週1ペースのチームが増えるのは困る…/原ゆみこのマドリッド

2023.03.11 21:00 Sat
©Atlético de Madrid
「これはもしかすると、4月からアトレティコのライバルが皆、平日フリーになるかも」そんな風に私が慮っていたのは金曜日、今週はミッドウィークに戦ったチームが4つもありながら、16強対決1stレグで勝利したのが残留争いをしているセビージャだけだったことに気づいた時のことでした。いやあ、もちろんマッチングの運不運もありますが、前節アトレティコに7-1とボロ負けしながら、大会最多記録となる6回の優勝を誇るELでサンチェス・ピスファンにフェネルバフチェを迎えたホルヘ・サンパオリ監督のチームは前半にホルダン、後半にラメラがゴールを決めて2-0と先勝。7度目の戴冠の目も出てきたんですが、万が一、リーガで降格しようものなら、来季は2部でプレーしながら、EL王者としてCL出場という変わり種になりかねないんですけどね。

その一方で残るEL2チーム、レアル・ソシエダとベティスは来週木曜の2ndレグで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)が必要な状況に。ええ、フランスの航空管制官のストで乗り継ぎができず、200人余りのファンがローマに辿り着けなかった前者は、オリンピコ・スタジアムでモウリーニョ監督率いるチームに前半はシャーラウィ、後半はクンナラにゴールを決められて、先発した久保建英選手も奮闘したものの、2-0で敗戦。後者もオールド・トラフォードで前半こそ、アジョセのゴールで1-1に追いつきながら、後半に3点を奪われて、マンチェスター・ユナイテッドに4-1と完敗しているんですが、まさにこの両者はリーガで勝ち点差1と4の4位と5位で、3位のアトレティコを追っているんです!
ええ、コンフェレンス・リーグ(UEFA第3の大会)でアンデルレヒトと1-1で分けてきたビジャレアルも前節、弟分のラージョを7位に落として6位に上がった上位チームですからね。よって、3月中に敗退してしまうと、一足早く昨年のW杯前にCLグループリーグ最下位敗退して、ヨーロッパの大会から完全撤退。コパ・デル・レイも準々決勝でお隣さんに負けたため、優雅な週1試合ペースを満喫しているアトレティコのアドバンテージが消滅してしまうことになりますが、え?昨年の今頃はそれこそ、CL16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦1stレグをメトロポリターノで1-1と引分けた後、2ndレグの準備を粛々と進めていたのとは大違い。時間がありすぎるのも問題じゃないかって?

そうですね。それに輪を掛けて、リーガ25節ジローナ戦が月曜午後9時(日本時間翌午前5時)に設定されたせいもあったんでしょうか。水曜には、てっきり先週末のセビージャ戦で済んだものと思っていたシメオネ監督のクラブ最多記録となる、アトレティコを率いて613試合達成の記念イベントをスタジアムの講堂で大々的に開催。それもいつもの入団プレゼンのような簡素なイベントではなく、TV局とタイアップして、舞台を居間のようにセッティング、獲得した8つのトロフィーが照明に輝く中、ソファに座ったシメオネ監督が司会者やゲストと語り合うというショー仕立てだったんですよ。テレマドリッド(ローカルTV局)を始め、中南米でも生放送されたんですが、最初から最後まで私もネット配信で見ていたところ、何と1時間も続いたから、ビックリしたの何のって。

そのイベント直前にメトロポリターノのジムで練習を終えた選手たちも全員参加していた上、OB選手のゲストとしてビジャやファンフラン、まあ、近いせいもあるんでしょうが、現役のファルカオやマリオ・スアレスも出席。その前でシメオネ監督が、「初めてELに優勝した後(2012年)、クラブには収入が必要だったが、ファルカオを引き留める決断をした。Para mí fue un momento donde el club empezó a marcar que el camino era crecer/パラ・ミー・フエ・ウン・モメントー・ドンデ・エル・クルブ・エンペソ・ア・マルカル・ケ・エル・カミーノ・エラ・クレセル(私にとって、そこが成長への道をクラブが決断した瞬間だった)」と翌年、お隣さんをサンティアゴ・ベルナベルで倒してのコパ・デル・レイ優勝にも欠かせなかった、今はラージョにいる彼を引き合いに出していたのはほっこりする逸話だったんですけどね。
逆に一番心に残る試合を訊かれて、「ミラノでレアル・マドリーにPK戦で負けたCL決勝(2016年)。あれ程、優勝に近づいたことはなく、そこまでの道のりは素晴らしかった。Por desgracia el destino no nos quiso dar ese lugar/ポル・デスグラシア・エル・デスティーノ・ノー・ノス・キソ・ダル・エサ・ルガール(残念なことに運命はウチにその地位を与えたくなかった)」と返答。こちらはアトレティコ4番目のPKをゴールポストに当て、クリスチアーノ・ロナウド(現アル・ナサル)がマドリーにUndecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝)をもたらす元凶を作ったファンフランに再び、苦い思い出を蘇らせることになったのでは?

