もちろんゴールは多いに越したことはないけど…/原ゆみこのマドリッド
2023.03.15 20:00 Wed
「やっぱりセビージャ戦のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は例外だったのね」そんな風に私が納得していたのは火曜日、25節の最後を飾って月曜にアトレティコがジローナ戦を終えた後、直近の成績を振り返ってみたところ、コパ・デル・レイ準々決勝でお隣さんに負けて以来、彼らは無敗。リーガで5勝2分けなんですが、うち2点以上取ったのが先日、メトロポリターノでシメオネ監督のクラブ最多記録となる613試合達成を6-1で祝った、その試合しかないのに気づいた時のことでした。いやあ、今季は首位を独走するバルサもこの日曜のアスレティック戦を含め、1-0勝利がかなりあるんですけどね。
それにはシメオネ監督も「Últimamente veo que el 1-0 se valora mucho en otros equipos y me pone contento/ウルティマメンテ・ベオ・ケ・エル・ウノ・セロ・セ・バロラ・ムーチョ・エン・オトロス・エキポス・イ・メ・ポネ・コンテントー(最近は他のチームの1-0勝利も高評価されるようになって満足だ)」と皮肉っていたんですが、惜しむらくはもっと早く、今の調子に持っていけなかったこと。ええ、オブラクも「ウチはW杯の後から良くなって、試合に勝てるようになったけど、es una pena que estemos tan lejos de los dos primeros/エス・ウナ・ペナ・ケ・エステモス・タン・レホス・デ・ロス・ドス・プリメーロス(上位2チームとあれだけ差がついているのは残念だ)」と言っていたんですけどね。3位のアトレティコと2位のレアル・マドリーの差は勝ち点8、首位に至っては17の彼岸の彼方となれば、もう他の大会もありませんし、今季残りの目標がCL出場権獲得だけになるのも仕方がない?
そんなことはともかく、そのジローナ戦がどんな試合だったか、お伝えしていくと、うーん、コパ敗退後の2月から延々と試合が週1ペースになった上、今回は週明けの月曜とかなり間が空いたのも相まったか、モンテリビでは軽快にスタートしたアトレティコだったんですけどね。マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でたっぷり磨いた高速パス回しのテクなども披露していたんですが、ふと気づくと敵目掛けて真っすぐ蹴っていたりするのはまあ、ご愛敬。それよりその日はセビージャ戦であれ程あった決定力が欠けていて、いやあ、20分にメンフィス・デパイがグリーズマンからのクロスをフリーで受けながら、volea(ボレア/ボレーシュート)を撃ち上げてしまった時など、私も口をあんぐり開けてしまったものでしたけどね。
デパイは36分にもゴール前からのシュートも外しているんですが、グリーズマンもGKガッサニガに止められ、エルモーソのヘッドも決まらずと、前半は両者無得点で終わることに。再開後すぐにもマルコス・ジョレンテが弾かれるわ、せっかくFKからエルモーソのヘッドが敵の腕に当たっても、そのエルモーソのファールで今季初となるはずだったPKはもらえないわと、スコアが動かなかったため、17分にはシメオネ監督が3人一斉交代の荒療治を決行。ええ、デパイ、ジョレテンテ、レマルから、モラタ、コレア、デ・パウルに代わったんですが、オブラクがツィハンコフ、ダビド・ロペス、リケルメらのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)する傍ら、どんどん時間は経つばかりで…。
