息の抜けない7連戦x2が始まる…/原ゆみこのマドリッド
2023.09.19 20:00 Tue
「これで一件落着してくれるといいけど」そんな風に私がまだ不安を拭えないでいたのは月曜日、とうとうスペイン女子A代表のネーションズリーグ用招集リストがラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会本部の講堂で発表に。解任されたビルダ監督の後を継いだモンセ・トメ新監督のプレゼンと記者会見を兼ねたイベントをネット中継で見た後のことでした。いやあ、この夏には女子W杯に初優勝しながら、表彰式でジェニ・エルモーソ(パチューカ)にキスしたルビアレス前会長(すでに辞任)のセクハラ事件でずっとゴタゴタしていた協会と女子選手たちでしたが、暦は着々と進行。本来なら、先週の金曜に発表される予定だったリストもその直前、新たに39人の女子選手が代表参加条件に更なる協会の組織改革並び、事務総長や広報幹部らの交代を要請してきたため、延期になっていたんですけどね。
週末の間中、必死で協会が選手たちと交渉を続けた甲斐があったか、組織改革はおいおいやっていくからと、今週金曜のスウェーデン戦、来週火曜のスイス戦のために招集する選手たちを説得。渦中の人だったジェニはいないものの、W杯王者チームの15人を含む、協会が変わるまで招集に応じない宣言に署名した19名、そして昨年、ビルダ監督の下ではプレーしたくないと代表を去った4人で23選手のリストを完成させたんですが、いやあ、当然、スウェーデンなんかは月曜から練習を始めていますからね。
これで招集を断ると、2年から12年に渡る選手登録停止処分なども課される可能性があるため、先週末、ようやく労使協定が締結され、1週間遅れのリーガ開幕戦に挑んだスペイン国内でプレーする選手たちは火曜午前中にラス・ロサスに集合できると思いますが、日曜にゴッサムの試合で2得点を挙げ、ニューヨークから戻らないといけないエステル(昨季でレアル・マドリーを退団)など、時間がかかるかも。何にしてもこれ以上、騒ぎが長引くことなく、来年のパリ五輪の予選も兼ねているネーションズリーグで王者の名に恥じないプレーを見せてくれるといいのですが。
まあ、そんなことはともかく、こちらは9月の各国代表戦明け、スペイン男子リーガ5節に挑んだマドリッド勢の週末の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。まずは金曜に先陣を切ったのは弟分のラージョで、ええ、もうこれで開幕から4試合目の平日試合ですからね。それでもエスタディオ・バジェカスにファンは律儀に駆けつけ、大入りとなったんですが、アラベス戦が始まってしばらくすると、スタンドには「No viernes/ノー・ビエルネス(金曜はノー)」、「No lunes/ノー・ルネス(月曜はノー)」というプラカードが幾つも現れることに。
ちなみに試合の方は拮抗した展開で、前半18分にはセットプレー中にアリダネがブランコを薙ぎ払い、危うくペナルティを取られかけたラージョだったんですが、この時はギリギリ、エリア外ということで、FKでセーフに。どうやらマドリッド遠征でジャッジ運がないのはアラベスの方だったようで、ええ、3節でもコリセウム・アルフォンソ・ペレスでpenaltito(ペナルティート/何ちゃってペナルティ)を取られ、ボルハ・マジョラルの決めたPKでヘタフェに1-0で負けてましたからね。この日も40分、エリア内に入ったアルバロ・ガルシアに後ろから足を出して倒したソラのプレーがVAR(ビデオ審判)レーダーに引っかかり、ラージョにPKを献上とはまったくツイていないじゃないですか。
これで2-0と快勝したラージョは、今季初ホームゲームだった3節のアトレティコ戦では0-7と大敗したため、やれなかったファンと一緒に「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊生活)」を歌う定番のお祝いもできましたし、順位も兄貴分を追い越して4位に上昇。こちらは5節が進むうち、6位に落ちてしまったんですが、次節は待望の日曜ホームゲームですからね。相手はこのミッドウィークからELグループリーグが始まり、奇しくもプレシーズン初戦でラージョが勝利したパナシナイコスとの1節を木曜に挟むビジャレアルとなれば、ヨーロッパの大会不参加チームの強みを生かせるんじゃないでしょうか。
そして土曜はアトレティコがメスタジャでバレンシアと対戦したんですが、これが信じられないことに、弟分に見下ろされるという状況を覆せなかったんですよ。うーん、確かにシメオネ監督のチームはリハビリ中のコケとメンフィス・デパイがまだ合流できず、加えてFIFAウィルスのせいで、デ・パウルがアルゼンチン代表から痛みを抱えて帰還。更に日本との親善試合に出たトルコ代表のソユンチュが太ももをケガして全治2週間になってしまったなんてこともあったんですが、でもまさか、開始5分、カナスが左からエリア内に送ったパスがサビッチに当たって軌道を変え、それを拾ったウーゴ・ドゥーロに決められて先制点を奪われてしまうとは!
