カウントダウンが始まった…/原ゆみこのマドリッド
2023.07.04 23:30 Tue
「これで水曜、遅くとも土曜には解放される訳だ」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、前夜にはU21ユーロ準々決勝でイングランドがポルトガルを破って準決勝進出を決めたため、同じくベスト4に残ったスペインの2024年オリンピック参加が決まったのを知った時のことでした。いやあ、ヨーロッパ勢のパリ大会における出場枠は3チームで、開催国フランスは別枠参加。イングランドはイギリスとしてでしか参加できないため、このオリンピック出場国選抜も兼ねているユーロで彼らが上位に入っても、それ以上の意味はなかったんですけどね。
ただ、他の代表チームにとっては結構、大ごとで、もしU21ユーロ決勝がイングランドvsフランスとなった場合、準決勝で負けた2チームに加え、準々決勝敗退の4チーム中、成績のいい2チームがプレーオフを戦って、3チーム目を決定とか、どちらも準々決勝で消えた場合は準決勝に負けたチーム同士で3位決定戦をプレーするとかで、試合数や滞在日数にも影響しかねず。ところがどっこい、波乱が起こって、フランスだけが準々決勝で敗退したため、それ以外のベスト4の3チーム、揃ってめでたくオリンピック出場となれば、そろそろプレシーズン練習を始めるクラブも出て来る今頃まで、お国に奉公を続けているスペインU21の選手たちもあとはユーロのトロフィーを手土産に気分良く、バケーションに入ることを考えるだけでいい?
いやまあ、同じプロサッカー選手で言えば、6月3日のCL決勝で戴冠したバルサを除き、リーガが終わったのは5月21日と早かったものの、6月19日にはベニドーム(地中海沿岸のビーチリゾート)で1次合宿をスタート。次の週にはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で2次合宿入り、木曜に親善試合でパナマに7-0とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)をかました翌日には29人いたメンバーから6人を落とした本招集リスト発表の運びに。今週月曜からは女子W杯オーストラリア・ニュージーランド共催大会に参加する23人で再び、ラス・ロサスで3次合宿となったスペイン女子代表のように、7月21日のグループリーグ初戦、コスタリカ戦を目指して延々と練習と続けているチームもあるんですけどね。
彼女たちはこの水曜にコペンハーゲンでデンマークとの親善試合をこなした後、いよいよニュージーランド移動となるものの、こちらはあまりに長丁場なため、女子W杯開幕が近づいたら、ええ、30日にはグループ最終戦となる日本戦もありますしね。また何かお伝えできる話題もあるかと思いますが、今は未だにシーズンが終わっていない選手たちの話に戻すことにすると。もちろんそれは現在、ジョージアとルーマニアの共催で行われているU21ユーロに参加中のスペイン代表で、先週もスタンドの閑古鳥の鳴きっぷりが半端ないブカレストで2試合をプレー。
いえまあ、火曜のグループリーグ最終節、ウクライナ戦ではすでに決勝トーナメント進出が確定しており、サンティ・デニア監督は連勝したルーマニア戦、クロアチア戦からスタメンを10人代える大規模ローテーションを実施して、ガブリ・ベイガ(セルタ)がまだ完調ではなかったため、サンセット(アスレティック)だけが仕方なくリピートする形で挑んだんですけどね。相手のウクライナもグループ突破が決まっており、同様にローテーションしていたせいか、序盤には両チームが守備陣の大ポカから、ピンチを迎えるシーンが散見することに。
え、同じアトレティコからのレンタル組、リケルメ(昨季はジローナでプレー)の方は20分、ちゃっかりエリア内でゴールキックを蹴り損ねたネシェチェレトからボールを奪い、そのシュートがゴールに入ったものの、不可思議なファール判定でノーゴールにされてしまう災難に遭っていなかったかって? その通りで、この大会、グループリーグで色々問題があったため、急遽、VAR(ビデオ審判)が準々決勝から入ることになったものの、その日の試合ではなかったせいもあったんですかね。こちらは先制点にはならなかったんですが、彼は後半4分にもエリア内右奥からラストパスを入れて、ゼリズコ(バルミエラ)のオウンゴールを誘発。
早い時間にスペインが同点に追いつくことに貢献しているため、いえ、アトレティコのプレシーズン練習はもう今週金曜から始まるんですけどね。当人も殊勝げに「Imagino que me darán unos días, pero quedo a disposición del Cholo/イマヒノ・ケ・メ・ダラン・ウノス・ディアス、ペロ・ケド・ア・ディスポシシオン・デル・チョロ(何日か休みはもらえると思うけど、シメオネ監督の決定に従うよ)」と言っていたように、再びレンタル移籍で修行させられそうなカメージョとは違い、リケルメの方はアトレティコのトップチームに残る可能性が高い?