そしていよいよ45分が過ぎて、8分のロスタイムが提示されたんですが、信じられないことにそこでドラマが起きたんですよ!そう、1分も過ぎないうちに、コレアがゴール前からシュートしようとしてアルナウにクリアされ、アトレティコにCKが与えられたところ、グリーズマンがニアポストに出したボールをコレアが繋ぎ、そのボールがストゥアーニに当たってファーサイドのゴール前へ。その場にいたモラタが足を出し、ネットに押し込んだんですが、いやもう、線審も彼が関わると反射的に旗を揚げてしまうんですかね。まずはオフサイドとされたそのゴールはもちろん、VAR(ビデオ審判)判定にかけられることに。
いえ、ミチェル監督のチームにはロメウとアレイクス・ガルシアを負傷で失うという不運もあったんですけどね。おかげで週末にマジョルカと引分けた4位のレアル・ソシエダとは勝ち点3、6位のビジャレアルと引分けた5位のベティスとは勝ち点6に差が開き、シメオネ監督もゆったりした気分で土曜のバレンシア戦の準備ができることになったんですが、これはもしかしたら、次節、マドリッド勢との3連戦最後を迎えるジローナと当たる弟分にもいい目が出たかも。
というのも土曜の夕方、セルタ戦をプレーしたラージョはいよいよ、ゴール日照りが深刻化。バライドスででは後半、RdT(ラウール・デ・トマス)のシュートがゴールバーを直撃したすぐ後、6分にはガランのクロスからイアゴ・アスパスに先制点を奪われ、その2分後にもセフェロビッチのシュートはGKディミトリエフスキが弾いたものの、シスの足に当たってオウンゴールを献上してしまうことに。更に40分にはトレホのバックパスをアスパスに奪われて、3点差にされていたのは困りもんですが、カメジョやファルカオを投入しても1点も返せないのではねえ(最終結果3-0)。
さすがにこれには前節0-0で引き分けたアスレティック戦の後には、チャンスは作っているからと太っ腹に構えていたイラオラ監督も、「Me preocupa que hemos dejado de hacer goles/メ・プレオクパ・ケ・エモス・デハードー・デ・アセール・ゴーレス(ウチがゴールを入れなくなったことを心配している)。シュート精度がなくなって、それはこれまでなかったことだから」と言っていましたが、まあ、それでも6位のビジャレアルと勝ち点3差で7位はキープしていますからね。金曜に土壇場でカディスと2-2と引分け、一旦は降格圏を脱出しながら、他の試合の結果で週明けにはまた18位と、蟻地獄状態に陥っている弟分仲間のヘタフェよりはずっとマシでは?とりあえず、ラージョとしてはこの1週間、シュート練習に精を出して、エスタディオ・バジェカスのファンの応援が期待できるこの土曜、ヘタフェ、アトレティコに連敗しているジローナ相手に巻き返しを図るしかありませんよね。
え、それで今週、マドリッド勢として唯一、ミッドウィークに試合があるレアル・マドリーはどうしているのかって?いやあ、彼らは土曜にサンティアゴ・ベルナベウでエスパニョール戦だったんですが、何より嬉しかったのは、もちろん先週末はかなり気温が上がり、ヒートテックを重ね着しなくてもよくなったこともあるんですけどね。今年は夜9時からの試合が多かったため、久々に午後2時というお日様の照る時間に観戦できたことだったかと。だからって、水曜のCL16強対決リバプール戦2ndレグの先乗り隊なのか、バケーションを兼ねて来ているらしい、結構な数のイギリス人ファンたちのようにショートパンツや生足サンダルで出歩く程、暑くはなかったはずですが、そんな陽気も影響したか、まさかマドリーの選手たちが眠ったまま、ピッチに出てしまうとは。
ええ、開始早々のブライトワイテのシュートはDFに当たって逸れたものの、7分には左SBに入っていたカマビンガがルーベン・サンチェスを逃し、そのラストパスをホセルにエリア内からワンタッチで決められてしまう始末。ただこの日はそのおかげで、持ち前のレモタンダーダ精神が早い時間から発揮されることになったんです!口火を切ったのはビニシウスで、後で当人も「Es una jugada que entreno bastante pero en los partidos es más difícil/エス・ウナ・フガダ・ケ・エントレノ・バスタンテ・ペロ・エン・ロス・パルティードス・エス・マス・ディフィシル(よく練習しているプレーなんだけど、試合では難しいんだ)。ボクには沢山の選手が付いてくるからね」と説明していたんですけどね。22分にはエリア内で前を塞ぐエスパニョールの選手4人の隙間を狙い、ゴールを決めてしまったから、ビックリしたの何のって。
