バルサが独走状態に入ったのには目を瞑っておこう…/原ゆみこのマドリッド
2023.02.08 21:00 Wed
「気分転換ができるのはいいわよね」そんな風に私が羨ましがっていたのは火曜日、ベルデバス(バラハス空港の近く)での練習後、前夜のうちにクラブW杯準決勝が行われるラバト入りしたレアル・マドリーのホテル到着の映像をTVニュースで見た時のことでした。いやあ、先週末のリーガ戦ではとうとう、首位バルサと勝ち点8差がついてしまった彼らなんですけどね。他のマドリッド勢たちがすでに今週末のリーガ戦に勝てば、どこまで状況を改善できるかに集中している中、水曜午後8時(日本時間翌午前4時)のアル・アハリ(エジプト)戦、そしてフラメンゴ(ブラジル)を準決勝で倒す波乱を起こしたアル・ヒラル(サウジアラビア)に土曜の決勝で勝てば、タイトルゲットできるとなれば、今は選手たちもリーガは忘れることができる?
まあ、そんなことはともかく、先週末のリーガのマドリッド勢の様子もお伝えしていくことにすると、ここしばらく、午後9時開催ばかりだったサンティアゴ・ベルナベウの厳寒の夜試合が3度も続いた後、何故だか、いきなり土曜には気温が上昇。昼間など15度越える勢いとなり、午後6時30分キックオフだったシビタス・メトロポリターノにはまだ明るい中、ウキウキしながら向かった私だったんですけどね。やはり試合開始が近づくと、どちらも勝利が必要な兄弟分ダービーという現実を思い出さない訳にはいかず、ええ、弟分のヘタフェなど、年明けからずっと負け続け、リーガ4連敗となったせいで、今季初めての降格圏19位にいましたからね。
かといって最近、上は見ないようにしているものの、下2チームとたったの勝ち点3差で来季のCL出場権がもらえる4位の座にしがみついている、それこそ昨年中にCLグループリーグ最下位敗退により、ヨーロッパの大会から完全撤退。唯一の希望の光だったコパ・デル・レイでも準々決勝でお隣さんに負けて、もうシーズン残りは週1回のリーガ戦しか、ファンも楽しめなくなったアトレティコにも余裕はなかったため、スタンドが合唱するアカペラのクラブ歌が響き渡る中、選手たちが入場した後、果たしてこの日はfondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)の応援団がストを撤回してくれたのかどうか、息を詰めて見守っていたところ…。
いえ、後で拡散した映像では、「Escúchame, escúchame, hay forcejeo con Djené pero para mí no es suficiente/エスクチャメ、エスクチャメ、アイ・フォルセヘオ・コン・ジェネ・ペロ・パラ・ミー・ノー・エス・スフィシエンテ(聞きなさい。ジェネと揉み合いはあったが、十分なものじゃなかった)。私の判断が間違えていたなら、VAR(ビデオ審判)が正すためにある」とマテウ主審は言っていたんですけどね。専門家たちにもペナルティという意見が多かったですし、実はジェネは開始早々、2分にレイニウドに乱暴なタックルをかけ、すでにイエローカードをゲット。よって、ジャッジ次第では2枚目をもらって、退場の可能性もあったとなれば、「A nosotros nos miran de distinta manera/ア・ノソトロス・ノス・ミラン・デ・ディスティンタ・マネラ(ウチのことを別の視線で見ている)」(コレア)とアトレティコサイドが怒っていたのも当然だった?
