怒涛の4試合観戦が終わった…/原ゆみこのマドリッド
2022.09.13 18:00 Tue
「週末がこの気温だったら良かったのに」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、前代未聞の連日梯子観戦をした後、まだ疲れが抜けていないのに気がついた時のことでした。いやあ、9月になって一旦は涼しくなったマドリッドだったものの、何故か先週末はいきなり夏日がカムバック。しかも両日、最初の試合は午後2時という、お日様が一番高い時間に設定されていたのもラ・リーガの配慮が欠けていたと思うんですけどね。
とはいえ、結果から言うと、1部のマドリッド勢4チーム全ての勝利を目撃という、これも滅多にない大当たりだったんですが、惜しむらくは2部の弟分、柴崎岳選手が先発したレガネスだけが金曜試合でラス・パルマスに0-1で負け、また降格圏の19位に落ちてしまったことでしょうか。まあ、こちらは来週からの各国代表戦週間中も試合がありますからね。残念ながら、橋本拳人選手のプレーするウエスカのホームを訪れる9月24日の試合では、両人とも代表に招集されて、日本人ダービーを見ることはできないかもしれませんが、今季2部で唯一のマドリッド勢となったレガネスには少しずつでもいいので、調子を上げていってもらいたいところです。
え、それで兄貴分たちはgleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利、弟分たちは僅差で逃げ切るという、はっきり結果の別れた1部勢の試合はどんな様子だったのかって?いやあ、土曜のエスタディオ・バジェカスはまだ、午前中のさわやかな風が吹いていたため、日影になる正面スタンド2階席は程々に快適だったんですが、キックオフ直後のエネルギー100%の状態をラージョは最大限に利用。ええ、4分にはトレホのFKをイシが流し込み、早くもバレンシアから先制点を奪ったんですが、その10分後のトレホとアルバロ・ガルシアのダブルチャンスはどちらもGKママダシビリにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されて追加点は入りません。
ちなみにこのジョージア人GKは先日のアトレティコ戦でも手がつけられない状態で、グリーズマンのシュートがカルロス・ソレル(現PSG)に当たり、軌道が変わってくれなければ、兄貴分も0-0で終わりかねなかったんですが、実はこの日も味方が敵の中にいたんです!ええ、1-0のままだった後半6分、今度はイシがCKを蹴ったところ、トレホの頭を経たボールを今季、バルサからレンタル修行に来ている20才のニコが自軍ゴールに向けてクリアしてしまったから、ビックリしたの何のって。
これで2点差になったため、23分にカメージョに代わって入ったファルカオも気が楽だったかもしれませんが、すでに12試合ぶりのホーム白星を祝う気満々だったスタンドのファンがドキドキモードに入ったのはロスタイム3分のこと。FKからディアカビのヘッドが決まり、バレンシアに1点差に迫られたからですが、「El problema es que no lo hemos cerrado/エル・プロブレマ・エス・ケ・ノー・ロ・エモス・セラードー(ウチが試合に決着をつけられなかったのが問題だ)。おかげで審判をせかして終わることになった」とやっとこ2-1で勝利した後、イラオラ監督も言っていたように、どこかチームには決定力が欠けて見えるせいですかね。
よって、半シーズンをムダにするのはあまりいい印象がなかったりするんですが、とりあえず、これで弟分仲間のヘタフェを前節、5-1とボコボコにしたバレンシアへのリベンジをラージョは達成。次は土曜、気分も新たにサン・マメスでのアスレティック戦に挑むことになりますが、久々に勝ったにしては、この日は試合の後のフォンド・スール(GK裏南側スタンド)のブカネーロス(ラージョの過激なファングループ)のカンティコは短め。やはり暑さのせいもあったのか、選手たちもファンも早く涼しいところに行って、休みたかったんですかね。
