いよいよ連戦最終週が始まる…/原ゆみこのマドリッド
2023.10.03 20:00 Tue
「そうか、もう移動しないといけないんだ」そんな風に私が忙しない選手たちに同情していたのは月曜日、お昼のニュースでレアル・マドリーがナポリに着いた映像を見た時のことでした。いやあ、先週はミッドウィーク開催のリーガが挟まったため、1部20チームは等しく1週間に3試合というハードスケジュールをこなさないといけなかったんですけどね。変わって今週はヨーロッパの大会のグループリーグ開催となるため、マドリッド勢ではCLのあるマドリーとアトレティコの兄貴分たちだけが平日も息を抜けないことに。要は9月の各国代表戦週間終了後、10月のparon(パロン/リーガの停止期間)まで、彼らは週2試合ペースで計7試合こなさないといけないって、ちょっと半端なくない?
おかげで先週末土曜にリーガ戦をプレーしたマドリーは火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCLグループリーグ2節ナポリ戦に備え、日曜にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でリハビリセッション。あとはスタディオ・デェゴ・アルマンド・マラドーナで前日練習をちょこっとやって、グループC最強のライバルと首位を懸けて激突するんですが、間抜けなお隣さんと違い、彼らがグループリーグを突破できなかったシーズンなど、私は見たことがありませんからね。今季は初戦のユニオン・ベルリン戦にも勝っていますし、たとえ、このナポリ戦には先週ミッドウィークのラス・パルマス戦で負傷したアラバの回復が間に合わなかったとて、Decioquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝)を目指すアンチェロッティ監督のチームが引けを取ることはないのでは?
一方、リーガ戦が日曜だったアトレティコはCLフェイエノールト戦を水曜午後6時45分(日本時間翌午前1時45分)にメトロポリターノで迎えるんですが、よっぽど疲れていたのか、月曜に予定されていたマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションがジム調整だけに変更。火曜に1回だけ練習して、本番に挑むんですが、こちらは1節ラツィオ戦で後半ロスタイムに敵GKのヘッドで同点ゴールを決められて引き分けに。昨季のようにCL早期敗退をしないためには一刻も早く、白星を挙げないといけないんですが、この試合を前にポジティブな要素を挙げるとすれば、ミッドウィークリーガのオサスナ戦で退場したモラタが出場停止で週末はお休みし、休養が取れたことぐらいかと。
逆に今週は余裕を持って、リーガ戦の準備ができるのはヨーロッパの大会不参加の弟分たちで、それどころか、土曜にセビージャ戦となるラージョなど、向こうが火曜のPSV戦で消耗した後に挑めるという利点が。いえ、日曜試合のヘタフェは相手がセルタと同じ身分なので、特にアドバンテージはないんですけどね。立場を代えて、土曜にオサスナを迎えるマドリーは体力的に不利となるとはいえ、元々、あそこはスーパーアスリート揃いのチームですし、火曜にザルツブルク戦を済ませ、1日休養日が多いレアル・ソシエダと日曜にプレーするアトレティコも少々、分が悪い方ですが、もうこうなったら、根性で頑張るしかない?