まあ、といってもPKはもらったからといって、必ずしもゴールになるものではありませんし、とりわけアトレティコはよく失敗していますからね。ムダにファンのフラストレーションを増やすことなく、崖っぷちにいる弟分を1時間以上、人数的劣勢の辛い立場に追いやることもなかったのは良かったんじゃないかと思いますが、20分に決まったモラタのゴールは恒例のオフサイトでスコアに上がらず。逆にハーフタイム間際にはエネス・ウナルのシュートがゴールポストすれすれに逸れていくなどのドッキリもあったものの、試合は0-0のまま折り返すことに。
いよいよ転機が訪れたのは後半15分のことで、いえ、CKがヘタフェDF陣にクリアされた後、レマルがエリア前から蹴ったシュートはGKダビド・ソリアに弾かれ、丁度、ボールが目の前に転がってきたコレアが蹴り込んだものの、線審が旗を挙げていたため、オフサイドだったのかとスダンドも溜息に包まれたんですけどね。その直後、シメオネ監督はコレアとレマルをカラスコとマルコス・ジョレンテに代え、すでに2人はピッチに立っていたものの、マテウ主審がプレー再開の合図をしないのを訝っていたところ、実はVAR注進が入っていたとは!
その結果、コレアがオフサイドでなかったとされたため、アトレティコに先制点が入ったから、ビックリしたの何のって。ええ、おかげで選手たちは一斉にベンチに座っていた同僚に駆け寄ってお祝いしたんですが、いやあ、毎試合、ゴールを挙げる訳ではないコレアだけにできれば、ゴールはピッチでファンの歓声を浴びて喜びたかったのでは?ただねえ、リードすると、彼らは未だに一歩後退の癖が直らず、確かにシメオネ監督が30分にはCFのモラタを下げて、MFのサウールを入れた影響もあったんでしょうけどね。
前節オサスナ戦でチーム唯一のゴールを挙げ、勝利をもたらしたカンテラーノ(下部組織出身の選手)の得点力を信頼したとも言えなくなくはありませんが、この日の彼は真逆の意味で決定的な働きをすることに。そう、36分にはドゥアルテがエリア外左から上げたクロスをクリアしようとジャンプして、すぐ後ろでマジョラルがヘッドしたボールに腕を当ててしまうとは!当然ながら、ハンドでペナルティを取られ、ウナルが決めたPKで同点に追いつかれてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
そこでようやくシメオネ監督もFWのメンフィス・デパイ(バルサから移籍)を投入したんですが、返す返すも彼はレバンドフスキではありませんからね。ロスタイム最後のチャンスに至近距離から放ったシュートもダビド・ソリアにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、ヘタフェベンチが総立ちで終了の笛を催促する中、試合は1-1で終了です。うーん、これで今季ホームゲーム10試合をアトレティコは4勝3分け3敗、勝ち点を15も落としているんですけどね。確かにここ2試合は応援団のストもあり、場内の雰囲気は最高と言えないんですが、それ以前はちゃんと応援されていたのだから、お得意様だった弟分からまで、勝ち点を取りこぼしたのをそのせいにするには無理があるかと。
ただ、コレアなどは応援してもらえない理由を「Sabemos que están enfadados con nosotros y con razón porque no hemos respondido/サベモス・ケ・エスタン・エンファダードス・コン・ノソトロス・イ・コン・ラソン・ポルケ・ノー・エモス・レスポンディード(ボクらは彼らが怒っているのを知ってるし、それももっともな理由でね。自分たちが応えてこなかったんだから)」とチームの自己責任にしていたんですが、この応援団ストは元々、フレンテ・アトレティ(アトレティコのウルトラグループ)がクラブに対する影響力を拡大しようとしての示威行動。先日のコパ・ダービー前、高速道路にビニシウスのユニを着せた首吊り人形をぶら下げていたのも彼らですし、アトレティコもいい加減、対応して、ウルトラ・スールを追放して自前の応援団を作ったお隣さんのようにしないと、試合中、もっと声を出したい他のファンたちがリード役がいなくて困ってしまうのでは?
