ゴール祭りは終わった…/原ゆみこのマドリッド

2022.11.30 19:00 Wed
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「あんな寒々しい練習、やっぱり行かないで正解ね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、ようやく前日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)でアトレティコが12月終盤の公式戦再開に備え、セッションを始めたものの、時間が午後7時と、真冬となった今は日もとっぷり暮れて辺りは真っ暗。しかも最近は急に冷え込んできたため、W杯のparon(パロン/リーガの休止期間)に入ってから、かなり出不精になっていた自分は遠慮したんですが、翌日、マルカ(スポーツ紙)の記事で映像を見つけ、その荒涼たる風景を確認することができた時のことでした。

ええ、アトレティコのトップチームでW杯に参加していない選手は10人いるんですが、初日に出勤したのはフェリペ、エルモーソ、レギロン、レイニウド、サウール、コンドグビア、レマル、クーニャの8人だけ。GKオブラク(スロベニア)とサビッチ(モンテネグロ)は母国代表がW杯に出ていないものの、親善試合があったため、木曜からの合流になるというのはともかく、ウルグアイ代表に出向しているフィジカルコーチのプロフェ・オルテガのみならず、先日、ドーハで目撃されたシメオネ監督までいないんですよお。

2日目にはさすがにシメオネ監督こそ出て来たとはいえ、マドリッド勢弟分のラージョは先週木曜から、ヘタフェも金曜から、一足先に練習を始めていますからねえ。ただ、前者は丁度、火曜に決勝トーナメント進出が決まったシス(セネガル)が、後者も金曜のグループリーグ3節スイス戦が終わるまで、カタール滞在が伸びるかどうか、わからないマクシモビッチとミトロビッチ(セルビア)がW杯に参加中なんですが、それでもヘタフェなど、それ以外の選手が大方、揃っているからでしょうね。水曜にはもう、最初のプレシーズンマッチ、バジャドリー戦を迎えることに。
その一方で、今のところ、ドーハ延泊が決まったアトレティコの選手はグリーズマン(フランス)、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)の2人だけ。モラタ、コケ、マルコス・ジョレンテ(スペイン)、カラスコ、ビッツェル(ベルギー)、ヒメネス(ウルグアイ)、デ・パウル、ナウエル・モリーナ、コレア(アルゼンチン)、ゲルビッチ(クロアチア)らは最終節でのグループ突破を目指しているところですが、その辺は木曜からバルデベバス(バラハス空港の近く)で練習再開となるお隣さんも似たような状況かと。ええ、チュアメニ、カマビンガ(フランス)、ビニシウス、ロドリゴ、ロドリゴ(ブラジル)は決勝トーナメントに進出。

カルバハル、アセンシオ(スペイン)、クルトワ、アザール(ベルギー)、バルベルデ(ウルグアイ)、モドリッチ(クロアチア)、リュディガー(ドイツ)らは難易度の差はあるものの、皆、可能性を残して、グループリーグ3試合目に挑むことになるんですが、何なんでしょうね。ここ数日、大会開幕前に左太ももをケガして代表を離脱、マドリッドでリハビリしていたベンゼマが、ネンザで帰還が決まったガジャ(バレンシア)の代わりにバルデ(バルサ)がすぐ呼ばれたスペインと違い、フランスは誰も追加招集していないため、決勝トーナメントでデシャン監督のチームに戻るかもしれないという噂がチラホラと。それが結局、火曜にはバケーションに行ってしまったとは、一体、どうなっているのやら。

まあ、そんなことはともかく、今は気になるW杯でのスペインの様子をお話ししていくことにすると。Eグループ2節のあった日曜は、後半35分にフレール(エレディアーノ)に奪われた1点が返せず、日本がコスタリカに0-1で負けてスタート。夜のスペインvsドイツ戦までは時間があったため、今も続行中のリーガ2部のレガネスvsグラナダ戦を見に、午後はブタルケに行った私だったんですが、何か久々の感じでしたね。TV以外でサッカーを見るのは。スタンドのファンたちもW杯など、よその世界の出来事のように普通に応援していましたし、何とグラナダは前半3分にGKラウール・フェルナンデスがエリア外でアルナイスを倒して、レッドカードで退場に。

ホルヘ・モリーナに代わって、控えGKの入ったため、そこからレガネスはずっと数的有利で戦うことができたんですが、守備に専念した相手に手こずったか、ゴールは後半8分になって、ラバカウンターから決めてくれた1本だけ。17分にはカジェホンにvaselina(バセリーナ/ループシュート)を決められて、ヒヤリリとさせられたりもしたんですが、幸いオフサイドで認められなかったため、1-0で逃げ切れたのは助かりましたっけ。

ちなみにこのレガネス、シーズン序盤は降格圏に沈んでいたものの、現在ではもう11位、昇格プレーオフ圏までも勝ち点3に接近。ここまでの2試合、柴崎岳選手が日本代表で出場していないのを見ると、2部22チーム中3人だけのmundialista(ムンディアリスタ/W杯参加選手)を擁しているのは光栄でしょうが、最近、勝つのにちょっと苦労しているイディアケス監督としては来週火曜のミランデス戦はともかく、土曜のアンドラ戦までには柴崎選手に戻って来てほしい?

何せ、19日のサラゴサ戦を最後に2部はクリスマス休暇に入るため、コパ・デル・レイ1回戦でゲルニカ(RFEF2部/実質4部)にPK戦で負けて敗退した彼らには来年、1月8日の週末まで試合がありませんからね。柴崎選手にとってもちょっと中途半端な日程になるかと思いますが、できれば、その間に劣化状態の激しいブタルケのピッチの芝も改善もできるといいんじゃないでしょうか。

そして帰宅後は家のTVでスペインの試合を見たんですが、7-0と大勝したコスタリカ戦から、ルイス・エンリケ監督はスタメンを1人しか変えず。ええ、右SBをアスピリクエタ(チェルシー)から、風邪が治ったカルバハル(マドリー)にしただけだったんですが、前半6分には早速、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)のシュートにGKノイアー(バイエルン)が触った後、枠に当たって弾かれるというチャンスがあったため、この日もゴールは結構、簡単に入るんじゃないかと思ったんですけどね。そこはさすがドイツというか、日本に負けて後がない相手の強烈なプレスに押されたスペインは前半得点できず。それどころか、39分にはCKからリュディガー(マドリー)のヘッドでうっかり先制されるところだったんですよ。

そのゴールはオフサイドだったため、0-0のままで後半に入ったところ、早くも9分、ルイス・エンリケ監督は真正CFのモラタをフェラン・トーレス(バルサ)に代えて投入することに。それがバッチリ当たって、17分にはジョルディ・アルバ(バルサ)のラストパスをモラタがゴール前で押し込み、待望の先制点を奪ってくれたんですが、うーん、何かこのパターン、バルサからの完全移籍が決まる前、移籍金を値切ろうと、シメオネ監督が出場試合数にカウントされない後半15分以降にしか、グリーズマンを使わず、それで逆に決定的な働きをしていたアトレティコに似ていない?

実はモラタのゴールの直後には、ルイス・エンリケ監督も「Para mí la jugada clave es la acción de Marco, le ha botado un poco antes de golpear/パラ・ミー・ラ・フガダ・クラベ・エス・ラ・アクシオン・デ・マルコ、レ・ボタードー・ウン・ポコ・アンテス・デ・ゴルペアル(私にとって、肝だったのはマルコのプレー。蹴る少し前にバウンドしてしまった)」と嘆いていたんですが、アセンシオが絶好のチャンスにシュートを外し、スペインは追加点を奪えず。21分にはそのアセンシオ、小さな体で果敢に屈強なドイツ人選手に挑み、何度も吹っ飛ばされた挙句、膝を打撲したガビをニコ・ウィリアムス(アスレティック)、コケに代えたんですが、今回、交代策が功を奏したのはフリック監督の方でした。

ええ、25分にミュラー、ゴレツカ(バイエルン)、ケーラー(ウェストハム)をザネ(バイエルン)、フュルクルク(ベルダー・ブレーメン)、クロスターマン(ライプツィヒ)へと一気に3人代えたところ、いえ、丁度、スペインもバルサの後輩、バルデがジョルディ・アルバを引き継いだタイミングだったのも悪かったんですかね。38分、ラポール(マンチェスター・シティ)がエリア前でパスミスしたのがキッカケとなり、ムシアラ(バイエルン)がフェルクルクに繋いで同点ゴールを奪われてしまったから、さあ大変!

いえ、そのまま1-1で引分けることができたため、スペイン自体は「Al final te quedas un poco triste, pero estamos en lo alto de la clasificación/アル・フィナル・テ・ケダス・ウン・ポコ・トリステ、ペロ・エスタモス・エン・ロ・アルト・デ・ラ・クラシフィカシオン(結局、ちょっと残念なことになっただが、それでもウチは順位表のトップにいる)」(ルイス・エンリケ監督)と比較的、安泰なんですけどね。連勝で決勝トーナメント進出を決めることができなかったため、このグループは勝ち点1で最下位のドイツを含め、最終節には4チーム全部にまだ勝ち抜けのチャンスがあることに。

おかげで試合後、カルバハルはクラブの同僚リュディガーから、オルモはラウム、クロスターマンから「日本に絶対、勝ってくれ」と頼まれたそうですが、言われなくても引分けて、コスタリカがドイツに勝てば2位通過。万が一、負けたりすると、コスタリカ勝利で敗退、引分けなら2位、ドイツが7点差以上つけてコスタリカに勝っても敗退と、リスクがない訳じゃありませんからね。「No creo que nadie tenga dudas de que vamos a salir a ganar, nos asegura el primer puesto/ノー・クレオ・ケ・ナディエ・テンガ・ドゥーダス・デ・ケ・マモス・ア・サリール・ア・ガナール、ノス・アセグラ・エル・プリメール・プエストー(ボクらが勝利を目指してプレーするのを疑う者はいないだろう。1位確定もできるしね)」とカルバハルも言っていた通り、木曜午後8時(日本時間翌午前4時)の日本戦には全力を出してくるはずですが…。

