選手がどんどん減っていく…/原ゆみこのマドリッド
2023.09.30 20:00 Sat
「ローテーションできるって贅沢よね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、ミッドウィーク開催リーガが終わった途端、夜には8節の皮切りとなるバルサvsセビージャ戦があることに気づいた時のことでした。いやあ、前節はチャビ監督のチームがレバンドフスキを温存したせいもあって、マジョルカと引分け、首位を失ったなんてこともあったんですけどね。お隣さんにしても先週末のマドリーダービーではホセルを先発させず、5人MF体制でスタートしたところ、3-0と久々の完敗を喫してしまったんですが、水曜のラス・パルマス戦ではベリンガムを休ませながらも順当に勝利。アンチェロッティ監督も10月の各国代表戦週間のparon(パロン/リーガの停止期間)が来るまで、ローテーションは必須という立ち位置のようですが、いいですよね。マドリーやバルサはレギュラーの代わりに入るのもトップチームの一流選手なんですから。
それがアトレティコときてみたら、うーん、この夏はジョアン・フェリックスがバルサにレンタル移籍するまで、25人の登録枠が全て埋まっていて、シメオネ監督がずっと所望していたボランチ1人すら、獲得できない状態だったんですけどね。移籍最終日にジョアンが動き、9月にはカラスコもアル・シャバブに移った後、長期リハビリ中のレイニウドを除く、22人で稼働していたんですが、代表戦で負傷してきたデ・パウル(アルゼンチン)、ソユンチュ(トルコ)を始め、1試合消化するごとに、バリオス、レマル、コレアとケガ人が増加。8月に0-7と大勝したラージョ戦で負傷して、日曜のダービーでようやく戻って来たメンフィス・デパイなど、次の練習でまたふくらはぎを痛め、サビッチも筋肉痛と、木曜のパンプローナ(サン・フェルミン祭で有名な北部の町、オサスナのホーム)遠征にはトップチームのフィールドプレーヤーがたった13人しかいなかったんですよ。
おかげでシメオネ監督も招集リストをカンテラーノ(Bチームの選手)5人で水増しすることになり、何せ、アトレティコにはバルサのジャマルのような、16才という年齢のせいでトップチームに登録されないだけで、すでにスペインA代表デビュー済みみたいなスーパー早熟選手がいる訳ではありませんからね。しかも昨季、RFEF2部(実質4部)から1部に昇格するのに貢献したエース、カルロス・マルティンなど、1つ上のカテゴリーで修行するため、今季はミランデス(2部)にレンタルされているとなると、それこそ、モラタが出場停止になる日曜のカディス戦でグリーズマンに何かあれば、フベニルからアトレティコBに上がったばかりの選手を出すしかないって…。
まあ、その辺の事情はおいおい説明していくことにして、とりあえず、ミッドウィークリーガのマドリッド勢がどうだったか、お伝えしていくことにすると、水曜午後7時にはマドリーとヘタフェが同時刻にキックオフ。私はサンティアゴ・ベルナベウでラス・パルマス戦を見ながら、いつものようにオンダ・マドリッド(ローガルラジオ局)の2元中継で弟分のアスレティック戦を追っていたんですが、まず驚かされたのは、アンチェロッティ監督が開幕からずっとスタメンで使っていたベリンガムを初めて控えに回したばかりか、マドリーダービーから、5人も先発を入れ替え。それ以上に、6年ぶりの1部復帰に大勢のファンが晴れの舞台を見逃すまいとスタジアムに駆けつけたラス・パルマスのピミエンタ監督が前節、初勝利を挙げたグラナダ戦から大量7人もメンバーを変更していたことだったかと。
どうやらこれはレベルの高い1部での連戦に慣れていない選手たちが体力的限界にあったからのようですが、そのせいもあったんでしょうか。序盤から、「Hemos empezado fuerte para evitar problemas, como encajar pronto/エモス・エンペサードー・フエルテ・パラ・エビタル・プロブレマス、コモ・エンカハール・プロントー(早い時間の失点などの問題を避けるため、ウチは力強いスタートを切った)」とアンチェロッティ監督も言っていた通り、マドリーは江戸の敵を長崎で討つがごとく、ダービー完敗の汚名を晴らそうと攻勢に出たんですが、相変わらず、ゴールが決まらなくてねえ。もちろん、これにはラス・パルマスのGKバジェスがホセル、ブライム、ナチョらの至近距離シュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いだせいもあるんですが、まだ1点も入っていなかった42分、ホームチームにはアラバが負傷交代という災厄が降りかかることに。