それこそ、「No podemos seguir fallando en casa si queremos estar en Champions la próxima temporada/ノー・ポデモス・セギール・ファジャンドー・エン・カサ・シー・ケレモス・エスタル・エン・チャンピオンズ・ラ・プロキシマ・テンポラーダ(来季、CLに行きたいなら、ホームで躓き続けることはできない)」とコケも言っていたように、日曜のセルタとのアウェイ戦を挟んだ後、次のアスレティック戦の際にはメトロポリターノも以前の姿を取り戻してもらいたいものですが、さて。ちなみにこの節は同日にすぐ下のライバル、ビジャレアル、ベティスがそれぞれ、エルチェ、セルタに敗戦。日曜には1つ上のレアル・ソシエダもバジャドリーに負けたため、引分けでも勝ち組となったアトレティコでしたが、何と月曜には伏兵が出現することに…。
いえ、その前に日曜試合だったマドリーの話もしておくことにすると、GKクルトワが試合前のアップ中に左太ももに違和感を覚え、先発をルニンに譲ったのはまさにビジット・マジョルカでのことだったんですよ。先週ミッドウィークの順延分リーガ、バレンシア戦でケガしたベンゼマ、ミリトンも参加しておらず、クロースとモドリッチもその試合で起きた不具合が残っていたため、先発に入らなかったんですが、でもまさか、前半13分、ダニ・ロドリゲスが上げたクロスに大型FWムリキがジャンプ。そのヘッドでマジョルカの先制点が決まったように見えたものの、実はその後ろにいたナチョの頭が原因のオウンゴールだったとはまったく、出だしからツイてないじゃありませんか。
とはいえ、時間はまだ沢山ありましたし、基本的に5人DF体制のマジョルカは専守防衛だったため、得意のremontada(レモンダーダ/逆転劇)精神をマドリーが発揮すれば、何てことはなかったはずなんですけどね。相手が計29回にも及ぶファールでプレーを切ってきたのも集中力に影響したか、この日の彼らはシュートを20本も撃ちながら、枠内がたったの1つだけ。しかもその1本である、後半11分、GKライコビッチにビニシウスが足されて得たPKも、「La duda era entre Asensio y Rodrygo/ラ・ドゥーダ・エラ・エントレ・アセンシオ・イ・ロドリゴ(迷ったのはアセンシオにするか、ロドリゴにするかということ)。PK第1キッカーはベンゼマ、2番目はモドリッチでベンチにいた」というアンチェロッティ監督に指名されたアセンシオが弾かれてしまったとなれば、たかが1点の壁が越えられなかったのもムリはなかった?
うーん、この試合ではマッフェオやライジョに挑発もされ、1人でファール10回も受けた挙句、自身もイエローカードをもらい、来週水曜のエルチェ戦に累積警告で出場停止となったビニシウスがまた、注目を浴びていたんですけどね。最近はアウェイに行く度、相手ファンのブーイングの的にもされているため、当人も挑戦的な態度をとってしまうなど、なかなか事態は沈静化しないんですが、アンチェロッティ監督によると、「El problema es lo que pasa alrededor de Vinicius/エル・プロブレマ・エス・ロ・ケ・パサ・アルレデドル・デ・ビニシウス(問題はビニシウスの周囲で起きること)。彼に責任はなくて、私もわからない何かの犠牲になっている」とのことですが、それもスペインを離れたモロッコの地でのクラブW杯を歓迎する理由になるかも。
