ようやく兄貴分たちの試合が始まった…/原ゆみこのマドリッド
2023.07.26 22:45 Wed
「何か、逆転のニュースが続く日ね」そんな風に私が驚いていたのは火曜日、お昼のスポーツニュースでUEFAがオサスナのコンフェレンスリーグ出場を認めたという報を聞いた時のことでした。いやあ、彼らは昨季7位で終わり、リーガ順位で出場権を獲得しながら、6月には2013年に起きた八百長試合で最高裁が当時の経営陣の有罪を確定。それを受けて、ヨーロッパの大会から1年間除外されることになったんですが、この月曜にCAS(国際スポーツ裁判所)が、現経営陣はその罪を犯した元会長らを訴えた側で、被害を受けたのはクラブの方という申し立てを支持したため、UEFAも意見を変えたのだとか。
おかげでアラサーテ監督のチームは16年ぶりのヨーロッパ遠征を楽しめることとなり、8月7日の予選プレーオフの組み合わせ抽選で相手が決まるんですが、これはこの夏、2部の弟分レガネスから移籍。早くもプレシーズンマッチ2試合目のウエスカ戦で決勝点を挙げたアルナイス、そして1部の弟分ラージョとの契約が終わって河岸を変え、続くレアル・ソシエダ戦で驚異のハットトリックを達成したCBカテナにとっても朗報だったかと。まあ、気の毒なのはコンフェレンスリーグ出場権が回って来るのか、来ないのか、宙ぶらりんのまま、メキシコツアーに行っていた昨季8位のアスレティックですけどね。棚ぼたラッキーは当てにせず、今季こそ実力でヨーロッパの大会出場圏入りを目指すしかありませんよね。
そしてあと2つの逆転ニュースにはマドリッド勢が関係していて、まずはもう1つの弟分ヘタフェ。ええ、こちらも原因となったのはかなり昔、2017年の1部昇格プレーオフ決勝テネリフェ戦2ndレグでチームの最短1部Uターンが決まった直後、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのピッチにファンが大量侵入した罪を問われていたんですが、司法手続きが亀の歩みのようなのはどこの国も同じです。とうに忘れていた今年の6月末、最高裁がヘタフェに1試合の無観客試合を課したため、8月13日の今季開幕となるバルサ戦にファンが入れるのかどうか危ぶまれていたんですが、こちらもクラブの申し立てが功奏することに。
処分が撤回されたため、ホームデビュー戦から、ホームサポーターの応援を当てにできることになったんですが、もしやここまで、プレシーズンマッチを無観客で3連勝しているヘタフェとなれば、実はあまり関係なかった?そう、先週末の土曜にも彼らはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のグラウンドでインデペンディエンテ・デル・バジェ戦を行ったんですが、実はその日はアテネでのパナシナイコス戦に勝利した後、ベルギーに向かったラージョのシャルルロワ戦が午後7時から、30分ずれて、レガネスが今季は2部のライバルとなるバジャドリーと、そして8時からヘタフェという過密スケジュールでねえ。
ラージョこそ、ネットストリーミングがなかったため、開始6分でアルバロ・ガルシアが挙げた自身、このプレシーズン2本目となるゴールや32分、新入団のアリダネ(オサスナと契約終了)の犯したペナルティのせいで、イライマアリトラにPKゴールで同点にされるところは見られなかったんですけどね(最終結果1-1)。スマホで見始めたバジャドリーのYouTubeチャンネルでの中継では前半23分にカンテラーノ(Bチームの選手)のアレックス・ヒルがレガネスの先制点を挙げ、30分にマロトのエリア外からのシュートで同点にされた後、38分にはディエゴ・ガルシアが決めて、1-2のリードで試合はハーフタイム入り。
その頃には後半に入っていたレガネスも7分にはFKから、ポベダのヘッドで3点目、13分にも昨季はバレンシアからのレンタルでプレーし、先日、完全移籍が決まったサエンスが4点目を挙げていたため、動きの良くなってきたヘタフェの後半戦に集中することができたんですが、15分、プレシーズンマッチ初戦のブレンドフォード(イングランド5部)戦同様、先制点を挙げたのはボルハ・マジョラルでした。ええ、アレニャがエリア近くで敵から奪ったボールをマクシモビッチに送り、その横パスから決めたんですが、その当人はボルダラス監督の信頼を感じられず、この夏の移籍を希望しているのだとか。