いやあ、バレンシアにはここずっと、負けた記憶がなかったため、その時はまだ、あまり心配していなかったんですけどね。ここでチラッと私の脳裏をよぎったのは、やはり太陽が燦々と輝くメスタジャでの序盤、ミランダが正確無比なヘッドでオウンゴールを決めて始まった2014年10月の試合で、そう、眠ったまま、ピッチに立った彼らは3-0で負けてしまったんですよ。その試合を経験したのは今やスタメンではグリーズマンだけ、あとはベンチで見学していたGKオブラクとヒメネスだけと、当時とはメンバーも全然、違いますし、とにかく代表戦前最後となったラージョ戦では恐ろしい程のゴール力を披露したアトレティコですからね。あれ以来、バレンシアには17試合負けていませんし、長い残り時間でのremontada(レモンターダ/逆転劇)を私も期待していたんですが…。
もう、ダメダメですよお。モラタやマルコス・ジョレンテのシュートなどはあったものの、34分には同点に追いつくどころか、またしてもザル守備が爆発。グリーズマンが自陣で失ったボールを持って上がったフラン・ペレスを、すでにイエローカードをもらっていたエルモーソが止められず、そのラストパスを受けたドゥーロが再び倒れながらシュートして2点目を奪われているんですから、呆れて物も言えないとはまさにこのこと?更に前半終盤にはセットプレーでヘッドしたレマルが着地時にアキレス腱を断裂、即ガランと交代し、翌日の検査で全治5カ月と言われているって、一体、どこまで不運は続くのでしょう。
後半頭から、アルゼンチン代表の長旅帰りで温存していたコレアとモリーナをリケルメとサビッチの代わりに入れ、シメオネ監督も状況打破を図ったんですが、どうやらラージョ戦で2本、スペイン代表のジョージア戦ではハットトリックを挙げたモラタも今回の好調の波はそれで打ち止めだったよう。ええ、5分のヘッドもトビリシでの試合のリベンジを誓っていたGKママルダシビリに弾かれてしまいましたからね。それどころか9分には、昨季後半からカンテラーノ(下部組織出身の選手)の台頭著しいバレンシアは20才のハビ・ゲラがエリア前からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、とうとう3点差になってしまったとなれば、今週から週2試合ペースになるのを見据えて、シメオネ監督がグリーズマンを17分には下げてしまったのも仕方ない?