とはいえ、今では勝ち点6差の3位レアル・ソシエダとの距離の方を気にしないといけなくなったマドリーながら、まだまだリーガは先が長いため、絶望することもないかと思うんですが、いやまさか、翌日の夜にまさかの波乱が待っていたとは!そう、2週連続の月曜試合となったもう1つの弟分、ラージョをエスタディオ・バジェカスに見に行った私だったんですが、いえ、また午後9時の極寒が戻ってきたのはショックだったんですけどね。
序盤は古巣訪問となったエンバルバやレオ・バプチストンが恩返しに張り切るアルメリアが押していたため、ますます寒く感じられたんですが、大丈夫。前半を0-0で折り返した後、後半8分にはイシの蹴ったCKからのボールをゴール前でオスカル・バレンティンと争ったエリがオウンゴールにして、ラージョが先制することに。自分たちが決めた訳ではないので、この時こそ、お祝いは控えめだったものの、17分には交代出場したばかりだったアルバロ・ガルシアがイシのスルーパスを受け、2点目を挙げてくれたから、平日にも関わらず、大入りだったスタンドもどんなに盛り上がったことか。
その日はファルカオに出番が回らず、RdT(ラウール・デ・トマス)も最後の6分間の顔見せ程度と、とにかく調子のいい時はイシとアルバロ・ガルシアの2人で勝ってしまえるラージョですからね。おかげで試合前は8位だった彼らは5位にジャンプアップ、しかも兄貴分アトレティコの4位の座を勝ち点差3で脅かす存在になるとは一体、誰に想像できた?もちろん、4試合ぶりにホームゲーム勝利を祝うことができた上、ヨーロッパの大会の出場権が近づいてきたことに興奮したファンたちは「El año que viene Rayo-Liverpool/エル・アーニョ・ケ・ビエネ・ラージョ・リバプール(来季はラージョvsリバプール戦)」と歌っていたんですけどね。
今季絶不調のそのリバプールがELですら出られるのかという問題はともかく、ラージョも昨季はあと10ポイント程だった残留までの勝ち点を貯めるのにシーズン後半、凄く苦戦したのはまだ記憶に新しいところ。とりあえず、今はまだ浮かれることなく、日曜のコリセウム・アルフォンソ・ペレスでの弟分ダービーに挑んでもらいたいですが、そうそう、兄貴分から勝ち点1をもぎ取ったキケ・サンチェス・フローレス監督のチームは19位なのは変わらずとも残留ゾーンまではあと勝ち点2へと少々前進。まさに降格圏脱出の覚悟が問われる試合となるため、きっと熱い戦いが見られるに違いありません。
PR
ただ、昨年末にリーガが再開して以来、コパ・デル・レイ、スペイン・スーパーカップ、そのせいで順延したリーガ戦にことごとくミッドウィークを埋められ、いよいよ週2試合ペースも6週目となるマドリーには日程過多による悩みもない訳ではなし。そう、試合のたびに負傷者が発生することで、実際、このクラブW杯でもクルトワ、ベンゼマ、ミリトン、メンディ、ルーカス・バスケス、そしてほとんど出場していないアザールまで、6人もの選手がマドリッドでお留守番することに。いえ、アンチェロッティ監督は「クルトワ、ベンゼマ、ミリトンの3人は決勝には出られると思う」と追っかけ参加を示唆していたんですけどね。といっても今週は首位を独走するライバルが週中、ゆっくり調整できるのを横目に、それこそまたとないビッグネームとの対戦と張り切る中東勢との試合でまた、ケガ人が増えることにでもなれば、さあ大変。いよいよ再来週、21日の火曜にはCL16強対決リバプール戦1stレグも控えているだけに、たまったものではないかと。