いよいよ中2日サイクルが始まる…/原ゆみこのマドリッド

2023.09.15 20:00 Fri
©Atlético de Madrid
「さっさと平常モードに戻らないと」そんな風に私が気を引き締めていたのは木曜日、9月の各国代表戦が終わり、もう週末のリーガ戦が目前に迫っているのに気がついた時のことでした。いやあ、8月半ばに開幕して以来、4節まではずっと週1試合ののんびりペースだったんですけどね。それが転じて、paron(パロン/リーガの停止期間)明けは10月の代表戦までの4週間はずっと週2試合がデフォルトに。というのも来週から、CLグループリーグが始まるせいで、ええ、よって、ヨーロッパの大会不参加の弟分、ヘタフェとラージョはミッドウィーク開催リーガのある9月最終週だけが忙しいんですが、兄貴分の方はとにかく休む間もありゃしませんって!

そう、アトレティコは来週火曜にグループ1節のラツィオ戦でローマ遠征しますし、翌水曜にはレアル・マドリーがサンティゴ・ベルナベウにウニオン・ベルリンを迎えるのに始まって、10月第1週も2節でマドリーがナポリ遠征、アトレティコはメトロポリターノでフェイエノールト戦と続きますからね。この連戦状態がようやく止まる11月第1週もスペイン・スーパーカップ出場で免除となる4チーム(バルサ、マドリー、アトレティコ、オサスナ)以外、コパ・デル・レイ1回戦があって、ミッドウィークを使えないため、4節に外れの集中豪雨警報で順延となったアトレティコvsセビージャ戦など、クリスマスイブ前日、12月23日に設定される程。すでに他のチームが休暇に入っている日付にされてしまったんですが、とりわけ南米系の選手たちは母国で家族と過ごす時間が短くなるのを嘆いているんじゃないでしょうか。

まあ、リーガのことはまた後で話すことにして、先にスペイン代表の2試合目がどうだったかをお伝えしていくことにすると。金曜にユーロ予選3節のジョージア戦で1-7と大勝し、その夜のうちにトビリシからマドリッドに帰京。土曜午後から、練習を再開したデ・ラ・フエンテ監督のチームをラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で待っていたのは、前半終盤に負傷し、交代となったアセンシオ(PSG)とダニ・オルモ(ライプツィヒ)に代わりに速攻、追加招集されたフェラン・トーレス(バルサ)とジェレミー・ピノ(ビジャレアル)の2人で早速、そのセッションから、皆と一緒に汗を流すことに。
恙なく、日曜も練習した後、土曜にチームは4節キプロス戦の舞台となるグラナダ(スペイン南部、アルハンブラ宮殿で有名な観光都市)に移動。一つだけ間が悪かったのは、折しも前日の夜、スペインの優勝した女子W杯表彰式でジェニ・エルモーソ(パチューカ)にキスしたセクラハ事件により、FIFAの規律委員会から90日間の停職処分を喰らって以来、居所不明だったサッカー協会のルビアレス前会長の辞任が伝わってきたことで、いえ、自身がそう言っているイギリス人記者のインタビュー本編が流れたのは水曜だったんですけどね。先行映像で明らかになったため、本来なら、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利の後、デ・ラ・フエンテ監督も胸を張って臨めるはずだったロス・カルメネス(グラナダのホーム)での前日記者会見が、またしてもルビアレス関連質問6連発から始まってしまったことでしょうか。

その辺については金曜にはルビアレス前会長にかけられたジェニへのセクハラと脅迫容疑の裁判に備え、本人が出頭する公聴会も予定されているため、また後日、お伝えしようと思いますが、実は月曜の夜には一足早く、弟分のU21スペイン代表が同じアンダルシア州のハエンでスコットランドとユーロ2025予選の2戦目をプレー。やはり先週金曜にマルタに0-6と大勝した時とは違い、後半38分にパブロ・トレ(バルサからジローナにレンタル移籍)の蹴ったCKをトリエンテス(レアル・ソシエダ)がヘッドで決めて、1-0で勝利するという渋い結果だったんですが、まあ、スコットランドの兄貴分たるや、現在、A代表のユーロ2024予選でスペインのいるグループのダントツ首位ですからね。後輩たちもそれなりに強いのは当然ですが、サンティ・デミア監督のチームも2連勝できて、更にバリオス(アトレティコ)が順調に代表でもボランチ修行が継続できたのは良かったかと。
そしてそのスコットランドA代表がユーロ予選の狭間、イングランドと親善試合を行い、ベリンガム(マドリー)の1得点1アシストの活躍もあって、1-3と負けた火曜、キプロス戦に挑んだスペインだったんですが、この日はジョージア戦から3人をスタメン変更。アセンシオとオルモの後をトリビシでの試合でも引き継いだ16才のジャマル(バルサ)と21才のニコ・ウィリアムス(アスレティック)が入ったのは順当な流れで、あとは2021年のユーロ2020以来の復帰出場で絶賛されていたファビアン・ルイス(PSG)がミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)に変わっていたんですが、まあ相手はグループ最弱のチームですからね。前半17分には左サイドをドリブルで上がったニコの折り返しパスを受けたガビ(バルサ)があっさり、先制点を決めてくれることに。