そして土曜は夜9時のアトレティコvsセルタ戦までちょっと時間があったため、一旦、家に戻ってから、また出動した私でしたが、一番、気が重かったはキックオフ前だったでしょうか。というのも前節レアル・ソシエダ戦で太ももを打撲しながら、水曜のCLポルト戦に頑張って間に合わせたGKオブラクがベンチにすら入っていなかったからで、開始3分、控えのゲルビッチがウーゴ・マジョの至近距離ヘッドを弾いてくれなかったら、シビタス・メトロポリターノに駆けつけたファンたちの不安もどこまで増大していたか。
でも大丈夫、9分にはこの日、CL中日ということで、シメオネ監督がローテーションでスタメン起用した選手たちが発奮。ええ、レイニウドのロングサイドチェンジをナウエルが受け、デ・パウルに繋ぐとそのラストパスをコレアが決めて、早くも先制点をゲットしているんですから、アルゼンチン代表トリオの連携力を侮ってはいけない?まあ常に成功する訳でないのが玉に瑕ですが、1点リードで折り返したアトレティコはレマルとコケに交代して後半をスタート。それが良かったか、2度もセルタにチャンスを与えるパスミスをしたエルモーソから、キャプテンマークを受け継いだ彼が5分にはカラスコのパスをいい場所に送り、デ・パウルがエリア前からシュートを決めて、あっさり2点目が入ったとなれば、ポルト戦の90分間、あれだけ退屈させられたスタンドのファンたちがどんなに喜んだことか。
チームもリードが広がったおかげで肩の力が抜けたか、「見えるような形で選手たちを助けてあげないといけない。Este equipo tiene un montón de jugadores que juegan muy bien/エステ・エキポ・ティエネ・ウン・モントン・デ・フガドーレス・ケ・フエガン・ムイ・ビエン(このチームにはとてもいいプレーをする選手が沢山いる)」というシメオネ監督の言葉を裏付けするように、18分には時短勤務のグリーズマン、その日はベンチスタートだったジョアン・フェリックスも加わって、アトレティコは流れるようなサッカーを披露。21分など、コケが自陣から出したスルーパスを追って、ドリブルで敵エリアに入ったカラスコが見事に3点目を挙げ、大喝采を浴びていたんですが、それで油断してはダメですよね。
そう、26分にはアスパスのアシストでベイガに1点を返されてしまったんですが、最後はケガから戻って来たクーニャが猛アピール。こちらもドリブルで敵ゴールまで迫り、そのシュートがウナイ・ニュネスに当たって、オウンゴールで4点目が入ったんですが、まったく。もちろん相手のレベルもありますが、こんなにゴール力があるなら、後半ロスタイム、最後のプレーでようやく勝利を掴んだポルト戦など、最初からもっとガンガン行っていれば、あんなに苦しむことはなかったのにと思うのは私だけ(最終結果4-1)?
そんなアトレティコは月曜にはケルンに移動し、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCL2節、レバークーゼン戦の前日練習をバイ・アレーナで行ったんですが、帯同はしたものの、オブラクはチーム練習には加わっていないよう。シメオネ監督によると、試合当日の状態を見て、出場するかどうか決めるそうですが、それ以外にも負傷で出られない選手がサビッチ、ヒメネス、レマル、レギロンといますからね。ちなみに相手はこのシーズン序盤、1勝1分4敗で17位と調子が上がっておらず、CL1節でもクラブ・ブルージュに1-0で敗戦。今季は11月のW杯前に終わる短期決戦のグループリーグだけに、人の不幸に付け込むのは何ですが、アトレティコも早めに勝ち点を貯められるといいのですが。
そして翌日曜も午後2時、強烈な日差しの中、サンティアゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、世の中には気の毒なチームもあって、ビジターのマジョルカは前節に引分けたジローナ戦、今週末のアルメリア戦と3試合連続、同じ時刻にキックオフなのだとか。おまけにオリンピック・リヨンからレンタルしたてのFWカデウェレがデビュー前に全治2カ月のケガをするという災難にも見舞われていたんですが、恐らくアギーレ監督も勝負は体力の持つ前半とわかっていたんでしょうね。ずっと自陣エリア付近に固まって、レアル・マドリーの攻撃を必死で防いでいた彼らが初めて敵陣でチャンスを作った38分、何とイ・ガンインのFKをムリキがヘッドで押し込んで、先制点を挙げてしまったから、さあ大変!
