇場の同点ゴールをヘッドで奪ったラツィオのGKプロベデルと同じ黄色って、もしかして何かを期待しての嫌がらせだった?ようやく3-2で試合が終わった後、シメオネ監督も「hoy conseguimos evitar el escenario de vértigo con el portero rival subiendo a rematar/オイ・コンセギモス・エビタル・エル・エセナリオ・デ・ベルティーゴ・コン・エル・ポルテーロ・リバル・スビエンドー・ア・レマタル(今日は敵GKが上がってシュートするという眩暈がするようなシーンを避けることができた)」と言っていましたが、ホント、心臓に悪い1年ぶりのCL勝利でしたっけ。
ただ、これはシメオネ監督によると、「リーガはプレーの強度が他より低いから、マドリー以外のスペインのチームはCLで苦労する」という一般的な現象で、マドリーが例外なのはカマビンガ、ベリンガム、チュアメニ、ビニシウス、ロドリゴといった、並外れて優秀な若手選手を揃えているからだとか。まあ確かにそれもありますが、そうは言っても別にアトレティコの負傷者たちは年だから、ケガが多い訳ではありませんからね。とにかく7連戦の打ち上げとなる、この日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのレアル・ソシエダ戦までは何とか、選手たちの体力が持ってくれるといいのですが、サビッチはようやく筋肉痛が治ったとはいえ、コレアのヒザがまだ痛むとあって、こればっかりはねえ。相手も今週はCLザルツブルク戦が火曜にあったんですが、0-2とアウェイで快勝してきた上、休養日が1日多いのがハンデにならないといいのですが。
そして他のマドリッド勢の週末のリーガ戦の予定も伝えておくと、先陣を切るのはマドリーで土曜午後4時15分にサンティアゴ・ベルナベウでオサスナ戦。実は今回の彼らはナチョの出場停止とアラバが予定通りに回復しなかったのが重なって、CBがリュディガー1人となる事態に陥っているんですが、アンチェロッティ監督はチュアメニかメンディで代用するよう。ただ、こちらも7連戦最後とはいえ、トップチームには今季は出場機会が少なく、物議を醸しているモドリッチを始め、ルーカス・バスケス、セバージョス、フラン・ガルシアと体力をあまり消耗していない選手たちがいますからね。たとえ、コンフェレンスリーグのプレーオフでクラブ・ブルージュに負け、グループリーグに進めなかったオサスナがミッドウィークは試合がなく、休養十分でもそんなに恐れる必要はないかと。
続いて土曜の夜にはラージョがサンチェス・ピスファンでCL組のセビージャに挑むんですが、相手が火曜にPSVとアウェイで2-2と、初戦のランス戦に続いて引分けて、あまり士気の上がらない結果だったのは、弟分にとって朗報かも。ただ、フランシスコ監督のチームも先週のリーガ3連戦を3引分けと、このところ、少々停滞していますからね。余裕を持って練習できた今週末は気合も新たにラージョらしい、思い切りのあるプレーを見せてもらいたいところですが、果たしてどんな結果となるやら。
そしてもう1つの弟分、ヘタフェは日曜午後6時30分から、今季はベニテス監督を招聘したにも関わらず、現在、降格圏にいるセルタとバライドスで対戦となるんですが、こちらの今週の話題はホームスタジアムの名前がコリセウム・アルフォンソ・ペレスから、ただのコリセウムに変わったこと。これも何か変な話で、大体がして、アルフォンソ・ペレスはマドリー育ちの選手で、1990~2000年代の現役時代、1度もヘタフェでプレーしたことはなく、ヘタフェ出身の有名人というだけだったんですけどね。その彼が、このルビアレス・サッカー協会元会長が女子W杯トロフィー授与式で起こしたジェニ・エルモーソ(パチューカ)に対するセクハラ・キス事件を機に、サッカー界のジェンダー差別に世間が敏感になっている最中、「女子サッカーは興行的に男子サッカーとは比べ物にならない。スペイン女子代表チームが平等な待遇を要求するのもいいが、足を地につけて物を考えないと」とインタビューで言っちゃったんですよ。
それがヘタフェの女性市長の怒りを招き、市営であるスタジアムの名称変更をクラブに求めたところ、あっさりコリセウムだけになったんですが、アンヘル・トーレス会長によると、もうスポンサーの当てもあって、近く別の名前になるのだとか。まあ、一番大事なのはチームが勝利して、ファンを笑顔にしてあげることですからね。先日、今季アウェイで初勝ち点1を獲得したサン・マメスでのアスレティック戦の終盤、ケガした振りの時間稼ぎを疑われ、イニャキ・ウィリアムスとボルダラス監督の口論の原因なったカルモナも今節は治ったようですし、現在、12位の順位を一桁にして、10月の代表戦週間を迎えられたらいいんじゃないでしょうか。
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