強いアトレティコを見たかったのに…/原ゆみこのマドリッド
2023.09.04 18:30 Mon
「いや、降ってこないんだけど」そんな風に私が空を眺めていたのは日曜日、アトレティコvsセビージャ戦が延期になったせいで、シビタス・メトロポリターノに行く予定が消え、ヒマを持て余していた夕方のことでした。いえ、この週末はマドリッドの天候が急変し、土曜の朝、目覚めてみると外はドシャ降りの雨。それでマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場のセッション見学を諦めて2度寝したなんてこともあったんですけどね。午後4時15分からのサンティアゴ・ベルナベウでの試合も半袖、生足サンダルなどはもう無理な気温だったため、3カ月ぶりぐらいにジーンズとスニーカーを身に着けることになったんですが、確かに観戦帰りに最寄りのメトロの駅を降りた頃から雨が降っていて、日曜午前中まで止まらず。
それがセントロ(中心部)では雨足が止まった午後2時頃、マドリッド一帯に集中豪雨警報が出たため、お隣さんが今季最初のリーカの゛ホームゲームでここぞとばかり、お披露目した開閉式天井などないメトロポリターノでの試合の延期が決まったんですが、午後6時30分キックオフ予定時間になっても、空は雲に覆われているものの、雨などまったく落ちて来ず。もしや延期は早計だったのではと私が悔しく思うのは、だってえ、最初は翌月曜にチャッチャと済ませてしまうという案もあったものの、その日からサッカー界は各国代表戦週間入り。両チーム共、代表チームに呼ばれている選手がいますし、どちらもCLグループリーグ参加クラブとあって、最短で12月30か31日になるだろうっていうんですよ。そんな年の瀬の忙しい時期に開催されたって、皆、困っちゃいますって。
まあ、そんなことはともかく、CLグループリーグ組み合わせ抽選や移籍市場のクローズがあって、何かとバタバタしていた先週のアトレティコの様子をまず、お伝えしていくことにすると、月曜に前節ラージョ戦を0-7の大勝で終えた彼らは水曜夕方から練習を再開。淡々とセビージャ戦の準備をしていたんですが、金曜にはバルサのアンス・ファティがブライトンにレンタル移籍することが決まり、その玉突き効果でジョアン・フェリックスの姿がセッションで見られなくなることに。翌土曜、当人はバルセロナに移動し、市場の閉じる午前零時前には1年レンタル契約を結んだんですが、その前にアトレティコとの契約を2029年まで延長したのだとか。
おかげで今季のジョアンの給料は全てバルサ持ちとなり、いえ、経営の苦しい、「Era mi sueño de niño, cuando veía al Barça/エラ・ミ・スエニョ・デ・ニーニョ、クアンドー・ベイア・アル・バルサ(バルサを見ていた子供の頃からのボクの夢だった)」(ジョアン)クラブを助けるため、かなり減額したと言われているんですけどね。これで夏中、ずっと言われていたボランチが来るのかと思いきや、まったくアトレティコのフロントに動きはなし。それどころか、土曜にはカラスコも練習場に現れず、ヒル・マリン筆頭株主にアル・シャバブへの移籍を認めてくれるよう直談判しに行ったという報が入ったから、やってくれるじゃないですか。そう、彼は今季も開幕から3試合スタメンで出場し、シメオネ監督の信頼を得ている選手だからですが、もしやこれ、5年前、24才の若い身空で中国の大連に移籍し、1年半で戻って来た経験から何も学んでいない?