ただ、ここまで2連敗だったレガネスが1-4と快勝でプレシーズンマッチ3戦目を締め括り、ロサンジェルスにいるマドリーも長めのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)で練習を終える頃だった33分、ヘタフェでは滅多にないミスが発生。昨季、ギリギリのところでチームを降格から救ってくれた絶対守護神のダビド・ソリアがゴールキックを敵に贈ってしまい、ケビンにvaselina(バセリーナ/ループシュート)を浴びて、1-1の同点にされてしまったのには呆気に取られるばかりでしたが、39分には思わぬ救世主が。ええ、カンテラーノのサンティが取り戻したボールをセアオネが受け、エリア内右から勝ち越し点となるシュートを決めてくれたから、助かったの何のって。
結果、2-1としたヘタフェは3連勝を引っ提げ、週明けには第2次キャンプ地のカンポアモール(地中海沿岸のゴルフリゾート)に移動。水曜にはあちらでスタッド・ランスと試合をするんですが、まあ今はどこも粛々と予定をこなしていますからね。再び灼熱のマドリッドに戻り、マドリッド南部にある練習場で1日おきのダブルセッションを繰り返して準備に励んでいるラージョも土曜にはポルト戦で遠征しますし、レガネスも同じ日に、こちらは近場のバルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場でRMカスティージャと手合わせと、試合を見れる見れないは別として、いよいよ、プレシーズンも佳境に差し掛かってきたようですが…。
そして3番目の逆転ニュースはマドリー関連で、え?彼らは月曜早朝、午前4時からのプレシーズン最初となるミラン戦で早速、お家芸の根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を披露していなかったかって?まあ、そうなんですが、火曜に入ってきたのは4月初旬、サンティアゴ・ベルナベウでのビジャレアル戦の後、スタジアムのパーキングでバエナを待ち伏せして、パンチを喰らわした件で出場停止4試合の処分と言われていたバルベルデが競技委員会からお咎めなしとなったというニュース。いやあ、実はまだ、U21ユーロのスペイン代表にバエナが参加している最中だった7月3日には、当人の暴行被害の警察への訴えが証拠不十分で不起訴になっていたんですけどね。それを受けて今回、バルベルデの出場停止もなくなったんですが、もしやミラン戦ですでに彼はその前祝いをしていた?
というのもローズボウルスタジアムに7万人以上の観客を集めたその試合、スタメンでホセル(エスパニョールからレンタル)、ブライム(3年間のミランへのレンタル移籍から帰還)、ベリンガム(ドルトムントから移籍)の3人の新顔がデビューとなり、アンチェロッティ監督は公約通り、システムを4-3-1-2に変更。ただ、前半25分にCKからトモリにヘッドを決められたのはそのせいというより、まだセットプレーの守備練習を念入りにやる時間がなかったというか、42分にもルカ・ロメロにエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を撃ち込まれたのも、今季から第1キャプテンとなったナチョが自陣エリア近くで敵にボールを送ってしまったせいでしたからね。
確かにアンチェロッティ監督も「A nivel defensivo, no es el mejor sistema/ア・ニベル・デフェンシーボ、ノー・エス・エル・メホール・システマ(守備的なレベルの面では最高にいいシステムじゃない)が、選手たちの特徴に適応しないといけない」と言っていたように、ホセルとブライムの後ろでトップ下として入ったベリンガムは際立っていたのだとか。それでもさすがに前半だけで2点差は厳しいと思っていたところ、マドリーは後半頭から選手を8人交代します。すると残った3人の1人だったバルベルデが11分、昨年の好調期を思い出させる弾丸シュートをエリア外から発射。それがGKスポルティエッロの手をすり抜けてゴールになったかと思えば、その2分後にも2本目を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。