結局、「Nosotros hicimos el partido más flojo desde que llegué al club/ノソトロス・イシモス・エル・パルティード・マス・フロッホ・デスデ・ケ・ジェゲ・アル・クルブ(私がクラブに来てから、一番柔な試合をしてしまった)」(シメオネ監督)アトレティコはそのまま3-0で完敗。キャプテンのオブラクも「まったくいい目の出ない悪い試合をすることはあっても、la intensidad y la actitud nunca te pueden faltar/ラ・インテンシダッド・イ・ラ・アクティトッド・ヌンカ・テ・プエデン・ファルタル(プレーの強度と姿勢は決して欠けてはいけない)」と反省していたんですけどね。参ってしまうのは、今季は11月のW杯期間に入る前に全てを失ってしまった昨季の轍は絶対踏まないとチーム全員が誓いながら、代表戦週間入り直前の4節セビージャ戦が集中豪雨警報で延期となり、間が3週間空いただけで、この体たらく。
こうなると、怖いのはやはりコケやデパイ、デパイが間に合わず、レマル、ソユンチュもいない、トップチームの選手17人とカンテラーノで挑む火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCLラツィオ戦で、ええ、グループリーグでヨーロッパ完全敗退をした昨季は5試合白星なしで終わっていますからね。相手も土曜にユベントスに3-1で負けているとはいえ、向こうにはルイス・アルベルトや鎌田大地選手などもいるため、何とも不安になってくるんですが…週末の日曜にはいよいよマドリーダービーも控えているだけに、とにかく今は早いところ風向きが変わるように努力してもらいたいものです。
そして日曜には雨の降る中、午後2時からのオサスナ戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かった私だったんですが、合羽や傘で屋根のないスタンドに席があるファンはしっかり完全装備してのキックオフに。ただ、ピッチで動きがあったのは雨足が止まった前半36分で、ダミアンの蹴ったCKをミトロビッチがヘッドで決め、ヘタフェは先制したんですが、何でしょうかね。ハーフタイムまであと一息だった45分、オサスナもCKから繋いだイケル・ムニョスのvolea(ボレア/ボレーシュート)がネットに入り、同点に追いつかれてしまっては、ファンも安心してお昼ご飯のボカディージョ(スペインのサンドイッチ)を食べられなかったかも。
後半もその流れは繰り返し、6分にはディエゴ・リコのクロスをカルモナが頭で叩き込み、2-1とリードしたヘタフェだったものの、12分にはGKダビド・ソリアがブドミルをゴール前で倒してPKを献上。ブドミルがしっかり決め、また同点にされたんですが、その後、ボルダラス監督がアレニャ、アランバリ、そして新加入のオスカル・ロドリゲス(セビージャからレンタル)、更には32分、ラタサに代えて、ファンが一番見たがっていたグリーンウッド(同マンチェスター・ユナイテッド)と持てる戦力全てを投入したおかげでしょうか。何と41分にはCKから、この日、3本目のヘッドをマクシモビッチが叩き込んでいるって、ヘタフェって、実は頭自慢のチームだった?
これで3-2となり、電光ボードの表示は10分、実質12分あったロスタイムも、「no hay balones ni recogepelotas, no hay continuidad/ノー・アイ・バロネス・ニ・レコヘペロータス、ノー・アイ・コンティヌイダッド(ボールは消えるし、ボールボーイはいないし、継続してプレーができない)」とアラサーテ監督は怒っていたものの、ボルダラス流を貫いたおかげで3度目の同点弾は受けず、ヘタフェは勝ち点3をゲット。ホームでは2勝1分けとなったため、アウェイの次節、レアル・ソシエダ戦でも余裕が持てるかと思いますが、そう、こちらの相手も水曜にはCLインテル戦が控えていますからね。丸々1週間、調整に当てられるヘタフェにはちょっと有利かもしれませんよ。
え、レアル・ソシエダと言えば、日曜夜のサンティアゴ・ベルナベウでマドリーと対戦していなかったかって?その通りで一旦、自宅に戻った後、私も梯子観戦に出かけたんですが、開閉式屋根があるとはいえ、その日はもう、雨がぶり返してくることがなかったのは良かったかと。ちなみにそのソシエダ戦、序盤から久保建英選手が躍動して、何と開始5分には彼がエリア前から送ったパスをバルネチェアが1度は完全にGKケパに弾かれながら、撃ち直しでゴールラインを割ったんですが、ええ、代表戦前、弟分ダービーでもマジョラルに早い時間に先制されながら、当然の如く、逆転勝利したマドリーでしたからね。
それも間が悪くオジャルサバルがオフサイドの位置におらず、10分に決まった久保選手のゴールが取り消されずに2点リードしていたら、わからなかったとはいえ、ソシエダの抵抗がもったのは後半1分までのこと。ええ、アンチェロッティ監督も後で「今のウチには敵が持ちこたえるのに苦労するプレーの強度がある」と言っていたようにフラン・ガルシアからボールを受け、バルベルデがエリア前から撃ったシュートがポストに当たってゴールに入り、再開早々、マドリーは同点に追いつくことに。おまけに15分には再び、フラン・ガルシアがクロスを上げ、タイミングばっちりでホセルがヘッド。これが2点目のゴールとなって、逆転に成功したんですが、その後、26分には久保選手に激しいタックルをしてイエローカードをもらった殊勲のフラン・ガルシアがすぐ、ナチョに代えられてしまったのはちょっとしたご愛敬?