そして後半、早くも7分にはロドリゴのクロスから、ホセルがヘッドで2点目を入れ、余裕のできたマドリーは12分、全治6週間と言われたケガを超特急の4週間で治したビニシウスがピッチに立ったんですが、まあ、1カ月ぶりの実戦ですからね。足慣らし程度のことぐらいしか、できなかったのは仕方ありませんが、ラス・パルマスの反撃もほとんどなく、そのまま試合は2-0で終了。折しもマドリーは土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からの次節でその日、ビジャレアルに勝って、勝ち点差1で単独首位に立った、伏兵ジローナと直接対決。金曜のセビージャ戦勝利で首位はまたバルサになったんですが、どちらも射程圏内となるため、モンティリビではビニシウス、そしてベンチ見学で休養を取ったベリンガムのフレッシュなプレーが見られることを期待しています。
一方、前半6分にはFKからユリにgorazo(ゴラソ/スーパーゴール)を撃ち込まれ、ずっとリードされていたヘタフェはロスタイムにサンセットがディエゴ・リコの頭を蹴る危険なプレーにより、レッドカードで退場させられたことが転機となったよう。後半6分、10人となったアスレティックにCKで襲い掛かると、ガストンのヘッドがウィリアムスに当たって、同点ゴールとなることに。これは17分にウィリアムス当人にリベンジされ、エリア内から勝ち越しゴールを挙げられてしまったんですが、まだ今季アウェイでまったく勝ち点のないヘタフェが意地を見せてくれたんです。ええ、38分、カルモナのクロスをラタサがヘッドで叩き込み、先日の兄貴分のように頭の強いチームであることを再確認させてくれたんですが、殊勲の2-2の引分けで終わりながら、後味が悪かったのは後半ロスタイムにひと騒ぎあったから。
そのキッカケはカルモナがどこかを痛め、ピッチに座り込んだところ、アスレティックサイドはこれをいつものボルダラス監督流時間稼ぎと決めつけ、ヘタフェベンチ前まで脱兎のごとく、抗議に駆けつけたウィリアムスと言い争いとなり、結果的にボルダラス監督はレッドカードを出されてしまうことに。更にその足でピッチインタビューに立ったウィリアムスが、「1部では全員、彼のチームが何を求めてプレーしているか知っている。Es lícitio, pero a muchos no nos gusta/エス・リシトー、ペロ・ア・ムーチョス・ノー・ノス・グスタ(合法的だけど、ボクらの多くは好きじゃない)」と断言したため、ボルダラス監督も記者会見で、「Lo que debe decir es el insulto que me dijo/ロ・ケ・デベ・デシール・エス・エル・インスルトー・ケ・メ・ディホ(彼が言うべきなのは私に向けた侮辱的発言だ)」と応戦していたんですけどね。
まあ、その辺は水掛け論になってしまうため、アウェイ初勝ち点ゲットで自信をつけたヘタフェには、土曜午後2時にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにビジャレアルを迎える試合に専念してくれることを望むばかりですが、そういえば、水曜最後の時間帯にあったカディス戦で0-0と引分けたラージョでは後半43分にCBムニンがレッドカードで退場。それもフランシスコ監督によると、「No habla muy bien español y le ha preguntado la razón de la amarilla, eso le ha costado la roja/ノー・アブラ・ムイ・ビエン・エスパニョール・イ・レ・ア・プレグンタードー・ラ・ラソン・デ・ラ・アマリージャ、エソ・レ・ア・コスタードー・ラ・ロハ(彼は上手くスペイン語が話せなくて、イエローカードの理由を審判に訊いたら、レッドになった)」そうなので、やはり発言には気をつけた方がいい?