まあ、先のことはまた後で考えるとして、今は先週末の試合を振り返っていくことにすると、土曜に先陣を切ったのはヘタフェで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにビジャレアルを迎えることに。その日の試合では前節アスレティック戦でレッドカードを受けたボルダラス監督がベンチに入れず、ラジオのボックス席から指揮を執っていたんですが、いやあ、ヘタフェファンには本当にボルダラス監督信者が多いんですね。サン・マメスでイニャキ・ウィリアムスにイチャモンをつけられたのに反発したか、スタジアム周辺で大勢が似顔絵の紙を手にしていたのから始まり、場内には似顔絵入りTシャツを着た人もかなり多数。応援団も似顔絵旗を掲げて支持を表明していたんですが、残念ながら、結果はスコアレルドローだったんですよ。
そしてその日は午後6時30分にジローナvsマドリー戦があったため、次の時間帯だったラージョvsマジョルカ戦はパスして、自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)まで戻ったんですが、折しもエスタディオ・バジェカスでは土壇場にドラマが起きていたんですよ。いえ、私が目撃できたのは最後にファルカオがPKを決めて、後半57分に2-2と追いついたラージョがメデタク、勝ち点1をゲットした瞬間だけだったんですけどね。どうやら、それに至るまでに紆余曲折があったようで、前半4分にカメージョのスルーパスをアルバロ・ガルシアがゴールに撃ち込み、フランシスコ監督のチームは早々に先制。それが44分にはFKからムリキに同点にされ、後半14分にもアントニオ・サンチェスに決められて逆転されてしまったものの、ロスタイムになって、VARが大活躍することに。
ええ、3分にはレッドカードがイエローに変わり、RdT(ラウール・デ・トマス)の退場を免れたラージョは、10分にRdTとエリア内でボールを争ったジオ・ゴンサレスがハンドとされ、PKをゲット。もちろんファルカオがキッカーを買って出たんですが、GKライコビッチに弾かれてしまったから、さあ大変!するとここでもVARが介入し、ライコビッチがPKを蹴る前にゴールラインを離れていたことが発覚。やり直しのPKもファルカオが蹴って、「Ha tenido la personalidad de coger el balón y tirarlo dos veces/ア・テニードー・ラ・ペルソナリダッド・デ・コヘール・エル・バロン・イ・ティラールロ・ドス・ベセス(強い意志でボールを掴んで、2度共、蹴った)」とフランシスコ監督を満足させる引き分けをもたらしてくれたんですが、バジェカスの盛り上がりを現場で体験できなかったのはちょっと悔しいですよね。
その後、バルのTVではジローナ戦が始まったんですが、金曜にセビージャに勝ったバルサに抜かれるまで、クラブ史上初の単独首位に立っていた相手はマドリーにまったく臆することなくスタート。序盤から、ヤンヘル・エレーラのヘッドがかろうじて逸れたり、ツィハンコフもポスト直撃しているのを見た時は昨季、タティ・カステジャーノス(ラツィオに移籍)が4ゴールを挙げ、モンティリビで4-2と負けた試合を思い出したんですが、この日のマドリーは違ったんです。
いえ、メンディでもなく、フラン・ガルシアでもなく、緊急時に代理を務める本職ボランチのカマビンガが左SBで先発したのは別にいいんですけどね。17分、前節ラル・パルマス戦を疲労でベンチ観戦したベリンガムが右サイドから出したクロスをホセルがブリントに先んじてゴール前でシュートを決め、先制したかと思えば、21分にもクロースの蹴ったCKをマーカーのブリントが離れた隙を利用して、チュアメニが頭でマドリー初ゴール。2点目をゲットとはまったく、最近にしては珍しく効率がいいじゃないですか。
0-2で後半が始まると、ミチェル監督もバレリやストゥアーニを入れて反撃を図ったんですが、26分のホセルのシュートはGKガッサニガに弾かれてしまったものの、その跳ね返りを当人が繋ぎ、ベリンガムがvolea(ボレア/ボレーシュート)で3点目を挙げているんですから、やっぱり彼の本性はFWだった?だってえ、これでベリンガムはリーガ6ゴールとなり、レバンドフスキ(バルサ)やモラタ、そして土曜最後の時間帯だったバスクダービーで今季5得点目を挙げた久保建英選手(レアル・ソシエダ)らを抑えて、ピチチ(得点王)レースの単独トップなんですよ。このペースがずっと続いたら、シーズン30得点弱となって、それこそ覇権を争える数になりますが、まあそれはそれ。