ええ、むしろこれは日本にとっては困った問題で、だってえ、日本は負けると敗退確定なんですよ。こちらは引分けでもコスタリカが勝てば敗退、ドイツが2点差以上で勝っても敗退となるんですが、となると両者丸く収まるのは2試合共ドローに終わって、スペイン1位、日本2位で通過すること?といっても他会場の試合をコントロールする訳にもいきませんしね。ただ、スペインにも弱点がない訳じゃなくて、そう、ドイツ戦ではムシアラのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)し、失点を防いでくれたGKウナイ・シモン(アスレティック)なんですが、元はと言えば、これは敵にゴールキックしてしまった当人が引き起こしたピンチ。

彼は前半もエリア内にいたナブリ(バイエルン)にパスしていて、この時はシュートが外れてくれたため、事なきを得たんですが、やっぱり自分のクラブでやり慣れていないプレーはするもんじゃない?いえ、ルイス・エンリケ監督は「Todos los equipos que salimos jugando desde atrás corremos riesgos/トードス・ロス・エキポス・ケ・サリモス・フガンドー・デスデ・アトラス・コレモス・リエスゴー(後ろからプレーしていくチームはどこも危険を冒している)。ノイアーも同じことをしていた」と、あまり気に留めてなかったんですけどね。折しも月曜と火曜の練習ではガビと共に2試合、ボランチから転向CBとしてプレーしたロドリ(マンチェスター・シティ)も打撲で個別調整していたため、日本戦ではルイス・エンリケ監督も本職CBのパル・トーレス(ビジャレアル)やエリック・ガルシア(バルサ)の投入を検討しているかもって…うーん、彼らをイマイチ信用できないのは私だけ?

ブスケツがイエローカードをもらったため、累積警告で16強対決が出場停止にならないように温存されて、ボランチにコケ、もしくはロドリがスタメンで入るという予想もあるんですけどね。ちなみに今回、休養日を設けなかったスペインですが、月曜午後には選手、スタッフの家族がカタール大学の寮を訪問。コケなど、3才になる息子のレオ君とグラウンドで遊んでいる映像がSNSに上がっていたりしたんですが、火曜の練習には日本のマスコミが大挙して来たなんて報道も。

そこですかさず記者会見にコケを出し、「チームは意欲とエネルギーに満ちていて、queremos seguir haciendo lo que venido haciendo porque lo estamos haciendo bien/ケレモス・セギール・アシエンドー・ロ・ケ・ベニードー・アシエンドー・ポルケ・ロ・エスタモス・アシエンドー・ビエン(ウチは上手くやっているから、今までやってきたことをやり続けたい)」なんてコメントで煙に巻いていたのは、サッカー協会の作戦だったかどうかわかりませんけどね。「Creo que será un partido parecido porque los alemanes se parecen al juego de España/クレオ・ケ・セラ・ウン・パルティードー・パレシードー・ポルケ・ロス・アレマネス・セ・パレセン・アル・フエゴ・デ・エスパーニャ(ドイルのプレーはスペインに似ているから、似たような試合になると思う)」(コケ)って、ドイツが日本に逆転負けしたのを踏まえて言っている?

うーん、月曜のライブ配信でルイス・エンリケ監督も「難題を持ちかけてくるチームだ。タケ(久保建英)やドイツでプレーしている選手たちがね。Vamos a tener que estar muy atentos y sin especular/バモス・ア・テネール・ケ・エスタル・ムイ・アテントス・イ・シン・エスペクラル(ウチは注意を怠らず、逡巡しないで行かないといけない)」と日本を評価していましたが、果たしてこの一戦、どんな結果となるのやら。ちなみにA代表としては両者、これまで親善試合で1回しか対戦しておらず、2001年にスペインが1-0で勝利。直近では2021年の東京オリンピック準決勝延長戦でアセンシオがゴールを挙げ、スペインに軍配が挙がっているんですが、その時のメンバーがスペインには7人、日本には9人もいるというのは何か、因縁を感じますよね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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長い週末だった…/原ゆみこのマドリッド