これで2試合連続引分けとなったラージョも土曜午後4時15分から、今度はエスタディオ・バジェカスでマジョルカと対戦となるんですが、相手は火曜にバルサと2-2で引分けて、意気が上がっているのには要注意。今回はファルカオやエヌテカも回復していますし、ゴールを沢山挙げて、ホームのファンを喜ばせてあげることができるといいのですが。
え、それで1チームだけ木曜試合となったアトレティコのオサスナ戦はどうだったのかって?いやあ、日曜にはメトロポリターノでお隣さんを前にあれだけ強いところを見せたシメオネ監督のチームでしたし、遠征参加のトップチーム選手は減ったとはいえ、サビッチの代わりのCBにビッツェルが入った以外、スタメン的には同じでしたからね。序盤は競り合っていたんですが、こうも負傷者情報が相次ぐと、オサスナの選手にサムエル・リノ、コケ、ジョレンテらが倒される度、ヒヤリとしてしまうのは避けられなかったかと。そんな中、前半20分にはリノのクロスにモラタは足が届かなかったもの、GKアイトル・フェルナンデスの弾いたボールをグリーズマンがゴール右脇からvolea(ボレア/ボレーシュート)。
あまりに角度がなかったため、最初は何が起こったのかわからなかったんですが、そのボールが上手い具合にバウンドして、ネットに入ってくれるとは、何とも幸先のいい出だしじゃないですか。ただ、その後はアトレティコが定番の「リードしたら一歩後退」状態に徐々に入っていったため、前半終盤は自陣エリア付近で囲まれっぱなしになってしまったんですが、その状態が後半もかなり長い時間継続。いやあ、彼らが専守防衛になるのを見るのは決して初めてのことではありませんけどね。それは相手がマドリーやバルサ、もしくはCLでマンチェスター・シティとかに当たった場合であって、どうしてオサスナにと、敵にボールを戻すだけのクリアを続けているアトレティコを私もイライラして見守っていたんですが…。
実はこれが恐怖の疲労蓄積効果だったんです!そう、後でシメオネ監督も「en el segundo el cansancio nos dejó sin fuerzas para salir/エン・エル・セグンドー・エル・カンサンシオ・ノス・デホ・シン・フエルサス・パラ・サリール(後半、ウチは疲れから、攻撃に出て行く力がなかった)」と言っていたんですが、だってえ、選手のリフレッシュをしようにも15分にモリーナがアスピリクエタに、22分にジョレンテがリケルメに代わっただけなんですよ。おかげでとうとう30分にはCKをダビド・ガルシアにヘッドで決められてしまったんですが、ツイていました。そう、主審が顔にアイマール・オロスの手が当たって、ビッツェルが倒れたプレーをファールとしてくれたからですが、何せ本当のところは、「Giménez me mete un empujón y, al ir para atrás, le toco un poco con la mano/ヒメネス・メ・メテ・ウン・エンプホン・イ、アル・イル・パラ・アトラス、レ・トコ・ウン・ポコ・コン・ラ・マノ(ヒメネスに押されて後ろに下がったら、ほんのちょっと手が触れた)」(オロス)状態でしたからね。
それに「No es nada, no es falta/ノー・エス・ナーダ、ノー・エス・ファルタ(何でもない、ファールじゃない)」と抗議したアラサーテ監督がレッドカードで退席させられてしまったのもオサスナにショックを与えたか、その6分後、TVがその問題のシーンをリプレーしている間にアトレティコはカウンターを発動。グリーズマンが自陣から放ったスルーパスを追ったリノがエリア前でリケルメに送り、敵GKをかわした25番が2点目のゴールを挙げているシーンがいきなり映るんですから、ビックリしたの何のって。これにはダビド・ガルシアも「prácticamente no tuvieron ocasiones ni tiros a puerta, pero al final nos llevamos dos goles/プラクティカメンテ・ノー・トゥビエロン・オカシオネス・ニー・ティロス・ア・プエルタ、ペロ・アル・フィナル・ノス・ジェバモス・ドス・ゴーレス(実質的にチャンスも枠内シュートもなかったのに最後は2点取られていた)」と言っていましたが、ホント、狐に化かされたとしか思えませんって。