さすが3点差にもなると、ジローナもにわか首位と毎シーズン、優勝を争っている名門との実力差をひしひしと感じたか、結局、そのまま試合は0-3で終わったんですが、実はこちらも後半ロスタイムに一悶着が。ええ、どこかで配線が切れたか、ベテランのナチョがポルトゥに全力でタックルし、右足首と臀部を痛めた相手が担架退場となってしまったとなれば、一発レッド退場も仕方ありませんって。
これには「Falta de lucidez de Nacho, que habitualmente es un jugador muy correcto/ファルタ・デ・ルシデス・デ・ナチョ、ケ・アビトゥアルメンテ・エス・ウン・フガドール・ムイ・コレクトー(ナチョに懸命さが欠けていた。普段は品行方正な選手なんだが)」と記者会見で言っていたアンチェロッティ監督を始め、当人も、更にはペレス会長までが謝罪する破目になっていましたが、いえ、ナポリ戦はCLだから関係ないんですけどね。もしアラバのケガが治らない場合、週末のリーガでマドリーはCBがリュディガーしかいない事態に陥るって、これは結構、ヤバイかも。
え、そんな先の予想でなく、まさしく日曜のカディス戦でFWがグリーズマンオンリーになってしまうところだったアトレティコはどうしたんだって?いやあ、モラタの出場停止処分こそ、上訴委員会にも却下されて覆らなかったんですけどね。以前から回復力の速さに定評のあるコレアが、「con la expulsión de Álvaro estaba Griezmann solo en la delantera/コン・ラ・エクスプルシオン・デ・アルバロ・エスタバ・グリースマン・ソロ・エン・ラ・デランテーラ(モラタの退場で前線にはグリーズマンしかいなかった)から、痛みはまだ少しあったけど、チームを助けるためにムリした」と必死にリハビリ。1週間前のマドリーダービーでベリンガムに蹴られて捻ったヒザを超特急で治し、メトロポリターノのピッチにスタメンとして立ってくれるとはホント、泣かせてくれじゃないですか。
その根性に報いようと、開始早々、グリーズマンもシュートを放ったんですが、1本目はポストに弾かれ、2本目はGKレデスマにセーブされてしまったため、昨今の連戦かつ負傷者多発による過重労働による蓄積疲労から、早期決戦を目指していたアトレティコの目論見は水疱と化すことに。それどころか、12分にはリケルメがサルディアにファールを受けたと皆で抗議している間、ささっとボールを繋いだカディスがクリス・ラモスのラストパスから、ルーカス・ピレスのシュートで先制点を挙げているんですから、呆気に取られたの何のって。その後、パニックに陥ったアトレティコはお馴染みのパスが3度と続かない惨状を披露して、いえ、21分にファリが自陣から放ったロングシュートはギリギリ、枠を外れてくれたんですけどね。27分にはレデスマの敵陣深くまで届くゴールキックをアスピリクエタがヘッドで後ろに送ったところ、どんピシャの場所にいたのはFWのロジェール。
エリア内からvaselina(バセリーナ/ループシュート)を撃たれ、早くも2点目を奪われているって、これが1週間前、お隣さんを3-0と叩きのめしたチームだったなんて、一体、誰に信じられましょうか。でも大丈夫。というのも逆に0-2となって腹を括ったか、そこからコレアの奮闘が始まり、32分、最初に撃ったシュートはレデスマに弾かれてしまったものの、回り回って、アスピリクエタが入れたクロスをヘッドで決めてくれたから!
この1点が反撃の礎となり、後半には1分も経たないうちに再びコレアが敵エリア内右奥まで侵入すると、taconazo(タコナソ/ヒールキック)でボールをジョレンテに託し、うーん、今季も彼にはあまり冴えが見られないんですけどね。案の条、そのゴール右前からのシュートはレデスマに止められてしまったんですが、すかさず駆けつけたナウエル・モリーナが渾身の力を込めて蹴ったボールがハビ・エルナンデスに当たり、同点ゴールとなってくれたから、どんなに場内も沸いたことか。
いえ、ハーフタイムにメンバーの1人が逮捕されたことにより、後半は応援ボイコットして、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側スタンド)を空にしていたウルトラたちはどこで祝っていたのか、知りませんけどね。15分にはジョレンテ、コケ、リケルメから、デ・パウル、ヒメネス、サムエル・リノに代え、その日は計14人となけなしのトップチームメンバーをリフレッシュしたアトレティコは21分、完全に体力が切れる前にどこぞのチームが得意なremontada(レモンターダ/逆転劇)を完成。右サイドを上がったモリーナがリノに横パスで繋ぎ、エリア内に切り込んだサウールがアシストして、コレアが自身、この試合2本目となるゴールを決めて、3-2とスコアを引っくり返しているとなれば、世間から、ヒザの負傷の信憑性に疑問を投げかけられても仕方なかった?