それで当人も調子に乗ったか、32分には手をかけてルーベン・サンチェスを止め、イエローカードをもらい、FWながら今季もう8枚目という、不名誉な記録を作っていたりもしたんですけどね。実際、ここ数週、バルサが2001年から2018年まで、元審判で審判技術委員会の副委員長を務めていたネグレイラ氏の会社に730万ユーロ(約11億円)という大金を払い、ジャッジに手心を加えてもらっていたのではないかという疑惑がどんどん拡大。
検察がバルサやバルトメウ前会長らを贈賄で提訴することになったことから、マドリーもエスパニョール戦の前に役員会を開き、捜査が終わった暁には独自に訴えを起こすことを表明したせいもあったんでしょうか。スタンドには審判に対する不穏な空気が漂ったんですが、39分にチュアメニのクロスから、ミリトンが見事なヘッドで2点目を挙げ、あっさり逆転してくれたとなれば、場内はもう、お祭りムードですって。
2-1で始まった後半は割と落ち着いていて、いやあ、何せマドリーにはCLリバプール戦だけでなく、日曜にもリーガ・クラシコ(伝統の一戦)と大事な試合が控えていましたからね。25分過ぎにはアンチェロッティ監督もモドリッチ、クロース、チュアメニら、中盤の選手を休ませて、アセンシオ、セバージョス、リュディガーを投入。30分にはロドリゴのFKがゴールバーを直撃というドッキリもあったものの、そのままスコアは変わらずに終わるかと思ったところ…ロスタイムにまさか、マドリーの3点目を見ることができようとは!
ええ、この時はカマビンガがボランチに戻るのに合わせ、CBから左SBに移っていたナチョが敵陣をドリブルで爆走。そのラストパスをアセンシオがエリア内から決めて、ここ2試合出番のなかった憂さを晴らしていたんですが、何せこのところ、3試合で1点しか取れていなかったマドリーですからね。しかもその日は足首を痛めたベンゼマがお休みしていただけに、首位との勝ち点差9を縮める役には立たなかったとはいえ、3-1での勝利はこの先のビッグゲームに向けて、いい励みになったのでは?
え、水曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのリバプール戦はアンフィールドでの1stレグで2-5と大勝しているんだし、前節にはマンチェスター・ユナイテッドを7-0と粉砕した相手も同日はプレミアリーグ下位のボーンマスに1-0の最少得点差負け。やはりCL決勝を戦った昨季と比べると、安定してないため、気楽に構えていてもいいんじゃないかって?いやあ、それがアンチェロッティ監督も「Hemos tenido la experiencia del año pasado contra el Chelsea/エモス・テニードー・ラ・エクスペリエンシア・デル・アーニョ・パサードー・コントラ・エル・チェルシー(ウチには昨季のチェルシー戦の経験がある)」と言っていたように、その準々決勝1stレグでマドリーはスタンフォード・ブリッジで1-3と余裕の勝利。
ところが、相手のトゥーヘル監督が「もう結果は決まった」とその時、白旗を揚げていたのを信用してしまったか、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグで後半30分までに3点を取られ、まさかの逆転をされてしまう破目に。最後はロドリゴのゴールで延長戦にもつれ込むと、ベンゼマが2-3として、総合スコア5-4で勝ち抜けたんですが、もしやその試合、ファンを喜ばすためにわざと、レモンターダのお膳立てをしたんじゃないかと疑ってしまったのは、私だけではなかった?