32分にもニコのクロスをメリーノがヘッドで沈めて、スペインが2点目を奪った時には誰もがこの日もゴール祭りが見られるものと疑わなかったんですが、残念ながら、アトレティコと代表のここ2試合で5得点を挙げているモラタは再び、オフサイド癖が復活したよう。ええ、38分にはジャマルがジョージア戦に続いて、代表最年少デビュー月にもう一花咲かせようと、エリア前か撃ったシュートがゴールポストに弾かれ、落ちてきたところを蹴り込んだ彼だったんですが、恨むべきはVAR(ビデオ審判)注進?ノーゴールとなって、ハーフタイムまでには2点しか取れませんでしたっけ。

それよりショックだったのは、まるで金曜の試合のデジャブのようにニコが44分、ピッチに座り込み、交代を要請。どうやら太ももを痛めたようで、後半頭からピノが入ったんですが、足首を痛めたアセンシオ、ヒザを捻ったオルモと一緒で、全治3、4週間となり、次にプレーできるのは10月の代表戦の頃になるかもしれないって、デ・ラ・フエンテ監督は良くても、出向元のクラブにとってはたまったもんじゃない?そんなこともあるため、モラタが後半は出ず、ホセル(マドリー)に代わってくれて、私もホッとしたんですが、後半、ゴール祭りを再開してくれたのは、奥さん同士が姉妹のマドリー勢だったんですよ。

そう、15分ぐらいしてジャマルとガジャ(バレンシア)がフェランとバルデ(バルサ)に代わった後の25分、カルバハル(マドリー)が右サイドから上げたクロスをホセルが頭で叩き込み、スペインは3点目をゲット。実はこのプレー、「後半が始まる前、ピッチのあの区画を利用しようとカルバハルと話したんだ。 Hemos encontrado muchos espacios ahí/エモス・エンコントラードー・ムーチョス・エスパシオス・アイー(沢山、スペースを見つけたからね)」とホセルも言っていたように、2人の連携の賜物だったんですが、マドリーの右SBはバルサの選手とも通じることができるよう。というのもその2分後にはフェランのパスでエリア内に入った後、またフェランに戻して、そのシュートで4点目が入ったから。

進んで32分、今度はフェランが右サイドから上げたクロスをホセルがvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ったボールは敵GKに弾かれてしまったものの、そこから粘って彼が出したtaconazo(タコナソ/ヒールキック)から、ガビに代わって、ピッチに入ったばかりのアレックス・バエナ(ビジャレアル)がシュート。それがゴールに入り、ジャマルに続いて、代表デビュー&代表初得点を達成するとはツイているじゃありませんか。そしてこの日の締めは38分。モラタからキャプテンマークを引き継いだロドリ(マンチェスター・シティ)が放ったキプロス守備陣の頭上を越えるパスに反応したフェランが自身2点目を挙げて終わったんですが、何せ彼は今季、まだバルサでも先発出場がないのに、途中から入って2ゴールを挙げていますからね。

代表に来たのも昨年のW杯以来ですが、この調子が続けば、デ・ラ・フエンテ監督も「No creo que podamos contar el mes próximo con Olmo y Asensio/ノー・クレオ・ケ・ポダモス・コンタル・エル・メス・プロキシモ・コン・オルモ・イ・アセンシオ(来月、オルモとアセンシオを当てにできるとは思っていない)」と言っていた10月の招集リストには最初から、名前があるのでは?そのまま試合は6-0で終わり、キプロスのケツバイア監督が、「こういう相手とプレーする時、ウチの勝利の可能性はゼロだ。自分のサッカーキャリアの中で一番長い90分だった」と言っているのを聞いたりすると、何かちょっと、気の毒になっちゃうんですけどね。いよいよ、次節はセビージャにスコットランドを迎え、首位との勝ち点差6を3に縮めるチャンスですし、その頃には大概、ルビアレス騒動の片もついて、ネーションズリーグ・ファイナルフォー王者の実力がダテではなかったことを証明できるといいのですが。

そして木曜には各国代表に参加していた選手たちもほとんど所属クラブに戻り、週末のリーガ戦の準備も本格的になってきたんですが、とりあえず、マドリッド勢の試合予定を見ていくことにすると。再開節から早速、平日試合をリピートするのは弟分のラージョで、金曜にアラベスをエスタディオ・バジェカスに迎えることに。フランシスコ監督のチームにも代表戦に行っていた選手が5人いて、イタリア戦で殊勲の1-1ドローを勝ち取ったGKディトリエフスキ(マケドニア)、レバンドフスキ(バルサ)のいるポーランドに勝ち、チームはグループ首位とユーロ初出場への道を進んでいるものの、出番がなかったバリウ(アルバニア)、地元ファンの相手国を侮辱するカンティコで1時間近くも中断したコソボ戦で2-0の勝利にスタメンとして貢献した新戦力、ラティウ(ルーマニア、ウエスカから移籍)、パテ・シス(セネガル)、ベベ(カーボベルデ)ら、アフリカ出張組も皆、ケガなく戻って来られたよう。