「もしや慰めのつもりだろうか」そんな風に私が首を振っていたのは月曜日、バジャドリー戦が終わった土曜の夜から恐れていた通り、午前中にアトレティコがマルコス・ジョレンテの検査結果を発表。全治15日程の太ももの肉離れにより、今週のマドリーダービー、コパ・デル・レイ準々決勝には出られないとわかってすぐ、カンテラーノ(Bチームの選手)のバリオスが契約を2028年まで延長、トップチーム昇格のお知らせがツィッターに上がっているのに気づいた時のことでした。いやあ、この19才のMFは久々に現れた希望の星で、確かに今年になって出場した大人の試合でもチームに新風を吹き込んでくれてはいたんですけどね。 かといってティーンエイジャーながら、スペイン代表招集常連であるバルサのガビやペドリのように上手いのかと言われると、まだまだ足りないところが散見されるんですが、最近はとにかく、ジョレンテがリーガ優勝した2シーズン前のレベルに戻りつつありましたからね。あのエリア内右奥まで切り込んで、ゴール前に出すキラーパスをモラタが決められるか、決められないかはそれこそ、時の運なんですが、よりによって、今季唯一、タイトル獲得の可能性が残った大会の生き残りを懸けて、お隣さんと一発勝負でぶつかる今、ケガしてくれるとはまったくツイていない。 聞けば、UEFAの大会のようにビジターチームファンへのシート提供パーセンテージが決まっていないコパだけに、アトレティコには4000人ものチケット購入申し込みがありながら、レアル・マドリーはサンティアゴ・ベルナベウのfondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏)4階席の300人強分しか、用意してくれないなんて話もありますしね。8年ぶりとなるコパダービーでは2013年、それこそ敵のお膝元でモウリーニョ監督率いるチームを延長戦で破って戴冠。2014-15シーズンは奇遇にもアンチェロッティ監督のチームを2試合制だった準々決勝で倒したという、いい思い出もない訳ではありませんが、とりわけコパの試合では今季、どこに行っても大勢のファンの声援を受けていたシメオネ監督のチームだけにやっぱり、心細かったりするんですが…。 まあ、憂いてばかりでも仕方ないので、今は先週末のマドリッド勢のリーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。寒波中のマドリッドでも土曜のラージョvsレアル・ソシエダ戦は午後2時キックオフ、お日様が照っているだけに少しはマシかと思えば、吹きつける風が氷のように冷たくてねえ。夜のシビタス・メトロポリターノに備え、極暖ヒートテック着用で挑んでまさに正解だったんですが、エスタディオ・バジェカスでは前半15分から、冷や水を浴びせられることに。ええ、スローインを受けたウナイ・ロペスがぼおっとしていたか、ダビド・シルバにボールを奪われ、37才のドリブルを誰も止めることができず。最後はセルロートにパスが渡り、そのシュートで先制点を奪われてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 ソシエダは36分にも今度はCKから、イシのマークを振り切ったエルストンドがヘッド、ファーサイドに行ったボールをバレネチェアがネットに収め、前半だけで2点もリードされてしまったとなれば、この逆境を克服できるのは、先日のコパ16強対決ビジャレアル戦ではありませんが、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)DNAを持つ兄貴分だけ?もちろん、ラージョはそんな特異体質ではなく、いえ、イラオラ監督もファルカオ、エヌテカ、アンドレス・マーティンを投入して、ゴールを狙ったんですけどね。 直近のベティス戦の5人FW体制より、ちょっと少ない4人FW体制もシュートの狙いが定まらなくてはどうしようもありません。結局、0-2のまま、ラージョは負けてしまい、リーガのホームゲームでW杯のparon(パロン/停止期間)前にマドリーに勝利して以来、3試合連続白星なしに。まあ、9位でコンフェレンスリーグ出場圏まで勝ち点2差というのは変わっていないため、それ程、焦る必要はないんですが、彼らの次節は30日の月曜試合。ラ・セラミカでのビジャレアル戦ではしっかり勝って、CL出場圏4位をもう1つの兄貴分、勝ち点が同じアトレティコから掠め取ってやろうと狙っているセティエン監督のチームを叩くことができたら、きっと感謝されるんじゃないでしょうか。 え、その試合、ロッカールームからのトンネルを出て、久保建英選手がベンチに歩いて来るのは見たのに、その後、ハーフタイム中も後半もアップする姿さえなかったのは不思議じゃなかったかって?そうですね、イマノル監督によると、「Take lo tenía en el banquillo, pero no estaba para echar una mano/タケ・ロ・テニア・エン・エル・バンキージョ、ペロ・ノー・エスタバ・パラ・エチャール・ウナ・マノ(タケはベンチに入っていたが、チームを助けられる状態ではなかった)。太ももの問題を抱えていたから」とのこと。 いやあ、この日はシルバ、ブライス・メンテス、セルロートも早々にカンテラーノ2人とオジャルサバルに代わり、水曜のコパ準々決勝バルサ戦の準備に余念のないソシエダだったんですけどね。リーガでもこの日の勝利で2位マドリーと同じ勝ち点に並んだ彼らはまさに、週末にはベルナベウで直接対決と、ビッグゲームを立て続けに迎えるだけに、久保選手にもなるたけ早く回復してもらいところでしょうが、こればっかりはねえ。何にしても他にもミケル・メリノら、ケガ人がいるというのに現在、9連勝中というのは羨ましい限りではあります。 そして土曜は更なる寒さに耐える覚悟して、メトロポリターノへ向かった私でしたが、むしろ、冷え冷えしていたのはfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)に陣取る応援団の方でした。というのもアトレティコ、バジャドリーの両チームが入場してきた時こそ、いつものように一斉にマフラーを掲げ、アカペラでクラブ歌を熱唱していたんですが、その後はうんともすんとも言わず。顔見知りの番記者に尋ねたところ、またクラブ紋章変更の問題が再燃して、応援のストをしているということでしたが、ちょっとお、今がどんな時か、本当のファンならわからないはずないのでは? でも大丈夫。序盤こそ、先日のコパのレバンテ戦を彷彿させるように頼りなかったアトレティコでしたが、この日は練習で磨きをかけた決定力がとうとう開花。まずは18分、先発に戻ったコケのスルーパスをグリーズマンがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で繋ぎ、エリア内に入ったモラタがエル・ヤニクをかわして撃ったシュートが決まったから、驚いたの何のって。続いて23分にはナウエル・モリーナがエリア内右奥まで侵入し、そのアシストを受けてグリーズマンが2点目を取ってくれたんですが、いやあ、昨今、MF化が激しく進んでいる当人にとって、フランス代表のW杯も合わせると、18試合ぶりの得点だったとは随分、待たせてくれたじゃないですか。 おまけに28分にはグリーズマンの蹴ったFKをエルモーソがヘッド、一旦はGKマシップに弾かれたものの、自分のところに戻って来たボールを押し込んで、あっという間に3点リードしてしまうって、まさに盆と正月がいっぺんに来た?相手がここ4連敗中、降格圏ギリギリのグループにいるチームだけに反撃をそれ程、恐れることなく、後半は11分から、ケガをしたジョレンテはともかく、グリーズマン、レマル、コケ、モラタと主力を温存することができたのも良かったんですけどね。追加点はなかったものの、無事にメンフィス・デパイもデビューできたんですが、3-0で試合が終了した後もスタンドから、コパダービーに挑むチームを鼓舞するカンティコがまったく聞こえなかったのは残念な限りだったかと。 その一方で日曜には残りのマドリッド勢の試合があったんですが、こちらも午後2時からだったブタルケでは先日、アトレティコに負けて、コパ敗退となったばかりのレバンテがレガネスと対戦。柴崎岳選手も久々に先発したんですが、前半29分には先日、レバンテからレンタル移籍で入ったばかりのフランケサがデ・フルートを倒してPKを献上してしまうことに。おかげでカンパーニャのゴールでリードされてしまったものの、32分にはファン・ムニョスのパスを受け、アルナイスが同点ゴールをゲット。後半18分にも彼は敵のクリアミスで得たボールをゴールに叩き込み、レガネスは2-1と逆転したんですが、返す返す悔やまれるのは前半終盤に得たPKを彼が敵GKに弾かれてしまったこと。 だってえ、アルナイスがハットトリックを達成していれば、後半ロスタイム、こちらは昨季までレガネスにいたロベル・イバニェスが混戦状態のゴール前から撃ったシュートが入っても、レガネスは3-2で勝てていたんですよ。最後の最後に追いつかれ、勝ち点2を失うという悔しい思いはしないで済んだはずですが、まあ、レバンテはこれで15試合無敗の堂々、昇格プレーオフ圏一番上の3位チームですからね。こういうしぶとさが1部復帰には必要なんだと思いますが、今週末も2部首位のエイバルという強敵との対戦が続くレガネスとあって、あと勝ち点4に迫った待望の6位以上プレーオフ圏入りも今しばらく、時間が必要かもしれません。 そして日曜は夕方から、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に缶詰めになった私だったんですが、カンプ・ノウで弟分のヘタフェは善戦したものの、前半35分に守備陣がボール出しに失敗。クリステンセンからラフィーニャに送られ、ペドリがゴール前に突っ込んで決めた1点に泣くことに。いやあ、スペイン・スーパーカップからの疲労が溜まっていたバルサはそれ程、攻撃的にパッとしていた訳ではないんですけどね。 キケ・サンチェス・フローレス監督も「Creo que nos penalizó no estar brillantes en el uno a uno con Ter Stegen/クレオ・ケ・ノス・ペナリソ・ノー・エスタル・ブリジャンテス・エン・エル・ウノ・ア・ウノ・コン・テル・シュテーゲン(テア・シュテーゲンとの1対1で冴えていなかったのがウチに罰を与えることになったと思う)」と言っていたように、3分にはせっかくのゴールをウナルのオフサイドで認められなかったマジョラルがGKテア・シュテーゲンの正面に撃って防がれた上、アレニャがファーサイドに出したラストパスにも届かず。レバンドフスキを出場停止処分で欠いていたバルサが後半、追加点を挙げることはなかったとはいえ、最後のラタサのヘッドまでセーブされているとなれば、1-0で負けてしまったのも仕方なかったかと。 そんなヘタフェにはこの土曜、前回のホームゲームで負けたばかりのエスパニョールに今節負けたベティスを迎える試合で頑張ってもらうしかないんですが、何せ、かろうじて16位で止まっているとはいえ、彼らと同じ勝ち点17のチームはゴールアベレージ差で一番下になったバジャドリーが降格圏に入っていますからね。それでもこのまま堅い守備を維持して、ウナルかマジョラルが当たってくれれば、もう少し、楽に息ができる位置に行けるはずなので、ここはコリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンも辛抱強く、応援してあげてほしいですよね。 え、週末観戦5試合目ともなると、もう最後のアスレティックvsマドリー戦の頃には私も相当、疲れていたんじゃないかって?まあ、その通りなんですが、アンチェロッティ監督にはスタメンから驚かされましたよ。というのも難所の1つであるサン・マメスでありながら、モドリッチとクロースを温存。チュアメニもまだ負傷中のため、カマビンガ、バルベルデ、セバージョスで中盤を組み、同じくコパのビジャレアル戦で良かったアセンシオを先発にしていたから。ただベテラン指揮官の勘はバッチリ当たって、前半24分、バルベルデの上げたクロスをアセンシオが後ろにヘッド。そこに駆けつけたベンゼマが見事な腰の捻りでvolea(ボレア/ボレーシュート)を打ち込んで、マドリーは先制点をゲットすることに。 まさに「Karim ha vuelto/カリム・ア・ブエルトー(ベンゼマが戻った)」とアンチェロッティ監督に言わしめるゴールでしたが、それでもスタンドを満員にしたファンに後押しされたアスレティックはメゲることなく、うーん、後から見ると、シュート数も計18本とかなり撃っていたんですけどね。どこぞのチームと同じく、問題は精度で枠内は3本だけ。パレデスのヘッドはGKクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまいましたし、後半31分にイニャキ・ウィリアムスが入れたゴールもオフサイドで認められない運の悪さもあったんですが、挙句の果てに45分、交代で入ったロドリゴからパスを受けたクロースに止めの2点目を決められてしまってはねえ。この0-2勝利のおかげで、マドリーは首位バルサとの差を勝ち点3のまま保つことができましたっけ。 そう、結局、この18節は上位4チームが全て勝って、順位も互いの勝ち点差も変わらなかったんですけどね。彼らが揃って、この火曜水曜、コパ準々決勝で戦うというのはちょっと見物かと。要はどのチームも気分良く、試合に挑めるということになりますが、それにつけても木曜午後9時(日本時間翌午前5時)のコパダービーはただただ、怖いの一言。アトレティコの方が中1日多いですし、リーガでは出場停止だったサビッチやレギロンも出場可能。逆にマドリーはルーカス・バスケス、アラバ、チュアメニ、カルバハルがケガで出られないとわかっていても…まあ、ここは運を天に任せるしかありませんよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.24 20:00 Tue
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潰し合いが始まる…/原ゆみこのマドリッド