いえまあ、31分にGKルニンが面目躍如のparadon(パラドン/スーパーセーブ)でジルーのヘッドを弾いた後、最後にレモンターダの仕上げをしたのは、後半から入ったモドリッチのスルーパスを追いかけ、ケアーをかわしてシュートを決めたビニシウスだったんですけどね。そのプレーですら、フル出場となったバルベルデが自陣で敵から奪い返したのが起点だったとなれば、3-2で逆転勝利したこの試合のMVPを彼がもらっていたのも当然だった?ちなみに昨季はアンチェロッティ監督が10本以上ゴールを挙げなければ、コーチライセンスを破るという賭けをしっかり12本という数字で勝たせてあげた当人は、今季も「Tengo que esperar al míster. Si me dice 10, 15, los que sean, iré a por ello/テンゴ・ケ・エスペラール・アル・ミステル。シー・メ・ディセ・ディエス、キンセ、ロス・ケ・セアン、イレ・ア・ポル・エジョ(監督の言葉を待たないと。10本、15本でも彼が言ったゴール数を目指すよ)」とのこと。
何せ、今季はベンゼマ(契約終了でアル・イティハドに移籍)とアセンシオ(同PSG)の計43本分のゴールが消えてしまったマドリーですからね。後者の分ぐらいは国産ピチチ(スペイン人得点王)のホセルが補ってくれるとしても、あとはブライムやベリンガム、バルベルデらMF全員で補わないといけませんからね。もちろん、ベルベルデも「Con Rodry y Vini atacamos mucho más y fue más fácil/コン・ロドリ・イ・ビニ・アタカモス・ムーチョ・マス・イ・フエ・マス・ファシル(ロドリとビニがいるとウチはもっと沢山攻撃できるし、ずっと簡単になる)」と言っていた通り、若いブラジル人FWコンビには更なる数字の上乗せが求められる訳ですが、まあその辺は更なる逆転でエムバペ(PSG)の電撃入団が移籍市場が閉じる寸前にあるかもしれませんし、おいおい見ていけばいいかと。
そしてミラン戦に筋肉痛で出られなかったギュレル(フェネルバフチェから移籍)だけが別メニューのまま、月曜、火曜もUCLAのウォーリス・アネンバーグ・スタジアムで練習したマドリーはその夜にはロサンジェルスを発ち、次の興行地ヒューストンに移動することに。あちらではスペイン時間の木曜午前2時30分(日本時間午前9時30分)にマンチェスター・ユナイテッドと対戦するんですが、とても近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見られる時間ではないのが本当に悔しいところ。今は私もレアル・マドリーTVで中継してくれるライブ練習の紅白戦などでプレーを観察して、仕上がり具合を想像するしかないんですが、果たして月曜に自分もマハダオンダ(マドリッド近郊)でセッションの公開部分を見てきたお隣さんの様子はどうだったかというと。
いやあ、それがフル公開セッションが続いたロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプとは違い、ボール回しやランニングは見せてくれたんですが、肝心のシュート練習やミニゲームの時はすでにチームは目隠しシートのあるグラウンドに移り、取材陣は追い出されてしまう始末。そこで隙間から覗いていると、ヒメネスが1人、スタッフに付き添われて早退しているのが目に入ったため、何かあったかと思えば、後から、脛骨にヒビが入って、その日の午後に出発するアトレティコ世界一周ツアーには参加せず、先週金曜の練習でふくらはぎを痛めたモリーナと共にお留守番とは、今季もヒメネスの負傷癖は治っていない?
ちなみに午後7時に練習場を出発したツアーに参加するのは前述の2人と長期リハビリ中のレイニウドを除く、移籍したくてもなかなか満足できるオファーが来ないジョアン・フェリックス、移籍する気はなくともユベントス、ローマ、インテルまでが興味津々なモラタも含めて、トップチーム全員と5人のカンテラーノ。うち、リケルメ(昨季はジローナにレンタル移籍)はU21ユーロに参加していたため、まだバケーション中だったにも関わらず、月曜の練習から緊急復帰。この夏もレンタル先を探さないといけないカメージョ(同ラージョ)と差をつけていましたが、遅れてチームに合流した昨季は2部レンタル組だったモジェホ(同サラゴサ)やボルハ・ガルセス(同テネリフェ)らもツアーには呼ばれていませんからね。
更にシメオネ監督の三男、ジュリアーノ(昨季は2部のサラゴサ)も金曜にはアラベスへのレンタル移籍が決まり、今季はRMカスティージャからのレンタルをリピートするアントニオ・ブランコと一緒に1部で修行。そのため、やはり今季はレンタル移籍になると言われている、アトレティコBがRFEF1部昇格するゴールを供給したカルロス・マルティンと共に、まずはこの木曜午後1時(日本時間午後8時)、ソウルで行われるKリーグ選抜との親善試合から、リケルメがシメオネ監督に残留アピールをしてくれるとことと思いますが、はあ。何せ今のところ、アトレティコはコンドグビアとロディ(昨季はノッティンガム・フォレストにレンタル)をオリンピック・マルセイユに売却したことで、ハビ・ガラン(セルタから移籍)、ソユンチュ(レスターとの契約終了)、アスピリクエタ(同チェルシー)、モウリーニョ(ラシンクラブ・デ・モンテビデオから移籍)らの獲得費用は賄われているものの、新顔は皆、DFですからね。ファンの心を躍らせてくれる前線の補強があるのかどうか、出て行く選手が決まらない限り実現しないというのは本当にもどかしいところです。