それ以上に最悪だったのは、ええ、ここで同点というのは、実はスペインは前半0-0で終了かと思われた43分、まさかのカウンターから、ウクライナに先制点を奪われていたんですよ。しかもアトレティコ・レンタル組の3人目、マヌ・サンチェス(昨季はオサスナでプレー)がドリブルで上がるナザレンコ(ドニプロ)に追いつけず、そのラストパスをビウニクに決められてしまったんですが、この様子では、来季すぐには戻って来られないレイニウドの代理を務める左SBとして、ハビ・ガラン(セルタ)の入団がこの月曜に決定。その移籍金を500万ユーロ(約8億円)に抑えるため、当人がセルタに行くことになったのも仕方なかったかと。
そして1-1の同点となったことで、勝ち点は同じながら、総得点数でウクライナに勝るスペインは首位突破となるため、引分けのままで良かったんですが、37分には再び守備ミスが勃発。うーん、これはローテで入ったGKアギレサバラが前半に打撲を受け、後半頭から、正GKのアルナウ・テナス(バルサ・アトレテイック)ではなく、第3GKのレオ・ロマン(マジョルカ)を出場させたのもサンティ・デニア監督の温情が過ぎたんでしょうか。37分にはそのロマンがシカン(シャフタール)を倒してPKを献上し、スダコフ(シャフタール)に勝ち越しゴールを挙げられてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
ただそれも45分には途中出場したレギュラーたち、ロドリ(ベティス)が送ったラストパスをアベル・ルイスが撃ち込んで、土壇場で2-2としてくれたため、何とかスペインはグループB首位突破で準々決勝に進むことができたんですが、いや、本当に良かったです。というのも土曜の試合の相手がグループD3連勝の優勝候補フランスではなく、そのフランスにグループ最終戦で1-4と大敗しながら、勝ち点で並ぶイタリア、ノルウェイを総得点数で上回って2位となったスイスになったから。おまけに相手はクルージュからの移動が遅れ、結局、金曜に1回、練習できただけとなれば、中日が1日多いスペインは体力的にも有利だったはずなんですが…。
いやあ、わからないもんですねえ。ブカレストでの4試合目となったそのスイス戦、スペインはレギュラーがスタメンに戻ったんですが、前半はミランダ(セビージャ)やセルヒオ・ゴメス(マンチェスター・シティ)の絶好機があったものの、敵DFに防がれて得点にはならず。結局、0-0のまま折り返したため、これは早めに攻撃陣を変えてみた方がいいかと、サンティ・デニア監督もリケルメとアイマール・オロス(オサスナ)をスタンバイさせていた後半22分、やっぱりレギュラーに選ばれるには理由があるんですね。アレックス・バエナ(ビジャレアル)のスルーパスをアベル・ルイスがエリア内で折り返し、そこへ駈け込んだセルヒオ・ゴメスがワンタッチでシュートを決めて先制点を挙げたとなれば、カメージョもリケルメもてんでお呼びではない?