「クラシコの方が良かったのに」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせを知った時のことでした。いやあ、たまたまその日は寒さが少しは和らいだこともあり、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でアトレティコのセッションを見学。バジャドリー戦前日会見とラス・ロサスのスペイン・サッカー協会本部で行われる抽選会がほぼ同時に始まったため、プレスルームにいた記者たちは皆、スマホでライブ配信をチラ見しながら、シメオネ監督と質疑応答をしているという、今の時代ならでは光景が繰り広げられていたんですけどね。 それこそ、その会見中に来週はお隣さんとのコパ・マドリーダービーがあるとわかれば、質問の矛先も絶対、そっちに行ったはずだったんですが、おそらく協会もただ8つのボールを引くだけでは中継がたった2分で終わってしまうのを恐れたか、抽選前に延々と選手たちのビデオインタビューなどを放送。おかげでレアル・マドリーとアトレティコの対戦が決まったのは会見終了から、5分以上経った頃となり、とっくにシメオネ監督の姿もなかったんですが、もしや彼も戻ったロッカールームで選手たちが絶望しないように慰めていた? だってえ、鬼門のシュタット・デ・バレンシアで生き残ったとはいえ、アトレティコのゴール力が戻ったと言うにはまだ時期早々。見学時間の15分が終わり、敷地から追い出された後、目隠しの覆いの外から、残りのセッションを伺っていたところ、選手たちは延々とシュート練習に専念していたぐらいですからね。この冬、レンタルに出した2人のFW、クーニャ(ウォルバーハンプトン)とジョアン・フェリックス(チェルシー)の穴を埋めるため、バルサから移籍したメンフィス・デパイの入団プレゼンこそ、同日夕方にあったんですが、いくら木曜からチームと一緒に練習しているといったって、彼はレバンドフスキにあらず。 いきなりダービーでゴールを決めてくれるとはとても思えないんですが、まあそれはともかく、アトレティコに今季、唯一残ったタイトル獲得の可能性がある大会、コパ16強対決のレバンテ戦がどんなだったか、お話ししていくことにすると。それが、キックオフから絶対攻めていくだろうという私の予想は完全に外れ、「El primer tiempo fue chato, no fue bueno, con imprecisiones y pérdidas/エル・プリメール・ティエンポー・フエ・チャト、ノー・フエ・ブエノ、コン・インプレシシオネス・イ・ペルディーダス(前半はのっぺりしていて、良くなかった。不正確でボールロストも多かった)」(シメオネ監督)という最低のスタートだったんですよ。 しかも前半24分など、セットプレーからムニョスにゴールに撃ち込まれ、審判がGKオブラクと一緒にジャンプした敵のFW、ブルディーニにファールがあったと判断してくれたから良かったものの、そうでなければ先制点を奪われていた始末。となれば、「No jugamos, ni pateamos al arco/ノー・フガモス、ノー・パテアモス・アル・アルコ(ウチはプレーもシュートもしなかった)」(シメオネ監督)アトレティコが0-0でハーフタイムを迎えることができたのは不幸中の幸いと言ってもいい? ただ、ロッカールームでシメオネ監督の訓示を受けた後の後半は、いえ、どちらかというと、カンテラーノ(アトレティコBの選手)をコレアに代えたのが当たったみたいでしたけどね。ようやく過去2シーズン、2分け2敗と天敵だった1部のレバンテと今季2部にいるレバンテが違うチームだということに選手たちも気がついたか、後半9分にはコレアが送ったボールをマルコス・ジョレンテがエリア内からファーサイドのモラタに全身全霊を込めてキラーパス。このコネクション、実はリーガ前節のアルメリア戦でも2度あって、その時は見事にシュートを外していた彼ですが、この日は見事にネットを揺らし、控え目ながら、「El primer gol para mi hija que acaba de nacer/エル・プリメール・ゴル・パラ・ミ・イハ・ケ・アカバ・デ・ナセル(生まれたばかりの娘のための最初のゴール)」(モラタ)を祝うことができましたっけ。 その10分後にはモラタもサウールに代わり、なかなか追加点も入らなかったため、私もドキドキしながら見ていたんですが、ロスタイムにはようやく一息つけることに。ええ、今度もコレアが起点となり、ナウエル・モリーナへ繋ぐと最後はエリア内に走り込んだジョレンテが2点目を挙げてくれます。そのまま0-2で勝利して、アトレティコは準々決勝に駒を進めただけでなく、32強対決でレバンテの前に悔し涙を飲んだ弟分、ヘタフェのリベンジもできましたしね。相手のカジェハ監督は少々、ジャッジに不満があったようですが、10月にナフティ監督と交代した後、ここ14試合負けなしだったレバンテは3位と、1部復帰へと着実に前進中。となれば、この日曜にはレガネス戦も控えていますし、負担になるコパはこの辺が潮時だったかもしれませんね。 ちなみにこの日はシュート7本、うち枠内4本で2点を取る効率の良さを見せたアトレティコだったんですが、その調子を持続できるかの試金石となるのは、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのバジャドリー戦。どうやら入団ほやほやのデパイが出場するのは問題ないようで、彼の移籍金300万ユーロ(約4億3000万円)と平行して、この夏の2000万ユーロ(約28億円)の買い取りオプションをバルサに売られたカラスコも金曜の練習ではケガが治っていたようですが、ちょっと心配なのはDF陣かも。ええ、このところリーガでは3試合連続退場者を出していて、今回もサビッチとレギロンが出場停止、ヒメネスもまだ内出血が治っていないんですよ。 といっても現在4位とはいえ、5位6位と同じ勝ち点のアトレティコだけにうっかりすると、CL出場圏から落ちてしまうため、ここは一旦、来週木曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、当初の予定だった日曜のリーガ19節レアル・ソシエダ戦より3日も早く、サンティアゴ・ベルナベウの改装工事を中断させて開催することになるコパ・ダービーのことは忘れて、目の前の試合に集中しないといけませんが…きっと、シビタス・メトロポリターノのファンは17位のバジャドリーにリードするやいなや、ダービー先取り応援を始めるんでしょうね。 え、スペイン・スーパーカップ決勝であんなにも容易くバルサにやられてしまうマドリーを見ていれば、それ程、恐れるべき相手じゃないんじゃないかって?いやあ、実際、翌木曜のコパ16強対決ビジャレアル戦前半まではまったくその通りで、Sextete(セクステテ/6冠優勝のこと)の夢潰えたのがまだショックだったか、彼らは前半4分、スローインからジェラール・モレノが繋いだボールをカプエに決められ、先制点を奪われてしまったから、ビックリしたの何のって。その後も優勢だったのは、リーガ前節には同じラ・セラミカの舞台で2-1と勝利していたセティエン監督のチームで、42分にも今度はチュクウェゼに2点目を入れられてしまったとなれば、レバンテ戦前半のアトレティコの方が全然、マシだった? でもねえ、普通のチームなら、前半2-0で負けて折り返せば、ほとんど絶望的になってしまうはずなんですが、マドリーはそこが違うんですよ。折しも相手はハーフでアルビオルをクエンカに交代、7分にはそれまでビニシウスを完璧に抑えていたフォイスも負傷して、本職の右SBがいないせいで、CBのマンディをその位置に入れなければならなかったのもプラスになりましたけどね。ゲームの流れを変えたのは11分、アンチェロッティ監督がクロースとロドリゴを下げ、セバージョスとアセンシオを投入したこと。いえ、チームが負けているに時点でベンチに戻ることになったロドリゴなど、指揮官とは目も合わさず、ふてくされて座ってしまったんですけどね。 おかげでそれからたったの1分、セバージョスのスルーパスを受けたビニシウスが反撃の狼煙を上げるゴールを挙げた後にはアンチェロッティ監督がロドリゴに近づいて、「Tú a mí me saludas/トゥ・ア・ミー・メ・サルーダス(君は私に挨拶しないといけない)」と直々に注意することに。とはいえ、その時は怒っていた当人も24分、今度はセバージョスのクロスをベンゼマがヘッド。GKヨルゲンセンにそれは弾かれたものの、こぼれ球をミリトンが押し込んで、同点に追いついたとなれば、上司の慧眼ぶりに感服するしかないかと。 そして、まさかCL以外で、とりわけコパなどでお目にかかろうとは思わなかった根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)モードが発動したマドリーは41分、アセンシオの折り返したパスをセバージョスがワンタッチでシュート。とうとう2-3でスコアを引っくり返し、延長戦もPK戦もなしで勝ってしまったんですよ。実際、昨季のDecimocuarto(デシモクアルト/14回目のCL優勝のこと)に至る、逆転に次ぐ逆転となった決勝トーナメントで主役の1人となったロドリゴは、アンチェロッティ監督に記者会見で、「No ha saludado porque creo que se ha olvidado/ノー・ア・サルダードー・ポルケ・クレオ・ケ・セ・ア・オルビダードー(挨拶するのを忘れたのだろう)」ととりなしてもらっていたものの、早々に交代していましたし、モドリッチはマドリッドでお留守番。 ベンゼマも最近はPK以外でゴールを挙げる姿をめっきり見なくなった思いきや、セバージョスやアセンシオら、控え選手までいざとなると、クラブに脈づくレモンターダ精神を発揮してしまうんですから、これは本当に手に負えないかと。まあ、それでも彼らには同日夜、NBAのパリ出張試合、デトロイト・ピストンズvsシカゴ・ブルズ戦を見に行っていたことが発覚したチュアメニ、そしてアラバ、ルーカス・バスケス、カルバハルと負傷者が多い上、この日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのアスレティック戦は後がないコパとは違うため、そう簡単にはいかないと思いますけどね。 ただ、アスレティックもエスパニョールを1-0で下してコパ準々決勝進出組となり、来週木曜にはスポルティング(2部)に0-4と圧勝したバレンシアと当たることになったため、ちょっと気が散っているかもしれませんが、マドリーは現在、リーガで首位バルサと勝ち点3差の2位。シーズン前半終了まで、今週末を含めて、まだ3試合あるとはいえ、これ以上、離されたくないのが本音でしょうが、それには早くW杯のparon(パロン/リーガの停止期間)前の調子を取り戻さないことには。ちなみに残りのコパ準々決勝はバルサvsレアル・ソシエダとオサスナvsセビージャとなっているんですが、こうもミッドウィークの試合が続くと、ホント、どこのチームも選手の体調管理が大変でしょうね。 そしてコパは32強対決で敗退済み、今週はゆっくりできたマドリッドの弟分たちの週末の試合も紹介しておくと、土曜の午後2時(日本時間午後10時)にはラージョがエスタディオ・バジェカスにレアル・ソシエダを迎えることに。ヒザに痛みを抱えるRdT(ラウール・デ・トマス)と打撲のオスカル・バレンティンは欠場になりますが、ここは相手の連戦疲れを利用して、マドリーまで勝ち点3に迫り、アトレティコとは勝ち点差7をつけている3位を叩くことができれば、両兄貴分から感謝してもらえる?もちろん、ラージョ自身も9位ながら、CL出場圏4位まで勝ち点差2と迫っている立場であるため、前節バジャドリー戦でリーガ再開後、初勝利を挙げた流れを持続させたいはずです。 一方、ここ2試合、セビージャ、エスパニョールに連続して負けたため、15位ながら、降格圏まで勝ち点差1に迫ってしまったヘタフェは日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から、カンプ・ノウでバルサに挑むんですが、少しでも朗報があるとしたら、相手はリーガでの出場停止3試合の消化中のレバンドフスキが出られないことぐらい。木曜のコパでセウタ(RFEF1部/実質3部)に0-5と大勝したのはカテゴリー差を考えれば、それほど驚くことではありませんが、何せ、チャビ監督のチームはスペイン・スーパーカップで宿敵を破って優勝。メッシ(PSG)が去って以来のタイトル獲得に士気が上がっていますからね。 まだ冬の市場ではゴンサロ・ビジャルがローマから、リピートレンタル移籍で入ったぐらいで、ほとんど戦力に変化のないヘタフェだけにあまり、大きな期待もできないんですが、昨季の1月にはマドリーに勝ったなんてこともありましたし、勝負はやってみるまでわからない?低空飛行も程々にしないと、キケ・サンチェス・フローレス監督の先行きも怪しくなりますし、とにかく1勝でもすれば、4チームがひしめく、降格圏一歩手前のゾーンを抜け出せるため、今は歯を食いしばって頑張るしかありません。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.21 23:45 Sat
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景気のいい話はあまりない…/原ゆみこのマドリッド