ただ、そのままメデタク終われば良かったんですが、アトレティコには変にテンパッてしまった選手がいて、それはモラタ。ええ、37分にチミ・アビラに頬を拳で突かれたのに怒り、肩で体当たりをしてイエローカードをもらったかと思えば、その3分後、これはバトルモードに入っているモラタにスローインを送ったエルモーソも悪いんですけどね。チミ・アビラとイケル・ムニョスにコーナーに追い詰められ、もつれ合って倒れた挙句に足を踏まれ、手でやり返して、2枚目のイエローをもらって退場。次節出場停止って、君、現在、アトレティコただ1人のCFだっていう自覚ある?
いえ、この時は一緒にチミ・アビラもレッドカードで退場になったんですけどね。この試合は0-2で何とか勝てたものの、最初に話したデパイとダービーでベリンガムに蹴られ、ヒザを捻ったコレアが当てにできない日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのカディス戦はFW自体、もうグリーズマンしかおらず。サビッチやデ・パウルの回復が間に合わなければ、それこそフィールドプレーヤー12人で挑まないといけないんですが、何とか生き延びている選手たちもずっと出ずっぱりなんですよ。いくら相手はラージョとスコアレスドローした、あまり得点力のないカディスで、来週水曜にはCLフェイエノールト戦もあるからといって、カンテラーノを並べて、大昔のコパ・デル・レイ1回戦のようなラインアップにする訳にもいきませんし、果たしてシメオネ監督のプランは如何に。何はともあれ、マドリーダービー勝利で盛り上がっているメトロポリターノのファンを失望させる試合にならないことを、今は私も祈るばかりです。
それがアトレティコときてみたら、うーん、この夏はジョアン・フェリックスがバルサにレンタル移籍するまで、25人の登録枠が全て埋まっていて、シメオネ監督がずっと所望していたボランチ1人すら、獲得できない状態だったんですけどね。移籍最終日にジョアンが動き、9月にはカラスコもアル・シャバブに移った後、長期リハビリ中のレイニウドを除く、22人で稼働していたんですが、代表戦で負傷してきたデ・パウル(アルゼンチン)、ソユンチュ(トルコ)を始め、1試合消化するごとに、バリオス、レマル、コレアとケガ人が増加。8月に0-7と大勝したラージョ戦で負傷して、日曜のダービーでようやく戻って来たメンフィス・デパイなど、次の練習でまたふくらはぎを痛め、サビッチも筋肉痛と、木曜のパンプローナ(サン・フェルミン祭で有名な北部の町、オサスナのホーム)遠征にはトップチームのフィールドプレーヤーがたった13人しかいなかったんですよ。
おかげでシメオネ監督も招集リストをカンテラーノ(Bチームの選手)5人で水増しすることになり、何せ、アトレティコにはバルサのジャマルのような、16才という年齢のせいでトップチームに登録されないだけで、すでにスペインA代表デビュー済みみたいなスーパー早熟選手がいる訳ではありませんからね。しかも昨季、RFEF2部(実質4部)から1部に昇格するのに貢献したエース、カルロス・マルティンなど、1つ上のカテゴリーで修行するため、今季はミランデス(2部)にレンタルされているとなると、それこそ、モラタが出場停止になる日曜のカディス戦でグリーズマンに何かあれば、フベニルからアトレティコBに上がったばかりの選手を出すしかないって…。