それがまさか、「1-0で終わったみたいに見えていた時、点を取られたのはショックだった。準決勝だと思ったのが、いきなり延長戦になったんだからね」とアベル・ルイスも言っていたように、ロスタイムには自陣からのロングパスをフォン・モース(ザンクト・ガレン)に繋がれ、アムドゥニ(バーゼル)に同点ゴールを決められてしまったから、さあ大変!折しもその日は早い時間帯の準々決勝でGKママルダシビリ(バレンシア)がゴールを守るジョージアが0-0で延長戦に突入。PK戦でイスラエルに負けてしまったなんてことがあったため、私も嫌な予感しかしなかったんですが、いやいや。この逆境をスペインはサンティ・デニア監督の檄のおかげもあって、延長戦前半13分に跳ね返したんですよ!
そう、この時は結局、後半33分にピッチに入ったオロスがエリア前からボールを送り、前線に駆けつけたミランダがシュート。ボールがブルム(ヤングボーイス)に当たって軌道が変わった幸運もありましたが、これでスペインが勝ち越し点ゲットとなれば、やっぱりマヌ・サンチェスには下剋上のチャンスはない?ウクライナ戦で2回のチャンスをまったく利用できなかったカメージョはおろか、結局、リケルメもこの試合でピッチに入ることはありませんでしたしね。勝利をロッカールームで盛大に祝った後、チームは準決勝の相手は絶対フランスだろうと思いながら、日曜の準々決勝を見ていたはずですが…。
それが何と、スペイン戦と違い、ズラリとレギュラーを並べ、負傷でプレーできなかったムドリク(チェルシー)も入ったウクライナが、スダコフの2点とボンダレンコ(シャフタール)のゴールでフランスに1-3と逆転勝ちしてしまうとは一体、誰に予想できた?おかげでこの水曜午後9時からの準決勝はスペインとウクライナの再戦となったんですが、グループリーグでは控えチーム対決で1-1の引分け、レギュラー投入となってからも1-1の引分けと、まったく互角の戦いでしたからね。どんな結果になるのか、今から私もドキドキしています。
そしてマドリッドの1部チームの動きも伝えておくことにすると、いえ、マドリーなどは先週月曜にモドリッチの1年契約延長発表があっただけで、その後はエムバペ(PSG)にしろ、トルコの新鋭18才ギュレルにしろ、移籍するのかしないのか、噂話ばかりでまったく進展せず。今は来週月曜にバルデベバス(バラハス空港の近く)でプレシーズン練習が始まるまで待つばかりかと。お隣さんも選手の出入りに関しては金曜にコンドグビアのオリンピック・マルセイユ移籍が800万ユーロ(約13億円)で決まったぐらいで、いえ、先に挙げたハビ・ガラン以外にもCBソユンジュ(レスターと契約終了)、右SBアスピリクエタ(チェルシーとの契約を解消予定)、昨年のサムエル・リノ(バレンシアにレンタル移籍)同様にすぐ修行に出る予定の21才のCBモウリーニョ(ラシンクラブ・デ・モンテビデオ)らは正式発表がないだけで、もう入団が決まっているという話も。
それよりアトレティコではクラブの紋章の再変更が決まったことの方が一大ニュースで、実はソシオ(協賛会員)へのアンケート結果を踏まえ、先週の木金には正式な投票を実施。結果、票を投じた8万人近いソシオの89%が以前のデザインを支持していたため、経営陣も2017年にビセンテ・カルデロンからメトロポリターノに移る際に変更した現在の紋章から、元に戻すという結論に。まあ、単にどちらがカッコいいかどうかで言えば、今の方がシックな気がしないでもありませんが、実際、コケやサウール、グリーズマンら現役選手たち、シメオネ監督、フェルナンド・トーレスといったクラブのレジェンドらも旧紋章への支持を表明していますしね。