「大人気ないなあ」そんな風に私が呆れていたのは月曜日、試合中は見逃していたものの、スペイン・スーパーカップ決勝終盤にレアル・マドリーの中堅、26才のセバージョスがバルサの18才、ガビの髪を鷲掴みにする映像を発見した時のことでした。いやあ、確かにその時間、彼らは敗色濃厚でしたし、スペインから遥か遠く離れたリアド(サウジアラビア)での開催とはいえ、クラシコ(伝統の一戦)はクラシコ。ティーンエイジャーに好き勝手されてなるものかと、ちょっと後にはベテランのナチョも激しいタックルをかけて、1ゴール2アシストで決勝MVPをもらうことになるガビを吹っ飛ばしていたりしたんですけどね。 そこまで相手に目の敵にされてしまう当人についてはチャビ監督も試合後、「Me quedo sin palabras. Es pura pasión, pura alma/メ・ケド・シン・パラブラス。エス・プラ・パシオン、プーラ・アルマ(言葉も出ない。情熱そのもの、魂そのものだ)」と絶賛していたんですが、実は会場のキング・ファハド・インターナショナル・スタジアムにはスペイン代表のデ・ラ・フエンテ新監督も観戦に。この活躍ぶりを目の当たりにすれば、3月のユーロ2024予選にガビを招集するのは間違いないかと思いますが、バルサには他にも若くして先日のW杯カタール大会に行った選手がペドリ(20才)、バルデ(19才)、アンス・ファティ(20才)と3人も。 それに比べ、マドリーの方は先発したカルハバルも後半途中出場だったアセンシオもパッとせず、大体がして、リーガ前節のビジャレアル戦ではクラブ史上、初めてスタメンにスペイン人選手が1人もいないという珍事まであったとなれば、もしやスペイン代表の復権はバルサの若手の成長ぶりに懸かっている?まあ、その辺はまったく違う次元の話ではあるんですけどね。実際、ここ2週間、マドリッド勢にはあまりいいニュースがないせいもあって、今は私もちょっと、凹んでいたりするんですが…。 そう、先週末はスペイン・スーパーカップ参加チーム以外はリーガ戦を行い、うーん、土曜に先陣を切った弟分のラージョだけは、バジャドリーにイシのゴールで0-1と勝ったんですけどね。W杯のparon(パロン/リーガの停止期間)が明けて以来、サグンティーノ(RFEF2部/実質4部)と0-0で引分け、PK戦で勝ち抜けたコパ・デル・レイ2回戦も含め、5試合目にして、ようやく初勝利をゲットできたのは良かったかと。順位は9位のままながら、おかげでコレンフェレンスリーグ出場圏の7位オサスナまでたった勝ち点差1に、それどころか、同じ勝ち点で並んでいるCL出場圏4位とEL出場圏5、6位にいるアトレティコ、ビジャレアル、ベティスまでもたった2差になったって、何か、躍進していない? こうなると今週土曜、4位との勝ち点差を7に広げ、堂々3位に君臨するレアル・ソシエダにエスタディオ・バジェカスでうっかり勝ったりすれば、またファンが「El año que viene RAYO – LIVERPOOL/エル・アーニョ・ケ・ビエネ・ラージョ・リバプール(来季はラージョvsリバプール戦)」と歌い出すことも十分、ありそうですが、イラオラ監督は「Tenemos la experiencia de la primera vuelta de la temporada pasada/テネモス・ラ・エクスペリエンシア・デ・ラ・プリメーラ・ブエルダ・デ・ラ・テンポラーダ・パサーダ(昨季前半の経験がある)」とあくまで慎重。ええ、前半戦で爆走した後、なかなか勝てず、残留確定に手こずったシーズン後半の苦い思い出のせいでしょうが、まあ、プレミリーグで今季苦戦しているリバプールが来季、ヨーロッパの大会に出られるかもわかりませんからね。 その辺はブカネーロス(ラージョのウルトラグループ)の創意工夫に任せるとして、惨々だったのは日曜の方なんですよ。まずは午後2時からのエスパニョール戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かった私だったんですが、早くも前半6分にはルイス・ミジャがセンターでブライトワイトにボールを奪われ、そのすぐ脇からホセルの撃った超ロングシュートがGKダビド・ソリアの意表を突き、先制点を奪われているのですから、ビックリしたの何のって。おまけにその1分後にはヘタフェもエネス・ウナルがエリア外左から、対角線のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて同点に追いついたとなれば、驚きも2倍ですって。 ただ、その後のヘタフェはまったくいいところが見せられず、後半17分にはプアドにエリア内への侵入を許し、vaselina(バセリーナ/ループシュート)で勝ち越し点を取られてしまったのが致命傷に。うーん、後半頭から一斉交代した3人のうち、ムニルが21分にケガをしてしまい、ラタサが入って枠が早々に尽きてしまったのもツイていませんでしたけどね。そのまま1-2の敗戦となったため、またしてもファンは「Quique vete ya!/キケ・ベテ・ジャー(キケ・サンチェス・フローレス監督、もう出て行け)」の合唱で終わることに。15位と2つ順位を落としながら、降格圏との2差が変わらなかったのは不幸中の幸いでしたが、何せ彼らの次戦は日曜、カンプ・ノウでのバルサ戦ですからね。 それが済んだら、アンヘル・トーレス会長は監督を変えるだろうという予想もチラホラ出ているんですが、その日、続いて始まったアルメリア戦では前半18分、コンドグビアがセンターから出したパスをグリーズマンはスルー。それに惑わされ、スタートが遅れた敵DFに先んじて、コレアがアトレティコの先制ゴールを決めたとオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況で知り、ウキウキしてコリセウムのプレスルームを出た私には更なる試練が降りかかることに。というのも、メトロのロス・エスパルタレス駅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)にいそいそと腰を落ち着けた途端、32分、マルコス・ジョレンテの弧を描いて落ちるシュートがそのままゴールに入る直前、オフサイドの位置にいたコンドグビアが足を出して押し込むという余計な真似をするのを目撃する破目になったから。 それにはシメオネ監督も「Para que la tocas!/パラ・ケ・ラ・トカス(何だって蹴るんだ!)」とベンチから叫んでいたそうですが、もちろんこのゴールはスコアには上がりません。すると、ありがちな不幸の連鎖が始まり、37分にはロベルトネスのクロスをエル・ビラル・トゥーレがヘッドして、アルメリアが同点ゴールをゲット。後半、最近はMF化著しいグリーズマンのシュートが2度、セーブされた後、いよいよモラタが投入されたんですが、大体がして、この日はCFの位置でゴールを挙げたとはいえ、元々、コレアは「Donde me siento más cómodo es más atrás con un nueve de referencia, como segundo punta/ドンデ・メ・シエントー・マス・コモドー・エス・マス・アトラス・コン・ウン・ヌエベ・デ・レフェレンシア、コモ・セグンド・プンタ(自分がやりやすいのはCFの後ろ、第2FWみたいな)」タイプですからね。 何故、シメオネ監督が最初からモラタを出さなかったのは疑問の残るところでしたが、すぐにその理由がわかることに。だってえ、彼はジョレンテの極上のクロスを2度も受けながら、最初はヘッドを外し、次はGKフェルナンドとの1対1でゴールを決められないんですよ。更にコレアのシュートも弾かれてしまったため、シメオネ監督が、「ウチはゴール運がなかった。シュートは枠内に飛んだんだが、そこに敵のGKがいた」と嘆くのもわかりますが、「Acabará llegando mas adelante/アカバラ・ジュエガンドー・マス・アデランテ(この先の試合では入っていくだろう)」という根拠は一体、どこに? そう、撃っても撃ってもゴールが決まらないアトレティコの姿はもう今季の定番ですからね。それなのにクーニャ(ウォルバーハンプトンにレンタル)、ジョアン・フェリックス(同チェルシー)と冬の市場で2人もFWを出してしまうわ、31分にはコレアからCBのフェリペへと謎の交代はするわ、挙句の果てに途中出場のレギロンが終盤の5分間で2枚イエローカードをもらってレッドカードって、これでエルモーソ、サビッチに続いて、リーガ戦で退場者を出すのは3試合連続ですよお。結局、シュート20本で1点も取れなかったバルサ戦に続き、この日も12本でたったの1点だったアトレティコはそのまま1-1の引分けに終わりましたっけ。 もうこうなると、他試合の結果のおかげで、この節の終わりには4位に上がっていたというのが冗談のように聞こえるんですが、今の状態で水曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのコパ16強対決、レバンテ戦を迎えるのはただただ、不安になるばかり。ええ、相手は今季2部とはいえ、前ラウンドでは弟分のヘタフェに3-2で勝っていますし、先週末のリーガもグラナダに3-1で勝利して、現在3位と好調のようですしね。 実際、1部時代の対戦でもシュタット・デ・バレンシアは鬼門だったため、ヒメネスは出場停止かつ負傷中、カラスコもまだ練習に戻っていないアトレティコが一体、どうやったら勝てるのやら。月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションではシメオネ監督を始め、スタッフからシュート練習をするモラタに「A definir, a definir, a definer/ア・デフィニール(決めろ)」との声が飛んでいたそうですが、何か奇跡でも起こって、近日中にゴール力のあるFWが加入してくれたりしないんでしょうか。 そして最悪の日曜の集大成はもちろん、自宅近くのバルで見たスペイン・スーパーカップ決勝で、いやあ、確かにリーガ再開からのマドリーはあまり強い感じはしなかったんですけどね。前半12分のレバンドフスキのシュートこそ、GKクルトワが弾き、ゴールポストにも助けられたものの、33分にはボール出しのミスから失点を喫してしまうことに。ええ、クルトワからボールを受けたリュディガーがカマビンガに繋いだところを自陣エリア前で奪わると、レバンドフスキからラストパスを受けたガビがカルバハルに先んじてシュートを決めてしまったから、さあ大変! マドリー守備陣の不具合はハーフタイム入り直前にも発生し、今度はデ・ヨングがセンターから出したスルーパスの方にカルバハルの注意が逸れ、ガビがその背後を爆走。今度は自分では撃たず、ファーサイドに来ていたレバンドフスキにアシストして、バルサに2点目が入ります。後半も始まりは似た感じで、デンベレとレバンドフスキのシュートをクルトワが防いだ後、24分、ミリトンが自陣エリア近くでボールをロスト。この時はレバンドフスキ、ガビ、ペドリで黄金の三角形が完成し、いやあ、いくら根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)がトレードマークのマドリーとはいえ、さすがに3点もリードされてはどうしようもありませんって。 それでもロスタイムにはベンゼマがゴール前から2度撃ちで名誉の1点を挙げ、試合は1-3のスコアで終わったんですけどね。その日だけは満員御礼になったスタンドからはマドリーにブーイングも出ていたそうですが、実は彼らが決勝で負けるのは2018年のUEFAスーパーカップでお隣さんに屈した時以来なのだとか。逆にバルサはメッシがPSGに移籍して以来、タイトルを獲るのはこれが初めで、よってブスケツがキャプテンとしてトロフィーを持ち上げるのもこの日が初体験。チャビ監督にとってもバルサを率いての嬉しい初優勝となりました。 え、試合後、アンチェロッティ監督は「Se sabía que el equipo no estaba a tope y este partido nos ha mostrado algunas carencias/セ・サビア・ケ・エル・エキポ・ノー・エスタバ・ア・トペ・イ・エステ・パルティードー・ノス・ア・モストラードー・アルグーナス・カレンシアス(チームが最高の状態でないことはわかっていたし、この試合では足りない部分が出てしまった)」と言っていたけど、本調子ではなくても代理が務まる選手がおらず、モドリッチやクロースが出続けないといけないのは先々、心配じゃないかって?そうですね、アラバと一緒に負傷でお留守番になったチュアメニもすぐ戻ってくる訳じゃありませんし、ルーカス・バスケスが準決勝のバレンシア戦で足首を痛め、全治1カ月半に。バルサのガビを全然、止められない程、力の落ちているカルバハルをここしばらく、使い続けないといけないというのもありますしね。 とりわけ今週木曜午後9時のコパ16強対決では、これもベンゼマのPKでしか点が取れず、1週間前のリーガで2-1と負けたばかりのビジャレアルと再び対戦。万が一、ここで敗退しようものなら、Sextete(セクステテ/6冠優勝のこと)の夢が潰えたばかりのマドリーにとってはあまりに痛いショックになりますからね。実際、ラ・セラミカでの黒星のせいで、リーガでも首位バルサに勝ち点3差をつけられているんですが、とにかく早いところ、ベンゼマ以外の選手たちにもゴールを取り戻してもらうしかない?金曜のセルタ戦で1-1の引分けだったビジャレアルではフォイスとキケ・フェミニアの両右SBが負傷中とあって、それこそ、ビニシウスにはいいチャンスになるかもしれせんよ。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.17 20:00 Tue
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PK戦じゃない結末が見たい…/原ゆみこのマドリッド