かといって最近、上は見ないようにしているものの、下2チームとたったの勝ち点3差で来季のCL出場権がもらえる4位の座にしがみついている、それこそ昨年中にCLグループリーグ最下位敗退により、ヨーロッパの大会から完全撤退。唯一の希望の光だったコパ・デル・レイでも準々決勝でお隣さんに負けて、もうシーズン残りは週1回のリーガ戦しか、ファンも楽しめなくなったアトレティコにも余裕はなかったため、スタンドが合唱するアカペラのクラブ歌が響き渡る中、選手たちが入場した後、果たしてこの日はfondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)の応援団がストを撤回してくれたのかどうか、息を詰めて見守っていたところ…。
ダメです。前回のホームゲーム同様、いつも舞っている大きな旗も何もなく、静かに座っているだけでは時折、散発的に掛け声やカンティコがスタンドの他の区画で発生しても長続きする訳もなし。せめて前半中盤の10分間にモラタ、グリーズマン、エルモーソがゴールを挙げたバジャドリー戦のような景気の良さがあれば、少しは盛り上がったんでしょうが、16分など、モラタが敵ゴール前でジェネに引っくり返されながら、マテオ・ラオス主審にスルーされ、今季、アトレティコにとって、リーガで初めてとなるはずだったPKすら、もらえないのではねえ。
いえ、後で拡散した映像では、「Escúchame, escúchame, hay forcejeo con Djené pero para mí no es suficiente/エスクチャメ、エスクチャメ、アイ・フォルセヘオ・コン・ジェネ・ペロ・パラ・ミー・ノー・エス・スフィシエンテ(聞きなさい。ジェネと揉み合いはあったが、十分なものじゃなかった)。私の判断が間違えていたなら、VAR(ビデオ審判)が正すためにある」とマテウ主審は言っていたんですけどね。専門家たちにもペナルティという意見が多かったですし、実はジェネは開始早々、2分にレイニウドに乱暴なタックルをかけ、すでにイエローカードをゲット。よって、ジャッジ次第では2枚目をもらって、退場の可能性もあったとなれば、「A nosotros nos miran de distinta manera/ア・ノソトロス・ノス・ミラン・デ・ディスティンタ・マネラ(ウチのことを別の視線で見ている)」(コレア)とアトレティコサイドが怒っていたのも当然だった?
まあ、といってもPKはもらったからといって、必ずしもゴールになるものではありませんし、とりわけアトレティコはよく失敗していますからね。ムダにファンのフラストレーションを増やすことなく、崖っぷちにいる弟分を1時間以上、人数的劣勢の辛い立場に追いやることもなかったのは良かったんじゃないかと思いますが、20分に決まったモラタのゴールは恒例のオフサイトでスコアに上がらず。逆にハーフタイム間際にはエネス・ウナルのシュートがゴールポストすれすれに逸れていくなどのドッキリもあったものの、試合は0-0のまま折り返すことに。
いよいよ転機が訪れたのは後半15分のことで、いえ、CKがヘタフェDF陣にクリアされた後、レマルがエリア前から蹴ったシュートはGKダビド・ソリアに弾かれ、丁度、ボールが目の前に転がってきたコレアが蹴り込んだものの、線審が旗を挙げていたため、オフサイドだったのかとスダンドも溜息に包まれたんですけどね。その直後、シメオネ監督はコレアとレマルをカラスコとマルコス・ジョレンテに代え、すでに2人はピッチに立っていたものの、マテウ主審がプレー再開の合図をしないのを訝っていたところ、実はVAR注進が入っていたとは!