他にも2011年12月に不成績によりマンサノ監督が解任となった後、丁度、三男のジュリアーノと休暇でカターニアにいた時にヒル・マリン筆頭株主から、「el Atlético te necesita/エル・アトレティコ・テ・ネセシータ(アトレティコが君を必要としている)」と監督就任依頼の電話を受けた時の秘話も披露。当時、7、8才だった息子は、「ahí es donde juegan Cristiano y Messi, pero si te va bien no vas a volver más/アイー・エス・ドンデ・フエガン・クリスティアーノ・イ・メッシ、メロ・シー・テ・バ・ビエン・ノー・バス・ア・ボルベル・マス(クリスチアーノやメッシがプレーしているところだね。でもあっちで上手くいったら、もうボクらのところには戻ってこないんだろう)」と寂しがったのだとか。

後ほど、舞台には再婚した奥さんのカルラ・ペレイラさん、2人の幼い娘さんと共に今はもう20才、サラゴサでレンタル修行するまでに育ったジュリアーノも舞台に登場。どうやらナポリでプレーする長男のジョバンニと違い、翌日に試合が控えていたため、土曜のセビージャ戦には来られなかったようですが、それを見て、そういえば、シメオネ監督がアトレティコに来て最初の数年はよく、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にやはり、まだ小さかった次男のジャンルカ(RFEF2部ヘレス)と彼が一緒に来ていたことを私も思い出すことに。当時は金髪で女の子みたいだったのに今や、立派に2部でプレーする選手になっているのですから、まったく時の経つのは早い。

そしてもう1つ記憶に残ったのは、「Las cosas no pasan por casualidad/ラス・コーサス・ノー・パサン・ポル・カスアリダッド(偶然に物事は起こらない)。いいエネルギーがある時はいいことが起きるし、悪いエネルギーがある時は悪いことが起きる。だから、私たちにはファンの強いエネルギーが必要だ」というシメオネ監督の言葉ですが、まあ、今は応援団のストが常態化していて、メトロポリターノの雰囲気も以前とは違いますからね。ただ、昨年中は普通に皆、チームバスのお出迎えなどもして、一生懸命応援していたにも関わらず、CL敗退してしまったり、アトレティコが最後にリーガ優勝した2021年はコロナ禍でずっと無観客試合。それを考えると、スタンドのファンからの応援のあるなしでチームのパフォーマンスが変化するとは限らない気もするんですが、実際のところ、どうなんでしょうか。

まあ、そんなアトレティコは今週もじっくりジローナ戦に向けて調整して、今のところ前節、累積警告で出場停止だったナウエル・モリーナが右SBに復帰、ジョレンテが中盤に上がって、前線は初先発だったセビージャ戦で2得点を挙げたメンフィス・デパイとグリーズマンのリピートといった感じのスタメンになるよう。ただ、11位のジローナは先週末、弟分のヘタフェに3-2で負けたものの、ここ3試合で11得点とゴールづいているため、3CBの5人守備体制は維持するとはいえ、用心するにこしたことはないかと。2位のお隣さんとは勝ち点差8もありますし、まずはせっかくゲットした3位の座を失わないよう、後続との距離を広げることを考えないといけませんよね。

え、それでここ3試合で1得点しかできず、リーガでは2連続ドロー。とうとう首位バルサとの差が勝ち点9に開いてしまったマドリーは、今年に入って初めてとなるフリーのミッドウィークでしっかり充電できたのかって?いやあ、また悪いニュースがあって、今季は身体の不調ですでに13試合も欠場しているベンゼマが今度は足首を打撲。土曜午後2時(日本時間午後10時)、急に春めいてきて、気温が20℃まで上がる予定のサンティゴ・ベルナベウに私も何を着ていこうかとウキウキしていたエスパニョール戦に出られないことになってしまったから、さあ大変。