「そりゃ懐かしいわよね」そんな風に私が納得していたのは金曜日、アル・ナセルの練習場でセッション中のレアル・マドリーをクリスチアーノ・ロナウドが訪問したという記事をマルカ(スポーツ紙)で見つけた時のことでした。いやあ、ロナウドは昨年のW杯期間中にマンチェスター・ユナイテッドとの契約を解消し、年末にサルジアラビアのクラブに入団。まだ公式戦デビューはしていませんが、まさか、計ったように4年半前まで在籍した古巣のチームが新天地のグラウンドで練習してくれるとは! 一緒にDecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)を達成したアンチェロッティ監督を始め、ベンゼマ、クロース、モドリッチ、ナチョ、ルーカス・バスケス、カルバハル、アセンシオら、当時の仲間と旧交を温めるにはこれ程、いい機会はありませんが、一体、何で彼らがリアドにいるかというと、マドリーはスペイン・スーパーカップに参加中。この水曜には昨季のリーガ優勝チームとして、準決勝でコパ・デル・レイ準優勝のバレンシアに勝利し、日曜の決勝を待っているから。 ちなみにこの準決勝のカードは2020年のスペイン・スーパーカップのリピートだったんですが、ほんの3年前のことなのに、あちらでは今も残っているメンバーがガヤ、ディアカビ、パウリスタの3人だけ。もちろん、当時も1-3と負けていましたし、もう3年連続、ヨーロッパの大会とも無縁という事情もあって、というか、ピーター・リン会長が選手を入れ替え過ぎたためにそうなったというか、その辺の因果関係は微妙なんですけどね。 とりあえず、その準決勝から振り返っていくことにすると、遠征前にふくらはぎの負傷でお留守番が決まったアラバ、チュアメニを欠いていたものの、アンチェロッティ監督はモドリッチもベンチで温存する余裕を見せてキックオフ。比較的、マドリーの方がよく攻めていた前半でしたが、先制点はキュメルトがエリア内にドリブルで入ったベンゼマを倒し、ペナルティをゲットするまで待たされることに。もちろん、PKはベンゼマ自身がソツなく決め、これでW杯後にリーガ再開してから、3試合連続のPKゴールでチームにリードをもたらしてくれたんですが、久々の大舞台に張り切るバレンシアも後半には意地を見せてくれます。 ええ、前半中にイエローカードをもらい、加えて脚を打撲したカマビンガがモドリッチと代わったなと思う間もあらば、後半開始早々、ラトのクロスを、いやあ、もう撃っても撃ってもゴールが入らないどこぞのチームを見る度、フロントの判断は誤りだったんじゃないかと私もホゾを噛んでいるんですけどね。昨年夏にアトレティコに入団しながら、即座にバレンシアにレンタルされたサムエル・リノがゴール前から押し込んで、GKクルトワを破ってしまったから、ビックリしたの何のって。 その後、ルーカス・バスケスの負傷、シュートを顔面ブロックしたミリトンの眩暈で、直前までリハビリ中だったカルバハル、メンディを投入せざるを得なくなったマドリーはビニシウス、バルベルデのシュートもGKママダシビリに弾かれ、後半終了までに勝ち越し点を奪うことはできず。1-1のまま、試合は延長戦に入ったんですが、その前半は再び、ママダシビリが活躍します。ビシウスやクロースのシュートを弾いて失点を回避すると、その後半にはサムエル・リノに代わって入っていた2004年、リーガとUEFAカップ(現EL)2冠優勝を遂げたバレンシア黄金時代のメンバー、ルフェテの息子さんであるフラン・ペレスにビッグチャンスが。 ええ、ガットゥーゾ監督も「中央にカバーニがパスを受けるため来ていたのにシュートしてしまった。Cualquier jugador con su edad le habría pasado/クアルキエル・フガドール・コン・ス・エダッド・レ・アブリア・パサードー(彼の年齢の選手なら、誰でもパスしただろう)」と呆れていたんですけどね。おかげでクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、両チームとも決勝点を挙げることなく、いよいよ勝負はPK戦に突入です。これがまた、W杯では日本やスペインが16強対決で恐ろしいPK音痴ぶりを披露して、敗退していった記憶がまだ自分の頭の中に残っていたため、あまりいい予感はしなかったんですが…。 そういうところは肝が据わったマドリーですから、全然大丈夫。「Tiraron primero los tres con más experiencia/ティラロン・プリメーロ・ロス・トレス・コン・マス・エクスペリエンシア(最初の3本を最も経験のある選手が蹴った)」とアンチェロッティ監督も言っていたように、百戦錬磨のPKの達人、ベンゼマ、モドリッチ、クロースが成功させたのに対し、バレンシアは最初のカバーニにこそ余裕があったものの、2番手のキュメルトは大きく枠を外してしまいます。 それでもイライクス、ギジャモンが決めて、一旦は持ち直したように見えたんですけどね。「Mente en blanco y yo dejo que surja, depende de lo que me pida el cuerpo/メンテ・エン・ブランコ・イ・ジョ・デホ・ケ・スルハ、デペンデ・デ・ロ・ケ・メ・ピダ・エル・クエルポ(頭を空っぽにして何か起きるのを待つんだ。自分の体が頼むこと次第だね)」というアセンシオがマドリーの4本目を入れた後、まさか、バレンシア5人目のキッカー、キャプテンのガヤがクルトワに弾かれてしまうとは! うーん、これでマッチMVPをもらったクルトワは、「PKのビデオを見るのさ。ガヤは前に左側に蹴って止められた後、その次は真ん中に蹴って決めた。Por eso supe que iría al medio o a la derecha y me quedé a medio camino/ポル・エソ・スペ・ケ・イリア・アル・メディオ・オ・ア・ラ・デレッチャ・イ・メ・ケデ・ア・メディオ・カミーノ(だから、真ん中から右側に蹴るってわかっていて、ボクはその間に留まったんだ)」と言っていたんですけどね。おかげで5人目のキッカーだったビニシウスまで順番が回ることなく、マドリーはPK戦2-4で決勝への切符を手に入れることに。 え、それでもリーガ11位のバレンシアにここまで苦労するとは、やっぱりリーガ再開後のマドリーはまだ本調子じゃないんじゃないかって?そうですね、W杯に参加した選手が11人と多かったのも影響しているんでしょうが、直前のリーガではビジャレアルに負けていましたし、まだまだゴール力に溢れた、昨季doblete(ドブレテ/リーガ、CLの2冠優勝)達成のスーパーチームの姿は戻っていない感はありますが、まあ、心配し過ぎるのも何ですからね。 というのも翌木曜、もう1つの準決勝の方も、いえ、丁度、リーガ前節では昨季のコパ王者ベティスがラージョに、リーガ準優勝のバルサがアトレティコに勝つところを目の前で見ていたため、気になって、また近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に私も行ってしまったんですよ。ビッチリ満員だった前夜とは違い、その日は埋まっていないテーブルもあったのは会場のキング・ファハド・インターナショナル・スタジアムも大体、同じとはいえ、一応、バルサは前半22分にペドリのゴールがオフサイドで認められなかった後、40分にはデンベレのラストパスを、リーガでは3試合の出場停止処分となり、シビタス・メトロポリターノに来なかったレバンドフスキが、1度はルイス・フェリペに当たったシュートを撃ち直して先制点に。 後半32分には、エスタディオ・バジェカスで決勝点を挙げたルイス・エルナンデスがフェキルに送り、そのシュートでベティスが同点に追いつくと、そのまま1-1で試合は延長戦に入ります。そこでも因果は巡り、ええ、せっかくその前半3分にFKをカルバーリョがクリアしたボールをアンス・ファティがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)にしてリードを奪いながら、11分にはローレンのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で2-2にされてしまってはねえ。要はこちらもPK戦となり、3人目のファンミ、4人目のカルバーリョをGKテア・シュテーゲンが弾いてくれたおかげで、レバンドフスキ、ケシエ、アンス・ファティ、ペドリが続けて成功したバルサが2-4で勝ったんですが、もしや、現在リーガ首位のバルサもそれ程、違いを見せつけていなかった? ただ、不思議なことにこちらのMVPはペドリとなり、当人も「Marc se lo merecía mucho más que yo y gracias a sus paradas estamos en la final/マルク・セ・ロ・メレシア・ムーチョ・マス・ケ・ジョ・イ・グラシアス・ア・スス・パラダス・エスタモス・エン・ラ・フィナル(自分より、テア・シュテーゲンの方がずっとこの賞にふさわしい。彼のセーブのおかげでボクらは決勝に行けたんだからね)」と言っていたんですけどね。 この分だと、サルジアラビアのファンも待ち侘びている日曜午後8時(日本時間翌午前3時)からのクラシコ(伝統の一戦)決勝はそれぞれ、「Espero que el domingo no tenga que hacer ninguna parada/エスペロ・ケ・エル・ドミンゴ・ノー・テンガ・ケ・アセール・ニングーナ・パラダ(日曜は1回もセーブをしないで済むことを期待している)」(クルトワ)、「Me gustaría tener menos trabajo en los partidos/メ・グスタリア・テネール・メノス・トラバッホ・エン・ロス・パルティードス(試合での仕事はもっと少ない方がいい)」(テア・シュテーゲン)という、あまり働きたくないGK対決になる? ちなみにスペイン・スーパーカップの優勝回数ではバルサが13回、マドリーが12回と競っているんですが、直近の対決はまだ2試合制だった2017年。この時はカンプ・ノウ、サンティアゴ・ベルナベウを満員にしたファンの前でマドリーが総合スコア5-1で圧勝していて、今いるメンバーではアセンシオが2本、ベンゼマが1本ゴールを決めています。何せ、今季前半戦のリーガクラシコでもマドリーは3-1で勝っていますからね。唯一、心配なのはルーカス・バスケスが足首の負傷で全治1カ月半、カマビンガとミリトンも回復状況次第というアンチェロッティ監督のチームに対して、チャビ監督の方はベティス戦で途中交代となったデンベレもデ・ヨングも問題なく、全員プレーが可能というところですが、せめてこの試合ぐらいは90分で決着がついてくれることを願っています。 そしてラ・リーガの計らいで17節のベティスvsバルサ戦は2月1日、マドリーvsバレンシア戦は同2日に先送りされている脇で、他のマドリッド勢はこの週末もリーガ戦があるんですが、先陣を切るのは土曜にバジャドリーのホームに乗り込む弟分のラージョ。こちらはいいニュースと悪いニュースがあって、丁度、水曜にベティスのアレックス・モレノのアストン・ビラへの移籍が1350万ユーロ(約19億円)で決まり、彼がその前にいたラージョにも130万ユーロ(約1億8000万円)が入ってくることになったため、冬の市場での軍資金が少し増えたのは朗報。残念なのはベティス戦で再デビューを果たしたRdT(ラウール・デ・トマス)がまたしてもヒザの靭帯を痛め、休場になってしまったことでしょうか。 まあ、リーガ再開後、2部のアラベスに負けたコパも含めて3連敗しているバジャドリーは現在9位、コンフェレンスリーグ出場圏の7位まで勝ち点3というイラオラ監督のチームにとっては、2023年初白星を挙げるにはいい相手かもしれませんけどね。ちょうどそちらと同じレベル、降格圏から勝ち点2しか離れていない13位の弟分仲間、ヘタフェの方が日曜のエスパニョール戦でより必勝が求められるかと。そちらには丁度、木曜に昨季後半はボルハ・マジョラルと一緒にローマからレンタル移籍して、1人だけ帰還。今季前半もサンプトドリアに貸し出されていたゴンサロ・ビジャルが今度は買取オプション付きで到着しています。 彼ならクラブにも馴染んでいるはずですし、降格圏19位に落ちている相手を倒して、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンを喜ばす助けをしてくれるはずですが、やはり一番気掛かりなのは前節をCL出場圏外5位で終えたアトレティコ。というのも火曜にロンドンで目撃されたジャアン・フェリックスのチェルシーへのレンタル移籍がとんとん拍子で決まり、うーん、半期でレンタル料1100万ユーロ(約16億円)というのは、早くもウォルバーハンプトンで3試合に出場して買取オプション条件をクリア。5000万ユーロ(約70億円)での完全移籍が決まったクーニャと共に、今年はヨーロッパの大会がまったくなく、厳しいクラブの懐には有難い話ではあるんですけどね。 チェルシー入団が決まった後、「I’m a player that wants to have the ball and play with happiness(ボクはボールを持ちたい、幸せにプレーしたい選手)」と言っていたジョアンが木曜のフラム戦で先発デビュー。あろうことか、危険なタックルを敵にかまして一発退場してしまったことは、こちらは買取オプションがなく、夏には2027年まで契約を延長したアトレティコに戻ってくるため、まあいいんですが、おかげで今、シメオネ監督のチームにはFWがモラタ、コレア、そしてほぼMF化しているグリーズマンだけしかいないんですよ。 おまけに今週はカラスコも負傷と、ただでさえ、ゴール日照りに見舞われがちな彼らにとってはいくら、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの対戦相手がヘタフェ、バジャドリーと同じ勝ち点のアルメリアとはいえ、不安しかない?といっても補強候補ナンバーワンのメンフィス・デパイはバルサがスペイン・スーパーカップ決勝を終えないと、戻って来ませんからね。 DF陣でも前節、フェラン・トーレスとプロレスもどきのガチンコ対決を繰り広げ、2試合の出場停止処分を受けたサビッチに代わってスタメンに入るエルモーソがこれまた、レッドカード常連とあって、攻守に心配の種は尽きず。せめて4位のベティスに試合のないこの週末、何とか勝ち点3を貯めて、CL出場圏に返り咲いてほしいものですが、さて。実際、首位バルサとは勝ち点14、2位のお隣さんとも11もの差がありますからね。今や、アトレティコファンが望めることはそのぐらいしかないんですよ。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.14 21:00 Sat
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珍しいぐらい負けが込んだ…/原ゆみこのマドリッド