70年間続いたデザインへの愛着が勝ったということになりますが、これでもう、試合中、「El escudo no se toca/エル・エスクード・ノー・セ・トカ(紋章は変えない)」という応援団のしつこいカンティコに、メトロポリターノの他の区画のファンがpito(ピト/ブーイング)で応じるという悪循環がなくなるのは有難い?ただ、この変更もすぐという訳にはいかず、2023-24シーズンに関してはもう新ユニフォームの販売も始まっているため、実際に切り替わるのは2024-25シーズンから。紋章は様々なところに使われているため、変更にはかなり費用がかかるようですが、それが原因で選手補強をケチるなんてことがないといいんですが…。
そんな中、土曜にはマジョルカでマルコス・ジョレンテとパトリシアさんの結婚披露宴が盛大に行われ、同僚のコケ、モラタ、エルモーソ、そしてマドリー時代にチームメートだったアセンシオもお祝いに駆けつけるなど、バケーションの最後を満喫していたアトレティコだったですが、弟分チームの方は何があったかというと、ボルダラス監督の続投が決まったヘタフェは丁度、月末に合わせて、キコ・カシージャ、ディエゴ・コンデの両控えGK、ムニル、アマビ、ゴンサロ・ビジャルの退団を発表。その一方で今年いっぱいウナル・エネスがリハビリとなる前線には嬉しいニュースもあって、土曜にはチョコ・ロサーノ(カディスと契約終了)の入団が、そして日曜にはラタサのRMカスティージャからのレンタル契約1年延長が決まり、プレシーズン練習も土曜には始まることに。
その一方でラージョではイラオラ監督(現ボーンマス)の後任として、先週水曜にはフランシスコ監督の就任が正式発表され、この月曜にはプレゼンとなるはずだったんですが、思い立って、見に行ってみようかとメトロに乗った私にはダブルで逆境が。いやあ、夏のマドリッドの地下鉄は改修工事が盛んで、プレゼンのある練習場へはエスタディオ・バジェカス最寄りのポルタスゴ駅を越えて、更に1番線でビジャ・デ・バジェカス駅まで下りていかないといけないんですが、その1番線がソル駅で切れていたんですよ。いつものホームで何も見ずに乗った私が異変を感じる前、車内で読んでいたスポーツ紙で、先週末にクラブのユース組織のディレクターが亡くなったため、プレゼンが1日遅れになったと知り、慌てて降りてみて、ようやく折り返し運転だったことに気づくという呆けようでしたが、この路線、スペイン南部方面への列車のハブ駅、アトーチャも通っているため、この夏、マドリッド訪問を予定しているファンは気をつけてくださいね。
ただ、他の代表チームにとっては結構、大ごとで、もしU21ユーロ決勝がイングランドvsフランスとなった場合、準決勝で負けた2チームに加え、準々決勝敗退の4チーム中、成績のいい2チームがプレーオフを戦って、3チーム目を決定とか、どちらも準々決勝で消えた場合は準決勝に負けたチーム同士で3位決定戦をプレーするとかで、試合数や滞在日数にも影響しかねず。ところがどっこい、波乱が起こって、フランスだけが準々決勝で敗退したため、それ以外のベスト4の3チーム、揃ってめでたくオリンピック出場となれば、そろそろプレシーズン練習を始めるクラブも出て来る今頃まで、お国に奉公を続けているスペインU21の選手たちもあとはユーロのトロフィーを手土産に気分良く、バケーションに入ることを考えるだけでいい?