どうやらこれはレベルの高い1部での連戦に慣れていない選手たちが体力的限界にあったからのようですが、そのせいもあったんでしょうか。序盤から、「Hemos empezado fuerte para evitar problemas, como encajar pronto/エモス・エンペサードー・フエルテ・パラ・エビタル・プロブレマス、コモ・エンカハール・プロントー(早い時間の失点などの問題を避けるため、ウチは力強いスタートを切った)」とアンチェロッティ監督も言っていた通り、マドリーは江戸の敵を長崎で討つがごとく、ダービー完敗の汚名を晴らそうと攻勢に出たんですが、相変わらず、ゴールが決まらなくてねえ。もちろん、これにはラス・パルマスのGKバジェスがホセル、ブライム、ナチョらの至近距離シュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いだせいもあるんですが、まだ1点も入っていなかった42分、ホームチームにはアラバが負傷交代という災厄が降りかかることに。
え、でも代わって入ったルーカス・バスケスのクロスでロスタイムの48分にはとうとう、ブライムがエリア内からシュートを決め、1-0とリードして、ハーフタイムに入れたんだから、禍転じて福と為すだったんじゃないかって?そうですね、実際、アラバもケガも来週火曜のCLナポリ戦には回復が間に合うような程度のものでしたし、その日の先発にはマルチDFのナチョがいたため、彼がすんなりCBに移動して、守備陣の変更も最小限で済みましたからね。ちなみに今季初先発して先制点を奪ったブライムは、「前のチャンスにはなかった落ち着きを持てた。Miré, vi que estaba sólo y tuve esa paciencia para hacer gol/ミレ、ビ・ケ・エスタバ・ソロ・イ・トゥベ・エサ・パシエンシア・パラ・アセール・ゴル(周りを見て、自分がフリーあることを確認するという、ゴールを挙げるための辛抱ができた)」と言っていましたが、これならダービーで肩を脱臼しながら、痛み止めを打ってまで出場した甲斐も十分、あったかと。
そして後半、早くも7分にはロドリゴのクロスから、ホセルがヘッドで2点目を入れ、余裕のできたマドリーは12分、全治6週間と言われたケガを超特急の4週間で治したビニシウスがピッチに立ったんですが、まあ、1カ月ぶりの実戦ですからね。足慣らし程度のことぐらいしか、できなかったのは仕方ありませんが、ラス・パルマスの反撃もほとんどなく、そのまま試合は2-0で終了。折しもマドリーは土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からの次節でその日、ビジャレアルに勝って、勝ち点差1で単独首位に立った、伏兵ジローナと直接対決。金曜のセビージャ戦勝利で首位はまたバルサになったんですが、どちらも射程圏内となるため、モンティリビではビニシウス、そしてベンチ見学で休養を取ったベリンガムのフレッシュなプレーが見られることを期待しています。
一方、前半6分にはFKからユリにgorazo(ゴラソ/スーパーゴール)を撃ち込まれ、ずっとリードされていたヘタフェはロスタイムにサンセットがディエゴ・リコの頭を蹴る危険なプレーにより、レッドカードで退場させられたことが転機となったよう。後半6分、10人となったアスレティックにCKで襲い掛かると、ガストンのヘッドがウィリアムスに当たって、同点ゴールとなることに。これは17分にウィリアムス当人にリベンジされ、エリア内から勝ち越しゴールを挙げられてしまったんですが、まだ今季アウェイでまったく勝ち点のないヘタフェが意地を見せてくれたんです。ええ、38分、カルモナのクロスをラタサがヘッドで叩き込み、先日の兄貴分のように頭の強いチームであることを再確認させてくれたんですが、殊勲の2-2の引分けで終わりながら、後味が悪かったのは後半ロスタイムにひと騒ぎあったから。