おかげでアラサーテ監督のチームは16年ぶりのヨーロッパ遠征を楽しめることとなり、8月7日の予選プレーオフの組み合わせ抽選で相手が決まるんですが、これはこの夏、2部の弟分レガネスから移籍。早くもプレシーズンマッチ2試合目のウエスカ戦で決勝点を挙げたアルナイス、そして1部の弟分ラージョとの契約が終わって河岸を変え、続くレアル・ソシエダ戦で驚異のハットトリックを達成したCBカテナにとっても朗報だったかと。まあ、気の毒なのはコンフェレンスリーグ出場権が回って来るのか、来ないのか、宙ぶらりんのまま、メキシコツアーに行っていた昨季8位のアスレティックですけどね。棚ぼたラッキーは当てにせず、今季こそ実力でヨーロッパの大会出場圏入りを目指すしかありませんよね。
そしてあと2つの逆転ニュースにはマドリッド勢が関係していて、まずはもう1つの弟分ヘタフェ。ええ、こちらも原因となったのはかなり昔、2017年の1部昇格プレーオフ決勝テネリフェ戦2ndレグでチームの最短1部Uターンが決まった直後、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのピッチにファンが大量侵入した罪を問われていたんですが、司法手続きが亀の歩みのようなのはどこの国も同じです。とうに忘れていた今年の6月末、最高裁がヘタフェに1試合の無観客試合を課したため、8月13日の今季開幕となるバルサ戦にファンが入れるのかどうか危ぶまれていたんですが、こちらもクラブの申し立てが功奏することに。
ラージョこそ、ネットストリーミングがなかったため、開始6分でアルバロ・ガルシアが挙げた自身、このプレシーズン2本目となるゴールや32分、新入団のアリダネ(オサスナと契約終了)の犯したペナルティのせいで、イライマアリトラにPKゴールで同点にされるところは見られなかったんですけどね(最終結果1-1)。スマホで見始めたバジャドリーのYouTubeチャンネルでの中継では前半23分にカンテラーノ(Bチームの選手)のアレックス・ヒルがレガネスの先制点を挙げ、30分にマロトのエリア外からのシュートで同点にされた後、38分にはディエゴ・ガルシアが決めて、1-2のリードで試合はハーフタイム入り。
その途中、パソコン画面でヘタフェの中継も見始めて、おまけにレアル・マドリーTVではUCLAキャンパスでの練習も始まったため、自分でも訳のわからない状態になっていたんですが、大丈夫。何故か、協会施設のスタンドのあるメイングラウンドではなく、プレスコンフェレンスルームやロッカールームなどがある建物の奥にあるサブグラウンドでは、マタの強烈ヘッドが敵GKに弾かれたりはしたものの、前半は0-0のままで終わったから。
その頃には後半に入っていたレガネスも7分にはFKから、ポベダのヘッドで3点目、13分にも昨季はバレンシアからのレンタルでプレーし、先日、完全移籍が決まったサエンスが4点目を挙げていたため、動きの良くなってきたヘタフェの後半戦に集中することができたんですが、15分、プレシーズンマッチ初戦のブレンドフォード(イングランド5部)戦同様、先制点を挙げたのはボルハ・マジョラルでした。ええ、アレニャがエリア近くで敵から奪ったボールをマクシモビッチに送り、その横パスから決めたんですが、その当人はボルダラス監督の信頼を感じられず、この夏の移籍を希望しているのだとか。
ただ、ここまで2連敗だったレガネスが1-4と快勝でプレシーズンマッチ3戦目を締め括り、ロサンジェルスにいるマドリーも長めのpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)で練習を終える頃だった33分、ヘタフェでは滅多にないミスが発生。昨季、ギリギリのところでチームを降格から救ってくれた絶対守護神のダビド・ソリアがゴールキックを敵に贈ってしまい、ケビンにvaselina(バセリーナ/ループシュート)を浴びて、1-1の同点にされてしまったのには呆気に取られるばかりでしたが、39分には思わぬ救世主が。ええ、カンテラーノのサンティが取り戻したボールをセアオネが受け、エリア内右から勝ち越し点となるシュートを決めてくれたから、助かったの何のって。