いやまあ、同じプロサッカー選手で言えば、6月3日のCL決勝で戴冠したバルサを除き、リーガが終わったのは5月21日と早かったものの、6月19日にはベニドーム(地中海沿岸のビーチリゾート)で1次合宿をスタート。次の週にはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で2次合宿入り、木曜に親善試合でパナマに7-0とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)をかました翌日には29人いたメンバーから6人を落とした本招集リスト発表の運びに。今週月曜からは女子W杯オーストラリア・ニュージーランド共催大会に参加する23人で再び、ラス・ロサスで3次合宿となったスペイン女子代表のように、7月21日のグループリーグ初戦、コスタリカ戦を目指して延々と練習と続けているチームもあるんですけどね。
いえまあ、火曜のグループリーグ最終節、ウクライナ戦ではすでに決勝トーナメント進出が確定しており、サンティ・デニア監督は連勝したルーマニア戦、クロアチア戦からスタメンを10人代える大規模ローテーションを実施して、ガブリ・ベイガ(セルタ)がまだ完調ではなかったため、サンセット(アスレティック)だけが仕方なくリピートする形で挑んだんですけどね。相手のウクライナもグループ突破が決まっており、同様にローテーションしていたせいか、序盤には両チームが守備陣の大ポカから、ピンチを迎えるシーンが散見することに。
ええ、アベル・ルイス(ブラガ)に代わってCFとして入ったカメージョ(アトレティコからレンタルで昨季はラージョでプレー)など、5分と26分の2度、CBサリウク(チョルモレツ・オデッサ)からバックパスをプレゼントされ、GKネシュチェレト(ディナモ・キエフ)との1対1のチャンスを得たんですが、どちらも真正面に撃ってしまう始末。逆にスペインもGKアギレサバラ(アスレティック)がゴールキックを自陣エリア付近にいた敵選手目掛けて蹴ってしまい、FWビウニク(グレーツァー)のシュートをギジャモン(バレンシア)がゴールライン前でクリアして、こと無きを得るなんてことも。
え、同じアトレティコからのレンタル組、リケルメ(昨季はジローナでプレー)の方は20分、ちゃっかりエリア内でゴールキックを蹴り損ねたネシェチェレトからボールを奪い、そのシュートがゴールに入ったものの、不可思議なファール判定でノーゴールにされてしまう災難に遭っていなかったかって? その通りで、この大会、グループリーグで色々問題があったため、急遽、VAR(ビデオ審判)が準々決勝から入ることになったものの、その日の試合ではなかったせいもあったんですかね。こちらは先制点にはならなかったんですが、彼は後半4分にもエリア内右奥からラストパスを入れて、ゼリズコ(バルミエラ)のオウンゴールを誘発。
早い時間にスペインが同点に追いつくことに貢献しているため、いえ、アトレティコのプレシーズン練習はもう今週金曜から始まるんですけどね。当人も殊勝げに「Imagino que me darán unos días, pero quedo a disposición del Cholo/イマヒノ・ケ・メ・ダラン・ウノス・ディアス、ペロ・ケド・ア・ディスポシシオン・デル・チョロ(何日か休みはもらえると思うけど、シメオネ監督の決定に従うよ)」と言っていたように、再びレンタル移籍で修行させられそうなカメージョとは違い、リケルメの方はアトレティコのトップチームに残る可能性が高い?
それ以上に最悪だったのは、ええ、ここで同点というのは、実はスペインは前半0-0で終了かと思われた43分、まさかのカウンターから、ウクライナに先制点を奪われていたんですよ。しかもアトレティコ・レンタル組の3人目、マヌ・サンチェス(昨季はオサスナでプレー)がドリブルで上がるナザレンコ(ドニプロ)に追いつけず、そのラストパスをビウニクに決められてしまったんですが、この様子では、来季すぐには戻って来られないレイニウドの代理を務める左SBとして、ハビ・ガラン(セルタ)の入団がこの月曜に決定。その移籍金を500万ユーロ(約8億円)に抑えるため、当人がセルタに行くことになったのも仕方なかったかと。