そのキッカケはカルモナがどこかを痛め、ピッチに座り込んだところ、アスレティックサイドはこれをいつものボルダラス監督流時間稼ぎと決めつけ、ヘタフェベンチ前まで脱兎のごとく、抗議に駆けつけたウィリアムスと言い争いとなり、結果的にボルダラス監督はレッドカードを出されてしまうことに。更にその足でピッチインタビューに立ったウィリアムスが、「1部では全員、彼のチームが何を求めてプレーしているか知っている。Es lícitio, pero a muchos no nos gusta/エス・リシトー、ペロ・ア・ムーチョス・ノー・ノス・グスタ(合法的だけど、ボクらの多くは好きじゃない)」と断言したため、ボルダラス監督も記者会見で、「Lo que debe decir es el insulto que me dijo/ロ・ケ・デベ・デシール・エス・エル・インスルトー・ケ・メ・ディホ(彼が言うべきなのは私に向けた侮辱的発言だ)」と応戦していたんですけどね。
まあ、その辺は水掛け論になってしまうため、アウェイ初勝ち点ゲットで自信をつけたヘタフェには、土曜午後2時にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにビジャレアルを迎える試合に専念してくれることを望むばかりですが、そういえば、水曜最後の時間帯にあったカディス戦で0-0と引分けたラージョでは後半43分にCBムニンがレッドカードで退場。それもフランシスコ監督によると、「No habla muy bien español y le ha preguntado la razón de la amarilla, eso le ha costado la roja/ノー・アブラ・ムイ・ビエン・エスパニョール・イ・レ・ア・プレグンタードー・ラ・ラソン・デ・ラ・アマリージャ、エソ・レ・ア・コスタードー・ラ・ロハ(彼は上手くスペイン語が話せなくて、イエローカードの理由を審判に訊いたら、レッドになった)」そうなので、やはり発言には気をつけた方がいい?
これで2試合連続引分けとなったラージョも土曜午後4時15分から、今度はエスタディオ・バジェカスでマジョルカと対戦となるんですが、相手は火曜にバルサと2-2で引分けて、意気が上がっているのには要注意。今回はファルカオやエヌテカも回復していますし、ゴールを沢山挙げて、ホームのファンを喜ばせてあげることができるといいのですが。
え、それで1チームだけ木曜試合となったアトレティコのオサスナ戦はどうだったのかって?いやあ、日曜にはメトロポリターノでお隣さんを前にあれだけ強いところを見せたシメオネ監督のチームでしたし、遠征参加のトップチーム選手は減ったとはいえ、サビッチの代わりのCBにビッツェルが入った以外、スタメン的には同じでしたからね。序盤は競り合っていたんですが、こうも負傷者情報が相次ぐと、オサスナの選手にサムエル・リノ、コケ、ジョレンテらが倒される度、ヒヤリとしてしまうのは避けられなかったかと。そんな中、前半20分にはリノのクロスにモラタは足が届かなかったもの、GKアイトル・フェルナンデスの弾いたボールをグリーズマンがゴール右脇からvolea(ボレア/ボレーシュート)。
あまりに角度がなかったため、最初は何が起こったのかわからなかったんですが、そのボールが上手い具合にバウンドして、ネットに入ってくれるとは、何とも幸先のいい出だしじゃないですか。ただ、その後はアトレティコが定番の「リードしたら一歩後退」状態に徐々に入っていったため、前半終盤は自陣エリア付近で囲まれっぱなしになってしまったんですが、その状態が後半もかなり長い時間継続。いやあ、彼らが専守防衛になるのを見るのは決して初めてのことではありませんけどね。それは相手がマドリーやバルサ、もしくはCLでマンチェスター・シティとかに当たった場合であって、どうしてオサスナにと、敵にボールを戻すだけのクリアを続けているアトレティコを私もイライラして見守っていたんですが…。