結局、この日はここ4試合で5得点していたベリンガムはゴールを挙げず、いえ、ロスタイムに途中出場のブライムからラストパスをもらい、低位置から強烈なヘッドを撃ちながら、GKラミロにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったなんてこともあったんですけどね。チームは2-1で勝利して(https://onl.la/uVaHiLv)、開幕5連勝となりましたし、慌てなくも次の試合は水曜日。CL開幕のユニオン・ベルリン戦で再び、彼のゴール力を必要とするシーンもあるはずなので、ソシエダ戦は充電期間と考えて、ファンも楽しみに待っていればいいかと。
ちなみにマドリーの戦力状況ですが、セバージョスはすでに回復して、ベンチに入っていたものの、ソシエダ戦で出番はなし。一緒に復帰予定だったにも関わらず、招集リストに入らなかったメンディも戻って来れそうですが、ビニシウスは9月いっぱいぐらい無理のようだとか。どちらにしろ、相手はCL初出場チームですし、ここは胸を貸すつもりで、この大会の厳しさを教えてあげられたらいいかと思います。
週末の間中、必死で協会が選手たちと交渉を続けた甲斐があったか、組織改革はおいおいやっていくからと、今週金曜のスウェーデン戦、来週火曜のスイス戦のために招集する選手たちを説得。渦中の人だったジェニはいないものの、W杯王者チームの15人を含む、協会が変わるまで招集に応じない宣言に署名した19名、そして昨年、ビルダ監督の下ではプレーしたくないと代表を去った4人で23選手のリストを完成させたんですが、いやあ、当然、スウェーデンなんかは月曜から練習を始めていますからね。
これで招集を断ると、2年から12年に渡る選手登録停止処分なども課される可能性があるため、先週末、ようやく労使協定が締結され、1週間遅れのリーガ開幕戦に挑んだスペイン国内でプレーする選手たちは火曜午前中にラス・ロサスに集合できると思いますが、日曜にゴッサムの試合で2得点を挙げ、ニューヨークから戻らないといけないエステル(昨季でレアル・マドリーを退団)など、時間がかかるかも。何にしてもこれ以上、騒ぎが長引くことなく、来年のパリ五輪の予選も兼ねているネーションズリーグで王者の名に恥じないプレーを見せてくれるといいのですが。
ちなみに試合の方は拮抗した展開で、前半18分にはセットプレー中にアリダネがブランコを薙ぎ払い、危うくペナルティを取られかけたラージョだったんですが、この時はギリギリ、エリア外ということで、FKでセーフに。どうやらマドリッド遠征でジャッジ運がないのはアラベスの方だったようで、ええ、3節でもコリセウム・アルフォンソ・ペレスでpenaltito(ペナルティート/何ちゃってペナルティ)を取られ、ボルハ・マジョラルの決めたPKでヘタフェに1-0で負けてましたからね。この日も40分、エリア内に入ったアルバロ・ガルシアに後ろから足を出して倒したソラのプレーがVAR(ビデオ審判)レーダーに引っかかり、ラージョにPKを献上とはまったくツイていないじゃないですか。