そして1-1の同点となったことで、勝ち点は同じながら、総得点数でウクライナに勝るスペインは首位突破となるため、引分けのままで良かったんですが、37分には再び守備ミスが勃発。うーん、これはローテで入ったGKアギレサバラが前半に打撲を受け、後半頭から、正GKのアルナウ・テナス(バルサ・アトレテイック)ではなく、第3GKのレオ・ロマン(マジョルカ)を出場させたのもサンティ・デニア監督の温情が過ぎたんでしょうか。37分にはそのロマンがシカン(シャフタール)を倒してPKを献上し、スダコフ(シャフタール)に勝ち越しゴールを挙げられてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
ただそれも45分には途中出場したレギュラーたち、ロドリ(ベティス)が送ったラストパスをアベル・ルイスが撃ち込んで、土壇場で2-2としてくれたため、何とかスペインはグループB首位突破で準々決勝に進むことができたんですが、いや、本当に良かったです。というのも土曜の試合の相手がグループD3連勝の優勝候補フランスではなく、そのフランスにグループ最終戦で1-4と大敗しながら、勝ち点で並ぶイタリア、ノルウェイを総得点数で上回って2位となったスイスになったから。おまけに相手はクルージュからの移動が遅れ、結局、金曜に1回、練習できただけとなれば、中日が1日多いスペインは体力的にも有利だったはずなんですが…。
いやあ、わからないもんですねえ。ブカレストでの4試合目となったそのスイス戦、スペインはレギュラーがスタメンに戻ったんですが、前半はミランダ(セビージャ)やセルヒオ・ゴメス(マンチェスター・シティ)の絶好機があったものの、敵DFに防がれて得点にはならず。結局、0-0のまま折り返したため、これは早めに攻撃陣を変えてみた方がいいかと、サンティ・デニア監督もリケルメとアイマール・オロス(オサスナ)をスタンバイさせていた後半22分、やっぱりレギュラーに選ばれるには理由があるんですね。アレックス・バエナ(ビジャレアル)のスルーパスをアベル・ルイスがエリア内で折り返し、そこへ駈け込んだセルヒオ・ゴメスがワンタッチでシュートを決めて先制点を挙げたとなれば、カメージョもリケルメもてんでお呼びではない?
それがまさか、「1-0で終わったみたいに見えていた時、点を取られたのはショックだった。準決勝だと思ったのが、いきなり延長戦になったんだからね」とアベル・ルイスも言っていたように、ロスタイムには自陣からのロングパスをフォン・モース(ザンクト・ガレン)に繋がれ、アムドゥニ(バーゼル)に同点ゴールを決められてしまったから、さあ大変!折しもその日は早い時間帯の準々決勝でGKママルダシビリ(バレンシア)がゴールを守るジョージアが0-0で延長戦に突入。PK戦でイスラエルに負けてしまったなんてことがあったため、私も嫌な予感しかしなかったんですが、いやいや。この逆境をスペインはサンティ・デニア監督の檄のおかげもあって、延長戦前半13分に跳ね返したんですよ!
そう、この時は結局、後半33分にピッチに入ったオロスがエリア前からボールを送り、前線に駆けつけたミランダがシュート。ボールがブルム(ヤングボーイス)に当たって軌道が変わった幸運もありましたが、これでスペインが勝ち越し点ゲットとなれば、やっぱりマヌ・サンチェスには下剋上のチャンスはない?ウクライナ戦で2回のチャンスをまったく利用できなかったカメージョはおろか、結局、リケルメもこの試合でピッチに入ることはありませんでしたしね。勝利をロッカールームで盛大に祝った後、チームは準決勝の相手は絶対フランスだろうと思いながら、日曜の準々決勝を見ていたはずですが…。
それが何と、スペイン戦と違い、ズラリとレギュラーを並べ、負傷でプレーできなかったムドリク(チェルシー)も入ったウクライナが、スダコフの2点とボンダレンコ(シャフタール)のゴールでフランスに1-3と逆転勝ちしてしまうとは一体、誰に予想できた?おかげでこの水曜午後9時からの準決勝はスペインとウクライナの再戦となったんですが、グループリーグでは控えチーム対決で1-1の引分け、レギュラー投入となってからも1-1の引分けと、まったく互角の戦いでしたからね。どんな結果になるのか、今から私もドキドキしています。