開幕2連勝の後、兄貴分のアトレティコに7-0の大敗したのが尾を引いて、続くベティス戦も1-0で落としてしまったラージョは現在、12位で、対するアラベスは同じ2勝2敗でありながら9位。これは単なるゴールアベレージ差故ではありますが、今、チーム状態より心配なのは、2週間前のように再び、金曜のマドリッドが集中豪雨に見舞われそうだということで、当日、スマホに一斉アラートが届かないことを祈るばかり。今回もファンの大半はソルで折り返し運転中のメトロ1号線の代わりに走っているバスでスタジアムに行かないといけませんしね。延期にならずとも、大雨になると、ダイヤが乱れそうなのはイヤですよね。

そして土曜に2番手としてプレーするのは午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、メスタジャでバレンシアと対戦するアトレティコで、こちらはすでにFIFAウィルス被害が2件発覚。トルコ代表に行っていたソユンチュ、木曜早朝に帰京したため、まだ練習に出て来ていないアルゼンチン代表勢のデ・パウルが痛みを抱えているそうで、いえまあ、居残り組でもサムエル・リノが火曜から、筋肉痛で個別メニューとなっているため、別に悪いのは代表奉公ばかりではないんですけどね。2ゴールを挙げてきたサビッチ(モンテネグロ)も疲労蓄積が激しいそうなんですが、折よく、夏の世界一周ツアー前日に脛骨にヒビが入ったヒメネスが丁度、復帰してきたのは不幸中の幸い?

とはいえ、まだコケもメンフィス・デパイも個人練習でチームに合流していませんからね。シメオネ監督も中盤はレマル、サウール、マルコス・ジョレンテ、バリオスらでやりくり、前線はドイツとの親善試合でPKゴールを決めてきたグリーズマン、そしてバレンシアの正GK、ママルダシビリにジョージア戦でハットトリックを浴びせたモラタ一択でいくしかありませんが、アトレティコが最後に試合をしたのは遥か3週間前。ラージョ戦でのゴール運の良さが未だに続いているかは定かではありませんが、来週のCLラツィオ戦の後にはいよいよマドリーダービー到来ですからね。できれば、首位のお隣さんとの勝ち点差を5に保ったまま、メトロポリターノでの決戦に挑んでほしいときっと、ファンも思っているんじゃないでしょうか。

一方、マドリッド勢残りの2チームは日曜試合となり、まずは午後2時からコリセウム・アルフォンソ・ペレスにヘタフェがオサスナを迎えます。こちらも各国代表参加選手が二桁に昇る兄貴分とは違い、マドリッドを離れていたのはロサーノ(ホンジュラス)、アルデレテ(パラグアイ)、ジェネ(トーゴ)、マクシモビッチ(セルビア)と4人だけなんですが、サンティアボ・ベルナベウで後半ロスタイムまで、1-1で粘った後、ベリンガムに勝ち越しゴールを決められて悔しい思いをしてから、もう2週間も経っていますからね。先日、スタジアムにファンを招き入れ、華々しく入団プレゼンされた、空白期間の長かったグリーンウッド(マンチェスター・ユナイテッドからレンタル移籍)はともかく、オスカル・ロドリゲス(同セビージャ)、ディエゴ・リコ(同レアル・ソシエダ)はデビューの準備が整っているはずですし、何はなくても1部残留が目標の直接ライバル相手のホームゲームで勝っておかない手はないかと。

そして日曜午後9時(日本時間翌午前4時)にレアル・ソシエダ戦でトリを務めるのがマドリーなんですが、今のところ、代表帰り選手の負傷情報は聞こえてこず。それどころか、ベリンガムを始め、ロドリゴ(ブラジル)、バルベルデ(ウルグアイ)、チュアメニ(フランス)らは代表でゴールを挙げて気をよくしていますし、義兄弟関係を深めたホセルとカルバハスのコンビも怖いところ。いくら久保建英選手が4節グラナダ戦で2得点し、続く日本代表の親善ドイツ戦、トルコ戦連勝にも貢献と波に乗っていても、ここまで4連勝で首位に立っているマドリーに一泡吹かすのは難しいかと思いますが、さて。ビニシウスの復帰はまだとはいえ、メンディが回復したマドリーは、木曜にはヘタフェ戦の後、地下に折り畳み収納していたサンティアゴ・ベルナベウの芝のピッチを戻して、臨戦態勢を着々と整えています。

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