実はこれが恐怖の疲労蓄積効果だったんです!そう、後でシメオネ監督も「en el segundo el cansancio nos dejó sin fuerzas para salir/エン・エル・セグンドー・エル・カンサンシオ・ノス・デホ・シン・フエルサス・パラ・サリール(後半、ウチは疲れから、攻撃に出て行く力がなかった)」と言っていたんですが、だってえ、選手のリフレッシュをしようにも15分にモリーナがアスピリクエタに、22分にジョレンテがリケルメに代わっただけなんですよ。おかげでとうとう30分にはCKをダビド・ガルシアにヘッドで決められてしまったんですが、ツイていました。そう、主審が顔にアイマール・オロスの手が当たって、ビッツェルが倒れたプレーをファールとしてくれたからですが、何せ本当のところは、「Giménez me mete un empujón y, al ir para atrás, le toco un poco con la mano/ヒメネス・メ・メテ・ウン・エンプホン・イ、アル・イル・パラ・アトラス、レ・トコ・ウン・ポコ・コン・ラ・マノ(ヒメネスに押されて後ろに下がったら、ほんのちょっと手が触れた)」(オロス)状態でしたからね。
それに「No es nada, no es falta/ノー・エス・ナーダ、ノー・エス・ファルタ(何でもない、ファールじゃない)」と抗議したアラサーテ監督がレッドカードで退席させられてしまったのもオサスナにショックを与えたか、その6分後、TVがその問題のシーンをリプレーしている間にアトレティコはカウンターを発動。グリーズマンが自陣から放ったスルーパスを追ったリノがエリア前でリケルメに送り、敵GKをかわした25番が2点目のゴールを挙げているシーンがいきなり映るんですから、ビックリしたの何のって。これにはダビド・ガルシアも「prácticamente no tuvieron ocasiones ni tiros a puerta, pero al final nos llevamos dos goles/プラクティカメンテ・ノー・トゥビエロン・オカシオネス・ニー・ティロス・ア・プエルタ、ペロ・アル・フィナル・ノス・ジェバモス・ドス・ゴーレス(実質的にチャンスも枠内シュートもなかったのに最後は2点取られていた)」と言っていましたが、ホント、狐に化かされたとしか思えませんって。
ただ、そのままメデタク終われば良かったんですが、アトレティコには変にテンパッてしまった選手がいて、それはモラタ。ええ、37分にチミ・アビラに頬を拳で突かれたのに怒り、肩で体当たりをしてイエローカードをもらったかと思えば、その3分後、これはバトルモードに入っているモラタにスローインを送ったエルモーソも悪いんですけどね。チミ・アビラとイケル・ムニョスにコーナーに追い詰められ、もつれ合って倒れた挙句に足を踏まれ、手でやり返して、2枚目のイエローをもらって退場。次節出場停止って、君、現在、アトレティコただ1人のCFだっていう自覚ある?
いえ、この時は一緒にチミ・アビラもレッドカードで退場になったんですけどね。この試合は0-2で何とか勝てたものの、最初に話したデパイとダービーでベリンガムに蹴られ、ヒザを捻ったコレアが当てにできない日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのカディス戦はFW自体、もうグリーズマンしかおらず。サビッチやデ・パウルの回復が間に合わなければ、それこそフィールドプレーヤー12人で挑まないといけないんですが、何とか生き延びている選手たちもずっと出ずっぱりなんですよ。いくら相手はラージョとスコアレスドローした、あまり得点力のないカディスで、来週水曜にはCLフェイエノールト戦もあるからといって、カンテラーノを並べて、大昔のコパ・デル・レイ1回戦のようなラインアップにする訳にもいきませんし、果たしてシメオネ監督のプランは如何に。何はともあれ、マドリーダービー勝利で盛り上がっているメトロポリターノのファンを失望させる試合にならないことを、今は私も祈るばかりです。
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