そしてマドリッドの1部チームの動きも伝えておくことにすると、いえ、マドリーなどは先週月曜にモドリッチの1年契約延長発表があっただけで、その後はエムバペ(PSG)にしろ、トルコの新鋭18才ギュレルにしろ、移籍するのかしないのか、噂話ばかりでまったく進展せず。今は来週月曜にバルデベバス(バラハス空港の近く)でプレシーズン練習が始まるまで待つばかりかと。お隣さんも選手の出入りに関しては金曜にコンドグビアのオリンピック・マルセイユ移籍が800万ユーロ(約13億円)で決まったぐらいで、いえ、先に挙げたハビ・ガラン以外にもCBソユンジュ(レスターと契約終了)、右SBアスピリクエタ(チェルシーとの契約を解消予定)、昨年のサムエル・リノ(バレンシアにレンタル移籍)同様にすぐ修行に出る予定の21才のCBモウリーニョ(ラシンクラブ・デ・モンテビデオ)らは正式発表がないだけで、もう入団が決まっているという話も。
それよりアトレティコではクラブの紋章の再変更が決まったことの方が一大ニュースで、実はソシオ(協賛会員)へのアンケート結果を踏まえ、先週の木金には正式な投票を実施。結果、票を投じた8万人近いソシオの89%が以前のデザインを支持していたため、経営陣も2017年にビセンテ・カルデロンからメトロポリターノに移る際に変更した現在の紋章から、元に戻すという結論に。まあ、単にどちらがカッコいいかどうかで言えば、今の方がシックな気がしないでもありませんが、実際、コケやサウール、グリーズマンら現役選手たち、シメオネ監督、フェルナンド・トーレスといったクラブのレジェンドらも旧紋章への支持を表明していますしね。
70年間続いたデザインへの愛着が勝ったということになりますが、これでもう、試合中、「El escudo no se toca/エル・エスクード・ノー・セ・トカ(紋章は変えない)」という応援団のしつこいカンティコに、メトロポリターノの他の区画のファンがpito(ピト/ブーイング)で応じるという悪循環がなくなるのは有難い?ただ、この変更もすぐという訳にはいかず、2023-24シーズンに関してはもう新ユニフォームの販売も始まっているため、実際に切り替わるのは2024-25シーズンから。紋章は様々なところに使われているため、変更にはかなり費用がかかるようですが、それが原因で選手補強をケチるなんてことがないといいんですが…。
そんな中、土曜にはマジョルカでマルコス・ジョレンテとパトリシアさんの結婚披露宴が盛大に行われ、同僚のコケ、モラタ、エルモーソ、そしてマドリー時代にチームメートだったアセンシオもお祝いに駆けつけるなど、バケーションの最後を満喫していたアトレティコだったですが、弟分チームの方は何があったかというと、ボルダラス監督の続投が決まったヘタフェは丁度、月末に合わせて、キコ・カシージャ、ディエゴ・コンデの両控えGK、ムニル、アマビ、ゴンサロ・ビジャルの退団を発表。その一方で今年いっぱいウナル・エネスがリハビリとなる前線には嬉しいニュースもあって、土曜にはチョコ・ロサーノ(カディスと契約終了)の入団が、そして日曜にはラタサのRMカスティージャからのレンタル契約1年延長が決まり、プレシーズン練習も土曜には始まることに。
その一方でラージョではイラオラ監督(現ボーンマス)の後任として、先週水曜にはフランシスコ監督の就任が正式発表され、この月曜にはプレゼンとなるはずだったんですが、思い立って、見に行ってみようかとメトロに乗った私にはダブルで逆境が。いやあ、夏のマドリッドの地下鉄は改修工事が盛んで、プレゼンのある練習場へはエスタディオ・バジェカス最寄りのポルタスゴ駅を越えて、更に1番線でビジャ・デ・バジェカス駅まで下りていかないといけないんですが、その1番線がソル駅で切れていたんですよ。いつものホームで何も見ずに乗った私が異変を感じる前、車内で読んでいたスポーツ紙で、先週末にクラブのユース組織のディレクターが亡くなったため、プレゼンが1日遅れになったと知り、慌てて降りてみて、ようやく折り返し運転だったことに気づくという呆けようでしたが、この路線、スペイン南部方面への列車のハブ駅、アトーチャも通っているため、この夏、マドリッド訪問を予定しているファンは気をつけてくださいね。
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