ポンポンと逆転され、却って2点先取していただけにショックが大きかったか、それ以降はカディスの反撃もほとんどなく、最後のトップチームメンバー、ガランも終盤、足を打撲したアスピリクエタの代わりに出場。これで在庫一掃したアトレティコはそのまま勝利して、選手たちもダービーから2試合連続、大好きな場内一周をして、4位浮上をファンに感謝していたんですが、実は懸念がない訳ではないんですよ。というのも途中出場したデ・パウルの足の速さが異様に目立っていたように、9月のアルゼンチン代表戦で負傷して帰って来て以来、プレーしていなかった彼とここずっと、出ずっぱりの選手たちとの体力差がありありだったから。
いえ、シメオネ監督は「No importa que seamos trece o catorce, debemos estar fuertes/ノー・インポルタ・ケ・セアモス・トレセ・オ・カトルセ、デベモス・エスタル・フエルテス(13人だろうが、14人だろうが関係ない。皆、強くあらねばならない)」と言っていたんですけどね。本来なら、リードしたら、水曜のCLに備えて、チームの旗艦であるグリーズマンやまだ痛みがあるのに出場したコレアなど、即座に休ませてあげるのが王道かと思いますが、どちらも揃ってフル出場。シメオネ監督が今イチ、応援に呼んだカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちを信頼できないのもわかりますが、中2日のフェイエノールト戦だって、筋肉痛でカディス戦を休んだサビッチが戻って来られればマシなぐらいで、他の負傷者の復帰は10月の代表戦明けに。それまであと2試合、これ以上、ケガ人が増えず、選手たちの体力が持ってくれることを祈るばかりですが、ホント、こんなに早く、正念場がやって来るとは思いませんでしたよ。
おかげで先週末土曜にリーガ戦をプレーしたマドリーは火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCLグループリーグ2節ナポリ戦に備え、日曜にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でリハビリセッション。あとはスタディオ・デェゴ・アルマンド・マラドーナで前日練習をちょこっとやって、グループC最強のライバルと首位を懸けて激突するんですが、間抜けなお隣さんと違い、彼らがグループリーグを突破できなかったシーズンなど、私は見たことがありませんからね。今季は初戦のユニオン・ベルリン戦にも勝っていますし、たとえ、このナポリ戦には先週ミッドウィークのラス・パルマス戦で負傷したアラバの回復が間に合わなかったとて、Decioquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝)を目指すアンチェロッティ監督のチームが引けを取ることはないのでは?