まあ、確かにサウジアラビアのクラブは年棒1300万ユーロ(約21億円)の3年契約と、29才の彼にとっては破格のオファーなんですけどね。アトレティコも契約破棄金額の6000万ユーロ(約95億円)の半分位、移籍金を払ってくれればOKのようなんですが、こんな押し詰まった時期に聞かされてもねえ。とはいえ、彼の地の移籍市場がヨーロッパより1週間長く開いているため、まだカラスコの移籍は正式決定していませんが、セビージャ戦の前日会見で話したシメオネ監督は「la salida de Carrasco está compensada porque estaba la opción de que saliera desde junio/ラ・サリーダ・デ・カラスコ・エスタ・コンペンサーダ・ラ・オプシオン・デ・ケ・サリエラ・デスデ・フニオ(カラスコの退団は6月から可能性があったから、ちゃんとカバーされている)」と物怖じせず。
ちなみに各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)の後、アトレティコが次の試合は9月16日(土)、メスタジャでのバレンシア戦。兄弟分ダービーで開花したゴール力をセビージャ戦の延期でホームのファンにお披露目できなかったのは残念ですが、その頃にはコケも戻っているはずで、前節を欠場したレマルも先週半ばから普通にチーム練習に参加と戦力は増えますからね。ただし、エスタディオ・バジェカスでゴールを挙げた後、太ももの負傷で交代したメンフィス・デパイの復帰は6節のマドリーダービーとなる予定だとか。そのミッドウィークの19日(火)には、先日のCL抽選でグループEとなり、フェイエノールト、ラツィオ、セルティックと同組になった彼らにはアウェイでの1節ラツィオ戦が控えていますし、今回はスペイン代表1人参加ではなく、アスピリクエタと一緒に行けるモラタ、グリーズマン(フランス)、オブラク(スロベニア)、デ・パウル、モリーナ、コレア(アルゼンチン)といった出向組には絶対ケガをせず、無事に戻って来てほしいものです。
え、となるとレアル・マドリーのCL日程も決まったんだろうって?その通りでグループCに入った彼らはナポリ、スポルティング・ブラガ、ウニオン・ベルリンと比較的突破が楽な組で、初戦は9月20日(水)、CL初出場のドイツ勢をサンティアゴ・ベルナベウに迎えることに。今季の抽選で良かったのは、何と言ってもマドリーとアトレティコの試合日がズレたことで、これで私も2つのTVで2試合を流してくれる奇特なバル(スペインの喫茶店兼バー)を探す手間が省けたんですが、実はバルサとアトレティコが被るのも結構、お店探しに苦労するのもよくある話。
まあ、その辺は日付が近づいてから心配することにして、土曜のマドリッド勢兄弟分ダービーに話を進めることにすると、それに先立って、移籍最終日の金曜、マドリーはオドリオソラのレアル・ソシエダ移籍を発表。2018年に入団した右SBは2029年までの契約で、移籍金300万ユーロ(約5億円)で古巣に戻ったんですが、来る時は3000万ユーロだったことを考えるとかなり損した気がする?もちろん、2019年に1憶ユーロ(約160億円)越えで獲得したアザール(チェルシーから移籍、昨季マドリーと契約解消)の残念度に比べれば、微々たるものですが、大丈夫。今季の久々の1億越えギャラクティコは大当たりで、開幕早々から、その才能を惜しみなく発揮してくれているんです!
とはいえ、全面改装工事を進めるため、3節までアウェイでチームがプレーした甲斐があったか、開閉式天井も含め、いよいよ完成形が近づいてきたサンティアゴ・ベルナベウで先手を取ったのは弟分のヘタフェで前半11分、フラン・ガルシアが送ったバックパスをアラバが取り逃がすミスを抜け目なく利用。結局、残留することが決まったボルハ・マジョラルがそのボールを奪い、GKケパもかわして、シュートを決めてしまったから、ようやくシートの覆いがなくなり、ゴール裏1階最前列まで埋め尽くすことができるようになった応援団もビックリしたの何のって。
ちなみにボルダラス監督のチームの方は前日の移籍最終日、6月にレアル・ソシエダに300万ユーロ払って完全移籍にしたポルトゥを古巣のジローナに売却するのと平行して、レアル・ソシエダから新たに念願の左SB、ディエゴ・リコをレンタルで獲得。何となく覚えのある選手だと思えば、2016-18シーズン、1部だったレガネスでプレーしていたからですが、更に2018-20シーズンにレガネスにいたオスカル・ロドリゲスもセビージャからレンタルし、マンチェスター・ユナイテッドから来るグリーンウッドを合わせて、一気に3人選手が増えることに。いえ、まだ誰もこのマドリー戦のベンチには入っていませんでしたけどね。それにしてもマジョラル、ラタサ、そしてオスカルと、ヘタフェがやたらRMカスティージャOBだらけになったと思えば、実はマドリーの同点ゴールを挙げたのもカスティージャから紆余曲折を経て、この夏、とうとう古巣復帰を果たしたホセル(エスパニョールからレンタル)だったんですよ。