結果、2-1としたヘタフェは3連勝を引っ提げ、週明けには第2次キャンプ地のカンポアモール(地中海沿岸のゴルフリゾート)に移動。水曜にはあちらでスタッド・ランスと試合をするんですが、まあ今はどこも粛々と予定をこなしていますからね。再び灼熱のマドリッドに戻り、マドリッド南部にある練習場で1日おきのダブルセッションを繰り返して準備に励んでいるラージョも土曜にはポルト戦で遠征しますし、レガネスも同じ日に、こちらは近場のバルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場でRMカスティージャと手合わせと、試合を見れる見れないは別として、いよいよ、プレシーズンも佳境に差し掛かってきたようですが…。
そして3番目の逆転ニュースはマドリー関連で、え?彼らは月曜早朝、午前4時からのプレシーズン最初となるミラン戦で早速、お家芸の根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を披露していなかったかって?まあ、そうなんですが、火曜に入ってきたのは4月初旬、サンティアゴ・ベルナベウでのビジャレアル戦の後、スタジアムのパーキングでバエナを待ち伏せして、パンチを喰らわした件で出場停止4試合の処分と言われていたバルベルデが競技委員会からお咎めなしとなったというニュース。いやあ、実はまだ、U21ユーロのスペイン代表にバエナが参加している最中だった7月3日には、当人の暴行被害の警察への訴えが証拠不十分で不起訴になっていたんですけどね。それを受けて今回、バルベルデの出場停止もなくなったんですが、もしやミラン戦ですでに彼はその前祝いをしていた?
というのもローズボウルスタジアムに7万人以上の観客を集めたその試合、スタメンでホセル(エスパニョールからレンタル)、ブライム(3年間のミランへのレンタル移籍から帰還)、ベリンガム(ドルトムントから移籍)の3人の新顔がデビューとなり、アンチェロッティ監督は公約通り、システムを4-3-1-2に変更。ただ、前半25分にCKからトモリにヘッドを決められたのはそのせいというより、まだセットプレーの守備練習を念入りにやる時間がなかったというか、42分にもルカ・ロメロにエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を撃ち込まれたのも、今季から第1キャプテンとなったナチョが自陣エリア近くで敵にボールを送ってしまったせいでしたからね。
確かにアンチェロッティ監督も「A nivel defensivo, no es el mejor sistema/ア・ニベル・デフェンシーボ、ノー・エス・エル・メホール・システマ(守備的なレベルの面では最高にいいシステムじゃない)が、選手たちの特徴に適応しないといけない」と言っていたように、ホセルとブライムの後ろでトップ下として入ったベリンガムは際立っていたのだとか。それでもさすがに前半だけで2点差は厳しいと思っていたところ、マドリーは後半頭から選手を8人交代します。すると残った3人の1人だったバルベルデが11分、昨年の好調期を思い出させる弾丸シュートをエリア外から発射。それがGKスポルティエッロの手をすり抜けてゴールになったかと思えば、その2分後にも2本目を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。
いえまあ、31分にGKルニンが面目躍如のparadon(パラドン/スーパーセーブ)でジルーのヘッドを弾いた後、最後にレモンターダの仕上げをしたのは、後半から入ったモドリッチのスルーパスを追いかけ、ケアーをかわしてシュートを決めたビニシウスだったんですけどね。そのプレーですら、フル出場となったバルベルデが自陣で敵から奪い返したのが起点だったとなれば、3-2で逆転勝利したこの試合のMVPを彼がもらっていたのも当然だった?ちなみに昨季はアンチェロッティ監督が10本以上ゴールを挙げなければ、コーチライセンスを破るという賭けをしっかり12本という数字で勝たせてあげた当人は、今季も「Tengo que esperar al míster. Si me dice 10, 15, los que sean, iré a por ello/テンゴ・ケ・エスペラール・アル・ミステル。シー・メ・ディセ・ディエス、キンセ、ロス・ケ・セアン、イレ・ア・ポル・エジョ(監督の言葉を待たないと。10本、15本でも彼が言ったゴール数を目指すよ)」とのこと。