その結果、コレアがオフサイドでなかったとされたため、アトレティコに先制点が入ったから、ビックリしたの何のって。ええ、おかげで選手たちは一斉にベンチに座っていた同僚に駆け寄ってお祝いしたんですが、いやあ、毎試合、ゴールを挙げる訳ではないコレアだけにできれば、ゴールはピッチでファンの歓声を浴びて喜びたかったのでは?ただねえ、リードすると、彼らは未だに一歩後退の癖が直らず、確かにシメオネ監督が30分にはCFのモラタを下げて、MFのサウールを入れた影響もあったんでしょうけどね。
前節オサスナ戦でチーム唯一のゴールを挙げ、勝利をもたらしたカンテラーノ(下部組織出身の選手)の得点力を信頼したとも言えなくなくはありませんが、この日の彼は真逆の意味で決定的な働きをすることに。そう、36分にはドゥアルテがエリア外左から上げたクロスをクリアしようとジャンプして、すぐ後ろでマジョラルがヘッドしたボールに腕を当ててしまうとは!当然ながら、ハンドでペナルティを取られ、ウナルが決めたPKで同点に追いつかれてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
そこでようやくシメオネ監督もFWのメンフィス・デパイ(バルサから移籍)を投入したんですが、返す返すも彼はレバンドフスキではありませんからね。ロスタイム最後のチャンスに至近距離から放ったシュートもダビド・ソリアにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、ヘタフェベンチが総立ちで終了の笛を催促する中、試合は1-1で終了です。うーん、これで今季ホームゲーム10試合をアトレティコは4勝3分け3敗、勝ち点を15も落としているんですけどね。確かにここ2試合は応援団のストもあり、場内の雰囲気は最高と言えないんですが、それ以前はちゃんと応援されていたのだから、お得意様だった弟分からまで、勝ち点を取りこぼしたのをそのせいにするには無理があるかと。
ただ、コレアなどは応援してもらえない理由を「Sabemos que están enfadados con nosotros y con razón porque no hemos respondido/サベモス・ケ・エスタン・エンファダードス・コン・ノソトロス・イ・コン・ラソン・ポルケ・ノー・エモス・レスポンディード(ボクらは彼らが怒っているのを知ってるし、それももっともな理由でね。自分たちが応えてこなかったんだから)」とチームの自己責任にしていたんですが、この応援団ストは元々、フレンテ・アトレティ(アトレティコのウルトラグループ)がクラブに対する影響力を拡大しようとしての示威行動。先日のコパ・ダービー前、高速道路にビニシウスのユニを着せた首吊り人形をぶら下げていたのも彼らですし、アトレティコもいい加減、対応して、ウルトラ・スールを追放して自前の応援団を作ったお隣さんのようにしないと、試合中、もっと声を出したい他のファンたちがリード役がいなくて困ってしまうのでは?
それこそ、「No podemos seguir fallando en casa si queremos estar en Champions la próxima temporada/ノー・ポデモス・セギール・ファジャンドー・エン・カサ・シー・ケレモス・エスタル・エン・チャンピオンズ・ラ・プロキシマ・テンポラーダ(来季、CLに行きたいなら、ホームで躓き続けることはできない)」とコケも言っていたように、日曜のセルタとのアウェイ戦を挟んだ後、次のアスレティック戦の際にはメトロポリターノも以前の姿を取り戻してもらいたいものですが、さて。ちなみにこの節は同日にすぐ下のライバル、ビジャレアル、ベティスがそれぞれ、エルチェ、セルタに敗戦。日曜には1つ上のレアル・ソシエダもバジャドリーに負けたため、引分けでも勝ち組となったアトレティコでしたが、何と月曜には伏兵が出現することに…。
いえ、その前に日曜試合だったマドリーの話もしておくことにすると、GKクルトワが試合前のアップ中に左太ももに違和感を覚え、先発をルニンに譲ったのはまさにビジット・マジョルカでのことだったんですよ。先週ミッドウィークの順延分リーガ、バレンシア戦でケガしたベンゼマ、ミリトンも参加しておらず、クロースとモドリッチもその試合で起きた不具合が残っていたため、先発に入らなかったんですが、でもまさか、前半13分、ダニ・ロドリゲスが上げたクロスに大型FWムリキがジャンプ。そのヘッドでマジョルカの先制点が決まったように見えたものの、実はその後ろにいたナチョの頭が原因のオウンゴールだったとはまったく、出だしからツイてないじゃありませんか。
とはいえ、時間はまだ沢山ありましたし、基本的に5人DF体制のマジョルカは専守防衛だったため、得意のremontada(レモンダーダ/逆転劇)精神をマドリーが発揮すれば、何てことはなかったはずなんですけどね。相手が計29回にも及ぶファールでプレーを切ってきたのも集中力に影響したか、この日の彼らはシュートを20本も撃ちながら、枠内がたったの1つだけ。しかもその1本である、後半11分、GKライコビッチにビニシウスが足されて得たPKも、「La duda era entre Asensio y Rodrygo/ラ・ドゥーダ・エラ・エントレ・アセンシオ・イ・ロドリゴ(迷ったのはアセンシオにするか、ロドリゴにするかということ)。PK第1キッカーはベンゼマ、2番目はモドリッチでベンチにいた」というアンチェロッティ監督に指名されたアセンシオが弾かれてしまったとなれば、たかが1点の壁が越えられなかったのもムリはなかった?