とはいえ、そこはさすが天下のマドリーです。ベンゼマの負傷でこの日、falso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)として入ったのはアザールでしたが、前半ロスタイムに自慢の脚力を生かして、バルベルデが同点ゴールを決めてくれます。ええ、自陣からドリブルを始めて、マジョルカのエリア前からの一撃が見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)となったんですが、後半14分にはアザール、メンディに代わり、モドリッチ、ナチョを入れたマドリーは一切、躊躇することはなし。炎天下での試合続きで前半のように守れなくなった相手を前に、27分にはロドリゴのパスからビニシウスが勝ち越し点、44分にはブラジル代表仲間のロドリゴも続くと、48分にはFKからリュディガーもマドリー初ゴールを挙げて、最後は4-1で今季開幕から7連勝を達成って…ちょっと強すぎますよね。
え、ベンゼマの代理として、アザールはあまり頼りにならかったものの、途中からその役目を引き継いだロドリゴがノリノリだし、水曜午後9時にCL2節を控えるマドリーには何の心配もないんじゃないかって?そうですね、このマジョルカ戦にネガティブなことがあったとすればただ1つ、ルーカス・バスケスの負傷交代と、それが3回目の交代だったため、プレーせずに終わってしまったアセンシオが怒っていたことですが、まあ、こればっかりはねえ。
今季のアンチェロッティ監督はローテーションをよくしますし、次は「No se puede jugar a esta hora, es un crimen/ノー・セ・プエデ・フガール・ア・エスタ・オラ、エス・ウン・クリメン(この時間に試合はできない。犯罪のようなものだ)」(アギーレ監督)という環境でプレーした後、中2日の試合。となれば、テデスコ監督からマルコ・ローズ監督に代わって、週末のドルトムント戦勝利で息を吹き返したライプツイヒを迎える際には、アセンシオにも出番が回ってくる?何より昨季は奇跡の連続だったCLがまたサンティアゴ・ベルナベウで見られるのはきっと、ファンも楽しみにしているんじゃないでしょうか。
そして記者会見を聞いてから、徒歩10分程のヌエボス・ミニステリオス駅に向かい、セルカニアス(国鉄近郊路線)で25分。ラス・マルガリータ駅下車徒歩15分のコリセウム・アルフォンソ・ペレスには、余裕でキックオフ午後6時30分前に着いた私でしたが、この時間でもまだ全然、気温が下がらないんですよ。おまけに正面スタンド以外、西日が煌々と射していたせいで、レアル・ソシエダ戦が始まってすぐには熱中症になった観客を手当てするため、試合が一時中断する始末。まあ、前日、ヌエボ・ミランディージャでバルサがカディスに0-4と大勝した試合で高齢のファンが心筋梗塞を起こした時程の大ごとにはなりませんでしたが、もしかしてリズムのない前半は選手たちもあまりの暑さに頭も体も動かなかった?