そう、スタメンにドゥアルテ、ミトロビッチのCBコンビに加え、中盤にもジェネ、アルデレテのCBコンビを置いたヘタフェの守備は堅く、前半にはGKダビド・ソリアがエリア外に出てクリアしたボールを腕に当てているのを主審にスルーされたり、ベリンガム(ドルトムントから移籍)がアレニャにエリア内で倒されてもVAR(ビデオ審判)モニターでの確認でノーペナルティとされる不運が重なって、なかなか追いつけないでいたッマドリーだったんですけどね。ビニシウスの負傷により、この日、CFとして、初先発したホセルが後半開始直後の2分、モドリッチのクロスをジェネがゴール前に落とした後に蹴り込むと、「Estaba deseando que no me lo anularan/エスタバ・デセアンドー・ケ・ノー・メ・ロ・アヌラン(無効にされないように願っていた)」(ホセル)というVARのオフサイドチェックも無事に済み、スコアが1-1となったから、スタンドもどんなに沸いたことか。
その後は後半から交代出場したクロースがエリア外からのシュートをゴールポストに当てた後、もっと近くから2度目のトライもソリアにparadon(パラドン/スーパーセーブ)され、カルバハルのシュートも枠に嫌われ、ホセルの再度のシュートも弾かれて、マドリーはなかなか勝ち越し点が奪えなかったんですが、やはりDNAに刻まれたremontada(レモンターダ/逆転劇)体質とは恐ろしい。死に物狂いで守っていたヘタフェもようやく9分のロスタイムの残りがあと4分となって、一瞬の隙ができたか、50分、ルーカス・バスケスのシュートをソリアがキャッチできず、こぼれたボールに誰より早く反応したのはそう、1億ユーロ越えのベリンガム。ゴールに押し込んで、土壇場の勝ち越し点を奪っただけでなく、もうこれで開幕から4試合5得点でリーガのピチチ(得点王)になっているって、やっぱり彼、MFではなくCFだった?
実際、後でベリンガム自身も「セカンドプレーを自分はよく見ていて、ルーカスのシュートもね。どこにボールが落ちるか直観を働かすためには大量にメンタルの仕事が必要なんだ」と言っていたように、この選手、ホント、ただ者ではありません。2-1の逆転勝利でホーム開幕戦を飾った後、アンチェロッティ監督も「A 15 goles puede llegar sin problemas/ア・キンセ・ゴーレス・プエデ・ジェガール・シン・プロブレマ(シーズン15得点は問題なしに挙げられる)」と保証していましたしね。それどころか、このペースを見ると、1試合1得点以上していますから、十分、ベンゼマ(マドリーと契約終了してアル・イティハトに入団゛)の代わりに成りうるかと。
そんなマドリーは開幕4連勝で単独1位をキープし、各国代表戦週間後は9月18日(日)に再びベルナベウでレアル・ソシエダ戦。一方のヘタフェもこの日の結果は、引分けまであと一息だったため、ショックではありますが、1勝1分け2敗とそれ程、悪いスタートではありませんからね。この2週間で駆け込み入団選手たちもチームに馴染んでくれるでしょうし、同日のオサスナ戦ではコリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンを喜ばすことができるんじゃないかと思いますが、それはまだ先の話。今は先にやはり土曜にベニト・ビジャマリンでプレーしたもう1つの弟分、前節は兄貴分にgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らっていたラージョのベティス戦の結果はどうだったかお伝えしておくと。
うーん、一応、ショックからは立ち直っていたようで、もう猛暑も収まったセビージャで後半8分まで、0-0と拮抗を保っていたんですけどね。ウィリアム・ホセのFKで見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められた後、RdT(ラウール・デ・トマス)とエヌテカの先発CFをカメージョ(アトレティコから2季連続レンタル)やファルカオに代えて反撃したものの、どうしてもその1点が返せず。1-0で惜敗してしまったんですが、まあ、ベティスとはアトレティコもスコアレスドローしていましたし、開幕から2勝2敗なら、フランシスコ新監督もそこそこ、満足しているのでは?