どちらにしろ、マドリーは「Tenemos ventaja, por eso somos favoritos/テネモス・ベンタハ、ポル・エソ・ソモス・ファボリートス(ウチはアドバンテージを持っていて、だから勝ち抜け候補だ)。それでもあと90分間を1stレグと同じ態度でプレーしないといけない」(アンチェロッティ監督)んですが、エスパニョール戦をお休みしたベンゼマ、そしてようやくメンディもリバプール戦では復帰。1年ぶりのCL決勝トーナメントの晴れ舞台ですし、4月からスペインでCLが1試合も見られなくなるのもつまらないので、私も全力で彼らを応援していますが、当面はあまり心臓が引っくり返りそうな思いをファンにさせずに、順調に準々決勝に駒を進めてくれたらいいですよね。
それにはシメオネ監督も「Últimamente veo que el 1-0 se valora mucho en otros equipos y me pone contento/ウルティマメンテ・ベオ・ケ・エル・ウノ・セロ・セ・バロラ・ムーチョ・エン・オトロス・エキポス・イ・メ・ポネ・コンテントー(最近は他のチームの1-0勝利も高評価されるようになって満足だ)」と皮肉っていたんですが、惜しむらくはもっと早く、今の調子に持っていけなかったこと。ええ、オブラクも「ウチはW杯の後から良くなって、試合に勝てるようになったけど、es una pena que estemos tan lejos de los dos primeros/エス・ウナ・ペナ・ケ・エステモス・タン・レホス・デ・ロス・ドス・プリメーロス(上位2チームとあれだけ差がついているのは残念だ)」と言っていたんですけどね。3位のアトレティコと2位のレアル・マドリーの差は勝ち点8、首位に至っては17の彼岸の彼方となれば、もう他の大会もありませんし、今季残りの目標がCL出場権獲得だけになるのも仕方がない?
そんなことはともかく、そのジローナ戦がどんな試合だったか、お伝えしていくと、うーん、コパ敗退後の2月から延々と試合が週1ペースになった上、今回は週明けの月曜とかなり間が空いたのも相まったか、モンテリビでは軽快にスタートしたアトレティコだったんですけどね。マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でたっぷり磨いた高速パス回しのテクなども披露していたんですが、ふと気づくと敵目掛けて真っすぐ蹴っていたりするのはまあ、ご愛敬。それよりその日はセビージャ戦であれ程あった決定力が欠けていて、いやあ、20分にメンフィス・デパイがグリーズマンからのクロスをフリーで受けながら、volea(ボレア/ボレーシュート)を撃ち上げてしまった時など、私も口をあんぐり開けてしまったものでしたけどね。
そしていよいよ45分が過ぎて、8分のロスタイムが提示されたんですが、信じられないことにそこでドラマが起きたんですよ!そう、1分も過ぎないうちに、コレアがゴール前からシュートしようとしてアルナウにクリアされ、アトレティコにCKが与えられたところ、グリーズマンがニアポストに出したボールをコレアが繋ぎ、そのボールがストゥアーニに当たってファーサイドのゴール前へ。その場にいたモラタが足を出し、ネットに押し込んだんですが、いやもう、線審も彼が関わると反射的に旗を揚げてしまうんですかね。まずはオフサイドとされたそのゴールはもちろん、VAR(ビデオ審判)判定にかけられることに。
それに3分余りも時間がかかったため、その間、モラタも「Me echaban la bronca de por qué la toco/メ・エチャン・ラ・ブロンカ・デ・ポル・ケ・ラ・トコ(何で自分は蹴ったのかと腹が立った)。でもボールが来たら蹴らないのは難しいし、蹴らなくて逸れてしまったら、それも腹が立つし」と忸怩たる思いを噛みしめていたようですが、大丈夫。当人の位置はかろうじてオフサイドにならず、しかも直前に触ったのが敵だったため、しっかり得点として認められたとなれば、もうこっちのもんです。ロスタイムが12分まで延びたって、remontada(逆転劇)特異体質のお隣さんならいざしらず、ジローナ相手にこのぐらいの残り時間なら、アトレティコは逃げ切れますって(最終結果0-1)。