おまけに10分にはシュートを弾かれた後、敵DFに倒されたマジョラルがVAR(ビデオ審判)でPKをゲットしたヘタフェだったんですが、キッカーを買って出た当人がGKラミロに弾かれてしまってはねえ。相手はミッドウィークのEL1節でマンチェスター・ユナイテッドを0-1で下してきたばかりでしたし、38分には移籍市場最終日にアルメリアから移籍し、先日のレアル・アレナでの試合でアトレティコが勝ち点2を失う原因となったゴールを挙げていたサディクが右ヒザを負傷。後日、靭帯を断裂する大ケガだったことがわかったんですが、交代で入ったアリ・チョも怖い選手ですからね。
このままではコリセウムのファンの前で今季初勝利を挙げるのは難しいかもと誰もが思っていた前半ロスタイム、まさかエネス・ウナルの直接FKで先制点が入るとは!後半からはイマノル監督も本腰を入れてきて、久保建英選手、トリエンテに代え、ダビド・シルバとブライス・メンデス、バリバリのレギュラーを投入。ところが、またしても先手を取ったのはヘタフェでした。ええ、3分にはウナルが右サイドから入れたラストパスをアレニャが撃ち込み、2点目をゲットとなれば、場内の温度が更に2、3℃上がったような気がしたのはきっと、私だけではないかと。
まあ、その2分後にはアリ・チョのクロスから、ブライス・メンデスにヘッドを決められて、1点差に迫られたため、すぐに緊迫感が戻ったんですが、それが却って良かったのかもしれません。残り時間もしっかり守ったヘタフェは永遠に続くように見えた7分の長いロスタイムも耐え切り、いえ、最後のプレーが敵のCKだった時はポルト戦のグリーズマンの決勝ゴールを思い出して、ちょっと怖かったんですけどね。幸い無事にクリアして、2-1で勝利することができましたっけ。
これで勝ち点4と、8試合で1ポイントしか獲れなかった昨季と比べるとずっとマシに見える彼らなんですが、順位は1つ上がったものの、残念ながら、まだ18位で降格圏は脱出しておらず。ただ、同じ勝ち点のチームはアルメリア、エスパニョール、セビージャ、バジャドリーと4チームもあるため、日曜のオサスナ戦で勝てば、大きくジャンプアップできるかと思いますが、相手は月曜試合でアルメリアを0-1で下し、とうとうCL出場圏の4位まで上がる程、好調ですからね。そうそう簡単にはいかないでしょうが、何はともあれ、マドリッド勢ホームゲーム4試合の最後を白星で飾り、他の3チームに遅れを取らなかったのは十分、賞賛に値するんじゃないでしょうか、
とはいえ、結果から言うと、1部のマドリッド勢4チーム全ての勝利を目撃という、これも滅多にない大当たりだったんですが、惜しむらくは2部の弟分、柴崎岳選手が先発したレガネスだけが金曜試合でラス・パルマスに0-1で負け、また降格圏の19位に落ちてしまったことでしょうか。まあ、こちらは来週からの各国代表戦週間中も試合がありますからね。残念ながら、橋本拳人選手のプレーするウエスカのホームを訪れる9月24日の試合では、両人とも代表に招集されて、日本人ダービーを見ることはできないかもしれませんが、今季2部で唯一のマドリッド勢となったレガネスには少しずつでもいいので、調子を上げていってもらいたいところです。
え、それで兄貴分たちはgleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利、弟分たちは僅差で逃げ切るという、はっきり結果の別れた1部勢の試合はどんな様子だったのかって?いやあ、土曜のエスタディオ・バジェカスはまだ、午前中のさわやかな風が吹いていたため、日影になる正面スタンド2階席は程々に快適だったんですが、キックオフ直後のエネルギー100%の状態をラージョは最大限に利用。ええ、4分にはトレホのFKをイシが流し込み、早くもバレンシアから先制点を奪ったんですが、その10分後のトレホとアルバロ・ガルシアのダブルチャンスはどちらもGKママダシビリにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されて追加点は入りません。
これで2点差になったため、23分にカメージョに代わって入ったファルカオも気が楽だったかもしれませんが、すでに12試合ぶりのホーム白星を祝う気満々だったスタンドのファンがドキドキモードに入ったのはロスタイム3分のこと。FKからディアカビのヘッドが決まり、バレンシアに1点差に迫られたからですが、「El problema es que no lo hemos cerrado/エル・プロブレマ・エス・ケ・ノー・ロ・エモス・セラードー(ウチが試合に決着をつけられなかったのが問題だ)。おかげで審判をせかして終わることになった」とやっとこ2-1で勝利した後、イラオラ監督も言っていたように、どこかチームには決定力が欠けて見えるせいですかね。