一方、リーガ戦が日曜だったアトレティコはCLフェイエノールト戦を水曜午後6時45分(日本時間翌午前1時45分)にメトロポリターノで迎えるんですが、よっぽど疲れていたのか、月曜に予定されていたマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションがジム調整だけに変更。火曜に1回だけ練習して、本番に挑むんですが、こちらは1節ラツィオ戦で後半ロスタイムに敵GKのヘッドで同点ゴールを決められて引き分けに。昨季のようにCL早期敗退をしないためには一刻も早く、白星を挙げないといけないんですが、この試合を前にポジティブな要素を挙げるとすれば、ミッドウィークリーガのオサスナ戦で退場したモラタが出場停止で週末はお休みし、休養が取れたことぐらいかと。
まあ、先のことはまた後で考えるとして、今は先週末の試合を振り返っていくことにすると、土曜に先陣を切ったのはヘタフェで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにビジャレアルを迎えることに。その日の試合では前節アスレティック戦でレッドカードを受けたボルダラス監督がベンチに入れず、ラジオのボックス席から指揮を執っていたんですが、いやあ、ヘタフェファンには本当にボルダラス監督信者が多いんですね。サン・マメスでイニャキ・ウィリアムスにイチャモンをつけられたのに反発したか、スタジアム周辺で大勢が似顔絵の紙を手にしていたのから始まり、場内には似顔絵入りTシャツを着た人もかなり多数。応援団も似顔絵旗を掲げて支持を表明していたんですが、残念ながら、結果はスコアレルドローだったんですよ。
ええ、前半22分にはミトロビッチとぶつかって倒れた時にcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞っていたのがVAR(ビデオ審判)により発覚し、レッドカードでバエナが退場となったにも関わらず、その日のヘタフェは得意のヘッドも炸裂せず。それ以降、GKヨルゲンセンがゴールキックに計10分以上かけるなど、時間稼ぎに徹したビジャレアルの作戦にまんまとはまってしまったんですが、こんな光景を見せつけられると、ファールの多さはともかく、ボルダラス流サッカーにケチをつけられるチームはないのでは?そんな日に限って、ロスタイムは前後半合わせてたったの7分しかもらえませんでしたしね。1週間前のエスタディオ・バジェカスでのラージョ戦同様、数的劣勢になりながら、引分けに持ち込んだパチェタ監督は満足かもしれませんが、4試合ぶりにゴールが入らないヘタフェを目の当たりすることになったファンにはフラストレーションの溜まる展開だったかと。
そしてその日は午後6時30分にジローナvsマドリー戦があったため、次の時間帯だったラージョvsマジョルカ戦はパスして、自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)まで戻ったんですが、折しもエスタディオ・バジェカスでは土壇場にドラマが起きていたんですよ。いえ、私が目撃できたのは最後にファルカオがPKを決めて、後半57分に2-2と追いついたラージョがメデタク、勝ち点1をゲットした瞬間だけだったんですけどね。どうやら、それに至るまでに紆余曲折があったようで、前半4分にカメージョのスルーパスをアルバロ・ガルシアがゴールに撃ち込み、フランシスコ監督のチームは早々に先制。それが44分にはFKからムリキに同点にされ、後半14分にもアントニオ・サンチェスに決められて逆転されてしまったものの、ロスタイムになって、VARが大活躍することに。
ええ、3分にはレッドカードがイエローに変わり、RdT(ラウール・デ・トマス)の退場を免れたラージョは、10分にRdTとエリア内でボールを争ったジオ・ゴンサレスがハンドとされ、PKをゲット。もちろんファルカオがキッカーを買って出たんですが、GKライコビッチに弾かれてしまったから、さあ大変!するとここでもVARが介入し、ライコビッチがPKを蹴る前にゴールラインを離れていたことが発覚。やり直しのPKもファルカオが蹴って、「Ha tenido la personalidad de coger el balón y tirarlo dos veces/ア・テニードー・ラ・ペルソナリダッド・デ・コヘール・エル・バロン・イ・ティラールロ・ドス・ベセス(強い意志でボールを掴んで、2度共、蹴った)」とフランシスコ監督を満足させる引き分けをもたらしてくれたんですが、バジェカスの盛り上がりを現場で体験できなかったのはちょっと悔しいですよね。
その後、バルのTVではジローナ戦が始まったんですが、金曜にセビージャに勝ったバルサに抜かれるまで、クラブ史上初の単独首位に立っていた相手はマドリーにまったく臆することなくスタート。序盤から、ヤンヘル・エレーラのヘッドがかろうじて逸れたり、ツィハンコフもポスト直撃しているのを見た時は昨季、タティ・カステジャーノス(ラツィオに移籍)が4ゴールを挙げ、モンティリビで4-2と負けた試合を思い出したんですが、この日のマドリーは違ったんです。