ただ、PKに関しては、ラージョは昨季も失敗が多かったため、ええ、トレホやイシが何度か続けて失敗した後、とうとう、トレホがショートでPKを横に蹴り、そこに突っ込んだイシがご丁寧にも外して、イラオラ監督(現ボーンマス)に「創意工夫はいいが、練習でやってからじゃないとダメ」と怒られていたなんてこともあったんですけどね。よってファンはこの日、PKマークに立ったイシを固唾を飲んで見守っていたんですが、しっかりGKシベラの裏をかき、1点リードしてハーフタイムに入れたから、嬉しいじゃないですか。ゲリラ豪雨に襲われた後半は長らくスコアが動かなかったものの、雨が止まったのに呼応して、31分にイシとカメージョをデ・フルートとRdT(ラウール・デ・トマス)に代えたのが大成功。38分にはRdTのスルーパスを受けたアルバロ・ガルシアがエリア内でボールをゴール前に送り、突っ込んで来たデ・フルートが押し込んでくれたから、ようやく座席に戻れたファンたちもどんなに沸いたことか。
これで2-0と快勝したラージョは、今季初ホームゲームだった3節のアトレティコ戦では0-7と大敗したため、やれなかったファンと一緒に「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊生活)」を歌う定番のお祝いもできましたし、順位も兄貴分を追い越して4位に上昇。こちらは5節が進むうち、6位に落ちてしまったんですが、次節は待望の日曜ホームゲームですからね。相手はこのミッドウィークからELグループリーグが始まり、奇しくもプレシーズン初戦でラージョが勝利したパナシナイコスとの1節を木曜に挟むビジャレアルとなれば、ヨーロッパの大会不参加チームの強みを生かせるんじゃないでしょうか。
そして土曜はアトレティコがメスタジャでバレンシアと対戦したんですが、これが信じられないことに、弟分に見下ろされるという状況を覆せなかったんですよ。うーん、確かにシメオネ監督のチームはリハビリ中のコケとメンフィス・デパイがまだ合流できず、加えてFIFAウィルスのせいで、デ・パウルがアルゼンチン代表から痛みを抱えて帰還。更に日本との親善試合に出たトルコ代表のソユンチュが太ももをケガして全治2週間になってしまったなんてこともあったんですが、でもまさか、開始5分、カナスが左からエリア内に送ったパスがサビッチに当たって軌道を変え、それを拾ったウーゴ・ドゥーロに決められて先制点を奪われてしまうとは!