「何か余裕あるわね」そんな風に私が穿っていたのは月曜日、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でセッションを終えてから、レアル・マドリーはスペイン・スーパーカップのためにリアドに向けて出発。水曜の準決勝の相手、金曜にカディス戦だったバレンシアも中1日多い状態で、同じ日に移動しているんですけどね。木曜のもう1つの準決勝に出るベティスも日曜にマドリッドでラージョ戦を済ませた後、一旦、セビージャに戻り、そちらから、サウジアラビアへと飛んでいるんですが、残りの1チーム、バルサだけは月曜も地元で練習。彼らだけ、火曜に移動すると知った時のことでした。 いやあ、先週末は1部のマドリッド勢が全敗したため、宿敵マドリーに勝ち点3差をつけて、単独首位に立ったバルサが、「Damos un golpe encima de la mesa para ser candidatos a LaLiga/ダモス・ウン・ゴルペ・エンシーマ・デ・ラ・メサ・パラ・セル・カンディダートス・ア・ラリーガ(ウチはリーガ優勝候補としてインパクトを与えた)」(チャビ監督)と楽観的になっているのもわからなくはないんですけどね。おまけに、これは結果論ではありますが、先週になって、3試合の出場停止処分が確定したレバンドフスキは日曜のアトレティコ戦に出ておらず。休養十分でスペイン・スーパーカップに挑めますし、ついでに言うと、来週のコパ・デル・レイ16強対決セウタ(RFEF1部/実質3部)戦はともかく、1部チームとの対戦がほぼ確実な準々決勝、準決勝1stレグでもゴールは保証されているってことにならない? まあ、そんな先のことまで勘ぐっても仕方ないので、今は先週末の惨々だった試合を振り返っていくことにしますが、そうそう、金曜に1チームだけ、マドリッド勢の面目を保ってくれた弟分がいて、それは2部のレガネス。年が明けて、一気に気温が下がったブタルケでのルーゴ戦には一番厚いヒートテックを着込んで挑んだ私だったんですが、0-0のままだった前半はやっぱり辛かったですねえ。それでもホッカイロで暖を取りながら見ていた後半11分、アルナイスのシュートがゴールポストに弾かれた後、シセがヘッドで先制ゴールを叩き込んで、ファンの体温を上げてくれます。 W杯に行っている間、中盤のスタメンをウンダバレラに奪われてしまった柴崎岳選手も21分にはピッチに入ったんですが、追加点は生まれず、そのまま1-0でレガネスは勝利。順位表をチェックしてみれば、いつの間にか、1部昇格プレーオフ圏の6位に上がっていたため、ビックリすることに。ええ、ちょっと地味ではありますが、彼らの無敗は11試合も続いていますからね。シーズン序盤、2部3年目となる今のチームで昇格を目標とするのに懐疑的だったイディアケス監督もこの調子が続けば、少しは前向きになってくれるかも。 残念ながら、月曜には後に試合をしたチームに抜かれ、7位に落ちていたレガネスですが、2部のリーガ戦はあと20試合もありますからね。ゆっくりでも順位を上げていってくれればいいんですが、そんな好スタートを切った週末が翌土曜から一転するとは!そのトップバッターはマドリーで、ラ・セラミカでのビジャレアル戦だったんですが、異変はスタメン発表の時からで、何とアンチェロッティ監督はスペイン人選手を1人もイレブンに入れず。とりわけ近年はベッカム、ロナウドらのギャラクティコ時代にしろ、BBC(ベンゼマ、ベイル、クリスチアーノ・ロナウド)時代にしろ、外国人スターが跋扈するチームではありますが、実はこれ、4435試合を数えるクラブ公式戦史上初めてのことなんだとか。 といっても私が見ている分にはそれ程、違和感はなかったんですが、試合の方は前半、コケリンのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)がゴールポストに当たったり、ルリのアヤックス移籍が決まった後、40才にして正GKとなったレイナがビニシウスのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)したりと絶好機は幾つかあったものの、0-0のままで終了。それがまさか、後半開始早々、メンディのパスミスをキッカケにジュラール・モレノがエリア前からジェレミー・ピノにラストパスを送り、うーん、そのシュートにGKクルトワは触ったようなんですけどね。 「No sé si la desvío suficiente para ir al palo pero Mendy pasa por detrás y la mete dentro/ノー・セ・シー・ラ・デスビオ・スフィシエンテ・パラ・イル・アル・パロ・ペロ・メンディ・パサ・ポル・デトラス・イ・ラ・メテ・デントロ(ポストに行くのに十分、逸らせたかはわからないけど、メンディが後ろに来て、ボールを中に入れちゃった)」(クルトワ)とはまさに踏んだり蹴ったり?ただ、15分にはマドリーにも運が巡ってきて、いえ、最初はベンゼマがガラ空きのゴールにシュートしたボールをビジャレアルがDF3人で死守した際、誰かの腕に当たったのかと思ったんですけどね。VAR(ビデオ審判)に呼ばれてモニターを見に行った主審は、その前のプレーでビニシウスを止めようとしたフォイスの手に上からボールが落ちてきたのをハンドと判定。 ベンゼマがPKを決めて、同点に追いついたマドリーだったんですが、それから3分もしないうちに今度はフォイスのパスが丁度、エリア内で転んたアラバが立ち上がろうとした時に手に当たってしまったから、さあ大変!例外となる「体を支えるために地面についた手、もしくは支えにいく途中の手」に該当しなかったせいで、これもペナルティにされてしまうって、いくらアンチェロッティ監督は「サッカーのハンドの意味は変わってしまった。Si se toca con la mano y no está cerca del cuerpo es penalti/シー・セ・トカ・コン・ラ・マノ・イ・ノー・エスタ・セルカ・デル・クエルポ・エス・ペナルティ(ボールに触れた手が体の近くにないとペナルティになる)」と達観していたって、釈然としないファンは多いのでは? それもジェラール・モレノがPKを勝ち越し点に代えた後、メンディとチュアメニをロドリゴとルーカス・バスケスに、更にはカマビンガ、アセンシオも投入したマドリーがお家芸のremontada(レモンターダ/逆転劇)に成功していたら、そこまで問題にはならなかったんですけどね。この日はビニシウスもシュート精度がなく、それどころか、ロスタイムのCKで全員攻撃した折りなど、クリアされて、絶体絶命のカウンターを喰らう始末。幸い、全速力で戻るクルトワの先を越して、誰もいないゴールに向かって行ったダンジュマのロングシュートが外れてくれたから、良かったものの、2-1でも負けは負け、ラージョ戦以外、無敗だったマドリーですが、とうとう今季2敗目を喫してしまいましたっけ。 え、ここ5年、ラ・セラミカではビジャレアルに勝てていなかった彼らとなれば、それ程、驚く結果ではないんじゃないかって?それはそうなんですが、丁度、その日のお昼にはコパ16強対決の組み合わせが決まって、マドリーは来週もラ・セラミカを再訪するんですよ。何せ、今季序盤にエメリ監督がアストン・ビラに河岸を変え、セティエン監督が赴任した当初は勝つのに苦労していた相手ですが、「El parón del mundial nos ha venido bien para trabajar las idas del nuevo entrenador/エル・パロン・デル・ムンディアル・ノス・ア・ベニードー・ビエン・パラ・トラバハル・ラス・イデアス・デル・ヌエボ・エントレナドール(W杯のリーガ停止期間は新監督のサッカースタイルを学ぶのに良かった)」(アルビオル)おかげで今や、6位まで上がってきましたからね。 