いえ、ミチェル監督のチームにはロメウとアレイクス・ガルシアを負傷で失うという不運もあったんですけどね。おかげで週末にマジョルカと引分けた4位のレアル・ソシエダとは勝ち点3、6位のビジャレアルと引分けた5位のベティスとは勝ち点6に差が開き、シメオネ監督もゆったりした気分で土曜のバレンシア戦の準備ができることになったんですが、これはもしかしたら、次節、マドリッド勢との3連戦最後を迎えるジローナと当たる弟分にもいい目が出たかも。
というのも土曜の夕方、セルタ戦をプレーしたラージョはいよいよ、ゴール日照りが深刻化。バライドスででは後半、RdT(ラウール・デ・トマス)のシュートがゴールバーを直撃したすぐ後、6分にはガランのクロスからイアゴ・アスパスに先制点を奪われ、その2分後にもセフェロビッチのシュートはGKディミトリエフスキが弾いたものの、シスの足に当たってオウンゴールを献上してしまうことに。更に40分にはトレホのバックパスをアスパスに奪われて、3点差にされていたのは困りもんですが、カメジョやファルカオを投入しても1点も返せないのではねえ(最終結果3-0)。
さすがにこれには前節0-0で引き分けたアスレティック戦の後には、チャンスは作っているからと太っ腹に構えていたイラオラ監督も、「Me preocupa que hemos dejado de hacer goles/メ・プレオクパ・ケ・エモス・デハードー・デ・アセール・ゴーレス(ウチがゴールを入れなくなったことを心配している)。シュート精度がなくなって、それはこれまでなかったことだから」と言っていましたが、まあ、それでも6位のビジャレアルと勝ち点3差で7位はキープしていますからね。金曜に土壇場でカディスと2-2と引分け、一旦は降格圏を脱出しながら、他の試合の結果で週明けにはまた18位と、蟻地獄状態に陥っている弟分仲間のヘタフェよりはずっとマシでは?とりあえず、ラージョとしてはこの1週間、シュート練習に精を出して、エスタディオ・バジェカスのファンの応援が期待できるこの土曜、ヘタフェ、アトレティコに連敗しているジローナ相手に巻き返しを図るしかありませんよね。
え、それで今週、マドリッド勢として唯一、ミッドウィークに試合があるレアル・マドリーはどうしているのかって?いやあ、彼らは土曜にサンティアゴ・ベルナベウでエスパニョール戦だったんですが、何より嬉しかったのは、もちろん先週末はかなり気温が上がり、ヒートテックを重ね着しなくてもよくなったこともあるんですけどね。今年は夜9時からの試合が多かったため、久々に午後2時というお日様の照る時間に観戦できたことだったかと。だからって、水曜のCL16強対決リバプール戦2ndレグの先乗り隊なのか、バケーションを兼ねて来ているらしい、結構な数のイギリス人ファンたちのようにショートパンツや生足サンダルで出歩く程、暑くはなかったはずですが、そんな陽気も影響したか、まさかマドリーの選手たちが眠ったまま、ピッチに出てしまうとは。
ええ、開始早々のブライトワイテのシュートはDFに当たって逸れたものの、7分には左SBに入っていたカマビンガがルーベン・サンチェスを逃し、そのラストパスをホセルにエリア内からワンタッチで決められてしまう始末。ただこの日はそのおかげで、持ち前のレモタンダーダ精神が早い時間から発揮されることになったんです!口火を切ったのはビニシウスで、後で当人も「Es una jugada que entreno bastante pero en los partidos es más difícil/エス・ウナ・フガダ・ケ・エントレノ・バスタンテ・ペロ・エン・ロス・パルティードス・エス・マス・ディフィシル(よく練習しているプレーなんだけど、試合では難しいんだ)。ボクには沢山の選手が付いてくるからね」と説明していたんですけどね。22分にはエリア内で前を塞ぐエスパニョールの選手4人の隙間を狙い、ゴールを決めてしまったから、ビックリしたの何のって。
それで当人も調子に乗ったか、32分には手をかけてルーベン・サンチェスを止め、イエローカードをもらい、FWながら今季もう8枚目という、不名誉な記録を作っていたりもしたんですけどね。実際、ここ数週、バルサが2001年から2018年まで、元審判で審判技術委員会の副委員長を務めていたネグレイラ氏の会社に730万ユーロ(約11億円)という大金を払い、ジャッジに手心を加えてもらっていたのではないかという疑惑がどんどん拡大。