いやあ、バレンシアにはここずっと、負けた記憶がなかったため、その時はまだ、あまり心配していなかったんですけどね。ここでチラッと私の脳裏をよぎったのは、やはり太陽が燦々と輝くメスタジャでの序盤、ミランダが正確無比なヘッドでオウンゴールを決めて始まった2014年10月の試合で、そう、眠ったまま、ピッチに立った彼らは3-0で負けてしまったんですよ。その試合を経験したのは今やスタメンではグリーズマンだけ、あとはベンチで見学していたGKオブラクとヒメネスだけと、当時とはメンバーも全然、違いますし、とにかく代表戦前最後となったラージョ戦では恐ろしい程のゴール力を披露したアトレティコですからね。あれ以来、バレンシアには17試合負けていませんし、長い残り時間でのremontada(レモンターダ/逆転劇)を私も期待していたんですが…。
もう、ダメダメですよお。モラタやマルコス・ジョレンテのシュートなどはあったものの、34分には同点に追いつくどころか、またしてもザル守備が爆発。グリーズマンが自陣で失ったボールを持って上がったフラン・ペレスを、すでにイエローカードをもらっていたエルモーソが止められず、そのラストパスを受けたドゥーロが再び倒れながらシュートして2点目を奪われているんですから、呆れて物も言えないとはまさにこのこと?更に前半終盤にはセットプレーでヘッドしたレマルが着地時にアキレス腱を断裂、即ガランと交代し、翌日の検査で全治5カ月と言われているって、一体、どこまで不運は続くのでしょう。
後半頭から、アルゼンチン代表の長旅帰りで温存していたコレアとモリーナをリケルメとサビッチの代わりに入れ、シメオネ監督も状況打破を図ったんですが、どうやらラージョ戦で2本、スペイン代表のジョージア戦ではハットトリックを挙げたモラタも今回の好調の波はそれで打ち止めだったよう。ええ、5分のヘッドもトビリシでの試合のリベンジを誓っていたGKママルダシビリに弾かれてしまいましたからね。それどころか9分には、昨季後半からカンテラーノ(下部組織出身の選手)の台頭著しいバレンシアは20才のハビ・ゲラがエリア前からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、とうとう3点差になってしまったとなれば、今週から週2試合ペースになるのを見据えて、シメオネ監督がグリーズマンを17分には下げてしまったのも仕方ない?
結局、「Nosotros hicimos el partido más flojo desde que llegué al club/ノソトロス・イシモス・エル・パルティード・マス・フロッホ・デスデ・ケ・ジェゲ・アル・クルブ(私がクラブに来てから、一番柔な試合をしてしまった)」(シメオネ監督)アトレティコはそのまま3-0で完敗。キャプテンのオブラクも「まったくいい目の出ない悪い試合をすることはあっても、la intensidad y la actitud nunca te pueden faltar/ラ・インテンシダッド・イ・ラ・アクティトッド・ヌンカ・テ・プエデン・ファルタル(プレーの強度と姿勢は決して欠けてはいけない)」と反省していたんですけどね。参ってしまうのは、今季は11月のW杯期間に入る前に全てを失ってしまった昨季の轍は絶対踏まないとチーム全員が誓いながら、代表戦週間入り直前の4節セビージャ戦が集中豪雨警報で延期となり、間が3週間空いただけで、この体たらく。
こうなると、怖いのはやはりコケやデパイ、デパイが間に合わず、レマル、ソユンチュもいない、トップチームの選手17人とカンテラーノで挑む火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCLラツィオ戦で、ええ、グループリーグでヨーロッパ完全敗退をした昨季は5試合白星なしで終わっていますからね。相手も土曜にユベントスに3-1で負けているとはいえ、向こうにはルイス・アルベルトや鎌田大地選手などもいるため、何とも不安になってくるんですが…週末の日曜にはいよいよマドリーダービーも控えているだけに、とにかく今は早いところ風向きが変わるように努力してもらいたいものです。
そして日曜には雨の降る中、午後2時からのオサスナ戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かった私だったんですが、合羽や傘で屋根のないスタンドに席があるファンはしっかり完全装備してのキックオフに。ただ、ピッチで動きがあったのは雨足が止まった前半36分で、ダミアンの蹴ったCKをミトロビッチがヘッドで決め、ヘタフェは先制したんですが、何でしょうかね。ハーフタイムまであと一息だった45分、オサスナもCKから繋いだイケル・ムニョスのvolea(ボレア/ボレーシュート)がネットに入り、同点に追いつかれてしまっては、ファンも安心してお昼ご飯のボカディージョ(スペインのサンドイッチ)を食べられなかったかも。
後半もその流れは繰り返し、6分にはディエゴ・リコのクロスをカルモナが頭で叩き込み、2-1とリードしたヘタフェだったものの、12分にはGKダビド・ソリアがブドミルをゴール前で倒してPKを献上。ブドミルがしっかり決め、また同点にされたんですが、その後、ボルダラス監督がアレニャ、アランバリ、そして新加入のオスカル・ロドリゲス(セビージャからレンタル)、更には32分、ラタサに代えて、ファンが一番見たがっていたグリーンウッド(同マンチェスター・ユナイテッド)と持てる戦力全てを投入したおかげでしょうか。何と41分にはCKから、この日、3本目のヘッドをマクシモビッチが叩き込んでいるって、ヘタフェって、実は頭自慢のチームだった?