前日にはRdT(ラウール・デ・トマス)のエスパニョールからの移籍をまとめに代理人事務所に出向いたプレサ会長が障害沙汰に巻き込まれたり、いえ、その昨季サラ(スペイン人の得点王)をイアゴ・アスパスと共に受賞したFWは1200万ユーロ(約18億円)の移籍金で2017-19年の2シーズン、在籍した古巣に復帰することが決まったようなんですけどね。とはいえ、夏の市場はもうクローズしているため、1月まで、試合には出られないって、ああ、そうそう。最初はラージョ入りが噂されていて、結局、ウォルバーハンプトンに行ってしまったジエゴ・コスタも2017年にチェルシーからアトレティコに戻ったシーズン、クラブがUEFA処分で夏に新規選手登録ができず、そんな感じでしたっけ。
よって、半シーズンをムダにするのはあまりいい印象がなかったりするんですが、とりあえず、これで弟分仲間のヘタフェを前節、5-1とボコボコにしたバレンシアへのリベンジをラージョは達成。次は土曜、気分も新たにサン・マメスでのアスレティック戦に挑むことになりますが、久々に勝ったにしては、この日は試合の後のフォンド・スール(GK裏南側スタンド)のブカネーロス(ラージョの過激なファングループ)のカンティコは短め。やはり暑さのせいもあったのか、選手たちもファンも早く涼しいところに行って、休みたかったんですかね。
そして土曜は夜9時のアトレティコvsセルタ戦までちょっと時間があったため、一旦、家に戻ってから、また出動した私でしたが、一番、気が重かったはキックオフ前だったでしょうか。というのも前節レアル・ソシエダ戦で太ももを打撲しながら、水曜のCLポルト戦に頑張って間に合わせたGKオブラクがベンチにすら入っていなかったからで、開始3分、控えのゲルビッチがウーゴ・マジョの至近距離ヘッドを弾いてくれなかったら、シビタス・メトロポリターノに駆けつけたファンたちの不安もどこまで増大していたか。
でも大丈夫、9分にはこの日、CL中日ということで、シメオネ監督がローテーションでスタメン起用した選手たちが発奮。ええ、レイニウドのロングサイドチェンジをナウエルが受け、デ・パウルに繋ぐとそのラストパスをコレアが決めて、早くも先制点をゲットしているんですから、アルゼンチン代表トリオの連携力を侮ってはいけない?まあ常に成功する訳でないのが玉に瑕ですが、1点リードで折り返したアトレティコはレマルとコケに交代して後半をスタート。それが良かったか、2度もセルタにチャンスを与えるパスミスをしたエルモーソから、キャプテンマークを受け継いだ彼が5分にはカラスコのパスをいい場所に送り、デ・パウルがエリア前からシュートを決めて、あっさり2点目が入ったとなれば、ポルト戦の90分間、あれだけ退屈させられたスタンドのファンたちがどんなに喜んだことか。
チームもリードが広がったおかげで肩の力が抜けたか、「見えるような形で選手たちを助けてあげないといけない。Este equipo tiene un montón de jugadores que juegan muy bien/エステ・エキポ・ティエネ・ウン・モントン・デ・フガドーレス・ケ・フエガン・ムイ・ビエン(このチームにはとてもいいプレーをする選手が沢山いる)」というシメオネ監督の言葉を裏付けするように、18分には時短勤務のグリーズマン、その日はベンチスタートだったジョアン・フェリックスも加わって、アトレティコは流れるようなサッカーを披露。21分など、コケが自陣から出したスルーパスを追って、ドリブルで敵エリアに入ったカラスコが見事に3点目を挙げ、大喝采を浴びていたんですが、それで油断してはダメですよね。
そう、26分にはアスパスのアシストでベイガに1点を返されてしまったんですが、最後はケガから戻って来たクーニャが猛アピール。こちらもドリブルで敵ゴールまで迫り、そのシュートがウナイ・ニュネスに当たって、オウンゴールで4点目が入ったんですが、まったく。もちろん相手のレベルもありますが、こんなにゴール力があるなら、後半ロスタイム、最後のプレーでようやく勝利を掴んだポルト戦など、最初からもっとガンガン行っていれば、あんなに苦しむことはなかったのにと思うのは私だけ(最終結果4-1)?