いえ、アンチェロッティ監督はメンディと共に、「Estará disponible para el partido frente al Liverpool/エスタラ・ディスポニブレ・パラ・エル・パルティードー・フレンテ・アル・リベルプール(リバプールとの試合には出られるだろう)」と言ってはいたんですけどね。ある意味、1stレグでは2-5の大勝をしていても、先日はマンチェスター・ユナイテッド戦に7-0の大勝した相手を警戒して、CL16強対決2ndレグに備えての温存とも言えなくもありませんが、逆転優勝の前例がない程、距離が開いていてもリーガを諦める訳にはいきませんしね。大体がして、日曜にバルサがアスレティックに勝ち、二桁差にでもなったら、かなり外聞が悪いかと。代わりのCFはロドリゴが務めるそうですが、モドリッチが出場停止から戻ってくるのは心強いものの、今はとにかく、チームのゴール日照りをどうにかしないことには。

相手のエスパニョールも降格圏まで勝ち点差2しかない13位とはいえ、ホセルが11得点、ブライトワイテが8得点と前線が結構、当たっていますしね。そういえば、2010-12年にはRMカスティージャにいた前者は昨季、パリで行われたCL決勝にマドリーの応援に行っていたそうで、ええ、スタッド・ド・フランスにファンがなかなか入れず、ようやくこの木曜にはUEFAが遅れの生じたゲートのチケット所持者には代金を返却すると表明した、あの試合です。うーん、それには帰りにスタジアム周辺で暴徒に襲撃され、被害にあったファンも少なくなかったことから、返金だけでは不足と、マドリーはクラブを通じてチケットを購入したソシオ(協賛会員)への手続きを進めるのを拒否しているようなんですけどね。

ただ、高額所得者のホセルにしてみれば、「Prefiero que no juegue Benzema a recuperar la pasta de la entrada/プレフィエロ・ケ・ノー・フエゲ・ベンゼマ・ア・レクペラル・ラ・パスタ・デ・ラ・エントラーダ(入場券代が戻ってくるより、ベンゼマが出ない方がいい)」そうで、まさしくその望みが叶ったことになりますが、果たして結果は吉と出るか凶と出るか。2012-13シーズン以来、ベルナベウで勝ち点を稼いでないエスパニョールだけに引き分けでも大金星になるため、ビニシウス、ロドリゴ、アセンシオらがしっかりエースの穴を埋めて、4試合ぶりの勝利を掴めるといいのですが。

そして同じ土曜日の夕方、ラージョはアウェイのセルタ戦に挑むんですが、実はこちらもこのところ4試合で3分け1敗。しかもここ2試合は得点できずと、ゴール不足に悩んでいるんですが、最近、ファルカオの出場機会が減っているのも気になるところかと。ええ、この1月からはRdT(ラウール・デ・トマス)も加わったため、チーム内競争も激しくなってはいるんですが、その彼も出戻り後、まだゴールを決めていませんからね。ずっとレギュラーCFとして使われている、アトレティコからレンタル出向中のカメージョもここまで5得点とあまり量産タイプではないため、結局はイシやアルバロ・ガルシアのゴールに頼っているんですが、丁度、ビジャレアルがヨーロッパの試合で疲れている今節と次節は6位に返り咲くいいチャンスになるのでは?

一方、マドリッド勢で1チームだけ残留争いの渦中にいるヘタフェは金曜試合のカディス戦だったんですが、いやあ、何か命拾いした感じですかね。前回もせっかくホームでバレンシアに勝って降格圏を脱出した後、ビジャレアルに負けて逆戻り。また先週、ホームでジローナに勝つと、何とか16位まで這い上がったものの、ヌエボ・ミランディージャでは前半39分にソブリーノに先制され、いえ、一旦はエネス・ウナルのPKで追いついたんですけどね。後半41分になって、ドゥアルテのハンドでカディスにPKを献上し、ルーベン・アルカラスに2点目を決められて、また2-1で負けてしまうのかと思いきや、とんでもない。

何と10分と出たロスタイム中に波乱が起こり、エスピーノのハンドでヘタフェは再びPKをもらえることに。VAR(ビデオ審判)のモニターチェックもあったため、ウナルのこの試合、2度目のPKが決まったのはロスタイム16分という恐ろしい時間でしたっけ。うーん、最後は興奮したファンが投げたペットボトルがヘタフェ選手の頭に当たり、両チームがかなり揉めたりもしていたんですけどね。カディスにリードされた際、ドゥアルテが2枚目のイエローカードで退場しながら、2-2に追いついた弟分の根性は見事だったものの、下にいるセビージャ、アルメリア、バレンシアがまだ試合をしていないため、またしても今節、降格圏に落ちる可能性もなきにしろあらず。現在は12位から19位までが勝ち点3差内にひしめいているだけに、せめて2連勝できれば、一息つける順位に上がれるとはいえ、なかなか上手くいかないものです。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。



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