そんな彼らが不満に思っているのは次の5節も金曜試合でアラベスをホームに迎えることで、何せ、開幕5試合で平日開催とならないのはこのベティス戦だけですからね。その辺はラ・リーガも少し、公平性を考えて日程を作ってもらいたいところですが、さて。何にしても、日曜夜の12時が過ぎてようやく、雨がザーザー降り始めたマドリッドでのアトレティコvsセビージャ戦の延期、要は豪雨を恐れて外出自粛を訴えたマドリッド市の勇み足であったようですが、こちらは後々まで影響が残りそうです。
それがセントロ(中心部)では雨足が止まった午後2時頃、マドリッド一帯に集中豪雨警報が出たため、お隣さんが今季最初のリーカの゛ホームゲームでここぞとばかり、お披露目した開閉式天井などないメトロポリターノでの試合の延期が決まったんですが、午後6時30分キックオフ予定時間になっても、空は雲に覆われているものの、雨などまったく落ちて来ず。もしや延期は早計だったのではと私が悔しく思うのは、だってえ、最初は翌月曜にチャッチャと済ませてしまうという案もあったものの、その日からサッカー界は各国代表戦週間入り。両チーム共、代表チームに呼ばれている選手がいますし、どちらもCLグループリーグ参加クラブとあって、最短で12月30か31日になるだろうっていうんですよ。そんな年の瀬の忙しい時期に開催されたって、皆、困っちゃいますって。
まあ、そんなことはともかく、CLグループリーグ組み合わせ抽選や移籍市場のクローズがあって、何かとバタバタしていた先週のアトレティコの様子をまず、お伝えしていくことにすると、月曜に前節ラージョ戦を0-7の大勝で終えた彼らは水曜夕方から練習を再開。淡々とセビージャ戦の準備をしていたんですが、金曜にはバルサのアンス・ファティがブライトンにレンタル移籍することが決まり、その玉突き効果でジョアン・フェリックスの姿がセッションで見られなくなることに。翌土曜、当人はバルセロナに移動し、市場の閉じる午前零時前には1年レンタル契約を結んだんですが、その前にアトレティコとの契約を2029年まで延長したのだとか。
まあ、確かにサウジアラビアのクラブは年棒1300万ユーロ(約21億円)の3年契約と、29才の彼にとっては破格のオファーなんですけどね。アトレティコも契約破棄金額の6000万ユーロ(約95億円)の半分位、移籍金を払ってくれればOKのようなんですが、こんな押し詰まった時期に聞かされてもねえ。とはいえ、彼の地の移籍市場がヨーロッパより1週間長く開いているため、まだカラスコの移籍は正式決定していませんが、セビージャ戦の前日会見で話したシメオネ監督は「la salida de Carrasco está compensada porque estaba la opción de que saliera desde junio/ラ・サリーダ・デ・カラスコ・エスタ・コンペンサーダ・ラ・オプシオン・デ・ケ・サリエラ・デスデ・フニオ(カラスコの退団は6月から可能性があったから、ちゃんとカバーされている)」と物怖じせず。
実際、すでに練習でも左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)の仮想スタメンをリケルメ(昨季はジローナ)にして予行演習していましたし、加えて同じく昨季はレンタル修行組だったサムエル・リノ(同バレンシア)、まだ公式戦デビューはしていませんが、新規入団のハビ・ガラン(セルタから移籍)も当てにできますからね。おかげで左SBとして使われるのに飽き飽きして、2年前にはチェルシーにレンタル移籍。復帰した昨季もあまりいいところを見せられなかったサウールが中盤でのプレーに専念できて、ラージョ戦では2アシストの活躍という波状効果もありましたし、負傷中のコケの代理を任された20才のバリオスも試合を重ねるにつれ、進化しているとなると…あ、やっぱりボランチを含め、もう補強はしなくていい?