そんなアトレティコは月曜にはケルンに移動し、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCL2節、レバークーゼン戦の前日練習をバイ・アレーナで行ったんですが、帯同はしたものの、オブラクはチーム練習には加わっていないよう。シメオネ監督によると、試合当日の状態を見て、出場するかどうか決めるそうですが、それ以外にも負傷で出られない選手がサビッチ、ヒメネス、レマル、レギロンといますからね。ちなみに相手はこのシーズン序盤、1勝1分4敗で17位と調子が上がっておらず、CL1節でもクラブ・ブルージュに1-0で敗戦。今季は11月のW杯前に終わる短期決戦のグループリーグだけに、人の不幸に付け込むのは何ですが、アトレティコも早めに勝ち点を貯められるといいのですが。
そして翌日曜も午後2時、強烈な日差しの中、サンティアゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、世の中には気の毒なチームもあって、ビジターのマジョルカは前節に引分けたジローナ戦、今週末のアルメリア戦と3試合連続、同じ時刻にキックオフなのだとか。おまけにオリンピック・リヨンからレンタルしたてのFWカデウェレがデビュー前に全治2カ月のケガをするという災難にも見舞われていたんですが、恐らくアギーレ監督も勝負は体力の持つ前半とわかっていたんでしょうね。ずっと自陣エリア付近に固まって、レアル・マドリーの攻撃を必死で防いでいた彼らが初めて敵陣でチャンスを作った38分、何とイ・ガンインのFKをムリキがヘッドで押し込んで、先制点を挙げてしまったから、さあ大変!
とはいえ、そこはさすが天下のマドリーです。ベンゼマの負傷でこの日、falso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)として入ったのはアザールでしたが、前半ロスタイムに自慢の脚力を生かして、バルベルデが同点ゴールを決めてくれます。ええ、自陣からドリブルを始めて、マジョルカのエリア前からの一撃が見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)となったんですが、後半14分にはアザール、メンディに代わり、モドリッチ、ナチョを入れたマドリーは一切、躊躇することはなし。炎天下での試合続きで前半のように守れなくなった相手を前に、27分にはロドリゴのパスからビニシウスが勝ち越し点、44分にはブラジル代表仲間のロドリゴも続くと、48分にはFKからリュディガーもマドリー初ゴールを挙げて、最後は4-1で今季開幕から7連勝を達成って…ちょっと強すぎますよね。
え、ベンゼマの代理として、アザールはあまり頼りにならかったものの、途中からその役目を引き継いだロドリゴがノリノリだし、水曜午後9時にCL2節を控えるマドリーには何の心配もないんじゃないかって?そうですね、このマジョルカ戦にネガティブなことがあったとすればただ1つ、ルーカス・バスケスの負傷交代と、それが3回目の交代だったため、プレーせずに終わってしまったアセンシオが怒っていたことですが、まあ、こればっかりはねえ。
今季のアンチェロッティ監督はローテーションをよくしますし、次は「No se puede jugar a esta hora, es un crimen/ノー・セ・プエデ・フガール・ア・エスタ・オラ、エス・ウン・クリメン(この時間に試合はできない。犯罪のようなものだ)」(アギーレ監督)という環境でプレーした後、中2日の試合。となれば、テデスコ監督からマルコ・ローズ監督に代わって、週末のドルトムント戦勝利で息を吹き返したライプツイヒを迎える際には、アセンシオにも出番が回ってくる?何より昨季は奇跡の連続だったCLがまたサンティアゴ・ベルナベウで見られるのはきっと、ファンも楽しみにしているんじゃないでしょうか。