うーん、この試合ではマッフェオやライジョに挑発もされ、1人でファール10回も受けた挙句、自身もイエローカードをもらい、来週水曜のエルチェ戦に累積警告で出場停止となったビニシウスがまた、注目を浴びていたんですけどね。最近はアウェイに行く度、相手ファンのブーイングの的にもされているため、当人も挑戦的な態度をとってしまうなど、なかなか事態は沈静化しないんですが、アンチェロッティ監督によると、「El problema es lo que pasa alrededor de Vinicius/エル・プロブレマ・エス・ロ・ケ・パサ・アルレデドル・デ・ビニシウス(問題はビニシウスの周囲で起きること)。彼に責任はなくて、私もわからない何かの犠牲になっている」とのことですが、それもスペインを離れたモロッコの地でのクラブW杯を歓迎する理由になるかも。
とはいえ、今では勝ち点6差の3位レアル・ソシエダとの距離の方を気にしないといけなくなったマドリーながら、まだまだリーガは先が長いため、絶望することもないかと思うんですが、いやまさか、翌日の夜にまさかの波乱が待っていたとは!そう、2週連続の月曜試合となったもう1つの弟分、ラージョをエスタディオ・バジェカスに見に行った私だったんですが、いえ、また午後9時の極寒が戻ってきたのはショックだったんですけどね。
序盤は古巣訪問となったエンバルバやレオ・バプチストンが恩返しに張り切るアルメリアが押していたため、ますます寒く感じられたんですが、大丈夫。前半を0-0で折り返した後、後半8分にはイシの蹴ったCKからのボールをゴール前でオスカル・バレンティンと争ったエリがオウンゴールにして、ラージョが先制することに。自分たちが決めた訳ではないので、この時こそ、お祝いは控えめだったものの、17分には交代出場したばかりだったアルバロ・ガルシアがイシのスルーパスを受け、2点目を挙げてくれたから、平日にも関わらず、大入りだったスタンドもどんなに盛り上がったことか。
その日はファルカオに出番が回らず、RdT(ラウール・デ・トマス)も最後の6分間の顔見せ程度と、とにかく調子のいい時はイシとアルバロ・ガルシアの2人で勝ってしまえるラージョですからね。おかげで試合前は8位だった彼らは5位にジャンプアップ、しかも兄貴分アトレティコの4位の座を勝ち点差3で脅かす存在になるとは一体、誰に想像できた?もちろん、4試合ぶりにホームゲーム勝利を祝うことができた上、ヨーロッパの大会の出場権が近づいてきたことに興奮したファンたちは「El año que viene Rayo-Liverpool/エル・アーニョ・ケ・ビエネ・ラージョ・リバプール(来季はラージョvsリバプール戦)」と歌っていたんですけどね。
今季絶不調のそのリバプールがELですら出られるのかという問題はともかく、ラージョも昨季はあと10ポイント程だった残留までの勝ち点を貯めるのにシーズン後半、凄く苦戦したのはまだ記憶に新しいところ。とりあえず、今はまだ浮かれることなく、日曜のコリセウム・アルフォンソ・ペレスでの弟分ダービーに挑んでもらいたいですが、そうそう、兄貴分から勝ち点1をもぎ取ったキケ・サンチェス・フローレス監督のチームは19位なのは変わらずとも残留ゾーンまではあと勝ち点2へと少々前進。まさに降格圏脱出の覚悟が問われる試合となるため、きっと熱い戦いが見られるに違いありません。
PR
|