ちなみに各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)の後、アトレティコが次の試合は9月16日(土)、メスタジャでのバレンシア戦。兄弟分ダービーで開花したゴール力をセビージャ戦の延期でホームのファンにお披露目できなかったのは残念ですが、その頃にはコケも戻っているはずで、前節を欠場したレマルも先週半ばから普通にチーム練習に参加と戦力は増えますからね。ただし、エスタディオ・バジェカスでゴールを挙げた後、太ももの負傷で交代したメンフィス・デパイの復帰は6節のマドリーダービーとなる予定だとか。そのミッドウィークの19日(火)には、先日のCL抽選でグループEとなり、フェイエノールト、ラツィオ、セルティックと同組になった彼らにはアウェイでの1節ラツィオ戦が控えていますし、今回はスペイン代表1人参加ではなく、アスピリクエタと一緒に行けるモラタ、グリーズマン(フランス)、オブラク(スロベニア)、デ・パウル、モリーナ、コレア(アルゼンチン)といった出向組には絶対ケガをせず、無事に戻って来てほしいものです。
え、となるとレアル・マドリーのCL日程も決まったんだろうって?その通りでグループCに入った彼らはナポリ、スポルティング・ブラガ、ウニオン・ベルリンと比較的突破が楽な組で、初戦は9月20日(水)、CL初出場のドイツ勢をサンティアゴ・ベルナベウに迎えることに。今季の抽選で良かったのは、何と言ってもマドリーとアトレティコの試合日がズレたことで、これで私も2つのTVで2試合を流してくれる奇特なバル(スペインの喫茶店兼バー)を探す手間が省けたんですが、実はバルサとアトレティコが被るのも結構、お店探しに苦労するのもよくある話。
まあ、その辺は日付が近づいてから心配することにして、土曜のマドリッド勢兄弟分ダービーに話を進めることにすると、それに先立って、移籍最終日の金曜、マドリーはオドリオソラのレアル・ソシエダ移籍を発表。2018年に入団した右SBは2029年までの契約で、移籍金300万ユーロ(約5億円)で古巣に戻ったんですが、来る時は3000万ユーロだったことを考えるとかなり損した気がする?もちろん、2019年に1憶ユーロ(約160億円)越えで獲得したアザール(チェルシーから移籍、昨季マドリーと契約解消)の残念度に比べれば、微々たるものですが、大丈夫。今季の久々の1億越えギャラクティコは大当たりで、開幕早々から、その才能を惜しみなく発揮してくれているんです!
とはいえ、全面改装工事を進めるため、3節までアウェイでチームがプレーした甲斐があったか、開閉式天井も含め、いよいよ完成形が近づいてきたサンティアゴ・ベルナベウで先手を取ったのは弟分のヘタフェで前半11分、フラン・ガルシアが送ったバックパスをアラバが取り逃がすミスを抜け目なく利用。結局、残留することが決まったボルハ・マジョラルがそのボールを奪い、GKケパもかわして、シュートを決めてしまったから、ようやくシートの覆いがなくなり、ゴール裏1階最前列まで埋め尽くすことができるようになった応援団もビックリしたの何のって。
ちなみにボルダラス監督のチームの方は前日の移籍最終日、6月にレアル・ソシエダに300万ユーロ払って完全移籍にしたポルトゥを古巣のジローナに売却するのと平行して、レアル・ソシエダから新たに念願の左SB、ディエゴ・リコをレンタルで獲得。何となく覚えのある選手だと思えば、2016-18シーズン、1部だったレガネスでプレーしていたからですが、更に2018-20シーズンにレガネスにいたオスカル・ロドリゲスもセビージャからレンタルし、マンチェスター・ユナイテッドから来るグリーンウッドを合わせて、一気に3人選手が増えることに。いえ、まだ誰もこのマドリー戦のベンチには入っていませんでしたけどね。それにしてもマジョラル、ラタサ、そしてオスカルと、ヘタフェがやたらRMカスティージャOBだらけになったと思えば、実はマドリーの同点ゴールを挙げたのもカスティージャから紆余曲折を経て、この夏、とうとう古巣復帰を果たしたホセル(エスパニョールからレンタル)だったんですよ。