そして記者会見を聞いてから、徒歩10分程のヌエボス・ミニステリオス駅に向かい、セルカニアス(国鉄近郊路線)で25分。ラス・マルガリータ駅下車徒歩15分のコリセウム・アルフォンソ・ペレスには、余裕でキックオフ午後6時30分前に着いた私でしたが、この時間でもまだ全然、気温が下がらないんですよ。おまけに正面スタンド以外、西日が煌々と射していたせいで、レアル・ソシエダ戦が始まってすぐには熱中症になった観客を手当てするため、試合が一時中断する始末。まあ、前日、ヌエボ・ミランディージャでバルサがカディスに0-4と大勝した試合で高齢のファンが心筋梗塞を起こした時程の大ごとにはなりませんでしたが、もしかしてリズムのない前半は選手たちもあまりの暑さに頭も体も動かなかった?
おまけに10分にはシュートを弾かれた後、敵DFに倒されたマジョラルがVAR(ビデオ審判)でPKをゲットしたヘタフェだったんですが、キッカーを買って出た当人がGKラミロに弾かれてしまってはねえ。相手はミッドウィークのEL1節でマンチェスター・ユナイテッドを0-1で下してきたばかりでしたし、38分には移籍市場最終日にアルメリアから移籍し、先日のレアル・アレナでの試合でアトレティコが勝ち点2を失う原因となったゴールを挙げていたサディクが右ヒザを負傷。後日、靭帯を断裂する大ケガだったことがわかったんですが、交代で入ったアリ・チョも怖い選手ですからね。
このままではコリセウムのファンの前で今季初勝利を挙げるのは難しいかもと誰もが思っていた前半ロスタイム、まさかエネス・ウナルの直接FKで先制点が入るとは!後半からはイマノル監督も本腰を入れてきて、久保建英選手、トリエンテに代え、ダビド・シルバとブライス・メンデス、バリバリのレギュラーを投入。ところが、またしても先手を取ったのはヘタフェでした。ええ、3分にはウナルが右サイドから入れたラストパスをアレニャが撃ち込み、2点目をゲットとなれば、場内の温度が更に2、3℃上がったような気がしたのはきっと、私だけではないかと。
まあ、その2分後にはアリ・チョのクロスから、ブライス・メンデスにヘッドを決められて、1点差に迫られたため、すぐに緊迫感が戻ったんですが、それが却って良かったのかもしれません。残り時間もしっかり守ったヘタフェは永遠に続くように見えた7分の長いロスタイムも耐え切り、いえ、最後のプレーが敵のCKだった時はポルト戦のグリーズマンの決勝ゴールを思い出して、ちょっと怖かったんですけどね。幸い無事にクリアして、2-1で勝利することができましたっけ。
これで勝ち点4と、8試合で1ポイントしか獲れなかった昨季と比べるとずっとマシに見える彼らなんですが、順位は1つ上がったものの、残念ながら、まだ18位で降格圏は脱出しておらず。ただ、同じ勝ち点のチームはアルメリア、エスパニョール、セビージャ、バジャドリーと4チームもあるため、日曜のオサスナ戦で勝てば、大きくジャンプアップできるかと思いますが、相手は月曜試合でアルメリアを0-1で下し、とうとうCL出場圏の4位まで上がる程、好調ですからね。そうそう簡単にはいかないでしょうが、何はともあれ、マドリッド勢ホームゲーム4試合の最後を白星で飾り、他の3チームに遅れを取らなかったのは十分、賞賛に値するんじゃないでしょうか、
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