検察がバルサやバルトメウ前会長らを贈賄で提訴することになったことから、マドリーもエスパニョール戦の前に役員会を開き、捜査が終わった暁には独自に訴えを起こすことを表明したせいもあったんでしょうか。スタンドには審判に対する不穏な空気が漂ったんですが、39分にチュアメニのクロスから、ミリトンが見事なヘッドで2点目を挙げ、あっさり逆転してくれたとなれば、場内はもう、お祭りムードですって。
2-1で始まった後半は割と落ち着いていて、いやあ、何せマドリーにはCLリバプール戦だけでなく、日曜にもリーガ・クラシコ(伝統の一戦)と大事な試合が控えていましたからね。25分過ぎにはアンチェロッティ監督もモドリッチ、クロース、チュアメニら、中盤の選手を休ませて、アセンシオ、セバージョス、リュディガーを投入。30分にはロドリゴのFKがゴールバーを直撃というドッキリもあったものの、そのままスコアは変わらずに終わるかと思ったところ…ロスタイムにまさか、マドリーの3点目を見ることができようとは!
ええ、この時はカマビンガがボランチに戻るのに合わせ、CBから左SBに移っていたナチョが敵陣をドリブルで爆走。そのラストパスをアセンシオがエリア内から決めて、ここ2試合出番のなかった憂さを晴らしていたんですが、何せこのところ、3試合で1点しか取れていなかったマドリーですからね。しかもその日は足首を痛めたベンゼマがお休みしていただけに、首位との勝ち点差9を縮める役には立たなかったとはいえ、3-1での勝利はこの先のビッグゲームに向けて、いい励みになったのでは?
え、水曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのリバプール戦はアンフィールドでの1stレグで2-5と大勝しているんだし、前節にはマンチェスター・ユナイテッドを7-0と粉砕した相手も同日はプレミアリーグ下位のボーンマスに1-0の最少得点差負け。やはりCL決勝を戦った昨季と比べると、安定してないため、気楽に構えていてもいいんじゃないかって?いやあ、それがアンチェロッティ監督も「Hemos tenido la experiencia del año pasado contra el Chelsea/エモス・テニードー・ラ・エクスペリエンシア・デル・アーニョ・パサードー・コントラ・エル・チェルシー(ウチには昨季のチェルシー戦の経験がある)」と言っていたように、その準々決勝1stレグでマドリーはスタンフォード・ブリッジで1-3と余裕の勝利。
ところが、相手のトゥーヘル監督が「もう結果は決まった」とその時、白旗を揚げていたのを信用してしまったか、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグで後半30分までに3点を取られ、まさかの逆転をされてしまう破目に。最後はロドリゴのゴールで延長戦にもつれ込むと、ベンゼマが2-3として、総合スコア5-4で勝ち抜けたんですが、もしやその試合、ファンを喜ばすためにわざと、レモンターダのお膳立てをしたんじゃないかと疑ってしまったのは、私だけではなかった?
どちらにしろ、マドリーは「Tenemos ventaja, por eso somos favoritos/テネモス・ベンタハ、ポル・エソ・ソモス・ファボリートス(ウチはアドバンテージを持っていて、だから勝ち抜け候補だ)。それでもあと90分間を1stレグと同じ態度でプレーしないといけない」(アンチェロッティ監督)んですが、エスパニョール戦をお休みしたベンゼマ、そしてようやくメンディもリバプール戦では復帰。1年ぶりのCL決勝トーナメントの晴れ舞台ですし、4月からスペインでCLが1試合も見られなくなるのもつまらないので、私も全力で彼らを応援していますが、当面はあまり心臓が引っくり返りそうな思いをファンにさせずに、順調に準々決勝に駒を進めてくれたらいいですよね。
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