その上、月曜にはチュアメニとアラバがどちらもふくらはぎを痛め、全治約3週間というショックなニュースも。水曜午後8時(日本時間翌午前4時)からのスペイン・スーパーカップ準決勝は元より、ここリーガ8試合で1勝しかしておらず、ニコ・ゴンサレスとサム・カスティジェホも負傷でいないバレンシアに勝った暁には日曜のベティスvsバルサ戦の勝者と優勝を争う決勝、それ以降もしばらく2人共、使えないとないのは辛いかと。一応、カルバハルとマリアーノは回復して、飛行機に乗っているんですけどね。リーガの首位奪還を含め、マドリーが今季の目標、Sextete(セクステテ/リーガ、CL、コパ、UEFAスーパーカップ、スペイン・スーパーカップ、クラブW杯の6冠優勝のこと)の達成できるかどうかの分水嶺がいよいよ、この1月に到来したようです。 そして翌日曜は更に真っ暗で、いやホント、雨模様だったせいで、午後4時15分からのエスタディオ・バジェカスも夜のようで、ベティス戦の間中、強風にさらされて、寒いなんてもんじゃなかったんですが、ラージョも開始7分にGKディミトリエフスキがパンチングしたボールがバリウの背中に当たり、オウンゴールで先制されてしまうという、間抜けなスタートを切ることに。それでも19分にはルジューヌのシュートをGKルイ・シウバが弾いたところ、レンタル修行中のアトレティコのカンテラーノ(ユース出身の選手)、カメージョが抜け目なく押し込んで追いついたんですが、40分にはエリア外からルイス・エルナンデスが決めて、ベティスが再びリード。 攻めまくった後半18分にはエリア内右奥、角度のないところから、イシのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が生まれ、スタンドも歓喜に沸いたんですが、VARでその前のプレーをチェックされ、オフサイドだったことがバレてしまってはねえ。その後は4年ぶりにラージョに復帰、エスパニョールからの移籍が夏の市場クローズ後だったため、これまでデビューできなかったRdT(ラウール・デ・トマス)を始め、エヌテカ、ファルカオ、アンドレ・マルティンと投入し、「終盤にファルカオやラウールが入れば、敵の脚も震えるかもしれない」(カメージョ)というのがイラオラ監督の考えだったかは定かではありませんが、総勢5人ものFWで攻めながら、最後まで1-2のスコアは変わらず。2023年のラージョ初勝利は土曜のバジャドリー戦までお預けとなりました。 その後、私がメトロでシビタス・メトロポリターノに移動する間、サンチェス・ピスファンでセビージャ戦をプレーしたヘタフェも前半36分にはラキティッチのFKをアクニャに、後半35分にもオリベル・トーレスのクロスをラファ・ミルにどちらもヘッドで決められ、いやあ、残り3分にはボルハ・マジョラルがこちらも頭で1点を返し、惜しいところまで行ったんですけどね。他にもあったチャンスに決めきれなかったのが仇となり、マドリー、ラージョに続いて、こちらも2-1で敗戦。8位の弟分仲間とは違い、キケ・サンチェス・フローレス監督のチームは13位とはいえ、この勝利でようやく降格圏を脱出したセビージャと同じ勝ち点で18位にいるカディスと2ポイント差しかありませんからね。 日曜のエスパニョール戦では、何としてでもコリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンを勝利で安心させてあげないといけませんが、こうなるとスポルティングの後塵を拝したラージョ同様、32強対決で2部のレバンテに負け、コパの重荷がもうないのはむしろ吉?といっても本来なら、リベンジを頼みたい兄貴分自体、マドリーにとってのビジャレアルと同じで、シュタット・デ・バレンシアでのレバンテ戦が鬼門ですからね。来週水曜にセッティングされたコパ16強対決でもアトレティコが詰んでしまいそうで怖いんですが、バルサ戦でも彼らはやらかしてくれたんですよ。 そう、「No fue el planteamiento, es algo mental, entramos con miedo o freno/ノー・フエ・エル・プランテミエントー、エス・アルゴ・メンタル、エントラモス・コン・ミエードー・オ・フレノ(戦術のせいじゃなくて、メンタル的な何か。ボクらは恐れを抱いてか、ブレーキをかけながら、スタートしてしまった)。ゴールを入れられた後、目が覚めたんだけど、これはよくあることで、自分には原因がわからない」と後でオブラクも告白していたんですけどね。ほぼ満員となったスタンドに全力で応援されながら、眠ったままピッチに入れるのはホント、アトレティコぐらいしかいませんって。案の条、前半22分にはペドリにドリブルで5人抜きされ、エリア内でオールを受けたガビがクルリと回ってラストパス。 もちろん、しっかりシュートを決めたデンベレも見事ですが、もう背中に目がついているようにパスが出せる18才のガビを見るだけで、周りに誰もおらず、しっかり味方の位置を確認する時間もありながら、パスを届けられない19才、売り出し中のカンテラーノ、バリオスとの差をヒシヒシと感じてしまったのはきっと私だけじゃない?リードされてからは必死になって反撃したアトレティコでしたが、今度は「Se tiene se puede entrenar, pero o la tienes o no la tienes/シー・ティエネ・セ・プエデ・エントレナール、ペロ・オ・ラ・ティエネス・オ・ノー・ラ・ティエネス(持っていれば練習もできるが、持っているか、持っていないかだから)」(シメオネ監督)という決定力の壁が立ち塞がったから、たまったもんじゃありませんって。 うーん、今季はW杯準優勝したフランスでも司令塔として開花したのはいいんですが、めっきりゴール数が減少。家族でピンクと水色のどちらにするか、投票で決めたところ、奥さんのエリカさん、娘のミアちゃん、アルバちゃんに対して、味方が長男のアマロ君しかおらず、結果、髪をピンクに染めたというグリーズマンなど、1人で7本もシュートを撃ったんですけどね。ジョアン・フェリックス、後半途中に入ったモラタも不発では一体、どうしたらいいものやら。だからといって、ロスタイムにフラスレーションの溜まったサビッチがフェラン・トーレスとlucha libre(ルーチャ・リブレ/プロレス)もどきのつかみ合いをして、両者レッドカードで退場してもいい訳ではありませんけどね。最後にゴール前からのグリーズマンのシュートもアラウホにクリアされ、アトレティコも0-1で負けて、マドリッド勢のブラックサンデーを締め括ってくれましたっけ。 おかげで首位との差が勝ち点14に広がったのはともかく、CL出場圏の4位をベティスに明け渡し、5位に落ちてしまったことの方が痛いんですが、まあ、これは日曜のアルメリア戦で挽回するしかないかと。一点だけ不思議なのは、最高のパフォーマンスを示して、移籍の高額オファーをゲットしたかったジョアンはその試みに失敗したはずなのに、月曜にはチェルシーへのレンタル移籍が秒読みに入ったという報が入ったことで、まあ、先日はクーニャもレンタルでウォルバーハンプトンに行ってしまいましたしね。レバンテ戦の結果次第では、コパでまだゴールが必要になるかもしれないため、せめてそこまでは待った方がいいかとは思いますが、もしかしたらこの件、水曜にシメオネ監督のチームがマハダオンダ(マドリッド郊外)での練習に戻る前に片がついているかもしれませんね。 <hr> 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.10 21:30 Tue
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