何せ、今季はベンゼマ(契約終了でアル・イティハドに移籍)とアセンシオ(同PSG)の計43本分のゴールが消えてしまったマドリーですからね。後者の分ぐらいは国産ピチチ(スペイン人得点王)のホセルが補ってくれるとしても、あとはブライムやベリンガム、バルベルデらMF全員で補わないといけませんからね。もちろん、ベルベルデも「Con Rodry y Vini atacamos mucho más y fue más fácil/コン・ロドリ・イ・ビニ・アタカモス・ムーチョ・マス・イ・フエ・マス・ファシル(ロドリとビニがいるとウチはもっと沢山攻撃できるし、ずっと簡単になる)」と言っていた通り、若いブラジル人FWコンビには更なる数字の上乗せが求められる訳ですが、まあその辺は更なる逆転でエムバペ(PSG)の電撃入団が移籍市場が閉じる寸前にあるかもしれませんし、おいおい見ていけばいいかと。
そしてミラン戦に筋肉痛で出られなかったギュレル(フェネルバフチェから移籍)だけが別メニューのまま、月曜、火曜もUCLAのウォーリス・アネンバーグ・スタジアムで練習したマドリーはその夜にはロサンジェルスを発ち、次の興行地ヒューストンに移動することに。あちらではスペイン時間の木曜午前2時30分(日本時間午前9時30分)にマンチェスター・ユナイテッドと対戦するんですが、とても近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見られる時間ではないのが本当に悔しいところ。今は私もレアル・マドリーTVで中継してくれるライブ練習の紅白戦などでプレーを観察して、仕上がり具合を想像するしかないんですが、果たして月曜に自分もマハダオンダ(マドリッド近郊)でセッションの公開部分を見てきたお隣さんの様子はどうだったかというと。
いやあ、それがフル公開セッションが続いたロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプとは違い、ボール回しやランニングは見せてくれたんですが、肝心のシュート練習やミニゲームの時はすでにチームは目隠しシートのあるグラウンドに移り、取材陣は追い出されてしまう始末。そこで隙間から覗いていると、ヒメネスが1人、スタッフに付き添われて早退しているのが目に入ったため、何かあったかと思えば、後から、脛骨にヒビが入って、その日の午後に出発するアトレティコ世界一周ツアーには参加せず、先週金曜の練習でふくらはぎを痛めたモリーナと共にお留守番とは、今季もヒメネスの負傷癖は治っていない?
ちなみに午後7時に練習場を出発したツアーに参加するのは前述の2人と長期リハビリ中のレイニウドを除く、移籍したくてもなかなか満足できるオファーが来ないジョアン・フェリックス、移籍する気はなくともユベントス、ローマ、インテルまでが興味津々なモラタも含めて、トップチーム全員と5人のカンテラーノ。うち、リケルメ(昨季はジローナにレンタル移籍)はU21ユーロに参加していたため、まだバケーション中だったにも関わらず、月曜の練習から緊急復帰。この夏もレンタル先を探さないといけないカメージョ(同ラージョ)と差をつけていましたが、遅れてチームに合流した昨季は2部レンタル組だったモジェホ(同サラゴサ)やボルハ・ガルセス(同テネリフェ)らもツアーには呼ばれていませんからね。
更にシメオネ監督の三男、ジュリアーノ(昨季は2部のサラゴサ)も金曜にはアラベスへのレンタル移籍が決まり、今季はRMカスティージャからのレンタルをリピートするアントニオ・ブランコと一緒に1部で修行。そのため、やはり今季はレンタル移籍になると言われている、アトレティコBがRFEF1部昇格するゴールを供給したカルロス・マルティンと共に、まずはこの木曜午後1時(日本時間午後8時)、ソウルで行われるKリーグ選抜との親善試合から、リケルメがシメオネ監督に残留アピールをしてくれるとことと思いますが、はあ。何せ今のところ、アトレティコはコンドグビアとロディ(昨季はノッティンガム・フォレストにレンタル)をオリンピック・マルセイユに売却したことで、ハビ・ガラン(セルタから移籍)、ソユンチュ(レスターとの契約終了)、アスピリクエタ(同チェルシー)、モウリーニョ(ラシンクラブ・デ・モンテビデオから移籍)らの獲得費用は賄われているものの、新顔は皆、DFですからね。ファンの心を躍らせてくれる前線の補強があるのかどうか、出て行く選手が決まらない限り実現しないというのは本当にもどかしいところです。
|