これで3-2となり、電光ボードの表示は10分、実質12分あったロスタイムも、「no hay balones ni recogepelotas, no hay continuidad/ノー・アイ・バロネス・ニ・レコヘペロータス、ノー・アイ・コンティヌイダッド(ボールは消えるし、ボールボーイはいないし、継続してプレーができない)」とアラサーテ監督は怒っていたものの、ボルダラス流を貫いたおかげで3度目の同点弾は受けず、ヘタフェは勝ち点3をゲット。ホームでは2勝1分けとなったため、アウェイの次節、レアル・ソシエダ戦でも余裕が持てるかと思いますが、そう、こちらの相手も水曜にはCLインテル戦が控えていますからね。丸々1週間、調整に当てられるヘタフェにはちょっと有利かもしれませんよ。
え、レアル・ソシエダと言えば、日曜夜のサンティアゴ・ベルナベウでマドリーと対戦していなかったかって?その通りで一旦、自宅に戻った後、私も梯子観戦に出かけたんですが、開閉式屋根があるとはいえ、その日はもう、雨がぶり返してくることがなかったのは良かったかと。ちなみにそのソシエダ戦、序盤から久保建英選手が躍動して、何と開始5分には彼がエリア前から送ったパスをバルネチェアが1度は完全にGKケパに弾かれながら、撃ち直しでゴールラインを割ったんですが、ええ、代表戦前、弟分ダービーでもマジョラルに早い時間に先制されながら、当然の如く、逆転勝利したマドリーでしたからね。
それも間が悪くオジャルサバルがオフサイドの位置におらず、10分に決まった久保選手のゴールが取り消されずに2点リードしていたら、わからなかったとはいえ、ソシエダの抵抗がもったのは後半1分までのこと。ええ、アンチェロッティ監督も後で「今のウチには敵が持ちこたえるのに苦労するプレーの強度がある」と言っていたようにフラン・ガルシアからボールを受け、バルベルデがエリア前から撃ったシュートがポストに当たってゴールに入り、再開早々、マドリーは同点に追いつくことに。おまけに15分には再び、フラン・ガルシアがクロスを上げ、タイミングばっちりでホセルがヘッド。これが2点目のゴールとなって、逆転に成功したんですが、その後、26分には久保選手に激しいタックルをしてイエローカードをもらった殊勲のフラン・ガルシアがすぐ、ナチョに代えられてしまったのはちょっとしたご愛敬?
結局、この日はここ4試合で5得点していたベリンガムはゴールを挙げず、いえ、ロスタイムに途中出場のブライムからラストパスをもらい、低位置から強烈なヘッドを撃ちながら、GKラミロにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったなんてこともあったんですけどね。チームは2-1で勝利して(https://onl.la/uVaHiLv)、開幕5連勝となりましたし、慌てなくも次の試合は水曜日。CL開幕のユニオン・ベルリン戦で再び、彼のゴール力を必要とするシーンもあるはずなので、ソシエダ戦は充電期間と考えて、ファンも楽しみに待っていればいいかと。
ちなみにマドリーの戦力状況ですが、セバージョスはすでに回復して、ベンチに入っていたものの、ソシエダ戦で出番はなし。一緒に復帰予定だったにも関わらず、招集リストに入らなかったメンディも戻って来れそうですが、ビニシウスは9月いっぱいぐらい無理のようだとか。どちらにしろ、相手はCL初出場チームですし、ここは胸を貸すつもりで、この大会の厳しさを教えてあげられたらいいかと思います。
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