そう、スタメンにドゥアルテ、ミトロビッチのCBコンビに加え、中盤にもジェネ、アルデレテのCBコンビを置いたヘタフェの守備は堅く、前半にはGKダビド・ソリアがエリア外に出てクリアしたボールを腕に当てているのを主審にスルーされたり、ベリンガム(ドルトムントから移籍)がアレニャにエリア内で倒されてもVAR(ビデオ審判)モニターでの確認でノーペナルティとされる不運が重なって、なかなか追いつけないでいたッマドリーだったんですけどね。ビニシウスの負傷により、この日、CFとして、初先発したホセルが後半開始直後の2分、モドリッチのクロスをジェネがゴール前に落とした後に蹴り込むと、「Estaba deseando que no me lo anularan/エスタバ・デセアンドー・ケ・ノー・メ・ロ・アヌラン(無効にされないように願っていた)」(ホセル)というVARのオフサイドチェックも無事に済み、スコアが1-1となったから、スタンドもどんなに沸いたことか。
その後は後半から交代出場したクロースがエリア外からのシュートをゴールポストに当てた後、もっと近くから2度目のトライもソリアにparadon(パラドン/スーパーセーブ)され、カルバハルのシュートも枠に嫌われ、ホセルの再度のシュートも弾かれて、マドリーはなかなか勝ち越し点が奪えなかったんですが、やはりDNAに刻まれたremontada(レモンターダ/逆転劇)体質とは恐ろしい。死に物狂いで守っていたヘタフェもようやく9分のロスタイムの残りがあと4分となって、一瞬の隙ができたか、50分、ルーカス・バスケスのシュートをソリアがキャッチできず、こぼれたボールに誰より早く反応したのはそう、1億ユーロ越えのベリンガム。ゴールに押し込んで、土壇場の勝ち越し点を奪っただけでなく、もうこれで開幕から4試合5得点でリーガのピチチ(得点王)になっているって、やっぱり彼、MFではなくCFだった?
実際、後でベリンガム自身も「セカンドプレーを自分はよく見ていて、ルーカスのシュートもね。どこにボールが落ちるか直観を働かすためには大量にメンタルの仕事が必要なんだ」と言っていたように、この選手、ホント、ただ者ではありません。2-1の逆転勝利でホーム開幕戦を飾った後、アンチェロッティ監督も「A 15 goles puede llegar sin problemas/ア・キンセ・ゴーレス・プエデ・ジェガール・シン・プロブレマ(シーズン15得点は問題なしに挙げられる)」と保証していましたしね。それどころか、このペースを見ると、1試合1得点以上していますから、十分、ベンゼマ(マドリーと契約終了してアル・イティハトに入団゛)の代わりに成りうるかと。
そんなマドリーは開幕4連勝で単独1位をキープし、各国代表戦週間後は9月18日(日)に再びベルナベウでレアル・ソシエダ戦。一方のヘタフェもこの日の結果は、引分けまであと一息だったため、ショックではありますが、1勝1分け2敗とそれ程、悪いスタートではありませんからね。この2週間で駆け込み入団選手たちもチームに馴染んでくれるでしょうし、同日のオサスナ戦ではコリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンを喜ばすことができるんじゃないかと思いますが、それはまだ先の話。今は先にやはり土曜にベニト・ビジャマリンでプレーしたもう1つの弟分、前節は兄貴分にgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らっていたラージョのベティス戦の結果はどうだったかお伝えしておくと。
うーん、一応、ショックからは立ち直っていたようで、もう猛暑も収まったセビージャで後半8分まで、0-0と拮抗を保っていたんですけどね。ウィリアム・ホセのFKで見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められた後、RdT(ラウール・デ・トマス)とエヌテカの先発CFをカメージョ(アトレティコから2季連続レンタル)やファルカオに代えて反撃したものの、どうしてもその1点が返せず。1-0で惜敗してしまったんですが、まあ、ベティスとはアトレティコもスコアレスドローしていましたし、開幕から2勝2敗なら、フランシスコ新監督もそこそこ、満足しているのでは?
そんな彼らが不満に思っているのは次の5節も金曜試合でアラベスをホームに迎えることで、何せ、開幕5試合で平日開催とならないのはこのベティス戦だけですからね。その辺はラ・リーガも少し、公平性を考えて日程を作ってもらいたいところですが、さて。何にしても、日曜夜の12時が過ぎてようやく、雨がザーザー降り始めたマドリッドでのアトレティコvsセビージャ戦の延期、要は豪雨を恐れて外出自粛を訴えたマドリッド市の勇み足であったようですが、こちらは後々まで影響が残りそうです。
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