いえ、メンディでもなく、フラン・ガルシアでもなく、緊急時に代理を務める本職ボランチのカマビンガが左SBで先発したのは別にいいんですけどね。17分、前節ラル・パルマス戦を疲労でベンチ観戦したベリンガムが右サイドから出したクロスをホセルがブリントに先んじてゴール前でシュートを決め、先制したかと思えば、21分にもクロースの蹴ったCKをマーカーのブリントが離れた隙を利用して、チュアメニが頭でマドリー初ゴール。2点目をゲットとはまったく、最近にしては珍しく効率がいいじゃないですか。
0-2で後半が始まると、ミチェル監督もバレリやストゥアーニを入れて反撃を図ったんですが、26分のホセルのシュートはGKガッサニガに弾かれてしまったものの、その跳ね返りを当人が繋ぎ、ベリンガムがvolea(ボレア/ボレーシュート)で3点目を挙げているんですから、やっぱり彼の本性はFWだった?だってえ、これでベリンガムはリーガ6ゴールとなり、レバンドフスキ(バルサ)やモラタ、そして土曜最後の時間帯だったバスクダービーで今季5得点目を挙げた久保建英選手(レアル・ソシエダ)らを抑えて、ピチチ(得点王)レースの単独トップなんですよ。このペースがずっと続いたら、シーズン30得点弱となって、それこそ覇権を争える数になりますが、まあそれはそれ。
さすが3点差にもなると、ジローナもにわか首位と毎シーズン、優勝を争っている名門との実力差をひしひしと感じたか、結局、そのまま試合は0-3で終わったんですが、実はこちらも後半ロスタイムに一悶着が。ええ、どこかで配線が切れたか、ベテランのナチョがポルトゥに全力でタックルし、右足首と臀部を痛めた相手が担架退場となってしまったとなれば、一発レッド退場も仕方ありませんって。
これには「Falta de lucidez de Nacho, que habitualmente es un jugador muy correcto/ファルタ・デ・ルシデス・デ・ナチョ、ケ・アビトゥアルメンテ・エス・ウン・フガドール・ムイ・コレクトー(ナチョに懸命さが欠けていた。普段は品行方正な選手なんだが)」と記者会見で言っていたアンチェロッティ監督を始め、当人も、更にはペレス会長までが謝罪する破目になっていましたが、いえ、ナポリ戦はCLだから関係ないんですけどね。もしアラバのケガが治らない場合、週末のリーガでマドリーはCBがリュディガーしかいない事態に陥るって、これは結構、ヤバイかも。
え、そんな先の予想でなく、まさしく日曜のカディス戦でFWがグリーズマンオンリーになってしまうところだったアトレティコはどうしたんだって?いやあ、モラタの出場停止処分こそ、上訴委員会にも却下されて覆らなかったんですけどね。以前から回復力の速さに定評のあるコレアが、「con la expulsión de Álvaro estaba Griezmann solo en la delantera/コン・ラ・エクスプルシオン・デ・アルバロ・エスタバ・グリースマン・ソロ・エン・ラ・デランテーラ(モラタの退場で前線にはグリーズマンしかいなかった)から、痛みはまだ少しあったけど、チームを助けるためにムリした」と必死にリハビリ。1週間前のマドリーダービーでベリンガムに蹴られて捻ったヒザを超特急で治し、メトロポリターノのピッチにスタメンとして立ってくれるとはホント、泣かせてくれじゃないですか。
その根性に報いようと、開始早々、グリーズマンもシュートを放ったんですが、1本目はポストに弾かれ、2本目はGKレデスマにセーブされてしまったため、昨今の連戦かつ負傷者多発による過重労働による蓄積疲労から、早期決戦を目指していたアトレティコの目論見は水疱と化すことに。それどころか、12分にはリケルメがサルディアにファールを受けたと皆で抗議している間、ささっとボールを繋いだカディスがクリス・ラモスのラストパスから、ルーカス・ピレスのシュートで先制点を挙げているんですから、呆気に取られたの何のって。その後、パニックに陥ったアトレティコはお馴染みのパスが3度と続かない惨状を披露して、いえ、21分にファリが自陣から放ったロングシュートはギリギリ、枠を外れてくれたんですけどね。27分にはレデスマの敵陣深くまで届くゴールキックをアスピリクエタがヘッドで後ろに送ったところ、どんピシャの場所にいたのはFWのロジェール。
エリア内からvaselina(バセリーナ/ループシュート)を撃たれ、早くも2点目を奪われているって、これが1週間前、お隣さんを3-0と叩きのめしたチームだったなんて、一体、誰に信じられましょうか。でも大丈夫。というのも逆に0-2となって腹を括ったか、そこからコレアの奮闘が始まり、32分、最初に撃ったシュートはレデスマに弾かれてしまったものの、回り回って、アスピリクエタが入れたクロスをヘッドで決めてくれたから!
この1点が反撃の礎となり、後半には1分も経たないうちに再びコレアが敵エリア内右奥まで侵入すると、taconazo(タコナソ/ヒールキック)でボールをジョレンテに託し、うーん、今季も彼にはあまり冴えが見られないんですけどね。案の条、そのゴール右前からのシュートはレデスマに止められてしまったんですが、すかさず駆けつけたナウエル・モリーナが渾身の力を込めて蹴ったボールがハビ・エルナンデスに当たり、同点ゴールとなってくれたから、どんなに場内も沸いたことか。
いえ、ハーフタイムにメンバーの1人が逮捕されたことにより、後半は応援ボイコットして、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側スタンド)を空にしていたウルトラたちはどこで祝っていたのか、知りませんけどね。15分にはジョレンテ、コケ、リケルメから、デ・パウル、ヒメネス、サムエル・リノに代え、その日は計14人となけなしのトップチームメンバーをリフレッシュしたアトレティコは21分、完全に体力が切れる前にどこぞのチームが得意なremontada(レモンターダ/逆転劇)を完成。右サイドを上がったモリーナがリノに横パスで繋ぎ、エリア内に切り込んだサウールがアシストして、コレアが自身、この試合2本目となるゴールを決めて、3-2とスコアを引っくり返しているとなれば、世間から、ヒザの負傷の信憑性に疑問を投げかけられても仕方なかった?
ポンポンと逆転され、却って2点先取していただけにショックが大きかったか、それ以降はカディスの反撃もほとんどなく、最後のトップチームメンバー、ガランも終盤、足を打撲したアスピリクエタの代わりに出場。これで在庫一掃したアトレティコはそのまま勝利して、選手たちもダービーから2試合連続、大好きな場内一周をして、4位浮上をファンに感謝していたんですが、実は懸念がない訳ではないんですよ。というのも途中出場したデ・パウルの足の速さが異様に目立っていたように、9月のアルゼンチン代表戦で負傷して帰って来て以来、プレーしていなかった彼とここずっと、出ずっぱりの選手たちとの体力差がありありだったから。
いえ、シメオネ監督は「No importa que seamos trece o catorce, debemos estar fuertes/ノー・インポルタ・ケ・セアモス・トレセ・オ・カトルセ、デベモス・エスタル・フエルテス(13人だろうが、14人だろうが関係ない。皆、強くあらねばならない)」と言っていたんですけどね。本来なら、リードしたら、水曜のCLに備えて、チームの旗艦であるグリーズマンやまだ痛みがあるのに出場したコレアなど、即座に休ませてあげるのが王道かと思いますが、どちらも揃ってフル出場。シメオネ監督が今イチ、応援に呼んだカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちを信頼できないのもわかりますが、中2日のフェイエノールト戦だって、筋肉痛でカディス戦を休んだサビッチが戻って来られればマシなぐらいで、他の負傷者の復帰は10月の代表戦明けに。それまであと2試合、これ以上、ケガ人が増えず、選手たちの体力が持ってくれることを祈るばかりですが、ホント、こんなに早く、正念場がやって来るとは思いませんでしたよ。
|